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運動器エコーを用いた 足の診かた
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根井 雅(帝京大学医学部整形外科/スポーツ医科学センター)
笹原 潤(帝京大学スポーツ医科学クリニック院長/スポーツ医科学センター)
1.エコー診療を始める前に p21)足の解剖2)エコー診療のセッティング
①エコーの配置と機種選定 ②プローブの選択 ③エコーをあてる際のポジショニング
2.エコー診療の進め方 p71)「足」が痛い患者を診る前に ①自分の「足」で歩けているか
②患者にとっての「足」とはどこか 2)病歴聴取のポイント ① いつから痛いのか─問診票の現病歴に
だまされるな②何をするとどこが痛いのか③どれくらい痛いのか④既往歴も忘れず聴取する
3)身体所見の取り方 ①まずは視診から ② これまでの情報と疼痛部位から鑑別診
断で絞り込む③触診は,エコーガイド下圧痛チェックで
4)エコー検査のポイント ①「まずX線」ではなく,「まずエコー」!
② 道に迷った時こそ,プローブを持つ手を止めない③ 骨折診断における有用性とピットフォール④動きの中で観察する⑤ドプラモードで炎症をみる⑥解剖が大事
5)追加画像検査の検討①画像診断ツールの得意・不得意を知る②画像所見に惑わされない③圧痛所見に惑わされない
6)保存治療の2本柱 ①インソール
②腓腹部のエキセントリックストレッチ
3.エコー診療の実際 p221)足関節捻挫①前距腓靱帯損傷②踵腓靱帯損傷③遠位脛腓骨靱帯結合損傷④踵骨前方突起骨折⑤距骨下関節損傷⑥腓骨筋腱脱臼⑦三角靱帯損傷⑧リスフラン関節損傷
2)アキレス腱断裂 3)中足骨疲労骨折 4)アキレス腱部痛 5)足底腱膜炎
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1. エコー診療を始める前に1) 足の解剖足の痛みを診ていく上で,足部・足関節の解剖を知っておくことはとても大切です(図1~3)。しかし,足部・足関節には多くの骨・関節や筋・腱などが存在するため,それらすべてを頭に入れておくことは大変です。最近は使い勝手のよい解剖のアプリ(Visible Body®やComplete
Anatomy®など)がありますので,それを自身のスマートフォンや携帯型タブレットに入れておけば,いつでもどこでも手軽に確認できます。
図1 骨・関節の解剖─シェーマ
a:前方
腓骨
踵骨
脛骨
舟状骨
立方骨
内側楔状骨
外側楔状骨 中間楔状骨
外果
リスフラン関節
距腿関節
距骨
ショパール関節
内果
b:内側
踵骨舟状骨
立方骨
ショパール関節
リスフラン関節
距骨
距骨下関節
c:外側
踵骨
距骨下関節舟状骨
距骨
ショパール関節 外側楔状骨リスフラン関節
中間楔状骨
腓骨 脛骨
立方骨
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図2 靱帯・腱の解剖─シェーマ
a:前方
前距腓靭帯 三角靱帯
前脛骨筋腱
長母趾伸筋腱長趾伸筋腱
前下脛腓靱帯
b:後方
足底腱膜
後脛骨筋腱
長趾屈筋腱
長母趾屈筋腱
距骨後突起外側結節 アキレス腱
後下脛腓靱帯
果間靱帯
後距腓靱帯
c:内側
三角靱帯後脛距靱帯
脛踵靱帯
脛舟靱帯後脛骨筋腱
長趾屈筋腱
長母趾屈筋腱
載距突起
舟状骨
足底腱膜
d:外側
前下脛腓靱帯 距骨
前距腓靱帯
前距踵関節包靱帯
二分靱帯
立方骨
長腓骨筋腱 短腓骨筋腱
踵腓靱帯
踵骨
図3 神経の解剖─シェーマa:前方
伏在神経深腓骨神経
浅腓骨神経
b:内側
伏在神経
c:後方
脛骨神経
腓腹神経
伏在神経
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2) エコー診療のセッティング
①エコーの配置と機種選定運動器エコーを用いて足の痛みを診るためには,診察室に超音波画像診
断装置を常に配備しておく必要があります(図4)。また,エコーガイド下でのインターベンションも行うのであれば,据え置き型のエコーよりポータブルタイプのエコーを用いると,取り回しが効くため便利です。
図4 診察室ポータブル型のエコーを電子カルテの横に置いて診察しています。
②プローブの選択足部・足関節領域で診療対象となる組織のほとんどは表在に位置しているため,エコーのプローブは,高周波のリニアプローブが適しています。しかし,高周波のリニアプローブでは足底の観察がしばしば困難で,周波数を下げたりゲインを上げたりして,適宜調整する必要があります。その一方で,足部の表在組織と足底の組織,いずれも鮮明に描出するこ
とができる中周波のリニアプローブも市場に出てきており,最近のプローブはかなり性能がよくなっています(図5・6)。
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図5 中周波(左:11MHz)と高周波(右:18MHz)のプローブ
近年,運動器エコーの領域で中周波のリニアプローブも広く用いられつつあります。
図6 周波数での画像の違い左:11MHz(中周波),右:18MHz(高周波)前距腓靱帯(上)のように浅いところではあまり差がないように見えます。しかし,足底腱膜(下)のように,分厚い軟部組織に覆われた深い場所だとエコービームが減衰してしまうため,高周波プローブでは不鮮明な描出になってしまいます。
前距腓靱帯
11MHz(中周波) 18MHz(高周波)
足底腱膜
③エコーをあてる際のポジショニング足部・足関節のエコー診療では,足部を椅子に乗せると,すべての部位が坐位のまま観察できます。足部を乗せる椅子は,キャスターがなく,回転もしない椅子が適しています。
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