整数論でone more...

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98 回数学教育実践研究会 レポート発表 整数論で One more thing 北海道札幌南高等学校教諭 長尾良平 平成 28 8 6 日 小樽桜陽高等学校 1 はじめに 黒岩祐治氏の著書 [1] の中には, 恩師である橋 本武氏の授業風景についての記述がある. そこ では, 中勘助「銀の匙」を題材にどんどん (意味 のある)脱線をしていく様子が紹介されている. 数学の授業でも, 関連する事柄であればどんど ん取り込んでいきたいと考えている筆者にとっ ては, 大変印象深い内容であった. 本レポートで , 数学 A の「整数の性質」の単元において, り道しながらの授業実践を紹介していきたい. 2 素数について 大学の代数学の授業で紹介された未解決問題 や予想の話が印象深かったので, 授業で紹介して みた. 整数の話は, (難問であっても)主張は伝 わりやすいので, 高校生にも紹介できるところが 良いと考えている. 扱った内容は以下の通り. (1) 双子素数の予想 100 以下の範囲における全ての組 (2) ゴールドバッハ予想 幾つかの偶数を奇素数の和に分解 (3) メルセンヌ数 2 n - 1 n が合成数の時に素数にならない理由 n が素数の時に素数かどうかを確認 (4) ディリクレの算術級数の素数定理 6k - 1 について, k =1,..., 10 に対して 素数になるかどうか確認 また, 最大のメルセンヌ素数 2 57885161 - 1 , 大の双子素数の組 3756801695685 · 2 666669 ± 1 ど(2013 年現在)は, 「今まで生徒が触れてきた であろう数の範囲を完全に超越している」ため, それだけで大きな刺激を与えることになる. また, 「十分大きな数に対して予想が成り立っ ていても, 数学では証明にならない」 ことも数学 の厳密性の例として取り上げることができるだ ろう. 3 LCM(10,12) について LCM(10, 12) = 60 に関連して, 一般教養を深 めて欲しいと思い, 十干十二支の話題を取り上げ . まず, 十干十二支を順に書かせてみる. 十 干:甲, , , , , , , , , 十二支:子, , , , , , , , , , , そして, 六十干支による年の表し方を紹介し, 西暦から六十干支に変換させて, その年に何が あったのか考えさせた. 西暦から六十干支への変換 西暦を 10 で割った余りが 0:庚 →  9:己 12 で割った余りが 0:申 →  11:未 として対応させる. 1

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第98回数学教育実践研究会 レポート発表

整数論でOne more thing

北海道札幌南高等学校教諭 長尾良平

平成28年8月6日 小樽桜陽高等学校

1 はじめに黒岩祐治氏の著書 [1]の中には, 恩師である橋本武氏の授業風景についての記述がある. そこでは, 中勘助「銀の匙」を題材にどんどん(意味のある)脱線をしていく様子が紹介されている.

数学の授業でも,関連する事柄であればどんどん取り込んでいきたいと考えている筆者にとっては, 大変印象深い内容であった. 本レポートでは, 数学Aの「整数の性質」の単元において, 寄り道しながらの授業実践を紹介していきたい.

2 素数について大学の代数学の授業で紹介された未解決問題や予想の話が印象深かったので,授業で紹介してみた. 整数の話は,(難問であっても)主張は伝わりやすいので,高校生にも紹介できるところが良いと考えている. 扱った内容は以下の通り.

(1) 双子素数の予想+100以下の範囲における全ての組

(2) ゴールドバッハ予想+幾つかの偶数を奇素数の和に分解

(3) メルセンヌ数 2n − 1

+nが合成数の時に素数にならない理由+nが素数の時に素数かどうかを確認

(4) ディリクレの算術級数の素数定理+6k − 1について, k = 1, . . . , 10に対して  素数になるかどうか確認

また,最大のメルセンヌ素数 257885161−1や,最大の双子素数の組 3756801695685 · 2666669 ± 1など(2013年現在)は,「今まで生徒が触れてきたであろう数の範囲を完全に超越している」ため,

それだけで大きな刺激を与えることになる.

また,「十分大きな数に対して予想が成り立っていても, 数学では証明にならない」ことも数学の厳密性の例として取り上げることができるだろう.

3 LCM(10,12)についてLCM(10, 12) = 60に関連して, 一般教養を深めて欲しいと思い,十干十二支の話題を取り上げた. まず, 十干十二支を順に書かせてみる.

十 干:甲,乙,丙,丁,戊,己,庚,辛,壬,癸十二支:子,丑,寅,卯,辰,巳,午,未,申,酉,戌,亥

 そして, 六十干支による年の表し方を紹介し,

西暦から六十干支に変換させて, その年に何があったのか考えさせた.

西暦から六十干支への変換� �西暦を

• 10で割った余りが 0:庚 →  9:己

• 12で割った余りが 0:申 →  11:未

として対応させる.� �

1

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(1) 1868年

• 10で割った余りが 8:戊• 12で割った余りが 8:申

となるので, 「戊辰戦争」勃発.

(2) 1924年

• 10で割った余りが 4:甲• 12で割った余りが 4:子

となるので, 「甲子園球場」開場.

 生徒は,「本当だ, 凄い!」,「中学校の時に教えて欲しかった!」との声を上げていました.

4 合同式の応用発展扱いであるが合同式が教科書で扱われるようになり, その応用例である ISBNコードとRSA暗号について授業でとりあげた. ISBNコードの実践については, [2]を参照していただくことにして, ここでは, RSA暗号についての実践を紹介する.

RSA暗号による暗号化と復号の手順� �Mで原文(Message)を数値化した文字列, C

で暗号文(Code)を表すとする.

○暗号化

(1) 原文を数値化する.

(2) p, qを素数とし, n = pqを計算する.

(3) GCD(e, (p − 1)(q − 1)) = 1を満たす正整数 eを用意する.

+n, eを公開鍵として公開する.

(4) C ≡ Me (mod n)で暗号化する

○復号

(1) de ≡ 1 (mod (p − 1)(q − 1))を満たす正整数 dを用意する.

+dが秘密鍵になる.

(2) Cd ≡ M (mod n)が成り立つので, 元のメッセージMに復号できる.� �

実際の計算はかなり面倒なので, 1回だけ合同式の計算を行い, [3]のWebサイトを参考にして早見表を利用する方式をとった. 早見表を利用することで暗号化と復号が簡単にできるので,生徒達はRSAの雰囲気は感じとってくれたと思っている.

「暗号化したコメントを年賀状に入れるのもオシャレかもね」と授業で話したところ, 実際に暗号文入りの年賀状を出してくれた生徒がいた.

また,次に扱う予定であるユークリッド互除法を意識して,素因数分解の困難性についても触れた. 実際のRSA暗号では 600桁程度の整数 nが用いられており, 仮に 1秒間に 1億回の四則演算ができるコンピュータを用いたとしても,単純に素因数分解していくと莫大な時間がかかる. そのため,素因数分解は現在でも数学の研究対象になっていることを取り上げ, The RSA Factoring

Challenge(現在は終了)やNTTセキュアプラットフォーム研究所のWebページ [9][10]の内容を紹介した.

最後におまけとして, ガウスが 15歳で発見した(と言われる)素数定理

素数定理� �x以下の素数の個数を π(x)と表すとき, π(x)

は x

log xで近似される.

� �も紹介し, [11]も使いながらその様子を確認した.

5 互除法に関連して小学校以来,最大公約数を求めるには素因数分解をするのが標準的な方法だった. しかし, 2数が大きくなるとRSA暗号の場面で見たように素因数分解が難しくなる. そこで,

• 4桁同士の互いに素な 2数

• 桁数の大きい 2数

などに対して互除法を利用することにより,その優位性を体感させた. また, 次のラメの定理の定理により,そのアルゴリズムの効率の良さがよく分かる.

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ラメの定理� �a > bとする. GCD(a, b)を互除法で求めるとき, 最悪でも bの桁数の 5倍以下の回数の除算で終了する.� �定理の証明から, a, b がフィボナッチ数列の隣接する 2 項のときが最悪なケースだと分かる. そこで, GCD(1597, 987)を計算させた(987

が 3 桁:3 × 5 = 15 回かかるケース). また,

GCD(12345678, 87654321)は最悪でも, 8 × 5 =

40回で終了するのでやってみるように指示した(実際は 6回で終了する). 後者は素因数分解でGCDを求めるのは大変である.

6 基数の変換10進法で表された数を n進法で表す処理については,

(1) どんどん余りを出しながら割り算を進め

(2) 余りを逆順に並べる

方法が一般的であるが,その意味を両替をイメージしながら説明をすすめた.

例  45(10)を 2進法で表す.

1円玉①:45枚をどんどん両替していく.

両替対象硬貨 ② ④ ⑧ ⑯ 32 64交換可能枚数 22 11 5 2 1 0

交換不可枚数 1 0 1 1 0 1

最終使用硬貨 ① ② ④ ⑧ ⑯ 32 以上の流れから, 45(10) = 101101(2)となる.

 また, 小数の基数を変換する際, 変換後に循環小数になる例を取り上げた. 2進法で表された数を 10進法で表すには,

(1) 2倍して整数部分を比較し

(2) 確定した部分は取り除く

これを繰り返していくことになる.

例  0.8(10)を 2進法で表す.

0.8 =a

2+

b

4+

c

8+

d

16+ . . .

2倍して 1.6 = a +b

2+

c

4+

d

8+ . . .

2倍して 1.2 = b +c

2+

d

4+

e

8+ . . .

2倍して 0.4 = c +d

2+

e

4+ . . .

2倍して 0.8 = d +e

2+

f

4+ . . .

 これで, 最初の状態に戻ったので, 以下循環する. よって, 0.8(10) = 0.1̇100̇(2)となる.

7 百五減算不定方程式の整数解の問題については,

• 因数分解で積のかたちに

• 不等式で評価する

• 余りで分類(合同式等)

• 拡張ユークリッド互除法

といった手法が用いられる. 授業では, 代表的な問題を扱ってこの単元を締めくくったが,最後に扱ったのが次の問題である.

百五減算� �3で割ると 2余り・・・À

5で割ると 1余り・・・Á

7で割ると 2余る・・・Â

ような 2桁の自然数を求めよ.� �生徒には,「実は江戸時代の塵劫記という本に既に取り上げられていてね・・・」という話をすると, とても意外な顔をする. 付け加えて, 当時のベストセラーであることを告げると,当時の人の知的好奇心の高さに驚いていた.

また, 通常はÀとÂの(共通な)整数解を求め,

さらにÁとの共通解を考えるが,「ガウスは全く違う観点で解く方法を発見してね・・・」とさらっとその解法を紹介すると, 次の日にはWeb

で情報を見つけた生徒が「詳しく説明してくだ

3

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さい」と質問に来ました. 授業では何かとガウスを取り上げるので,「嗚呼, ガウスになりたい!」とのつぶやきが複数の生徒から・・・.

8 終わりに橋本先生の国語の授業は教科横断的. 現在の総合学習のはしりかもしれない. 駄菓子を食べたり凧揚げをしたり, 教科の枠に縛られず, 興味の赴くままにどこまでも・・・. その行程を経て得られたものは,断片的ではなく互いに結びついていて, それこそ「知識」と呼ぶに値するものだと思う.

以前から,「大学で学んだことや興味のあることをどう授業に取り入れていくか」をテーマに実践をし, レポートを作成している.学生時代のノートを取り出したり, 参考文献に当たったり,

Webページの作成者に連絡をとってみたり・・・.

言うなれば大人の総合学習である.「知識が繋がっていく」のがとても楽しい.

生徒達にも,そんな感覚を味わって欲しいと思う.そのためにも, 教材研究をさらに進めていきたい.

参考文献等[1] 黒岩祐治「恩師の条件-あなたは「恩師」と呼ばれる自信がありますか?」リヨン社

[2] 長尾良平「余りものには福がある」第 73回数学教育実践研究会レポート

[3] サルにも分かるRSA暗号https://www.maitou.gr.jp/rsa/

[4] 早苗雅史「高校生のための暗号論入門」第 41回数学教育実践研究会レポート

[5] 林雄一郎「RSA暗号と因数分解」第 81回数学教育実践研究会レポート

[6] 西村昴介「素数から暗号へ」第 92回数学教育実践研究会レポート

[7] サイモン・シン著 青木薫訳「暗号解読」新潮社

[8] 一松信「暗号の数理 作り方と解読の原理」講談社ブルーバックス

[9] The RSA Factoring Challengehttp://japan.emc.com/emc-plus/rsa-labs/historical/the-rsa-factoring-challenge.htm

[10] NTTニュースリリースhttp://www.ntt.co.jp/news2010/1001/100108a.html

[11] 真実のみを記述する会「素数表 150000個」暗黒通信団

[12] 中村滋「フィボナッチ数の小宇宙」日本評論社

[13] 吉田光由「塵劫記」岩波書店

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「素数」にまつわる話題

LCM(10,12)=60に関連して

1.素数は無限に存在する

.紀元前3世紀にユークリッドが証明(背理法を利用)

2.双子素数の予想

一差が2である2つの素数の組は無限に存在するか?

^100以下の双子素数の組を全て挙げてみよう.

’’

十干と十二支を組み合わせて,年を表すことがあります.丙子,庚辰,一十干と十二支による年の表し方(「六十干支」という)

・西暦を10で割った余りが0:庚→9:己

・西暦を12で割った余りが0:申→11:未

として計算ができます.

金現在分かっている最大の双子素数は,

3.ゴールドパツハ予想

垂6以上の任意の偶数は、2つの奇素数の和で表せるか?

全例えば,28=+,50=十,88=+

4.メルセンヌ素数

奄冗を自然数として,2"-1の形で表される数をメルセンヌ数といい,特に素数

となるものをメルセンヌ素数という.

奄冗が合成数のときは,メルセンヌ数は素数にならない(説明できますか?)

LCM(10,12)=60だから,60年で1周する.だから,60歳もという.

問次の年にどんな出来事があったのか,六十干支に直して考えてみよう

1.1868年.

.”が素数のときは,メルセンヌ数は素数になったりならなかったり.・・

・22-1=,23-1=,25-1=,27-1=,211-1=

2.672年竜現在分かっている最大のメルセンヌ素数は,

5.ディリクレの算術級数の素数定理

^>GCD(a,&)=lのとき,集合{afc+&|ルは自然数}は無数の素数を含む金例えば,α=6,6=-1として,6ik-l(k=1,2,3,…)を考えると,

3.1911年

4.1924*

碩勾も5

〔10

6応-1

素数か否か

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mod33で考える暗号早見表

1乗から25乗までの範囲で

文字竜二FHLPRVⅥXz

数値化

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スパイになった気分で。。pRSA暗号の紹筑

組番

一一

例ILOVEYOU、を暗号化してみる.また,復号して原文に戻ることを確認する.

公閏鍵暗号

・暗号化する鍵をどうやって相手に伝えるかが,古来からの悩み.

画鍵がばれてしまっては,暗号にならない.

・公開鍵暗号は暗号化するための鍵を公開する新しい方式.

画暗号化するための鍵と復号(元に戻す)するための鍵が別になっている.

函公開してしまうので,鍵の輸送の問題が解決できる.

暗号化

1.原文を数値化する

2.P=,9=一とすると,n=pq=

3.正整数eをGCD(e,(P-1)(9-1))=GCD(e,-J=lとなるように選ぶRSAI麿号

o皿rのリベスト,シヤミア,エードルマンが考案した公開鍵暗号

画インターネットでの秘密通信にも使われている.

函その理論的背景に,互除法や合同式がある

画例えばe=とする.

4.C=M(modn)で暗号化する画早見表を利用する.

RSA暗号による暗号化と復号の手順

Mで原文(M霞βage)を数値化した文字列,cで暗号文(Code)を表すとする.○暗号化

1.原文を数値化する.

2.p,gを素数とし,泥=PQを計算する.

3.正整数eとして,GCD(e,(p-l)(g-l))を満たすものを用意する.画冗eを公開鍵として公開する.

4.C=M(modn)で暗号化する、

○復号

1.正整数。として,de=l(mod(p-l)(g-l))を満たすものを用意する.函。力秘密鍵であり,他人に知られないようにする.

2.C=M(modn)が成り立つので,元のメッセージMに復号できる.

暗号文は,次のようになる.

復号、

1.正整数dをde=1(mod(p-l)(q-1))として求める.画今は,数値が小さいので目の子で見つけられる.d=

画実際は,拡頚ユークリッド互除法が利用される.

2.M=C"(modn)で復号する.画早見表を利用する.

文字→数値の換算表

原動(

VE

YC

1

数値イI

原戎

(V

EY

CI

数値イ{暗号女

暗号文

復号

原文

』E

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ⅡU

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実例から・・・

amazonの唯bサイトで用いられている公開鍵冗の値

16進法で512桁→2進法で2048桁→10進法で617桁

組番

もし,600桁の整数を全ての素数で割れるかどうかで素因数分解をするならば.

緊数定理によると・・・

画ガウスとルジャンドルが予想

画ド・ラ・ヴァレー・プッサンとアダマールが証明

○16進法表毘(amazonのWebサイトから)b7Od5620a913a2f5907b892e59481631639a41957aeO97Id

66a623f9822efcd9226f8abeec7dd7495253dO2fdceO2aee

f1f5c88e8016fc49517d7cOfal31fb462cbe9fb595bb6dd3

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473cIfeb56f2f34ea2d6d499Od51bO78d60033de92ac3202

3161laa8eeal71aaedffa896381004209a157a98c78aaad8

2d9b276316a473306b29dO5c6914cb7988c6leb2478ea3ae

88laaf879b27lab8166d83eO256c1493e53e2cOd545b3339

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5e3b6f32leOc4f3a906cId7fOd5a2ac654a3ecd2Of088c5a

6716a6c7304f67bb6aelffd5b5820279

010進法表記(MacOSXのbeで変換)

23108186250418140377406809438455149911472461326698612855219017240133815018828563136990025269394808310419260580801198967030046271654200811700684368160252964742205430906094320627072400120377859873970269873603684376373759639254546606000328635783630867538185908790359960191045292512324665730489950383034402742448761516403872645555172774624176765170052775063198365225728849134576390828774819494643018590986126994640443567849114615675070572475913372810446978219202634574916640812051794362701366978998174045887621688575850676684009060624324095869226592509208413010052545271003319067067049906564675648483181546801825910489721

だから,p,qとしては300桁程度の素数が選ばれています.また,もう1つの公開鍵

eの値は,65537=216+1が使われています.

、/15面5=10300までの素数の個数は,およそ個

高性能のコンピュータを利用して,1秒間に1億=108個の約数かどうかの判定がで

きるとすると,

1年間では,108××××

--■■■■■■■-

個=

一一

したがって,全てのチェックを終える(最悪の場合)ためには

かかる・・・

素数定理

ガウスは素数の戯った表を跳め,統計的に考えることによってZ以下の素数の

職爾(麺)が志に大体等しいことを発見しています('蝋で!)画log毎は数学Illで出てくる自然対数です.

☆確認してみましょう☆

秘密鍵。を持たない第3者が解読するためには,ed=1(modOp-l)(q-1))を解かなければならないが,”が数百桁の素数の積なので”=”に素因数分解することは

非常に困難である.従って,p-1,0-1の値を求めることも困難であり,秘密鍵。を

入手することは事実上不可能である(不可能なわけではない).

I1〔

IOC1000

1(gロ

2.:4.6

6.(遜

一loga;7r(z