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埼玉県学力・学習状況調査 教育再生実行会議・第3回技術革新WG有識者会議 埼玉県 彩の国 平成30年10月15日(月) 埼玉県教育委員会 教育長 小松 弥生 ~EBPMとEdtechを活用した新たな学び の実現を目指して~ 1 資料1

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埼玉県学力・学習状況調査

教育再生実行会議・第3回技術革新WG有識者会議

埼玉県彩の国

平成30年10月15日(月)埼 玉 県 教 育 委 員 会教 育 長 小 松 弥 生

~EBPMとEdtechを活用した新たな学びの実現を目指して~

1

資料1

Page 2: 教育再生実行会議・第3回技術革新WG有識者会議 埼玉県学力・学 … · <クロスセクションデータ> ... データに基づき、学力の決定要因分析が可能

EBPMとEdtechを活用した新たな学びの実現に必要なものは何か?

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・教員や学校が適切に分析・検証・AIなどの分析にも足りうる

質と量のデータ

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埼玉県学力・学習状況調査~EBPMとEdtechを活用した新たな学びの実現を目指して~

1. 埼玉県学力・学習状況調査の概要・特徴

2. 調査結果の活用

3. 今後の展開・可能性

パネルデータ/ IRT(項目反応理論)/非認知能力・学習方略

一人一人の子どもへの支援/効果的な指導の共有/教育施策へ

実施自治体の拡大 /EdTech /広がる活用可能性

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1.埼玉県学力・学習状況調査の概要・特徴

EBPM と Edtechを活用した新たな学び の実現を目指して平成27年度から開始

調査対象埼玉県内公立小・中学校(さいたま市を除く)小学校4年生から中学校3年生

調査概要

(1)児童生徒に対する調査ア 教科に関する調査

小学校4年生から中学校1年生まで 国語、算数・数学中学校2年生及び3年生 国語、数学、英語

イ 質問紙調査学習への取組方法や学習意欲等に関する事項

(2)学校及び市町村教育委員会に対する調査学校における教科指導の方法等に関する事項

特徴

■一人一人の学力の伸び(変化)を継続して把握することのできる自治体初の調査

■非認知能力・学習方略にも注目して調査を実施

毎年約30万人

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1.埼玉県学力・学習状況調査の概要・特徴

パネルデータ

同一児童生徒の変化を継続的に把握H28

埼玉小学校小4

H29

埼玉小学校小5

埼玉小学校小6

H30

同一児童 同一児童

H28

埼玉小学校小5

H29

埼玉小学校小5

埼玉小学校小5

H30

異なる児童異なる児童

<クロスセクションデータ>ある特定の学年(異なる児童生徒)を把握

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1.埼玉県学力・学習状況調査の概要・特徴

IRT項目反応理論 出題する全ての問題に同一尺度で難易度を設定

<CTT(古典的テスト理論)>

生徒A中1で受けた調査:60点中2で受けた調査:80点

問題が簡単?学力が上昇?

パネルデータ + IRT(項目反応理論)

■ 異なる調査間での学力の比較が可能

■ PISAやTOEFLと同様の調査手法

問題の難易度設定を行っていないため、異なる調査間での学力比較ができない

学力の伸び(変化)の継続把握を実現 6

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インプット

学校・学級での指導など 児童生徒

アウトプット

学 力

①変

化 ③変

インプット

児童生徒

アウトプット

学 力

平成29年度

平成30年度

②同 一

学校・学級での指導など

同一児童生徒の学力の伸びが分かると・・・

これまでの類似調査では、「年度によって異なる児童生徒」へ実施した「学校・学級での指導」の結果を、「問題の難易度が考慮されていない調査結果」で検証

データに基づき、学力の決定要因分析が可能

本調査では、 「②同一の児童生徒」へ実施した「①学校・学級での指導」の結果を、「③学力の伸び(変化)」で検証

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1.埼玉県学力・学習状況調査の概要・特徴

非認知能力学 習 方 略

学力向上に寄与するのは何か?

非認知能力 や 学習方略 にも注目して調査

自制心 イライラしない、心の平静を保てる など

自己効力 自分への自信、自己肯定力 など

勤勉性 やるべきことをきちんとやる など

やり抜く力 粘り強い、根気がある など

非認知能力:学力に代表される認知能力以外の様々な力

学習方略 :子供が学びに向かうときの態度や学習の仕方柔軟的方略 学習の仕方を自分の状況に合わせて柔軟に変更していく活動

例)勉強する順番を変えたり、分からないところを重点的に学習

プランニング方略 計画的に学習に取り組む活動

作業方略 ノートに書く、声に出すといった「作業」を中心に学習を進める活動

人的リソース方略 友人を利用して学習を進める活動

認知的方略 より自分の理解度を深めるような学習活動例)学習内容を自分の言葉で説明してみる

努力調整方略 友人を利用して学習を進める活動

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平成29年度までの本調査データの分析結果(概要)

■主体的・対話的で深い学びは、子供たちの学習方略の改善や

非認知能力の向上を通じて、学力向上させる(①~④)

■学級経営が、主体的・対話的で深い学びの実現や、子供たちの非認知能力、学習方略の向上に重要(⑤・⑥・⑦)

※埼玉県が調査結果(平成27~29年度)の分析を委託した

慶応大学SFC研究所(研究代表者:中室牧子氏)による分析結果

学力(認知能力)

非認知能力

主体的・対話的で深い学び

学習方略

学級経営

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2.調査結果の活用

一人一人の子供の状況に応じた支援

○伸びた子供には、頑張りを認め、一層やる気を引き出したり、より高いレベルへの挑戦を促すための支援が可能

○伸び悩む子供には、つまずきを早期に発見し支援が可能

平均

学力

高い子

低い子

これまで見えてこなかった 子供たち一人一人の状況が見える

学力

学力の伸び

高い学力でも伸び悩む子

高い学力で伸びている子

低い学力で伸び悩む子

低い学力でも伸びている子

小 大

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2.調査結果の活用

○子供たち一人一人の学力に応じて活用できる復習シートの提供

レベル6

復習シート:本調査の類似問題に難易度(レベル)を付した問題集

自分の学力を踏まえ、・より難しい問題に挑戦することも、・難易度の低い問題に立ち返ることも可能

レベル5

レベル10

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2.調査結果の活用

○子供たち一人一人に応じた指導カルテの作成と引継ぎ

〇一人一人の状況を踏まえた授業改善、教員間の情報共有〇子供たちへの継続的な指導を実現

本調査結果を踏まえて実施した教員の指導などを、一元化して引き継ぐことのできるカルテの作成

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2.調査結果の活用

効果的な指導の共有

②効果的な取組を共有

○効果的な取組の共有、指導改善PDCAサイクルの確立、教員の育成

①効果を上げた学級・教員の把握

④県学調での効果検証

クラス 伸びた児童の割合

国語 算数

旧5-1 73.4% 96.5%

旧5-2 91.8% 75.1%

③指導改善の実施

データに基づき、効果を上げた学級・教員が見える

教員の指導力向上

データに基づくPDCA

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2.調査結果の活用

県教育委員会の教育施策へ

データに基づき、学校の特徴が見える

◯上位層の子どもは良く伸ばしているが、中・下位層の子どもが伸び悩んでいる学校

◯家庭の経済状況が厳しく学力に課題が見られる子どもが多い学校

学校の実情に応じた重点支援を実施

H28小4 H29小5 H30小6

上位層

中位層

下位層

上位層の伸びが大きい

学力の伸びの状況

H28小4 H29小5 H30小6

上位層

中位層

下位層中・下位層の伸びが大きい

◯中・下位層の子どもは良く伸ばしているが、上位層の子どもが伸び悩んでいる学校

市町村・学校の枠を超えて効果的な取組を共有する仕組みづくり

◯効果的な指導を実現している教員が多い学校

◯教科や学力層を問わず伸ばしている学校

A校 B校

・データを踏まえた人的加配・課題に基づいた授業展開・授業改善への助言

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まだまだ発展途上ではあるが・・・

本調査を軸として、データに基づく指導(EBPM)と個に応じた指導の文化の構築を開始

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3.今後の展開・可能性

実施自治体の拡大

○自治体間の効果的な指導の共有など、情報共有・連携の促進○県外へ転出・転入する児童・生徒にも継続性のある指導

平成30年度から

広島県福山市、福島県郡山市、福島県西会津町

平成31年度から

福島県全域 で本調査を共同実施

埼玉県

××

福島県

平成30年6月28日に教育データ分析で協定 平成31年度から連携

埼玉県:累計約120万人分(毎年約30万人×4年)のデータ福島県:毎年約8万人分のデータ

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3.今後の展開・可能性

EdTech を活用した新たな学びの実現

学校・教員・保護者の意識改革カンと経験⇩

エビデンスと経験

ビッグデータエビデンスたりえるもの=学習履歴等の継続的データ

教員の指導力子どものやる気を引き出すのは教員教員(人)にしかできないことがある

テクノロジーAIや音声・映像解析技術 など

ICTインフラCBTの実現可能な環境1人1台のタブレット、WiFi整備パブリッククラウド など新たな学びの

実現には・・・

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3.今後の展開・可能性

・学力・非認知能力など継続的なデータ(年1回)を蓄積 → ビッグデータの蓄積・データに基づく個に応じた指導や効果的な指導の共有 → 教員の指導力の育成・「平均」から「学力の伸び」、エビデンスの重要性が浸透 → 学校、教員の意識の変化

埼玉県学力・学習状況調査

意識改革

ビッグデータ

ICTインフラ指導力

テクノロジー

EBPMを実現

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3.今後の展開・可能性

県学調 × ICTインフラ × テクノロジー

・CBTを実現するためのPC・教員、児童・生徒へのタブレット・WiFi環境・学校用クラウド など

ICTインフラ整備

テクノロジー・AI(人工知能)・音声や映像解析技術 など

意識改革

ビッグデータ

指導力

EdTech を活用した新たな学びと更なるEBPM実現18

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3.今後の展開・可能性

県学調 × ICTインフラ × テクノロジー ⇒ EdTech を活用した新たな学び

県学調 インフラ テクノロジー

エビデンスたりうるデータの蓄積(EBPM)・学力の伸び

効果的な指導の把握・学力を伸ばした授業や学級経営

いつでもどこでも 受検何度でも

CBT

タブレットWiFi環境

日々の学習ログ日常生活の状況体力データ など

クラウド

授業・学級経営の映像記録

授業教材の共有

AI(人工知能)

つまずきや思考の過程を分析

音声・映像・記述解析技術

効果的な指導の

共通項や子どもの様子を解析

遠隔教育技術

いつでもどこでも 授業双方向

更なるビッグデータの蓄積 = 更なるEBPM

アダプティブラーニング・個別教材・学習計画

の提示・日常生活の改善指導

教員の指導力向上・学習指導・学級経営のGPのデータベース化・教員研修の充実

学習困難層への支援・不登校・院内学習・生活困窮世帯

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3.今後の展開・可能性

広がる活用可能性

・大学での教員養成課程との連携・民間企業での人材育成・日本式教育パッケージ(効果的な指導+効果検証)の海外輸出・民間企業による学習ツールの開発

本調査に関心のある自治体や大学、民間企業等とコンソーシアムを開催

OECDのシュライヒャー教育・スキル局長も評価

非認知能力に注目している点や、世界的に見ても非常に有益なデータであり、これからの世界の教育を考えるうえでも参考にしたいと高い評価をいただきました。

本調査手法の応用などにより・・・

<参加者からの意見概要>自 治 体:調査結果は学校現場の授業改善に非常に有益大 学:本調査から見えてくる効果的な指導は、

教員養成課程でも活用したい民間企業等:企業の人材育成にも活用の可能性

自治体(11) 民間企業等(13)

埼玉県

大学(3)

※()は過去3回のコンソーシアムの参加主体の数

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最後に

■ 埼玉県学力・学習状況調査によりEBPM実現・更なるビッグデータの蓄積と収集・分析・活用が必要

■ 学校現場を支えるのは教員・EdTechやEBPMの推進は不可欠だが、日々子どもに接するのは教員・EdTechやデータを有効活用するためには、教員の指導力向上が不可欠

■ EdTech の実現と更なるEBPMには、新しいテクノロジーとICTインフラ整備が不可欠

・CBTや様々なデータの取得・蓄積を可能にする戦略的なインフラ整備を・インフラ整備とAIなどの有効活用がアダプティブラーニングなどを実現

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