スイスの経済構造と主要産業 の現状と課題...2011~2015年)) 124 119 118 113 89...

34
人口減少と経済成長に関する研究会 1 スイスの経済構造と主要産業 の現状と課題 財務総合政策研究所 佐藤 栄一郎 佐野 春樹 2020310日(火)

Upload: others

Post on 08-Aug-2020

0 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

Page 1: スイスの経済構造と主要産業 の現状と課題...2011~2015年)) 124 119 118 113 89 89 89 79 0 20 40 60 80 100 120 140 (科学論文のインパクト指数( 2011

人口減少と経済成長に関する研究会

1

スイスの経済構造と主要産業の現状と課題

財務総合政策研究所佐藤 栄一郎 佐野 春樹

2020年3月10日(火)

Page 2: スイスの経済構造と主要産業 の現状と課題...2011~2015年)) 124 119 118 113 89 89 89 79 0 20 40 60 80 100 120 140 (科学論文のインパクト指数( 2011

スイスの概要

2

人口 854万人 (九州より少ない人口)

面積 41,277㎢ (九州ほどの面積)

(その他の特徴)

アルプスをはじめとする風光明媚な大自然

政治的特殊性(永世中立国、国民投票制度等)

多様性(4つの公用語、高い外国人割合)

Page 3: スイスの経済構造と主要産業 の現状と課題...2011~2015年)) 124 119 118 113 89 89 89 79 0 20 40 60 80 100 120 140 (科学論文のインパクト指数( 2011

スイスの人口の推移①(年齢別)

3

197011.5%

198013.9%

199014.6%

200015.4%

201016.9%

201818.5%

0%

2%

4%

6%

8%

10%

12%

14%

16%

18%

20%

0

100

200

300

400

500

600

700

800

900

1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2015

65歳以上158万人

20~64歳526万人

20歳未満171万人

高齢化率

(参考)日本の高齢化率2000年 17.4%2018年 28.1%

(出所)スイス連邦統計局、総務省統計局(日本)

Page 4: スイスの経済構造と主要産業 の現状と課題...2011~2015年)) 124 119 118 113 89 89 89 79 0 20 40 60 80 100 120 140 (科学論文のインパクト指数( 2011

イタリア 32

ドイツ 31

ポルトガル

26

フランス 13

コソボ 11

その他欧州

65

アジア 17

アフリカ 11

その他 9

スイスの人口の推移②(国籍別)

4

197016.2%

198014.4%

199016.7%

200019.8%

201022.3%

201825.1%

0%

5%

10%

15%

20%

25%

30%

0

100

200

300

400

500

600

700

800

900

1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2015

スイス人 外国人 外国人比率

外国人 215万人(2018年)

外国人比率

ヨーロッパ諸国

(出所)スイス連邦統計局

Page 5: スイスの経済構造と主要産業 の現状と課題...2011~2015年)) 124 119 118 113 89 89 89 79 0 20 40 60 80 100 120 140 (科学論文のインパクト指数( 2011

スイスの豊かさと競争力

5

スイスの国民1人あたりGDPは比較的高い水準。

𝐺𝐺𝐺𝐺𝐺𝐺人口

=𝐺𝐺𝐺𝐺𝐺𝐺

労働時間×

労働時間

人口

1人あたりGDP

労働生産性

労働参加率

1位 ルクセンブルグ 10.7万ドル

2位 アイルランド 8.1万ドル

3位 スイス 6.6万ドル

・・・

OECD平均 4.4万ドル

18位 日本 4.2万ドル

1位 アイルランド 100ドル

2位 ルクセンブルグ 96ドル

3位 ノルウェー 85ドル

4位 デンマーク 73ドル

5位 ベルギー 72ドル

6位 スイス 71ドル

・・・

OECD平均 53ドル

20位 日本 46ドル

1位 ルクセンブルグ 1,110時間

2位 NZ 934時間

3位 スイス 927時間

・・・

5位 日本 915時間

OECD平均(2017年)

809時間

(2018年)

(出所)OECD Stat

Page 6: スイスの経済構造と主要産業 の現状と課題...2011~2015年)) 124 119 118 113 89 89 89 79 0 20 40 60 80 100 120 140 (科学論文のインパクト指数( 2011

スイスの競争力

6

国際競争力ランキング(WEF) 2019

スイスの競争力は、マクロ経済の安定性、スキル、労働市場、イノベーションなどの面で世界的に評価が高い。

スイス 日本

マクロ経済の安定性(政府債務等)

1位 42位

スキル

(卒業者のスキル、職業訓練の質等)

1位 28位

労働市場(解雇規制、賃金水準等)

2位 16位

イノベーション

(国際共同開発、研究開発費、商標登録等)

3位 7位

(参考)スイスより日本のランキングが高い主な項目は以下のとおり。債権回収率 1位(スイス46位)、モバイルブロードバンド 2位(同32位)、空港ネットワーク 3位(同29位)、国境手続きの効率性 3位(同16位)、殺人事案 1位(同9位)、特許出願数 1位(同4位)、鉄道サービスの質 1位(同3位)

Page 7: スイスの経済構造と主要産業 の現状と課題...2011~2015年)) 124 119 118 113 89 89 89 79 0 20 40 60 80 100 120 140 (科学論文のインパクト指数( 2011

スイスの高い競争力の背景(職業教育)①

7

スイスの教育は、職業・専門教育が充実している点が特徴。

(博士)

(修士) (修士) (修士)

第三期教育

後期

中等教育

前期

中等教育

高等教育訓練校

バカロレアスクール

ブリッジコース

前期中等教育

連邦(上級)高等教育試験

中等専門校職業教育訓練

(VET)職業教育訓練

(VET)

総合大学 教育大学 専門大学

スイスの主な教育体系

コース 学生数

総合大学 152,858

教育大学 21,195

専門大学(ビジネス、IT、健康・福祉、芸術等)

78,477

高等教育訓練校(看護、経営、保育等)

32,756

コース 学生数

バカロレアスクール 71,076

中等専門校 19,456

VET(職業教育訓練)

224,557

ブリッジコース 19,108

(注1)図中の※は「バカロレア準備コース」 (注2)図中の矢印は主な進路を示す。(注3)「ブリッジコース」とは、中学卒業後に進学先を見つけられなかった者に対するサポート(普通教育、職業教育含む)を行うコースである。(出所)スイス連邦統計局(学生数)

(第三期教育)

(後期中等教育)

約6割

Page 8: スイスの経済構造と主要産業 の現状と課題...2011~2015年)) 124 119 118 113 89 89 89 79 0 20 40 60 80 100 120 140 (科学論文のインパクト指数( 2011

スイスの高い競争力の背景(職業教育)②

スイスの労働者の勤務年数は比較的短い。

49.9 45.9 44.9

40.0 37.2

35.3 32.1 32.0 31.4

29.6 28.8 28.8 28.6 26.2

0

10

20

30

40

50

60

勤務年数10年以上の被雇用者の割合(2018年)

(注)日本は2017年、アメリカは2018年1月現在。日本、アメリカ以外は15~64歳。

(出所)OECD stat、データブック国際労働比較(2019年)

職業教育訓練(VET)を受けた者の3分の2は、修了後1年以内に他の企業(ほとんどが「同業

種」)へ転職。他方、転職による賃金の低下は有意に伴っていない。

VETで身につく技能は専門性が強く、経済・技

術の変化への柔軟性に欠けているとの指摘。VET修了者は修了後、比較的容易に就職先を

確保することができる一方、キャリア後半において雇用・賃金面で不利になるおそれがあるとの指摘。

他方、半数のVET修了者は少なくとも1度は「業

種間」の転職を経験しており、多くの者にとって経済的不利が伴っていない可能性。

VET修了後に大学入学資格(バカロレア資格)

を取得する者も増えており、教育制度の中での柔軟性(「VET→大学」等)も高い。

VET修了者の雇用の流動性(SCCRE(2018)”Swiss Education Report 2018”)

8

Page 9: スイスの経済構造と主要産業 の現状と課題...2011~2015年)) 124 119 118 113 89 89 89 79 0 20 40 60 80 100 120 140 (科学論文のインパクト指数( 2011

スイスの高い競争力の背景(職業教育)③

9

スイスの継続教育への参加率は高い。

継続教育参加率の国際比較(2016年 %)

企業の教育訓練費の国際比較(労働費用総額に占める割合)

(注)フランス、イギリス、オランダ、スウェーデン、ドイツは2012年、スイス、韓国は2015年、日本は2016年。(出所)スイス連邦統計局、データブック国際労働比較(2017年)

1.9%

1.5%

0.8%0.7%

0.6%0.5% 0.5%

0.2%

0.0%

0.5%

1.0%

1.5%

2.0%【参考】小企業 0.6%中企業 0.7%大企業 0.9%

67.561.5

56.5 54.950.2 50.0 47.7 47.5

42.7 41.0

0

10

20

30

40

50

60

70

80

スイス

オランダ

スウェーデン

ノルウェー

ドイツ

フランス

フィンランド

イギリス

ユーロ圏(平均)

日本

(注)25~64歳までの者のうちノンフォーマル訓練(non-formal educationand training)を受けた者の割合。日本は2012年の数値。(出所)Eurostat(日本のみOECD stat)

Page 10: スイスの経済構造と主要産業 の現状と課題...2011~2015年)) 124 119 118 113 89 89 89 79 0 20 40 60 80 100 120 140 (科学論文のインパクト指数( 2011

スイスの高い競争力の背景(研究開発)①

10

スイスの研究開発費は国際的に見て比較的高い。

研究開発費(対GDP比)の国際比較

(出所)OECD Stat

4.55 4.54

3.40 3.37 3.21

3.05 3.04 2.79 2.76

2.37 2.19 2.09 1.99

1.66

0.0

0.5

1.0

1.5

2.0

2.5

3.0

3.5

4.0

4.5

5.0

Page 11: スイスの経済構造と主要産業 の現状と課題...2011~2015年)) 124 119 118 113 89 89 89 79 0 20 40 60 80 100 120 140 (科学論文のインパクト指数( 2011

スイスの高い競争力の背景(研究開発)②

11

科学分野における研究については、国際的に量・質ともに高い。 特許出願数も多く、とりわけ外国との共同によるものが多い。

1,020 965 833

569 560 554 545 540 514 419 204

0200400600800

1,0001,200

科学論文の量と質

(研究者1,000人当たり科学論文出版数(2011~2015年))

124 119 118 118 11389 89 89 79

020406080

100120140(科学論文のインパクト指数(2011~2015年) 世界平均=100)

(出所)スイス連邦教育・研究・イノベーション庁

56.8

46.5

42.3

24.9 24.8 24.0 24.0

19.0 18.5 18.3 17.2 13.3

7.9

2.6

0

10

20

30

40

50

60

外国との共同による特許出願数の割合(2017年)

(注)特許協力条約(PCT)ベース (出所)OECD

・・・

Page 12: スイスの経済構造と主要産業 の現状と課題...2011~2015年)) 124 119 118 113 89 89 89 79 0 20 40 60 80 100 120 140 (科学論文のインパクト指数( 2011

スイスの経済格差と財政状況

12

スイスの所得再分配「前」の格差は比較的小さい。 スイスの政府規模、財政赤字についても比較的小さい。

0.516 0.512 0.506 0.505 0.505 0.504

0.447 0.445 0.434 0.429

0.386

0.2910.266

0.3570.390

0.294

0.339

0.2610.285 0.282

0.2620.296

0.000

0.100

0.200

0.300

0.400

0.500

0.600

再分配前 再分配後

ジニ係数の国際比較

(データ)2015年以降の最新の数値を使用。 (出所)OECD Stat

再分配

56.6 55.9 52.7 50.8 49.7 43.9 43.6 41.4 39.0 38.2 34.2

0102030405060

財政状況の国際比較(政府の総支出(対GDP比)(2016年))

236.3

106.8 98.0 87.969.1 63.0 61.9

42.1 41.8 37.2 36.4

0

50

100

150

200

250

(一般政府債務残高(対GDP比)(2016年))

(出所)OECD、IMF

Page 13: スイスの経済構造と主要産業 の現状と課題...2011~2015年)) 124 119 118 113 89 89 89 79 0 20 40 60 80 100 120 140 (科学論文のインパクト指数( 2011

スイスの経済構造

13

スイス経済は輸出の割合が大きい。

GDPの構成と輸出入(2018年見込み、単位:億スイスフラン)

民間最終消費支出3,672

輸出4,560 輸入

3,717

政府最終消費支出815

純輸出 843

総資本形成1,565

純輸出 843

GDP 輸出 輸入

GDPの66%

(出所)スイス連邦統計局

GDP 6,895

Page 14: スイスの経済構造と主要産業 の現状と課題...2011~2015年)) 124 119 118 113 89 89 89 79 0 20 40 60 80 100 120 140 (科学論文のインパクト指数( 2011

スイスフランの推移

14

スイスフランは中期的に増価傾向。

1.00

1.10

1.20

1.30

1.40

1.50

1.60

1.70

2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 2016年 2017年 2018年 2019年

ギリシャ財政統計不正発覚

(2009年10月)

スイス中銀(SNB)無制限介入期間

(2011年9月~2015年1月)

通貨高

EUR/CHF(ユーロフラン)相場の推移

2015年1月15 日の相場高値 1.2019 EUR/CHF安値 0.8696 EUR/CHF

リーマン・ブラザーズ経営破綻

(2008年9月)

Page 15: スイスの経済構造と主要産業 の現状と課題...2011~2015年)) 124 119 118 113 89 89 89 79 0 20 40 60 80 100 120 140 (科学論文のインパクト指数( 2011

スイスの経常収支

15

経常収支は黒字であり、貿易収支の黒字の影響が大きい。

経常収支の推移(単位:億フラン)

(出所)スイス国立銀行

430

891

486

669 741

561

736 626

436

724

▲ 500

0

500

1,000

1,500

2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018

第二次所得収支 投資所得(第一次) 雇用者報酬(第一次) サービス収支

貿易収支 経常収支 貿易・サービス収支

Page 16: スイスの経済構造と主要産業 の現状と課題...2011~2015年)) 124 119 118 113 89 89 89 79 0 20 40 60 80 100 120 140 (科学論文のインパクト指数( 2011

Auer et al.(2011)

価格弾力性が低い機械や医薬品などの分野の輸出シェアが大きいことを背景に、輸出全体の弾力性も低い(データは1972~2000年)。

Grossman et al.(2016)

化学、製薬、精密機械、時計など高付加価値産業のシェアが高いことなどを背景に、輸出全体が(実質)為替の動きに対し非弾力的。他方、新興国をはじめとする輸出先の経済の動きに対し弾力的(データは

1989~2014年)。

Fauceglia et al.(2018)

海外からの中間財の調達シェアが大きい化学やエンジニアリングの分野では、通貨高は中間財の輸入財の価格を下げる効果があるため、輸出への悪影響を緩和(「ナチュラル・ヘッジ」)(データは1996~2013年)。

スイスの輸出構造

16

主要な輸出品目である医薬品などは、価格弾力性が低く、為替変動の影響を受けにくい。

スイスの輸出品目(単位:百万スイスフラン)

スイスの輸出に関する分析例

化学・製薬

104,372

機械・器具・電

機, 33,520

時計

21,180

精密機械

16,806

金属

14,402

宝石

11,586

その他

31,358

(注)貴金属、美術品、骨とう品除く。 (出所)スイス連邦統計局

合計 233,224(2018年)

Page 17: スイスの経済構造と主要産業 の現状と課題...2011~2015年)) 124 119 118 113 89 89 89 79 0 20 40 60 80 100 120 140 (科学論文のインパクト指数( 2011

スイスの多国籍企業

17

スイス経済における多国籍企業のプレゼンスは大きい。

スイスの主な多国籍企業

【食品・飲料】 ネスレ 【製 薬】 ロシュ、ノヴァルティス【宝 飾 品】 リシュモン、スウォッチ 【製造業】 ABB(ロボット)、シンジェンタ(農薬)【サービス】 アデコ(人材)、キューネ・アンド・ナーゲル(輸送)【金融・保険】 UBS、クレディ・スイス、チューリッヒ保険

4%26%

36% 47%

企業数 雇用数

GDP 連邦法人税収

(出所)McKinsey&Company(2019)

13,079 14,044 14,263 15,210

11,542 11,700 12,108

12,223

0

5,000

10,000

15,000

20,000

25,000

30,000

2014 2015 2016 2017

海外に拠点を置く多国籍グループ スイスに拠点を置く多国籍グループ

スイスの多国籍グループ企業数

(出所)スイス連邦統計局

多国籍グループのウェイト

2014→2017年で11.4%増(全企業数は2.9%増)

Page 18: スイスの経済構造と主要産業 の現状と課題...2011~2015年)) 124 119 118 113 89 89 89 79 0 20 40 60 80 100 120 140 (科学論文のインパクト指数( 2011

スイスの生産性格差①

18

スイスの生産性の伸びは近年低下傾向。製薬業が大きく伸びる一方、金融業は横ばい、宿泊・飲食料サービスは低下。

業種別 労働生産性の推移(1997年=100)

123.3

358.5

236.0

212.1

102.291.478.6

0.0

50.0

100.0

150.0

200.0

250.0

300.0

350.0

400.0

1997 2002 2007 2012 2017

産業平均 製薬業 通信業

化学業 金融業 宿泊業

飲食料サービス業

(出所)スイス連邦統計局

1.46

0.44

1.37

0.78

2.16

1.01 1.08

0.79

0.0

0.5

1.0

1.5

2.0

2.5

2000-2007 2007-2017

スイス 日本 アメリカ ユーロ圏(19か国)

労働生産性の伸び率の国際比較

Page 19: スイスの経済構造と主要産業 の現状と課題...2011~2015年)) 124 119 118 113 89 89 89 79 0 20 40 60 80 100 120 140 (科学論文のインパクト指数( 2011

スイスの生産性格差②

19

製薬業の労働生産性は極めて高い。

産業別 時間あたり労働生産性比較(単位 フラン)

351

143 138 13598 85 85 83 81 81

5930

0

50

100

150

200

250

300

350

400

(出所)Interpharma(2019)(基礎データはBAK Economics)

Page 20: スイスの経済構造と主要産業 の現状と課題...2011~2015年)) 124 119 118 113 89 89 89 79 0 20 40 60 80 100 120 140 (科学論文のインパクト指数( 2011

スイスの製薬業①(グローバル展開)

20

スイスの製薬業は、世界でのプレゼンスが大きく、売上のほとんどが海外におけるもの。

世界の医薬品企業の売上高 化学・製薬業(上位10社)の地域別売上高

スイス

2.7

アメリカ

66.4

ヨーロッパ

44.1

アジア、アフリカ、

オーストラリア

34.8

世界売上計:147.9(10億フラン)(2017年)

(出所)Interpharma(2019)(基礎データはIQVIA) (出所)SCIENCEINDUSTRIES SWITZERLAND(2018)

順位

企業名 国 売上高(億ドル)

割合

1 Johnson&Johnson アメリカ 518 4.9%

2 Novartis スイス 492 4.7%

3 Pfizer アメリカ 472 4.5%

4 Roche スイス 443 4.2%

5 Merck Sharp& Dohme

アメリカ 397 3.8%

6 AbbVie アメリカ 397 3.8%

7 GlaxoSmithKline イギリス 392 3.7%

8 Sanofi フランス 389 3.7%

9 Lilly アメリカ 291 2.8%

10 Gilead Sciences アメリカ 291 2.8%

Page 21: スイスの経済構造と主要産業 の現状と課題...2011~2015年)) 124 119 118 113 89 89 89 79 0 20 40 60 80 100 120 140 (科学論文のインパクト指数( 2011

スイスの製薬業②(研究開発)

21

製薬関係の研究開発については全産業に占める割合が高い一方、産業全般に広く適用可能性がある情報技術関係の割合は低い。

産業別 内部研究開発費の割合

化学・製薬

39%

研究開発

14%

ハイテク器具

5%

金属・機械

14%

情報通信

11%

その他

17%

合計 156億フラン(2017年)

(出所)スイス連邦統計局、連邦経済教育研究庁

181 164

122 116 100 94

73 65 59 48 40 23

0

50

100

150

200

180 162

126 100 94 93

68 61 60 54 46 38

0

50

100

150

200

分野別 特許割合(2017年 OECD=100)

(製薬関係)

(ICT関係)

Page 22: スイスの経済構造と主要産業 の現状と課題...2011~2015年)) 124 119 118 113 89 89 89 79 0 20 40 60 80 100 120 140 (科学論文のインパクト指数( 2011

スイスの製薬業③(研究開発)

22

スイスに限らず、製薬業(バイオ医薬品)の研究開発の収益率は、リスクの増大などを背景に低下傾向。

研究開発のコスト増や競争激化などを背景に、合併等が進展。製薬業における研究開発の

内部収益率(IRR)の推移近年の製薬業の合併・買収案件

10.1%

7.6% 7.3%

4.8%5.5%

4.2%3.7%

3.2%

0.0%

2.0%

4.0%

6.0%

8.0%

10.0%

12.0%

2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017

(出所)Deloitte(2017)

規模 案件

1,061億ドル ファイザー、ワーナー・ランバート(2000年)

893億ドル グラクソ・ウエルカム、スミスクライン・ビーチャム→グラクソ・スミスクライン(2000年)

732億ドル サノフィ、アヴェンティス(2004年)

726億ドル ブリストル・マイヤーズ スクイブ、セルジーン(2019年)

681億ドル ファイザー、ファルマシア(2002年)

603億ドル 武田薬品工業、シャイアー(2018年)

592億ドル アクタビス、アラガン(2014年)

581億ドル ファイザー、ワイス(2009年)

413億ドル ロシュ、ジェネンテック(2009年)

346億ドル メドトロニック、コヴィディエン(2014年)

(出所)Process Worldwide(2019)

うち研究のコスト増(▲2.0%)

うち研究のリスク増(▲4.2%)

▲6.9%

Page 23: スイスの経済構造と主要産業 の現状と課題...2011~2015年)) 124 119 118 113 89 89 89 79 0 20 40 60 80 100 120 140 (科学論文のインパクト指数( 2011

スイスの金融業①(低金利)

23

スイス国立銀行(SNB)は2015年にマイナス金利を導入。 マイナス金利を背景に銀行の住宅ローン残高増加。

(出所)OECD Stat. (出所)スイス国立銀行(SNB)、スイス連邦統計局

(%)

19.7%

32.0%

0%

5%

10%

15%

20%

25%

30%

35%

40%

0.0

0.2

0.4

0.6

0.8

1.0

1.2

2007

2008

2009

2010

2011

2012

2013

2014

2015

2016

2017

2018

不動産担保ローン残高 総資産に占める不動産担保ローンの比率-1.5

-1.0

-0.5

0.0

0.5

1.0

1.5

2.0

2.5

2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

長期金利 政策金利

マイナス金利導入(2015年1月)

(%)

金利の推移 不動産担保ローン残高推移(単位:兆フラン)

1.07%(2007年)

1.66%(2019年)

【空き家率】

Page 24: スイスの経済構造と主要産業 の現状と課題...2011~2015年)) 124 119 118 113 89 89 89 79 0 20 40 60 80 100 120 140 (科学論文のインパクト指数( 2011

スイスの金融業②(銀行業界の位置づけ)

スイスの金融機関の規模(総資産)は世界的に見て大きくない。 他方、スイスのウェルスマネジメントは世界的に評価が高い。

(出所)S&P Global ‟The world's 100 largest banks”

金融機関総資産ランキング

順位 金融機関名 国名総資産

(兆ドル)

1 中国工商銀行 中国 4.02 中国建設銀行 中国 3.33 中国農業銀行 中国 3.24 中国銀行 中国 3.0

5 三菱UFJフィナンシャルグループ 日本 2.8

6 JPモルガン・チェース アメリカ 2.67 HSBCホールディングス イギリス 2.58 バンク・オブ・アメリカ アメリカ 2.39 BNPパリバ フランス 2.3

10 クレディ・アグリコル フランス 2.1

30 UBSグループ スイス 0.9

41 クレディスイスグループ スイス 0.7

プライベートバンク預かり資産ランキング

順位 金融機関名 国名預かり資産残高

(10億ドル)

1 UBSグループ スイス 2,403.75

2 モルガン・スタンレー アメリカ 2,223.10

3 バンク・オブ・アメリカ アメリカ 2,206.03

4 ウェルス・ファーゴ アメリカ 1,899.30

5 カナダロイヤル銀行 カナダ 907.88

6 クレディスイスグループ スイス 792.02

7 シティグループ アメリカ 529.90

8 JPモルガン・チェース アメリカ 526.00

9 ゴールドマン・サックス アメリカ 458.00

10 BNPパリバ フランス 436.75

11 ジュリアス・ベア スイス 388.27

15 ピクテ スイス 284.18

(出所)‟Scorpio Partnership 2018 Global Private Banking Benchmark″ より作成。

Page 25: スイスの経済構造と主要産業 の現状と課題...2011~2015年)) 124 119 118 113 89 89 89 79 0 20 40 60 80 100 120 140 (科学論文のインパクト指数( 2011

AEOI導入以降、スイスも含むオフショアの非居住者預金が25%減少との推計。(Beer et al.(2019))

1934年スイス銀行法成立。(罰則を定めて厳重に「銀行機密」を保護)

1998年マネーロンダリング防止法制定。(犯罪で得た資金でないことの確認を銀行に義務付け)

2008年UBSを使った脱税行為に関連し、米国人顧客約300人の口座情報を米国政府に提供。

2013年FATCA合意書にスイス米国両国が署名。(スイス金融機関の米国人口座については、同意がある場合、金融機関から米国歳入庁に対して直接報告)

2015年OECD、CRS[共通報告基準]策定。(非居住者の口座情報を自動的に交換するための国際基準)

2017年

AEOI(金融口座に関する自動情報交換)策定。(CRSに従い、金融機関が非居住者に係る金融口座情報を税務当局に報告し、各国の税務当局間で互いに提供しあう仕組み)

スイスの金融業③(銀行の守秘義務)

25

近年、スイス金融業の特徴の一つである「銀行の守秘義務」は、欧米諸国から批判の的となった。

「銀行の守秘義務」の歴史

リーマン・ブラザーズ経営破綻(2008年)

「キアッソ・スキャンダル」(1977年)SKA(現クレディ・スイス)の支店による、リヒ

テンシュタインの架空会社への非合法な資金移転が発覚。

→銀行の守秘義務の撤廃を目的とする国民投票が行われるが73%の反対で否決(1984年)。

世論調査の結果、銀行守秘義務を支持する人が54%に低下(2013年)

Page 26: スイスの経済構造と主要産業 の現状と課題...2011~2015年)) 124 119 118 113 89 89 89 79 0 20 40 60 80 100 120 140 (科学論文のインパクト指数( 2011

スイスの金融業④(プライベートバンクの規模)

26

プライベートバンク(PB)事業においても、国内外の販売網拡大や事業の効率化などを目指した規模の拡大が図られている。

73.5

81.6

87.2

65

70

75

80

85

90

Large Medium Small

21 22 22 22 23 21 20 20 20 20

37 33 34 33 4129 29 29 29 28

105 103 91 8377

69 65 59 57 53

0

20

40

60

80

100

120

140

160

180

2010

2011

2012

2013

2014

2015

2016

2017

2018

2019

Large Medium Small

(行)

(注)Largeは預かり資産250億フラン超、Medumは50億フラン超250億フラン以下、Smallは50億フラン以下の銀行を示す。(出所)KPMG ‟Clarity on Performance of Swiss Private Banks”より作成。

プライベートバンク数の規模別推移 近年のプライベートバンク事業の買収例

Notenstein La Roche → Vontobel(2018年)

資産管理事業の強化と国内販売網の充実の観点から、国内に13の拠点を有する「Notenstein La Roche」を購入。管理資産は160億フラン。

Reliance Group → Julius Baer Group(2018年)

海外における販売網の更なる拡大の観点から、ブラジルのウェルスマネジメント会社「Reliance」の持ち分95%を購入。管理資産は45億フラン。

プライベートバンクの規模別経費率(%)

Page 27: スイスの経済構造と主要産業 の現状と課題...2011~2015年)) 124 119 118 113 89 89 89 79 0 20 40 60 80 100 120 140 (科学論文のインパクト指数( 2011

スイスの観光業①(競争力)

27

スイスの観光業の競争力は世界で10位。環境、人材などの面での評価は高いものの、価格競争力が極めて脆弱との評価。

旅行・観光競争力レポート2019(World Economic Forum (WEF))

【主な評価項目(14項目)】

環境持続性(1位) 人材・労働市場(2位) ビジネス環境(3位) 安全性(4位) 陸上・港湾インフラ(4位) ICT(5位) サービスインフラ(6位) 保健衛生(8位)

価格競争力(137位)

Page 28: スイスの経済構造と主要産業 の現状と課題...2011~2015年)) 124 119 118 113 89 89 89 79 0 20 40 60 80 100 120 140 (科学論文のインパクト指数( 2011

スイスの観光業②(価格弾力性)

28

スイスフラン高を背景に、スイスの旅行収支は近年赤字に転落。

宿泊・レストラン業の物価比較(2016年 スイス=100)

旅行収支の推移(単位:億スイスフラン)

観光業は、通貨高の影響を輸入価格の減少や賃金の引下げで補いづらく、経営に大きく悪影響。

23

▲ 14

▲ 50

0

50

100

150

200

2003

2004

2005

2006

2007

2008

2009

2010

2011

2012

2013

2014

2015

2016

2017

2018

受取 支出 旅行収支

(出所)BAK Economics(2018)、スイス連邦統計局

100

65 7062 62

0

20

40

60

80

100

120

Page 29: スイスの経済構造と主要産業 の現状と課題...2011~2015年)) 124 119 118 113 89 89 89 79 0 20 40 60 80 100 120 140 (科学論文のインパクト指数( 2011

スイスの観光業③(課題)

29

スイスの観光競争力の脆弱性の背景には、価格競争力以外にも、規模の経済性などの問題もある。

(参考)宿泊施設規模の諸外国比較スイス観光産業の課題

スイスはコストの面で著しく不利。(隣国と比較して2014年には労働コストは75%、中間消費コストは32%割高。)

アルプス山岳地域の観光地における事業者の規模が小さく、規模の経済が機能していない。

事業の専門化や経営ノウハウが欠如。

アルプス山岳地域の観光地が地理的に著しく細分化し、戦略策定が困難。

アルプス山岳地帯特有の天候の変化が設備の効率的な活用を妨げ利益率に悪影響。

低賃金、多忙な業務を背景に、働く場としての観光業の魅力が薄い。

(出所)スイス連邦政府「観光戦略」(2017)

57.7

69.9

56.9

72.2 68.7

51.3

0

10

20

30

40

50

60

70

80

(出所)Eurostat(注)ホテル及び類似の施設1施設当たりベッド数。

Page 30: スイスの経済構造と主要産業 の現状と課題...2011~2015年)) 124 119 118 113 89 89 89 79 0 20 40 60 80 100 120 140 (科学論文のインパクト指数( 2011

今後の課題①(人口推計)

30

スイスの人口は、今後も増加すると見込まれるが、そのほとんどは国外からの移民によるもの。

834

1,018

-

200

400

600

800

1,000

1,200

2015 2020 2025 2030 2035 2040 2045

中位推計 高位推計 低位推計

人口の長期推計(2015~2045年)

2020年の増減+8.16万人(+0.9%)

うち自然増減 +2.16万人うち社会増減 +6.0万人

2045年の増減+2.4万人(+0.2%)

うち自然増減 ▲ 0.6万人うち社会増減 +3.0万人

2015年 1.51(うちスイス人 1.42)

2030年 1.56(うちスイス人 1.47)

2045年 1.58(うちスイス人 1.50)

出生率(中位推計)

(出所)スイス連邦統計局

Page 31: スイスの経済構造と主要産業 の現状と課題...2011~2015年)) 124 119 118 113 89 89 89 79 0 20 40 60 80 100 120 140 (科学論文のインパクト指数( 2011

今後の課題②(労働供給)

31

高齢者の労働参加率は相対的に低く、高齢化が進む中においては、高齢者の活用が重要。

68.5

61.5 60.563.8

70.6

53.5

23.1

47.6

27.4

0

10

20

30

40

50

60

70

80

スイ

日本

OEC

D

スイ

日本

OEC

D

スイ

日本

OEC

D

総合 60-64 65-69

年齢別 労働参加率

(出所)OECD .stat

(注1)項目については主なものをとりあげているため、「総収入」「可処分所得」の合計は一致しない。(注2)世帯主の収入が主に年金等である世帯の割合は、55~64歳は10.6%、65~74歳は77.9%。(出所)スイス連邦統計庁

項目 世帯主55~64歳

世帯主65~74歳

勤労収入 10,040 1,762

年金等収入 1,408 5,995

財産・賃貸収入 528 914

総収入 12,031 8,719

税・社会保険料 ▲3,720 ▲2,486

可処分所得 8,337 6,491

支出 ▲6,771 ▲6,352

貯蓄 1,565 139

(参考)夫婦のみ世帯の収入と支出(月額/単位 スイスフラン)

Page 32: スイスの経済構造と主要産業 の現状と課題...2011~2015年)) 124 119 118 113 89 89 89 79 0 20 40 60 80 100 120 140 (科学論文のインパクト指数( 2011

今後の課題②(労働供給)

32

女性のパートタイム比率は国際的に見ても高く、とりわけ子どものいる世帯の比率が高い。

男女別 パートタイム比率

11.1

44.6

12.7

38.3

9.4

25.4

0

5

10

15

20

25

30

35

40

45

50

男 女 男 女 男 女

スイス 日本 OECD

(出所)OECD .stat

子どもの有無別 女性のパートタイム比率

(注)15~64歳までの女性を対象。(出所)スイス連邦統計局

31.9%42.8% 45.4%

17.0%

38.7% 33.9%

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

子どもなし 子ども(0-6歳) 子ども(7-14歳)

対フルタイム時間比率(~50%)

対フルタイム時間比率(50~89%)

Page 33: スイスの経済構造と主要産業 の現状と課題...2011~2015年)) 124 119 118 113 89 89 89 79 0 20 40 60 80 100 120 140 (科学論文のインパクト指数( 2011

諸外国と比較しても高い1人あたりGDPは、労働生産性、労働参加率の両面が高

いことによるもの。その背景して、職業教育や研究開発の充実などが挙げられる。

人口が少ないスイスは内需が小さいことから、古くから海外に活路を求め、経済に

占める輸出の割合が大きい。医薬品や時計など付加価値が高く価格弾力性が小

さい財の輸出に占める部分が大きいことなどから、通貨高においても輸出は安定

的に推移。

近年、生産性の伸びが低下。化学・製薬は大きく伸びる一方、金融、観光をはじめ

とするサービス業を中心に伸びが鈍化・低下。販路拡大や事業の効率化、研究開

発のコスト、リスク高への対応などの観点から、規模の拡大や事業の選択と集中

が競争力確保の一つの手段として活用されている(製薬業、金融業)。

33

まとめ

Page 34: スイスの経済構造と主要産業 の現状と課題...2011~2015年)) 124 119 118 113 89 89 89 79 0 20 40 60 80 100 120 140 (科学論文のインパクト指数( 2011

34

参考文献

労働政策研究・研修機構(2017, 2019)「データブック国際労働比較」

Auer Raphael and Sauré Philip (2011) “Export basket and the effects of exchange rates on exports–why Switzerland is special”, Working Paper No. 77, Federal Reserve Bankof Dallas Globalization and Monetary Policy Institute

BAK Economics (2018) “Benchmarking du tourisme – Le secteur Suisse du tourisme en comparaison internationale”, Rapport de synthèse du «Programme de benchmarkinginternational du tourisme suisse: étape de projet 2016-2017»

Beer Sebastian, Coelho Maria and Leduc Sebastien (2019) “Hidden Treasure: The Impact of Automatic Exchange of Information on Cross-Border Tax Evasion”, IMF WorkingPapers, No. 19/286.

Deloitte (2017) “A new future for R&D? - Measuring the return from pharmaceutical innovation 2017”

Fauceglia Dario, Lassmann Andrea, Shingal Anirudh, Wermelinger Martin (2018) "Backward participation in global value chains and exchange rate driven adjustments ofSwiss exports“, Review of World Economics (Weltwirtschaftliches Archiv), Springer;Institut für Weltwirtschaft (Kiel Institute for the World Economy), Volume 154(3), p537-584.

Grossmann Sandra Hanslin, Lein Sarah M. and Schmidt Caroline (2016) “Exchange rate and foreign GDP elasticities of Swiss exports across sectors and destinationcountries”, Applied Economics, Volume 48, 2016, Issue 57, p1-17.

Interpharma (2019) “Le marché du médicament en Suisse 2019”

KPMG (2019) “Clarity on Performance of Swiss Private Banks - Bigger is better in the quest for success”

McKinsey &Company (2019) “SWITZERLAND WAKE UP – Reinforcing Switzerland’s Attractiveness to Multinationals”

Process Worldwide (2019) “Top 10 Largest Pharmaceutical Mergers in History”

S&P Global(2019)‟The world's 100 largest banks”

Scienceindustries Switzerland (2018) “The Swiss Chemical and Pharmaceutical Industry”

Scorpio Partnership(2018)‟Scorpio Partnership 2018 Global Private Banking Benchmark″

Swiss National Bank(2019)‟Banks in Switzerland 2018”

World Economic Forum (2019) “The Global Competitiveness Report 2019”