死亡時画像診断に関するアンケート調査結果...設問1)死亡時画像診断をすでに行っていますか?...

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死亡時画像診断に関するアンケート調査結果 日本医学放射線学会

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死亡時画像診断に関するアンケート調査結果

日本医学放射線学会

対象:全国大学医学部の本院ならびに分院

回答者:放射線科と救命救急科の責任者

調査時期:平成22年11月~12月

アンケート依頼総数 235 件

回収できた数 144 件

( 回収率 61.3 % )

大学病院における死亡時画像診断に関する

アンケート調査

設問1)死亡時画像診断をすでに行っていますか?

51%46%

3%

はい いいえ

無回答

回答数 回答率

A:はい 74 51%

B:いいえ 66 48%

無回答 4 3%

合計 144施設

設問 2)設問1で“いいえ”の方は、将来、死亡時画像診断を

実施する予定や意志をお持ちですか?

回答数 回答率

A:はい 40 60%

B:いいえ 21 32%

無回答 5 8%

合計 66施設 60%

32%

8%

はい いいえ

無回答

実施施設からの回答

設問 3)死亡時画像診断を実施している対象は?(複数回答可)

33%

3%

8%

9%

10%

37%

院内

院外 他院

司法

行政

病理

その他 回答数 回答率

A:院内死亡例 55 37%

B:院外死亡例 48 33%

C:他院死亡例 5 3%

D:司法・行政解剖例 11 8%

E:病理解剖例 13 9%

F:その他 14 10%

合計 146

・安全管理室あるいは執行部からの依頼があった時のみ。

・死因がはっきりしないもの。

(その他)

設問 4)実施されている死亡時画像診断のmodalityは次のうち

どれですか?(複数回答可)

回答数 回答率

A:単純写真 20 18%

B:CT 79 71%

C:MRI 5 4%

D:US 8 7%

合計 112

18%

71%

4%

7%

単純X線

CT

MRI US

( 死亡時画像診断を施行している施設数 74 )

設問 5)死亡時画像診断の施行部位は ?

回答数 回答率

A:全身 33 42%

B:頭部~体幹部 29 36%

C:頭部のみ 1 1%

D:体幹部のみ 0 0%

E:検査ごとに異なる範囲 17 21%

合計 80

42%

36%

1%

0%

21%

全身

頭部~

体幹部

頭部のみ

体幹部のみ

検査ごとに異なる範囲

設問 6)死亡時画像診断の撮影は誰が行っていますか?

(複数回答可)

回答数 回答率

A:放射線科技師 73 83%

B:放射線科医 4 5%

C:放射線科以外の医師 9 10%

D:その他 2 2%

合計 88

83%

5%

10%2%

放射線科技師

放射線科医

放射線科以外の医師 その他

・担当医

・法医学医師

(放射線科以外の医師)

設問 7)死亡時画像診断の読影は誰が行ってますか?

(複数回答可)

回答数 回答率

A:放射線科医 54 47%

B:救急医 36 32%

C:病理医 2 2%

D:法医学医 2 2%

E:読影しない 10 9%

F:その他 9 8%

合計 113

47%

32%

2%

2%

9%

8%

放射線科医

救急医

病理医

法医学医

読影しない

その他

(その他)

・担当医。

・担当医が読影、ただし希望があれば放射線科医がレポート作成。

・放射線科医師は、依頼があれば口答で説明する。

設問 8)死亡時画像診断(CT)1件に要する平均的な撮影時間は?

70施設 合計

1% 1施設 撮影 60分

14% 10施設 撮影 30分

6% 4施設 撮影 20分

16% 11施設 撮影 15分

3% 2施設 撮影 10~15分

45% 31施設 撮影 10分

1% 1施設 撮影 7~8分

1% 1施設 撮影 7分

13% 9施設 撮影 5分

撮 影 (入室から退室まで)

設問 8)死亡時画像診断(CT)1件に要する平均的な読影時間は?

読 影

読影 5分 6施設 10%

読影 5~6分 1施設 2%

読影 5~25分 1施設 2%

読影 10分 23施設 40%

読影 15分 5施設 9%

読影 15~20分 1施設 2%

読影 15~30分 2施設 4%

読影 20分 6施設 10%

読影 30分 8施設 14%

読影 30~60分 1施設 2%

読影 60分 2施設 3%

読影 120分 1施設 2%

合計 57施設

撮 影 (入室から退室まで)

撮影 20分 1施設

撮影 30分 3施設

撮影 60分 1施設

撮影 40分 1施設

撮影 120分 1施設

合計 7施設

読 影

読影 5分 1施設

読影 20分 2施設

読影 30分 1施設

読影 60分 1施設

読影 120分 1施設

合計 6施設

設問 9)死亡時間画像診断(MRI)1件に要する平均的な撮影・ 読影時間は?

設問 10)死亡時画像診断用に専用画像診断装置を設置してますか?

回答数 詳細 回答率

A:はい 11施設 14%

“はい”の場合、購入費用の拠出元* 9施設 11%

B:いいえ 71施設 86%

“いいえの場合、A:随時撮影 51施設 62%

“いいえの場合、B:臨床時間外に撮影 20施設 24%

・都道府県の費用、大学の研究費、法医学の研究費、病院で使用していた装置、

寄附など。

(費用の拠出元* )

設問 11)死亡時画像診断の費用を請求していますか?

“はい”の場合:総請求額はいくらですか?

32%

68%

0%

はい

いいえ

総請求金額 撮影料 読影料

10,500円

13,500円 9,000円 4,500円

16,650円 16,650円

20,000円

26,000円

30,000円

50,000円

52,900円 30,500円 22,400円

回答数 回答率

A:はい 24 32%

B:いいえ 51 68%

合計 75

・診療報酬に準じる

・三次救急施設なので入院DPC扱い

・死亡確認前のCTは保険で請求、

死亡確認後のCTは無料

・家族の同意が得られれば保険で請求

回答数 回答率

A:ご遺族の負担 26施設 23%

B:大学の負担 10施設 9%

C:病院の負担 43施設 39%

D:医局の研究費 5施設 4%

E:公的な費用(警察や他の法的機関など)

21施設 19%

F:その他* 7施設 6%

合計 112施設

設問 12)死亡時画像診断にかかる費用はどのように処理

されていますか? (複数回答可)

*文部科学省の研究費

23%

9%

39%

4%

19%

6%

遺族

大学

病院

医局

公的費用

その他

設問 13)解剖(病理、司法、行政)実施症例数に対する

死亡画像診断併用のおおよその割合を10%単位で記入

してください.

解剖実施例におけるAi併用の割合

1%未満 1施設

1% 2施設

5% 2施設

0~10% 1施設

10% 10施設

20% 1施設

30% 2施設

50% 4施設

90% 2施設

100% 9施設

合計 34施設

設問 14)死亡時画像診断実施症例数に対する解剖実施の

おおよその割合を10%単位で記入してください.

Ai実施例における解剖実施の割合

1%未満 1施設

3% 1施設

5% 1施設

10%以下 3施設

10% 15施設

20% 2施設

30% 1施設

50% 2施設

60% 1施設

70%~80% 1施設

80% 2施設

90% 3施設

100% 2施設

合計 35施設

回答数 回答率

A:放射線科スタッフ 3 3%

B:病院内の遺体搬送専門職 3 3%

C:病院外の専門業者 11 12%

D:放射線科以外の医師 40 41%

F:その他 40 41%

合計 97

設問 15)ご遺体の搬送は誰が行っていますか? (複数回答可)

3% 3%

12%

41%

41%

放射線科

以外の医師

その他

病院外

専門業者

放射線科スタッフ 院内の遺体搬送専門職

・法医関連は、警察

(その他)

・救命の看護師

設問16)死亡してから死亡時画像撮影ならびに読影までの

時間にルールを設けてますか?

回答数 回答率

A:はい 12 15%

B:いいえ 66 85%

合計 88

15%

85%

はい

いいえ

・死亡後3時間以内の撮影を推奨している。

・検査対象者は院内で死亡した患者で死後

数時間以内の者に限定する。

・技師の手が空くまで待つ。

・読影業務は放射線科で実施するが、迅速対応は不可能である。

臨床医との連携が必要なため、読影報告書の作成は後日となる。

設問 17)死亡してから解剖を実施するまでの時間にルール

を設けていますか?

回答数 回答率

A:はい 6 8%

B:いいえ 65 92%

合計 71

8%

92%

はい

いいえ

・日勤帯なら病理医の準備ができ次第、当直帯

なら翌日

・夜間死亡の場合、原則として翌日の午前中から解剖を実施。

・夜間は対応不可

・搬送直後

設問 18)死亡時画像診断情報センター等の遠隔読影システムを

利用したことがありますか?

0%

100%

回答数 回答率

A:はい 0 0%

B:いいえ 79 100%

合計 79 いいえ

はい

実施していない施設も含めた

すべての施設からの回答

回答数 回答率

A:診療関連死 94 22%

B:異常死および予期しない死亡例 129 30%

C:解剖実施予定症例 52 12%

D:司法・行政解剖予定症例 60 14%

E:遺族からの希望がある場合 88 21%

F:その他 4 1%

合計 427

設問 19)死亡時画像診断の対象とすべきなのは、どの範囲だ

とお考えですか?(複数回答可)

22%

30%

12%

14%

21%

1%

診療

関連死

異常死

解剖

実施

司法

行政

遺族の

希望

その他

・死因が特定できない院内死亡例。

・いずれの可能性もある。死亡時画像の使用目的による。

・病院内で死亡確認を行った症例すべて。

設問 20)自治体ごとに死亡時画像診断(情報)センターの

設置が必要だと考えていますか?

回答数 回答率

A:はい 70 50%

B:いいえ 68 48%

無回答 3 2%

合計 141

50%48%

2%

はい いいえ

無回答

回答数 回答率

A:はい 91 63%

B:いいえ 47 33%

無回答 6 4%

合計 144

設問 21)放射線科医が死亡時画像診断をする場合、研修や試験

などを経た有資格者制度が必要だと考えますか?

63%

33%

4%

はい

いいえ

無回答

回答数 回答率

A:はい 89 62%

B:いいえ 50 35%

無回答 5 3%

合計 144

設問 22)放射線科医以外が一定の資格を有すれば、死亡時画像

診断の読影を担当しても良いと考えますか?

62%

35%

3%

はい

いいえ

無回答

・十分なAiの教育を受けた監察医などなら可能。

・人手がさかれるのは困るので、お願いしたい。

・画像診断は放射線科医が行うべきである。

(コメント)

回答数 回答率

A:国 68 35%

B:地方自治体 50 26%

C:病院 14 7%

D:大学 6 3%

E:ご遺族 36 18%

F:その他 21 11%

合計 195

設問 23)死亡時画像診断に要する費用は誰が負担すべき

と考えますか?

35%

26%

7%

3%

18%

11%

地方自治体 病院 大学

ご遺族

その他

・目的や症例により異なる。

・Ai を要求する側が支払う。

・エビデンスがない領域であるため、研究費で支払う。

(その他)

設問 24)死亡時画像診断 CT 1 件あたりの請求費用は、

いくらが妥当と考えますか?

総請求費用 10,000円~100,000円

(最も多い回答額 50,000円)

・Ai 1件を行うのに通常のCTの2件分を要する。したがって、

自費として通常の2倍となるので、この額になる。

・遺体搬送用のディスポーザブルビニール袋等が高価である。

・診療報酬に準じる。

・消毒等での長時間のCT室使用不可となるため。

・高度な読影能力が必要。

・全身スキャンであれば3部位以上の画像になるため。

(金額設定の根拠)

設問 25)死亡時画像診断 MRI 1 件あたりの請求費用は、

いくらが妥当と考えますか?

総請求費用 15,000円~200,000円

(最も多い回答額 50,000円)

・診療報酬に準じる。

・高度な読影能力が必要。

・撮影・読影にかかる時間、専門性がCTよりはるかに高い。

・当院人間ドックの料金です。

・頭部~足部までで通常かかる検査費用でよいのでは?

(金額設定の根拠)

設問 26)十分な公的費用が拠出される場合に、すべての死亡例に

対して死亡時画像診断を施行することに賛成ですか?

回答数 回答率

A:はい 25 17%

B:いいえ 71 49%

C:どちらとも言えない 47 33%

無回答 1 1%

合計 144

17%

49%

33%

1%

はい

いいえ

どちらとも言えない

無回答

・死因が明確であれば不要。

・通常の病死の場合、又、遺族が納得していれば必要ない。

・公的費用を拠出する目的は何か? 誰の利益なのか? 死因確定、犯罪捜査、

あるいは生命保険審査? それ以外?

・読影医のマンパワーが不足。

(コメント)

設問 27)死亡時画像診断にCT、MRIによる現時点での診断能は

実用に十分だと考えますか?

回答数 回答率

A:はい 35 24%

B:いいえ 29 20%

C:どちらとも言えない 78 55%

無回答 2 1%

合計 144

24%

20%

55%

1%

はい

いいえ

どちらとも

言えない

無回答

・疾患、症例による。

・経過時間にもよると思われる。

・データがないので、確認する必要がある。

・外傷、突然死などには有用な場合が多いが、全く無力な場合も少なくない。

(コメント)

設問 28)死亡時画像診断が普及してきた場合、解剖の適応に

変化が起こると予想しますか?

回答数 回答率

A:はい 68 46%

B:いいえ 21 15%

C:どちらとも言えない 54 38%

無回答 1 1%

合計 144

46%

15%

38%

1%

はい

いいえ

どちらとも

言えない

無回答

・解剖を希望する者が減少する。

・解剖が必要でなくなる症例か、逆に必要となる

症例が出てくる。

・詳細に解剖すべき部位の特定、不要な解剖の除外ができる。

・いずれにせよ解剖は必要。死亡時画像診断は決して解剖に代るものではなく、解剖の精度

を上げるために必要。なお、検視・検案の代用には、ある程度なる。

(コメント)

設問 29)医療紛争において、死亡時画像診断を積極的に活用して

いこうという動きがあります。死亡時画像診断(画像、診断書)が法的

証拠として採用されることにどう思いますか?

回答数 回答率

A:好ましい 41 28%

B:好ましくない 19 13%

C:どちらとも言えない 81 57%

無回答 3 2%

合計 144

28%

13%

57%

2%

好ましい

好まし

くない

どちらとも

言えない

無回答

・診療録の一部なので、必要あれば関与すべきである。

・まだevidenceが極めて少ないものを証拠とするのは、間違っている。

・学問的にも定まっていない部分が多く、整備不十分な状態では危険である。

・剖検所見が全くない状態で用いられる事は、時期尚早と考える。

(コメント)

設問31)死亡時画像診断の教育制度に関する提案について

・生体の画像診断との相違についての認識が重要。

・学会の教育講演に組み込む。

・死後変化と異常所見の判断が重要。生体とは全く異なる診断体系が必要かもしれない。

(教育内容)

・死体の病理学的・法医学的特徴などの教育。

(教育方法)

・2~3日程度の講習会やセミナーの開催、例えばPET認定医の講習会など。

・テキスト、e-ラーニングやティーチングファイルのような教育システムが必要。

・放射線科診断専門医を取得する過程でAi 症例を一定数経験させる。

・まず症例の蓄積が必要で、病理解剖を裏付けとしたエビデンスをまとめるグループの設置。

設問32)死亡時画像診断全般に関する意見について

・放射線科医の関与は必然と思います。

・複数の学会等を含む特命組織を形成し、研究から実践までの計画を作成したらよい

と思う。

(実施の主体となる者)

・法医・病理・医療安全・医師会との協力が制度実現には欠かせない。

(目 的)

・医療紛争等ではなく、全国的にも多い死因不明死の原因解明のために用いるべき。

・解剖を拒否された場合は、必要な検査と考えられる。

・医療紛争に利用される事は反対。

設問32)死亡時画像診断全般に関する意見について

・日本は欧米のように監察医制度が十分に発達しておらず、このまま死亡時画像診断を

推進すると放射線診療への現実的なしわよせが大きい。

死後画像が有用なら①どのような例について ②どこで ③誰が ④経済的負担は

⑤責任範囲をしっかり決めてから推進してほしい。(パイロット的に小さいスケールで行う

ことを止めるものではないが)個人的には、①現在の監察医の検死に担当する業務の

ためには県に3~4ヶ所のAi 専用センターを置く。②各病院で死後画像を撮影する場合は、

病院内での発生例、異常死に限るなどを決めたガイドラインを定めることが必要。

そうでないと、ただでさえ多い臨床の検査を圧迫する。

(種々の提言)

・Aiに期待する医師と反対する医師がいる状況下では、院内のコンセンサスをじっくり

形成するしかない。

・現在、MRIを用いたAi スタディーを行っていますが、予想以上に患者さんや関係者の

受け入れは良好です。

・法的整備と専用装置の2つが実施の必須事項と考えます。

日本医学放射線学会の今後の取り組み

1.撮影ガイドラインの作成

2.読影ガイドラインの作成

3.遺族に対する同意書等の作成

4.画像データの保存方法

5.死亡時画像診断の講習会

①放射線科医のための講習会 ②医療関係者全般のための講習会

6.死亡時画像診断専門医制度の整備 (関連学会による共同認定) 7.死亡時画像診断専門医取得のための研修会

8.死亡時画像診断認定施設の設置

9.Ai 情報センター等の第三者機関の整備(遠隔画像診断システムも含める) 10.モデル事業における死亡時画像診断協力施設との打ち合わせ

11.救命救急学会、法医学会、病理学会、Ai学会等の他学会との打ち合わせ