【速修】矢島の速修インプット講座 ·...

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1 矢島の体系整理テキスト 憲法 【速修】矢島の速修インプット講座 矢島の体系整理テキスト2017 憲法 ・はじめに このテキストの記載事項には重要度に応じて記号を付しています。講義を聴いた後は 特に重要度が高い「●」と「」印があるところだけは最低限しっかりと復習してく ださい。これらよりも重要度が下がる「◆」と「」印の復習は「●」と「」印の 理解と記憶ができてから各自の可処分時間に応じて可能な範囲でやってください。 「▲」と「」印や無印の事項の復習はさらに後回しにしてください。 「●」と「」印の復習が十分にできたあたりのところで,私が秋から開講する矢 島の論文完成講座などで論文試験の答案の書き方を学ぶと,効率よく論文試験対策が できます。論文試験対策を始めた以降は,それと同時進行で速修インプット講座の復 習を続けていくと,合格に必要な重要基本知識をしっかりと定着させることができま す。また,速修インプットの復習が終わったところで,適宜,短答対策として市販の 短答の過去問集などを利用して計画的に短答知識を確認していくと試験前に慌てずに すみます。 平成29年5月10日 LEC専任講師 矢 島 純 一 記憶する事項 重要ランク 論文試験で規範(要件)や法律効果などとして答案に書くことがある事項を重要度の 高いものから順番に「●」,「◆」,「▲」と記号を付しました。特に「●」印の事項に ついては繰り返し学習をして理解と記憶を深めてください。 理解する事項 重要ランク 論文試験で規範として答案に直接書くことは通常はないが,より深い答案を作成する ために内容を理解しておくことが必要な知識を重要度の高いものから順番に「」, 」,「」と記号を付しました。 ・条文の略記:Ⅰ=1項 ①=1号 本=本文 但=ただし書 前=前段 後=後段 ・短答の問題番号の略記: H23-4=平成23年度司法試験第4問 プレ=プレ試験 H25-7=平成 25 年度予備試験第7問 サン=サンプル問題

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1 矢島の体系整理テキスト 憲法

【速修】矢島の速修インプット講座

矢島の体系整理テキスト2017

憲法

・はじめに このテキストの記載事項には重要度に応じて記号を付しています。講義を聴いた後は

特に重要度が高い「●」と「○」印があるところだけは 低限しっかりと復習してく

ださい。これらよりも重要度が下がる「◆」と「◇」印の復習は「●」と「○」印の

理解と記憶ができてから各自の可処分時間に応じて可能な範囲でやってください。

「▲」と「△」印や無印の事項の復習はさらに後回しにしてください。 「●」と「○」印の復習が十分にできたあたりのところで,私が秋から開講する矢

島の論文完成講座などで論文試験の答案の書き方を学ぶと,効率よく論文試験対策が

できます。論文試験対策を始めた以降は,それと同時進行で速修インプット講座の復

習を続けていくと,合格に必要な重要基本知識をしっかりと定着させることができま

す。また,速修インプットの復習が終わったところで,適宜,短答対策として市販の

短答の過去問集などを利用して計画的に短答知識を確認していくと試験前に慌てずに

すみます。 平成29年5月10日

LEC専任講師 矢 島 純 一

・記憶する事項 重要ランク 論文試験で規範(要件)や法律効果などとして答案に書くことがある事項を重要度の

高いものから順番に「●」,「◆」,「▲」と記号を付しました。特に「●」印の事項に

ついては繰り返し学習をして理解と記憶を深めてください。

・理解する事項 重要ランク 論文試験で規範として答案に直接書くことは通常はないが,より深い答案を作成する

ために内容を理解しておくことが必要な知識を重要度の高いものから順番に「○」,

「◇」,「△」と記号を付しました。

・条文の略記:Ⅰ=1項 ①=1号 本=本文 但=ただし書 前=前段 後=後段 ・短答の問題番号の略記: H23-4=平成23年度司法試験第4問 プレ=プレ試験

予 H25-7=平成 25 年度予備試験第7問 サン=サンプル問題

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2 矢島の体系整理テキスト 憲法

序章 憲法の基本

・憲法の基本的な思考方法 ○

法令や処分の合憲性を検討するに当たっては,まず,問題になっている法令や処分が,

どのような権利を,どのように制約しているのかを確定することが必要である。次に,

制約されている権利は憲法上保障されているのか否かを,確定する必要がある。この二

つが確定されて初めて,人権(憲法)問題が存在することになるのであり,ここから,当

該制約の合憲性の検討が始まる。(以上はH22司法論文の採点実感)。

人権制約の合憲審査の判断枠組みの大枠としては,規制により得られる利益と失われる利

益の均衡がとれているかを審査する比例原則といわれるものや,制約される自由の内容・

性質,自由に対する制約の必要性の程度,自由に対する制約の態様などを総合考慮して,

制約の必要性と合理性が認められるかを審査する利益衡量の基準(比較衡量論)といわれ

るものなどがある。

・補足:比較衡量論は,具体的状況をふまえて対立する利益を衡量して妥当な結論を導き

出そうとするものである点で優れているが,比較の基準が必ずしも明確でなく,特に個

人の利益と国民全体の利益(例:行政の中立的運営とこれに対する国民の信頼)とを比

較衡量すると,全体の利益が優先されがちで,個人の利益が保護されにくいという点に

問題があるとの指摘がされている。そこで,比較衡量論は,同じ程度に重要な2つの利

益を,裁判所が仲介者として第三者的な立場で調整する場面に限定して用いるべきであ

るとの指摘がされている。(例えば,人のプライバシーを侵害する表現行為を裁判所が仮

処分により差し止める場合など。)この場合でも,比較の基準は,何と何を,どのよう

に比較衡量するのかが分かるような明確なものでなければならないと解されている。

・目的手段審査 ○

裁判所による恣意的な利益衡量を防止するために,精神的自由の規制立法は経済的自由の規

制立法よりも厳格な基準で審査すべきとの二重の基準論を具体化する試みとして,規制目的

の重要度や,規制目的と目的達成手段との関連性を,権利の性質や規制の態様などに応じて

厳格度を変化させて審査する目的手段審査といわれる違憲審査基準論が提唱されている。

典型的には,①精神的自由などの重要な人権を制約する法令の違憲審査をするときは厳

格審査基準,②経済的自由を人の生命や健康に対する危険を防止するという消極目的のた

めに制約する法令の違憲審査をするときは実質的関連性の基準(中間審査基準といわれる

こともある),③経済的自由を経済的弱者の保護や経済の調和のとれた発展を実現するとい

う積極目的のために制約する法令の違憲審査をするときは合理的関連性の基準を用いる。

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3 矢島の体系整理テキスト 憲法

上記以外の違憲審査基準(例:明白かつ現在の危険の基準,LRAの基準,厳格な合理性

の基準,明白性の原則,その他)は講義を進めていく中で紹介する。

基準の厳格度を決定する主な要素:権利の内容や性質,規制の目的,規制の態様など

① 厳格審査基準 ● (1)立法目的(規制目的)が必要不可欠な利益(やむにやまれぬ利益)を確保するた

めのものといえるか,(2)目的達成手段として是非とも必要 小限度のものといえる

かを厳格に審査する。 ② 実質的関連性の基準(中間審査基準) ●

(1)立法目的(規制目的)が重要なものといえるか,(2)目的と手段との間に実質的関

連性があるかを具体的に審査する。実質的関連性の有無は,目的達成手段としての

実効性,相当性が実質的に認められるかにより判断される。 ③ 合理的関連性の基準 ●

(1)立法目的(規制目的)が正当なものといえるか,(2)目的と手段との間に合理的関

連性があるかどうかを審査する。 ・立法事実と司法事実~あてはめに使える事実の違い ○

裁判所が人権を制約する法令の違憲審査をする場合は,当該法令の文面のみから絶対

禁止される検閲に該当したり,明確性の原則に違反したりすることが判断でき文面無

効とされる場合を除いて,立法の目的や目的達成のための手段の合理性を支える社会

的な一般事実たる立法事実を検証して,立法の必要性・合理性を審査することになる。

立法事実の存在の確証度をどの程度まで求めるかは,合憲審査基準の厳格度に対応し

ている。例えば,厳格審査基準を用いる場合は,立法事実の存在の確証度としてはか

なり高いものが求められる。また,立法当初は立法の必要性と合理性が認められて当

該立法が合憲とされる場合でも,その後,立法の必要性と合理性を支える社会的事実

の変化により立法の必要性と合理性が事後的に失われ当該立法が違憲と判断されるこ

とがある。 処分が人権を制約しており,裁判所が処分の合憲性を司法審査する場合は,誰が,

いつ,どこで,何をしたのかなど当該事件に関する個別具体的な事実を確定すること

が必要となる。このような事実を司法事実という。裁判所は司法事実を確定してその

事実に法令を適用して処分の合憲・違憲を判断することになる。

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296 矢島の体系整理テキスト 憲法

*巻末付録1 ~ 基本となる違憲審査の判断枠組みのまとめ 第1 文面審査

立法事実に着目せずに文面だけをみて文面無効とする審査方法を文面審査という。 1 検閲 →規制立法が検閲に当たるときは文面無効となる。判例は,「憲法21条2項前段は,

『検閲は,これをしてはならない。』と規定する。憲法が,表現の自由につき,広く

これを保障する旨の一般的規定を同条1項に置きながら,別に検閲の禁止についてか

ような特別の規定を設けたのは,検閲がその性質上表現の自由に対する も厳しい制

約となるものであることにかんがみ,これについては,公共の福祉を理由とする例外

の許容をも認めない趣旨を明らかにしたものと解すべきである。そして,右の解釈を

前提として考究すると,憲法21条2項にいう「検閲」とは,行政権が主体となって,

思想内容等の表現物を対象とし,その全部又は一部の発表の禁止を目的として,対象

とされる一定の表現物につき網羅的一般的に,発表前にその内容を審査した上,不適

当と認めるものの発表を禁止することを,その特質として備えるものを指す」と判示

した( 大判昭 59.12.12・税関検査事件)。●

2 明確性の原則(漠然不明確ゆえに無効)

→表現行為に対する規制立法が漠然不明確だと表現の自由に対する過度の萎縮効果を

もたらすところ,表現の自由の重要性に鑑みて,表現の自由に対する明確性のない規

制立法は文面上,憲法21条1項に違反して無効になる。規制立法が明確といえるか

は,通常の判断能力を有する一般人の理解において具体的場合に当該行為がその適用を受

けるものかどうかの判断ができる基準が読みとれるかによって決する。● 注:この原則は,罪刑法定主義の派生原理として刑罰法規に用いられるものであっ

たが,表現の自由の重要性から,これに対する規制立法の審査にも用いている。

3 過度に広範ゆえに無効

→表現行為に対する規制立法に明確性が認められるときでも,規制の範囲が過度に広範

である場合は,それが漠然不明確な場合と同様に表現の自由に対する萎縮効果を生じ

させることから文面上無効になると解されている。●

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297 矢島の体系整理テキスト 憲法

第2 内容審査 文面審査と異なり,立法事実に照らして規制立法の合憲性を審査することを内容審

査という。内容審査に用いる審査基準は,二重の基準論や,問題となる権利の性質・

内容,規制の目的,権利制約の態様・程度などを考慮して具体的に設定する。○ 1 比較衡量の基準 →ある人権を制約することでもたらされる利益と,それを制約しない場合に維持される

利益とを比較して,その制約によりもたらされる利益の価値の方が高いと判断される

場合は,その人権制約を合憲と判断できる。● ・比較の基準は,何と何を,どのように比較衡量するのかが分かるような明確なもので

なければならない。○ 2 目的手段審査の典型的な審査基準(平等原則違反の判断基準にも利用可能)

① 厳格審査基準 ● (1)立法目的(規制目的)が必要不可欠な利益(やむにやまれぬ利益)を確保するた

めのものといえるか,(2)目的達成手段として是非とも必要 小限度のものといえる

かを厳格に審査する。 ② 実質的関連性の基準(中間審査基準) ●

(1)立法目的(規制目的)が重要なものといえるか,(2)目的と手段との間に実質的関

連性があるかを具体的に審査する。実質的関連性の有無は,目的達成手段としての

実効性,相当性が実質的に認められるかにより判断される。 ③ 合理的関連性の基準 ●

(1)立法目的(規制目的)が正当なものといえるか,(2)目的と手段との間に合理的関

連性があるかどうかを審査する。

・H20司法論文 採点実感等 ○ 審査基準の内容を正確に理解することが,必要不可欠である。中間審査基準における目的審査で

「正当な目的」とするのは誤りである。中間審査基準では,「重要な目的」であることが求めら

れる。合理性の基準で求められる「正当な目的」の意味・内容を正確に理解してほしい。

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298 矢島の体系整理テキスト 憲法

3 表現の自由をはじめとする精神的自由の規制立法の審査基準

(1) 明白かつ現在の危険の基準 →表現行為の内容規制の合憲審査基準として「明白かつ現在の危険」の基準というも

のがある。これは,①当該表現行為が,近い将来,ある実質的害悪をひき起こす蓋

然性が明白であり,②その実質的害悪がきわめて重大であり,その重大な害悪の発

生が時間的に切迫しており,③当該規制手段がその害悪を避けるために必要不可欠

であることの3つの要件の論証がされてはじめて当該規制が合憲となるとする基準

である。● ・「明白かつ現在の危険」の基準は,アメリカの判例法理で違法行為を煽動することを

内容とする表現行為(危険表現)の規制に対する審査基準として用いられてきた。

これは表現行為の危険性を審査するための危険審査基準といわれることもある。こ

の基準を日本に取り入れるとしても,害悪の重大性や切迫性の程度などの要件判断

が難しいため,違法行為を煽る煽動的表現など危険表現を処罰する法令の合憲審査

に限り用いるべきとの指摘がされている。○

(2) LRAの基準 →表現内容ではなく,表現の時,所,方法に対する規制(内容中立規制)である場合

は,表現の内容規制に対する基準よりも厳格度をいくぶん緩和し,規制目的が正当

(十分に重要)であり,同じ目的を達成するための,より制限的でない他の選びう

る手段がないといえない限り違憲と判断する(LRAの基準・より制限的でない他

の選びうる手段の基準)。●

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299 矢島の体系整理テキスト 憲法

4 経済の自由の規制立法の審査基準 ・規制目的二分論の修正 ● 憲法22条1項が保障する職業選択の自由は,政策的観点から精神的自由と比べて,

より強度の制約を受けることを憲法が予定しているので,精神的自由の制約に対する

厳格な基準と比べて緩やかな基準で審査される。また,職業に対する規制は社会政策

上様々な目的でされることを踏まえ審査基準を設定する必要がある。具体的には,経

済的弱者の保護や経済の調和のとれた発展のための積極目的規制については,裁判所

は立法裁量を特に尊重し,規制の目的が正当で,目的と手段との間に合理的関連性が

あれば合憲となる。人の生命,健康の安全に対する危険の防止のための消極目的規制

については,立法裁量は尊重されるものの積極目的規制のときほどの尊重は必要ない

ので,規制の目的が重要で,目的と手段との間に実質的関連性があれば合憲となる。

また,積極,消極の両目的を併有する規制や,積極消極いずれの目的にも割り切れな

い規制のときは,権利の内容性質や,規制態様の程度も考慮して具体的に審査するこ

ととし,新規参入規制のように規制態様が強度なものについては,目的が重要で,目

的と手段との間に実質的関連性があれば合憲となる。

・規制の目的の違いに着目した場合の審査基準の基本形は以下のものとなる。○ ・明白の原則(審査密度は合理的関連性の基準に対応)● 経済的弱者の保護など経済の調和のとれた発展を図るための積極目的規制である

ときは,立法府の政策判断を特に尊重し,当該規制措置が著しく不合理であること

が明白である場合に限り違憲とする(明白の原則)。 注:これと審査密度が同等な合理的関連性の基準を用いてもよい。

・厳格な合理性の基準(審査密度は実質的関連性の基準に対応)● 人の生命,健康に対する危険を防止するための消極目的規制であるときは,積極目

的規制と比べて政策判断が必要なく,裁判所の判断になじむ。そこで,裁判所は,

厳格に規制立法の合理性を審査するべきである。具体的には,裁判所は,規制の必

要性・合理性,同じ目的を達成できる,より緩やかな規制手段の有無を,立法事実

(立法の必要性と合理性を支える社会的事実)に基づいて規制立法の合理性を審査

する(薬事法判決型の厳格な合理性の基準)。 注:これと審査密度が同等な実質的関連性の基準を用いてもよい。

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300 矢島の体系整理テキスト 憲法

5 生存権の制約に対する審査基準 →生存権を,生存に必要な 低限度に関わる部分とより快適に生活するための部分とに

区別し,前者に対しては厳格な合理性の基準(又はLRAの基準)などの基準で審査

し,後者に対しては明白の原則の基準で違憲審査するべきとする見解がある。● ・ 高裁は上記のような区別をせずに,生存権に関しては立法裁量を広く認め,明白の

原則に近いとても緩やかな基準で違憲審査している(堀木訴訟 高裁判決参照)。○

・ 高裁は,憲法25条について,「健康で文化的な 低限度の生活」なるものは,き

わめて抽象的・相対的な概念であって,その具体的内容は,その時々における文化の

発達の程度,経済的・社会的条件,一般的な国民生活の状況等との相関関係において

判断決定されるべきものであるとともに,右規定を現実の立法として具体化するに当

たっては,国の財政事情を無視することができず,また,多方面にわたる複雑多様な,

しかも高度の専門技術的な考察とそれに基づいた政策的判断を必要とするものであ

る。したがって,憲法25条の規定の趣旨にこたえて具体的にどのような立法措置を

講ずるかの選択決定は,立法府の広い裁量にゆだねられており,それが著しく合理性

を欠き明らかに裁量の逸脱・濫用と見ざるをえないような場合を除き,裁判所が審査

判断するのに適しない事柄であるとして,明白の原則ともいえる極めて緩やかな判断

枠組みを定立した( 大判昭 57.7.7・堀木訴訟)。○

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301 矢島の体系整理テキスト 憲法

第3 政教分離原則の違反の判断枠組み

・目的効果基準 ●

政教分離原則は,これを制度として保障することで個人の信教の自由を間接的に保

障するための制度的保障であり,国家が宗教的に中立であることを要求するもので

はあるが,国家が宗教とのかかわり合いをもつことを全く許さないとするものでは

なく,宗教とのかかわり合いをもたらす行為の目的及び効果にかんがみ,そのかか

わり合いが国の社会的・文化的諸条件に照らし,相当とされる限度を超えるものと

認められる場合にこれを許さないとするものと解すべきである。そこで,憲法20

条3項にいう宗教的活動とは,そのかかわり合いが右にいう相当とされる限度を超

えるものに限られるというべきであって,当該行為の目的が宗教的意義をもち,そ

の効果が宗教に対する援助,助長,促進又は圧迫,干渉等になるような行為をいう

ものと解すべきである。ある行為が右にいう宗教的活動に該当するかどうかを検討

するにあたっては,当該行為の主宰者が宗教家であるかどうか,その順序作法が宗

教の定める方式に則ったものであるかどうかなど,当該行為の外形的側面のみにと

らわれることなく,当該行為の行われる場所,当該行為に対する一般人の宗教的評

価,当該行為者が当該行為を行うについての意図,目的及び宗教的意識の有無,程

度,当該行為の一般人に与える効果,影響等,諸般の事情を考慮し,社会通念に従

って,客観的に判断しなければならない(津地鎮祭事件判決など) 注:上記は20条3項の宗教的活動の該当性だけでなく,20条1項後段の特権

付与の禁止や,80条前段の宗教団体に対する公金支出の禁止の該当性の判

断にも用いることができる。 ・諸般の事情の総合的判断 ● 国公有地が無償で宗教的施設の敷地としての用に供されている状態が,信教の自由

の保障の確保という制度の根本目的との関係で相当とされる限度を超えて憲法8

9条に違反するか否かを判断するにあたっては,当該宗教的施設の性格,当該土地

が当該施設の敷地としての用に供されるに至った経緯,当該無償提供の態様,これ

らに対する一般人の評価等,諸般の事情を考慮し,社会通念に照らして総合的に判

断すべきものと解するのが相当である(平成22年空知そ ら ち

太ぶと

神社事件違憲判決)。

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302 矢島の体系整理テキスト 憲法

*巻末付録2 ~ 憲法の論文試験の答案に求められること

・H21 試験考査委員のヒアリング ● 重要→考える力が現れている部分が高く評価されている

受験雑誌等で成績上位者が再現した答案が「模範答案」とか「優秀答案」として掲載されているが,

そのような答案の内容が,真の意味で優秀あるいは模範であるわけではない。実際の採点においては,

「考える」力が現れている部分に高い評価を与えるように,いわばメリハリをつけて評価するように

努めている。〔パターン化した部分の記述が高く評価されているわけではない。〕

・H22司法論文 出題の趣旨 ● 重要

本問では,原告側,被告側,そして「あなた自身」と,三つの立場での見解を展開することが求めら

れる。その際,三つの立場を答案構成上の都合から余りに戦略的に展開することは,適切ではない。

三つの立場それぞれが,判例の動向及び主要な学説を正確に理解していることを前提としている。そ

の上で,判断枠組みに関する検討,そして事案の内容に即した個別的・具体的検討を行うことが求め

られる。

・H27司法論文 出題の趣旨 ○ どのように判断枠組みを構成するかは人それぞれであるが,いずれにしても,一定の判断枠組みを用

いる場合には,学説・判例上で議論されている当該判断枠組みがどのような内容であるかを正確に理

解していることが必要である。その上で,本問においてなぜその判断枠組みを用いるのかについての

説得的な理由付けも必要であるし,判例を踏まえた論述をする際には,単に判例を引用するのではな

く,当該判例の事案と本問との違いも意識した論述が必要となる。

・H24司法論文 採点実感等 ○

本問の原告代理人は,架空の弁護士ではなく,「あなた」,つまり受験者自身であり,訴訟代理人と

して,現実に裁判で採り得る も有利な判断枠組みを選択し,その枠組みの中で,具体的事実を原告

側に も有利に評価・適用した主張を行うべきである。にもかかわらず,原告主張でおよそ実務的に

採り得ない極論的な判断枠組みを記載した上で,「被告側の反論」ないし「あなた自身の見解」でそ

れに反論を加える(判断枠組み自体を無理に対立させている)パターンの答案が相当数あった。求めら

れているのは観念的な机上の議論ではなく,実務的に通用し得る議論である。

・H23司法論文 採点実感等 ● 重要 「原告側の主張」と「被告側の反論」において極論を論じ,「あなた自身の見解」で真ん中を論じる

という「パターン」に当てはめた答案構成によるものが多かった。そのため,論述の大部分が,後に

否定されることを前提とした,言わば「ためにする議論」の記載となっていた。このような答案は,

全く求められていない。

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303 矢島の体系整理テキスト 憲法

・H25司法論文 採点実感等 ● 重要➝採点実感は考査委員から将来の受験生に向けた手紙 原告側の主張を十分に論じていないものや原告の主張内容が極端な答案,真に対立軸となるような反

論のポイントを示していない答案,原告側の主張と反論という双方の議論を受けて「あなた自身の見

解」を十分に展開していない答案が少なくなく,これまでの採点実感をきちんと読んでいないのでは

ないかと思われた。

・H22司法論文 採点実感等 ● 特に重要➝「真に解決されるべき論点」の設定に努める 荒削りな中でも的確にポイントをつかみ,予備知識が少ない中でも論点の本質に迫った「悩み」を見

せてくれた答案もあったが,そのような答案は少数にとどまった。法令や処分の合憲性が問題となる

ときには,原告・被告双方の主張にはそれぞれ相当な根拠があり,結論をどうするか相当に頭を悩ま

すのが通常である。悩みが感じられない答案とは,真に解決されるべき論点にまで議論が深まってい

ない答案といえる。〔原被告双方の主張に相当な根拠があってはじめて真の論点が設定〕

・H21司法論文 出題の趣旨 ○ 今年度も,「憲法」論文式問題は,判例及び学説に関する知識を単に「書き連ね」たような,観念的,

定型的,「自動販売機」型の答案を求めるものではなく,「考える」ことを求めている。すなわち,判

例及び学説に関する正確な理解と検討に基づいて問題を解くための精緻な判断枠組みを構築し,そし

て事案の内容に即した個別的・具体的な検討を求めている。

・H21司法論文 採点実感等 ● 重要 提供された素材を読みこなし,事案に即して考える力が求められているが,いわば定型的に「問題と

なるのは,違憲審査基準である。」という趣旨を記載する答案が多く,〔中略〕例えば,事案の分析を

ほとんどせずに,直ちに違憲審査基準の議論に移行し,一般論から導いた審査基準に「当てはめ」て,

そのまま結論に至るという答案が相当数見られた。このように,審査基準を具体的事案に即して検討

せずに,審査基準の一般論だけで規則の合憲性を判断するのでは,事実に即した法的分析や法的議論

として不十分である。

・H28司法論文 採点実感等 本年は,昨年と異なり,各設問の配点を明示しなかったが,設問1では付添人の主張を,設問2では

あなた自身の見解を,それぞれ問い,検察官の反論については,あなた自身の見解を述べる中で,こ

れを「想定」すればよいこととした。したがって,検察官の反論については,仮に明示して論じるに

しても簡にして要を得た記述にとどめ,あなた自身の見解が充実したものになることを期待したもの

である。この点では,本問は,従来の出題傾向と何ら変わらない。ただ,その際,検察官の反論を明

示する以上は,判断枠組みを定立するだけで終わるのでは不十分であるし,「目的は不可欠で,手段

は 小限である」などと結論を記載するだけでも足りず,冗長にならないように留意しつつ,検察官

としてその結論につながる積極的・直接的・根本的な理由(判断の骨組みとなる部分)まで端的に示

す必要がある。

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304 矢島の体系整理テキスト 憲法

憲法 目次

序章 憲法の基本 ········································································· 2

第1編 人権 ············································································· 4

第1章 人権の意義・人権享有主体性 ························································ 4

1 人権の意義 ------------------------------------------------------------------------- 4

2 制度的保障 ------------------------------------------------------------------------- 4

3 人権享有主体性 --------------------------------------------------------------------- 5

4 法人や団体の人権 ------------------------------------------------------------------- 5

5 外国人の人権 ----------------------------------------------------------------------- 6

第2章 基本的人権の限界 ································································· 11

1 意義 ------------------------------------------------------------------------------ 11

2 公共の福祉の意味 ------------------------------------------------------------------ 11

3 パターナリスティックな制約 --------------------------------------------------------- 12

4 特別権力関係の理論 ---------------------------------------------------------------- 14

5 公務員の人権 ---------------------------------------------------------------------- 15

6 在監者の人権 ---------------------------------------------------------------------- 24

7 憲法の私人間効力 ------------------------------------------------------------------ 28

第3章 包括的基本権・新しい人権 ························································· 32

1 包括的基本権 ---------------------------------------------------------------------- 32

2 新しい人権の意義と根拠 ------------------------------------------------------------- 32

3 新しい人権を肯定する基準 ----------------------------------------------------------- 33

4 合憲審査基準 ---------------------------------------------------------------------- 33

5 新しい人権の具体例 ---------------------------------------------------------------- 34

第4章 法の下の平等 ····································································· 47

1 総論 ------------------------------------------------------------------------------ 47

2 「法の下に」の意義 ---------------------------------------------------------------- 49

3 「平等」の意義 -------------------------------------------------------------------- 50

4 平等原則違反の合憲審査の判断枠組み(合憲審査基準) ---------------------------------- 51

5 積極的差別解消措置 ---------------------------------------------------------------- 54

6 法の下の平等に関する判例 ----------------------------------------------------------- 55

7 議員定数不均衡の問題(1票の格差) ------------------------------------------------- 69

第5章 思想良心の自由 ··································································· 72

1 思想良心の自由の保障の意義 --------------------------------------------------------- 72

2 「思想良心」の意義 ---------------------------------------------------------------- 73

3 思想良心の自由の保障の内容 --------------------------------------------------------- 74

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305 矢島の体系整理テキスト 憲法

4 判例 ------------------------------------------------------------------------------ 75

第6章 信教の自由 ······································································· 80

1 信教の自由の意義 ------------------------------------------------------------------ 80

2 信教の自由の内容 ------------------------------------------------------------------ 80

3 合憲審査基準 ---------------------------------------------------------------------- 81

4 信教の自由に関する関連判例 --------------------------------------------------------- 82

5 政教分離 -------------------------------------------------------------------------- 85

第7章 学問の自由 ······································································ 103

1 学問の自由の意義 ----------------------------------------------------------------- 103

2 学問の自由の内容 ----------------------------------------------------------------- 103

3 学問の自由の限界 ----------------------------------------------------------------- 104

4 大学の自治 ----------------------------------------------------------------------- 105

第8章 表現の自由の意義 ································································ 107

1 表現の自由の意義と価値 ------------------------------------------------------------ 107

2 知る権利 ------------------------------------------------------------------------- 109

3 アクセス権 ----------------------------------------------------------------------- 110

第9章 表現の自由に対する規制と違憲審査基準 ············································ 111

1 総説 ----------------------------------------------------------------------------- 111

2 検閲・表現行為の事前抑制 ---------------------------------------------------------- 111

3 漠然不明確な規制・過度に広汎な規制 ------------------------------------------------ 122

4 表現の内容規制 ------------------------------------------------------------------- 124

5 表現の時・所・方法の規制(内容中立規制) ------------------------------------------ 126

第10章 表現の自由の内容 ······························································ 128

1 報道の自由と取材の自由 ------------------------------------------------------------ 128

2 性表現の自由 --------------------------------------------------------------------- 134

3 表現の自由と名誉・プライバシーとの調整 -------------------------------------------- 136

4 営利的言論の自由 ----------------------------------------------------------------- 143

5 パブリックフォーラム論 ------------------------------------------------------------ 144

第11章 集会の自由・デモ行進の自由 ···················································· 146

1 集会の自由 ----------------------------------------------------------------------- 146

2 デモ行進の自由(集団行動の自由) -------------------------------------------------- 154

第12章 結社の自由 ···································································· 157

1 意義 ----------------------------------------------------------------------------- 157

2 消極的な結社の自由 --------------------------------------------------------------- 157

3 団体の権利と内部の構成員の人権との利益調整 ---------------------------------------- 158

第13章 選挙運動の自由 ································································ 161

1 意義 ----------------------------------------------------------------------------- 161

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306 矢島の体系整理テキスト 憲法

2 戸別訪問の禁止 ------------------------------------------------------------------- 161

第14章 通信の秘密 ···································································· 162

第15章 職業選択の自由 ································································ 163

1 意義 ----------------------------------------------------------------------------- 163

2 職業選択の自由の限界~違憲審査基準 ------------------------------------------------ 164

3 経済的自由の関連判例-------------------------------------------------------------- 167

4 居住移転の自由 ------------------------------------------------------------------- 175

5 海外渡航の自由 ------------------------------------------------------------------- 176

6 国籍離脱の自由 ------------------------------------------------------------------- 177

第16章 財産権 ······································································· 178

1 財産権の意義 --------------------------------------------------------------------- 178

2 財産権の保障の内容 --------------------------------------------------------------- 178

3 財産権の限界~違憲審査基準 -------------------------------------------------------- 178

4 財産権に関する判例 --------------------------------------------------------------- 179

5 条例による財産権の制限 ------------------------------------------------------------ 184

6 損失補償 ------------------------------------------------------------------------- 185

7 損失補償と国家賠償の谷間~予防接種事故 -------------------------------------------- 188

第17章 人身の自由 ···································································· 189

1 奴隷的拘束からの自由-------------------------------------------------------------- 189

2 適正手続の保障 ------------------------------------------------------------------- 189

3 逮捕と令状主義 ------------------------------------------------------------------- 193

4 弁護人依頼権・勾留理由開示 -------------------------------------------------------- 193

5 捜索・差押えと令状主義 ------------------------------------------------------------ 193

6 拷問・残虐な刑罰の絶対禁止 -------------------------------------------------------- 194

7 刑事被告人の権利 ----------------------------------------------------------------- 194

8 不利益供述の強要禁止・自白の証拠能力と補強法則 ------------------------------------ 196

9 遡及処罰の禁止・一事不再理(二重処罰の禁止) -------------------------------------- 198

10 刑事補償 ----------------------------------------------------------------------- 198

第18章 国務請求権(受益権) ·························································· 199

1 請願権 --------------------------------------------------------------------------- 199

2 裁判を受ける権利 ----------------------------------------------------------------- 199

3 国家賠償請求権 ------------------------------------------------------------------- 201

第19章 参政権 ······································································· 203

1 参政権の意義 --------------------------------------------------------------------- 203

2 選挙権 --------------------------------------------------------------------------- 203

第20章 生存権 ······································································· 208

1 生存権の意義 --------------------------------------------------------------------- 208

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307 矢島の体系整理テキスト 憲法

2 生存権の法的性格 ----------------------------------------------------------------- 208

3 違憲審査基準 --------------------------------------------------------------------- 209

4 生存権に関する関連判例 ------------------------------------------------------------ 210

5 環境権 --------------------------------------------------------------------------- 214

第21章 教育を受ける権利 ······························································ 215

1 教育を受ける権利の意義 ------------------------------------------------------------ 215

2 教育権の所在(教育内容の決定権の帰属主体) ---------------------------------------- 216

3 義務教育の無償 ------------------------------------------------------------------- 219

第22章 労働基本権 ···································································· 220

1 労働基本権の意義 ----------------------------------------------------------------- 220

2 労働組合の統制権 ----------------------------------------------------------------- 220

第23章 国民の義務 ···································································· 222

1 意義 ----------------------------------------------------------------------------- 222

2 国民の3大義務 ------------------------------------------------------------------- 222

第2編 統治 ··········································································· 224

第1章 権力分立 ······································································· 224

1 権力分立の意義 ------------------------------------------------------------------- 224

2 政党と政党国家現象 --------------------------------------------------------------- 224

第2章 国会 ··········································································· 226

1 国会の地位 ----------------------------------------------------------------------- 226

2 委任立法 ------------------------------------------------------------------------- 228

3 国会の組織~二院制 --------------------------------------------------------------- 230

4 衆議院の優越 --------------------------------------------------------------------- 230

5 条約の承認 ----------------------------------------------------------------------- 231

6 国会議員の地位 ------------------------------------------------------------------- 233

7 国会の活動 ----------------------------------------------------------------------- 234

8 国会の権能 ----------------------------------------------------------------------- 235

9 国会の会議の原則 ----------------------------------------------------------------- 235

10 議院の権能 --------------------------------------------------------------------- 236

第3章 内閣 ··········································································· 239

1 憲法65条の意義 ----------------------------------------------------------------- 239

2 独立行政委員会 ------------------------------------------------------------------- 239

3 内閣・内閣総理大臣 --------------------------------------------------------------- 241

4 議院内閣制 ----------------------------------------------------------------------- 242

5 衆議院の解散の根拠 --------------------------------------------------------------- 242

第4章 裁判所 ········································································· 243

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308 矢島の体系整理テキスト 憲法

1 司法権の範囲 --------------------------------------------------------------------- 243

2 司法権の限界 --------------------------------------------------------------------- 246

3 実質的証拠法則の合憲性~実質的証拠法則と司法権 ------------------------------------ 252

4 国民審査 ------------------------------------------------------------------------- 253

5 高裁判所の規則制定権 ------------------------------------------------------------ 254

6 司法権の独立の内容 --------------------------------------------------------------- 255

7 裁判員裁判制度の合憲性 ------------------------------------------------------------ 256

第5章 財政 ··········································································· 257

1 財政民主主義 --------------------------------------------------------------------- 257

2 租税法律主義 --------------------------------------------------------------------- 257

3 公金支出の禁止 ------------------------------------------------------------------- 260

4 予算 ----------------------------------------------------------------------------- 262

第6章 地方自治 ······································································· 264

1 地方自治の意義 ------------------------------------------------------------------- 264

2 地方自治の本旨の内容-------------------------------------------------------------- 265

3 地方自治の法的性質 --------------------------------------------------------------- 265

4 条例 ----------------------------------------------------------------------------- 266

第7章 違憲審査制 ······································································ 269

1 違憲審査権の性格 ----------------------------------------------------------------- 269

2 立法不作為からの救済-------------------------------------------------------------- 272

3 裁判所の憲法判断の方法 ------------------------------------------------------------ 275

第8章 憲法改正 ······································································· 280

1 意義 ----------------------------------------------------------------------------- 280

2 憲法改正の国民投票の方法 ---------------------------------------------------------- 280

3 憲法改正の限界 ------------------------------------------------------------------- 280

第9章 憲法保障 ······································································· 281

1 憲法保障 ------------------------------------------------------------------------- 281

第3編 憲法総論・平和主義 ······························································ 282

第1章 憲法総論 ······································································· 282

1 憲法の意味 ----------------------------------------------------------------------- 282

2 憲法の特質 ----------------------------------------------------------------------- 284

3 法の支配 ------------------------------------------------------------------------- 286

4 明治憲法(大日本帝国憲法) -------------------------------------------------------- 288

5 日本国憲法の成立の法理 ------------------------------------------------------------ 288

6 日本国憲法の基本原理~3大原則 ---------------------------------------------------- 289

第2章 平和主義 ······································································· 294

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309 矢島の体系整理テキスト 憲法

1 意義 ----------------------------------------------------------------------------- 294

2 憲法9条の解釈論 ----------------------------------------------------------------- 294

*巻末付録1 ~ 基本となる違憲審査の判断枠組みのまとめ ································· 296

*巻末付録2 ~ 憲法の論文試験の答案に求められること ··································· 302

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310 矢島の体系整理テキスト 憲法

憲法 判例索引

【昭和】

判昭 23.6.1 ---------------------------------------- 204 大判昭 23.7.29 ----------------------------------- 195 大判昭 23.12.27---------------------------------- 195 判昭 24.5.18 -------------------------------------- 125 大判昭 25.2.1 ------------------------------------- 269 大判昭 27.2.20 ----------------------------------- 253 大判昭 27.10.8 ---------------------------- 244, 269 大判昭 28.12.23--------------------------- 147, 187 判昭 29.1.22 -------------------------------------- 185

東京地決昭 29.3.6 ---------------------------------- 233 判昭 29.7.16 -------------------------------------- 196 大判昭 29.11.24 ---------------------------------- 154 判昭 30.2.9 ---------------------------------------- 203 判昭 30.4.22 -------------------------------------- 254 判昭 30.11.22 -------------------------------------- 47 大判昭 31.5.30 ----------------------------------- 243 大判昭 31.7.4 -------------------------------------- 73 大決昭 31.12.24---------------------------------- 198 大判昭 32.2.20 ----------------------------------- 197 大判昭 32.3.13 ----------------------------------- 135 大判昭 32.12.25------------------------------------- 7 判昭 33.3.28 -------------------------------------- 258 大判昭 33.9.10 ----------------------------------- 176 大判昭 33.10.15----------------------------------- 68 大判昭 34.12.16---------------------------------- 248 大判昭 35.3.9 ------------------------------------- 249 大判昭 35.6.8 ------------------------------------- 247 大決昭 35.7.6 ------------------------------------- 200 大判昭 35.7.20 ----------------------------------- 155 大判昭 35.10.19---------------------------------- 249 判昭 36.2.15 -------------------------------------- 143 大判昭 37.3.7 ------------------------------------- 249 大判昭 37.5.2 ------------------------------------- 197 大判 37.5.30 -------------------------------------- 268

大判昭 37.11.28 --------------------------- 190, 271 大判昭 38.3.27 ----------------------------------- 264 大判昭 38.5.15 ------------------------------------- 82 大判昭 38.5.22 ---------------------- 103, 105, 106 大判昭 38.6.26 ----------------------------------- 184 大判昭 38.12.4 ----------------------------------- 167 大判昭 39.2.2 ------------------------------------- 219 大判昭 39.5.27 ------------------------------------- 48

東京地判昭 39.9.28 ---------------------------------- 34 大決昭 40.6.30 ----------------------------------- 200 判昭 41.2.8 ---------------------------------------- 244

札幌地判昭 42.3.29 -------------------------------- 275 大判昭 42.5.24 ----------------------------------- 210 大判昭 42.7.5 ------------------------------------- 191

旭川地判昭 43.3.25 -------------------------------- 278 大判昭 43.11.27 ---------------------------------- 187 大判昭 43.12.4 ---------------------------- 207, 221 大判昭 43.12.18 -------------------------- 126, 127 大判昭 44.4.2 ------------------------------------- 276 大判昭 44.6.25 ----------------------------------- 138 大判昭 44.10.15 --------------------------------- 135 大決昭 44.11.26 -------------- 108, 128, 129, 130 大判昭 44.12.24 ----------------------------------- 39 大判昭 45.6.24 -------------------------------- 5, 224

東京地判昭 45.7.17 -------------------------------- 114 大判昭 45.9.16 ------------------------------------- 27

東京地判昭 46.11.1 -------------------------------- 279 大判昭 47.11.22 -------------- 167, 168, 194, 196 大判昭 47.12.20 --------------------------------- 195 大判昭 48.4.4 -------------------------------- 55, 277 大判昭 48.4.25 ------------------------------ 23, 276

東京地判昭 48.5.1 ---------------------------------- 106 大判昭 48.12.12 ----------------------------------- 30 判昭 49.7.19 ---------------------------------------- 31

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311 矢島の体系整理テキスト 憲法

大判昭 49.11.6 ------------------------------ 17, 228 大判昭 50.4.30 ---------------------- 167, 171, 277 大判昭 50.9.10 ---------------------------- 122, 267 判昭 50.11.28 ------------------------------ 160, 221 大判昭 51.4.14 -------------------- 69, 70, 71, 277 大判昭 51.5.21 --------------- 103, 215, 216, 217

札幌高判昭 51.8.5 ---------------------------------- 290 判昭 52.3.15 -------------------------------------- 250 判昭 52.7.13 -----------------------------------90, 92 決昭 53.5.31 -------------------------------------- 131 大判昭 53.10.4 ----------------------------------- 6, 7

東京地判昭 55.7.24 -------------------------------- 238 判昭 55.11.28 ------------------------------------- 135 判昭 56.3.24 --------------------------------------- 28 判昭 56.4.7 ---------------------------------------- 244 判昭 56.4.14 --------------------------------------- 40 判昭 56.4.16 -------------------------------------- 139 判昭 56.6.15 -------------------------------------- 161 大判昭 57.7.7 ------------------------------ 211, 300 大判昭 58.6.22 --------------------------------18, 24

東京地判昭 59.5.18 -------------------------------- 188 大判昭 59.12.12--------------------- 112, 276, 296 判昭 59.12.18------------------------------------- 144 大判昭 60.3.27 ------------------------------------ 67 判昭 60.11.21 ------------------------------------- 272 判昭 61.2.14 --------------------------------------- 39 大判昭 61.6.11 ----------------------------- 117, 118 判昭 62.3.3 --------------------------------- 126, 127 大判昭 62.4.22 ---------------------------- 179, 277 判昭 62.4.24 -------------------------------------- 110 判昭 63.2.5 ----------------------------------------- 72 大判昭 63.6.1 -------------------------------------- 98 判昭 63.7.15 --------------------------------------- 75 判昭 63.12.20------------------------------ 225, 251

【平成】 決平元.1.30 --------------------------------------- 130

判平元.3.2 ------------------------------------------- 10 大判平元.3.8 -------------------------------------- 133 判平元.6.20 --------------------------------------- 295 判平元.9.19 ---------------------------------- 13, 116 判平元 12.21-------------------------------------- 142 判平 2.1.18 ---------------------------------------- 216 決平 2.2.16 ---------------------------------------- 195 決平 2.7.9 ----------------------------------------- 130 判平 2.9.28 ---------------------------------------- 125 決平 3.3.29 ---------------------------------------- 198 判平 3.4.19 ---------------------------------------- 188

東京地判平 3.6.21 ------------------------------------ 44 大判平 4.7.1 ------------------------- 146, 191, 192 判平 4.11.16 ----------------------------------------- 7 判平 4.12.15 -------------------------------------- 167 判平 5.2.16 ------------------------------ 85, 99, 100 判平 5.3.16 ---------------------------------- 112, 114 判平 5.9.7 ----------------------------------------- 245 判平 6.2.8 ----------------------------------------- 137 大判平 7.2.22 ------------------------------------- 241 判平 7.2.28 ------------------------------------------- 8 判平 7.3.7 ---------------------------------- 148, 276 判平 7.5.25 ---------------------------------------- 225 判平 7.12.5 ------------------------------------------ 62 判平 7.12.15 ---------------------------------------- 41 決平 8.1.30 ------------------------------------------ 83 判平 8.3.8 ------------------------------------------- 84 判平 8.3.15 ---------------------------------------- 152 判平 8.3.19 ---------------------------------------- 158 判平 8.7.18 ------------------------------------------ 44 判平 8.11.18 -------------------------------------- 198 判平 9.1.30 ---------------------------------------- 197 大判平 9.4.2 -------------------------------------- 101 判平 9.8.29 ---------------------------------------- 114 大決平 10.12.1 ------------------------------------- 21 大判平 11.11.10 --------------------------- 204, 225 判平 12.2.8 ---------------------------------------- 167

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312 矢島の体系整理テキスト 憲法

判平 12.2.29 --------------------------------------- 45 東京高判平 13.2.15 -------------------------------- 121 大判平 14.2.13 ----------------------------------- 182 判平 14.4.25 -------------------------------------- 159 大判平 14.9.11 ---------------------------- 202, 277 判平 14.9.24 ------------------------------- 117, 120 判平 15.3.14 -------------------------------------- 140 判平 15.6.26 -------------------------------------- 175 判平 15.9.12 --------------------------------------- 38 判平 16.4.13 -------------------------------------- 197 判平 16.11.25 ------------------------------------- 110 大判平 17.1.26 -------------------------------------- 9 判平 17.4.14 -------------------------------------- 195 判平 17.4.26 -------------------------------------- 167 判平 17.7.14 -------------------------------------- 156 大判平 17.9.14 --------------- 205, 272, 273, 277 大判平 18.3.1 ------------------------------ 258, 259 判平 18.3.23 --------------------------------------- 27 決平 18.10.3 -------------------------------------- 132 判平 19.2.27 -----------------------------------76, 79 判平 19.9.18 ------------------------------- 123, 276 判平 20.2.19 -------------------------------------- 135

判平 20.3.6 ------------------------------------------ 37 大判平 20.6.4 --------------------------- 56, 58, 277 判平 21.7.14 -------------------------------------- 199 大判平 22.1.20 --------------------------- 90, 94, 97 判平 22.7.22 --------------------------------- 90, 102 判平 23.5.30 ---------------------------------------- 78 大判平 23.11.16 ---------------------------------- 256 判平 24.2.16 ---------------------------------------- 97 判平 24.2.28 -------------------------------------- 213 判平 24.12.7 ----------------------------------- 18, 20 判平 25.1.11 -------------------------------------- 229 判平 25.3.21 -------------------------------------- 268

広島高判平 25.3.25 ---------------------------------- 71 広島高裁岡山支部判平 25.3.26 ------------------- 71 大決平 25.9.4 ------------------------- 59, 270, 277 大決平 25.9.26 ----------------------------------- 270 大判平 25.11.20 ------------------------------------ 71 大判平 26.11.26 ------------------------------------ 70 大判平 27.11.25 ------------------------------------ 70 大判平 27.12.16 --- 46, 62, 63, 64, 65, 66, 277 判平 27.12.16 -------------------------------------- 51 決平 29.1.31 ---------------------------------------- 42