野菜の周年栽培における 硝酸イオン濃度低減化栽培 基本技術 …fw ) 夏作...

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H24年度学長経費成果報告会】 2013521鳥取大学農学部 附属フィールドサイエンスセンター(講師) 近藤 謙介 野菜の周年栽培における 硝酸イオン濃度低減化栽培 基本技術の確立

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  • 【H24年度学長経費成果報告会】 2013年5月21日

    鳥取大学農学部附属フィールドサイエンスセンター(講師)

    近藤 謙介

    野菜の周年栽培における硝酸イオン濃度低減化栽培

    基本技術の確立

  • なぜ硝酸イオンが問題に?

    植物の生育には窒素,特に硝酸態窒素が必要

    作物は吸収した硝酸イオンを代謝しきれず,

    硝酸イオン濃度が上昇

    吸収しきれず,土壌中に窒素成分が残る

    硝酸の過剰摂取は,人体に悪影響を与えるという報告も

    しかし,窒素肥料をやりすぎると

    土壌中の硝酸態窒素は水に溶け,地下水や河川などへ流れ込み,環境に

    悪影響

    生産するために余分な経費がかかる

    農家の収入に悪影響

    食 環境農

  • ・アブラナ科,ツケナ類の一種

    ・別名:キョウナ(京菜)

    ・日本特有のツケナ

    ・和名抄(約1000年前の歴史書)に記載

    ミズナ (Brassica rapa L. Japonica Group)

    サラダなどに利用されるようになり,周年的な需要が増加

  • 調理方法の多様化

    施肥量の違いがミズナの生育と硝酸イオン濃度に及ぼす影響を検討

    ミズナ 硝酸

    ミズナにおける硝酸イオン濃度の低減化栽培技術の確立

    周年的な需要の増加 硝酸イオン濃度の低減化

    健康,環境,農家への影響

  • 施肥量の違いがミズナの

    硝酸イオン濃度に及ぼす影響

  • 1/4S 1/2S S 2S 3S 4S

    写真 栽培終了時の様子

  • ミズナ

    0

    200

    400

    600

    800

    1000

    1200

    1400

    1/4S 1/2S S 2S 3S 4S

    処理区

    硝酸

    イオン濃度(m

    g・100

    g-1FW)コマツナ

    1/4S 1/2S S 2S 3S 4S

    処理区

    図 施肥量の違いがミズナとコマツナの硝酸イオン濃度に及ぼす影響

    ・ミズナとコマツナでは増加傾向に違いがみられた.

    ・施肥量の増加にともない高くなった.

    e

    d

    c

    b

    a

    e

    b

    aa

    c c c

    五訂食品成分表より 五訂食品成分表より

    1183

    1028

  • 図 施肥量の違いがミズナの生育に及ぼす影響

    S 2S 4S 8S 12S 16S 20S

    ・S~4S区で施肥量の増加にともない大きくなり,4S~20S区では逆の傾向を示した.

  • 0

    200

    400

    600

    800

    1000

    S 2S 4S 8S 12S 16S 20S

    硝酸イオン濃

    度(m

    g 100 g

    -1 F

    W)

    処理区

    図 施肥量の違いがミズナの地上部硝酸イオン濃度に及ぼす影響

    a

    ab

    a

    ab

    bc

    bc

    c251

    805

    5訂食品成分表

    ・施肥量の増加にともない大きくなる傾向を示した.

    ・20S区が805 mg 100 g-1 FWで最大だった.

  • 異なる温度条件がミズナの

    硝酸イオン濃度に及ぼす影響

  • 春作

    0

    400

    800

    1200

    硝酸イオン濃度

    (m

    g・100 g

    -1

    FW)

    夏作

    冬作

    1/4S 1/2S S 2S 3S 4S

    処理区

    秋作

    0

    400

    800

    1200

    1/4S 1/2S S 2S 3S 4S

    処理区

    硝酸イオン濃

    度(m

    g・100 g

    -1

    FW)

    図 施肥量の違いが異なる栽培時期のミズナの硝酸イオン濃度に及ぼす影響

    d

    a aa

    b b bc

    c

    b

    aa

    d

    446

    1057

    604 603

    d dc

    b

    a

    d d dc

    b

    a

    五訂食品成分表より

  • 図 異なる温度条件がミズナの硝酸イオン濃度と硝酸還元酵素活性に及ぼす影響

    0

    200

    400

    600

    800

    15℃/15℃ 25℃/15℃ 35℃/15℃

    処理区

    硝酸イオン濃度

    (m

    g・100 g

    -1

    FW)

    0

    10

    20

    30

    15℃/15℃ 25℃/15℃ 35℃/15℃

    処理区

    硝酸還元酵素活性

    (nm

    ol N

    O2-・m

    in-1・g-

    1FW)

    b

    b

    a

    b

    aa

    ・硝酸イオン濃度は393~730 mg・100 g-1 FWの範囲にあり,栽培温度が高いほど

    高くなる傾向を示した.

    ・硝酸還元酵素活性は,15℃/15℃区が最高で,栽培温度が高いほど低くなる

    傾向を示した.

  • 施肥量の違いが

    ミズナ3品種の硝酸イオン濃度に

    及ぼす影響

  • 図 異なる施肥量がミズナ3品種の硝酸イオン濃度に及ぼす影響

    ・‘京みぞれ’と‘夏千緑水菜’は施肥量の増加にともない高くなった.

    ・‘京しぐれ’では2S区~4S区に差は認められなかった.

    1/4S 1/4S

    ’京みぞれ’

    0

    300

    600

    900

    1200

    1500

    1/4S1/2S S 2S 3S 4S

    処理区

    硝酸イオン濃度(m

    g・100g

    -1FW)

    dcd

    c

    b

    aa

    ‘京しぐれ’

    1/2S S 2S 3S 4S

    処理区

    c cb

    a a a

    ’夏千緑水菜’

    1/2S S 2S 3S 4S

    処理区

    dcd

    c

    b

    a a

    5訂食品成分表より

    12131057

    697

  • 施肥量の違いが

    部位別硝酸イオン濃度に及ぼす影響

  • 葉身

    葉柄

    図 ミズナの葉の様子

  • 図 施肥量の違いがミズナの地上部,葉身及び葉柄の硝酸イオン濃度に及ぼす影響

    0

    500

    1000

    1500

    2000

    2500

    S 2S 4S 8S 12S 16S 20S

    葉身硝酸イオン濃度

    (m

    g 100 g

    -1

    FW)

    cdd

    abc abcab

    bc

    a

    722

    102

    0

    500

    1000

    1500

    2000

    2500

    S 2S 4S 8S 12S 16S 20S

    葉柄

    bb

    abb

    b

    a

    ab

    2027

    921

    805

    0

    200

    400

    600

    800

    1000

    S 2S 4S 8S 12S 16S 20S処理区

    全体

    硝酸イオン濃度

    (m

    g 100 g

    -1

    FW)

    aab

    aab

    bcbc

    c

    251

  • 図 ミズナの分割(外側,中側,内側)の様子

    外側 中側 内側全体

    分割

    ・地上部の長さ

    ・葉柄の太さ

  • 0

    500

    1000

    1500

    S

    2S

    4S

    8S

    12S

    16S

    20S

    外側 中側 内側

    硝酸イオン濃度(m

    g 100 g

    -1

    FW)

    S

    2S

    4S

    8S

    12S

    16S

    20S S

    2S

    4S

    8S

    12S

    16S

    20S

    図 施肥量の違いがミズナの部位別硝酸イオン濃度に及ぼす影響

    処理区 処理区処理区

    789

    aababab

    b

    c

    d

    aa

    c

    a

    b

    a a aaab

    aab

    d

    c

    1228

    287 301

    971

    210

    ・外・中・内側,いずれの部位も施肥量の増加にともない高くなる傾向を示した.

    ・最大値は,外側:20S区(1228),中側:20S区(971),内側:8S区(789)で,内側<中側<外側の順に高い傾向が認められた.

  • <作物の硝酸イオン濃度に及ぼす要因>

    肥料の種類

    ・温度

    日射量

    季節

    ・品種

    遮光

    生育ステージ

    ・種類(果菜類,根菜類,葉菜類)

    ・施肥

    ・光

    ・収穫

    光質

    施肥量 施肥方法

    調整方法

    ・貯蔵

    ・調理法

    【近藤先生分】H24年度学長経費成果報告会 2013年5月21日(改)スライド番号 1スライド番号 2スライド番号 3スライド番号 4スライド番号 5スライド番号 6スライド番号 7スライド番号 8スライド番号 9スライド番号 10スライド番号 11スライド番号 12スライド番号 13スライド番号 14スライド番号 15スライド番号 16スライド番号 17スライド番号 18スライド番号 19スライド番号 20