市の財政状況の紹介 - city of nagoya...27,637 見込 予算 の 計 会 全 計 合 の 計...

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10 歳入の中心である市税は、平成20年度予算の5,289億円をピークに減少傾向でしたが、景気の回復により平成 26年度からは再び5,000億円台となり、平成29年度予算では前年度に比べて46億円増加しました。これは法人 市民税が企業収益の減益により減収となりますが、個人市民税が個人所得の増加により増収となることや、固定 資産税が家屋の新増築などにより増収となることによるものです。 また、市債の平成29年度予算は、地方交付税の肩代わりである臨時財政対策債が増加した(平成28年度 200億円、平成29年度300億円)ことなどにより、全体で前年度に比べ95億円増加しました。 歳入の状況 予算の推移 市の収入は、市税などの自主財源と国庫 支出金などの依存財源に分けられます。 自主財源比率は、平成22年度以降70% を下回り、平成29年度では60.0%となって いますが、これは指定都市の中では2番目 に高い数値です。 自主財源と依存財源 自主財源比率 歳入全体に占める自主財源の割合のことです。自主財源とは、市税、使用料、 手数料など市が自主的に収入できる財源で、この割合が高いほど、安定的で 自主的な財政運営が可能であるといえます。 0 2,000 4,000 6,000 8,000 10,000 12,000 (億円) 歳入予算の推移 その他 市 債 市 税 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27 H28 H29 9,837 3,743 805 5,289 9,908 3,883 1,025 5,000 10,345 4,343 1,233 4,769 10,499 4,691 936 4,872 10,288 4,650 920 4,718 10,259 4,591 788 4,880 10,574 4,722 852 5,000 10,723 5,016 706 5,001 10,856 5,110 681 5,065 11,712 5,825 776 5,111 0 25 50 75 100 (%) 自主財源比率の推移 依存財源 自主財源 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27 H28 H29 72.4 70.7 66.0 65.9 66.3 67.6 65.5 64.8 64.5 60.0 市の財政状況の紹介 市の財政状況 市の財政状況って どうなって いるんだろう?

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 歳入の中心である市税は、平成20年度予算の5,289億円をピークに減少傾向でしたが、景気の回復により平成26年度からは再び5,000億円台となり、平成29年度予算では前年度に比べて46億円増加しました。これは法人市民税が企業収益の減益により減収となりますが、個人市民税が個人所得の増加により増収となることや、固定資産税が家屋の新増築などにより増収となることによるものです。 また、市債の平成29年度予算は、地方交付税の肩代わりである臨時財政対策債が増加した(平成28年度200億円、平成29年度300億円)ことなどにより、全体で前年度に比べ95億円増加しました。

歳入の状況予算の推移

 市の収入は、市税などの自主財源と国庫支出金などの依存財源に分けられます。 自主財源比率は、平成22年度以降70%を下回り、平成29年度では60.0%となっていますが、これは指定都市の中では2番目に高い数値です。

自主財源と依存財源

自主財源比率歳入全体に占める自主財源の割合のことです。自主財源とは、市税、使用料、手数料など市が自主的に収入できる財源で、この割合が高いほど、安定的で自主的な財政運営が可能であるといえます。

0

2,000

4,000

6,000

8,000

10,000

12,000(億円)

歳入予算の推移

その他市 債市 税

H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27 H28 H29

9,837

3,743

805

5,289

9,908

3,883

1,025

5,000

10,345

4,343

1,233

4,769

10,499

4,691

936

4,872

10,288

4,650

920

4,718

10,259

4,591

788

4,880

10,574

4,722

852

5,000

10,723

5,016

706

5,001

10,856

5,110

681

5,065

11,712

5,825

776

5,111

0

25

50

75

100(%)

自主財源比率の推移

依存財源自主財源

H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27 H28 H29

72.4 70.7 66.0 65.9 66.3 67.6 65.5 64.8 64.5 60.0

市の財政状況の紹介

市の財政状況 市の財政状況ってどうなっているんだろう?

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市の財政状況

 平成29年度予算では、義務的経費の額が6,903億円となり、過去最高だった前年度を上回りました。 なかでも、前年度に比べ大幅に増加しているのが人件費の予算であり、これは愛知県が負担していた義務教育等にかかる教職員の給与を名古屋市が負担することなどによるものです。 また、扶助費の予算は、平成20年度に比べると平成29年度は約1.8倍となっており、増加傾向にあります。(扶助費の内訳は12ページをご覧ください。)

 市税収入の伸びと歳出の義務的経費の伸びを比較しました。 平成21年度以降、市税収入はあまり伸びていない一方、義務的経費は大幅に増加しているため、義務的経費が市税収入を上回る状態が続いています。 なお平成29年度予算では、義務教育等にかかる教職員の給与を名古屋市が負担することに伴う税源移譲相当額を含んでいます。

歳出の状況義務的経費の推移

義務的経費義務的経費とは、人件費・扶助費・公債費のことで、支出が義務付けられていて、削減することが難しい経費です。この割合が高いほど、自由に使えるお金が少ない財政状況ということになります。

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2,000

4,000

6,000

8,000

10,000

12,000(億円)

1,926 1,903 1,794 1,755 1,718 1,688 1,662 1,675 1,6622,628

1,626 1,704 2,146 2,525 2,537 2,594 2,708 2,886 2,991

2,9881,465 1,472 1,397 1,397 1,391 1,394 1,369 1,339 1,318

1,287984 910 886 907 732 755 893 862 960

9023,836

9,837

3,919

9,908

4,122

10,345

3,915

10,499

3,910

10,288

3,828

10,259

3,942

10,574

3,961

10,723

3,925

10,856

3,907

11,712

H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27 H28 H29

51.0% 51.3% 51.6% 54.1% 54.9% 55.3% 54.3% 55.0% 55.0%

58.9%

義務的経費の割合

その他(国民健康保険や介護保険をはじめとした他会計への支出金など)

公債費(市債の返済)は、年度間の増減があるものの、市債の適正管理に努めています

扶助費(生活保護費や高齢者・子ども・障害のある方などへの支援)

人件費(職員や教員の人件費)

投資的経費(施設の建設や改修)

歳出予算に占める義務的経費の推移

0

4,500

5,500

6,500

5,000

6,000

7,000(億円)

H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27 H28 H29

市税収入と義務的経費の推移

減税影響額 税源移譲相当額市税 義務的経費

5,289

5,017

5,000

5,079

4,769

161

5,337

4,872

61

5,677

4,718

78

5,646

4,880

113

5,676

5,000

118

5,739

5,001

116

5,900

5,065

116

5,971

5,111

117

549

6,903

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市の財政状況

 増加傾向にある福祉・医療などに要する経費(扶助費、医療・介護にかかる特別会計への支出金)の内訳です。 平成20年度に比べて平成29年度は1,633億円増加しています。 これは、対象世帯数の増加などにより生活保護費が増加したことや、利用者の増加などにより障害福祉サービスにかかる経費や医療・介護にかかる特別会計への支出金が増えたことなどによるものです。

 一般会計の市債残高は、平成24年度から減少してきており、平成29年度は前年度に比べて187億円減少する見込みです。 市債については、将来世代に過度な負担を残さないよう、一般会計の市債残高が最高額だった平成16年度(1兆9,009億円)を超えないように努めています。 一般会計の市債残高を市民1人当たりにすると71万円で、指定都市20市の中では少ない方から10番目です。

市債残高の推移

 財政調整基金は、不況で大幅な税収減になった場合や、災害の発生による予期しない経費の支出などに対応するために積み立てているものです。 名古屋市では、残高100億円を目標にしています。

財政調整基金残高の推移

※市債残高及び財政調整基金残高の平成20年度から平成27年度は決算残高を計上しています。

0

1,000

2,000

3,000

4,000(億円)

福祉・医療などに要する経費の推移

H20 H23 H26 H29

507193215154182375

552

2,178

863

296241487221417

649

3,174

879

251

461

311366

440

721

3,429

856

549

461

349258

515

823

3,811

費助扶

医療・介護にかかる特別会計への支出金医療費助成民間保育所等の運営にかかる経費生活保護費

その他の扶助費児童手当障害福祉サービスにかかる経費

0

5,000

10,000

15,000

20,000

25,000

30,000

35,000(億円)

臨時財政対策債  建設市債等 特別・公営企業会計一般会計

H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27 H28 H29(2,168)

18,018 18,144 18,478 18,497 18,238 17,742 17,463 16,957 16,680 16,493

(15,850)

14,803

32,821

(2,476)

(15,668)

14,495

32,639

(2,920)(3,304)

(15,558)

14,358

(15,193)

13,946

32,836 32,443

(3,544)

(14,694)

13,510

31,748

(3,599)

(14,143)

13,050

30,792

(3,694)

(13,769)

12,573

30,036

(3,733)

(13,224)

12,020

28,977

(3,794)

(12,886)

11,608

28,288

(3,954)

(12,539)

11,144

27,637

見込 予算

の計会全

計合

の計会般一計

0

50

100

150(億円)

H20 H21

88

H22

75

H23

138

H24

146

H25

136

H26

145

H27

109

H28

140

H29

140

見込 予算

42

 平成29年度予算では、効果の薄い事業は見直し、より効果の高い事業に振り向け、全体として市民サービスを確保するという考え方のもと、行政評価の結果などを踏まえ行財政改革に取り組みました。

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平成29年度行財政改革の取り組み

64億円内部管理事務などの見直し  34億円●市民生活に影響を及ぼさないような内部管理事務や施設の維持管理費などの精査により経費を削減

事務事業の見直し  6億円●卸売市場への食肉出荷者に対する出荷経費助成などを廃止●中国人観光客誘致を目的とした名古屋・高山・金沢・中部国際空港誘客協議会負担金を廃止●留守家庭児童育成会に対する家賃補助のうち、耐震化促進のための増額分を廃止●学校・地域で活躍する人材の育成のための地域ふれあい実践講座を廃止●家庭系生ごみ循環の環づくり支援事業を廃止●高等学校入学準備金の貸与者数を見直し●中学校に配置されている非常勤スクールカウンセラーを見直し●小学校1・2年生の30人学級を効率的な教員配置により実施するため、常勤・非常勤講師を見直し●名古屋港スタディツアーの運航日数を見直し●市立中学校及び高等学校の生徒が部活動の全国大会などに参加する場合の宿泊費に対する補助を見直し                   など

●不用となった土地の売却●AEDと一体となった広告事業の展開●名古屋城本丸御殿の孔雀之間使用料及び音声案内機器利用料の新設●博物館特別展の県外開催による物販収入などの確保●美術館でのギャラリートークツアーや企業向け休館日特別鑑賞会の開催などによる歳入の確保                       など

●職員数の見直し(△64人)                    など

公の施設などの見直し  3億円●小規模校対策により小学校3校を統合し、なごや小学校を開校●中村図書館始め図書館4館に指定管理者制度を導入        など

>>

>>

>>

外郭団体に関する見直し  1億円●事業内容の精査などにより、委託料・補助金を縮減

>>

歳出の削減44億円

歳入の確保17億円

人件費関係分3億円

行財政改革の取り組み

今後の財政運営の決まり行財政改革の取り組み

 将来世代に過度な負担を残さないよう、次のような一定の決まりを設けて計画的な財政運営を進めています。下表のとおり、すべての決まりを守った財政運営ができています。

一般会計の市債残高が過去最高額(平成16年度末・1兆9,009億円)を超えないようにします。

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財 政 運 営 の 決 ま り 28年度見込 29年度予算

1兆6,680億円 1兆6,493億円

140億円 140億円

520億円の黒字 511億円の黒字市債以外の収入(市税収入等)と市債の返済以外の支出の差です。 計算式:(歳入-市債)-(歳出-公債費)プライマリーバランスが赤字であると、現世代が負担以上の行政サービスを受けていて、将来世代に負担を回している状態であることを示しています。

毎年度のプライマリーバランスの黒字を維持します。

標準的な年間収入額に対する市債残高など将来負担していくべき市全体の負債額の比率です。将来、財政を圧迫する可能性の度合いを示しています。

将来負担比率が250%を超えないようにします。

標準的な年間収入額に対する市債の返済額(公債費)の比率です。この数値が大きいほど、返済の資金繰りが厳しいことを示しています。

実質公債費比率が18%を超えないようにします。

財政調整基金の残高100億円を目指します。

26年度決算153.9%

27年度決算147.4%

26年度決算13.0%

27年度決算12.7%

今後の財政運営の決まり

今後の財政運営の決まり行財政改革の取り組み

 市の決算をわかりやすく説明するため、企業会計的な考え方を取り入れた「財務書類」を作成し、公表しています。 財務書類には、次の4つの書類があります。

市が持っている資産や負債などのストックの状況がわかります。

財務書類とは?

 財務書類は、市の決算に関係団体の決算を加えた「連結」の区分でも作成しています。 連結の範囲は次のとおりです。

50%以上出資している法人や市の関係団体など、役員の派遣、財政援助の実態から市が業務運営に主導的な立場を持っていると認められる法人

財務書類の連結の範囲は?

貸借対照表1

どの事業に「いくらコストをかけ」「その財源が何か」がわかります。

行政コスト計算書

2

貸借対照表の純資産が1年間で「なぜ」変動したかがわかります。

純資産変動計算書

3

お金を ●どうやって集め ●何に使ったかがわかります。

資金収支計算書

4

企業会計的な考え方を取り入れて作成した書類です。 市の決算書に最も近い書類で、現金の変動を表します。※名古屋市では、総務省方式改訂モデルによって作成しています。

一部事務組合(3)

広域連合(1)

公立大学法人(1)

一 般 会 計

特 別 会 計

公営企業会計

地方公社(3)

第三セクター等(23)+

全 会 計

平成27年度決算の財務書類の概要

平成27年度決算の財務書類の概要

連 結

15

16

平成27年度決算の財務書類はどうなっているの?

貸借対照表(平成28年3月31日現在)

1

行政コスト計算書2

平成27年度決算の財務書類の概要

 ここでは、連結財務書類を紹介します。

1 公共資産

有形固定資産

無形固定資産

売却可能資産

2 投資等

投資及び出資金

貸付金

基金等

その他

3 流動資産

資金

未収金

その他

4 繰延勘定

借  方 貸  方

75,604

 74,380

 804

420

1,648

328

480

691

149

4,418

3,419

502

497

34

1 固定負債

地方債

関係団体

長期未払金

引当金

その他

2 流動負債

翌年度償還予定額

短期借入金

未払金

賞与引当金

その他

37,417

25,442

6,719

148

1,787

3,321

5,870

4,482

60

603

157

140

428

資産合計 81,704

負債合計 43,287純資産合計 38,417

負債及び純資産合計 81,704

翌年度支払予定退職手当

※有形固定資産のうち、土地は28,123億円です。また、有形固定資産の減価償却累計額は38,612億円です。

資産市民サービスを提供するための資産(土地、建物、道路など)や売却可能資産の現在の価値です。

純資産(47.0%)資産から負債を差し引いた金額で、資産を取得するために使った市税などの一般財源や国・県支出金などです。

(単位:億円)

(単位:億円)

経常行政コスト A  ●人にかかるコスト ●物にかかるコスト ●移転支出的なコスト ●その他のコスト経常収益 B純経常行政コスト A-B

17,4162,7233,9599,8358996,78410,632

純資産変動計算書3(単位:億円)

期首純資産残高 純経常行政コスト 一般財源 補助金等受入 資産評価替等期末純資産残高

37,709△10,6325,7615,52554

38,417

資金収支計算書4(単位:億円)

期首資金残高 a 経常的収支 公共資産整備収支 投資・財務的収支 翌年度繰上充用金増減額当年度資金増減額 b経費負担割合変更等 c期末資金残高 a+b+c

3,3632,995△564△2,377

1551

3,419

検索名古屋市 財務書類詳しくはWebで

負債(53.0%)将来にわたって負担していく金額で、資産を取得するために借入れた市債などです。