道路構造物メンテナンスの セカンドステージへ - 国...
TRANSCRIPT
橋梁
トンネル
舗装
土工
附属物等
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道路橋定期点検要領[平成26年6月]
道路トンネル定期点検要領[平成26年6月]
舗装点検要領[平成28年10月]
シェッド、大型カルバート等定期点検要領[平成26年6月]
道路土工構造物点検要領[平成29年8月]
横断歩道橋定期点検要領[平成26年6月]
門型標識定期点検要領[平成26年6月]
小規模附属物点検要領[平成29年3月]
道路構造物の点検要領策定状況
平成25年6月 道路法の改正
実施レベル
計画レベル
組織・体制レベル
点 検
診 断
措置(補修・補強等)
(予算状況等を踏まえた)優先順位評価
点検・修繕・更新計画(長寿命化計画)の
策定/見直し(事業の平準化など)
施設情報システム
予算マネジメント
人材マネジメント
組織の目標,方針維持管理水準の設定
修繕・更新費用の把握(劣化予測,LCC評価)実効性の評価
システム等の改善
・点検等の結果の分析・公表
・不具合発生時の支援
・技術基準等への反映
・長寿命化計画の策定支援
・定期点検要領素案・技術資料の策定
記録
・研修の企画・実施
・点検結果の分析に基づく劣化予測、LCC評価手法
・各要素技術の開発・活用
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メンテナンスサイクルと道路構造物に関する国総研での取り組み
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道路構造物点検に関する国総研の取組例
点検要領検討 研修支援
・初級研修 企画・支援(H26-28 3,400名)
・研修資料公開テキスト:国総研資料No.829 道路構造物管理実務者研修(橋梁初級Ⅰ)道路橋の定期点検に関するテキストNo.748 道路橋の定期点検に関する参考資料(2013年版)-橋梁損傷事例写真集-
実技のポイント:ttp://www.nilim.go.jp/lab/ubg/info/index1705.html
技術相談
・不具合等への技術相談
・直轄診断H26以降、10施設技術者集団を派遣
知見の共有
・土木技術資料 現場に学ぶメンテナンス技術相談事例より、ナレッジをまとめるH21より、20編超
・点検必携点検時に参考となる情報を整理し、日本道路協会よりハンド
ブックとして出版。 道路橋、舗装、附属物(標識・照明)
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[背景]
・平成26~28年度に点検した約40万橋
のうち、緊急または早期に補修が必要な橋梁が約11%(約4.2万橋)
・地方公共団体管理橋梁での通行止めや車両重量等通行規制が約2,600箇所に増加中
・市町村は技術者の削減により土木技術者が不足
メンテナンスのセカンドステージへ
①予防保全を前提としたメンテナンスの計画的な実施・予防保全を前提に、最小のライフサイクルコストでサービス水準を確保・点検・診断等のデータ蓄積や共有を進め、個別施設計画へ反映
出典:社整審道路分科会建議(平成29年8月)
②新技術の導入等による長寿命化・コスト縮減・技術基準類の検討・充実や、ICTモニタリング・非破壊検査等の新技術の現場導入を推進・民間技術の開発・導入を促すための評価システム等の環境整備
③過積載撲滅に向けた取組の強化
④集約化・撤去による管理施設数の削減
⑤適切な予算等の確保
⑥地方への国による技術支援の充実
(係数1)×(荷重1)+ (係数2)×(荷重2) +・・・
(限界状態)
(係数1)×(係数2)×・・・・<
(荷重1)+(荷重2)+・・・
(荷重組合せによる割増係数)
(降伏応力度)
(安全率)<
交通実態等に応じた照査法の検討~ 部分係数設計法の導入 ~
新設構造物の設計
既設設構造物への適用(部分係数設計法)
許容応力度設計法(H24)
部分係数設計法(H29)
標準的な構造・材料を前提に、荷重や調査・施工管理によらず、一律の安全余裕度を設定。
多様な構造・材料を活用できるよう、荷重特性や構造・材料の信頼性、解析精度等に応じて複数の安全係数を導入
・100年に一度の断面力を与える荷重・交通状況は2,3種類
・標準的な施工法による強度のばらつき・解析、調査精度に応じた係数
・供用年数、交通実態に応じた照査用荷重の設定
・実構造物で確認した材料強度の活用
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限界状態を考慮した鋼橋の補修・補強設計法
あて板
鋼I桁
被補修補強材、補修補強材ともに降伏しないように設計→補修補強材には余裕があり、非合理的な設計となる可能性
【H24道示】 許容応力度設計法(材料を降伏させない設計)
ε
死荷重分を除く曲げモーメント
活荷重載荷時
Φ
A
B補修補強材σ
被補修補強材(既設部材)σ
ε
降伏点
降伏点
A(死荷重のみ)
B(死荷重+活荷重)
A(死荷重のみ)
B(死荷重+活荷重)
ムダ
ムダ
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限界状態を考慮した鋼橋の補修・補強設計法
あて板
鋼I桁
補修補強材σ
ε
被補修補強材(既設部材)σ
ε
降伏点
降伏点
A(死荷重のみ)
B(死荷重+活荷重)
A(死荷重のみ)
B(死荷重+活荷重)
死荷重分を除く曲げモーメント
活荷重載荷時
Φ
A
B
【H29道示】 限界状態設計法(部材を降伏させない設計)
→合理的な設計となる可能性
道路橋の耐久性向上のための構造細目や仕様
新たに求められる構造細目や仕様の例道路橋の耐久性向上のための構造細目や仕様に関する共同研究
(建コン協、橋建協、PC建協)
1.道路橋定期点検データに基づく構造細目や仕様へのフィードバック事項に関する検討
2.道路橋(鋼・コンクリート)の新たに望まれる構造細目や仕様に関する検討
構造細目や仕様の確立
道路橋の設計基準へ反映
付属物の設置位置
点検性
更新可能な構造
維持管理性
桁下面の狭隘部
サイドブロックの亀裂
鋼箱桁内部の滞水、および腐食
水抜き孔の大きさ、
数、箇所
耐久性
構造細目や仕様を整理、標準化することで耐久性の向上をはかることができる。
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道路橋定期点検要領(全道路橋)
道路橋の定期点検:法に基づく点検と直轄点検
五年に一回の頻度
近接目視を基本
部材単位の健全性診断Ⅰ,Ⅱ,Ⅲ,Ⅳ
道路橋毎の健全性診断Ⅰ,Ⅱ,Ⅲ,Ⅳ
診断結果の記録と保存
橋梁定期点検要領(直轄管理橋)
五年に一回の頻度
近接目視を基本
部材単位の健全性診断Ⅰ,Ⅱ,Ⅲ,Ⅳ
道路橋毎の健全性診断Ⅰ,Ⅱ,Ⅲ,Ⅳ
診断結果の記録と保存
基礎データの取得
損傷程度の評価要素単位26種類の損傷種類毎a,b,c,d,e
対策区分の判定部材単位26種類の損傷種類毎A,B,C1,C2,E1,E2,M,S1,S2
その他点検結果の記録と保存
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トンネルの変状
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①【外力】
トンネルに作用する外力によるもの
圧ざ、ひび割れ、変形等
(原因:緩み土圧、偏土圧等)
② 【材質劣化】
トンネル覆工のコンクリート等の材質劣化によるもの
ひび割れ、うき、はく離等
(原因:中性化、ASR等)
③ 【漏水】
漏水自体が問題になるもの
漏水、土砂流入等
(原因:ひび割れ等+地下水)
トンネルの変状例:付属物
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変状写真 概 要
【取付金具】照明取付金具の腐食・欠損
落下の危険性がある
【ボルト・ナット】ボルト・ナットの腐食
落下の危険性がある
【照明本体取付部】
照明取付金具の腐食・遊離石灰の付着
落下の危険性がある
トンネルの定期点検結果の分析
トンネルの変状発生に影響を及ぼす要因・施工方法(矢板工法かNATMか)・トンネル周辺地山の地質(地山等級)・建設後の経過年数
→
変状が発生し易いトンネル条件を明らかにすることにより、点検の合理化を図る
28
30
20%
33%
48%
75%
72%
84%
82%
78%
0% 20% 40% 60% 80% 100%
~5年
6年~10年
11年~20年
21年~30年(NATM)
21年~30年…
31年~40年
41年~50年
51年~
経過年数スパン数割合(経過年数別)
Ⅳ Ⅲ Ⅱa Ⅱb Ⅰ
NAT
M矢板
トンネル変状の発生状況
トンネルのはく落防止対策工の選定
・変状トンネルの対策は,外力対策,はく落防止対策,漏水対策に分類されるが,はく落防止対策の採用頻度が高い
・はく落防止対策の主なものは,金網・ネット工,ひび割れ注入工,あて板工
(シ-ト系,パネル系,形鋼系)であるが,どの対策工を選定するかは個別に判断
・はく落防止対策の中には,対策実施後,比較的短い期間で対策工に変状が
現れるものが見られる
→はく落防止対策工の耐久性を評価するとともに,変状の状態(ひび割れ,
漏水等)に応じた選定方法の確立が必要
繊維シート系当て板工はく落防止対策工の採用内訳
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道路土工構造物
擁壁
盛土 ボックスカルバート
法枠 ロックシェッド
盛土(補強土壁)
●切土・斜面安定施設
●盛土 ●カルバート
アーチカルバート
斜面安定施設切土
切土(法面保護)
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H26定期点検要領で対象
大型
カルバートの主要損傷の割合
35%
14%15%
7%
8%
5%8%
8%
カルバートの主要損傷の割合
ひび割れ・クラック・亀裂
漏水・滴水・湧水等
遊離石灰
浮き
剥離・剥落
錆・腐食
露出
欠損・破損・欠落・衝突痕
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シェッド 鋼部材の腐食
谷側柱基部においては、雨水や土砂堆積による湿潤状態となりやすい。
特に山間部においては、凍結防止剤の散布により腐食する傾向にある。
また、海岸部では谷側柱だけでなく、全体的に腐食が進行する傾向にある。
谷側柱基部 頂版
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熊本地震による道路構造物の被害
39第8回道路技術小委員会(2017年6月30日)資料
事象緊急輸送
道路緊急輸送道路以外
計
道路土工構造物の損傷
46(50%)
47(50%) 93
斜 面崩 壊
40(51%)
38(49%) 78
切 土のり面崩 壊
4(44%)
5(56%) 9
盛 土崩 壊
2(33%)
4(67%) 6
舗装の損傷要因
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20トン車の場合、その軸重は乗用車の20倍であるが、舗装へのダメージは16万倍
交通量ベース
舗装へのダメージ
割合 (ほぼ100%)
(普通車:9割) (大型車:1割)
■舗装へのダメージは、軸重の4乗で影響 ■アスファルト舗装では大型車交通量が多いほど損傷が早く進行
出典:国土交通省データ
大型車交通量と舗装損傷の関係
1,000台・方向以上は早期に損傷
1,000台・方向以下は損傷進行が緩やか
100台・方向未満
100台・方向以上
250台・方向以上
1,000台・方向以上
3,000台・方向以上
(図-2)
30年以上修繕未実施(一部ひび割れは見られるものの健全)
40年以上修繕未実施(ひび割れもなく健全)
(参考)
生活道路等は、大型車交通量が少ないため、占用工事の掘り返し等が無ければ長期間経過 しても健全
多摩ニュータウン(東京都) 米子ニュータウン(鳥取県)
(写真-1) (写真-2)
これからの舗装のマネジメントの方針
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特性分類
主な道路(イメージ)
マネジメントのあり方
・高規格幹線道路 等(高速走行など求められるサービス水準が高い道路)
A・表層等の適時修繕による路盤以下の層の保護を目的に、点検を実施
・走行性、快適性を重視した路面管理の実施
・損傷の進行が早い道路等(例えば、大型車交通量が多い道路)
B
・表層等の適時修繕による路盤以下の層の保護を目的に、点検を実施
・修繕サイクルを長くしていくため、早期劣化箇所の原因把握と適切な措置※3 や、使用目標年
数を意識した管理の実施
・走行性、快適性を考慮した路面管理の実施
・損傷の進行が緩やかな道路 等(例えば、大型車交通量が少ない道路)
C ・基本的に長寿命であることから、各道路管理者が点検サイクルを定めて適切に管理
・生活道路 等(損傷の進行が極めて遅く占用工事等の影響が無ければ長寿命)
D ・巡視の機会を通じた路面管理
高速道路
直轄国道
政令市一般市道
補助国道・県道
市町村道 ※2:分類毎の道路選定は各道路管理者が決定
※3:路盤の打ち換え、路盤の強化など
舗装点検要領(平成28年10月)
[路盤等の健全性]○路上規制を伴わずに、路盤等の健全性を把握する技術
⇒走行しながら規制無しで、
舗装のたわみ量を計測する
技術(MWD※)
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舗装点検技術の開発
[路面性状]○ 路面性状を簡易に安価で計測・分析・記録する技術
⇒一般車両にレーザスキャナ、カメラ等を取り付け、
路面性状(ひび割れ、わだち掘れ、IRI)を計測
○スマートフォンにより路面性状を簡易に計測・分析・
記録する技術
⇒加速度、GPS情報、動画などを
計測することでIRIを把握
予防保全型管理へ
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路盤も含め修繕した場合 打ち換え工法施工量:約150㎡/日 費用:約18千円/㎡
費用は3倍以上、工事期間は4倍
表層だけの修繕の場合 切削オーバーレイ施工量:約600㎡/日 費用:約5千円/㎡
表層が損傷している状況
タイヤ
表層・基層
路盤
路床
ポンピングによりひび割れから路盤の細粒分が流出
コア抜きを見ると、路盤の細粒分が流出し、表層・基層と路盤との間に隙間が生じている
路盤の細粒分がポンピングにより流出し、砕石が集まっている状況
路盤が損傷している状況
表面のひび割れから雨水が進入
路盤への雨水進入による支持力低下
路盤の損傷を防ぐ予防保全型管理
早期劣化の解消
0
20
40
60
80
100
120
0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50
ひび割れ率
(%)
経年数
ひび割れ率40%を超過する平均年数
早期劣化区間
密粒度舗装
個々の個所における劣化速度にばらつきがあり、補修を頻繁に行う”早期劣化区間”が存在
非健全部 健全部
路面状態、コア採取の様子
現地調査により“早期劣化区間”の実態を把握し、当該区間における構造診断と修繕設計の必要性を確認
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コンクリート舗装の適用性,維持管理手法の検討
〇コンクリート舗装の適用性コンクリート舗装の破損箇所の破損状態、破損原因、交通条件、道路構造条件等に基づくコンクリート舗装の適用性の整理
〇コンクリート舗装の維持管理手法コンクリート舗装の点検・診断手法及び損傷に対する補修工法の適用性の整理
コンクリート舗装の点検項目と損傷程度の評価区分の提案
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横断歩道橋の状況
50
0% 20% 40% 60% 80% 100%
主桁
横桁
床版
柱部、壁部
梁部
隅角部、接合部
基礎
根巻きコンクリート
主桁
上部工との接合部
踏み板
蹴上げ
地覆
橋台
支承本体
排水受け
配水管
排水樋
高欄
照明施設
舗装
上部工
下部工
階段部
その他
A B M S1 S2 C1 C2 E1 E2
架設経過年毎のストック数
26年度、27年度に点検が実
施された国管理横断歩道橋、約1000橋
部材別の対策区分の割合
維持管理の高度化・効率化のために
57
新技術の活用促進 現場の技術力向上
管理の高度化・老朽化対策・維持の効率化・新技術活用
・研修、資格取得・OJT、直営業務(点検等)・OB活用・国総研・土研との連携・メンテナンス技術集団
・技術開発促進・新技術評価方法確立・発注者支援・NETIS改革
よそ者わか者ばか者