e-カリキュラムデザイン曼荼羅 Mandala 「ホリスティックな教師をめざす:光と陰とその狭間を超えて」 M 大学「教職実践演習」 2018.1.12 成田喜一郎(東京学芸大学)
【結】 新たなプロローグ
・ UQへの応答はできるか、試してみよう。
・ 「ホリスティックな教師って、( )な先生!」と書いてみよう。
・ 「なぜ、そう書いたのか」理由や根拠も書いてみよう。 → グラデーション・シートにどうぞ。
・ ペアか、鼎(かなえ、3人)かで「対話」をしてみよう。 → 回覧コメント法を試しみようか。
・ 他者との「対話」を終えて、最後に、自己との「対話」 をしてみよう。
・ グラデーションシートの裏面に「本日の講義を受けて、新たに立ち上がってきた問いは何か」
問いが浮かばなかった方は、「感想や意見など、成田へのメッセージをどうぞ。」
・ 離脱の自由、OK! 空白にも意味がある! 違和感はさらなる深い理解への入り口!
・ EQs を抱え愛していってほしい、そして応答を試みていってほしい。
【起】 プロローグ
・ なぜ、わたくしがここにいるのか?
・ わたくしの経歴と専門は何か?
・ 中学校社会科教師( 年)、中学校副校長( 年)
・ 大学教育研究者( 年)
・ 社会科教育・帰国子女教育・国際理解教育・消費者教育・環境教育・シティズンシップ教育
学校図書館活用教育、ホリスティック教育/ケア
・ 研究テーマ:ESD(持続可能な開発のための教育)カリキュラムデザイン、
子どもと教師のためのエスノグラフィーの記述と研究
・ EQs 及び UQ の確認と共有
【転】 ホリスティックな教師になるには
・ 「ホリスティックholistic」の語源と派生語は?
Holos (ギリシャ語源、全体)、 派生語 whole・health・heal・holy 、Holism(スマッツ ,1925)
・ 「ホリスティックな教育」の定義は? 【資料1】
つながりへの気づき : つながり・つりあい・つつみこみ、つづける学びを引き出す営み
・ 「ホリスティックな学びの特徴」を理解している教師のチェックポイント 【資料2】
身体・感情・知性・精神、多元知、努力と遊び、安らぎ、成就、生活、自己、生涯、棄却、直観
・ 「3つの教育観」を包み込むホリスティックな教師 【資料3】
Ⅰ:トランスミッション(伝達) Ⅱ:トランスアクション(交流) Ⅲ:トランスフォーメーション(変容)
【承】 教師の仕事と子どもたちの可能性
・ 教師の仕事への期待(光)と不安(陰)とその狭間
→ 資料「教師の仕事:高校生の期待と不安の傾向」
→ あなたは?わたしは? 「対話」をしてみよう。
・ 「それでも人生にイエスと言えるか」(フランクル,1993:74-77)
→ それでも教師に、と言えるか?
・ この「写真」、何に見えますか?
・ この「イラスト」は何でしょう?
・ クイズ、この「ポエム」の作者の年齢は?
🔴 深くて永く続く問い : 教師とは何か、教員(教職員)とは何か、教育者とは何か、実践者とは何か 等 (英訳等対比のススメ)
Essential Questions (EQs)
🔴 単元(本時)を貫く問い : ホリスティックな教師とは何か、あなたが「解釈」して他者に伝えることができるか
Unit Question (UQ)
理解の6側面:説明、解釈、応用、展望(パースペクティブ)、共感(違和感)、自己認識 (ウィギンズ,&マクタイ,2012)
【資料1】 「ホリスティックな教育」の定義
ホリスティック教育とは、1〈つながり Connection〉人間・時間・空間・事物・情報・精神などあらゆるも
のとのつながりに気づき、2〈つりあい Balance〉論理と直観、心と身体、自主独立と相互依存、知の
様々な分野などとのバランスをとり、3〈つつみこむ Inclusion〉学んだ知識や概念、多様なリテラシ
ー・スキルを知・心・身体性の中に取り込み、4〈つづく/つづけること Sustainability〉。それらの〈つな
がり〉〈つりあい〉〈つつ みこみ〉への気づきを通して、自己の主体変様(変容)と、社会変革をめざす
社会参画や行動を引き出す、持続・継承される教育的な営みのことである。/ホリスティック教育と
は何か。一言で言うならば、『つながりへの気づき』である。」 (成田, 2013:11-12)
【資料2】 「ホリスティックな学びの特徴」
□ (1) 学びには、身体、感情、知性、精神のすべての面がふくまれます。
□ (2) 知ることと学ぶことには、多くの道があります。(ガードナーの「多元的な知性」:言語的知性、論理
数学的知性、空間的知性、音楽的知性、運動感覚的知性、対人関係的知性、個人の内面的知性等)
□ (3) 学びには努力と遊びの両面があります。
□ (4) 学びが促進されるのは、心がやすらぐ環境にいるときです。
□ (5) 学びが促進されるのは、生徒や学生が意欲的に学習にとりくみ、それをなしとげるときです
□ (6) 学びが促進されるのは、それが実際の生活に関係しているときです
□ (7) 〈自己〉を知ることは、ホリスティックな学びの核心です(内面への旅には、「内省」と「瞑想」と
いう二つの方法があります)
□ (8) 成長や発達は大人になってからもつづきます(ユングは、三五歳ごろに人生や精神発達にお
ける重要な転機がおとずれる、と言っています)
□ (9) 学びには、過去の条件づけを解き放つはたらきもふくまれます(過去に受けた好ましくない条
件づけから解放される必要が生じる場合もあります)
□ (10) 直観は、すぐれた知のあり方です(芸術や運動のような方法をもっと重視し、直観的思考を
のばす必要があります。直観のはたらきに注意を払うようになると、部分は全体のもとに新たに
統合されるようになります)」 ミラー(1997:33-39)抜粋
【資料3】 3つの立場の教育観とホリスティック教育
わたくしたちの受けてきた教育、今、まさに行っている教育実践には、意識しているといないとにか
かわらず、以下のような教育観に基づいている。
Ⅰ. トランスミッション(伝達):学問中心アプローチ、機械論的学習観、行動主義的心理学の刺激—
反応モデル;アトミズム(原子論)的世界観
Ⅱ. トランスアクション(交流):問題解決のプロセス、学際的な学問研究の方法論、デューイの経験
理解の最適モデルとしての実験科学、ピアジェの学習者間の知的刺激の相互作用、認知的発達理
論;プラグマティズム的世界観
Ⅲ. トランスフォーメーション(変容):一人ひとりの人間と社会との同時変容に関心を注ぐ。学習者の
知的な側面だけではなく、美的、道徳的、身体的、そして精神的な側面をも含んだ全体として理解す
る。
ホリスティックな学び(教育)は、こうした3つの教育観(理論的・哲学的背景)を分割・断片化された
ものとは捉えず、Ⅰ.トランスミッション型教育とⅡ. トランスアクティン型教育の限界を超え、包み込も
うとしていると言っても過言ではない。 ミラー(1994:9-59)要約
【主な参考文献・サイト】
○成田喜一郎(2013)「ESD カリキュラム及び授業デザインの理論と方法:カリキュラム開発の方法を
探究する」『東京学芸大学教職大学院年報』第2集, p.1-15.
○ミラー,ジョン.P 著(1994)吉田敦彦・中川吉晴・手塚郁恵訳『ホリスティック教育:いのちのつながり
を求めて』春秋社.
○ミラー,ジョン.P 著(1997)中川吉晴・吉田敦彦・桜井みどり訳『ホリスティックな教師たち:いかにし
て真の人間を育てるか?』学研.
・ 日本ホリスティック教育協会:https://www.holistic-edu.org
・ 日本ホリスティック教育/ケア学会:https://www.holistic-edu-care.org
・ ホリスティック教育/ケアの理論と実践(筆者の講義サイト):http://holisticeducation2011.blogspot.jp
(2018.1.11 取得)