論 文(original article) longer log forwarding …77 bulletin of ffpri, vol.19, no.1, 2020...

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79 「森林総合研究所研究報告」(Bulletin of FFPRIVol.19-No.1 No.45379-87 March 2020 1. はじめに わが国の森林は、10 齢級以上の主伐期を迎える人 工林が 2020 年には約 7 割になると見込まれ(林野庁 2018)、これらの人工林から伐採された丸太も大径化 が進んでいる。丸太の大径化に伴い、従来のものより 断面寸法が大きい製材を生産することが可能となって きた。断面寸法、特に材せいが大きいものは、木造建 築物の梁桁など横架材としての利用が見込まれる。 一方、木材は寸法が大きくなるほど強度が低下する 現象が認められ、これは寸法効果として知られている (宇京 2015, 鈴木 1997, 中村 2004a, b)。アメリカやヨー ロッパでは ASTM D1990 – 16 ASTM International 2016(以下、ASTM D1990 とする)、EN 384:2016 European Committee for Standardization 2016(以下、EN 384 とす る)などで、製材品の寸法が大きくなるのに従い強度 の特性値を低減する方法が定められている。しかしな がら、わが国の現行の製材の基準強度(建設省 2000においては、枠組壁工法構造用製材及び枠組壁工法構 造用たて継ぎ材の日本農林規格 (農林水産省 1974で、 ASTM D1990 の方法を参考にした基準強度を低減する 係数はあるものの、製材の日本農林規格(農林水産省 2007の構造用製材では、同様の係数に相当するもの は存在しない。今後材せいのより大きな製材品が、住 宅はもとより非住宅の木造建築物に使用されることが 予想されるが、これらの製材品に対しても従来の基準 強度を用いることについて強度的な懸念が生じる。以 上のことから、わが国でも断面寸法の大きい木材に対 して基準強度を低減させる調整係数が必要であると考 えられる。 この検討を行うためには、様々な寸法の木材から得 られた大量の強度データが必要となる。その要請に応 えるものとして、全国の公立試験研究機関により試験 が行われ、森林総合研究所内の強度性能研究会により 取りまとめられた『「製材品の強度性能に関するデー タベース」データ集<8>』 (強度性能研究会事務局 2013がある。本データ集は、日本農林規格の改正、 許容応力度等の見直しの際、速やかに検証データとし て資するために取りまとめられたものである。運営方 法には「本データベースは、日本農林規格の改訂、そ れに対応する許容応力度の設定(中略)等、に対して データ提供を行う」とあり、本報の検討を行うのに最 適な資料であると考えられる。 以上を踏まえ、本報では、データ集に収集された曲 げ強度データを用いて寸法効果の影響を調べ、ASTM D1990 EN 384 による寸法効果パラメータと比較検 討し、製材の日本農林規格に対応した基準強度に対す る寸法効果パラメータを求めることを目的とした。 2. アメリカおよびヨーロッパにおける寸法効果による 曲げ強度の調整法 材料の寸法が大きくなるほど強度が小さくなること を寸法効果といい、材料が最弱リンク理論を用いた 2P ワイブル分布に従うとすると、以下の式が得られる (宇 2015, 鈴木 1997, 中村 2004a, b)。 論 文(Original article) 製材品の曲げ強度における寸法効果パラメータの検討 井道 裕史 1* 、加藤 英雄 1、長尾 博文 1要旨 「製材品の強度性能に関するデータベース」データ集の曲げ強度データを用いて、製材の日本農林 規格に対応した基準強度に対する寸法効果パラメータを求めることを目的とした。まず、強度等級 E70 のスギの曲げ強度を用いて、スパン、材せい、スパン/材せい比が一定の場合の各寸法効果パラ メータを求め、これらの値が文献値と概ね一致することを確認した。続いて、基準強度を材せいに応 じて低減するための寸法調整係数を検討した。スギ、アカマツ、ベイマツの曲げ強度を既往の調整式 を用いて標準的な試験条件下の値に調整し、樹種・等級・材せいごとに 5%下限値を求めた。5%下限 値と製材の日本農林規格に対応する基準強度との比5%下限値/基準強度)を算出し、標準材せいを 150mm とする寸法調整係数と比較した。その結果、寸法調整係数の標準荷重条件における寸法効果 パラメータは 0.4 0.5 程度とするのが適当であると考えられた。 キーワード:寸法効果パラメータ、寸法調整係数、曲げ強度、製材品、データベース 原稿受付:令和元年 6 13 日 原稿受理:令和元年 12 18 1森林総合研究所 構造利用研究領域 * 森林総合研究所 構造利用研究領域 〒 305-8687 茨城県つくば市松の里 1

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Page 1: 論 文(Original article) Longer log forwarding …77 Bulletin of FFPRI, Vol.19, No.1, 2020 Longer log forwarding productivity between different load capacity forwarders Hidenori

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Bulletin of FFPRI, Vol.19, No.1, 2020

Longer log forwarding productivity between different load capacity forwarders

Hidenori SUZUKI 1)*, Satoshi YAMAGUCHI 1), Hiroko MUNEOKA 1), Tatsuya SASAKI 1), Yoshiaki TANAKA 1), Yuta INOMATA 1), Takayuki ITO 1), Masahiro MOZUNA 1), Seishiro TAKI 1), Takumi UEMURA 1), Kengo USUI 1), Chikashi YOSHIDA 1), Hirokazu YAMAGUCHI 1), Masahiko NAKAZAWA 1),

Masaki JINKAWA 2) and Kotaro ZUSHI 3)

Abstract The aim of this study was to compare between different load capacity forwarders in the productivity of longer log production and to clarify longer log productivity and the effect of the forwarder’s loading capacity or platform dimension on productivity. We surveyed the following activities: loading to forwarder with a grapple loader or harvester, forwarding with 6 ton load capacity as large forwarder and 4.8 ton as middle, and unloading from forwarder with grapple loader. The produced log length classes were 6 and 8 m as longer logs and 4 m as regular length logs. The productivity with the large forwarder was slightly higher than that with the middle in loading and unloading, even considering the difference in log volume, probably owing to the improvement in workability because of the broader platform of the large forwarder. Considering the driving speed in forwarding with two newly defined indices, the greater the log length, the smaller was the velocity ratio when compared with the same loading ratio. The former index is the ratio of forwarding speed in loading to that in unloading and the latter is the ratio of loading volume in each cycle to that of the maximum of the machine used. The cause of this reduction in speed was presumed to be because of the shift in the center of gravity and the resultant instability of the forwarder. The total productivity of loading, unloading, and forwarding was the highest in the case of production of 4 m logs with both the large and middle forwarders. However, the rate of reduction in productivity owing to the longer log was lower with the large than with the middle forwarder. Hence, it was confirmed that large forwarders are more suitable for longer log production.

Key words: forwarder, log length, load capacity, loading and unloading

Received 11 September 2019, Accepted 13 December 20191) Department of Forest Engineering, Forestry and Forest Products Research Institute (FFPRI)2) Kyushu Research Center, FFPRI3) Toyama Prefectural Agricultural, Forestry & Fisheries Research Center Forestry Research Institute* Department of Forest Engineering, FFPRI, Matsunosato 1, Tsukuba, Ibaraki, 305-8687 JAPAN; E-mail: [email protected]

79「森林総合研究所研究報告」(Bulletin of FFPRI)Vol.19-No.1 (No.453)79-87 March 2020

1. はじめにわが国の森林は、10 齢級以上の主伐期を迎える人

工林が 2020 年には約 7 割になると見込まれ (林野庁 2018)、これらの人工林から伐採された丸太も大径化が進んでいる。丸太の大径化に伴い、従来のものより断面寸法が大きい製材を生産することが可能となってきた。断面寸法、特に材せいが大きいものは、木造建築物の梁桁など横架材としての利用が見込まれる。一方、木材は寸法が大きくなるほど強度が低下する現象が認められ、これは寸法効果として知られている (宇京 2015, 鈴木 1997, 中村 2004a, b)。アメリカやヨーロッパでは ASTM D1990 – 16 (ASTM International 2016) (以下、ASTM D1990 とする)、EN 384:2016 (European

Committee for Standardization 2016) (以下、EN 384とする) などで、製材品の寸法が大きくなるのに従い強度の特性値を低減する方法が定められている。しかしながら、わが国の現行の製材の基準強度 (建設省 2000) においては、枠組壁工法構造用製材及び枠組壁工法構造用たて継ぎ材の日本農林規格 (農林水産省 1974) で、ASTM D1990の方法を参考にした基準強度を低減する係数はあるものの、製材の日本農林規格 (農林水産省 2007) の構造用製材では、同様の係数に相当するものは存在しない。今後材せいのより大きな製材品が、住宅はもとより非住宅の木造建築物に使用されることが予想されるが、これらの製材品に対しても従来の基準強度を用いることについて強度的な懸念が生じる。以上のことから、わが国でも断面寸法の大きい木材に対

して基準強度を低減させる調整係数が必要であると考えられる。この検討を行うためには、様々な寸法の木材から得られた大量の強度データが必要となる。その要請に応えるものとして、全国の公立試験研究機関により試験が行われ、森林総合研究所内の強度性能研究会により取りまとめられた『「製材品の強度性能に関するデータベース」データ集<8>』 (強度性能研究会事務局 2013) がある。本データ集は、日本農林規格の改正、許容応力度等の見直しの際、速やかに検証データとして資するために取りまとめられたものである。運営方法には「本データベースは、日本農林規格の改訂、それに対応する許容応力度の設定 (中略) 等、に対してデータ提供を行う」とあり、本報の検討を行うのに最適な資料であると考えられる。以上を踏まえ、本報では、データ集に収集された曲げ強度データを用いて寸法効果の影響を調べ、ASTM D1990 と EN 384 による寸法効果パラメータと比較検討し、製材の日本農林規格に対応した基準強度に対する寸法効果パラメータを求めることを目的とした。

2. アメリカおよびヨーロッパにおける寸法効果による曲げ強度の調整法材料の寸法が大きくなるほど強度が小さくなることを寸法効果といい、材料が最弱リンク理論を用いた 2Pワイブル分布に従うとすると、以下の式が得られる (宇京 2015, 鈴木 1997, 中村 2004a, b)。

論 文(Original article)

製材品の曲げ強度における寸法効果パラメータの検討

井道 裕史 1)*、加藤 英雄 1)、長尾 博文 1)

要旨 「製材品の強度性能に関するデータベース」データ集の曲げ強度データを用いて、製材の日本農林規格に対応した基準強度に対する寸法効果パラメータを求めることを目的とした。まず、強度等級E70のスギの曲げ強度を用いて、スパン、材せい、スパン/材せい比が一定の場合の各寸法効果パラメータを求め、これらの値が文献値と概ね一致することを確認した。続いて、基準強度を材せいに応じて低減するための寸法調整係数を検討した。スギ、アカマツ、ベイマツの曲げ強度を既往の調整式を用いて標準的な試験条件下の値に調整し、樹種・等級・材せいごとに 5%下限値を求めた。5%下限値と製材の日本農林規格に対応する基準強度との比 (5%下限値/基準強度) を算出し、標準材せいを150mm とする寸法調整係数と比較した。その結果、寸法調整係数の標準荷重条件における寸法効果パラメータは 0.4~ 0.5程度とするのが適当であると考えられた。

キーワード:寸法効果パラメータ、寸法調整係数、曲げ強度、製材品、データベース

原稿受付:令和元年 6月 13日 原稿受理:令和元年 12月 18日1) 森林総合研究所 構造利用研究領域* 森林総合研究所 構造利用研究領域 〒 305-8687 茨城県つくば市松の里 1

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森林総合研究所研究報告 第 19巻 1号, 2020

井道裕史 他

(1)

ここで、σ1、σ2は体積が V1、V2のときの強度、指数で表される s は寸法効果パラメータである。V は体積であるので、材せい、長さ、材幅に分けられ、以下の様に変形できる。

(2)

ここで、d1、L1、b1 および d2、L2、b2 は強度がそれぞれ σ1、σ2のときの材せい、長さ、材幅であり、sd、sL、sbはそれぞれ材せい、長さ、材幅の寸法効果パラメータである。また、曲げ試験において、長さ/材せい比が一定、すなわち L1/d1= L2/d2の場合の寸法効果パラメータを sRとすると、(2) 式は以下のように変形できる。

(3)

ここで、長さを何とするかが問題となるが、ASTM D1990では、長さをスパン (支点間距離) としている。また、荷重条件はスパンが材せいの 17倍の 3等分点 4点荷重方式が前提であり、スパン/材せい比、荷重点間距離/材せい比を一定としている。これらの条件を踏まえた上で、曲げ強度に対して sd、sL、sb の値としてそれぞれ 0.29、0.14、0 を与えている。以上を (3) 式に代入すると以下のように変形できる。

(4)

すなわち、スパン/材せい比、荷重点間距離/材せい比が一定の場合の寸法効果パラメータ sR は 0.43 となる。わが国の枠組壁工法構造用製材及び枠組壁工法構造用たて継ぎ材の日本農林規格に対応する甲種および乙種構造材の基準強度においては、この値や他の資料を参考にして、標準材せいを 89mm とした上で、寸法効果パラメータを 0.4 とした寸法調整係数が設定されている (中島 2001)。一方、EN 384は、基本となる考え方は ASTM D1990と同じであるが、材せいの標準寸法 d0 を 150mm、スパンが材せいの 18倍となる 3等分点 4点荷重方式を採用している。この荷重条件下で 150mm とは異なる材せい d mm で曲げ試験を行なった場合、曲げ強度から以下の調整係数 khを除することとしている。

(5)

(5) 式はスパンが材せいの 18倍となる 3等分点 4点荷重方式が前提であるため、スパン/材せい比、荷重点間距離/材せい比が一定である。そのため、(5) 式の調整は、スパン/材せい比、荷重点間距離/材せい比が一定の場合の寸法効果パラメータ sRが 0.2 であることを示していると考えられる。また、荷重条件がスパンが材せいの 18倍となる 3等分点 4 点荷重方式と異なる場合は、曲げ強度から以下の調整係数 kℓを除する。

(6)

ここで、L0、S0 はそれぞれスパンが材せいの 18 倍となる 3等分点 4点荷重方式のスパン (L0=18d)、荷重点間距離 (S0=6d)、L、Sはそれぞれ試験時のスパン、荷重点間距離である。例えば d=120mm、L=2040mm、 S=600mm (5d)、支点荷重点間距離=720mm (6d) の 4点曲げ試験を行い、曲げ強度の値として σtest N/mm2が得られたとする。(5) 式より kh=(150/120)0.2=1.046が、(6) 式より kℓ={(48×120)/(2040+5×600)}0.2=1.027が得られる。両者の積を σtest から除した 0.931σtest が、材せい 150mm でスパンが材せいの 18 倍となる 3 等分点 4点荷重方式に調整された曲げ強度となる。ところで、現行の EN 384 では、旧版 (European

Committee for Standardization 2004) とは異なり、曲げ強度の 5%下限値を調整するのではなく個々のデータを調整すること、d が 150mm 未満、密度が 700kg/m3

以下のものを調整することとし、(5) 式による khか 1.3の小さい方 (概ね d=40mm程度が境界となる) を用いることと改訂されている。

3. 方法3.1 寸法効果の検討に用いたデータ本報で用いたデータは『「製材品の強度性能に関するデータベース」データ集<8>』に収録されたものの元データである。ただし、本データ集は各公立試験研究機関がそれぞれの目的に応じて試験を行ったデータを収集したものであるため、必ずしも全国の平均的なデータとは限らず、また、様々な寸法や荷重条件によって実施されたものである。本報ではまず、材せい、長さ、スパン/材せい比が一定の場合のそれぞれの寸法効果パラメータを検討し、次いで、材せいの大きい材料に対して基準強度を低減させるための係数の算出を検討した。前者に対しては、データ数が最も多く、様々な材せいが含まれるスギのデータを用い、後者に対しては、わが国の横架材として用いられることの多いスギ、アカマツ、ベイマツのデータを用いた。元データのう

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森林総合研究所研究報告 第 19巻 1号, 2020

井道裕史 他

(1)

ここで、σ1、σ2は体積が V1、V2のときの強度、指数で表される s は寸法効果パラメータである。V は体積であるので、材せい、長さ、材幅に分けられ、以下の様に変形できる。

(2)

ここで、d1、L1、b1 および d2、L2、b2 は強度がそれぞれ σ1、σ2のときの材せい、長さ、材幅であり、sd、sL、sbはそれぞれ材せい、長さ、材幅の寸法効果パラメータである。また、曲げ試験において、長さ/材せい比が一定、すなわち L1/d1= L2/d2の場合の寸法効果パラメータを sRとすると、(2) 式は以下のように変形できる。

(3)

ここで、長さを何とするかが問題となるが、ASTM D1990では、長さをスパン (支点間距離) としている。また、荷重条件はスパンが材せいの 17倍の 3等分点 4点荷重方式が前提であり、スパン/材せい比、荷重点間距離/材せい比を一定としている。これらの条件を踏まえた上で、曲げ強度に対して sd、sL、sb の値としてそれぞれ 0.29、0.14、0 を与えている。以上を (3) 式に代入すると以下のように変形できる。

(4)

すなわち、スパン/材せい比、荷重点間距離/材せい比が一定の場合の寸法効果パラメータ sR は 0.43 となる。わが国の枠組壁工法構造用製材及び枠組壁工法構造用たて継ぎ材の日本農林規格に対応する甲種および乙種構造材の基準強度においては、この値や他の資料を参考にして、標準材せいを 89mm とした上で、寸法効果パラメータを 0.4 とした寸法調整係数が設定されている (中島 2001)。一方、EN 384は、基本となる考え方は ASTM D1990と同じであるが、材せいの標準寸法 d0 を 150mm、スパンが材せいの 18倍となる 3等分点 4点荷重方式を採用している。この荷重条件下で 150mm とは異なる材せい d mm で曲げ試験を行なった場合、曲げ強度から以下の調整係数 khを除することとしている。

(5)

(5) 式はスパンが材せいの 18倍となる 3等分点 4点荷重方式が前提であるため、スパン/材せい比、荷重点間距離/材せい比が一定である。そのため、(5) 式の調整は、スパン/材せい比、荷重点間距離/材せい比が一定の場合の寸法効果パラメータ sRが 0.2 であることを示していると考えられる。また、荷重条件がスパンが材せいの 18倍となる 3等分点 4 点荷重方式と異なる場合は、曲げ強度から以下の調整係数 kℓを除する。

(6)

ここで、L0、S0 はそれぞれスパンが材せいの 18 倍となる 3等分点 4点荷重方式のスパン (L0=18d)、荷重点間距離 (S0=6d)、L、Sはそれぞれ試験時のスパン、荷重点間距離である。例えば d=120mm、L=2040mm、 S=600mm (5d)、支点荷重点間距離=720mm (6d) の 4点曲げ試験を行い、曲げ強度の値として σtest N/mm2が得られたとする。(5) 式より kh=(150/120)0.2=1.046が、(6) 式より kℓ={(48×120)/(2040+5×600)}0.2=1.027が得られる。両者の積を σtest から除した 0.931σtest が、材せい 150mm でスパンが材せいの 18 倍となる 3 等分点 4点荷重方式に調整された曲げ強度となる。ところで、現行の EN 384 では、旧版 (European

Committee for Standardization 2004) とは異なり、曲げ強度の 5%下限値を調整するのではなく個々のデータを調整すること、d が 150mm 未満、密度が 700kg/m3

以下のものを調整することとし、(5) 式による khか 1.3の小さい方 (概ね d=40mm程度が境界となる) を用いることと改訂されている。

3. 方法3.1 寸法効果の検討に用いたデータ本報で用いたデータは『「製材品の強度性能に関するデータベース」データ集<8>』に収録されたものの元データである。ただし、本データ集は各公立試験研究機関がそれぞれの目的に応じて試験を行ったデータを収集したものであるため、必ずしも全国の平均的なデータとは限らず、また、様々な寸法や荷重条件によって実施されたものである。本報ではまず、材せい、長さ、スパン/材せい比が一定の場合のそれぞれの寸法効果パラメータを検討し、次いで、材せいの大きい材料に対して基準強度を低減させるための係数の算出を検討した。前者に対しては、データ数が最も多く、様々な材せいが含まれるスギのデータを用い、後者に対しては、わが国の横架材として用いられることの多いスギ、アカマツ、ベイマツのデータを用いた。元データのう

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Bulletin of FFPRI, Vol.19, No.1, 2020

製材品の曲げ強度における寸法効果パラメータの検討

ち、試験体寸法、含水率、荷重条件、見かけの曲げヤング係数、曲げ強度が明示されており、4 点曲げ試験で行われたものを対象とした。

3.2 含水率による曲げヤング係数・曲げ強度の調整含水率が様々な曲げヤング係数・曲げ強度のデータを同一に比較するには、それぞれの含水率による曲げヤング係数・曲げ強度を一定の含水率状態での値に調整する必要がある。曲げヤング係数・曲げ強度の調整式が示されている規格等では、ASTM D1990、ASTM D245 – 06 (Reapproved 2011) (ASTM International 2011)、ASTM

D2915 – 98 (ASTM International 1998)(以下、旧 ASTM D2915とする)、旧 ASTM D2915を準用した日本国内の曲げ試験結果の解析による提案式 (飯島ら 2011)(以下、HOWTEC法とする) がある。このうち、わが国で最も用いられている方法が HOWTEC法であると思われる。HOWTEC法は、旧 ASTM D2915を準用しているため、両者の調整方法は調整する含水率の範囲が異なること以外は同じであり、ともに以下の式を用いる。

(7)

ここで、σ2は含水率 M2での弾性係数または曲げ強度、σ1は含水率 M1での弾性係数または曲げ強度、M1と M2

はそれぞれの状態での含水率、α、βは弾性係数に対してそれぞれ 1.44、0.0200、曲げ強度に対してそれぞれ1.75、0.0333 である。旧 ASTM D2915 は、含水率が22%以上はすべて生材とみなし、5%以上の含水率の調整は避けるべきであるとしている。一方、HOWTEC法は、曲げに対して含水率 10%以下は 10%、18%以上は 18%として (7) 式を用いる。本報では、ASTM D1990 は個々の値ではなく強度の 5%下限値に対するものであること、ASTM D245 – 06 (Reapproved 2011) は生材状態から係数を乗じて強度値を増加させる方法であること、本報に用いたデータは含水率が高いものから低いものまで様々な状態があることなどを踏まえ、HOWTEC 法を用いることとした。標準含水率を 15%として、この状態に曲げヤング係数・曲げ強度を調整した。

3.3 荷重条件による曲げヤング係数の調整曲げ強度を用いて寸法効果を検討するためには、曲げヤング係数の違いによる曲げ強度のばらつきを避けるために、同一等級内の曲げヤング係数における曲げ強度を用いる必要がある。曲げヤング係数は、曲げ強度と同様、荷重条件により得られる値が異なるため、以下の方法で荷重条件による曲げヤング係数の調整を行った。製材の日本農林規格に示された曲げ試験の荷重条件はスパンを材長の 3/4 以上とした 3 等分点 4 点荷重方

式である。ただし、スパン/材せい比が 18倍を超えるものに対しては、スパン/材せい比を 18倍に調整するための係数が示されており、この荷重条件が標準だと考えられる。本報もこれに従い、スパンを材せいの 18倍とした 3等分点 4点荷重方式を標準荷重条件とし (以下、スパンを材せいの 18倍とした 3等分点 4点荷重方式を単に標準荷重条件と呼ぶ)、それ以外の荷重条件で得られた見かけの曲げヤング係数に対しては、『木質構造設計規準・同解説』 (中井ら 2006) に記載された調整式に従い、(8) 式を用いて標準荷重条件での値に調整した。

(8)

ここで、Eapp は標準荷重条件の見かけの曲げヤング係数、Ebは試験時の見かけの曲げヤング係数、E/G はせん断弾性係数に対する真のヤング係数の比 (=15)、d、L、a はそれぞれ試験時の材せい、スパン、荷重点支点間距離、d0、L0、a0 はそれぞれ標準荷重条件の材せい、スパン、荷重点支点間距離 (後述するように d0=150mm、L0=2700mm、a0=900mmとする) である。以上の方法で算出された見かけの曲げヤング係数に対して、製材の日本農林規格の機械等級区分構造用製材の曲げヤング係数の基準による等級区分 (以下、E等級とする) に従ってデータを区分した。

3.4 スギ E70 による寸法効果パラメータの検討(7)、(8) 式により、含水率 15%、標準荷重条件に調整したスギの E 等級の度数分布を Fig. 1 に示す。全7690 体のうち 3233 体 (42%) が E70 に区分された。そこで、スギ E70のデータを寸法効果パラメータの検討に用いることとした。まず、スギ E70 に区分された 3233 体のうち、曲げ試験時の荷重条件が標準荷重条件によって行われた2881 体の曲げ強度を用いて、長さ、材せい、スパン/材せい比が一定の場合の各寸法効果パラメータを検討した。材幅に関しては、ASTM D1990 および EN 384 で寸法効果を考慮していないこと、既報 (長尾ら 2014) で材幅の影響は認められなかったことを踏まえ、検討から除外した。また、元データには様々な寸法が含まれていたので、

Table 1 のように材せい d とスパン L の範囲を区分し、代表値としての d と L を決めた。d、L、L/d の度数分布をそれぞれ Fig. 2 に示す。Fig. 2 から度数の多いものについて検討することとし、スギ E70 のうち、d=120mm (597体)、L=2700mm (1839体)、L/d=18 (606体) を選択した。d=105mm、L/d=24、27 も度数は多かったが、例えば、d=105mm 内の L はほぼ 1890mmと 2700mm のみで、うち L=2700mm が約 8 割を占めるなどの、分布の偏りがあったため採用しなかった。

𝜎𝜎𝜎𝜎3 = 𝜎𝜎𝜎𝜎5ABCD"ABCD#

𝐸𝐸𝐸𝐸 = 𝐸𝐸𝐸𝐸 5/3.6)"(G H⁄ )/(8+"B6L")5/3.6)="(G H⁄ )/M8+="B6L="N

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82

森林総合研究所研究報告 第 19巻 1号, 2020

井道裕史 他

以上をまとめると、標準荷重条件で行われたスギE70 の曲げ強度を用いて、d=120mm の場合の L の影響 sL、L=2700mm の場合の d の影響 sd、L/d=18 の場合の Lと dの影響 sRの各寸法パラメータを検討した。

3.5 製材の日本農林規格に対応した基準強度に対する寸法調整係数の検討スギ、アカマツ、ベイマツのデータを用いて、曲げ強度と基準強度とを比較し、材せいの大きい材料に対して日本農林規格に対応した基準強度を低減させるための寸法調整係数の検討を行った。すなわち、まず、等級区分するために曲げヤング係数を含水率 15%、標準荷重条件での値に調整後、EN 384 の方法を用いて曲げ強度を含水率 15%、標準荷重条件での値へ調整した。続いて、材せいと、スパン/材せい比が一定の場合の寸法効果パラメータを変化させて、複数の寸法調整係数を求めた。これと曲げ強度の下限値と基準強度の比 (5%下限値/基準強度) とを比較し、適切な寸法調整係数を提案した。具体的には、まず、(7)、(8) 式により、スギ、アカマツ、

0

500

1000

1500

2000

2500

3000

3500

Out E50 E70 E90 E110 E130 E150

Frequency

Egrade

n=7690

Fig. 1. 製材の日本農林規格によるスギのE等級の度数分布

Frequency distribution of E grade of sugi (Japanese cedar) according to the Japanese Agricultural Standard (JAS) for sawn timber.

Symbol: n, number of specimens.

Class mark Class interval Class mark Class interval Class mark Class interval

15 0–22.5 270 0–405 3 0–4.5

30 22.5–37.5 540 405–675 6 4.5–7.5

45 37.5–52.5 810 675–945 9 7.5–10.5

60 52.5–67.5 1080 945–1215 12 10.5–13.5

75 67.5–82.5 1350 1215–1485 15 13.5–16.5

90 82.5–97.5 1620 1485–1755 18 16.5–19.5

105 97.5–112.5 1890 1755–2025 21 19.5–22.5

120 112.5–127.5 2160 2025–2295 24 22.5–25.5

135 127.5–142.5 2430 2295–2565 27 25.5–28.5

150 142.5–165 2700 2565–2970 30 28.5–31.5

180 165–195 3240 2970–3510 33 31.5–34.5

210 195–225 3780 3510–4050 36 34.5–37.5

240 225–255 4320 4050–4590 39 37.5–40.5

270 255–285 4860 4590–5130 42 40.5–43.5

300 285–315 5400 5130–5670 45 43.5–46.5

330 315–345 5940 5670–6210 48 46.5–55.5

Specimen depth d (mm) L/dSpan L (mm)

Table 1. 材せい d、スパン L、L/dの階級値 Classes of the specimen depth (d), span (L), and span/specimen depth ratio (L/d).

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井道裕史 他

以上をまとめると、標準荷重条件で行われたスギE70 の曲げ強度を用いて、d=120mm の場合の L の影響 sL、L=2700mm の場合の d の影響 sd、L/d=18 の場合の Lと dの影響 sRの各寸法パラメータを検討した。

3.5 製材の日本農林規格に対応した基準強度に対する寸法調整係数の検討スギ、アカマツ、ベイマツのデータを用いて、曲げ強度と基準強度とを比較し、材せいの大きい材料に対して日本農林規格に対応した基準強度を低減させるための寸法調整係数の検討を行った。すなわち、まず、等級区分するために曲げヤング係数を含水率 15%、標準荷重条件での値に調整後、EN 384 の方法を用いて曲げ強度を含水率 15%、標準荷重条件での値へ調整した。続いて、材せいと、スパン/材せい比が一定の場合の寸法効果パラメータを変化させて、複数の寸法調整係数を求めた。これと曲げ強度の下限値と基準強度の比 (5%下限値/基準強度) とを比較し、適切な寸法調整係数を提案した。具体的には、まず、(7)、(8) 式により、スギ、アカマツ、

0

500

1000

1500

2000

2500

3000

3500

Out E50 E70 E90 E110 E130 E150

Frequency

Egrade

n=7690

Fig. 1. 製材の日本農林規格によるスギのE等級の度数分布

Frequency distribution of E grade of sugi (Japanese cedar) according to the Japanese Agricultural Standard (JAS) for sawn timber.

Symbol: n, number of specimens.

Class mark Class interval Class mark Class interval Class mark Class interval

15 0–22.5 270 0–405 3 0–4.5

30 22.5–37.5 540 405–675 6 4.5–7.5

45 37.5–52.5 810 675–945 9 7.5–10.5

60 52.5–67.5 1080 945–1215 12 10.5–13.5

75 67.5–82.5 1350 1215–1485 15 13.5–16.5

90 82.5–97.5 1620 1485–1755 18 16.5–19.5

105 97.5–112.5 1890 1755–2025 21 19.5–22.5

120 112.5–127.5 2160 2025–2295 24 22.5–25.5

135 127.5–142.5 2430 2295–2565 27 25.5–28.5

150 142.5–165 2700 2565–2970 30 28.5–31.5

180 165–195 3240 2970–3510 33 31.5–34.5

210 195–225 3780 3510–4050 36 34.5–37.5

240 225–255 4320 4050–4590 39 37.5–40.5

270 255–285 4860 4590–5130 42 40.5–43.5

300 285–315 5400 5130–5670 45 43.5–46.5

330 315–345 5940 5670–6210 48 46.5–55.5

Specimen depth d (mm) L/dSpan L (mm)

Table 1. 材せい d、スパン L、L/dの階級値 Classes of the specimen depth (d), span (L), and span/specimen depth ratio (L/d).

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製材品の曲げ強度における寸法効果パラメータの検討

ベイマツの曲げヤング係数を含水率 15%、標準荷重条件に調整して E 等級に区分した。続いて、(7) 式により曲げ強度を含水率 15%時の値に調整後、標準荷重条件での値に調整した。曲げ強度の標準荷重条件への調整方法は EN 384 の (6) 式を用いたが、(6) 式の調整係数 kℓは曲げ強度を除するものである。本報で用いる調整係数は曲げ強度に乗じるものとし、(6) 式の分母と分子を入れ替えた標準荷重条件への調整係数 k2を求める (9) 式に変換した。

(9)

(9) 式に元データの L、S、d を代入して k2 を求めた。これを含水率 15%時の値に調整した曲げ強度に乗じて、含水率 15%、標準荷重条件での曲げ強度とした。k2は (6) 式 kℓの逆数であるため、例えば、2章で示した kℓ=1.027の場合、k2=1/1.027=0.974となる。このようにして得られた含水率 15%、標準荷重条件での曲げ強度を元に、製材の日本農林規格の機械等級区分による基準強度との比を算出した。ただし、基準強度は、5%下限値に相当すると考えられる (建設大臣官房技術調査室 1992, 井道 2018)。そのため、標準荷重条件での各曲げ強度から、樹種・等級・材せい d ごとに 5%下限値を求めた。まず、同一 E 等級内で Table 1 に示した d で区分し

て等級・dごとのロットを作成した。続いて、このロットに対して、ASTM D2915に示された順位法で信頼水準 75%の 5%下限値を求める方法により、各ロットの曲げ強度の 5%下限値を算出した。ASTM D2915 の表に記載された最少の試験体数である 28体以上の試験体数があるロットを下限値の算出に採用した。なお、表の上限の 1089 体を超えたものは、正規分布を仮定した 5%下限値とした。その結果、採用したロットは、ス ギ で は E50 (d (mm)=30、90、105、120、180、210、

240、270)、E70 (d (mm)=30、45、60、90、105、120、180、210、240)、E90 (d (mm)=30、105、120、180、210、240)、E110 (d (mm)=105、120、240)、アカマツでは E70 (d (mm)=105、240)、E90 (d (mm)=105、210、240)、E110 (d (mm)=105、120、210)、E130 (d (mm)=105、210)、ベイ マ ツ で は E110 (d (mm)=240、300)、E130 (d (mm)=240、300) の合計 40 ロットであった。最後に、算出された各ロットの 5%下限値と当該ロットの基準強度との比 (5%下限値/基準強度) を求めた。この比と以下の方法で求める寸法調整係数とを比較することにより、スパン/材せい比 (L/d) が一定の場合の寸法効果パラメータ sRについて検討した。寸法調整係数を検討するにあたり、まず基準となる標準材せい d0 を決める必要がある。現行の製材の日本農林規格による目視等級区分製材の基準強度の元となった値は、正角と平角の実験値から算出したとされている (井道 2018) ことから、本機械等級区分による検討もこれと同様と仮定し、さらに、EN 384 の d0 が150mm とされていることも踏まえ、d0を 150mm とした。また、本報の趣旨は d の大きい材料の基準強度を低減することにあるため、dが 150mm以下のロットの5%下限値は調整しないこととした。検討する L/dが一定の場合の sRの値は、後述する結果を参考に sR=0.3、0.4、0.5、0.6 とした。(5) 式の指数部分を任意とした (10) 式を標準荷重条件における寸法調整係数 k1 を求める式とし、この式に sR=0.3~ 0.6、各ロットの d (30~ 300mm) を代入して k1を算出した。k1と、先に示した各樹種・等級ごとの 5%下限値/基準強度とを比較することにより、適切な sRを提案した。

(10)

𝑘𝑘𝑘𝑘3 = % +/;>+=/;>=

'1.3

= %+/;>6?)

'1.3

𝑘𝑘𝑘𝑘5 = O1, (𝑑𝑑𝑑𝑑 ≦ 150)

%5;1)'(0, (𝑑𝑑𝑑𝑑 > 150)

0

500

1000

1500

2000

3 9 15 21 27 33 39 45

Frequency

L/d (mm)

0

500

1000

1500

2000

270

810

1350

1890

2430

3240

4320

5400

Frequency

SpanL(mm)

0

500

1000

1500

2000

15 45 75 105135180240300

Frequency

Specimendepthd (mm)

d=105L=2700

L/d=18

L/d=24L/d=27

d=120

n=2881 n=2881 n=2881

Fig. 2. スギ E70における材せい d、スパン L、L/dの度数分布 Frequency of the specimen depth (d), span (L), and span/specimen depth (L/d) of E70 grade sugi (Japanese cedar). Symbol: n, number of specimens.

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井道裕史 他

4. 結果と考察4.1 スギ E70 による各寸法効果パラメータが曲げ強度に及ぼす影響

Fig. 3 に、スギ E70 における、a) 材せい d が一定の場合のスパン L と曲げ強度との関係、b) L が一定の場合の d と曲げ強度との関係、c) L/d が一定の場合の d と曲げ強度との関係を示す。また、本報、ASTM D1990、EN 384、Fernández-Golfínら (2002) がまとめた文献値による寸法効果パラメータを Table 2に示す。Fig. 3 に示すように、各寸法効果パラメータは長尾ら (2014) と同様の方法で求めた。すなわち、L または dを x 軸に、曲げ強度を y 軸にとり、累乗近似式 y=axb

をモデルとする回帰分析によって係数 aと bを求めた。寸法効果パラメータの値は係数 bの絶対値に相当する。

Table 2 から、d が一定の場合の L の寸法効果パラメータ sLについて、本報の 0.153は、ASTM D1990 や文献値と近い値にあった。L が一定の場合の d の寸法効果パラメータ sd について、本報の 0.227 は、ASTM D1990 の 0.29 よりもやや小さかったが、文献値の範囲内にあった。L/d が一定の場合の寸法効果パラメータ sR について、本報の値 0.285 は、EN 384、ASTM D1990、文献値の概ね 0.2~ 0.5の範囲内にあった。長尾ら (2014) の L/d=18 における sR=0.25 ~ 0.35 とも概ね一致した。また、ASTM D1990 などでは sd と sL

は独立したものと考え、sRは両者を足したものになっているが、各パラメータを別々に算出した本報の sR=0.285は、sdと sLの合計 0.38よりも小さかった。また、(6) 式を用いて標準荷重条件以外のスギ E70

y=148x-0.285

0

10

20

30

40

50

60

70

0 100 200 300

MOR

(N/m

m2 )

d (mm)

y=115x-0.227

0

10

20

30

40

50

60

70

0 100 200 300

MOR

(N/m

m2 )

d (mm)

y=127x-0.153

0

10

20

30

40

50

60

70

0 1000 2000 3000 4000 5000

MOR

(N/m

m2 )

L(mm)

L/d=18,n=606L=2700,n=1839d=120,n=597

a) b) c)

Fig. 3. スギ E70における、a) 材せい dが一定の場合のスパン Lと曲げ強度との関係、b) Lが一定の場合の dと曲げ強度との関係、c) L/dが一定の場合の dと曲げ強度との関係

a) Relationship between the span, L, and bending strength, MOR, with the constant specimen depth, d, b) relationship between d and MOR with constant L, and c) relationship between d and MOR with constant L/d, of the E70 grade sugi (Japanese cedar).

Symbol: n, number of specimens.

Table 2. 本報、ASTM D1990、EN 384、文献の寸法効果パラメータ Size effect parameters from this study, ASTM D1990, EN 384, and from the literature.

Length effect withconstant depth, s L

Depth effect withconstant length, s d

Depth and length effectwith constant L /d , s R

Sugi E70 (this study) 0.153 (d = 120) 0.227 (L = 2700) 0.285 (L /d = 18)

ASTM D1990 0.14 0.29 0.43 (L /d = 17)

EN 384 0.20 (L /d = 18)

Barrett and Fewell (1990) 0.17 0.23 0.4

Madsen (1992) 0.2 0 0.2Ehlbeck and Colling(1990) 0.15 0.15 0.3

Bury (1981) 0.4

Fewell and Curry (1983) 0.39

Barrett and Griffin (1989) 0.46

Johnson et al. (1989) 0.4

Symbols: d , specimen depth; L , span.

Note: The test conditions are shown in parentheses.

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森林総合研究所研究報告 第 19巻 1号, 2020

井道裕史 他

4. 結果と考察4.1 スギ E70 による各寸法効果パラメータが曲げ強度に及ぼす影響

Fig. 3 に、スギ E70 における、a) 材せい d が一定の場合のスパン L と曲げ強度との関係、b) L が一定の場合の d と曲げ強度との関係、c) L/d が一定の場合の d と曲げ強度との関係を示す。また、本報、ASTM D1990、EN 384、Fernández-Golfínら (2002) がまとめた文献値による寸法効果パラメータを Table 2に示す。Fig. 3 に示すように、各寸法効果パラメータは長尾ら (2014) と同様の方法で求めた。すなわち、L または dを x 軸に、曲げ強度を y 軸にとり、累乗近似式 y=axb

をモデルとする回帰分析によって係数 aと bを求めた。寸法効果パラメータの値は係数 bの絶対値に相当する。

Table 2 から、d が一定の場合の L の寸法効果パラメータ sLについて、本報の 0.153 は、ASTM D1990 や文献値と近い値にあった。L が一定の場合の d の寸法効果パラメータ sd について、本報の 0.227 は、ASTM D1990 の 0.29 よりもやや小さかったが、文献値の範囲内にあった。L/d が一定の場合の寸法効果パラメータ sR について、本報の値 0.285 は、EN 384、ASTM D1990、文献値の概ね 0.2~ 0.5の範囲内にあった。長尾ら (2014) の L/d=18 における sR=0.25 ~ 0.35 とも概ね一致した。また、ASTM D1990 などでは sd と sL

は独立したものと考え、sRは両者を足したものになっているが、各パラメータを別々に算出した本報の sR=0.285は、sdと sLの合計 0.38よりも小さかった。また、(6) 式を用いて標準荷重条件以外のスギ E70

y=148x-0.285

0

10

20

30

40

50

60

70

0 100 200 300

MOR

(N/m

m2 )

d (mm)

y=115x-0.227

0

10

20

30

40

50

60

70

0 100 200 300

MOR

(N/m

m2 )

d (mm)

y=127x-0.153

0

10

20

30

40

50

60

70

0 1000 2000 3000 4000 5000

MOR

(N/m

m2 )

L(mm)

L/d=18,n=606L=2700,n=1839d=120,n=597

a) b) c)

Fig. 3. スギ E70における、a) 材せい dが一定の場合のスパン Lと曲げ強度との関係、b) Lが一定の場合の dと曲げ強度との関係、c) L/dが一定の場合の dと曲げ強度との関係

a) Relationship between the span, L, and bending strength, MOR, with the constant specimen depth, d, b) relationship between d and MOR with constant L, and c) relationship between d and MOR with constant L/d, of the E70 grade sugi (Japanese cedar).

Symbol: n, number of specimens.

Table 2. 本報、ASTM D1990、EN 384、文献の寸法効果パラメータ Size effect parameters from this study, ASTM D1990, EN 384, and from the literature.

Length effect withconstant depth, s L

Depth effect withconstant length, s d

Depth and length effectwith constant L /d , s R

Sugi E70 (this study) 0.153 (d = 120) 0.227 (L = 2700) 0.285 (L /d = 18)

ASTM D1990 0.14 0.29 0.43 (L /d = 17)

EN 384 0.20 (L /d = 18)

Barrett and Fewell (1990) 0.17 0.23 0.4

Madsen (1992) 0.2 0 0.2Ehlbeck and Colling(1990) 0.15 0.15 0.3

Bury (1981) 0.4

Fewell and Curry (1983) 0.39

Barrett and Griffin (1989) 0.46

Johnson et al. (1989) 0.4

Symbols: d , specimen depth; L , span.

Note: The test conditions are shown in parentheses.

85

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製材品の曲げ強度における寸法効果パラメータの検討

の曲げ強度を標準荷重条件へ調整した結果、合計 3233体の曲げ強度が得られた。この曲げ強度を用いて Fig. 3 c) と同様のグラフを描いたところ、sR=0.267となった。これは標準荷重条件による曲げ試験のみの値である sR=0.285と概ね一致し、EN 384による (6) 式は荷重条件の調整法として有効であることがわかった。

4.2 基準強度に対する寸法調整係数と 5%下限値/基準強度との比較材せい d と、各樹種・等級ごとの 5%下限値/基準強度および標準荷重条件における寸法調整係数 k1との関係を、Fig. 4に示す。まず、5%下限値/基準強度は、非常にばらつきが大きい結果となったものの、dが 30~ 105mmあたりまでは 1より大きい値を、dが 120~180mm あたりは 1 に近い値を、d が 210mm を超えると 1より小さくかつ減少傾向を示した。dが 150mm前後での 5%下限値/基準強度は概ね 1 に近い値が得られたことから、本報で標準材せいを 150mmとしたことは概ね適切であったと考えられた。次に、k1について、k1 は d が 150mm までは一定であるが、150mm を超えると低下し、その低下度合いは sRが大きくなるほど増加する。5%下限値/基準強度と k1とを比較すると、dが 150mmを超える範囲において、k1は 1より小さくかつ sR が大きくなるほど小さくなるが、sR が 0.3 ~ 0.6のとき、5%下限値/基準強度と概ね一致した。ここで、d が 150mm以上のデータ (外れ値であるアカマツ d=240mm のプロットを除く) を回帰分析して

sR を求めた結果、sR=0.482 となり、これは sR=0.4 と0.5の間に位置していた。そのため、製材の日本農林規格に対応する基準強度を材せいに応じて低減するための係数 k1 にかかる寸法効果パラメータ sR は 0.4 ~ 0.5程度とするのが適当であると考えられた。

5. 結論アメリカやヨーロッパとは異なり、わが国の製材の日本農林規格に対応する基準強度に対しては、寸法の増加に伴い基準強度を低減する調整係数に相当するものは存在しない。今後、丸太の大径化に伴い、これまでより材せいの大きい製材品の利用が増加することが予想される。したがって、寸法効果の影響を考えると、材せいの大きい製材品に対して従来の基準強度を用いることに対する懸念が生じる。そこで、『「製材品の強度性能に関するデータベース」データ集<8>』に集積された曲げ強度のデータを用いて、寸法効果の影響を調べるとともに寸法効果パラメータの値について検討した。まず、スギの曲げヤング係数を含水率 15%、スパンを材せいの 18倍とした 3等分点 4点荷重方式の標準荷重条件に調整し、等級区分を行なった。この結果、最もデータ数の多かったスギ E70のうち、標準荷重条件によって曲げ試験が行われた 2881体の曲げ強度を含水率 15%時の値に調整し、スパン、材せい、スパン/材せい比が一定の場合の各寸法効果パラメータを算出した。その結果、スギ E70の寸法効果パラメータは文献値と概ね近い値にあった。さらに、基準強度を材せいに応じて低減するための標準荷重条件における寸法調整係数 k1について検討した。まず、スギに加えて、アカマツ、ベイマツの曲げヤング係数と曲げ強度を含水率 15%および標準荷重条件の値に調整した。曲げヤング係数に基づき等級区分し、樹種、等級、材せい d ごとに曲げ強度の 5%下限値を求め、製材の日本農林規格に対応する基準強度との比 (5%下限値/基準強度) を算出した。次に、標準材せい d0を 150mmとして、dが 30~ 300mm、寸法効果パラメータ sRが 0.3 ~ 0.6 の場合の寸法調整係数 k1

をそれぞれ算出し、5%下限値/基準強度と比較した。その結果、sR は 0.4 ~ 0.5 程度にするのが適当であると考えられた。

謝 辞本報は、日本建築学会木質構造運営委員会木質材料強度検証小委員会 (2016年 4月~ 2020年 3月、主査:中島史郎) の一環として行ったものである。また、「製材品の強度性能に関するデータベース」の参画機関である公立試験研究機関の担当者の方々に感謝する。

0

0.2

0.4

0.6

0.8

1

1.2

1.4

1.6

1.8

0 60 120 180 240 300

5%lowerlimit/designstrength

Specimendepthd (mm)

k1 (sR=0.3)k1 (sR=0.4)

k1 (sR=0.5)

k1 (sR=0.6)

𝑘𝑘𝑘𝑘" = $1, 𝑑𝑑𝑑𝑑 𝑑𝑑 150

150𝑑𝑑𝑑𝑑

,-, 𝑑𝑑𝑑𝑑 𝑑𝑑 150

:sugi (Japanesecedar):akamatsu (Japaneseredpine):Douglasfir

Fig. 4. 材せい dと、各樹種・等級ごとの 5%下限値を基準強度で除したものおよび k1との関係

Relationship between the specimen depth and 5% lower limit/design strength and the size effect factor.

Symbols: k1, size adjustment factor; sR, size effect parameter with constant L/d; L, span; d, specimen depth.

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森林総合研究所研究報告 第 19巻 1号, 2020

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Bulletin of FFPRI, Vol.19, No.1, 2020

Influence of the size effect parameter on the bending strength of lumber

Hirofumi IDO 1)*, Hideo KATO 1) and Hirofumi NAGAO 1)

Abstract The purpose of this study was to determine the size effect parameter for the design strength that corresponds to the Japanese Agricultural Standard for lumber. This was performed using an existing database that contains lumber strength properties. Initially, each size effect parameter for the constant span, specimen depth, and span/specimen depth ratio of the E70 grade sugi (Japanese cedar) was obtained using its bending strength, and each size effect parameter was confirmed to agree with the values reported in previous studies. Then, the size effect factor was considered with an objective to reduce the design strength based on the specimen depth. The bending strengths of sugi, akamatsu (Japanese red pine), and Douglas fir were adjusted to the values under the standard loading conditions using an existing adjustment formula. In addition, the 5% lower limit of the bending strength was obtained for each species, grade, and specimen depth. The ratio of the 5% lower limit of bending strength and the design strength corresponding to the Japanese Agricultural Standard for lumber (5% lower limit/design strength) was calculated and compared with the size adjustment factor for the standard specimen depth of 150 mm. Thus, under the standard loading conditions, it was inferred that the value of the size effect parameter for the size adjustment factor was approximately 0.4–0.5.

Key words: size effect parameter, size adjustment factor, bending strength, lumber, database

Received 13 June 2019, Accepted 18 December 20191) Department of Wood Engineering, Forestry and Forest Products Research Institute (FFPRI)* Department of Wood Engineering, FFPRI, 1 Matsunosato, Tsukuba, Ibaraki, 305-8687 JAPAN; e-mail: [email protected]