資源効率性に関する調査等事業 報告書 - minister of …aircraft fleet recycling...

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資源効率性に関する調査等事業 報告書 令和元年12月 経済産業省 (委託先) 三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社 令和元年度地球温暖化・資源循環対策等に資する調査委託費

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資源効率性に関する調査等事業

報告書

令和元年12月

経済産業省

(委託先) 三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社

令和元年度地球温暖化・資源循環対策等に資する調査委託費

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■結果概要■

本事業では、「海洋プラスチックごみに関する日・EU共催ネットワーキング」およ

び「持続可能な社会の実現に向けたG20ワークショップ」の開催にあたり、イベント

の背景・目的の明確化および企画の検討のために、海洋プラスチックごみおよび資源

効率性・CFRPリサイクルに関する背景・経緯および各国の取組等を整理した。

また、両イベントを開催するため、イベント企画書の作成、会場及び機材等の確保

と設置、料飲手配、展示ブース等の作成・設置、ホームページの作成運営、イベント

広報業務、出展企業との連絡・調整及び従事者リストの作成、参加者との連絡・調整

及び参加者リストの作成、招聘者の対応等、イベント企画・運営支援等を実施した。

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目 次

I. 調査の目的・概要 ............................................. 1 I-1. 背景と目的 ....................................................... 1 I-2. 事業概要 ......................................................... 1

II. 海洋プラスチックごみに関する日・EU共催ネットワーキング ...... 2 II-1. イベント開催に係る周辺動向調査 .................................. 2 1. 海洋プラスチックごみ問題の背景・経緯 ................................ 2 2. 海洋プラスチックごみ問題に対する取組の動向 .......................... 9

II-2. イベントの企画・運営支援等 ..................................... 18 1. イベントの企画・ロジ手続き等の実施 ................................. 18 2. イベントの開催結果概要 ............................................ 20

III. 持続可能な社会の実現に向けたG20ワークショップ ............. 27 III-1. イベント開催に係る周辺動向調査 ................................. 27 1. 資源効率性およびCFRPリサイクルに関する背景・経緯 ................... 27 2. CFRPリサイクルに関する取組の動向 ................................... 31

III-2. イベントの企画・運営支援等 ..................................... 36 1. イベントの企画・ロジ手続き等の実施 ................................. 36 2. イベントの開催結果 ................................................ 38

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略語一覧

略称 正式名称

ASR Automobile Shredder Residue

AFRA Aircraft Fleet Recycling Association

CF 炭素繊維(Carbon Fiber)

CFRP 炭素繊維強化プラスチック(Carbon Fiber Reinforced Plastic)

CLOMA クリーン・オーシャン・マテリアル・アライアンス

NEDO 新エネルギー・産業技術総合開発機構

PAMELA The Process for Advanced Management of End of-Life-Aircraft

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I.調査の目的・概要

I-1. 背景と目的

G20 では2017 年のハンブルクサミットにおいてG20 各国間のグッド・プラクティスや

各国の経験を共有することを目的として「G20 資源効率性対話」が設置された。日本が

G20の議長国となった2019 年は、6 月に初の「G20 持続可能な成長のためのエネルギー転

換と地球環境に関する関係閣僚会合」が開催され、資源効率性の向上及び海洋プラスチッ

クごみ問題の解決の重要性について合意されたほか、大阪サミットでは、国際的な海洋プ

ラスチックごみ対策の指針として「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」が合意された。

こうした世界的な動きを踏まえ、本業務では、「G20 資源効率性対話」での議論に必要

な項目についての調査・分析を行うとともに、G20 議長国として資源効率・循環経済に関

する国際的な議論を主導するため、「G20 資源効率性対話」の日本での開催を支援した。

I-2. 事業概要

本事業における実施項目と本報告書との対応は図表 1に示す通りである。本事業では、

「海洋プラスチックごみに関する日・EU共催ネットワーキング」および「持続可能な社

会の実現に向けたG20ワークショップ」において、イベントの背景・目的を整理するため

の周辺動向調査およびイベント企画・運営支援等を実施した。

図表 1 本事業の全体像

報告書の対応実施項目

(1)海洋プラスチックごみ問題の解決に向けたビジネスマッチングイベント

(2)CFRPリサイクルの推進に向けたワークショップ

Ⅱ. 海洋プラスチックごみに関する日・EU共催ネットワーキング

Ⅲ. 持続可能な社会の実現に向けたG20

ワークショップ

Ⅱ-1.イベント開催に係る周辺動向調査

Ⅱ-2.イベントの企画・ロジ手続き等の実施

海洋プラスチックごみ問題の背景・経緯

海洋プラスチックごみ問題に対する取組の動向

イベントの企画・ロジ手続きの実施 イベントの開催結果概要

Ⅲ-1.イベント開催に係る周辺動向調査

Ⅲ-2.イベントの企画・ロジ手続き等の実施

資源効率性およびCFRPリサイクルに関する背景・経緯

CFRPリサイクルに関する取組の動向

イベントの企画・ロジ手続きの実施 イベントの開催結果概要

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II.海洋プラスチックごみに関する日・EU共催ネットワーキング

II-1. イベント開催に係る周辺動向調査

1. 海洋プラスチックごみ問題の背景・経緯

本イベントの背景・目的を明確にするため、海洋プラスチックごみ問題の背景・経緯を

整理した。

(1)海洋プラスチックごみの現状

本項では、プラスチックの生産・消費、廃棄・回収・リサイクル、海洋への流出に関す

る現状を整理した。

① プラスチックの生産・消費

世界のプラスチックの生産量は大きく増加している。我が国においても、樹脂生産量お

よび樹脂製品の消費量が、年間1,000万トン程度となる。プラスチックは、その特性から

多様な用途を持ち、経済および生活を支える素材となっている。

図表 2 世界のプラスチック生産量

(出所) Geyer, R., Jambeck, J. R. & Law, K. L. Production, use, and fate of all plastics ever made. Sci.

Adv. 3, e1700782 (2017).

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図表 3 我が国における樹脂生産量・樹脂製品消費量

(出所)プラスチック循環利用協会「2017年プラスチック製品の生産・廃棄・再資源化・処理処分

の状況」

0

200

400

600

800

1,000

1,200

1,400

1,600

1990 1992 1994 1996 1998 2000 2002 2004 2006 2008 2010 2012 2014 2016

樹脂生産量/国内樹脂製品消費量(万トン)

樹脂生産量 (万トン) 国内樹脂製品消費量 (万トン)

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② プラスチックの廃棄・回収・リサイクル

プラスチックの生産・消費の増加に伴い、プラスチックの排出量も増加しており、将

来的にも増加していくことが見込まれる。

我が国や欧米諸国は、以前より制度構築などを通して、プラスチックの有効利用を進

めている。我が国の廃プラスチック有効利用率は増加傾向にあり、現在は約90%とな

っている。

一方、我が国、EU(平均)、米国におけるプラスチックのリサイクル率(マテリア

ルリサイクル)は、それぞれ10~30%程度の範囲におさまる値となっている 1。また、

世界全体で見れば、有効利用されていない廃プラスチックが一定量存在するものとみ

られる。各リサイクル手法のバランスを再評価しつつ、プラスチックの循環を促進する

ことが重要となる。

図表 4 世界の廃プラスチック排出量

(出所)Geyer, R., Jambeck, J. R. & Law, K. L. Production, use, and fate of all plastics ever made. Sci.

Adv. 3, e1700782 (2017).

1 OECD, Improving Plastics Management: Trends, policy responses, and the role of international co-operation and trade (2018)

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図表 5 廃プラスチックの有効利用率

(出所)プラスチック循環利用協会「2017年プラスチック製品の生産・廃棄・再資源化・処理処分

の状況」

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017

有効

利用

率/

マテ

リア

ルリ

サイ

クル

率(

%)

有効利用率 (%) マテリアルリサイクル率 (%)

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③ プラスチックの流出

現在、一部の国ではプラスチックの回収・リサイクルが促進されている。一方、世界

全体でみると、一定割合のプラスチックが使用域から散逸し、海洋におけるプラスチッ

クごみが発生している。近年は、従来から問題視されてきた海洋ごみに加え、マイクロ

プラスチック(5mm以下の微細なプラスチックごみ)の問題が顕在化している。

我が国環境省の発表した漂着ごみ調査結果でも、個数ベースでプラスチックごみの

割合が大きいという結果が出ている。また、プラスチックごみの中では、特に飲料用ボ

トルの割合が大きい。今後、海洋プラスチックごみの実態調査およびそれを踏まえた対

策の実施が期待される。

図表 6 世界のプラスチックの密度分布(モデルによる予測)

(出所)Eriksen M, Lebreton LCM, Carson HS, Thiel M, Moore CJ, et al. (2014) Plastic Pollution in

the World's Oceans: More than 5 Trillion Plastic Pieces Weighing over 250,000 Tons Afloat at Sea. PLOS ONE 9(12): e111913. https://doi.org/10.1371/journal.pone.0111913 https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0111913

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図表 7 我が国の漂着ごみ(プラスチックごみ)の内訳 2

(出所)環境省「海洋ごみをめぐる最近の動向」をもとに三菱UFJリサーチ&コンサルティング株

式会社作成

(2)海洋プラスチックごみ問題をめぐる国際的な動向

G7では、「海洋ごみ問題に対処するためのG7行動計画」、「海洋プラスチック憲章」、「海

洋プラスチックごみに対処するためのG7イノベーションチャレンジ」、G20では、「G20海洋

ごみ行動計画」、「大阪・ブルー・オーシャン・ビジョン」、「G20海洋プラスチックごみ対

策実施枠組」が策定されるなど、国際的にも海洋プラスチックごみ問題への対応が求められ

ている。

G7やG20においては、新興国や途上国を巻き込む必要性が言及されているほか、ライフサ

イクルアプローチ(ライフサイクル全体での対策)の重要性等が提示されている。今後

は、合意された国際的枠組み等に基づき、各国で対策が実施されることが見込まれる。

2 平成28年度全国10地点(稚内、根室、函館、遊佐、串本、国東、対馬、五島、種子島、奄美)で漂

着ごみのモニタリング調査を実施(※調査対象の10地点は、平成22~27年度の間に調査した5地点及び

平成28年度に新たに選定した5地点の計10地点(全国の状況を表すものではないことに留意)、※各地

点の海岸線50mの中に存在したごみの量や種類等を調査)で漂着ごみのモニタリング調査を実施したも

のであり、発砲スチロール片等、劣化して微小であったものは、個数の計測をしていないとされてい

る。

プラスチック

65.8%

金属

4.0%

0.8%

ガラス・陶器

2.8%

0.3%

木材

7.3%

その他人工物

3.1%

自然物

15.9%

漂着ごみ(個数)の内訳

飲料用ボトル

38.5%

その他プラボトル

9.6%

容器類(調味料容器、トレイ、カップ等)

7.4%

ポリ袋

0.6%

カトラリー(ストロー、フォーク、スプー

ン、ナイフ、マドラー)2.7%

魚網、ロープ

10.4%

ブイ

11.9%

発泡スチロールブイ

3.2%

その他漁具

12.3%

その他プラ(ライター、注射器、発泡スチロール等)

3.3%

プラスチックごみ(個数)の内訳

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図表 8 G7・G20における海洋プラスチックごみ問題に関する動向

開催年月 会合名 海洋プラスチックごみに関する動向

2015年6月 G7エルマウサミット 海洋ごみ、特にプラスチックごみが世界的課題

であることが提起され、「海洋ごみ問題に対処

するためのG7行動計画」が策定された。

2016年5月 G7伊勢志摩サミット /G7富山環境大臣会合

3R等により、海洋ごみに対処することが確認さ

れた。

2017年6月 G7ボローニャ環境大臣会

合 「海洋ごみ問題に対処するためのG7行動計画」

のさらなる実施が言及された。

2017年7月 G20ハンブルクサミット

「G20海洋ごみ行動計画」の立ち上げが合意さ

れた。同計画は、社会経済的側面を考慮するこ

とによるものも含め、海洋ごみの発生を予防し

削減することを追求するものとされた。

2018年6月 G7シャルルボワサミット

プラスチックの製造、使用、管理及び廃棄に関

する現行のアプローチが海洋環境、生活及び潜

在的には人間の健康に重大な脅威をもたらすこ

とが認識された。 カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、英国及

び欧州連合の首脳によって「海洋プラスチック

憲章」が承認された。

2018年9月 G7ハリファックス環境・エ

ネルギー・海洋大臣会合

循環経済と海洋ごみ問題の関係が言及された。 また、今後の取組をまとめた「海洋プラスチッ

クごみに対処するためのG7イノベーションチ

ャレンジ」が採択された。

2019年5月 G7メッス環境大臣会合 海洋プラスチックごみ問題について、6月のG20で、新興国・途上国を巻き込んだ実効性のある

枠組みの構築を目指すことが言及された。

2019年6月

G20大阪サミット/G20持続可能な成長のためのエネ

ルギー転換と地球環境に関

する関係閣僚会合

2050年までに海洋プラスチックごみによる追

加的な汚染をゼロにすることを目指すという

「大阪・ブルー・オーシャン・ビジョン」が首

脳間で合意された。 「G20海洋プラスチックごみ対策実施枠組」が

閣僚会合で合意、首脳間で支持された。ライフ

サイクルアプローチの重要性が言及された。

2019年8月 G7ビアリッツサミット 「大阪・ブルー・オーシャン・ビジョン」およ

び「G20海洋プラスチックごみ対策実施枠組」が

支持された。

2019年10月 G20資源効率性対話・G20海洋プラスチックごみ対策実

施枠組フォローアップ会合

海洋プラスチックごみ問題に関する各国対策・

優良事例について報告・共有が行われた。 G20資源効率性対話ロードマップが作成され

た。同ロードマップは、G20海洋プラスチックご

み対策実施枠組との共働に言及している。

(出所)各種資料をもとに三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社作成

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2. 海洋プラスチックごみ問題に対する取組の動向

海洋プラスチックごみ問題が顕在化し、国際的にも対応の要請が出ている中、政府や産

業界において様々な取組が行われている。本イベントを企画するにあたり、イベント参加

主体となる日本およびEUの政府や産業界の状況を把握するため、これらの取組を整理し

た。

(1)海洋プラスチックごみ問題に関する産業界(官民連携を含む)の取組動向

本項では、近年活発化している企業間の連携や官民連携に関する主な取組を整理した。

① 国内における取組動向

国内における産業界を巻き込んだ取組として、クリーン・オーシャン・マテリアル・ア

ライアンス、プラスチック・スマートが存在する。

a) クリーン・オーシャン・マテリアル・アライアンス

クリーン・オーシャン・マテリアル・アライアンス(Japan Clean Ocean Material Alliance

略称:CLOMA)は、2019年1月に設立されたプラットフォームであり、一般社団法人産

業環境管理協会が事務局を務める。海洋プラスチックごみ問題の解決に向け、プラスチッ

ク製品の持続可能な使用や代替素材の開発・導入を推進し、イノベーションを加速するこ

とを目的としている。CLOMA会員は284社・団体(2019年11月27日時点)となり、製造

業、小売業、リサイクル業を含む様々な業界の企業・組織が参画している。

主な活動として、3R技術や用途に応じた最適な代替素材の選択を容易にするための技

術情報の共有、国際機関、研究機関等との連携による情報収集、発展途上国等への情報発

信、技術コンサルティング、最新の開発成果に関する技術交流、技術セミナーの開催など

を実施している。

b) プラスチック・スマート

「プラスチック・スマート -for Sustainable Ocean-」は、2018年10月に立ち上げられた

キャンペーンであり、環境省が主体となって同キャンペーンを展開している。海洋プラス

チック問題の解決に向けて、個人・自治体・NGO・企業・研究機関等の幅広い主体が連

携協働して取組を進めることを後押しすることを目的としている。

同キャンペーンにおいては、幅広い主体の取組を集約し、国内外に発信している。同キ

ャンペーンのウェブサイトに登録されている取組事例は1,009件 3となっている。また、幅

広い主体間での対話・交流を活性化し、連携・協働を促進するためのプラットフォームと

して「プラスチック・スマート」フォーラムが展開されている。 3 2019年12月11日確認

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② 国際的な取組動向

国際的にも産業界の取組が活発化している。官民連携を含むステークホルダー間のネ

ットワーキングが積極的に行われている。

図表 9 海洋プラスチックごみ問題に関連する産業界(官民連携含む)の取組事例

組織名 設立年 目的と活動概要

Nextwave Plastics 2016 年 海洋プラスチックごみ問題を解決するための国際的

なネットワークを形成。主に製造業者が参画してお

り、アウェアネス向上などを実施。

Circular Plastics Alliance 2018 年

再生プラスチック増加に対する自主的取組を促進す

るため、官民のステークホルダーのネットワークを

形成。製品の原材料として使用される再生プラスチ

ックが、2025 年に EU で 1,000 万トンとなることを

目指している。

Commonwealth Clean Oceans Alliance 2018 年

Commonwealth Blue Charter のもと、海洋プラスチッ

ク汚染に取り組むために設立されたアクショングル

ープ。マイクロビーズの製造・販売、プラスチック

製レジ袋の削減、使い捨てプラスチックごみの削減、

などを目指している。

New Plastics Economy Global Commitment

2018 年

廃プラスチックとそれに伴う汚染の対処をするため

の共通のビジョンや目標を持つ民間事業者、政府関

係者、その他の組織によって形成されるネットワー

ク。問題のある不必要なプラスチック品の排除、プ

ラスチックの再利用・リサイクル・堆肥化のための

イノベーション、経済におけるプラスチック循環の

促進などを目指している。

Circular Economy for Flexible Packaging 2018 年

軟包装業界において循環経済の実現を目指すため、

サプライチェーン全体でコンソーシアムを形成。設

計ガイドライン、持続可能な末端市場の発展、持続

可能なビジネスケースの提案などを目指している。

Alliance to End Plastic Waste 2019 年

多様な業界の企業から構成される非営利組織。金融

界、政府関係者、市民社会と連携をしながら、廃プ

ラスチック問題の解決を目指す。 インフラ整備、廃棄物管理のためのインフラ整備、

イノベーション、教育・啓蒙活動、清掃活動などを

実施。 (出所)各組織ウェブサイト等をもとに三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社作成

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(2)海洋プラスチックごみ問題に関する政策動向

本項では、我が国およびEUにおける海洋プラスチックごみ問題に関する近年の主な政

策動向を整理した。

① 国内の政策動向

a) 海洋プラスチックごみ対策アクションプラン

「海洋プラスチックごみ対策アクションプラン」は、2019年5月に「海洋プラスチック

ごみ対策の推進に関する関係閣僚会議」において策定された我が国のアクションプラン

である。「新たな汚染を生み出さない世界」の実現を目指し、我が国が率先して実施する

対策・取組がまとめられている。プラスチックごみの海への流出をいかに抑えるかという

観点から8つの対策分野が設定され、各分野に沿った具体的な対策・取組が提示されてい

る。

図表 10 アクションプランにおける8つの対策分野

対策分野

1 廃棄物処理制度等による回収・適正処理の徹底

2 ポイ捨て・不法投棄、非意図的な海洋流出の防止

3 陸域での散乱ごみの回収

4 海洋に流出したごみの回収

5 代替素材の開発・転換等のイノベーション

6 関係者の連携協働

7 途上国等における対策促進のための国際連携

8 実態把握・科学的知見の集積

(出所)海洋プラスチックごみ対策の推進に関する関係閣僚会議「海洋プラスチックごみ対策アク

ションプラン」をもとに三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社作成

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b) 海洋生分解性プラスチック開発・導入普及ロードマップ

「海洋生分解性プラスチック開発・導入普及ロードマップ」は、2019年5月に経済産業

省によって策定されたロードマップである。官民一体で連携し、新素材・代替素材の一つ

である海洋生分解性プラスチックの開発・導入普及を促進することを目的としている。な

お、代替素材の開発は「海洋プラスチックごみ対策アクションプラン」の対策分野の一つ

として設定されている。主な実施項目として、実用化技術の社会実装、複合素材の技術開

発による多用途化、革新的素材の研究開発があげられている。

同ロードマップ中の実用化技術の社会実装における取組の一つとして、2019年7月に

「海洋生分解性プラスチックの標準化に係る検討委員会」が設立された。同検討委員会で

は、海洋生分解性プラスチックの開発・普及を促進するため、試験方法の開発と国際標準

化を目指した検討を行っている。

図表 11 海洋生分解性プラスチック開発・導入普及ロードマップの概要図

(出所)経済産業省ニュースリリース「海洋生分解性プラスチック開発・導入普及ロードマップ

(概要図)」 https://www.meti.go.jp/press/2019/05/20190507002/20190507002.html (2019年12月確

認)

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c) プラスチック資源循環戦略

「プラスチック資源循環戦略」は、2019年5月に中央環境審議会の審議を経て策定され

た。第四次循環型社会形成推進基本計画を踏まえて策定されたものであり、

「3R+Renewable」を基本原則としたプラスチックの資源循環を創造的に推進することを

目的としている。

同戦略では、4つの重点戦略(プラスチック資源循環、海洋プラスチック対策、国際展

開、基盤整備)を提示しており、海洋プラスチック対策もこれに位置づけられる。なお、

同戦略では、国内におけるプラスチックに関する課題を解決することに加え、日本モデル

を世界全体に拡大し世界全体の問題解決に貢献すること、資源循環関連産業の発展を通

して経済成長・雇用創出を促進すること等も目指されている。

図表 12 「プラスチック資源循環戦略」の概要

(出所)環境省報道発表資料「プラスチック資源循環戦略の概要」

https://www.env.go.jp/press/106866.html (2019年12月確認)

d) マリーン(MARINE)・イニシアティブ

「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」の実現のため、我が国政府は2019年に「マリー

ン(MARINE)・イニシアティブ」を立ち上げた。①廃棄物管理、②海洋ごみの回収、③

イノベーション、④途上国の能力強化に焦点を当て、具体的な対策を提示している。

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② EUの政策動向

a) EUプラスチック戦略

EUでは、2015年に発表されたサーキュラーエコノミーパッケージに基づき、2018年に

プラスチック戦略が策定された。同戦略は、プラスチックのリサイクルに関する経済と質

の改善、廃棄されるプラスチックの削減とプラスチックごみの削減、循環的な解決策に向

けたイノベーションと投資の促進、グローバルな取組の誘導を大きな方針として示して

いる。また、海洋プラスチックごみに関する言及も多くみられる。

b) 特定プラスチック製品の環境負荷低減に関わる指令

2019年5月、特定プラスチック製品の環境負荷低減に関わる指令が採択された。同指令

の主目的は、特定の使い捨てプラスチック製品による環境負荷の予防および削減するこ

ととされている。同指令の前文では、海洋プラスチックごみに関する言及が多くみられ、

海洋プラスチックごみ削減の重要性も強調されている。

同指令は、消費削減、上市制限、製品要件、表示要件、拡大生産者責任、分別収集、ア

ウェアネス向上の方法などについて規定する。2021年3月までに、加盟国は同指令に従う

よう対応しなければならない。また、ANNEXのPART Bでは、上市が制限される使い捨

てプラスチック製品が列挙されており、詳細は以下の通りである(一部簡略化して記載)。

図表 13 上市制限される使い捨てプラスチック製品

条 流通制限に関する第5条で規定される使い捨てプラスチック製品

1 綿棒の軸

2 カトラリー(フォーク・ナイフ・スプーン・箸など)

3 皿

4 ストロー

5 マドラー

6 風船用の棒

7 発泡ポリスチレン製の食品容器

8 発泡ポリスチレン製の飲料容器

9 発泡ポリスチレン製のコップ

10 酸化型分解性プラスチック製の全製品

(出所)DIRECTIVE (EU) 2019/904 OF THE EUROPEAN PARLIAMENT AND OF THE COUNCIL of 5 June 2019 on the reduction of the impact of certain plastic products on the environmentをもとに三菱

UFJリサーチ&コンサルティング株式会社作成

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c) 船内廃棄物の港湾受け入れ施設に関する指令

2019年4月、船内廃棄物の港湾受け入れ施設に関する指令(DIRECTIVE (EU) 2019/883

OF THE EUROPEAN PARLIAMENT AND OF THE COUNCIL of 17 April 2019 on port

reception facilities for the delivery of waste from ships, amending Directive 2010/65/EU and

repealing Directive 2000/59/EC)が採択された。同指令の主な目的は、港湾受け入れ施設

及び受入体制を整備することによって、船内廃棄物の排出が海洋環境に負の影響を与え

るのを防ぐことである。

同指令は、廃棄物の港湾受け入れ施設の整備、廃棄物の適切な取り扱い、事前届け出、

船内廃棄物の搬送、費用分担の仕組み、船舶の検査、情報共有・報告の仕組みなどについ

て規定している。

d) Horizon2020

Horizon2020(2014~2020年)は、EUにおける研究開発を促進するための研究・イノベ

ーション枠組み計画(Framework Programme)である。欧州2020の旗艦イニシアティブの

一つである「イノベーションの統合(Innovation Union)」の一環として位置付けられる。

Horizon2020では、7年間で約800億ユーロの公的資金が投入されている。

2018年~2020年の期間、プラスチック戦略に直接関連するプロジェクトに約1億ユーロ

の予算が割当てられており、海洋プラスチックごみ問題に関するプロジェクトもこれに

含まれるものとみられる。Horizon2020では、これ以前にも約2.5億ユーロがプラスチック

関連プロジェクトに投入されており、総額約3.5億ユーロがプラスチック関連の研究開発

に投じられていることになる。

欧州委員会は成功事例(Success Stories)にあたるプロジェクトを公表しており、プラ

スチック関連のプロジェクトも含まれている。プラスチックリサイクルに関するプロジ

ェクトやバイオプラスチックを含む代替材の開発に関するプロジェクトのほか、海洋プ

ラスチックごみの現状把握に関するプロジェクトも確認された。

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16

図表 14 Horizon2020におけるプラスチック関連の主なSuccess Stories

プロジェ

クト名 実施期間 予算(€) コーディネーター 概要

CLOSEWEEE

2014年 12月~

2018年11月 5,890,660

FRAUNHOFER GESELLSCHAFT ZUR FOERDERUNG DER ANGEWANDTEN FORSCHUNG E.V.(ドイツ)

電子機器の前処理、ポス

トコンシューマ高品質

プラスチックのクロー

ズドループ、アンチモン

や グ ラ フ ァ イ ト 等 の

CRMの高度回収のため

の統合的なソリューシ

ョンの開発。

BHIVE 2015 年 9 月 ~

2020年8月 1,977,781

AALTO KORKEAKOULUSAATIO SR (フィンランド)

再生可能な植物資源か

ら、新型で高価値なバイ

オ物質を合成するため

に使われうる新しいタ

ンパク質ファミリーを

発見するために、ゲノム

およびメタゲノム配列

の領域を明らかにする

ことが目的。

PAPTIC 2016年 11月~

2019年4月 3,136,875 PAPTIC OY (フィンランド)

ビニール袋に対する環

境配慮型の代替品を生

産することで、世界の買

い物袋やフレキシブル

包装産業に改革をもた

らすことを目的とする。

SULACHANGE

2018年 11月~

2020年10月 2,763,125 SULAPAC OY (フィンランド)

プラスチック容器包装

に代替する持続可能な

代替品の開発、普及に関

するプロジェクト。

FRESH 2017 年 2 月 ~

2020年7月 10,641,000

HUHTAMAKI MOLDED FIBER TECHNOLOGY BV (オランダ)

コンビニ食等向けのバ

イオ容器、生分解性容器

の開発。

Ultimaker 2016年9月~ 15,000,000 Ultimaker (オランダ)

幅広く利用可能な3Dプ

リンタの開発。プラスチ

ックリサイクルを含む

幅広い範囲で活用可能

となっている。

DEMETO 2017 年 9 月 ~

2020年8月 9,890,857 NEXTCHEM SRL (イタリア)

アルカリ加水分解重合

反応のプロセス強化と

してのマイクロ波の使

用に関する研究開発。プ

ラスチックリサイクル

の改善に大きく寄与す

ることが期待される。 (出所)各種ウェブサイト等をもとに三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社作成

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図表 14 Horizon2020におけるプラスチック関連の主なSuccess Stories(続き)

プロジェ

クト名 実施期間 予算(€) コーディネーター 概要

TOPIOS 2017 年 4 月 ~

2022年3月 1,484,760 UNIVERSITEIT UTRECHT (オランダ)

海洋プラスチックの追

跡。海洋中のプラスチッ

クの動きを追跡するた

めの包括的なモデリン

グフレームワークの開

発。

GREENRAIL

2016年 10月~

2018年9月 3,272,624 GREENRAIL SRL(イタリア)

ゴムおよびプラスチッ

クのリサイクル材の鉄

道枕木(Greenrail Sleeper)への使用に関

するプロジェクト。

CLAIM 2017年 11月~

2021年10月 6,185,613

HELLENIC CENTRE FOR MARINE RESEARCH (ギリシャ)

水域生態系に対する脅

威となるプラスチック

汚染対策の技術に関す

るプロジェクト。地中海

およびバルト海におけ

る目に見える海洋ごみ

および目に見えない海

洋ごみの予防とその場

での管理を目的とした

技術やアプローチの開

発。

P4SB 2015 年 4 月 ~

2019年3月 7,056,969

RHEINISCH-WESTFAELISCHE TECHNISCHE HOCHSCHULE AACHEN (ドイツ)

P4SB ( Plastic waste to Plastic value using Pseudomonas putida Synthetic Biology:シュ

ードモナス・プチダを用

いた廃プラスチックの

再資源化)法の利用に関

するプロジェクト。

Res Urbis 2017 年 1 月 ~

2019年12月 3,377,915

UNIVERSITA DEGLI STUDI DI ROMA LA SAPIENZA (イタリア)

都市で発生するバイオ

廃棄物を価値のあるバ

イオ由来製品に変換す

ることを目的とする。

First2Run 2015 年 7 月 ~

2019年6月 25,022,689 NOVAMONT SPA

(イタリア)

作物の持続可能な開発

利用のための統合バイ

オファイナリーの実証

を行うことを目的とす

る。 (出所)各種ウェブサイト等をもとに三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社作成

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II-2. イベントの企画・運営支援等

1. イベントの企画・ロジ手続き等の実施

来日中のG20政府関係者に対して、日本企業の取組の紹介、欧州企業(特にリサイクル

関係企業)とのネットワーキングの機会を設けるため、イベント企画書の作成、会場及び

機材等の確保と設置、料飲手配、展示ブース等の作成・設置、ホームページの作成・運営、

イベント広報業務、出展企業との連絡・調整及び従事者リストの作成、参加者との連絡・

調整及び参加者リストの作成、招聘者の対応等、「海洋プラスチックごみに関する日・EU

共催ネットワーキング」の運営支援等を実施した。

(1)実施概要

「海洋プラスチックごみに関する日・EU共催ネットワーキング」は、令和元(2019)

年10月8日(火)に東京で開催された。同イベントは「G20資源効率性対話・G20海洋プラ

スチックごみ対策実施枠組フォローアップ会合」の一部として実施された。G20政府関係

者、ASEAN政府関係者、国内外の民間事業者ら多くの関係者が参加し、活発に情報の共

有が行われた。

図表 15 「海洋プラスチックごみに関する日・EU共催ネットワーキング」概要

イベント名 和名:海洋プラスチックごみに関する日・EU共催ネットワーキング 英名:Japan/EU Joint Networking on Marine Plastic Litter

主催 経済産業省、欧州委員会

開催日時 令和元(2019)年10月8日(火) 16:00~20:00

会場 アイビーホール(サフラン、ミルトス) 東京都 渋谷区渋谷4-4-25

参加人数 約190名(G20政府関係者、ASEAN政府関係者、民間事業者、報道関係者

等) 言語 英語

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(2)プログラム

図表 16 「海洋プラスチックごみに関する日・EU共催ネットワーキング」プログラム

時間 内容

16:00 -

16:10

開会挨拶 1. 経済産業省 産業技術環境局 資源循環経済課 課長 横手 広樹 2. Gabriele Lo Monaco, First Secretary, Delegation of the European Union

to Japan 3. Aditad Vasinonta, Deputy Director General, Office of Industrial

Economics, Ministry of Industry, Thailand 4. Teddy C. Sianturi, Deputy Chairman, Center of Green Industry Agency,

Research and Development of Industry, Ministry of Industry, Indonesia

16:10 -

16:50

企業プレゼンテーション

1. 花王株式会社 2. サントリーホールディングス株式会社 3. ヴェオリア・ジャパン株式会社 4. ECOR

16:00 -

18:00

展示会 【出展企業一覧】 稲畑産業株式会社 ECOR 花王株式会社 株式会社カネカ 川上産業株式会社 サントリーホールディングス株式会社 大日本印刷株式会社 株式会社TBM 株式会社寺岡精工 凸版印刷株式会社 日本エヌ・ユー・エス株式会社 古河電気工業株式会社 株式会社平泉洋行 株式会社平和化学工業所

18:00 -

20:00 レセプション

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2. イベントの開催結果概要

「海洋プラスチックごみに関する日・EU共催ネットワーキング」では、開会挨拶、企

業プレゼンテーション、展示会等を通して、活発に情報共有が行われた。各プログラムの

結果概要は以下の通りである。

(1)開会挨拶

① 主催挨拶

横手広樹氏(経済産業省産業技術環境局資源循環経済課長)より、「海洋プラスチック

ごみに関する日・EU共催ネットワーキング」の目的や意義などについて、主催挨拶が行

われた。続いて、Gabriele Lo Monaco氏(First Secretary, Delegation of the European Union

to Japan)より、国際的な協力関係を構築する必要性などについて、主催挨拶が行われた。

② 来賓挨拶

Aditad Vasinonta氏(Deputy Director General, Office of Industrial Economics, Ministry of

Industry, Thailand)による挨拶があり、タイにおける海洋プラスチックごみ関連の動向な

どについて説明があった。続いて、Teddy C. Sianturi氏(Deputy Chairman, Center of Green

Industry Agency, Research and Development of Industry, Ministry of Industry, Indonesia)に

よる挨拶があり、インドネシアにおける海洋プラスチックごみ関連の動向などについて

説明があった。

(2)企業プレゼンテーション

上山健一氏(花王株式会社ESG部門副統括)より、同社のESG戦略である「Kirei Lifestyle

Plan」や「私たちのプラスチック包装容器宣言」などの関連する取組についてプレゼンテ

ーションが行われた。

福本 ともみ氏(サントリーホールディングス株式会社 執行役員 コーポレートコミュ

ニケーション本部長)より、F to P(フレークからプリフォーム)ダイレクトリサイクル

技術や同社の「プラスチック基本方針」など関連する取組についてプレゼンテーションが

行われた。

Anthony Leroy氏(Deputy director, Plastic recycling department, Veolia Japan)より、同

社のプラスチック循環システムや世界各地で展開するプラスチック回収・リサイクル事

業などの関連する取組についてプレゼンテーションが行われた。

最後に、Sann Carriere氏(CEO ECOR Japan, Noble Environmental Technologies)より、

圧力を利用してセルロースファイバーからパネルを製造する技術など関連する取組につ

いてプレゼンテーションが行われた。

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(3)展示会

展示会では、国内外から14社の企業がブースの出展を行った。出展内容は、素材開発

(生分解性プラ、代替材等)に関するもの、使用・排出削減に関するもの、海洋プラス

チックの回収に関するもの、リサイクル技術に関するものなど、多岐にわたった。

展示会には多くの関係者が来場し、G20政府関係者、ASEAN政府関係者、民間事業

者に対して、日本の事業者をはじめとした民間事業者におけるベストプラクティス(経

験知見・技術)の共有がなされた。出展企業及び出展の概要は以下の通りである。

a) 稲畑産業株式会社

稲畑産業株式会社は、情報電子、化学品、生活産業、合成樹脂などの分野で事業を展

開している。同社は、米国のBiologiQ社に出資を行っている。BiologiQ社は、100%植物

由来かつ生分解性樹脂「NuPlastiQ」を開発しており、これを従来のプラスチックにコ

ンパウンドすることにより、フィルムの強度向上、生分解性促進、リサイクル性向上、

温室効果ガス削減などの機能をもたらすことができる。今後、「NuPlastiQ」を活用し

たコンパウンド事業が展開される見込みである。

本イベントにおいては、「NuPlastiQ」を活用することによって得られる付加価値に

ついて説明が行われたほか、関連製品のサンプル等が展示された。

b) ECOR

ECORは、セルロースファイバーから圧力を利用してパネルを製造する技術を保有し

ている。同技術を用いた製造においては、化石燃料や化学物質の使用はなく、カーボン

フットプリントもゼロとなるほか、廃棄物を再資源化することもできる。現在は、家具

用途での展開が進んでいるが、今後はプラスチックの代替材として容器包装等への利

用も期待される。

本イベントにおいては、同社製品(同社の技術で製造したパネル、ボックス等)のサ

ンプル等が展示された。

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c) 花王株式会社

花王株式会社は、サニタリー製品、ビューティケア製品、機能性食品分野の製品、工

業用製品などの分野で事業を展開している。同社は、ESG戦略である「Kirei Lifestyle

Plan」や「私たちのプラスチック包装容器宣言」を発表するなど、プラスチック問題を

含む環境問題に対する取組を実施している。つめかえ用フィルム容器の普及によるプ

ラスチック使用量削減、つめかえパックのリサイクル等の取組も行っている。

本イベントにおいては、同社の実施するトイレタリー製品におけるプラスチック削

減への取り組み、「RecyCreation(リサイクリエーション)」の仕組み等が紹介された

ほか、各種フィルム容器のサンプル等が展示された。

d) 川上産業株式会社

川上産業株式会社は、梱包材の「プチプチ」や「プラパール」などの輸送・配送用梱

包材・包装資材の製造・販売事業を展開している。同社はリサイクル等の環境問題に対

する取組を積極的に行っており、使用済みポリオレフィン包材のループリサイクルを

推進している。

本イベントにおいては、同社が提案する使用済みポリオレフィン包材の「ループリサ

イクル」の仕組みが紹介されたほか、再生原料を使用して製造された「プチプチ」のサ

ンプル等が展示された。

e) サントリーホールディングス株式会社

サントリーホールディングス株式会社は、食品事業、スピリッツ事業、ビール事業、

ワイン事業、健康食品事業、外食事業などを展開している。同社は、2019年に「プラス

チック基本方針」を策定するなど、持続可能な社会を促進する取組を実施している。既

に一部製品のペットボトルに植物由来の材料を30%使用しているほか、飲料用ペット

ボトルのリサイクルを推進しており、世界最先端のF to P(フレークからプリフォーム)

のダイレクトリサイクル技術を実用化している。

本イベントにおいては、同社の「プラスチック基本方針」、F to Pダイレクトリサイ

クル技術等について説明が行われた。

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f) 大日本印刷株式会社

大日本印刷株式会社は、情報コミュニケーション部門、生活・産業部門、エレクトロ

ニクス部門、清涼飲料部門などの分野で事業を展開している。同社の包装事業部は、持

続可能な社会の実現に向けて、環境負荷を低減するパッケージを推進する取組として、

環境配慮パッケージシリーズ「GREEN PACKAGING」を展開している。持続可能な原

料調達、CO2の削減、リサイクルの推進が同シリーズの特長とされている。

本イベントにおいては、「GREEN PACKAGING」を含む環境方針について説明が行

われたほか、DNP植物由来包材バイオマテック、DNPモノマテリアル包材のサンプル

等が展示された。

g) 株式会社TBM

株式会社TBMは、日本発の新素材であるLIMEXを取り扱う。LIMEXは、炭酸カルシ

ウムなど無機物を50%以上含む、無機フィラー分散系の複合材料であり、紙・プラスチ

ックの代替となる素材であり、石油由来樹脂の使用量を抑えてプラスチックの代替製

品をつくることを可能とする。また、使用済みの代替製品を回収、リサイクルするなど、

アップサイクルによる資源循環モデルの構築を推進している。

本イベントにおいては、LIMEXやアップサイクルによる資源循環モデルに関する説

明が行われたほか、各種製品サンプル等(メニュー表、スマホケース、ボールペン、食

品容器、くし等)が展示された。

h) 株式会社寺岡精工

株式会社寺岡精工は、流通小売分野、食品製造・加工分野、製造・物流分野、飲食・

専門店分野などで事業を展開している。同社は、世界的な問題となっている廃プラスチ

ックの海洋汚染を背景に、新たなペットボトルリサイクルの仕組みを関連するステー

クホルダーと共に進めるほか、ペットボトル減容回収機を全国に設置し、運搬時に排出

されるCO2を削減すると共に、消費者参加型のボトルtoボトルリサイクルの実現に取り

組んでいる。

本イベントにおいては、ペットボトル減容回収機が展示され、実際にペットボトル減

容回収の実演が行われた。

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i) 凸版印刷株式会社

凸版印刷株式会社は、情報コミュニケーション、生活・産業、エレクトロニクスなど

の分野で事業を展開している。同社は「サステナブルパッケージソリューション」を軸

として、パッケージの紙化、パッケージの単一素材化、パッケージにおけるリサイクル

材の使用等の推進を行っている。

本イベントにおいては、「サステナブルパッケージソリューション」について説明が

行われたほか、メカニカルリサイクルPETフィルム、モノマテリアル高機能包材、カー

トカンなど関連製品のサンプル等が展示された。

j) 日本エヌ・ユー・エス株式会社

日本エヌ・ユー・エス株式会社は、法整整備支援から現場調査にわたる幅広い実績と

経験をもとに、処理技術評価や施設導入支援、法整備支援から対策実行のためのガイド

ラインづくりまで包括的な支援事業を展開している。海洋プラスチックごみ問題に関

しても、発生源調査、実態調査、有害性評価、計画策定、対策検討、処理施設導入支援

など一連のコンサルティングサービスを展開している。

本イベントにおいては、過去の調査結果やコンサルティングサービスの紹介、各事業

者や政府との協力可能性について説明が行われた。

k) 古河電気工業株式会社

古河電気工業株式会社は、情報通信、エネルギー、自動車、電子部品、建設・建築な

どの分野で事業を展開している。同社は、Packaging Wasteに古紙を加え、アップサイ

クルする独自技術を開発している。これによって、Packaging Wasteのリサイクルでは

強度が低くなってしまうという課題に対応することができる。同技術は、すでに同社製

品に展開されている。

本イベントにおいては、同社の技術で製造される再生プラスチックの特性の紹介が

行われたほか、同技術を用いて製造された各種製品(電線保護トラフ等)のサンプル等

が展示された。

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l) 株式会社平泉洋行

株式会社平泉洋行は、ゴム・エラストマー、機械・ソフトウェア、H&K製品などの

分野で事業を展開している。同社は、海洋プラスチックごみを含む水面に浮遊するごみ

を回収する装置「SEABIN」を開発した。オーストラリアやヨーロッパを中心に、17か

国で約719台が設置されている(2019年7月時点)。

本イベントにおいては、海洋プラごみ回収装置「SEABIN」および「SEABIN」を用

いて回収したマイクロプラスチックが展示されたほか、「SEABIN」で海洋浮遊ゴミを

回収する動画の上映が行われた。

m) 株式会社平和化学工業所

株式会社平和化学工業所は、各種プラスチック容器(化粧品容器・薬品容器・食品容

器・工業部品)を行っている。同社は、リサイクルプラ、生分解性プラ、バイオマスプ

ラで課題となる安全性、耐薬品性、保存能力などを解決する方法として、耐薬品性・バ

リア性の高い樹脂をラミネート(積層)したボトルを提案している。

本イベントにおいては、回収されたプラスチックごみをリサイクル材として活用し

たリサイクルボトル、バイオマスプラスチックを主材料としたバイオマスボトル、生分

解性プラスチックを使用した生分解性ボトルのサンプル等が展示された。

n) 株式会社カネカ

株式会社カネカは、自動車・航空・宇宙、住宅・建築・土木、環境・エネルギー、情

報通信、医療・医薬、食品・サプリメント、日用品、農業・漁業、化成品などの分野で

事業を展開している。同社は、微生物によって植物油を原料にして生産される100%バ

イオマス由来のポリマー「カネカ生分解性ポリマーPHBH」を開発した。優れた生分解

性が特徴であるほか、様々な形状に加工してプラスチックと同様に使用可能である。

本イベントにおいては、「カネカ生分解性ポリマーPHBH」の性能等について説明が

行われたほか、「カネカ生分解性ポリマーPHBH」の成形サンプル及び海水分解サンプ

ル等が展示された。

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図表 17 会場の様子

図表 18 開会挨拶の様子

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III.持続可能な社会の実現に向けたG20ワークショップ

III-1. イベント開催に係る周辺動向調査

1. 資源効率性およびCFRPリサイクルに関する背景・経緯

本イベントの背景・目的を明確にするため、資源効率性およびCFRPリサイクルに関す

る背景・経緯を整理した。

(1)資源効率性の背景・経緯

世界の天然資源採掘量および廃棄物発生量は増加傾向である。新興国等の経済発展に

ともない、将来的にも増加していくことが見込まれる。資源を有効に利用することが重要

となる。

図表 19 世界の天然資源採掘量(Domestic Extraction)の推移

(出所)UNEP-IRP, UN Environment International Resource Panel Global Material Flows Database をもとに三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社作成

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

100

197019721974197619781980198219841986198819901992199419961998200020022004200620082010201220142016

Dom

estic

Ext

ract

ion(

Gig

aton

ne)

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図表 20 世界(地域別)の都市固形廃棄物発生量見込み

(出所) World Bank, WHAT A WASTE 2.0をもとに三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社

作成

2015年のG7エルマウサミットで「産業の競争力、経済成長と雇用、並びに環境、気候

及び惑星の保護のために極めて重要と考える資源効率性の向上」について言及があって

以降、国際的にも資源効率性の向上に関する議論が行われている。

資源効率性のためのG7アライアンスやG20資源効率性対話のもと、G7およびG20の両

方で資源効率性の向上に関する議論及び合意形成が進められている。2019年10月のG20資

源効率性対話・G20海洋プラスチックごみ対策実施枠組フォローアップ会合では、G20資

源効率性対話ロードマップが作成され、各国に求められる具体的な行動指針が示された。

0

200

400

600

800

2016 2030 2050

中東・北アフリカ

0

200

400

600

800

2016 2030 2050

サブサハラアフリカ

0

200

400

600

800

2016 2030 2050

ラテンアメリカ・カリブ

0

200

400

600

800

2016 2030 2050

北米

0

200

400

600

800

2016 2030 2050

南アジア0

200

400

600

800

2016 2030 2050

東アジア・太平洋

0

200

400

600

800

2016 2030 2050

ヨーロッパ・中央アジア

単位:100万トン

(注)東アジア・太平洋は東南アジア諸国も含む

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図表 21 G7・G20における資源効率性に関する動向

開催年月 会合名 資源効率性に関する動向

2015年6月 G7エルマウサミット

産業の競争力、経済成長と雇用、並びに環境、

気候及び惑星の保護のために極めて重要と考え

られる資源効率性の向上に努めることが言及さ

れた。また、資源効率性のためのG7アライアン

スの設立が合意された。

2016年5月 G7伊勢志摩サミット /G7富山環境大臣会合

「富山物質循環フレームワーク」が採択され、

資源効率性の向上に関する行動目標が設定され

た。

2017年6月 G7ボローニャ環境大臣

会合

「ボローニャ・5ヵ年ロードマップ」が採択さ

れ、資源効率性に関する具体的な行動計画が示

された。

2017年7月 G20ハンブルクサミッ

G20資源効率性対話の立ち上げが合意され、ラ

イフサイクル全体にわたる天然資源利用の効率

性及び持続可能性を向上させるため、並びに、

持続可能な消費生産形態を促進するため、グッ

ド・プラクティス及び各国の経験が共有される

こととなった。

2017年11月 第1回G20資源効率性対

話 今後の意見交換の継続が確認された。

2018年9月 G7 ハリファックス環

境・エネルギー・海洋大

臣会合

G7およびG20における継続的な対話及びベスト

プラクティスの共有が奨励された。

2019年5月 G7メッス環境大臣会合 民間部門及び社会全体で資源効率を促進するた

めの適切な施策、アプローチ、及びパートナシ

ップの確立を目指すことが言及された。

2019年6月

G20大阪サミット/G20持続可能な成長のため

のエネルギー転換と地

球環境に関する関係閣

僚会合

議長国(日本)の下でのG20資源効率性対話のロ

ードマップが策定が期待されることが言及され

た。 資源効率性と海洋プラスチックごみ問題や食品

ロス問題との関係性が言及された。

2019年10月

G20資源効率性対話・

G20海洋プラスチック

ごみ対策実施枠組フォ

ローアップ会合

今後のG20資源効率性対話の活動を、有効に促

進するための指針として、G20 資源効率性対話

ロードマップが作成された。

(出所)各種資料をもとに三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社作成

Page 36: 資源効率性に関する調査等事業 報告書 - Minister of …Aircraft Fleet Recycling Association CF 炭素繊維( Carbon Fiber) CFRP 炭素繊維強化プラスチック(

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(2)CFRPリサイクルの背景・経緯

世界のCFRPの需要は増加している。CFRPの特性を活かした様々な用途が開発されて

おり、今後も需要増大が見込まれる。それに伴い排出量も増加することが予測され、適正

処理やリサイクル等の対応が課題となる。また、CFRPのリサイクル材はバージン材と比

較して省CO2かつ低コストで利用できる可能性も指摘されている。

図表 22 炭素繊維の需要量と用途の推移

(出所)循環経済ビジョン研究会(第3回)東レ株式会社 産業材料事業部 奥村勇吾氏 発表資

料「炭素繊維・CFRPのリサイクル材の利用促進に向けた課題と今後の見通しについて」10頁

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2. CFRPリサイクルに関する取組の動向

現状では、CFRPリサイクル技術の実用化およびリサイクルの事業化は多くは行われて

おらず、国内外で実用的な技術開発のための取組が行われている。本イベントを企画する

にあたって、CFRPリサイクルの進展状況や課題を把握するため、CFRPリサイクルに関す

る国内外の主な取組動向を整理した。

(1)CFRPリサイクルに関する国内の取組動向

本項では、近年のCFRPリサイクルに関する国や産業界の主な取組を整理した。

① NEDOプロジェクト

NEDOでは、CFRPのリサイクルに関する技術開発プロジェクトが実施されてきた。過

去の成果報告で確認できたプロジェクトを以下の通り整理した。

図表 23 NEDOにおけるCFRPリサイクルに関連するプロジェクト事例

プロジェクト名 実施期間 実施主体 概要

亜臨界流体による炭

素繊維強化プラスチ

ックのリサイクル技

術の開発

2007年 ~2010年 静岡大学

亜~超臨界流体を用いたCFRPのリサイクル技術の開発を目的

として実施。回収炭素繊維を

CFRPとして再利用する場合、炭

素繊維の表面酸化処理が必要な

ことを明らかにした。

リサイクル炭素繊維

の低コスト省エネ再

生技術の研究開発

2010年度 ~2012年度

岐阜大学、カー

ボンファイバー

リサイクル工業

長繊維の炭素繊維再生プロセス

の省エネルギー性を向上させる

ことを目的として実施。CFRP中のプラスチック成分由来のエネ

ルギーを徹底活用し、省エネル

ギー性に優れた炭素繊維の再生

プロセス及び周辺制御システム

の開発を実施。

自動車に用いられる

炭素繊維複合材料の

リサイクル技術に関

する検討

2015年 矢野経済研究所 CFRPを含むASRの処理におい

て、安全、適正、低コストの再

資源化処理を行う方法を調査。

(出所)各プロジェクト報告書等をもとに三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社作成

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② 民間企業や大学・研究機関における取組動向

民間企業及び大学・研究機関において、CFRPのリサイクルに関する技術開発等の取組

が実施されてきた。各種報道資料や論文等で確認できた取組を以下の通り整理した。

図表 24 民間企業等におけるCFRPリサイクルに関連する取組事例

実施主体名 取組事例概要

アイカーボン株式会社 CFRP廃材から電気分解法で炭素繊維を回収、リサ

イクルする技術に関する研究開発。

株式会社サンケンテック CFRPの端材から炭素繊維のみを抽出する技術に

関する研究開発。

髙安株式会社 再生CFファイバー及び短カットの量産化の検討。

再生CFファイバーを用いた不織布の生産技術に

関する研究開発。

東レ株式会社/帝人株式会社/三

菱レイヨン株式会社 熱分解法によるCFRPのリサイクル技術に関する

研究開発。

東レ株式会社/豊田通商株式会社 革新省エネルギー熱分解法による高効率リサイク

ル炭素繊維製造技術に関する研究開発。

日立化成株式会社 常圧溶解法によるCFRPのリサイクル技術に関す

る研究開発。 一般財団法人ファインセラミック

スセンター/髙砂工業株式会社 過熱水蒸気を利用したCFRPからの炭素繊維回収

と繊維表面改質に関する研究開発。

三菱重工業株式会社 航空機複合材廃材のリサイクル利用に関する研究

開発。 (出所)各種資料をもとに三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社作成

図表 25 大学・研究機関等におけるCFRPリサイクルに関連する取組事例

大学・研究機関

公益財団法人 石川県産業創出支援

機構(ISICO)/金沢工業大学

熱可塑性プリプレグシートの製造法、熱可塑性ス

タンパブルシートの製造法、プレス成形加工法、

リサイクル技術等に関する研究開発。

新構造材料技術研究組合(ISMA) ライフサイクルアセスメント(LCA)を重視した

CFRPリサイクル技術等に関する研究開発。

熊本大学 亜臨界流体法によるCFRPのリサイクル技術に関

する研究。 (出所)各種資料をもとに三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社作成

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③ 日本自動車工業会の取組動向

日本自動車工業会は、Li-ion電池リサイクルシステムの検討、CFRP適正処理の検討、新

冷媒への切替、樹脂リサイクル促進に向けた取組など、次世代車の適正処理・再資源化の

取組を行っている 4。CFRPの適正処理の検討に関しては、廃CFRPの処理実態・フローや

経済合理性の検討、サーマルリサイクル処理に関する検討、マテリアルリサイクル処理に

関する検討などを行っている。

2018年には、CFRP(炭素繊維強化プラスチック)の適正処理に関する基礎研究を開始す

ることを発表した。同研究会では、CFの基礎燃焼特性と燃焼メカニズムの把握や現存燃

焼処理設備での燃焼処理の方向性の設定などを目指している。

また、2019年2月には、自動車由来の廃CFRP適正処理に関連するコンソーシアムも設

立されている。同コンソーシアムには、日本自動車工業会を発起人として、日本化学繊維

協会、JFEテクノリサーチ、矢野経済研究所、東レリサーチセンター等がメンバーとして

参画している。

4 日本自動車工業会に取組に関しては、産業構造審議会産業技術分科会廃棄物・リサイクル小委員会

自動車リサイクルWG中央環境審議会循環型社会部会自動車リサイクル専門委員会 第47回合同会議

一般社団法人日本自動車工業会発表資料「次世代車の適正処理・再資源化の取組状況」を参照

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(2)CFRPリサイクルに関する国際的な動向

本項では、近年のCFRPリサイクルに関する国や産業界の主な取組を整理した。

① Horizon2020におけるプロジェクト

Horizon2020では、CFRPリサイクルに関するプロジェクトが実施されている。Circular

economyと関連付けられたプロジェクトも存在する。

図表 26 Horizon2020におけるCFRPリサイクル関連の主なプロジェクト

プ ロ ジ ェ

クト名 実施期間 予算(€) コーディネー

ター 概要

FiberEUse 2017年6月~

2021年3月 11,943,964 POLITECNICO DI MILANO (イタリア)

使用済みの繊維強化複合

材のリユースを中心とし

た circular economy関連の

実証。複合材のリサイクル

やリユースにおける採算

性の向上を目的とした各

種取組を統合することが

目的。

d-CFRPs 2018年9月~

2021年9月 187,572

TECHNISCHE UNIVERSITEIT DELFT (オランダ)

最先端のナノ改質技術を

用いて、適切な機械的特

性、破壊特性、疲労特性を

備えた高性能リサイクル

CFRPに開発に関するプロ

ジェクト。

Repair3D 2019年1月~

2023年1月 5,998,833 WARRANT HUB SPA (イタリア)

高度な3Dプリント装置向

けのプラスチックのリサ

イクル再利用に関するプ

ロジェクト。使用済みのプ

ラスチックおよびCFRP部品の革新的な再生、再利用

方法の開発を目的とする。

(出所)各種資料をもとに三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社作成

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② 航空業界における取組動向(コンソーシアム等)

a) PAMELA(The Process for Advanced Management of End of-Life-Aircraft)

The Process for Advanced Management of End of-Life-Aircraft(PAMELA)は、環境及

び公衆衛生の観点から、使用済み航空機の安全な管理を目的として実施されたプロジェ

クトである。Airbus社が中心となって、同プロジェクトは実施された。

同プロジェクト内でCFRPリサイクルの取組を実施したことは確認されていない。一方、

中心メンバーであったAirbus社は、複合材のリサイクルに関するアドバイザリーボード

(the Airbus Composite Recycling Advisory Board)を設置し、CFRPリサイクルに関する調

査を行う等、積極的な取組を実施している。

b) Aircraft Fleet Recycling Association

Aircraft Fleet Recycling Association(AFRA)は、航空産業における部品や航空機の安全

かつ持続可能な循環を発展、促進させるための国際的な組織であり、2006年に設立され

た。理事(Board of Directors)は、CAVU Aerospace、Boeing Commercial Airplanes、Mastermelt

Alloy、Bombardier Aviation、Air Salvage International Ltd.、eCube Solutions、ELG Haniel

Metals Corp.、GA Telesis LLC、GOAL German Operating Aircraft Leasing GmbH & Co. KG、

Lufthansa Technik AGから構成されており 5、これらの企業が中心となって活動を行って

いるものとみられる。

同組織の中心メンバーであるBoeing社は、CFRPのリサイクル材の生産にかかるコスト

やエネルギー消費量に関する調査等も行っている。

③ MAI Recyclingにおける取組動向

MAI Carbonは、ドイツ連邦政府教育研究省が選定する先端クラスターの一つであり、

2012年に選定された。MAI Carbonは、主にCFRPに関する技術開発等を行うこととなって

いる。主な戦略目的としては、サイクル・タイム(の改善)、工程コストの削減、生産過

程の効率化、生産工程における廃棄物の削減、リサイクル率(の改善)、CO2効率(の改

善)が掲げられている。

MAI Carbonでは、プロジェクトの一つとしてMAI Recyclingが実施された。同プロジ

ェクトでは、製造廃棄物または混合材料から、処理済み炭素繊維にまでおよぶ統合的なリ

サイクルプロセスチェーン(integrated recycling process chain)の開発を目指すプロジェ

クトである。予算は3,200万ユーロ程度であり、bifa Umweltinstitut GmbH、Audi AG、BMW

AG、Neenah Gessner GmbH、Fraunhofer-Institut für Bauphysik、SGL Carbon GmbH、Siemens

AG、Voith Composites GmbH & Co. KGがメンバーとして参加した。 5 2019年12月17日時点

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III-2. イベントの企画・運営支援等

1. イベントの企画・ロジ手続き等の実施

G20で来日中の政府関係者、国内外からの講演者を招いた「持続可能な社会の実現に向

けたG20ワークショップ」を開催するため、イベント企画書の作成、イベント広報業務、

登壇者の選定・調整、参加者との連絡・調整及び参加者リストの作成、招聘者の対応等、

イベントの運営支援等を実施した。

(1)実施概要

「持続可能な社会の実現に向けたG20ワークショップ」は、令和元(2019)年10月11日

(金)に東京で開催された。同イベントは「G20資源効率性対話・G20海洋プラスチック

ごみ対策実施枠組フォローアップ会合」の一部として実施された。G20政府関係者、国内

外の有識者及び民間事業者ら多くの関係者が出席した。

図表 27 「持続可能な社会の実現に向けたG20ワークショップ」概要

イベント名 和名:持続可能な社会の実現に向けたG20ワークショップ 英名:G20 Workshop for Achieving the Sustainable Society -Accelerating the use of recycled CFRP -

主催 経済産業省、環境省、国連大学サステイナビリティ高等研究所(UNU-IAS)

開催日時 令和元(2019)年10月11日(金) 9:30~12:30

会場 国連大学 ウ・タント国際会議場 3F 東京都渋谷区神宮前5-53-70

参加人数 約120名(G20政府関係者、有識者、民間事業者、報道関係者等)

言語 日英同時通訳

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(2)プログラム

図表 28 「持続可能な社会の実現に向けたG20ワークショップ」プログラム

時間 内容

9:30 -

10:00

基調講演 【講演者】 中部大学 経営情報学部 教授 細田 衛士

10:00 -

10:30

プレゼンテーション(Airbus) 【講演者】 Rafael Avila-Dominguez, Head of Thermoset Composites Technologies,

Airbus

10:30 -

11:00

プレゼンテーション(トヨタ自動車) 【講演者】 トヨタ自動車株式会社 モノづくり開発・PJT推進部 企画総括室

主査 上野 紀幸

11:00 -

11:10 休憩

11:10 -

12:10

パネルディスカッション 【ファシリテーター】 産業技術総合研究所 環境管理研究部門 資源精製化学研究グループ

招聘研究員 加茂 徹 【パネリスト】 京都大学 工学研究科 教授 北條 正樹 Rafael Avila-Dominguez, Head of Thermoset Materials & Technologies,

Airbus トヨタ自動車株式会社 モノづくり開発・PJT推進部 企画総括室

主査 上野 紀幸 カーボンファイバーリサイクル工業株式会社 代表取締役 板津 秀人

12:10 -

12:30

質疑応答 フォトセッション

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2. イベントの開催結果

「持続可能な社会の実現に向けたG20ワークショップ」では、基調講演、プレゼンテー

ション、パネルディスカッション等を通して、活発に情報共有および議論が行われた。各

プログラムの結果概要は以下の通りである。

(1)基調講演

細田衛士氏(中部大学)より、「Japan's Way toward a Circular Economy」題した基調講

演が行われた。資源効率性の向上に関する日本の取組、日本の循環経済のコンセプト

(Japan’s new Reiwa CE Vision)、CFRPリサイクル推進の重要性などについて発表が行

われた。

(2)プレゼンテーション

Rafael Avila-Dominguez氏(Airbus)より、「Environmental Challenges & Trends in

Aeronautical Industry–Accelerating the use of recycled CFRP」と題してプレゼンテーション

が行われた。航空業界ではCFRPの需要が増加しており、CFRPを含む複合材のリサイクル

を確立する必要がある旨が述べられた。

続いて、上野紀幸氏(トヨタ自動車)より、「For Sustainable Economy with CFRP

Technologies(CFRPにおける持続可能な循環経済を目指して)」と題してプレゼンテーシ

ョンが行われた。自動車業界では軽量化の観点からCFRPの利用に着目していること、持

続可能な循環社会を考えるうえで(1)経済面、(2)環境面、(3)社会面の大きな3

つの観点が必要であることが言及された。

(3)パネルディスカッション

以下のファシリテーターおよびパネリストによるパネルディスカッションが行われ、

CFRPリサイクルの現状と課題について活発な議論が行われた。

■ファシリテーター

加茂 徹(産業技術総合研究所 環境管理研究部門 資源精製化学研究グループ

招聘研究員)

■パネリスト

北條 正樹(京都大学工学研究科教授)

Rafael Avila-Dominguez(Head of Thermoset Composites Technologies, Airbus)

上野 紀幸(トヨタ自動車株式会社 モノづくり開発・PJT推進部 企画総括室 主査)

板津 秀人(カーボンファイバーリサイクル工業株式会社 代表取締役)

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① プレゼンテーション

板津秀人氏(カーボンファイバーリサイクル工業)より、同社の開発するCFRPリサイ

クル技術や実用化に向けた課題などについてプレゼンテーションが行われた。その後、北

條正樹氏(京都大学)より、CFRPを含む複合材リサイクルの技術的な課題、CFRPの国際

標準化の動向などについてプレゼンテーションが行われた。

② ディスカッション

CFRPリサイクルの現状と課題について、以下のような議論が行われた。

・ CFRP の循環のループが未だ確立されておらず、いかにしてループを確立するかが今

後の課題となる。

・ CFRP のリサイクル材の性能を明確にすることで用途も明確になるため、リサイクル

材の評価手法の確立や関連事項の標準化が重要である。

・ CFRP のリサイクル市場を創出するうえで、トレーサビリティや品質保証の標準化が

重要である。

・ 複合材の再利用(リユース)の可能性の検討も重要であり、水平リユースを考慮した

製品製造も検討の必要がある。

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図表 29 フォトセッションの様子

図表 30 パネルディスカッションの様子

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令和元年度地球温暖化・資源循環対策等に資する調査委託費 資源効率性に関する調査等事業

報告書

令和元年12月

委託先: 三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社 (担当:環境・エネルギー部/清水・小川・迫田)

※無許可の転載・掲載を禁じます。

Page 49: 資源効率性に関する調査等事業 報告書 - Minister of …Aircraft Fleet Recycling Association CF 炭素繊維( Carbon Fiber) CFRP 炭素繊維強化プラスチック(

(様式2)

頁 図表番号p2 2p4 4p6 6p30 22

報告書の題名:令和元年度地球温暖化・資源循環対策等に資する調査委託費(資源効率性に関する調査等事業)報告書

委託事業名:令和元年度地球温暖化・資源循環対策等に資する調査委託費(資源効率性に関する調査等事業)

受注事業者名:三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社

世界のプラスチック生産量

世界の廃プラスチック排出量

世界のプラスチックの密度分布(モデルによる予測)

炭素繊維の需要量と用途の推移

二次利用未承諾リスト

タイトル