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欧州超短期派遣プログラム(英国) 報告書 2017 3/73/17 東京工業大学 グローバル人材育成推進支援室

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欧州超短期派遣プログラム(英国)

報告書

2017 3/7~3/17

東京工業大学

グローバル人材育成推進支援室

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目次

1 英国派遣プログラムの目的 ……………………………………………………………… 3 2 研修日程と参加学生の紹介………………………………………………………………… 4 2-1 派遣プログラム日程…………………………………………………………………… 4 2-2 参加学生の紹介………………………………………………………………………… 5 3 英国の概要…………………………………………………………………………………… 6 4 訪問先の詳細………………………………………………………………………………… 8

4-1 ヨーク大学について…………………………………………………………………… 8 4-1-1 キャンパスの概要………………………………………………………………… 8 4-1-2 講義、研究室訪問の概要…………………………………………………… 9 4-1-3 学生交流について……………………………………………………………… 15 4-1-4 ホームステイについて………………………………………………………… 16

4-2 インペリアルカレッジについて…………………………………………………… 17 4-2-1 キャンパスの概要……………………………………………………………… 17 4-2-2 大学で受けた説明について…………………………………………………… 17 4-2-3 研究室訪問概要……………………………………………………………… 18 4-2-4 その他…………………………………………………………………………… 18

4-3 イギリス国立物理学研究所(NPL)について…………………………………… 20 4-3-1 NPL 活動紹介…………………………………………………………………… 20 4-3-2 東工大からの紹介……………………………………………………………… 20 4-3-3 NPL の研究紹介………………………………………………………………… 20 4-3-4 NPL 内の施設紹介………………………………………………………………… 22

4-4 ロンドン大学クイーンメアリー校について……………………………………… 23 4-4-1 キャンパスの概要……………………………………………………………… 23 4-4-2 大学についてのプレゼンテーション………………………………………… 23 4-4-3 その他……………………………………………………………………………… 24

4-5 Hitachi Rail Europe,Ltd について……………………………………………… 26 4-5-1. イギリスの鉄道史……………………………………………………………… 26 4-5-2. Hitachi Rail Europe Darlington 車両工場見学概要…………………… 26 4-5-3. その他…………………………………………………………………………… 28

4-6 イギリスの博物館について………………………………………………………… 29 4-6-1 イギリス国立鉄道博物館……………………………………………………… 29 4-6-2 大英博物館……………………………………………………………………… 29 4-6-3 ロンドン科学博物館…………………………………………………………… 30

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5 その他………………………………………………………………………………………… 32 5-1 食事について……………………………………………………………………… 32 5-2 ロンドンでの観光について……………………………………………………… 34 5-3 ミュージカルについて………………………………………………………… 37 5-4 その他…………………………………………………………………………………… 39

6 所感…………………………………………………………………………………………… 40

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1. 英国派遣プログラムの目的 (担当:宮崎)

本プログラムは、グローバル理工人育成コースの下記の4つのプログラムのうち、4)実

践型海外派遣プログラムの一環として実施された。 1) 国際意識醸成プログラム:国際的な視点から多面的に考えられる能力、グローバルな

活躍への意欲を養う。

2) 英語力・コミュニケーション力強化プログラム:海外の大学等で勉学するのに必要な

英語力・コミュニケーション力を養う。 3) 学技術を用いた国際協力実践プログラム:国や文化の違いを越えて協働できる能力や

複合的な課題について、制約条件を考慮しつつ本質を見極めて解決策を提示できる能

力を養う。

4) 実践型海外派遣プログラム:自らの専門性を基礎として、海外での危機管理も含めて

主体的に行動できる能力を養う。 グローバル理工人育成コースにおける4)の実践型海外派遣プログラムのねらいは、1) ~3)のプログラム履修後に学生を海外に派遣し、現在まで育成された能力を活用し、自 身の今後の研究やキャリア形成の参考となるような経験を積むことであり、本コースの集 大成として位置づけられている。 実践型海外派遣プログラムは、下記の3つの能力の育成を目指すものである。 1)自らの専門性を基礎として、異なる環境においても生活でき、業務をこなす力を持ち、

窮地を乗り切るための判断力、危機管理能力を含めて自らの意思で行動するための基

礎的な能力を身につけている。 2)異文化理解が進み、相手の考えを理解して自分の考えを説明できるコミュニケーショ

ン能力、語学力、表現力を身につけている。 3)海外の様々な場において、実践的能力と科学技術者としての倫理を身に着け、チーム

ワークと協調性を実践し、課題発見・問題解決能力を発揮して、新興国における科学

技術分野で活躍するための基礎的な能力を身につけている。

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2. 研修日程と参加学生の紹介(担当:宮崎、古谷)

2-1. 派遣プログラム日程 (担当:宮崎)

日にち 行動予定 訪問内容 宿泊先

3/7(火)

12:35 成田発→16:25 ロンドン着

(BA006)

ロンドン→ヨーク(バス)

ヨーク大学手配による

ホームステイ

3/8(水) ヨーク大学

University of York

1、キャンパスツアー

2、研究室訪問 その1

3、ヨーク大学紹介

4、東工大紹介

3/9(木)

日立鉄道製作所(Hitachi Rail Europe Ltd.)

UTC(University Technical Colleges)

1、工場見学

2、日立について質疑応答

3、UTCキャンパスツアー

ヨークシティーツアー

3/10(金) ヨーク大学 1、研究室訪問 その2

2、学生交流

3/11(土)

イギリス国立鉄道博物館

National Railway Museum

13:31 ヨーク→15:42 ロンドン(電車)

ロンドン(ホテル泊)

3/12(日) 自由行動

3/13(月) ロンドン大学クイーンメアリー校

Queen Mary University of London

1、大学紹介

2、研究室訪問

3、キャンパスツアー

3/14(火) インペリアルカレッジ

Imperial College London

1、研究室訪問

2、大学紹介

3、キャンパスツアー

3/15(水) イギリス国立物理学研究所

National Physical Laboratory

1、NPL活動紹介

2、東工大の紹介

3、研究室訪問

4、研究紹介

5、研究所内ツアー

3/16(木) 13:50 ロンドン発 (BA005) 機内泊

3/17(金) 10:35 成田着

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2-2 参加学生の紹介 (担当:古谷) 参加学生

1. 制御システム工学科 4 年 大島 健太郎

2. 機能知能システム学科 4 年 山崎 宗世

3. 社会工学科 3 年 金澤 佑香(サブリーダー)

4. 建築学科 3 年 古谷 めぶき

5. 電気電子工学科 3 年 井上 雅貴(リーダー)

6. 機械科学科 2 年 稲吉 裕俊

7. 高分子工学科 2 年 岡本 奈美

8. 生命科学科 2 年 熊谷 菜々

9. 無機材料工学科 2 年 嶋村 優太

10. 生命科学科 2 年 宮木 詩織

11. 生命工学科 2 年 吉田 有沙(エディター)

12. 7類 1 年 宮崎 翔

引率者

環境・社会理工学院 准教授

Tom Hope

物質理工学院 准教授

小林 郁夫

グローバル人材育成推進支援室 事務支援員

田家 美和子

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3. 英国の概要(担当:古谷)

基本情報

・人口 6511万人(2015年)

・面積 24.3万 km2

・政治 立憲君主制

・通貨 スターリング・ポンド

・時差 日本時間-9時間

・首都 ロンドン

イギリスはイングランド、ウェールズ、スコッ

トランド(グレートブリテン島の大部分)と北ア

イルランド(アイルランド島の北東部 6 分の 1)

の 4つの地域から構成されている。面積自体は日本の約 64%で、そこに日本の人口の約半分

の人々が住んでいることになる。在留日本人は 67148 人と世界 4 位であり、日本人に人気

の国の 1つといえるだろう。

今回訪れた街はヨークとロンドンである。ヨークはシティウォールと呼ばれる城壁に囲

まれた、中世の街並みの残る歴史ある都市であった。その外周は 1 時間半から 2 時間で回

れてしまうほどの小ささであり、住宅を始め、商業施設やオフィスなどほとんどの建物が

赤れんが造りのかわいらしい街並みが印象的だった。ロンドンと言えばやはりテムズ川に

沿った都会の街並みが象徴的である。川の観光用クルーズなどを利用すると、ずらりと並

ぶ有名建築(ビックベンやロンドンアイなど)や美しい橋が一気に楽しめた。小さい都市

の中に、現代的なおもしろい造形のビルが並ぶ地域や、古くからの荘厳な建物の残る地域、

それらの混合した地域など様々で、東京とは違った楽しさがあったと思う。

宗教

イギリスにおける公式宗教は英国国教会(the Anglican Church)によるキリスト教であ

る。 実際にヨークやロンドンには教会がたくさんあった。16世紀に英国国教会が設立され

るまではローマカトリック教会によってイギリスの宗教は占有・支配されていた。 現在の

イギリスではキリスト教以外にも仏教やイスラム教、ヒンズー教などをも認める他信仰国

家でもある。

ホームステイ先やヨーク大学でのバディーの友人と過ごすうえで、宗教による文化や習

慣の違いは見受けられなかった。むしろ家族や友達を愛する素敵な方々であった。

▲イギリス(上:ヨーク、下:ロンドン)

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政治体制

単一国家と立憲君主制を基本としている。この政治形態はウエストミンスター・システ

ムとも呼ばれる。「国王は君臨すれども統治せず(The King reigns, but does not govern)」

の原則により、国王は実質的な政治権力を保持していない。名目上イギリスの三権(立法

権、行政権、司法権)の源とされるのはイギリス国王であるが、実際には議会(立法権)、

内閣(行政権)、裁判所(司法権)がそれぞれの統治権力を分け合っている。現在の国王は

エリザベス 2世である。

経済

流通貨幣はスターリング・ポンドである。硬貨は初めてイギリスを訪れる者としては見分

けが難しく、店員の方に会計を委ねることになりうるため、どの硬貨がいくらなのか、見

分けをつけられるようにしておくと安心かもしれない。

Brexit(British exit)と呼ばれる EU 離脱を発表後、経済の悪化が不安視されていたが、

国全体の GDP は未だ上昇傾向にある。ただ、ポンド安となるのは日本からの旅行者として

は換金する際にとてもありがたいことであった。換金について、一般的にクレジットカー

ドと現金ではカードの方が為替レートとしては良く、得であった。ほとんどの場面でカー

ドは使えたが、公衆電話やいざというときのために現金もいくらかは必要であろう。

物価は日本より高い印象である。滞在中に日本にもあるチェーン店で食事をしたが、日

本より値段が高いと感じた。

交通

ヨークではバスが、ロンドンでは地下鉄が発達している。ロンドン地下鉄はオイスター

カードというチャージ磁気 IC カード(日本で言う Suika や Pasmo)で利用できる。バスは

2階建てが一般的であり、赤い色のロンドンバスは有名である。地下鉄は路線にもよるが日

本のものより狭く感じた。運行ダイヤが乱れていることはあまりなかった。 また、ロンドンにはブラック・キャブと呼ばれるタクシーが走っている。このタクシー

の運転手になるには世界一難しいと言われる試験を何年もかけて合格する必要がある。料

金は割高だが、比較的安全に利用できると言われている。

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4. 訪問先の詳細

4-1ヨーク大学について (担当:井上、宮木)

4-1-1 キャンパスの概要(担当:宮木)

ヨーク大学はイングランド北東の都市・ヨークにある大学で、広大な土地と豊かな自然

に恵まれた大学である。大学のマスコットキャラクターにもなっているアヒルやイギリス

でも最大規模の人工池、偶然出会ったリスなど、ここは巨大な自然公園かと錯覚させられ

るほどのびのびとした場所であった。また建物も凝っていて、歴史を感じさせるものから

今風のものまで、とにかく絵になる。

▲アヒルの群れ ▲巨大な人工池 ▲野生のリス ヨーク大学には理系と文系合わせて 30 を超える学部・学科・コースがあり、生徒数はお

よそ 16000 人である。これらの学生は 9 つのカレッジのいずれかに属しており、その中に

ある寮(自宅から通学している人もいた。全員が入寮するわけではない)や食堂、またそ

こで作られる人間関係などで大学生活の基盤ともいえる部分を構成している。 ヨーク大学は西キャンパスと東キャンパスに分かれており、キャンパスツアーでは上で

述べたような豊かな自然や美しい建物などを見ながら西キャンパス内を一周見て回った。

いくつか写真で紹介する。

▲大学内の道路 ▲Heslington Hall

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▲街に行くバス ▲奥に購買部やスーパーが見える これは余談であるが、私のホームステイ先は大学やヨークの町から近く、徒歩で行き来

することが多かった。そのため、数回ほど道に迷うことになったが、地図とにらめっこし

ているとヨークの人のほうから道を教えると声をかけてもらったり、夜遅いと途中まで一

緒に行ってくれたりした。治安が良く、親切で温かい所であった。

▲大学への通学路

4-1-2 講義、研究室訪問の概要

3/8

9:00~9:30 Studying at York orientation(担当:宮木)

ヨーク大学初日、まずは 9 つあるカレッジのうちの一つ、Derwent College で大学の国

際化についてお仕事をされている Hilary Layton さんからお話を伺った。 ヨーク大学はイギリス国内で行われた大学ランキングに 10 位以内に入っており、様々な

賞もとっている優れた大学である。4-1-1 キャンパスの概要でも述べたが、生徒数はおよ

そ 16000 人で、そのうち 20%以上が留学生である。大学内を歩いていると様々な人種の人

を見かけたし、大学に付けていただいたバディー(詳しくは 4-1-3 学生交流についてで述

べる)も中国人と日本人のハーフや韓国人であったりした。残念ながら日本人学生はあま

りいないようである。 余談であるが、私たちの運が良かったのかヨークにいる間ほとんど雨は降らなかった。

キャンパスでの移動は歩きだったので、大変助かった。

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▲留学センターの方とともに

10:10~11:00 Tour of Nanocentre(担当:宮木)

Nanocentre はヨーク大学内にある建物で、名前の通り物質をナノ単位で研究するところ

である。物理や化学などの知識を生かし、様々な分野にまたがった研究がなされている。

ナノ構造などについて研究している Edward Boyes 教授に特別講義をしていただいた後、

施設内を見せていただいた。 講義はナノ構造についての導入からはじまり、普段どのような研究

をしているのかなどを教えていただいた。講義中に金のナノ粒子の写

真を見せていただいたのだが、それを観察するための巨大な顕微鏡

(左の写真)を施設内見学で見せてもらった。大きさの比較対象とな

るものがないため分かりづらいが、高さは 2.5mくらいあった(と思

う)。これは解像度の大変優れている透過型電子顕微鏡(通称 TEM)

とよばれる電子顕微鏡で、原理を簡単に説明すると観察物にあてた電

子線の透過の仕方からその構造をみるという仕組みである。

11:15~12:00 Visit Physics(担当:嶋村)

物理学専攻の建物を訪問した際には、放射性元素やプラズマの研究について説明してい

ただいた。不安定な放射性物質の生成は加速器を用いて行われる。日本の理化学研究所に

は、世界でも有数の加速器があり、ヨーク大学の研究者の方々も訪れるようだ。世界から

研究者を呼び込める実験施設が日本にあるのは、とても良いことであると感じた。物理学

科に属する、ある材料系の研究室では東北大学と連携して、燃料電池の研究を行っている

とのことだった。日本の大学との共同研究のお話を伺い、ヨーク大学の研究室が身近に感

じられた。

▲TEM

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12:00~13:00 Visit Electronics(担当:井上)

Stephen Smith 博士に Electronics の学科の紹介をしていただいた。私の専門の電気・電

子工学と被る部分も多く、非常に興味深かった。中でも音響を取り扱う専攻があるという

ことが面白かった。 まず演習室を見せてもらった。学生1人につきパソコン、オシロスコープ、ファンクシ

ョンジェネレータなどが用意されていた。学生実験で私も使用したことがある馴染みのあ

る機器がそれぞれ準備されていたが、東工大では複数人のグループで一緒に実験をする方

式を取っているので、これだけの機器はない。下の写真でも分かるが、大きな部屋にたく

さんの機器があることにとても驚いた。

▲演習室の様子 次に音響工学の実験のために使われていると思われる防音室にも案内していただいた。

中にはソファや机、壁にはディスプレイが設置されていて、ディスプレイには映画のよう

なものが映されていた。まるで吹き替えを録音する部屋のようで、とても新鮮だった。 余談であるが、Electronics の教室の一部はプレハブのような平屋の建物にあった。もち

ろん、立派な建物にも Electronics の教室や実験室はあったが、なぜ平屋の建物に教室が入

っているのかは最後まで謎だった。

14:00~14:45 Tour of campus

この内容に関しては 4-1-1 キャンパスの概要で述べた。

14:45~15:45 Meeting with York students

この内容に関しては 4-1-3 学生交流についてで述べる。

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3/9

16:00~17:30 York city tour(担当:宮木)

ヨーク大学の学生、ローラさんにヨークの中心街、city centre を案内してもらった。 ヨークは歴史のある町で、昔、敵から街を守るために築かれた城壁が今もなお街をぐるり

と囲んでいる。昔ながらのレンガ造りの建物やいくつもの細い路地があり、ただ歩いてい

るだけでも街の雰囲気を楽しむことができた。この中心街にはハリーポッターに出てくる

ダイアゴン横丁のモデルとなったシャンブルズという通りがあり、マニア必見である。

▲路地への道 ▲シャンブルズ 格式高い大聖堂「ヨーク・ミンスター」は世界遺産にもなっており、その荘厳さに圧倒

された。時間の関係上、塔に上ることはできなかったが、別日に塔に上ったメンバー曰く、

長く急ならせん階段に目が回りそうになったそうだ。上るには体力と三半規管が試される

ようである。

▲ヨーク・ミンスター ちなみにこのあと、メンバーのうちの一部は本場のアフタヌーンティーが楽しめると噂

の Bettys を訪れた。3段に積まれたお皿に、ケーキやサンドイッチ、スコーンが載せられ、

それを紅茶とともにいただいた。甘いものが苦手な人には少々つらいかもしれないが、せ

っかくヨークを訪れたなら Let’s try!!である。

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▲アフタヌーンティーセット ▲持ち帰り用のかわいいお菓子 3/10

9:00~10:00 Visit Chemistry(担当:岡本)

ヨーク大学の化学科の教授から、Department of Chemistry の研究やその成果について

の説明を聞いた。物理化学、有機化学、無機化学、分析化学、生物化学など主要なものに

加えて Green Chemistry という部門があることが興味深かった。Green Chemistry とは、

地球の環境保全を化学の観点から考える部門である。説明してくださった教授が Green Chemistry を専門にしていることもあり、Green Chemistry の建物や学生の実験室などを

見学させてもらった。建物は外観に木目模様が使われている他、内装も緑を基調にしてい

たので、学問のコンセプトが建物からも伝わってくるなと感じた。学生実験室はかなり広

く、列ごとに違う実験を行っていた。学生が楽しそうに実験していたのが印象的である。 他の Chemistry の建物も内装と外装が化学をイメージさせるものであり、化学に対する愛

をとても感じた。

▲化学科らしい装飾(左:内装、右:外装)

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10:15~11:15 Visit Biology(担当:吉田)

日本の大学を出た後、カナダを経てイギリス(ヨーク)へと移ってこられた清水先生と、

清水先生の元で研究している博士の学生に Biology の研究棟を紹介していただいた。まず研

究棟のエントランスでコーヒーの臭いが漂っていたのが印象的である。朝、紅茶やコーヒ

ーを飲んでから研究室に入ることも多いそうだ。とてもイギリスらしい習慣といえる。ラ

ボツアー中に、今回ツアーをしてくださった博士の学生は清水先生の元だけでなく、Green Chemistry の教授にも教えてもらっていると伺った。Biology は今や Physics や Chemistryの分野とも大きく関連しているのでこのように協力しているそうだ。この制度は色んな分

野の事を学べ、視野を大きく持つことができるのでいい制度だなと感じた。 また、色んな研究室を訪問した。有機化学系の実験室や生物化学系の実験室を回ったが、

実験設備自体は東工大とさほど変わらない印象を受けた。留学のメンバーと、東工大では

親しみのあるキムワイプが果たして海外にもあるかと毎実験室毎に探していたが、結局見

つからなかった。Biology 専攻ではないメンバーも全体的に楽しく、そして有意義に研究室

見学をしていたように思われる。 最後に、今年の2月(1か月前)にできたばかりの新しい Biology の建物に入った。まず

1階は大きなディスカッションルームになっていた。ヨーク大学ではチューター制を取っ

ていて、学生数人に対し博士が1人つくというシステムがあるそうだ。そのグループで討

論するときもこの教室を使うと言っていた。このような教育が、研究者としての能力につ

ながっていくのかと思い感動した。また、学生実験室もあった。きれいなのはもちろん、

東工大より実験室そのものが大きかった。実験室には大きな自習室が隣接しており、試験

前の学生が勉強していた。 ▲Biology 棟の研究室の様子 ▲学生実験室にはこんな遊び心も…

11:30~15:30 Individual department experience visit with buddies

この内容に関しては 4-1-3 学生交流についてで述べる。

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15:45~17:00 Reflections on the visit(担当:宮木) ヨーク大学では最後に、この日バディーと何をしたか、ヨーク大学での経験のハイライ

トを一人ひとり英語で発表した。バディーとの活動内容やヨーク大学での経験は 4-1-3 学

生交流についてで詳しく述べる。 この時間や他の発表などの時間の時に感じたのだが、イギリスではプレゼンを行うこと

や互いの意見を聞く・交換し合うということが日常的なこととしてとらえられているよう

だ。日本ではそういう場はより公的で緊張した雰囲気になることが多いが、ヨークではケ

ーキを食べコーヒーを飲みながら行われ、気楽な雰囲気の中行われた。

4-1-3 学生交流について(担当:井上)

私がヨーク大学滞在期間中で最も楽しみにしていたのは、ヨーク大学の学生との交流の

時間であった。自分とは異なるバックグラウンドを持ち、日本とは全く違った環境で勉強

している学生と話をして、友達になれるというのはとても興味深く、力を入れたいと思っ

ていたからだ。 東工大の学生 1 人につき、ヨーク大学の学生 1 人がバディーとしてペアが作られていた。

バディーには中国人やスウェーデン人などの留学生が多く、イギリス人の割合は思ってい

たより低かった。中にはイギリスで生まれ育った、母親が日本人のハーフの学生もいた。

日本文化やアニメーションに関心がある学生が集められていたため、コミュニケーション

は取りやすかった。プレゼンをする時間が設けられており、先に私たちが東工大や日本文

化の紹介をした。場を和ませられるようなプレゼンを心がけた。内容としては日本のデー

ト習慣をテーマにして、日本のお祭りの文化や東京の観光スポットの魅力を紹介した。ヨ

ーク大学の学生は、サークル活動や授業の時間割を紹介してくれて、大学でのリアルな生

活を知ることができた。 ヨーク大学でのプログラムの最終日には、午後の時間をバディーとともに過ごした。私

のバディーは授業があったので、一緒に制御工学の授業を受けた。メンバーの中には、バ

ディーの授業がなく、一緒にヨークシティーまで観光に行った人もいた。それぞれが異な

るヨーク大学の生活を体験することができたので良かったと思う。約4時間バディーと2

人で行動し、コミュニケーションを取るのに苦労したが、とてもいい経験になったと思う。

この学生交流を通じて、ヨーク大学での学生生活、ヨークの街の歴史に触れることができ、

その魅力を多く知ることができたのは大きな収穫である。

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▲バディーと派遣メンバー(一部)集合写真 4-1-4 ホームステイについて(担当:井上)

ヨーク滞在中はホームステイをした。ヨーク大学にホームステイ先は決定していただき、

事前に、個人情報や「犬や猫がステイ先にいても気にしないか」や「ホストファミリーが

喫煙者でも気にしないか」などの質問に回答し、それらの回答に適当なステイ先が選ばれ

た。 ステイ先は渡航の 1 週間ほど前に確定し、連絡がきた。ホストファミリーからのメール

には写真付きのホストもいたためホストファミリーの雰囲気が少し分かり、不安はある程

度取り除かれた。学生 1 人もしくは 2 人につき、1 つのホームステイ先が割り当てられてい

て、家族構成は、子供が家を離れて住むようになった老夫婦や 30 代の若い夫婦、独身者な

ど様々だった。中には、中東の国から来たターバンを巻いた留学生と一緒にホームステイ

していたメンバーもいて、ステイ先によって環境は全く違うものであったようだ。私は他

のメンバーと 2 人で 1 つのステイ先に泊まっており、他国や日本からの別の留学生はいな

かった。部屋は1人に1部屋ずつ与えられた。インターネットの環境も整っていたため不

便に感じることはなかった。犬や猫を飼っているホームステイ先も少なくないようで、私

がお世話になった家には猫が 1 匹いた。 ヨーク大学のプログラムは夕方で終わり、ホストファミリーが車で迎えに来てくれる。

ホストファミリーによってはそのあとショッピングモールに連れて行ってくれたり、家の

近所を散歩しながら紹介してくれたりした家庭もあった。ステイ先ごとにフリータイムを

楽しんでいた様子である。私の場合はホストファミリーと家の近くを散歩して、街を紹介

してもらった。キットカットを作っている Nestle の工場やヨークで一番大きい病院があっ

た。このフリータイムもホストファミリーが誘ってくれる場合もあれば、私たちがホスト

ファミリーに声をかける場合もある。ホストファミリーと交流をしたいのであれば、勇気

を出してこちらから声をかけることが重要だと思った。 どのホストファミリーもとても友好的で、みなホームステイを満喫していた様子であっ

た。私は今回、初めてのホームステイ経験でわからないことが多く、知らない人の家に泊

まるということでかなり緊張していたが、心配していたようなことは起こらず、100%楽し

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むことができた。 4-2インペリアルカレッジについて (担当:金澤、嶋村)

4-2-1 キャンパスの概要(担当:嶋村)

インペリアル・カレッジ・ロンドン(Imperial College London,以下 ICL)はロンドンに

キャンパスを有するイギリスの公立大学である。創立は 1907 年であり、理系に特化した大

学として知られている。世界大学ランキングは8位である(THE、2016-17)。卒業生のノ

ーベル賞受賞者は15人、フィールズ賞受賞者は2人である。Business School, Medicine, Natural Sciences, Engineering の四つの学部から構成されている。学生数は学部生 9000人、大学院生 7500 人で男女比は 13:7 である。キャンパス内を見渡すと、理系大学である

にもかかわらず、東工大より明らかに女性の割合が多い印象を受けた。また、留学生は全

学生の 43%であり、大きな割合を占めている。キャンパスツアーで学内を案内してくださ

ったのもアジア系の学生であった。世界各国から学生が集まっている。今回はサウスケン

ジントンに位置するメインキャンパスを訪問した。周辺にはロンドン自然史博物館、ヴィ

クトリア&アルバート美術館、科学博物館などがあり観光客の姿も目立っていた。

▲メインエントランス ▲ロンドン自然史博物館

4-2-2 大学で受けた説明について(担当:金澤)

ICL、留学についての説明を担当の方がしてくださった。ICL のキャンパスは、私達が訪

れた South Kensington がメインキャンパスで、他にも Hammersmith や White City、Charing Cross などに計9つある。学問を Engineering と Natural Sciences と Medicineに分けて、それぞれを説明してくださった。特に印象的だったのは Medicine だ。医学コー

スはヨーロッパ最大規模を誇る。Biomedical Engineering や Medical Science など幅広い

分野を選択することができる。ロンドン市内の病院と提携関係にあり、最先端の医療と関

わる実践的なカリキュラムが提供されている。学部は全て合わせると約 30専攻あり、コー

スはさらに細かく分かれている。また、経済学専攻の私にとって興味深かったのは、

Imperial College Business School だ。2004 年に開設されたばかりで、1年間で経済学・会

計学・経営戦略論・組織行動論など、現場で必要不可欠な教養を学ぶことができる。日本

では大学が開設したビジネススクールはあまりメジャーではないので、トップレベルの教

育を受けることができる場を増やしてほしいと思った。

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留学生に対するサポートも紹介してくださった。International student support team と

いう組織が、ビザや渡英、生活で生じた問題のアドバイスをくれる。また ICL には寮があ

り、初年度1年間は入寮が保証されているそうだ。語学に関するサポートも充実していた。

Pre-Sessional English Program というプログラムが組まれ、英語の先生が1対1で会話の

指導をしてくれる授業やリスニングやスピーキングの授業もあった。留学生向けの奨学金

も用意されているが、学費は想像していたよりも高額で、物価の高いロンドンでは生活に

もかなりのお金がかかることが予想されるので、留学は事前によく調べ、充分に検討して

から行うべきだと感じた。

4-2-3 研究室訪問概要(担当:嶋村)

キャンパスツアーの一環として ICL の研究施設を見学させてい

ただいた。東工大の無機材料工学科の研究室、中島・松下研究室

に所属されている磯部先生に引率していただいた。見学したのは

主に材料系の研究施設である。というのも、ICLで研究する研究員

であってもすべての施設に立ち入ることはできない。安全講習を

受け、入室許可を得た施設のみ使用できる、というシステムにな

っているからである。研究員の出入りが激しい ICL ならではのル

ールといえるであろう。ICL に留学するのであれば、一年以上を

磯部先生はおすすめしていた。3か月程度では安全講習に時間を

とられ自身の研究に取り掛かれないこともあるそうだからだ。 ▲実験室

の様子

材料系の研究施設には示差熱分析装置や SEM、電気炉などがあった。これらの装置は東工

大の各研究室にも置かれている。ICL は世界でも有数の理工系大学ではあるが実験装置だ

け見れば東工大とさほど変わらないという印象を受けた。ICL の特徴は世界各国から優秀

な研究者が集まることであり、新たな研究仲間ができる事がここで学ぶ最大のメリットで

あると言える。

4-2-4 その他(担当:金澤)

Lunch Time

昼食は、ICL 構内で食べた。大学内の広場のような場所でマーケットが開催され、多く

の屋台が出店していた。このマーケットは週1で開催され、訪問した日(火曜日)がちょ

うど開催日だった。カレーやピザ、エスニック料理、ケーキ類など、様々な料理店が立ち

並び、人々が行列をなしていた。マーケットで昼食を買い、外の広場で食べた。天気が良

く、気持ちが良かった。広場の中央には Queen’s Tower という高さおよそ 90mのタワーが

あった。South Kensington キャンパスのシンボルで、Queen Victoria の生誕日・戴冠式の

日・結婚式の日などイベントの日に鐘が鳴るそうだ。広場では、私達と同じように昼食を

買って食べている人や、日向ぼっこをしている人、ダンスや歌の練習をしている人など、

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とても賑わっていた。学内には大きな食堂もあり、そちらもお昼時は混雑していた。食堂

にお店がいくつかあり、日替わりのメニューやサラダバーなど、東工大よりも種類が豊富

で羨ましくなった。

▲お昼の屋台の様子 ▲座って昼食を食べる人々の様子

▲Queen’s Tower

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4-3 イギリス国立物理学研究所(NPL)について(担当:稲吉、吉田)

4-3-1 NPL 活動紹介(担当:吉田)

NPL(National Physical Laboratory)は 1900 年に設立されたイギリスの国立物理学研

究所である。NPL は national measurement laboratory と呼ばれているように、「基礎研究」

を行っている施設ではなく材料の構造を調べるなどの「測定」を行っている施設である。

研究として扱っているのは、金属工学、生命工学、材料工学のように幅広い。もともと 1215年のマグナカルタで重さの基準が必要になり、この研究所が設立された。政府からの支援

に基づいて、新しい産業のためと現在生じている諸問題の解決のために活動している。大

学と違うところは企業や公共施設と密接に連携しているところだと Rob Brooks さんは話

していた。Science(科学)と Commerce(商業)を繋げるというように、マーケット性を

重視しているそうだ。

▲NPLの説明の様子 ▲入り口には大きな看板が 4-3-2 東工大からの紹介(担当:稲吉)

メンバーのうち 6人で日本文化や東工大についてのプレゼ

ンを行った。日本文化についてはことわざクイズや写真を

使ったクイズを出題し、東工大については、所在、沿革な

どの概要と現在行われている教育改革について説明した。

NPL の研究者の方にも日本のクイズを楽しんでいただけた

様子だった。また、教育改革のうち大学院の授業を英語化

することについて、外国語で講義を行うと内容について考

える余裕ができないのではないかとおっしゃっていた。

4-3-3 NPL の研究紹介(担当:稲吉、吉田)

1) ラボツアー ①3D 顕微鏡(担当:稲吉)

▲紹介の様子

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まず、3D 顕微鏡を用いた研究を行っている研究室を見学した。この顕微鏡は、観察対象

を 3D グラフィックで表示できるすぐれものだ。3D にする仕組みは、デジタルカメラのオ

ートフォーカスを応用している。遠くから近くまで焦点距離を変化させ、それぞれの焦点

距離の画像を比較してピントが合った距離から、観察対象の 3次元形状を測定している。

実際に 10 ペンスコインを 3D モデル化するデモを見せていただいた。わずかな錆やごみ

まで形状を読み取れていた。また、赤青の 3Dグラスを用いると立体的に観察することがで

きる機能もあった。この顕微鏡での高さの分解能は最小 0.1μmであるという。

個人的には普段使用しているカメラのオートフォーカスも、発想を変えれば 3D スキャナ

になるという発想力に驚いた。意外なところに画期的な発想は潜んでいるものだなと感心

した。

②イオンビーム顕微鏡(担当:吉田) 次にイオンビームでものを削ることで構造を 3D でとらえることのできる顕微鏡を見せ

てもらった。イオンビームを使うため、小さいものでも構造を見ることができる。この顕

微鏡は調査対象がどのような構造をしているかだけでなく、欠陥を調査するのにも使える

そうだ。例えば、金属の表面構造を知るだけでなく、鉄の腐食度合いを調べるのにも使わ

れる。 ③乳がん検診の機械(担当:吉田) 最後に乳がん検診に用いる機械を見せてもらった。従来の乳がん検診は胸を押しつぶす

もので、痛みが伴う。しかし見せてもらった機械は、レーザービームを当てることで胸を

◀イオンビーム顕微鏡

◀ 3D 眼鏡をかけると立体的に見える

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挟むことなく検査できるものだった。また、これは水に濡れても大丈夫な(防水性がある)

機械であると聞いて驚いた。まだ実用化はされていないが、現在病院と協力して今後の実

用化にむけて開発されているとのことだった。見せていただいた機械はピンク色をしてい

て、病院のかたくて怖いイメージを取り去るようなイメージだなと感じた。

▲乳がん検診の機械 ▲上に患者がうつぶせになる仕組み

2) 研究紹介 材料グループの研究についても紹介していただいた。紹介していただいた研究内容は、

画像を用いて構造内の変位や亀裂を調査する技術の研究であった。複数の画像の時間によ

る差分から、速度や変位を検出し、調査対象の物質の状態を判断している。

イギリスには多くのインフラストラクチャーがあるため、保守管理には多大なコストが

かかる。この技術を応用すれば、インフラストラクチャーの管理コストを低減できるとの

ことであった。実際にロンドン市内の橋やトンネルで実証実験を行っているらしい。画像

処理を用いてメンテナンスを自動化するという研究であったが、何 mm 動いたかという正

確な計測を重要視しているようで、ここでも計測を重視する NPLらしさを感じられた。

4-3-4 NPL内の施設紹介(担当:吉田)

研究紹介の後、最後に NPL の有名な建物、ブッシーハウスを見学した。ブッシーハウス

は最初の NPL の施設であり、今は会議などで使われている。今使われている現代的なガラ

ス張りの建物とは大きく違い、レンガ造りの非常に趣深い建物だった。そこには広大な庭

が隣接していて、芝生がふかふかしていた。ニュートンが万有引力を発見したとされるリ

ンゴの木のクローンが今回工事のため見られなかったのが残念である。

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▲ブッシーハウスの正面 ▲隣接した広大な庭

4-4ロンドン大学クイーンメアリー校について (担当:岡本、熊谷)

4-4-1 キャンパスの概要(担当:熊谷)

ロンドン大学クイーンメアリー校(Queen Mary University of London、以下 QMUL)は1882 年創立の Westfield College と 1887 年創立の Queen Mary College が 1989 年に合併

して創立した大学である。University of London を構成する1校であり、学位は University of London から授与される。

QMUL は国外でも非常に名の知れた大学で 20,000 人の学生が在学しており、そのうち

の 7,000 人は外国人留学生である。また、QMUL は人文科学系に強いことで知られている

が、医学・歯学の教育・研究にも力を入れている。医学・歯学部は、イングランド最古の

メディカルスクール、The London Hospital Medical College(1785 年創立)と Barts の愛

称で知られている、St. Bartholomew's Hospital Medical College(1843 年創立)の 2 校を

吸収合併して創設された。2014 年のイギリス政府の調査では、154 機関中国内 9 位にラン

ク付けされ、タイムズ誌による 2016 年の世界大学ランキングにおいては世界 98 位と評価

された。 QMUL には 4 つのキャンパスがあるが、私たちが今回訪問したのはロンドン東部の Mile

End Campus である。ロンドン中心部からは比較的近いが中心部から比べると落ち着いた

雰囲気で、2 つの最寄りの駅から近く通いやすい大学である。

4-4-2 大学についてのプレゼンテーション(担当:岡本)

QMUL の概要を担当の方に伺った。まず、QMUL はイギリス国内のランキングで上位で

あることを強調していた。このランキングの 1 位はインペリアルカレッジだが、インペリ

アルカレッジはいつも雨で QMUL はいつも晴れていると冗談を言っており、面白かった。

また 4 つのキャンパスがロンドンのどこにあるかを地図で見せていただいた。実際にロン

ドンの中心部に近いところで勉強できると分かり、立地のよさを知ることができた。イギ

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リスではQMULのように歴史のある大学とヨーク大学のようにまだ歴史の浅い大学が大き

く分かれていることを教えてくださり、QMUL が歴史と伝統のある古い大学であることを

誇りに思っていることが伝わってきた。 次に、QMUL の学部の紹介があった。担当の方が私たちの東工大での専攻に合わせた紹

介をしてくださった。例えば、私は東工大で工学部高分子工学科に所属しているが、QMULなら Department of Chemistry か Department of Materials のどちらでも似たようなこと

が勉強できると教えてもらった。このようにひとりひとりの名前を挙げて、質問などを挟

みながら学部の紹介をしてくださったのでイメージしやすかった。 4-4-3 その他(担当:熊谷)

QMUL では、キャンパス内の施設を Campus Tour として案内していただいた。 研究室

いくつか研究室を見せていただいたが東京工業大学の研究室とあまり大差はないように

感じた。

勉強スペース

1 つの机に 4 つのモニターが設置されており、授業やグループワークで使用できる。ここ

まで大規模なスペースは東工大にはないと感じ、イギリスは討論する文化が盛んなのだな

と感じた。

図書館

1000 以上の席があり、蔵書は 60 万冊以上ある。学期期間

中は毎日開館し、試験期間中には 24 時間開館する。 また、 ロンドン大学の他のカレッジやロンドン市内の様々な専門図

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書館も利用可能である。 カフェもあり、学生が気軽に使っている印象だった。

学生寮

2002 年 11 月に、3600 万ポンドの費用をかけ、1000 人近

い学生を収容可能な学生村(New Student Village)を開設し

た。部屋は、全て個室であり 4~9 人の学生でキッチンをシ

ェアする。 家賃は日本円で約 6 万~9 万と、日本に比べて少

し割高である。

Jewish Cemetery

キャンパスの中央に、英国最古の一つに数えられる大きな

ユダヤ系移民の墓地がある。元々約 9500 基あったうち約

2000 基が残っている。大学に墓地があるなんてとても珍し

いと感じた。

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4-5 Hitachi Rail Europe,Ltdについて (担当:山崎)

4-5-1. イギリスの鉄道史

イギリスの鉄道の黎明期を支えた技師に、スチーブンソンとブルネルの2人が挙げられ

る。 産業革命によって綿産業が発展を始めると、内陸部へ綿花を輸送する需要が顕在化した。

それまで中心を担っていた、運河を利用したナローボートによる輸送可能量は限界を迎え

ていた。そういった輸送需要の拡大に目を付けた資本家が、綿産業の中心地であったマン

チェスターと貿易港であるリバプールの間に鉄道の敷設を進めた。このときに主任設計師

を務めたのが、スチーブンソンである。彼は初めての試みである、鉄道駅、蒸気機関車の

設計を主導し、革新的なリバプールロード駅や実用蒸気機関車第一号のロケット号を生み

出した。リバプール・アンド・マンチェスター鉄道敷設にあたっては、軟弱地盤のチャッ

トモス湿地帯を通過する必要があった。通常の建設方法では、蒸気機関車の重さで地盤が

沈下してしまう危険があったが、スチーブンソンは線路の下に藁や枝などを敷き詰めるこ

とによって問題を解決したという。しかし、スチーブンソンは鉄橋にも硬く脆い鋳鉄を使

用することにこだわってしまう。その結果、ディー橋の崩落事故を起こしてしまい、当時

設計技師としての評判は下がってしまったらしい。 当時のイギリスの第一の貿易港はリバプール、第二はブリストルであった。リバプール

〜マンチェスター間に鉄道が敷設され、さらにリバプール〜ロンドン間にも鉄道が敷設さ

れる計画があった。これを受けて、ブリストル〜ロンドン間に独自の、より質の高い路線

を建設し、国内におけるブリストルの貿易港としての地位を保とうという動きが起こった。

このときに敷設されたのがグレート・ウェスタン鉄道(GWR)である。その主任設計を務

めたのがブルネルである。リバプール・アンド・マンチェスター鉄道(L&MR)は、綿花

の輸送を主眼に置いていた一方で、GWR は長距離旅客輸送に注力した。乗り心地を向上さ

せるために、初期は軌間を広軌であるプロードゲージ(2140mm)に設定していた。ブル

ネルは、優れた機械技術者であると同時に優れた土木技術者でもあり、ボックストンネル

やメイデンヘッド橋、ブリストルにあるクリフトン吊橋など現在でも重要な役割を担って

いる建築物を生み出した。 事業が軌道に乗った後は、初のスクリュー推進客船である、グレート・ブリテン号を就

航させ、ロンドンからブリストルを経由してニューヨークへと移動することが可能となっ

た。 4-5-2. Hitachi Rail Europe Darlington 車両工場見学概要

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①英国進出の背景 かつてイギリスには多数の鉄道車両メーカが存在していたが、その全てが解散・破綻・

買収を経験しており、現在のイギリス国内で使用されている鉄道車両は、輸入されたもの

と外国資本の下で製造されたりしたものがほとんどである。さらに市場は寡占状態が続い

ており、企業努力による車両の技術的な向上が望めないという。一方でインフラの海外進

出を目指す日立製作所はすでに欧州での鉄道納入実績を積み、また Darlington では小松や

日産がすでに工場を稼働させており、関連部品会社も充実していた。停滞した状況に一石

を投じ、鉄道業界のレベルアップにつなげようというイギリス側の要望と海外進出を進め

る日立製作所の企業戦略が一致したことで、Darlington に工場が建設されるはこびとなっ

たそうだ。 ②見学

工場内は4つの大きく区画にわかれていた。会議・事務・食事のための事務エリア、車

両を組み立てる製造エリア、部品の管理のためのストックエリア、完成車両の検査を行う

試験エリアである。製造エリアは、ストックエリアと試験エリアの間にある。 1) 事務エリア 会議室で業務説明、日本人職員の方と懇談を行った。懇談の内容については③日本人ス

タッフとの懇談で述べる。 2) 製造エリア 製造エリアは大きく4段階に分かれており、据え置かれた車両は、各段階間をレールに

載せられて移動する。 車両基本構造は A-train を踏襲しており、3cm ほどある外板と内板の間にトラス構造の

骨格が挟まれた、アルミダブルスキン構造となっていた。この構造により、遮音性が向上

し、客室内が静かになると言われている。日本の新幹線と同じく、架線電圧は 25000V で、

軌間は標準軌。一方、ディーゼルエンジンで発電を行いながらモーターで走行することが

可能となっているのは、電化区間と非電化区間が混在しているからであり、イギリスなら

ではである。ほかにも、回転しないシートや広いトイレ、非常時に外れる窓など日本の車

両には無い特徴が見られた。 シェル自体は山口県笠戸工場で製造したものに塗装を施した状態で船舶とトラックを使

って輸送しているそうだ。そこにイギリス人スタッフが部品を組み付けていく。部品の 70%は、英国など欧州の関連企業で生産されたもので、欧州の規格に合わせるためにも、現地

の部品を使う必要があるそうだ。 車両の脇には、組付けを待つ配管や台車が並んでいた。車両の中にも大勢のスタッフが

働いており、膨大な本数の配線を引いているところをお邪魔して見学させていただいた。

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3) ストックエリア 関連会社から運び込まれた部品が集積され、必要に応じて隣の製造エリアへ運ぶ。部品

が細かくわけられたグレーの箱がびっしりと保管された、10m はあろうかという巨大な棚

の隙間を、フォークリフトに乗ったイギリス人スタッフが忙しそうに行ったり来たりして

いた。 4) 試験エリア 室内と室外に試験を行う大きな設備が設置されている。室内にも架線があり、25000V の

交流電圧がかかっているため、長いものを使わないなど行動には制限が課せられている。

ここでは、出荷を待つ完成車両の内部に入ることができた。まだ、ビニールをかけられた

シートや運転台を見学することが出来た。スピードメーターは 140MPHまで刻まれている。

イギリス人スタッフが長さ 20m の車両をひとりで押し動かしていた。3 月の寒空のもと、

半袖で外に出るイギリス人スタッフもいた。 ③日本人スタッフとの懇談 笠戸工場から転勤してきた 3 名の日本人スタッフと懇談を行った。

イギリス人スタッフの教育を行う上での苦労や、イギリスでの生活を立ち上げた経験など

を伺った。日本では新人は上司を見てやり方を盗むが、イギリスではマニュアルを作る必

要性があると聞いて驚いた。文化の違いは頻繁に感じるようである。また、日本は人身事

故を起こして遅延が発生するが、イギリスでは車両故障や運転士のミスによって遅延が発

生することが多いらしい。そして鉄道車両は踏切などで衝突をした場合にも乗客を保護で

きるような構造となっていることなど、鉄道に関することも教えていただいた。 4-5-3. その他

ここではこの工場見学で感じた事を述べたい。個人的には非常に勉強不足が悔やまれる

見学だった。日立製作所の車両の特徴をきちんと調べた上であれば、さらに工場見学を楽

しめたのではないか、さらに突っ込んだ質問ができたのではないか(例えば撹拌溶接を行

っていたとは思わなかった)。まさに痛恨の極みである。

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4-6 イギリスの博物館について (担当:大島)

4-6-1 イギリス国立鉄道博物館(ヨーク)

①基本情報 ・アクセス ヨーク駅からすぐ ・開館時間 10:00~18:00 ・入館料 無料 ②概要

イギリス国立鉄道博物館は 1975 年にヨークで開業し、今でも鉄道ファンの聖地になって

いる場所である。ヨーク中心街の西側にある観光スポットで、外壁はローマ時代のもので

ある。 ③展示物について 入口の近くに蒸気機関車マラード号があった。これは世界最速の時速 200km を記録した

ものである。ちなみに日本でも明治維新における産業革命でイギリスの蒸気機関車の技術

を輸入し、明治 5 年に新橋横浜間に鉄道が開通した。イギリスの技術のすごさが分かる。

また博物館の奥には、東京オリンピックのために作られ、1964 年に開通した 0 系新幹線が

展示されていた。「こだま」という愛称で、多くの人々に親しまれたものである。そこでは

日本文化といえる駅弁も紹介されていた。

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▲マラード号 ▲0 系こだま 4-6-2 大英博物館(ロンドン)

①基本情報 ・アクセス 地下鉄「Tottenham Court Road」駅から徒歩 5 分 ・開館時間 10:00~17:30(金曜日は~20:30) ・入館料 無料 ②概要

大英博物館の起源は、古美術収集家のスローンの所蔵品である。18 世紀半ばにスローン

が死去した時に、学究心と好奇心旺盛な人々を対象に、膨大な数の所蔵品が一般公開され

た。大英博物館の役割は、世界の文化遺産を過去から現在まで、時代を代表する作品を収

集保存し、学問や教育の場として、その背景や機能を調査によってできる限り解明し、多

くの人々に広めていくことである。展示物が多く、1 日かけても全て回れないため、見たい

展示物をあらかじめ決めておくといい。 ③展示物について まずなんといっても楽しみにしていたのはロゼッタ・ストーンである。

ロゼッタ・ストーンは紀元前 196 年ごろに古代エジプトにて神聖文字・民衆文字・ギリシ

ャ文字の 3 種類で書かれ、1799 年にエジプトのロゼッタで発見されたものだ。多くの人が

集まっており、人気の高さがうかがえた。ミュージアムショップでもロゼッタ・ストーン

のグッズがたくさん売られていた。 また、エジプトエリアでは、多くのミイラがあった。この中に本物の人間が入っている

と思うととてもぞっとしたが、初めて実際のミイラを見ることができて感動した。

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▲大英博物館の正面

4-6-3 ロンドン科学博物館

①基本情報

・アクセス 地下鉄「South Kensington」駅から徒歩5分

・開館時間 10:00~18:00

・入館料 無料

②概要

ロンドン科学博物館の展示物は 1851年のロンドン万国博覧会から集められたものが起源

であり、1857 年に設立された。博物館は近代科学の成果を天文学、航海学、生化学などの

分野ごとに展示している。産業革命をはじめとする技術の発展の流れも展示されている。

③展示物について

産業革命など技術と産業・社会の関わりをテーマとしているため、ジェームズ・ワット

の蒸気機関の実物が動態保存されていた。他にも環境エリアでゲームとクイズで遊び、理

学の展示を見学した。見るだけではなく実際に遊んでいる感覚で楽しめるのが良かったと

思う。今回は、インペリアルカレッジを訪問する前に訪れたので、30分くらいしか回れ

なかった。もう少し回る時間がほしかった。

▲2階からみた館内の様子

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5 その他

5-1 食事について

家庭料理(ホームステイ先の食事)(担当:井上)

【朝ごはん】

私のホームステイ先では、毎朝、家を出発する 30分前にダイニングでご飯を食べていた。

シリアルとトースト、暖かい紅茶を準備してもらっていた。これらについては日本のもの

と差はなく、ジャムも甘すぎるということもなく、日本のものと同じだった。ホームステ

イ先によっては自分で朝ご飯を用意する(パンを焼くなど)家庭もあったようだ。 私はホストファミリーと一緒に会話をしながら食べるものだと思っていたので、 ホストフ

ァミリーと別に食べたことは意外だった。 【夜ごはん】

次ページの写真は、初めてホストファミリーと夜ごはんを食べたときに食べたものであ

る。カリッと焼かれたサーモン、アスパラガス、ゆで卵、蒸したじゃがいもなどすべて美

味しかった。イギリスのご飯は味が薄いことが多いと感じていたが、これは味がしっかり

ついていた。

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▲ホームステイ先での夜ごはん

外食(担当:熊谷)

外食はパンが主体で、コンビニエンスストアなどではサ

ンドウィッチなどが主に売られていた。クオリティーは種

類によって全く違い、味が薄いと感じるものから美味しい

ものまで様々であった。伝統的なイギリス料理であるフィ

ッシュ&チップスは、とても美味しくイギリス滞在中に多

くのメンバーが何度も食べていた。しかし、量が多く付属

しているチップスを残してしまうことが多かった。 お菓子類は、日本にはないような不思議な味のものや甘すぎる もの、美味しいものまでさまざまであった。全体的には、甘いお菓 子が大量に売られていたように感じた。 日本食(担当:吉田)

イギリスで 1 週間過ごしたあたりからこんなにかと思うほど日本食が恋しくなった。ソー

セージ、フィッシュ&チップス、ポテトチップスばかり食べていると味噌汁やご飯が食べた

くなった。また海外の日本食はおいしいのかという好奇心もわいたので、私はロンドンに

ある Waitrose というスーパーで寿司を買った。

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▲スーパーの寿司 この寿司は想像以上に美味しかった。日本のスーパーで売っているものとさほど変わらな

い気がした。ただ、これだけで£7.50 である。どんなお寿司もたいていこの大きさで 1000円以上もしたのは驚いた。 また個人的に面白かったのは、飛行機の機内食でカレーライスの事を「和風のビーフカレ

ー」と呼んでいたことである。英語で curry とは言うが curryrice とは言わない。お米がつ

いていることを和風と呼ぶのかととても驚いた。 5-2 ロンドンでの観光について

衛兵交代(担当:宮崎)

女王を守る衛兵が勤務交代をする衛兵交代。大雨で無い限り、衛兵がウェリントン・バ

ラックスとセント・ジェームズ宮殿から行進し、毎日朝 11時半にバッキンガム宮殿に到着。

その後、ビクトリア記念碑を周回し、宮殿へと行進していく。40 分程度の時間をかけて交

代のセレモニーがバンドの音楽に合わせて行われる。音楽は、古典的な音楽から、007のテ

ーマ曲などのモダンな音楽まで、様々な曲が奏でられる。当日は、日曜日ということもあ

り、11 時半にバッキンガム宮殿に着いたものの、人混みであまり見えなかった。衛兵たち

は有名な赤い服ではなく、グレーの冬服を着用していた。11 月~3 月は、冬服を着て行進

するという。この他にも、間近で馬を見られるなどの貴重な体験ができるため、行く価値

は十分にある。

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▲演奏する冬服の近衛兵

グリニッジ(担当:岡本)

①基本情報 ・アクセス 「Cutty Sark for Maritime Greenwich」駅から徒歩 15 分

「WESTMINSTER」駅からクルーズ船で 80 分 ・開館時間 10:00~17:00 ・入場料 大学生は£7.5 ②概要

グリニッジとは、グリニッジ標準時と子午線で世界的に有名な港湾都市で、都市全体が

世界遺産に登録されている。有名なグリニッジ旧王立天文台はもちろんのこと、大航海時

代を偲ぶ国立海事博物館や海軍ゆかりの旧王立海軍大学がある。 ③観光 メンバーに一部は自由時間を利用して、WESTMINSTER から船でテムズ川クルーズを

して GREENWICH に向かった。このテムズ川クルーズの様子については、次のテムズ川

沿いの観光地で述べる。まず世界遺産となっている街の様子を説明する。下の写真は天文

台のある丘の上から街全体見下ろした写真である。天文台のふもとにはきれいな芝生が広

がっていて、手前の白い建物が国立海事博物館、奥の白い建物が旧王立海軍大学である。

その向こうに見えるビル群はテムズ川の対岸でロンドンのシティである。この写真ではほ

ぼ見えないが港湾都市を象徴するように左奥にカティ・サーク号という船があり、右奥に

は赤レンガの倉庫街がある。とてもきれいで落ち着いた街だった。

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▲グリニッジの街の様子 旧王立天文台は博物館として公開されていて、世界標準時を示す 24 時間表示時計と経度

0 度を示す子午線があった。

▲24 時間表示時計 ▲子午線 テムズ川沿いの観光地(担当:稲吉) テムズ川はロンドンの主要交通路として使われてきた歴史があり、ロンドンの歴史を語

るうえでテムズ川の存在は切り離せない存在だ。テムズ川沿いを観光するだけでも、ロン

ドンの歴史を感じることができる。

ロンドンの街は、ローマによって建設されその名残はロ

ンドン塔の城壁に残されている。ローマ時代を経てイング

ランド王国がロンドンで成立した。中世のイングランド王

国はロンドン塔などから感じることができる。セントポー

ル大聖堂も最初の建設は中世であった。

その後イングランドは大航海時代を経て、海軍を中心に

勢力を拡大していく。この王国海軍を支えた海軍学校はテ

ムズ川沿いグリニッジにあり、その施設の規模からも当時

の海軍の力をうかがうことができる。また、世界標準時と

なっているグリニッジ天文台も、もともとは海軍の施設で

あり海軍学校の近くに設置されている。この時代で得た富

▲ロンドン塔

▲旧王立海軍学校

▲タワーブリッジ

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をもとに、ウェストミンスターにビッグベンを含む国会議事堂が建設され、イギリスは王

権政治から議会政治へと変遷した。

その後産業革命を経てロンドンにも工場が多く建設されたが、その名残の発電所の 1 つ

は今も現代美術館テートモダンとして残っている。旧発電所を改装して美術館にするあた

りに、ロンドンらしさを感じる。ロンドン橋としてよく間違われているタワーブリッジは、

産業革命時代に貨物船を入港させるため跳ね橋として建

設された。

そして現代のイギリスの経済を象徴するロンドンの金

融街はテムズ川からも眺めることができる。

以上のように、テムズ川沿いの観光だけでもロンドンさ

らにイギリスの歴史を俯瞰することができる。自由行動時

間にテムズ川クルーズでウェストミンスターからグリニ

ッジまでクルージングしたがイギリスの歴史を一挙に肌で感じることができ、非常に興味

深い体験ができた。様々な時代の建物が現代まで残されているロンドンの魅力を再発見で

きた。

5-3 ミュージカルについて

レ・ミゼラブルについて(担当:宮木) ロンドンは、芝居やミュージカルの本場である。せっかくの機会だからとメンバー全員

で、かの有名なミュージカル「レ・ミゼラブル」を鑑賞した。本作品は 19 世紀、革命に荒

れるフランスを舞台としたジャン・バルジャンという一人の男の物語である。 全体が見やすいように小さめに作られた舞台や回転する床など、セットや演出に工夫が

凝らされており、それだけでも面白かったが、一番の見どころはやはりそのライブ感であ

る。迫力のあるオーケストラの生演奏とともに聴いた役者たちの歌声は、たとえ言葉の壁

があろうと、それを超えて観客に訴える力があった。(私見であるが)特にジャン・バルジ

ャンによるテノールの旋律は素晴らしかった。この感動は実際に生でミュージカルを見た

人にしか分からないであろう。 ロンドンのウエスト・エンドでは多くのミュージカルが公開されており、連日多くの人

が劇場を訪れる。ミュージカルにあまり興味がなくともロンドンに行く際はぜひ見てみる

ことをお勧めする。

▲テートモダン(旧発電所)

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▲劇場の外観 ▲チケット オペラ座の怪人について(担当:金澤)

3/15 の夜、同じ英国派遣の吉田さんとオペラ座の怪人を見に行った。演目は人気が高

く売り切れることもあると聞いていたので、チケットは事前に Official London Theatre

というサイトで購入した。価格は£29.54~£102.86。場所は様々なミュージカルの劇場が並

ぶ Piccadilly circus地区にある、Her majesty’s theatreだ。「女王陛下の劇場」という

名にふさわしく、劇場は白く豪華で存在感があった。劇場内は、舞台のセットがあり、撮

影禁止で、写真が取れなかったが、造りが精巧で美しく、歴史的で趣があった。Barカウン

ターがあり、お酒やおつまみが売られていた。日本では劇場内は飲食禁止だが、ロンドン

ではグラス片手にミュージカルを楽しむスタイルが主流で、とても驚いた。いよいよ開演。

日本と演出が少し異なっていて、劇場もやや小さかったが、その分迫力があり、演者の細

かい表情も見ることができた。生のオーケストラ、感動的な音楽、仮面舞踏会・シャンデ

リアが落ちる場面など 1つ 1つのシーンに終始圧倒され、あっという間の2時間半だった。

▲Her majesty’s theatre ▲劇場内で買ったパンフレットとハーゲンダッツ

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5-4 その他(担当:古谷)

その他の項目では、観光の時間に訪れたオリンピックスタジアムについて述べたいと思

う。

ロンドンオリンピックの際の水泳場であったロンドンアクアティクスセンターを訪れた。

設計は 2020 年の東京オリンピックのための新国立競技場の設計者に予定されていたザハ•

ハディド氏。訪れてみると、外観も内観も、その曲線がとても美しかった。オリンピック

の際に仮増設されていた客席も撤去され、50m プールを二カ所と飛び込み用プールをもつ、

大会にも利用できる大きめの市民用プールという感じで活きいきとしていた。当初の新国

立競技場はその約 70 倍もの建築面積を予定しており、あの曲線ひとかたまりの建物がそれ

ほどの大きさになり、それが東京の街に現れるとなるとどうなったことだろうと考えさせ

られた。

▲ロンドンアクアティクスセンター(左:中の様子、右:外観)

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6 所感

大島 健太郎

ヨークではホームステイ先の人々が温かく接してくれたことに感謝しています。バディ

ーと一緒にデジタル電子回の講義を受けた時、東工大で学習した内容なのに、小テストの

問題の英文が読めず、自分の英語力の至らなさを実感しました。また、ガイフォークスナ

イトについて、ホームステイ先の家族とヨーク大学のバディーの意見が、同じイギリス人

でありながら、異なる意見を持っていたことに驚きました。 ロンドンではグリニッジ行きの船からとても美しい景色を見て、最高のひと時を過ごす

ことができました。また、本場でミュージカルを見て、出演者の声の響きに感動しました。

しかし演目の内容やお土産について、もう少し事前に調べておくべきだったと思います。

山崎 宗世

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今回の英国派遣に参加するまで、海外留学には非常に消極的だった。留学は特別なもの

で自分には関係も縁もないことだと思っていた。日本には非常に優れたものづくりの技術

があるし、日本語でアクセスすることのできる情報が溢れている。ものづくりを学ぶため

には、ドイツが最高であるが、日本でも十二分に学べると考えていた。

イギリスを訪れてみると、やはりその通りと思う部分があった。ヨーク大学が誇る試料を

操作しながらナノレベルで観察ができる人より大きな電子顕微鏡は日本電子製であったし、

国立鉄道博物館では 0系新幹線がいかに優れた鉄道であるかを解説員が力をこめて語って

いた。インペリアルカレッジでも、東工大に実験装置がどれほど充実しているかを実感す

る瞬間があった。

しかし一方でそれは、世界中から最高のものが集まっている、ということなのかもしれな

い。イギリスは実に多国籍な国で、人口の 30%以上が外国生まれ、インペリアルカレッジの

40%が留学生である。地球のあらゆる場所からロンドンを目指して人々が集まってくるので

ある。これは非常に衝撃的であった。

イギリス人と関わるためにイギリスに留学をする、のではなく、世界の学生と関わるため

に留学するのである。インペリアルカレッジは世界大学ランキングで総合 2位に選出され

たことがあるが、この世の中でトップクラスの研究者がすでに実績を積んだ上で、成果を

出すために集まってくるという。高校を卒業して数年間網羅的な学習をしただけの大学生

が中心の東工大と同じ「大学」という枠組みに収まっているとは到底思えなかった。

このようなことを目の当たりにしたことで、海外留学への意識が変わった。自分もそうい

った研究者とともに学んでみたいと思うようになった。洋書コーナーしかない図書館の本

を読めるようになりたいと思った。本気で留学の準備をすすめようと思った。グローバル

理工人コースでも最大の成果だと思う。

金澤 佑香

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今回の英国派遣は短い期間でありながらも、大変濃密な 10日間だった。私の中で特に印

象的だったこと、勉強になったことについて述べようと思う。

1つは、日立の Railway Factory だ。鉄道製造の現場を見させていただき、大変貴重な

体験となった。日本の技術が輸出され、それを現地の人々が日本人の指導者から学んでい

ること、従業員の方の元々の職業が軍人など様々であることを知って驚いた。現地で働か

れている日本人の生の声を聞くことができ、民族性の違いで苦労されていたのが印象的だ。

その土地に合わせたシステムを構築しなければならないことを認識できた。イギリスに参

入するときに競争は無かったと仰っていたが、日本の技術は他にも負けないレベルだと思

うので、海外にどんどん日本の技術が用いられるようになってほしい。何もなかった土地

に工場を建設し、多くの雇用を生み、イギリスの人々の生活を支えているということを間

近で知って、日本人として誇りに思った。

2つ目は、教育のレベルの高さだ。ヨーク大学では、バディーになった学生と一緒に昼

食を食べたり、授業に出たり、と長い時間を共に過ごし、交流を深めることができたが、

彼女はいつも忙しそうにパソコンを片手に持っていて、1時間の講義のあと、2時間の実

習と家に帰って課題、1週間授業みっちりは当然、とのことだった。彼女のタフな面を見

て、現地学生のレベルの高さを知った。UTCでは、東工大のものつくりセンターに劣らない

充実した設備のもとで、私よりも年下の子たちが専門的かつ実践的な学問を学び、将来に

つなげようとしている姿を見て、刺激を受けた。他に、いくつもの教育機関を訪れて、コ

ミュニケーションスペースが多いことに気付いた。会話やディスカッションを行うための

スペースが学内にあちこちにあり、学生や研究者がコミュニケーションやアイデアを交わ

していた。日本にここまでアクティブさはなく、圧倒され、英国との差を見たような気が

した。私も属しているコミュニティーは決まっているため、外に出て、他の類の人々とコ

ミュニティーを取ることを厭わないようにしなければ、と痛感した。

短期間であったが、語学力に関して得たものがあった。以前海外に行った際は文法を気

にして、全く自分から喋ることができなかった。私はそこまで英語を流暢に話すことがで

きないが、伝わればいいのだ、というある種の開き直りができたことが大きな収穫だった。

同時に、リスニング能力の欠如も感じた。ネイティブのスピードは速く、学問の専門単語

も難しかったため、聞き取りに苦労した。今後自分の語学力の向上に努めようと思った。

短い期間で、これだけ多くのことを体験し、感じることができたのも、このプログラム

のおかげです。素敵な仲間に出会うことも出来ました。個人で行く旅行ではこれらのこと

は絶対に出来ませんでした。本当に有難うございました。今回のことを今後に生かして参

ります。最後に、今回引率をしてくださった田家さん、Hope 先生、小林先生に心より感謝

を申し上げます。

古谷 めぶき

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今回は将来の長期留学のための予行、下見という意識で参加させていただきました。さ

らに、今まで海外に訪れたことがなかったため、初海外体験という意味でも今回の旅行は

とても楽しみにしていたものでした。 前半に訪れたヨークは、住宅も商業施設もオフィスも、ほぼ全てが赤煉瓦造りで統一さ

れた、小規模で可愛らしい映画のセットのような街並みでした。そこで流れる時間はスト

レスフリーでゆったりとした、東京都とはまるで違ったものでした。東京の便利さに慣れ

てしまった私ですが、一年ほど学生生活を送ってみるのには、よい思い出つくりにできる

街ではないかと思いました。 後半のロンドンは、駅に着いた瞬間に、街行く人々から都会の性格を感じました。日本

人はいつも急いでいて他人に冷たいと言われがちですが、そこについてはロンドンもほと

んど変わらないのではないかと感じてしまいました。ロンドンにも古くからの建物は多く

残り、また新しく斬新な外観のオフィスなども同時に建ち並び、その混ざり合いが見てい

て楽しかったです。テムズ川沿いを通勤用ボートでクルーズしたときは、ロンドンの有名

建築や美しい橋を一気に眺めることができ、それが通勤路だなんてとても贅沢で羨ましい

と思いました。 見学した大学や研究施設はどれも開放的で、カラフルで、会議や友人とのコミュニケー

ションも捗りそうなものでした。とくに、ただソファやテーブルが置かれているだけの共

用空間が放置されることなく、活き活きと利用されていることに驚きました。東工大にも

そういった、友達と気軽に話せて交流できる場がもっと増えればよいのにと思いました。 食事については正直、和食が大好きな私にとっては辛かったです。ホームステイ先では

朝食はフレークとトースト、夕飯は一度ごちそうになりましたが、フィッシュ&チップスと

グリーンピースという感じでした。ロンドンのホテルでは、朝食がブュッフェでしたが白

米の選択肢はなく、ショックが大きかったです。海外経験がある方には当たり前かもしれ

ませんが。インスタントのお味噌汁や梅干しなどの日本食を持っていたことは大きな助け

になりました。ただ電子レンジがなかったので、パックの白米は食べることができずに悲

しかったです。 今回の旅行を踏まえて、今後の長期留学において、食生活や周辺の街の治安は、その地

に一定期間住み着くためにはよく考慮せねばならないことだと感じました。多少の不便さ

はむしろ暖かい思い出になるくらいの問題だろうとも思いました。 今後の学生生活に対して考える良い機会となりました。本当にありがとうございました。 井上 雅貴

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初欧州としてイギリスを選んだのは、交換留学もしくは修士号、博士号を取得する場所

として考えているからでした。渡航前はヨーク大学、インペリアル・カレッジ・ロンドン、

ロンドン大学クイーンメアリー校の見学に一番期待をしていました。しかし、実際にこれ

らの 3 つの大学に加えて、Hitachi Rail Europe や NPL を見学し、 そしてイギリス留学の

アレコレを知って行く過程で、今後のキャリア形成において、現実的な問題が私の前に立

ちはだかっていることにも気づくことができました。

まず1つ目に、イギリスのレベルの高い大学はハイリスク・ハイリターンであると思い

ました。イギリスに留学するためには高額な学費を収め、さらに高物価な場所で生活をし

なくてはいけないということを、まず身を以て感じました。しかし、同時に世界中の国か

ら優秀な学生が集まり、現地学生より留学生が多く、その留学生たちは母国で活躍するた

めに、一生懸命に勉強している姿を見て、私もここで勉強したいと強く思いました。また

大学にはディスカッションをするためのスペースがキャンパス内のいたるところにあり、1

つのテーブルを囲んで、話し合っている多くの学生たちの姿を見て、日本の大学とは様子

が違うと感じました。各国の秀才たちとのネットワークは日本国内では絶対に得ることが

できない財産となることは間違いないと確信しました。

2つ目に、大企業への考え方が変わりました。私は最近、ベンチャー企業でスピード感

がある仕事がしたいと思っていました。大企業病などと揶揄される、いわゆる大企業には

行きたくないとまで思っていました。しかし、今回 Hitachi Rail Europe を見学させてい

ただいて、大企業の仕事の規模の大きさに驚きました。山口県笠戸で製造した巨大な車両

をイギリスまで船で運んで、イギリスで内装の組み立てを行う現場を目にして、私もこん

なビッグプロジェクトに携わりたいと思いました。

成田空港で飛行機に乗る前は、まさか私の中でこんな価値観の変化が起こるとは思って

もみませんでした。超短期派遣は個人旅行では絶対に得られない経験を私たちに与えてく

れました。また、プログラムを通してかけがえのないメンバーたちと知り合うことができ

ました。関係各所の皆様に感謝しております。ありがとうございました。

稲吉 裕俊

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今回の派遣で各大学を見学して、日本の大学とは授業や研究への考え方がだいぶ異なる

なという感想を持った。イギリスの大学ではディスカッションを重視している。至る所に

ティースペースがあり、学生同士で話し合っている光景をよく目にする。講義中も発言す

る学生が多く、イギリスの学生の活発さを感じられた。また、大学のシステム自体が日本

とは異なり、修士課程が 1 年だったり、研究室に席料がかかったりと制度の面でも日本と

の違いを目のあたりにした。国によって雰囲気やシステムが違うというのは興味深く、そ

こに留学の面白さがあると感じた。いままで漠然としか留学について考えたことはなかっ

たが、今回の派遣での経験を通して大学院での留学について現実的に考えるようになった。

今回の滞在では前半をヨーク、後半をロンドンで過ごしたが街の雰囲気の違いが印象的

であった。ヨークは町の中心から少し離れるとすぐ牧場が出てくる地方都市で落ち着いた

雰囲気であった。ロンドンは賑やかではあるが行きかう人が多く、治安の悪さも感じた。

サイレンを鳴らしている車もよく見かけ、落ち着かない気分であった。改めて、地方都市

の落ち着いた雰囲気の良さを感じた次第である。将来留学に行くならばロンドンの大学よ

りもヨーク大学を選択したい。

また、海外で 10 日間過ごして、買い物や食事など生活自体は案外どうにかなるな、と感

じた。しかしそれと同時に、自分の英語力の低さも思い知った。派遣中に自分の思ってい

ることを相手に伝えられない悔しさを、頻繁に感じた。英語学習の重要性が身に染みて感

じた 10日間でもあった。今後もサマースクールなどを通して英語でコミュニケーションを

とる経験を積んでいきたい。

日立の工場を見学できたことも、自分にとって貴重な経験となった。自分は機械を学ん

でおり、将来日立などの企業に就職したいと思っていたため、ここでの工場見学は今回の

目的の一つであった。また、海外の日本企業で働いている日本人社員の方にお話しを聞け

たことで、海外勤務の実態を知ることができ、将来海外の日本企業で働くというキャリア

ビジョンも持てるようになった。

今回のプログラムは多くの大学や企業、研究施設を回ることができ、ロンドンの観光も

楽しめ、留学以外にも非常に実りあるプログラムであった。自分で旅行に行くだけでは、

ここまでの体験はできず、非常に恵まれたプログラムであると感じる。また、このような

機会があれば、是非参加したいと思う。

岡本 奈美

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2 年生の春休みという一番余裕があるときに、何かしらの自己投資をしたいと思ってこの

プログラムへの参加を決意した。そのときには、超短期と言ってはいるものの長いのでは

ないか、途中で日本に帰りたいと思うのではないか、集団行動は大丈夫だろうかと心配は

尽きなかった。しかしプログラムに参加してみると、イギリスのヨークもロンドンも楽し

いところでとても充実した日々を過ごすことができた。日本でのんびりしているだけの長

期休暇では得られない貴重な経験をたくさんすることができて、当初の目的は果たすこと

ができた。それだけではなく、今回の経験を通して、海外交流の機会があれば積極的に参

加していきたいと思うように変わった。今までは海外について視野に入れていなかったの

でこれは大きな進歩だと思う。今後、海外交流に限らず自分が成長できるチャンスが来た

ときに逃すことのないように準備をしておく必要性を感じた。 この 10 日間は積極性と発信力という言葉でまとめられる。大学を見学した時には、案内

してくれた人の大学や専攻への愛を感じることが多々あった。東工大や自分の専攻につい

て積極的に勉強しておくこととそれを英語で説明できることの大切さを感じた。企業や研

究所では、自分の将来について考えることができた。科学や工業の日本を超えて世界にま

で通用する力に気づき、自分の勉強について誇りに思うことができた。イギリスの街や人

柄は思ったよりも優しくて、海外への漠然とした不安は少し取り除かれた。将来のなりた

い自分を想定して、積極性と発信力について意識したい。 このプログラムに参加したことでたくさんのものを得ることができた。貴重な経験や新

たにできた友人に加えて、東工大と専攻に対する誇りや自信、海外経験による自己評価や

海外志向など挙げればきりがなく、自分の気づかないところでまだあると信じている。今

回のプログラムにかかわった全ての方に感謝している。この経験を無駄にしないように過

ごしていきたい。

熊谷 菜々

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今回の留学に参加しようと思った動機は、単にグローバル理工人の単位が必要だったか

らである。また、ヨーロッパに対する憧れを抱いていたため英国を選んだ。しかし、私の

想像以上に貴重で楽しい経験をすることができた。 私は、中学、高校の時に二度留学をしたことがある。それらの経験はどちらも楽しく、

私が中学、高校時代に英語を勉強するモチベーションになっていた。しかし、それらの留

学においては積極的に自ら行動したり計画したりする経験ができなかったと感じた。そん

な中で、今回の留学ではそれらの経験を含め様々な経験ができたと感じられた。例えば、

私はロンドン大学クイーンメアリー校の担当であったのだが、集合時間や行き方などを調

べることなどを課された。また、自由時間には自ら行く場所を決め、行き方を調べたり時

間配分をしたりと、中学、高校時代には行わなかった経験をできて良い経験になった。 大学の研究室訪問やキャンパスツアー、日立制作所などからも刺激を受けることができ

た。今まではぼんやりと将来のことを考えているだけであったが、大学で知り合った学生

や教授の話を聞くと、みな明確な目標を持っており、自分の将来について考え直すきっか

けになった。また、講義を受けたり色々な人と会話をしたりする上で私の英語の能力の低

さに愕然とした。講義では専門用語がほとんど分からず、会話をする時にはイギリス特有

の訛りなどがあり早く話されると聞き取ることが難しかった。その点からも、自分が 3 年

生、4 年生となっていった時にするべきことが見つかったと思う。 私が今回の留学で一番驚いたことは、ロンドン中心部のホームレスの多さである。かな

り栄えている場所でも歩道の端の方で寝ていたり、地元の人が行くような協会を訪れた時

に、ホームレスの方が椅子で寝ていたりして驚いた。私は、社会問題などにあまり関心が

なく、今まであまり目を向けたことがなかったのでホームレス問題や貧富の差について関

心を持てたことは大きいと思った。 今回の留学は、日数が短かったため英語力の向上には直接的には結びつかなかったと思

われるが、様々なことを経験してこれからの将来について考えることができて、とても大

きな収穫を得られた。また、今回のこのプログラムに参加したメンバーとは親しい関係を

築くことができ、とても楽しい時間を過ごすことができた。最後にお世話になった方々、

引率して下さった田家さん、小林先生、Hope 先生、メンバー全員にここで感謝の言葉を述

べたい。イギリスでの貴重な経験を本当にありがとうございました。

嶋村 優太

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イギリスの学生が生き生きと勉強している姿を見て、とても刺激を受けた。あるヨーク

大学の学生は、音楽学校を卒業したのち工学部の電気電子工学科に進学していた。日本で

はあまり見られないケースであるが、自分の学びたいことを勉強するという姿勢は参考に

なった。自分は今まで、与えられた課題をこなすという受け身の学習スタイルなってしま

っていた。今後は自分が興味を持てる研究分野を積極的にさがして、ヨーク大学で出会っ

た学生たちのように主体的に学んでいきたい。 今回の短期派遣を通して自分に足りない能力がいくつか発見できたことは大きな収穫で

あった。一つは英語力の不足。講義や学生同士の会話についていくことは厳しかった。言

語能力以上に深刻であったのが、コミュニケーション能力の不足だ。プレゼンテーション

を聞いても思うように質問できないことが多かった。自分の意見や疑問を投げかける能力

がイギリスの学生と比べて劣っていると感じた。ヨーク大学で生物系の研究室を紹介して

くださった先生が仰っていたのは、日本の学生は基礎力こそ備わっているものの発信する

力が足りない、とのことだった。今後の生活ではこれらの点を改善できるように努力して

いきたい。 英国短期派遣に参加したことで、将来長期留学に挑戦してみたいという思いが出てきた。

具体的な計画こそできていないものの、自分の知らない世界に出て経験を積みたいと思い

始めたことは大きな変化である。理系の専門分野に対する考え方も変わった。訪問した大

学で伺ったお話では、複数の専門分野を組み合わせた複合的な領域の研究も盛んに行われ

ているとのことだった。派遣学習以前は漠然と、人気のある分野、お金になりそうな研究

にしか興味を持っていなかった。しかし、興味の方向がはっきりとしている海外の学生を

見て、自分も主体的に学ぼうという思いが強まった。

宮木 詩織

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今回のプログラムに参加する前は、海外経験がないが、将来できれば半年~一年間留学

してみたいと考えており、イギリスは比較的安全であり英語圏であったので今回のプログ

ラムに参加した。私にとって留学や海外での生活はぼんやりとした希望であったが、今回

の留学でそれがはっきりと具体的に想像できるようになり、将来の進路を決めるうえで重

要な経験になったと思う。そのことについて述べていく。 ヨークではヨーク大学を、ロンドンでは複数の大学や研究施設を見学して回ったが、自

分の分野の研究室を見て思ったことは、意外と日本の(東工大の)研究室と変わらないな、

ということであった。私は国や大学によってもっと違うものだと思っていたため少し驚い

た。 また、インペリアルカレッジを訪れた際に東工大の方で一時的にインペリアルにいらっ

しゃっていた方に案内していただいたのだが、そこで「この大学に留学する意義」を質問

したら、人脈を広げることができることなのだとおっしゃった。インペリアルの実験施設

はそんなに新しいものではなく、10 年くらい前に東工大が使っていたようなものである。

この大学は施設にお金をかけるのではなく、世界中から人を集めるためにお金をかけ、向

上心とやる気のある学生を世界中から集めている、とのことであった。 このような経験は、留学することの意味を考え直すきっかけとなった。今までは何とな

く将来留学したいと思っていただけで、半ば留学すること自体が目的となっていたが、将

来本当に私には留学が必要か、何を基準にして大学や国を決めるのか、その具体的な内容

が想像できるようになった。結論としては、無理に留学する必要はないが、研究したいこ

とや入りたい研究室・この人の下で研究したいという科学者がいるのが海外であるなら、

留学しようということになった。 今回の超短期派遣で、将来の留学プランをどのような基準で建てるかということが学べ

た。これにより、もし将来長期留学することになったらその内容をより有意義にすること

ができるであろう。 今回の留学に参加させていただいてありがとうございました。

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吉田 有沙

この短期派遣では将来の長期留学にむけて、海外での生活の様子や自分がこれからどう

過ごしたらいいかを知る事ができたと思う。今まで海外旅行には行ったことはあっても家

族と離れて海外に留学したことはなかったので非常に貴重な経験になった。中でも特に印

象的だったことを2つ述べる。 まずはイギリスと日本の文化の違いである。大学には日本に比べてカフェやディスカッ

ションできるスペースが多く、学生同士が集まれる場所がたくさんあった。コミュニケー

ションを積極的に取る文化なのだなと実感した。この点で海外は研究者になる場所として

ぴったりだと感じた。大きな成果を残すためには多くの人との協力が必要だし、討論して

いくうちに物事を批判的に見る力もつくと思う。 次に、日本の研究は決して海外に劣っていないという事だ。私はこの留学に行くまで、

海外(特にアメリカ、イギリス)の大学の研究設備は日本よりたいそう優れていると思っ

ていた。しかし、実際に研究室を見てみると日本にもあるような機械ばかりで、むしろ日

本なら1研究室に1台あるようなものも共同で使っている事すらあった。これには正直期

待を裏切られた。そこで留学する意味について、海外で研究をなさっている日本人の方に

お話を伺った。海外(アメリカやイギリス)のメリットは、日本では出会えないような偉

い教授や有名な研究者とのコミュニティーが持てることだという。それを聞いてとても納

得した。そして、将来博士号までとろうと考えている私は、ぜひ海外留学したいと思った。 今回の短期留学は自分に自信をつけてくれた。今までは消極的で自分を表現したり気持

ちを伝えたりする事が苦手だった。しかし、ヨーク大学で留学生と1対1で話したり、分

からないことがあったら誰かに英語で助けを求めたりしないといけない状況におかれて、

自己発信する力が少し身についたように思う。また、私が1番楽しみにしていたホームス

テイでは、日常会話を経験することができた。ホームステイ先の家族が、私が英語でなん

とか伝えようとした内容を一生懸命聞いてくれ、理解してくれたことがとても嬉しかった。

日本でもそうだが、言ってみればなんとかなるし、まず自分の思いを伝えないとどうにも

ならない。とくに英語、母国語じゃないから無理だ、と怖がる必要はないと思った。リス

クはあっても海外に挑戦することの重要性が分かったので、積極的にチャレンジしていき

たい。先にコミュニティーの面での海外留学について述べたが、海外留学はするだけでも

大きく自分の経験値を高めてくれるものであると思う。 今回悔しかったことは、日常会話の英語は通じても、講義での英語の専門用語はほとん

ど分からなかったことである。これはぜひ次の長期留学でリベンジしたい。 最後に、自分はまだ学部2年であり、大学院で留学するにはまだ時間がある。この間に

英語力(特に専門用語)、異文化について理解を深め、自分が何を目標に長期の海外留学に

行くのかをはっきりさせたいと思う。

Page 52: 欧州超短期派遣プログラム(英国) 報告書...欧州超短期派遣プログラム(英国) 報告書 2017 3/7~3/17 東京工業大学 グローバル人材育成推進支援室

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宮崎 翔 私がこの欧州超短期派遣に参加したのは、ある 2 つの目的があったからだ。1 つは、現地

へ赴くことで、英語の勉強のモチベーションを上げること。もう 1 つは、海外の研究と日

本の研究を比べることで、自分の持つ視野を広げることである。 というのも、私は、高校時代あまり英語の勉強をしていなかったせいか、大学入学後の

英語の勉強に対する意欲が上がらずにいた。初めは、理工系専門科目に没頭することで気

持ちを紛らわしていたが、1 年経つと、友人の英語力が格段に上がっているのを見て、焦り

始めた。自分に合った英語の勉強の仕方を知っているわけでもない私は、とても困惑して

いた。そんな時に、私の目に飛び込んできたのは、春の超短期派遣である。現地へ行くこ

とでモチベーションを上げることも 1 つの手だと考えた私は、早速申し込んだ次第である。

実際、英国では、なまりが強い英語を必死に聞いたおかげで、日常会話は何とかなった。

しかし、研究内容の紹介の時には、聞いても分からないことが多く、自分の無知な部分に

改めて気づくと同時に、もっと聴く力を養いたいという信念が芽生えた。よって、今は、

少しずつリスニング能力を高めると同時に、専門科目の知識を深めることで、双方の武器

を手にして、英語で研究に関する会話ができるようになりたいと思っている。 また、今回は、大学の様々な研究を拝見することができ、とても貴重な体験ができたと

感じている。残念ながら、自分の専門分野である生命理工学の研究は、ヨーク大学でしか

見ることができなかったが、その他の分野への興味が、留学前より断然上がったため、確

実に自分の視野が広がった。特に、今回は材料系の研究を見ることが多く、今まで見たこ

とのない機械や普段では見られないような物体を拝見することができ、良い意味で、この

先の学習に大きな影響を及ぼすであろうことを信じている。 上記のように、目的は達成されたが、それに加えて、もう 1 つ大切なことを学ぶことが

できた。それは、自分の成長は、メンバーのおかげでもあるということだ。 今回の派遣では、同学年が私 1 人であったため、最初は実に心細かった。ホームステイ

先で、リーダーとペアになると知ったときは、かなり焦った部分もあった。しかし、先輩

が、自分の分からない英語や専門的な事を気軽に教えてくれることで、自分と先輩との距

離感が縮まることに加え、先輩との交流を通して、これから自分がするべきことが留学前

よりも明確に見えてきた。このように見ると、先輩方は精神的に自分を成長させてくださ

った。そして、言うまでもなく、先生方も色々な面からサポートしてくださり、心の底か

ら感謝している。ありがとうございました。