朝日ライフアセットマネジメントの速水です。

私たちは日本で初めてのSRIファンドの運用を行っており、おかげさまで、これまでの実績を高くご評価いただき、現在投信評価会社のモーニグスター社のファンド格付けで、☆☆☆☆☆の格付けをいただいております。

本日の講演資料はみなさまのお手元には配布されていませんが、後日弊社のHPに掲載いたしますので、どうぞご利用ください。

また弊社HPにて、月2回のコラム「SRIのすゝめ」を掲載させていただておりますので、こちらも合わせてご利用ください。

では、早速ですが、弊社朝日ライフアセットマネジメントのSRI運用について、短い時間ですが簡潔にご説明させていただきたいと思います。

まずはじめに、投資の基本観つまり、哲学についてです。

企業の社会的責任とは何か。様々な方が様々な意見を言います。あるひとは温暖化防止であったり、あるひとは女性社員の登用であったり、あるひとはコンプライアンスであったり、またあるひとにとっては、それは寄付だったり納税だったりもします。

しかし私たちにとって、CSRについて有効な定義はひとつしかありません。

それは、ビジネスを通じて社会的課題に取り組むことです。

会社とは本来、ひとびとの幸せに貢献するためにある、とういのが私たちの投資の哲学なんです。

いかなる環境の中でも、世の中に必要とされる会社、社会の発展に貢献できる会社だけに、私たちは投資をしてまいります。

投資のプロセスは、「調査対象企業の選定」から、「企業価値分析」、「企業価値算出」、そしてポートフォリオの構築と進みます。

私たちにとって、SRIというのは、長期的な投資成果を高めるための重要な手段であると考えています。

そのためには、このプロセスの中で、特に「企業価値分析」に強いストレスをかけていきますが、ここでは企業の「社会貢献度」と「収益性」とについて、それぞれ別々ではなく、統合して分析していくことが、きわめて重要だと考えています。

しかし、いかに社会に貢献し、魅力的な銘柄であっても、それを通常の価格で買っていたのでは、投資家として充分なリターンを得ることはできません。

実は株価というのは、このスライドの図のような動きをしています。

私たちは、その企業の将来について、悲観が募り、投資家心理が冷え込み、価格が価値を大幅に下回ったタイミングで、お金を投じていきます。

やがて悲観が過ぎ去り、相場が上向き、今度は加熱する手間で、株式を手放して、投じたお金を手元に戻します。

私たちはこれは、「リターン」と呼びます。

問題は、「価格」ではく、「価値」をどう見極めるかということです。

投資の世界では、企業価値とは「将来の収益性」を意味します。投資するのであれば、将来の収益性が維持向上してく価値の高い銘柄を選ぶことが重要です。

実は、企業の価値、つまり将来の収益性は、このスライドの縦軸と横軸の２つの要素で、ほぼ決定されます。

縦軸は、その事業の魅力度。横軸は同じ業界内での相対優位性です。

例えば、鉄鋼産業、例えば自動車産業、例えば医薬品産業について、温暖化防止、品質問題、貧困解消など社会的課題を考慮しながら、産業構造や事業特性をとらえて、その魅力度を結論づけます。

横軸の相対優位性では、エネルギー効率、環境技術、価格競争力などを考慮して、将来の競争力を結論づけます。

事業の魅力度が高まるほど、また相対優位性が高まるほど、企業の立ち位置が→の方向に移動していくことで、収益性が上昇していきます。

つまり、収益性向上⇒価値上昇⇒株価上昇、が投資のロジックです。

環境省の統計では、2008年度のオフィスビルを含む業務部門のCO2排出量は2.3億㌧と、90年度比で41.3％増加しています。

オフィスビルでの運転エネルギーのうち約50％は空調の運転によるものと言われており、この分野でのＣＯ２削減は大きな社会的課題です。

この4月からは、東京都でＣＯ２排出削減を義務付ける国内初の制度がスタートします。効率的な空調の省エネ技術をもつこの会社の活躍の場が、これからますます広がり、事業の魅力度が高まっていくと期待されます。

この会社は業界でも、受注実績、技術、人材の面で他社を圧倒しており、またより収益性の高い既存ビルのリニューアル工事の受注を強化していることから、今後ますます他社を引き離すことでしょう。

緑の棒グラフは、収益性の代表的指標である営業利益率です。受注環境が厳しい、建設業界の中で、収益性が高まっているのは、この会社の立ち位置が改善しているからです。

政府は、太陽光発電住宅の導入規模を大幅に増やすことを目指し、国や自治体の補助金のほか、電気の買い取り価格を2倍にするなど、この事業には大きなフォローの風が吹いています。

太陽光発電住宅の普及は、家庭の低炭素化だけでなく、従来の集中型発電から、ロスが少なく災害にも強い分散型発電への転換、スマートグリッドの構築に貢献します。

積水化学では、太陽光発電住宅を昨年度の5,300戸から、7,300戸へと4割近く伸ばす計画を立てています。

この会社の競争優位の源泉は、早期から太陽光発電住宅の普及をにらみ、屋根のフラット化を進め、8割を占めていることです。通常の三角屋根の発電容量3ｋｗに対し、当社は4.4ｋｗです。

屋根のフラット化は、他社にはまだほとんどなく、設計にかかる認定の取り直しや、電気配線ノウハウなど、構造的な優位性をもっています。

収益性の水準は、まだ高くはありませんが、今後高まっていくでしょう。

シマノはすでにかなり良い立ち位置にあり、収益性も高水準を維持しています。

ハイブリッドや電気自動車の良いですが、環境にも、そして健康にも良い自転車は、これからますます有望なビジネスです。

シマノは、自転車部品の中でも、誰でもつくれるものではなく、特に操作性や安全性のカギを握る、ブレーキやギアなどに特化し、それを前輪と後輪、ブレーキとギアを組み合わせ、システム化することで、他社がマネをできないようにしています。

開発は、ツール・ド・フランスなどのロードレーサーなどハイエンドに特化し、毎年機能を改善することで、他社が追いつけないようにしています。

ダイセキは、環境と経済を両立させた典型的な会社です。

国内の産業廃棄物処理施設数は、約2万件ありますが、数少ない上場企として、社会的信用力の高さが業界内での強力な武器となります。

旧来型の、「つぶして」、「燃やして」、「埋める」という処理パターンではなく、高度な処理技術を駆使して、できるだけ分離し、再生し、新たな製品として販売していきます。代表例が燃料用の再生油があります。

つまり、廃棄物処理の受け入れ収入のほかに、再生油の売上が立ち、収入が増えていきます。

さらに廃棄物を分離・再生していくので、ゴミの最終処分が少なくなり、埋め立てコストも低下していきます。

つまり、高度な技術で、産業廃棄物処理を行うことで、収入を増やしながら、同時にコストを減らす構造をつくりあげており、これが高い収益性を支えています。