管内経済情勢報告 - 財務省hokkaido.mof.go.jp/content/000243495.pdf ·...
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令和元年10月北 海 道 財 務 局
【問い合わせ先】財務省北海道財務局総務部 経済調査課
電話011(709)2311(内線4381)
管 内 経 済 情 勢 報 告
前回(元年7月判断) 今回(元年10月判断)前回比較
備考
個人消費 緩やかに回復している 緩やかに回復している判断の据え置きは、平成30年10月判断以降、5期連続
生産活動 横ばいの状況にある 弱含んでいる判断の下方修正は、平成31年4月判断以来、2期ぶり
設備投資 令和元年度は前年度を上回る見込み 令和元年度は前年度を上回る見込み判断の据え置きは、平成29年10月判断以降、9期連続
雇用情勢着実に改善しており、人手不足感が拡がっている
着実に改善しており、人手不足感が拡がっている
判断の据え置きは、平成28年4月判断以降、15期連続
住宅建設持ち直しに向けたテンポが緩やかになっている
緩やかに持ち直しつつある判断の上方修正は、平成31年4月判断以来、2期ぶり
観 光 拡大しつつある拡大に向けたテンポが緩やかになっている
判断の下方修正は、平成30年10月判断以来、4期ぶり
公共事業 前年を上回る 前年を大幅に上回る判断の上方修正は、平成31年4月判断以来、2期ぶり
企業の景況感 「上昇」と「下降」が「均衡」 「上昇」超となっている判断の上方修正は、令和元年7月判断以降、2期連続
企業収益 令和元年度は増益見込み 令和元年度は増益見込み判断の据え置きは、平成31年4月判断以来、2期ぶり
Ⅰ.最近の北海道財務局管内の経済情勢
〔先行き〕先行きについては、雇用・所得環境の改善が続くなかで、各種政策の効果等もあって、景気は回復していくことが期待される。ただし、海外経済の不確実性や、消費税率引上げ後の消費者マインドの動向などに留意する必要がある。
前回(元年7月判断) 今回(元年10月判断) 前回比較 総括判断の要点
総括判断 緩やかに回復している緩やかに回復している
【判断の据え置きは、平成31年4月判断
以降、3期連続】
個人消費は、コンビニエンスストア販売が順調となっているほか、ドラッグストア販売が前年を上回っているなど、緩やかに回復している。生産活動は、弱含んでいる。雇用情勢は、着実に改善しており、人手不足感が拡がっている。観光は、拡大に向けたテンポが緩やかになっている。公共事業は、前年を大幅に上回る。
1(注) 元年10月判断は、前回7月判断以降、10月に入ってからの足下の状況までを含めた期間で判断している。
24.5
4.7
4.3
▲ 15.0
▲ 10.0
▲ 5.0
0.0
5.0
10.0
15.0
20.0
25.0
30.0
6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8
28年 29年 30年 31年 元年
家電大型専門店ドラッグストアホームセンター
※北海道全店舗ベース
1.個人消費 ~緩やかに回復している~
【出所】(一社)日本自動車販売協会連合会、(一社)全国軽自動車協会連合会
〔乗用車新車登録・届出台数(前年比) 〕
(%)
(%)
○ スーパー販売は、野菜の相場安の影響などにより、持ち直しに向けたテンポが緩やかになっている。
○ コンビニエンスストア販売は、アイスクリームや飲料水などの季節商品の売上が増加したことから、順調となっている。
○ 乗用車販売は、新型車の投入効果により普通車、軽自動車ともに順調となっており、小型車の売上も好転していることから、緩やかに持ち直しつつある。
○ ドラッグストア販売は、飲食料品が好調に推移しているほか、化粧品や日用品の売上が増加していることから、前年を上回っている。
○ 百貨店販売は、一部店舗の閉店などにより前年を下回っている。なお、平成30年北海道胆振東部地震による反動増などがみられる。
○ 家電販売は、買替需要などにより、大型4Kテレビや大型白物家電が好調であることから、前年を上回っている。
○ ホームセンター販売は、レジャー用品や日用品の動きが良かったことから、前年を上回っている。
○ このように、個人消費は全体として、緩やかに回復している。
7月は、食料品は野菜の相場安、水産物不漁の影響を受け不振であったほか、週末の雨と低温により天候があまり良くなかったことから夏物衣料が苦戦した。【スーパー】
8月は全体的に気温が高く、特に前半は猛暑だったこともあり、アイスクリームやビール、飲料水が売上を伸ばした。【コンビニエンスストア】
新型車効果が持続している。消費税率引上げに伴う駆け込みの動きはさほどみられず、10月以降も大きな増減なく推移していくのではないかと予想している。【乗用車販売店】
7月下旬から8月上旬にかけて真夏日が続いた影響により、飲食料品が堅調に推移しているほか、日焼け止めや皮膚薬(虫さされ)といった季節商品の売上が伸長した。【ドラッグストア】
8月上旬は気温の高い日が続き、外出を控えたためか、来店客数が思わしくなかった。9月は昨年の震災からの反動増や消費税率引上げに伴う駆け込み需要により、前年を上回って推移している。【百貨店】
8月は真夏日が連続したことにより、エアコンをはじめとした季節商品の売上が急伸した。消費税率引上げ前の駆け込みの動きは、前回引上げ時に比べ小さいものの、8 月中旬頃から顕著になり、特に冷蔵庫や洗濯機といった高単価商品の売れ行きが好調であった。【家電量販店】
2
〔スーパー・コンビニエンスストア・百貨店販売額(前年比)〕
〔専門量販店販売額(前年比)〕
※北海道全店舗ベース
(%)
※北海道集計値
【出所】北海道経済産業局
【出所】北海道経済産業局
※Pは速報値
19.8
22.5
17.5
19.2
▲ 40.0
▲ 20.0
0.0
20.0
40.0
7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9p
28年 29年 30年 31年 元年
乗用車計普通乗用車小型乗用車軽自動車
0.7
2.9
▲ 2.4
▲ 15.0
▲ 10.0
▲ 5.0
0.0
5.0
10.0
6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8
28年 29年 30年 31年 元年
スーパー
コンビニエンスストア
百貨店
2.生産活動 ~弱含んでいる~
〔鉱工業生産指数(季節調整値)〕
【出所】経済産業省、北海道経済産業局
3.設備投資 ~令和元年度は前年度を上回る見込み~
〔設備投資計画(前年度比)〕
【出所】財務省、北海道財務局
(%) (北海道) (全国)
生産活動は、「食料品」などが増加しているものの、「化学・石油石炭製品」では生産ラインの一部停止などにより弱い動きとなっているほか、「輸送機械」などが減少していることから、全体では弱含んでいる。
北海道内における取引先の工場が閉鎖し出荷量が減少したことから、今後の動向を懸念している。【化学・石油石炭製品】
インターネット等の普及により消費者の新聞離れが進み、新聞用紙の生産量が減少している。【パルプ・紙・紙加工品】
新しい飼料を導入したことで搾乳量が増えたことから、加工向けの生乳生産量は昨年よりも増加している。【食料品】
設備投資を当局の法人企業景気予測調査(令和元年7~9月期)でみると、令和元年度(見込み)は、全産業では前年度を上回っている。製造業では、「窯業・土石製品」などで前年度を下回っているものの、「輸送用機械器具」、「食料品」などで前年度を上回っており、全体では前年度を上回っている。非製造業では、「電気・ガス・水道業」などで前年度を下回っているものの、「運輸業、郵便業」、「金融業、保険業」などで前年度を上回っており、全体では前年度を上回っている。
新型車の生産ラインの増設を計画。【輸送用機械器具】
支店の移転にかかる費用を計上しているほか、各種システムの改修を行う。【金融業、保険業】
3
(27年=100)
21.8
10.7
13.7
42.7
0.8
28.4
12.3
16.1
7.2
▲ 10.0
0.0
10.0
20.0
30.0
40.0
平成29年度 平成30年度 令和元年度
全産業
製造業
非製造業
0
5.07.4 8.3
3.6
17.2
8.9
5.8
2.1
7.9
平成29年度 平成30年度 令和元年度
全産業
製造業
非製造業
0
93.2
101.5
85.0
90.0
95.0
100.0
105.0
110.0
6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8P
28年 29年 30年 31年 元年
北海道
全国
※Pは速報値
42.138.8
0.0
10.0
20.0
30.0
40.0
50.0
6 9 12 3 6 9 12 3 6 9 12 3 6 9 12 3 6 9 12 3 6 9 12 3 6 9
25年 26年 27年 28年 29年 30年 31
年
元年
(%ポイント)
3.0
2.4
▲ 2.0
▲ 1.5
▲ 1.0
▲ 0.5
0.0
0.5
1.0
1.5
2.0
2.5
2.0
2.5
3.0
3.5
4.0
4.5
5.0
5.5
6.0
6.5
4-6 7-9 10-12
1-3 4-6 7-9 10-12
1-3 4-6 7-9 10-12
1-3 4-6 7-9 10-12
1-3 4-6 7-9 10-12
1-3 4-6 7-9 10-12
1-3 4-6
25年 26年 27年 28年 29年 30年 31年
前年同期差(北海道、右軸)
前年同期差(全 国、右軸)
完全失業率(北海道、左軸)
完全失業率(全 国、左軸)
1.22
1.44
0.70
0.80
0.90
1.00
1.10
1.20
1.30
1.40
1.50
1.60
6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8
28年 29年 30年 31年 元年
北海道
全国
4.雇用情勢 ~着実に改善しており、人手不足感が拡がっている~
〔有効求人倍率(常用・原数値)〕
〔完全失業率(原数値、前年同期差)〕
【出所】厚生労働省
【出所】総務省
(%ポイント)
(倍)
(%)
4
【出所】北海道財務局
不足気味
〔従業員数判断BSI〕
有効求人倍率は、平成22年2月以降115か月連続して前年を上回って推移している。なお、完全失業率は前年と同率となっている。
各種媒体に営業や事務、技術職など様々な求人募集を行っているものの、すべての求人に反応がない状況が続いており、人手不足が続いている。【小売業】
新規求職申込件数は、少子高齢化や、若年層を中心とした都市部への人口流出が要因で、減少傾向が続いている。【公的機関】
働き方改革が叫ばれるなか、職務環境を改善していかなければ人は確保できないため、超過勤務削減のほか、社内にクーラーを完備するなど、職員が働きやすい職場づくりに努めている。【建設業】
84
115
135
164
183
5140
47 4557
4434 ▲ 8.7
▲ 30.0
▲ 20.0
▲ 10.0
0.0
10.0
20.0
30.0
40.0
50.0
0
40
80
120
160
200
1~3 4~6 7~9 10~12 1~3 4~6 7~8
P
26年 27年 28年 29年 30年 30年 31年(元年)
外国人入国者数(左軸)
前年(同期)比(右軸)1,2241,266
1,3391,3721,346
305 332385
325 313 344417
8.4
▲ 10.0
▲ 5.0
0.0
5.0
10.0
15.0
0
300
600
900
1,200
1,500
1~3 4~6 7~9 10~12 1~3 4~6 7~9
26年 27年 28年 29年 30年 30年 31年(元年)
来道客数(左軸)
前年(同期)比(右軸)
北海道
▲ 6.9
全国
▲ 7.1
▲ 40.0
▲ 20.0
0.0
20.0
40.0
6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8
28年 29年 30年 31年 元年
北海道
全国
5.住宅建設 ~緩やかに持ち直しつつある~
〔新設住宅着工戸数 (前年比)〕
【出所】国土交通省
(%)
5
6.観光 ~拡大に向けたテンポが緩やかになっている~
○ 観光は、来道客数は前年を上回っているものの、外国人観光客は前年を下回っていることから、拡大に向けたテンポが緩やかになっている。
○ 来道客数は、ゴールデンウィークが10連休であった反動減などがみられるものの、北海道胆振東部地震の影響からの反動増により前年を上回っている。
○ 外国人観光客は、韓国からの観光客を中心に前年を下回っている。
ゴールデンウィークの反動により、宿泊者数が減っている。また、近隣でホテルが増加し、客が安価なホテルに流れていることもあり、売上高が減少している。【宿泊業】
ラグビーワールドカップの開催期間中は、入込客数が増加した。特に外国人観光客の増加が目立ち、外貨両替機の日本円がなくなるなど、大きな波及効果を実感した。
【一般社団法人】
韓国との通商問題により、直行便の搭乗率が低下するなど観光に悪影響を与えている。7~8月ではツアーの集客状況が芳しくなく、期待していた人数の半分となり、9月はツアー自体が取止めになった。【一般社団法人】
〔来道客数〕 〔外国人入国者数〕
【出所】(公社)北海道観光振興機構 【出所】法務省
住宅建設は、持家、貸家では減少しているものの、分譲住宅では増加し
ていることから、全体では緩やかに持ち直しつつある。
持家の受注は前年同期比減で推移しているが、商談件数自体は減っていない。国による消費税率引上げ後の住宅取得支援策により、10月以降に購入したほうが得だと考えている顧客も多く、今後受注が増えるのではないかと期待している。【建設業】
貸家は、過半を占める札幌で空き室が増えており、明らかに供給過剰となっている。金融機関も慎重姿勢となっており、新たに貸家を建設するのは大きなリスクを伴う。【専門調査機関】
分譲マンションは、大型の再開発案件などにより、新規着工は増加している。販売業者は細かな「期分け販売」などにより、供給戸数を調整しながら最適な販売価格を探っている。【専門調査機関】
(万人) (万人) (%)
※北海道へ直接入国したもののみ集計※Pは速報値
(%)
※北海道外から航空機(国内線)、JR(北海道新幹線)、フェリーを利用して北海道入りした旅客数
4,006 4,392 4,367 4,681
2,2022,226 1,977
2,609803
901882
1,7661,311
1,346
0
2,000
4,000
6,000
8,000
10,000
2.1% 1.1% ▲11.2% 31.9%
6,207
〔7.4%〕
6,619
〔6.6%〕
6,345
〔▲4.1%〕
7,290
〔14.9%〕
平成28年度 平成29年度 平成30年度 令和元年度
第1四半期 第2四半期
第3四半期 第4四半期
0
前年比(第2四半期)
累計額
〔前年比](第2四半期まで)
年度
0.0 2.6
▲ 1.9
▲ 13.1
▲ 40.0
▲ 20.0
0.0
20.0
7~9 10~12 1~3 4~6 7~9 10~12 1~3 4~6 7~9 10~12 1~3
29年 30年 31年(元年) 2年
全産業 製造業 非製造業
現状 先行き
上昇
下降
(%ポイント)
9.企業収益 ~令和元年度は増益見込み~
〔公共工事前払金保証請負金額〕
【出所】財務省、北海道財務局
(%)
6
8.企業の景況感 ~「上昇」超となっている~
7.公共事業 ~前年を大幅に上回る~
【出所】北海道建設業信用保証㈱ほか2社
企業の景況感を当局の法人企業景気予測調査(令和元年7~9月期)でみると、企業の景況判断BSIは、全産業では前四半期(平成31年4~6月期)に比べ、「均衡」から「上昇」超となっている。なお、先行きは、「下降」超に転じる見通しとなっている。
公共事業を前払金保証請負金額でみると、第2四半期は、独立行政法人等が前年を下回っているものの、国、北海道、市町村が前年を上回っており、全体では前年を大幅に上回っている。
10.金融 ~貸出金残高は前年を上回る~
11.企業倒産 ~件数は前年を下回る~
12.消費者物価 ~前年を上回る~
〔景況判断BSI・業種別〕
【出所】北海道財務局
企業収益(除く 「電気・ガス・水道業」、「金融業、保険業」)を当局の法人企業景気予測調査(令和元年7~9月期)でみると、令和元年度(見込み)は、全産業では増益となっている。製造業では、「窯業・土石製品」などで減益となっているものの、「輸送用機械器具」、「鉄鋼業」などで増益となっており、全体では増益となっている。非製造業では、「小売業」などで増益となっているものの、「学術研究、専門・技術サービス業」、「その他のサービス業」などで減益となっており、全体では減益となっている。
〔企業収益 (前年度比)〕
(億円)
▲ 1.1
▲ 8.4
8.46.9
▲ 2.9
18.0
▲ 8.2
▲ 13.0
▲ 5.1
▲ 20.0
▲ 10.0
0.0
10.0
20.0
平成29年度 平成30年度 令和元年度
全産業
製造業
非製造業
0
40.1
5.2
▲ 1.7
▲ 4.6
11.2
▲ 5.8
▲ 9.1
2.7
0.3
▲ 2.7
平成29年度 平成30年度 令和元年度
全産業
製造業
非製造業
0
(注)電気・ガス・水道業、金融業、保険業
を除く