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不登校対策・対応取り組み事例集 ~だれもが行きたくなる学校をめざして~ 令和元年9月 相模原市立青少年相談センター

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Page 1: 不登校対策・対応取り組み事例集 - sagamihara-kng.ed.jp · ( 6 ) 不登校児童の改善率について 平成29 年度は「不登校児童の改善率(小学校)」が増加しました。これは、各学校で行われている様々

不登校対策・対応取り組み事例集

~だれもが行きたくなる学校をめざして~

令和元年9月

相模原市立青少年相談センター

Page 2: 不登校対策・対応取り組み事例集 - sagamihara-kng.ed.jp · ( 6 ) 不登校児童の改善率について 平成29 年度は「不登校児童の改善率(小学校)」が増加しました。これは、各学校で行われている様々

はじめに

本市の不登校児童生徒数は、ここ数年増加傾向で、平成29年度は1082

人(小学校252人、中学校830人)になっています。増加傾向は本市のみ

ならず、全国的な傾向となっています。

一方、学校別の不登校児童生徒数を見ると、全体の不登校児童生徒数が増加

傾向にある中で、着実に減少している学校もあり、そのような学校においては、

学校の強みを生かし、あるいは、児童生徒の状況を適切に把握し、あるいは関

係機関との連携を大切にしながら、意識的・組織的に不登校対策や不登校対応

に取り組んでいるという共通の特徴があることがわかりました。

今回、青少年相談センターでは、このような学校を訪問し、管理職の先生や

支援教育コーディネーター等の校内支援体制の中心的な役割を担う先生に直接

インタビューをさせていただき、また資料を提供いただき、冊子にまとめまし

た。

中心的な役割を担う先生にインタビューをした関係で「体制をどうするか」

「組織をどうつくるのか」といった内容が多くなりました。

各学校には、学校教育目標を具現化するために、それぞれの学校の特色に応

じた組織があり、また、学校規模や職員体制も違いますが、どの学校でも参考

になるよう、内容については修正を図りながらまとめました。

ぜひ、各学校の不登校対策や不登校対応の一助にしていただきたいと思いま

す。

不登校問題はその数値の増減ではなく、不登校や登校しぶりの児童生徒の多

くが「学校に行きたい(行かなければいけない)と思いながらも登校できない」

ことに日々悩みながら、過ごしていることが課題だと捉えています。

この冊子を市内に共有することによって、一人でも多くの児童生徒が学校に

楽しく通えるようになることを願っています。

最後になりますが、冊子を作成するにあたり、調査に快くご協力いただいた

各学校の校長先生をはじめ、職員のみなさまに感謝申し上げます。

令和元年 9月

青少年相談センター

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目 次

はじめに

第 1 章 相模原市の不登校の現状

1 相模原市の不登校の状況について ・・・・・・・・・・・・・・・・・・3

2 国の通知等について・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7

3 よい教育的成果を及ぼす教職員集団の特徴について・・・・・・・・・・・7

第 2 章 市内小・中学校の不登校対策・対応取り組み事例

1 小学校

(1)【未然防止】

・『ひとまず言っておくね』でつながる支援 ・・・・・・・・・・・・8

・みんなで子どもを見守ろう!たてわり活動を活かした児童理解・・10

(2)【未然防止・早期対応】

・些細な変化をキャッチ!超早期対応で不登校を未然防止 ・・・・・12

・児童、保護者、教師を孤立させない!

チームワークを活かした支援 ・・・・・・14

・「誠実はスピード」をスローガンにした学校の取り組み ・・・・・16

(3)【民間団体・民間施設との連携】

・学校とフリースクール等の連携による子どもたちへの支援 ・・・・18

2 中学校

(1)【未然防止】

・生徒指導担当者が中心で動く!

学校全体で取り組む校内体制・・・・・・20

(2)【未然防止・早期対応】

・差のない、もれのない校内支援体制・・・・・・・・・・・・・・22

・支援シートを活用した組織的な取り組み・・・・・・・・・・・・24

・一人も見捨てない教育を!・・・・・・・・・・・・・・・・・・26

(3)【継続支援】

・学習支援を通した生徒とのかかわりを中心に・・・・・・・・・・28

・担任の勝負は毎日10分の「朝の会」!

不登校生徒と学級生徒の気持ちをつなげ、学校復帰をめざす!・30

・3年間を見通した粘り強い長期的アプローチ・・・・・・・・・・32

(4)【外部機関との連携】

・『チーム学校』のその先!外部機関もメンバーに!!・・・・・・・34

3 小・中学校

【相談指導教室との連携】

・温かいまなざしが支えた子どもの成長・・・・・・・・・・・・・36

・相談指導教室の通室 児童・保護者・学校の密な連携・・・・・・38

・相談指導教室から聞こえる声~子どもたちの思い~・・・・・・・40

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第 3 章 不登校対策・対応のポイント

1 未然防止

(1)学校で取り組む未然防止・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・42

(2)年間を通した未然防止のポイント・・・・・・・・・・・・・・・・43

2 早期対応

(1)児童生徒の状況をつかむ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・46

・ちょこっとコラム:児童・生徒とどう話をしたらいいの?・・・・48

(2)休み始めたときの対応・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・49

・ちょこっとコラム:電話・手紙・家庭訪問のポイントは?・・・・50

3 継続支援・自立支援

(1)ケース会議をひらき、組織的な対応を!・・・・・・・・・・・・・51

・ちょこっとコラム 有効なケース会議のポイントは?・・・・・・52

(2)長期欠席児童生徒への対応・・・・・・・・・・・・・・・・・・・53

・ちょこっとコラム 欠席が長期化した場合の対応は?・・・・・・54

第 4 章 こんなときはどうすればいい?

1 不登校対応Q&A・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 55

2 相模原市の相談窓口 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 60

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第1章 相模原市の不登校の現状

1 相模原市の不登校の現状

平成29年度問題行動調査の結果から分析した本市の現状を示しました。市内の不登校の現状を捉えな

がら、各学校の様々な取り組み事例の掲載ページを示しましたので、今後の実践の参考にしてください。

( 1 ) 不登校児童・生徒数と不登校出現率について

不登校児童・生徒数と不登校出現率は増加し続けています。平成29年度の本市の不登校児童・生徒数

は小学校252人、中学校830人、合計1082人で1000人を超えました。

不登校出現率(全児童生徒数に対する不登校児童生徒数の割合)は全国的にも増加していますが、本市

の不登校出現率は国や県と比較すると高く、平成27年度からは毎年0.2%の割合で増加しています。

( 2 ) 新規数(新たに不登校になった児童・生徒)と継続数の経年変化

前年度より不登校の状態が継続している児童生徒数「継続数」は翌年減少しますが、当該年度に新規に不

登校になった児童生徒「新規数」はどの学年も増加しています。そして、特に中学校1年で急増しています。

このことから、不登校の状況を改善するためには、継続数を減らす取り組みと新規数を増やさない取り組み、

また中学 1 年での増加を防ぐために、それぞれの学校の不登校対策について情報共有するなど、小・中学

校の連携した一層の取り組みが必要であると言えます。

新たな不登校児童生徒の増加を防ぐため

【未然防止・早期対応】 「チーム学校」の体制づくり

P8~17

P20~27

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( 3 )小学校の不登校の要因について

小学校の不登校の要因は「不安」「無気力」が全体の約70%を占め、内訳を見ると、その理由はとも

に「家庭における状況」が多いという結果になっています。子どもたちにとって、学校が「安心して過ご

せる居場所」であることが必要であると考えられます。

家庭における状況

家庭における状況

不安の理由

【未然防止】 活躍する場を設ける わかる授業の工夫 「居場所づくり」 豊かな人間関係づくり 「絆づくり」

P8~17

【未然防止・早期対応】 児童理解サインに気づく

P12~17

子どもにとって、

学校が「授業で学びたい」「友だち

と遊びたい」と実感し、「安心して

過ごせる居場所」であるために

無気力の理由

107

83

チームで子どもを見守る

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( 4 ) 中学校不登校の要因ついて

中学校の不登校の要因は「無気力」「学校における人間関係」が、全体の約60%を占め、内訳を見る

と、「学業の不振」「いじめを除く友人関係をめぐる問題」が多い結果となっています。このような子ども

たちには、校内で情報を共有し、校内支援体制の中で支援を行うことが求められます。

無気力の理由

学校における人間関係

学業の不振

【未然防止】 活躍する場を設ける わかる授業の工夫 「居場所づくり」

【継続支援】 学習支援や訪問等で

生徒とつながる

P20~27

P28~33

無気力

いじめを除く友人関係をめぐる問題

校内体制で生徒に関わる

一人ひとりのペースを大切に

197

235

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( 5 ) 長期欠席児童生徒数について

「欠席 90 日未満の不登校児童・生徒数」「欠席 90 日以上の不登校児童・生徒数」を見ると、半数以

上が90日以上の長期不登校になっています。 欠席が長期化すると学校の支援だけでは、難しい状況に

なることがあります。そのような場合は多職種と連携を図り、継続的に自立に向けた支援を行うことが必

要になってきます。

長期的な視点に立って粘り強く支援するために

( 6 ) 不登校児童の改善率について

平成29年度は「不登校児童の改善率(小学校)」が増加しました。これは、各学校で行われている様 々

な取り組みの成果の表れであると考えられます。今後は、このような効果的な取り組みを共有し、各校の

実態に応じた具体的な取り組みを行うことが期待されます。

児童生徒の社会的自立をめざした多面的な支援の成果を広く生かすために

無気力

【継続支援】 教員に加え、多職種による「チーム支援」の体制づくり

【継続支援】 「登校に至った事例」 「好ましい変化が見られた 事例」の共有

36.1%

&

36.0%

25.7%

34.0%

117

103

533

479

P34~41

P30~33

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2 国の通知等について

不登校は全国的な課題になっており、文部科学省も様々な通知等を出しています。

文部科学省初等中等教育長通知「不登校児童生徒への支援の在り方について」

(平成 28年 9月 14日付)

①不登校については、取り巻く環境によっては、どの児童生徒にも起こり得る

②教育の視点のみでの対応は困難な場合があるが、一方で教育が果たす役割が大きい

③多様な要因・背景があり、その行為を「問題行動」と判断してはならない

文部科学省初等中等教育長通知「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関す

る基本指針の策定について」(平成 29年 4月 4日付)

・不登校については、取り巻く環境によっては、どの児童生徒にも起こり得る

・不登校というだけで問題行動であると受け取られないよう配慮

・支援は当該児童生徒の意思を十分尊重し、当該児童生徒や保護者を追い詰めないよう

配慮

新学習指導要領に新設 「不登校生徒への配慮」(小学校学習指導要領総則編平成 29年 7月)

(中学校学習指導要領総則編平成 29年 7月)

①個々の生徒の実態に応じた支援(第 1章第 4の 2の(3)のア)

ア 不登校生徒については、保護者や関係機関と連携を図り、心理や福祉の専門家の助言又は援助を

得ながら、社会的自立を目指す観点から、個々の生徒の実態に応じた情報の提供その他の必要な支援

を行うものとする。

3 よい教育的成果を及ぼす教職員集団の特徴について

「児童生徒によい教育的成果を及ぼすであろう教職員集団の特徴」について

○お互いを尊重した人間関係

○話し合いやすい親和的な雰囲気

○学年団の協働

○教職員同士の教え合いや支え合い

○児童生徒のことを中心とした建設的な協議と相互評価

文部科学省国立教育政策研究所 平成31年度生徒指導研究推進協議会資料より

オンザフライミーティング(立ち話的打ち合わせ)が気軽に行えるような同僚性を育むことで、気になる

児童生徒のサインを見逃さない体制をつくることができます。

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取り組みの実際

(1)【未然防止】

『ひとまず言っておくね』でつながる支援

児童支援専任教諭、支援教育コーディネーター、青少年教育カウンセラーが気になったことは『ひとまず言っておくね』の風通しの良い関係の中で情報共有し、担任をバックアップしながら取り組む未然防止について紹介します。

【日常的な取り組み】

いつもと違う様子 に注目!

■登下校指導 ・あいさつの様子 ・どの児童と一緒にいるか ・登校の時刻 ・下駄箱の様子

■授業中・休み時間 ・前日に話題になった児童の 様子を見る ・毎日、クラスをまわって、 友だちと関わっている時の 様子を見る

いつもと違う様子 が見られたら・・・ ・さりげなく声をかけ、会話 をしながら理由を聞く

☆養護教諭の立場から 【日常的な取り組み】

早期発見のために

■朝の健康観察 ・欠席状況を保健室の前で 直接児童から聞き取る。 理由に関して不明なとこ ろは、すぐに担任に確認 する。 ・「毎週○曜日に休んでい る。」「遅刻が増えてき た」など、気になる欠席 については、担任と情報 共有する。

■保健室での対応 ・保健室へ来室した児童に は来室の理由を聞くが、 前日の食事や睡眠なども 確認し、多面的に要因を 探る。 ・話をよく聞いて、不安な 気持ちをスッキリさせて から、教室へ戻すように する。

【学校相談日の取り組み】

つながる支援のために

■情報共有 ・一週間のうち、保護者や児童 と面接した中で、担任に伝え ておきたいこと等を1時間目 に伝える。また、現在の児童 の様子と今後の支援方針を考 える。 ・放課後は担任へのコンサルテ ーションを行う。

■授業中・休み時間 ・授業観察では、1時間目に情 報共有した児童の様子を主に 観察する。 ・休み時間は、相談室へ初めて 来た児童、毎週必ず来る児童 に声をかける。

②支援教育 コーディネーター ①児童支援専任教諭 ③青少年教育カウンセラー

気になったことは『ひとまず言っておくね!』の関係

毎週、青少年教育カウンセラーの来校日の1時間目に情報共有

疑問に思ったこと、 『オヤッ?』と思ったことは、そのままにしない!

毎日やっているからこそ変化が分かる!

第2章 市内小・中学校の不登校対策・対応取り組み事例 1 小学校

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先生の感想

子どもと担任がつながる支援・ 保護者と担任がつながる支援

【心がけているポイント】

「ひとまず言っておくね」の後の取り組み

《児童支援専任教諭》 ・「毎日クラスに来る 先生」のイメージを 児童に印象づける。 ・「担任と話すきっか けができるように」 という視点で、授業 観察等を行う。

《養護教諭》 (支援教育コーディネーター)

・保健室に来室した児童に は、「先生にこう言って ね」と、自分から担任へ 状態を伝えられるように 支援する。伝えられたか どうかを担任にも確認す る。

《青少年教育カウンセラー》

・学校出張相談では相 談に来た児童や保護 者が、面接後に担任 と会うように設定し 時間や場所を調整 する。

目指す ゴール!

『ひとまず言っておくね』で、気になる子を共有

『ちょっと集まって』で井戸端会議的ケース 会議

役割や見通しを確認して支援実施

児童支援専任教諭や支援教育コーディネーターの先生が状況を知っていてくれるので、すぐに相談できて一人で抱え込むことがなくなりました。

教職員の共通認識のもと一致した対応で取り組めるようになりました。見通しも持てて、安心です!

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取り組みの実際

【未然防止】

みんなで子どもを見守ろう!

たてわり活動を活かした児童理解

教職員の毎日の積み重ねが子どもたちにとって心地よい学級・学校づくりの基盤となっています。教職員が子どもたちに普段から心がけている学校としての取り組みを紹介します。

月1回のふれあい(たてわり活動)昼休みを長めに設定しています。 1年~6年までの異年齢集団による活動グループで年間取り組みます。(5~6名グループ 担当がつきます) ①遊び たてわりグループで自由に遊びます。 ②オリンピックのようなチャレンジ遊び ・竹馬・バスケット・一輪車・ペットボトルボウリング など 子どもたちのやりたい遊びを児童会で決めて子どもたちが中心となって行います。

登校してから始業前までの朝の時間 週1回や月1回取り組んでいます。 ①遊びタイム 全員が外で遊ぶ時間があります。 ②歩こうタイム 全員で校庭内を歩き体づくりを行っています。

異年齢集団による活動(たてわり活動)

昼休み時間(ロングタイム) 朝の時間(朝タイム) 教職員の気づき

★心構え★

教職員みんなで子どもたちを見ていこう!

あれ?○○さんの様子がいつもと違うな?声をかけて

みよう

6年の○○さんと朝はよく遊んでいるんだな。ふれあいで一緒だから知ってる

んだ

○○さんは教室にいるときと違うな。小さい子に優しいんだな

グループづくりは重要です!男女バランスや児童の特性を考えながら年度当初グループを分けています。

ふれあい(たてわり活動)で知り合った上級生下級生と過ごす場面も見られます

みんなが楽しみにしている休み時間に異年齢集団による活動(たてわり活動)を取り入れることで様々な人とかかわることができるようにしています

子どもたちの気になる様子は職員室での話題として、情報共有をしています

教室では見られない姿や表情を多く見ることで、子どもたちの普段と違った様子を把握できるようになりました

10

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クラスに入って子どもたちの様子を見に行っています。その上で必要があれば、一緒に授業を行ったり個別で子どものサポートをしたりします。担任の悩みを聞いたり、子どもの状況を確認したりして相談しやすい雰囲気を作っています。

未然防止と初期対応

不登校が長期化しない理由

授業観察

欠席の状況は担任だけでなく養護教諭からも得ます。情報を週1回の打ち合わせで確認し早期に対応策を考えます。面談が必要な場合は、担任だけでなく、児童支援専任教諭も入って行います。

児童支援専任教諭の情報収集の方法や対応はどのようにしているのですか?

学習環境・個別学習

クラスの中で、学習が個別に必要と感じる子どもについて、保護者に話し、個別学習についてすすめています。早い段階で学習のつまづきをみつけ、個別に学習することで学習内容の定着となります。子どもたちや保護者に好評です。子どもたちの学習意欲や自信につながっています。

個別学習

朝の遊びタイムやふれあいタイムの時に、気になる様子が見られた子どもに対しては、児童支援専任教諭に情報が集まるように普段から話をしておきます。児童支援専任教諭は担任や学年に伝えたり、場合によっては管理職に伝えたり、早期に対応します。

週1回の打ち合わせ 養護教諭と支援教育コーディネーター、児童支援専任教諭カウンセラーとの情報共有を行い、対応の方法を考えます 月1回の児童支援部会 学校全体で把握しておく必要のある情報共有の場です。

気になることへの即日対応 週1回と月1回

児童支援専任教諭に聞きました

学習が個別に必要と感じる子どもがいたらどうしているのですか?

■事例■ 学習を一生懸命がんばっていたAさん。しかし、クラスの中で担任が一度話しただけだと、わからなかったり、時間がかかりすぎてしまったりして課題が終わらないことが繰り返し見られました。そこで保護者の人と相談して「個別学習」の時間を週1時間取り入れました。クラスの友だちから何か言われないかと心配していたAさんでしたが、担任がクラスの子どもたちに「クラス全体で学習することで集中してできる人と、一人で学習した方が集中できる人がいること」を伝え、子どもたちもAさんの勉強法を理解して応援することになりました。Aさんも、週1回の個別学習で自信をつけ、クラスの中の学習もさらに意欲的に取り組むようになりました。

担任が一人で抱え込まないようにチームで一緒に考え支えます!

希望者数がいっぱいで枠が足りないことが悩みです。

11

欠席状況調査で名前があがってくる子どもがいます。しかし、長期化せずに、学校に登校できるようになっています。どんな取り組みをしているのですか?

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(2)【未然防止・早期対応】

些細な変化をキャッチ!超早期対応で不登校を未然防止

登校しぶりのサインを見逃さず、その背景を把握した上での早期対応で、 未然防止・早期改善をはかる支援教育コーディネーターの動き方を紹介します。

支援教育コーディネーターの動き

BASE LINE ~日頃から児童全員の状態像を把握~

①児童の様子を観察・・・○授業観察:毎日1時間目、全クラスの様子を観察 ○下校指導:友人関係や下校の様子を観察

②職員との情報共有・・・○該当児童欠席状況記録 →毎日、養護教諭から出席状況を確認 ○支援会議:毎週実施。青少年教育カウンセラー・養護教諭 (管理職、教務)とで情報交換 ○児童指導会議:全学年の情報を把握し、対応を共有

③コミュニケーション・・・○担任(全教職員)が困っている&悩んでいる時は早期に察知 ○些細なことでも話ができるよう、環境を意識的に整える

超早期介入 ~登校しぶり(遅刻が頻発)の傾向が見られた際の初期対応~

・背景の把握 →担任 養護教諭等と連携して見立てる。背景に合わせた対応 【注目するポイント】

①友だち関係・友だちとの距離感 ・・・パワーバランス トラブル 等

②行事 ・・・運動会の練習(表現運動)音楽会の発表(歌唱 楽器演奏)等

③学習 ・・・苦手教科・単元 学業不振 テスト予定(学期末) 宿題の連続未提出 等

④家庭状況 ・・・保護者の養育力の弱さや精神疾患、アルコールの問題 生活リズムの乱れ 等

⑤クラス ・・・担任との関係 授業の雰囲気 指導方法 等

⑥家庭訪問・家庭の周辺状況 ・・・保護者が不在等

⑦本人の特性 ・・・過敏性、対応の仕方、感受性 等

早期介入 ~3日連続の欠席、登校したくないことを保護者に訴えている場合~

①家庭訪問・・ 担任 児童支援専任教諭(関係性があれば) →家庭訪問記録簿(訪問時刻、本人・家族の様子等を記入) ②保護者面談・・・担任 児童支援専任教諭 ③本人対応・・・児童支援専任(状況により別室、クラスとは別内容の学習、 個別のスケジュール作成、本人の選択権を優先する) ④連携・・・・・青少年相談センター 子育て支援センター 青少年教育カウンセラー 等

介入 ~不登校が長期化している場合~

①家庭訪問・・・定期的に、こまめに行う 保護者に会う 話す 状況観察 ②連携・・・・・青少年相談センター(SSW) 子育て支援センター 生活支援課 民生児童委員 等

日常的 支援

家庭訪問の実績を記録として残すだけでなく、 担任の苦労をねぎらう

民生児童委員に登校支援を依頼するケースも。

登校しぶり等の原因を、情報をもとに考え原因にあった手立てをみんなでみつける

保健室の来室頻度や来室理由も要チェック

日頃から、何か気づいたら気軽に話せて一緒に考えられる雰囲気づくり

普段から児童の様子を把握しておき、変化に気づいたらすぐに対応する意識

個別的支援

この時点での対応が大事!

12

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さんへ

体調はいかがですか

月 日 時 分頃、お伺いしました。

先生より

キ リ ト リ

家庭訪問 実施報告書 名前( )

実施日 : 月 日( )

時頃

対象児童 : 年 組 名前( )

本人に会えたか: はい いいえ

対応した人(本人にとって):

内容

・家庭訪問を実施する際に持っていく。 ・上半分は本人に渡す(不在の場合はポスティング) →会えなくても児童へのメッセージが届けられる ・下半分は、実績としてファイリング →どんな訪問が効果的か、後の資料にもなる 家庭訪問記録簿

該当児欠席状況記録

・個のとながりから子ども同士の横のつながりに移行できるようにする ・様々な視点から支援を考える→安心できるクラス ・決して、あきらめないこと ・子どもには復元力があることを信じる ・状況が改善しないのは、状況分析と手法が合致していないから

きりとり線

担任が苦労して行った対応の貴重なしるし。その苦労をねぎらうためにも、紙に残している。

支援教育コーディネーターが 支援を行うにあたって心がけていること・想い

記録の工夫・活用法

出席だけでなく、遅刻・早退も記録することで傾向が見えて

くる

・今後、不登校につながる おそれのある児童をピック アップ ・登校状況を記録すること で傾向や変化を把握し、 支援を考えるためのツー ルとして活用する

登校、下校の時刻も記録

担任が記録し、 支援教育コーディネーターが管理

支援教育コーディネーターが養護教諭や担任と情報共有し、記録&分析

曜日や時間がわかると、いつ会えるかなどの傾向がみ えてくる

<2019年5月> 欠席× 遅刻△ 早退○ 出席◎ 3年2組 さくらももこ

月 火 水 木 金 月 火 水 木 金

1 ◎

4 ◎

5 ○

6 △

7 △

8 △

13:15 下校 9:20 登校 10:30 登校 11:05 登校

11 ×

12 ×

13 △

14 △

15 ◎

18 ×

19 △

20 △

21 22 ×

10:35 登校 8:45 登校 9:40 登校 8:55 登校 祝日

23 △

24 ◎

25 ◎

見立てと対応(例) 休み明けは欠席する傾向が見られたため、登校のリズムができるよう、 月曜日の登校支援(家庭訪問)を実施。状況が改善した。

13

さがみたろう

どんな対応が効果的だったか、今後の参考にできる。

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【未然防止・早期対応】

児童、保護者、教師を孤立させない! チームワークを活かした支援

特別な秘策があるわけではありません。組織の中で、教職員がどんな意識を持って、どのように動いているのか、紹介します。

①児童支援専任教諭 (教務)

③支援教育コーディネーター (養護教諭)

校長

副校長 ④支援教育コーディネーター

(特別支援学級担任)

②児童指導

(専科)

子ども一人ひとりを大切にしよう

学校全体で子どもを見ていこう

■各担任からの報告は必ず①②③に入り、そこで共有、協議、管 理職の判断となります。 ■学級を持たない①②③が中心となって動くことで早期対応が可 能です。 ■若い先生が相談しやすく一人で抱え込まないですむように年齢 構成も考えて複数で対応します。 ■ケースによって①②③で相談しながら、対応するようにしてい ます。

相談を受けたときの 校長先生、担当者の声かけ

よく相談してくれたね

支援教育に関わる専門的なことについて助言

いっしょに考えよう

不登校児童等の支援体制

14

★綿密な面談準備 ★週2回の打合せ ★担任を支える ★児童の話題が中心

・メンバーとその役割(保護者に寄り添う役、 厳しく指南する役な ど)、面談時の座席 配置等を綿密に決め ます。 ・校長室も面談の場と して利用させてもら い、最後の一押しを 校長先生が話すこと もあります。心強い 味方です。

・週に2回ある打合せ の最後には、児童指 導関係の情報交換を します。学年を超え て学校全体での課題 の把握をする時間で す。その際には、児 童の状況、対応、そ の後について話すよ うにしています。

・対応が必要なときは ①②③④の誰かが担 任と一緒に動きます。 支えてもらえるとい う安心感は早めの報 告や相談につながり チームで対応に当た ることができます。 また、若手の先生の 成長にも役立ってい ます。

・職員室では児童の話 題が飛び交います。 何でも話せる風通し のよさが大切である ことを感じています。 そうした教職員同士 のコミュニケーショ ンを管理職も大切に しています。教職員 の笑顔が児童の笑顔 につながるよい職場 になっています。

教職員の 意識統一

学校全体で共有

担任を一人で奮闘させ

ない

笑顔の 職員室

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取り組み事例 不安の高い不登校の男子児童(6年生)のケース 5年生の時はほとんど登校できませんでした。不安が高い傾向があり教室には入れま せんでした。6年生への進級時に本人と家庭に声をかけ、カウンセリングに合わせて 登校を促し、保健室に顔を出すことを提案。家庭ではほとんど学習をして いなかったため、算数の計算問題、漢字の練習などを中心に学年をさかの ぼって学習を始めました。

学習の遅れは不安をさらに高め、教室復帰を遅らせると考えました。そこで、②児童指導担当(専科)と③支援教育コーディネーター(養護教諭)で学習に関する役割を分担しました。計算方法については新しい内容に入る際に②が教え、ドリルやプリントを使っての反復練習は③のいる保健室で行いました。そうした取り組みをする間に理科や図工などは教室の授業に入れるようになり、週の半分近くを教室で過ごすことができるようになってきました。

この学校は、保健室と相談室が隣り合って配置されています。この距離の近さにより、情報交換がスムーズにできるメリットは、大きいと言えます。また、保健室に本児がいるため、青少年教育カウンセラーが顔を合わせることも多く、状況をよく理解してもらうことができました。カウンセリングにもタイムリーに活かすことができ本児の成長を図る上での大きなポイントとなっています。

病気やけがを訴える子をはじめとして、保健室が対応に追われることは多々あります。そんな時「ひとり預かっていくよ」とパニックを起している子どもの手を引いて校長室で対応してくれる管理職や、けがや病気の連絡を養護教諭にかわってしてくれる教職員がいることで、保健室での対応が可能となりました。保健室の本来の機能を保ちながらこうした児童の対応が可能となるのも、教職員のチームワークによるところが大きいと言えます。

支援担当者同士の連携 隙間を埋める動きも大切 保健室と相談室との連携

支援教育コーディネーターの 先生のことばから・・・

「自分たちの動きや対応の仕方が若い先生方のモデルになればいいなと思い、がんばっています。」

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取り組みの実際

【未然防止・早期対応】

「誠実はスピード」をスローガンにした学校の取り組み

「不登校は誰にでも起こり得る」との認識のもと、『チーム○○小』で「誠実さ」と「スピード感」を学校全体で共有しての不登校対応を紹介します。

チーム○○小として

支援教育コーディネーターからの視点!不登校対策で心がけている事は?

最近、Aさんの欠席が増えてきている。

養護教諭

支援教育コーディネーター 児童支援専任

青少年教育 カウンセラー

担任

軸は担任を中心と した学年!

日常的に担任等への言葉かけ等はしていきながら、様子は把握していきます。

校長

副校長

スクールソーシャルワーカー(SSW)

関係機関

●不登校は特別ではない! 日ごろから、教職員全体に対して「不登校は誰にでも起こり得る」と伝え、不登校児童が生じた際も、担任が「自分の力量の無さが原因だ…」と一人で抱え込むことがないようにする学校風土を積極的に構築しています。

●SOSを出す事は悪いことではない! 自分自身の失敗体験などを話すことで、教職員自身が他の職員に対して「助けて」「困っています」などを言いやすい雰囲気を意識的に作っています。

●誠実はスピード! 気になる欠席があった場合は《1日目は電話、2日目は手紙》の対応を徹底しています。3日続けての欠席は必ず家庭訪問を行います。「体調不良」の欠席は要注意!

●担任の意向を尊重しながら、スモールステップの積み重ね! 支援教育コーディネーターは前に出過ぎないように配慮し、担任と児童及び家庭と関係構

築を図ることが出来るように適切な距離感を図っています。その中で、スモールステップの積み重ねが担任・家庭とも実感できるようにしています。

担任はまず学年主任に報告し、内容によって支援教育コーディネーターと共有したところでチームが形成されます。

依頼

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火曜日 木曜日

朝会に参加出来ない児童のフォロー 青少年教育カウンセラーとの打ち合わせ 学校に来ていない児童の家庭への電話 トラブルがあった児童と情報共有。 教室を巡回しての観察 下校指導 青少年教育カウンセラーとの情報共有 担任・学年主任との情報共有 幼稚園を訪問し、入学児童の聞き取り

朝の会の様子を観察 授業 関係機関への電話 授業 教室を回っての観察 下校指導 担任・学年主任との情報共有 職員打ち合わせ

8:25

9:00

9:30

10:30

13:25

15:30

16:00

16:20

16:45

支援教育コーディネーターの2月のとある一日

行動面や学習面で気になる児童の情報共有。授業観察の依頼など。

無断欠席となっている4名の自宅に電話。

担任には見えない子どもの状況等を把握できる機会となっている。

中休みに担任と情報共有を実施。

支援教育コーディネーターが対応した事などを必ず共有。

移行支援で名前が出ている入学予定児童の聞き取りを実施。

子育て支援センター、青少年相談センター、児童相談所それぞれに電話して、情報共有を行う。

前日に担任から得た情報をもとに児童の様子を観察。

毎週木曜に全教職員参加の会議にて気になる児童の情報共有を行う。学年の枠を超えて共有することで、学校全体で概ね一致した対応を図ることができ、非常に重要な意義のある時間となっている。

この時に、児童と一緒に教室に入っている保護者と話しをすることも多い。

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(3)【民間団体・民間施設との連携】

学校とフリースクール等の連携による 子どもたちへの支援

フリースクールに行くことになった児童に対して、教職員がどんな意識を持って、どのように動いているのか、事例を交えながら紹介します。

フリースクール・フリースペース等について知ろう。

特に定義がありませんが、民間の運営

による不登校児童・生徒たちに学習の機会を提供しているフリースクールや、居場所としての役割をもつフリースペースなどがあります。

どんなところ・・・? 学年に応じた教科学習を行いますが、学習に不安感をもっている児童・生徒には、当該学年の履修内容にこだわらず状況に応じて、個別学習や少人数でのグループ学習を行っています。 活動では、音楽やスポーツ、物づくりや調理など、各フリースクール等が特色のある活動を行っています。また、季節の行事を行ったり、遠足などを行ったりしていることもあります。

学習・活動・行事等は?

学校がフリースクール等と連絡を取り

合いながら学習状況等を確認するなど、一定の条件のもとに在籍校の校長先生が認めた場合、指導要録上出席扱いとして認められます。

学校の出席扱いは・・・?

フリースクール等での学習・活動が指導要録上出席扱いと認められた場合、通学定期乗車券制度を適用できるようになっています。

通学定期乗車券を使うことができるの?

金額や支払い方法は、フリースクール

等により様々です。必要があればそれぞれのフリースクール等に確認ください。

費用は?

フリースクール等は見学会を開催して

いることもあります。その際、どのような学習・活動・行事等を行っているか、情報提供しています。 見学会後は、学校とフリースクール等が、お互いに連絡を取り合いながら、一人ひとりの児童・生徒に合ったよりよい支援を行うことになります。

連携はどのようにするの?

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取り組みの実際

・児童の様子や保護者の考えを 受け止め、定期的な家庭訪問 を行う。 ・学校での学習内容や、行事に ついては、連絡帳を活用しな がら伝える。 ・担任と保護者と面談をし、家 庭やフリースクールでの子ど もの様子を確認する。

・不安感が強く登校しぶりに なる。

学校の家庭への 働きかけ

児童の様子

ポイント2 フリースクールの学習や活動を知り、支援の方法を考える

ポイント1 学校と家庭と連絡を密に取る

・フリースクー ルと連携して いきたいこと を保護者に伝 え承諾を得る。

・フリースクールが開催する 見学会に参加する。 ・フリースクールに連絡し、 訪問する日程を調整する。 ・フリースクールでの活動の 様子を実際に見て知る。

学校→家庭

学校とフリースクールが連携し、それぞれの役割を確認し支援を行うことで、子どもや保護者は安心感をもって、本人のペースにあった学びを選択していく。

ポイント3 フリースクールと共に今後の支援の方法について考える (ケース会議)

・今後の対応を検討していく。 (例)フリースクールでの学習の様子 →学校から渡す宿題等の内容や量 (例)得意なことや苦手なこと →学校のどの教科への参加を促すとよいのか (例)興味があること →学校のどの行事への参加を促すとよいのか (例)効果的な声かけ →学校全体でも、同じ声かけをしていこう

学校とフリースクールの 情報共有

学校とフリースクールと連携して、行っていける支援は、なんだろうか。

保護者の考え

・学校に行かない本人の気持 ちを認めてほしい。 ・そっとしておいてほしい。 ・フリースクールへ行くこと を決める。

学校のフリースクールへの働きかけ

フリースクールでは、どのような学習や活動をしているのだろうか?

・学校とフリースクールの担当と連 絡を取り合い情報共有を行う。 ・必要があれば、ケース会議を開催 する。 情報共有の視点 ※学校での児童の様子 ※フリースクールでの児童の様子 ※保護者の考えや思い

学校が行う支援の検討

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教職員の取り組み 1

(1)【未然防止】

生徒指導担当者が中心で動く!

学校全体で取り組む校内体制

生徒指導担当者が中心となって、積極的生徒指導部が風通しのよい職場づくりを基本に、未然防止を行っている学校としての取り組みを紹介します。

生徒の様子によって今後起こる可能性があることについて、事前に判断し、当該学年に積極的に声をかけることで問題を未然に防ぐことができます。

予防的取り組み支援について

積極的生徒指導部の活動

生徒指導担当者の動き 生徒の様子がいつもと違って落ち着かない雰囲気がある。行事も近い。各学年に声をかけよう。

学年を越えて生徒を指導・支援する校内体制

取り組み事例 学校祭が行われる前の生徒指導 学校祭が2週間と迫ってきました。生徒の様子は少しそわそわしています。

会議で学年主任に現在の生徒の様子を伝えます。特に気になっていること、これから心配されることを話します。 ・大きな怪我・事故の恐れ ・気持ちが大きくなり反・非社会的なこと になる可能性あり ・不安が高くなり登校をしぶる可能性あり ・○○さんの様子をよく観察するようにす る必要がある

学年主任から担任に伝え、各クラスでの指導。または、学年での指導となります。

※行事や試験等その時期での課題があります。そのためあらかじめ予防的にどんなことが起こり得るのか、週2回の生徒指導会議で具体的に伝えるようにします。

○○さんが最近よく保健室に来ています。クラスの様子はどうですか。

常に生徒の状況を把握し、その先を予測しながら会議で様子を伝え、方向性と対策を考えます

ポイント どのような可能性があるのか具体的に伝えます

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2 中学校

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学校行事反省

前期・後期の学校行事反省を行い、次年度の方向性を示しています。教育活動全体を見極めながら学校全体でよりよくしようとしている姿があります。

風通しのよい職場づくり

★「良いところ」の項目を紹介します★ ○先生方それぞれが得意分野に関して、相談すると快く手伝ってくれることがよい。 ○毎朝の教室、廊下の換気、放課後の戸締まり、いつもありがとうございます。 ○生徒たちからも先生たちは仲がいいですね、とよく言われます。これからも気持ちを一つに頑張りたいです。

月1回 教職員が企画する勉強会やレクレーションを行ったりしています。普段から風通しのよい職場をつくることで、何かあったときはすぐ相談できる人間関係ができます。

情報共有と今後の支援 構成メンバー

生徒指導係会

週2回

学習室の利用

教職員同士のコミュニケーションを大切に風通しのよい 職場づくりに努めています!

教職員全員がひとこと「学校の良いところ」を書き行事反省にのせています。普段は忙しくて言いそびれてしまっていることも行事反省にのせることで、職場の仲間の良いところを考えることができ、風通しのよい職場づくりに役立っています。

情報共有にとどまらず、今後の支援の方向性について話しています。 いつ・誰が・どうやってを考え、方向性を示し、学年におろしています。

場所 校長室

生徒指導担当者・ 各学年の生徒指導担当者・養護教諭・ 支援教育コーディネーター・支援教育支援員・青少年教育カウンセラー

教職員の取り組み 2

教職員の取り組み 3

生徒の情報はここで共有しています

H30より学習室ができました。一人で勉強したい人、教室には行けないけど学習室なら大丈夫な人。使い方は様々です。登校をしぶっている生徒がここなら来ることができるといって顔を見せにくることがありました。

生徒指導係は様々な人に参加してもらいます。学年以外の意見を尊重し、意見を出し合えるような雰囲気作りを心がけています。

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【未然防止・早期対応】

差のない、もれのない校内支援体制

連絡方法や家庭訪問など、支援方法の統一化をはかり対応に差をなくす、 記録や確認を徹底し、対応にもれのないような体制作りを紹介します。

①システム的な対応

○学校全体 生徒指導全体打合せ(毎週) 具体的な対応を共有

○生徒指導部会 校長・生徒指導主任・学年主任・養護教諭(支援教育コーディネーター)

青少年教育カウンセラー

情報共有と、対応策を検討(毎週)

○学年 学年別対応確認(放課後毎日)

○担任

家庭訪問・電話連絡(ルールに沿って実施)

②記録

・生徒指導:記録のフォーマット 校務サーバーを利用し、校内で共有

・電話連絡:日時、相手が誰か、どう伝えたか等を記録

・情報発信:記録の重要性について支援教育コーディネーターから発信

③支援教育コーディネーターの動き

・職員とのコミュニケーション 何かあったらヘルプが出しやすい関係づくり

気持ちよく仕事ができる環境づくり

不登校に対する校内支援体制

・1日休んだら必ず電話連絡 ・3日連続で休んだら必ず家庭訪問 ・2日連続欠席でも、登校しぶりが 疑われる場合は家庭訪問

毎日やることで対応のもれがない

記録の重要性について、職員の認識を高める

担任ひとりがかかえ

込まない!

も 差

も 差

も 差

も ・・・もれがない

・・・差がない

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記録の取り方のポイント

支援の記録 ㊙ ○○中学校

事 例 名 (例)不登校生徒の家庭訪問

支 援 月 日 平成 ○○ 年 ○ 月 ○ 日( 月 ) 16:45~17:30

支 援 場 所 生徒自宅

関 係 生 徒

(学年・クラス・氏名) 2年 ○組 ○○ ○○

支 援 職 員 担任 ○○ ○○

事例の具体的内容

家庭との連携

その他

※10部作成し、校長、副校長、教務、学校生担、各学年主任、各学年生担へ手渡しでお願いします。

※文量が多くなる場合は、両面印刷でお願いします。

良い例 悪い例

〔記録を取ることの目的〕 ・情報の整理(正確さが大事) ・今後の支援に活かすための資料 ・学校、先生を守るもの

・会えた

・やせていた

・暗かった

・来週は登校したい と話していた

・家の様子が心配。

・本人と会えた ・前に着ていた服が ぶかぶかになっていた ・訪問当初は暗い表情だっ たが、ゲームの話をする と笑顔になり20分ほど 雑談できた。 ・来週の放課後、ほかの 生徒がいなければ学校 に行けるかもと本人が 母に話していた ・訪問した際、床が見えなくなる程ごみが積もっており不衛生な環境だった。母親は酒に酔っている様子でろれつがまわっておらず、きちんと養育ができているか心配。

母と?本人と? 誰と会えたかを記録

「やせた」は主観的情報で受け取る相手の解釈で状態が変わる。やせたと判断した客観的な情報を載せる。

変化についても記載することで、どんな状態かより具体的にわかる。

「誰が」「誰に」「どのように」など5W1Hが抜けると、ストーリーがかわってしまうため正確に。

タイトルがあると

何の対応をしたかわかりやすい。

日にちだけでなく 時間の記録も大事

場所もあると◎

随時、校内で共有

何が、どう心配か心配と思った理由を明確に。支援の方針を考える材料に。

養育や家庭環境の心配がある場合、福祉の関係機関との連携が必要。

23

16:15~17:00

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【未然防止・早期対応】

支援シートを活用した組織的な取り組み

「学級担任・教科担任の気づき」を視覚化した支援シートを手がかりに、具体的な支援の方法を多角的に検討し、組織的に対応している学校を紹介します。

①学年会・教育相談係 (生徒の実態把握) メンバー ・学年職員

②教育相談係会 メンバー ・支援教育コーディネーター ・生徒指導担当 ・学年教育相談係 ・青少年教育カウンセラー 等

③校内ケース会議 メンバー ・支援教育コーディネーター ・学年教育相談係・担当学年 ・関係機関 等

開催日:毎週木曜日 目 的:教育支援シートAを活用しながら、生徒のアセスメン トや困り感の確認や、生徒の多面的な実態把握を行い 個々のニーズに応じた具体的な支援の方法を検討する ☆学級・学年・学校のどのレベルでの支援が主体にな るかを検討する。 ☆学年・学校として組織的な対応が必要な場合は、

校内ケース会議を開催する。

開催日:学期に2回程度(年間6回) 目 的:特別な支援を必要とする生徒について情報交換すると 共に、共通理解を図り、その具体的な対応のあり方に ついて、関係機関等専門的な立場からの助言を交えな がら協議する。 流 れ:①3グループに分かれて、対象生徒の情報共有と拡充 具体案について検討する。 ②各グループの協議内容と具体的な取組を共有する。 ☆対象生徒1人について、3グループで協議するた め、多角的な支援の方法が提案される。 ☆一部の意見だけではなく、みんなで検討することで 組織的に動く意識が高まる。 ☆対象生徒に中心に関わる職員が悩んでいたことが共 有され、先生方の関わりの幅が広がる。

指導・支援の充実にむけた流れ

学級担任・教科担任は実態把握を行う。 学年職員からの報告等を元に 学年教育相談係(副主任)は

教育支援シートA (学年の一覧)を作成する。

開催日:必要に応じて 目 的:支援を必要とする生徒に対して、外部機関との連携を 図り、学級担任・教科担任が配慮して指導するための 具体的な指導体制の検討を行う。

④校内支援委員会 メンバー ・校長・副校長・教務 ・生徒指導担当 ・支援教育コーディネーター ・学年職員・養護教諭 ・青少年教育カウンセラー ・関係機関 等

教育支援シートAから、定期的多角的に検討が必要な生徒を対象に

教育支援シートBを作成する。

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教育支援シートA(全体把握)

支援対象生徒生徒名部活動

123

123

123

123

123

2

3

4

5 現状の見立てと今後の方向性

前年4月5月6月

現状の見立てと今後の方向性

前年4月5月6月

現状の見立てと今後の方向性

前年4月5月6月

現状の見立てと今後の方向性

前年4月5月6月

校内支援体制 関係機関等学年

組 担任 支援内容 家庭環境/配慮事項 生徒の状況

前年4月5月6月

現状の見立てと今後の方向性

1

合理的配慮

教職員の気づきを手がかりに、特別な支援を必要とする生徒の一覧を作成し、具体的な支援に繋げるためのシート

教育支援シートの実際

教育支援シートB (個別の支援検討)

校内支援委員会で、定期的多角的に検討が必要な生徒についてまとめたシート

支援対象生徒生徒名部活動

1 3 □□

2 2 ☆☆

3

校内支援体制 関係機関等

本人とカウンセラーが、定期的に相談ができており、友人関係の悩みや不安を打ち明けることができている。

前向きに登校し、学校生活を送っている。声かけや担任との面談も定期的に行い、支援を続ける。

学年

組 家庭環境/配慮事項 生徒の状況

前年

対人関係父、母、兄(高1)、本人の4人家族

自分の気持ちを伝えることが苦手、グループ活動でも声を発することができないこともある。

6月

現状の見立てと今後の方向性

担任 支援内容

教育相談を週1回行う。観察、声かけを行う。

青少相カウンセラー

○○ ○○◎◎部

4月5月

1年生については、小中連携

シートが提出された生徒は必ずシートAの名簿に入れる。

随時、更新して、学年会で確認する。

毎月の様子は、担任が記入する。他の入力は、各学年の教育相談係が入力し、担任の負担軽減を図る。

生徒の実態(態度・学習内容・認知言語・対人関係)【気になること】 【今後取り組ませたいこと】登校ができていない。学習を行うことができていない。

○○ ○○ 不規則な生活習慣になっている。 基本的な生活習慣を身に付ける。スマートフォンを操作している時間が長い。 【具体的な指導及び手立て】

2年3組 コミュニケーションを取ることを苦手としている。

【進歩した点】

③家庭と協力して、規則正しい生活を心がけさせる。④母親との2者面談を継続的に実施する。【重点指導】まずは、本人・担任との人間関係を築く。

名前 個別の指導課題

家庭訪問では、ゲームの話題を通して、会話ができた。

本人の好きなこと・興味のあることを中心に、担任と本人の会話を増やす。

①継続的に家庭訪問を行って、本人と会話する機会を増やす。②一方的に教師側が話さないように、本人の考えを引き出すような問いかけをする。

校内支援委員会では、生徒一人の支援に対して、3つのグループに分かれて検討する。そのため、多面的な支援の方法が具体化されていく。

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青少年教育

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取り組みの実際

【未然防止・早期対応】

一人も見捨てない教育を!

不登校対応は初期段階から積極的にアプローチし、「ひだまりルーム」の開設で、教室復帰に向けた準備を積極的に行なっている学校を紹介します!

3日欠席したら、どんな理由があっても必ず家庭訪問を実施する。その際、子ども自身と直接話をして、「今の気持ち」を聴き、学校として取り組める事を一緒に考える。

平成30年度から校内に「ひだまりルーム」(教室復帰に向けた準備として利用する教室)を開設する。【2~5校時】

早期対応の徹底!

H30新規

完全な不登校にさせない校内の「しかけ」として

早期対応の部分でどれくらい適切な関わりができているかが、今後のポイントとなる点を学校全体で共有する。

その中で、欠席が続いている生徒については、複数対応(担任と学年主任等)で週1回は家庭訪問を行い、登校に繋がるきっかけを探っている。

支援教育コーディネーター等は、欠席が増えて気になる生徒について担任に状況を聞いて意見を伝えている。その際、担任の日ごろの取り組みについて意識して話している)

《特徴》 ●人目につかないように配慮 生徒の昇降口とは別の入り口(職員用入り口)から入る事ができる。部屋の中も仕切があるので、人目を気にせず自習ができる。

●教職員のフォローがしやすい 基本的に開設時間は複数の職員が対応。分からないことはいつでも質問できる。場所も職員室の真上になるため、状況を把握しやすい。

●青少年教育カウンセラーと連携しやすい 相談室の横にあるため、青少年教育カウンセラーとの連携がとりやすい。

●生徒の個々のペースにあった利用が可能 開設時間内なら利用時間は自由。登校や欠席連絡も不要。

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B君(3年生) 【進路、卒業に向けて】

「いきなり教室に入るのが不安」「昼夜逆転している」「途中から教室に入りにくい」そんな生徒を中心に利用しています。

ひだまりルームを利用した生徒の具体例

Aさん(2年生) 【学校の「居場所」】

・2年生から不登校。3年2学期の終わりから、担任の誘いかけで「自分のペースで 勉強が出来ること」に興味を持って利用するようになる。

・進路の準備や書類の作成等を、ひだまりルームにいる先生と一緒に行う。青少 年教育カウンセラーや様々な教職員との関わりにより、人間関係の幅が 広がる。 ・本人の自信にも繋がり、卒業式の練習に参加。当日も出席できる。

・1年生の9月以降の欠席が続く。登校支援も繋がらず。 ・ひだまりルーム開設後、担任や学年の教員の促しで少しずつ利用するようにな る。部屋では掲示物コーナーの作成等の役割を生徒に担ってもらい「居場所」 となるように関わりを持ち続けた。 ・学年の教員との繋がりが強くなった結果、昼休みにグラウンドに出たり、体育 の見学ができたりなど、活動の幅が広がっている。

利用にあたって

Cさん(2年生)【困った時の休憩場所の確保】

・2学期後半から、授業の合間に急に固まり動かなくなる等の様子が出てくる。 ・この状況が続いた後、生徒をひだまりルームに連れて行き、個別に話を聞くなど の対応を開始する。生徒は、自分の意思を伝えることが苦手であったが、2ヶ月 ほど続けた結果「体育で見られるのが嫌」との話が出る。 ・担任と本人が話し合いを重ねたあと、担任や体育教諭等が保護者とも面接を行い 「本人が体育の授業参加がどうしても厳しい時に、本人の意思で来る場所」とし て、ひだまりルームを使用することとした。

・本人は安心感も得たのか、その後は体育の授業を休まずに出席するようになる。

・利用の際は、担任や学年の教員が継続的に指導支援していることを前提とする。 ・「担任に返す」「学級に返す」ことを目標とし、生徒の参加状況や取り組みは担 任や学年生徒支援に報告する。担任は定期的に家庭連絡を行い、登校時の様子を 保護者に報告する。 ・本人及び保護者と面接をして個別に指導計画を作成し、長期的継続的にサポート する体制を学年とともに確認する。

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取り組みの実際

(3)【継続支援】

学習支援を通した生徒とのかかわりを中心に

担任や学年の働きかけにもかかわらず、なかなか登校に結びつかない生徒に対して学校とのゆるやかなつながりを促す学習支援を紹介します。

3つのタイプの学習支援

対象:普段の授業の中で 学習に不安のある生徒 時間:週1放課後 形態:1年生15人⇒PC 2年生15人⇒好きな 教科 3年生30人⇒一斉指導 場所:1年:美術室もしくは PC室 2年:被服室 3年:少人数教室 対応:各学年の教諭

対象:①で学習量が足りな いと感じる生徒 時間:通常の授業の時間帯 (個別対応型) 形態:1対1 場所:少人数教室もしくは 図書室 対応:支援教育支援員

対象:①②に参加しにくい 生徒 時間:(月)の1校時 (火)の1校時 (金)の1校時 形態:教諭1人当たり 生徒数名 場所:図書室もしくは 少人数教室 対応:どの学年がどの曜日に 行ってもかまわない。 各学年の教員が2人ず つ対応。今後授業時数 に組み込んで増やして いく予定。

②個別学習 ①放課後個別指導 ③登校支援学習

H30新規

1週間でみると こんな感じです

1 年間やってみて 課題も見えてきました。 今後の改善も必要と 感じています。

学習に不安のある生徒

先生や学校につながる場所がいくつかあるので、子どもが自分で選んで通うことも可能です。

不登校生徒

月 火 水 木 金

①放課後個別学習 学年の職員 ●

②個別学習 学習支援員 ● ● ●

③登校支援学習 学年の職員 ● ● ●

カウンセリング 青少年教育 カウンセラー

● ●

同時刻に各学年が実施しています。

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取り組みの背景

●学習に関する課題 登校をしぶる生徒や不登校の生徒の中には、学習に困難を抱える生徒も少なくありませ ん。基礎的な問題がわからないという生徒も多く、授業を受けることにとても不安を感 じており、学校生活を苦痛に感じる生徒が増えているという現状がありました。

●別室登校ではなく、それに変わる場所を・・・ 登校しづらくなった生徒の保護者から「別室登校はできないか」と聞かれることがあり ました。少しずつ学校にいることに慣れていく場所や時間があれば、教室復帰に向けて の心の準備ができるということがわかりました。

●まずは、担任・学年職員による生徒へのはたらきかけを。 不登校生徒に対する教室復帰を目指したはたらきかけは担任・学年職員が中心となっておこなうことを原則とします。しかし、担任や青少年教育カウンセラーともなかなかつながらず、かつ、学習が不登校のひとつの理由としてあげられる場合には、登校支援学習への参加を検討し、投げかけます。

こんなこともやってます!

不登校の生徒には、この手紙を配り、登校支援学習につい

て周知しています。

登校支援学習へのつなぎ方

■「不登校生徒の状況」を会議で提示 生徒指導部門会議(週に1度開催)で次のような生徒の一覧を提示し、不登校生徒の状況を把握します。授業や部活動では学年をこえて生徒に対応することも多いため、情報を共有することで生徒の変化に早めに気づき声をかけやすくなり、結果的に教師と生徒の距離が近くなります。また、会議の出席者はこれを学年内に持ち帰り、生徒への対応を検討していきます。所属する学年以外の生徒の状況を知ることもでき、学校全体の課題として共有することつながっています。

学年 名 前 性 外部連携 家庭 欠席 (昨年)

欠席 (今年)

欠席 (今週)

欠席 (先週)

備考

1 相模 太郎 男 母が相談室に来ている

18 108 4 5 部活トラブル 父は単身赴任月1帰省

2 城山 花子 女 生活支援課 母子家庭

166

130 5 5

(「不登校生徒の状況」の一例)

部活動の顧問に詳細を 聞いてみたほうがよさそうだ。

青少年教育カウンセラーと情報共有して保護者と話せるかどうか聞いてみよう。

経済的に大変そうだ。集金が気持ちの負担になっていないか・・・養護教諭と担任で家庭訪問して母親に声をかけてみよう

経験豊富な職員が担任教諭と 一緒に家庭訪問することで

保護者とのかかわり方を学んでいきます

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①登校支援の場所 登校支援の教室は「図書室」か「少人数教室」です。

「図書室は職員室のちょうど真上で「少人数教室」は図書室の近くにあります。 ②当日の入り口について 登校は職員室玄関から登校してください。 次に自分の学年の昇降口を利用できたらいいですね。 ③登校支援の頻度 教室復帰できるまでです。教室復帰に向けては人それぞれペー

登校支援を希望する人へ

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【継続支援】

担任の勝負は毎日10分の「朝の会」! 不登校生徒と学級生徒の気持ちをつなげ、学校復帰をめざす!

生徒とのやりとりから(抜粋)

中学2年生進級時の、担任のチャレンジ!

4月初旬 朝の会 係生徒「今日の欠席は

Aさんです。」

担任 「体調が悪いと

連絡がありま

した。」

4月初回 家庭訪問 担任「私が担任になりました。

よろしくね。(学級だより

を見せて)クラスで知っ

てる人は誰か教えて?」

「お母さんによろしくね」

(後ほど電話にて挨拶)

まずは

関係づくり

4月初旬 家庭訪問 担任 「体調はどう?〇〇さんが

心配していたよ。Aさんは

どんなTV見るの?」

生徒A「ドラゴンボールとか、。」

あせらない

「思いやりを持った生徒を

育成する」場面の1つとして

「朝の会」を大切にし、生徒たち

が級友の欠席や不登校生徒

Aさんについて意識を持てる

ように働きかけてみよう!

取り組みの実際

Aさんの登校に向けた担任の取り組みを紹介します 中学2年男子Aさん:中学1年2学期から登校をしぶりが見られ、3学期には ほとんど登校せず。友人関係に問題はないが、学校生活に無気力さが感じられた。 家庭との連携も難しそう。

4月中旬 家庭訪問 担任 「(学級だよりを見せて)学級

目標はこんな風になったよ。

自己紹介カードを書いて欲

しいんだけど、どうかな?

一緒に書く?」

生徒A「今度までに書いておきま

す。」

担任 「無理しなくていいからね。

Aくんのこと、これからみん

なに話してもいい?」

生徒A「いいよ。」

4月中旬 朝の会 司会生徒「今日の欠席はAさん、

Bさんです。」

担任 「Bさん早くよくなるといいね。

Aさんからは自己紹介カード

を預かってきたよ。Aさんは

少年ジャンプが好きなんだ

ね。」

生徒「そうそう、僕、Aさんとジャンプ

の話、したことがあるよ!」

Aさんと学級生徒との接点を

見つけたい!

Aさんと学級生徒との接点を1つ見つけた!

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担任が特に気をつけていたこと ♪不登校生徒と家庭訪問で信頼関係を築き、本人の思いを確認しながら、学級生徒に様子を伝えました。 ♪学級生徒に思いやりの言動が見られたときには、「ありがとう!」「うれしい!」としっかり伝えるようにしました。 ♪不登校について理解を示さない生徒には、それを諭すのではなかなか伝わらないと思い、その生徒自身のサイン だと捉え、なるべく関わりを持つようにしました。

Aさんのその後・・・校外学習に参加できました。参加にあたっては、カウンセラーのアドバイスも参

考にして、班活動ではなく教員との散策ということも想定していましたが、事前

に生徒たちが、自主的にAさんの参加を前提とした班編成を作ってくれたことも

あり、すんなりと班活動をすることができました。Aさんの欠席はその後も見られ

ましたが、校外学習での成功体験は、10月の学校祭参加に繋がっていきました。

3年時は、不登校ではなくなり、卒業後、高校に通うことができました。 Cさんのその後・・・複雑な心境を打ち明けたCさんは、その後、担任や学年の先生方から持ち味を認

められ、前向きになり、Aさんを助ける様子も何度も見られました。

5月はじめ 朝の会 係生徒「今日の欠席はAさんです。」

生徒「Aさん、この間コンビニにいたよ。来ればいいのに!」

担任 「そう!少し具合が良くなってきたんだよ。」

5月中旬 朝の会 係生徒「今日の欠席はAさんです。」

担任 「4月がんばって連休明けに疲れが出てくることもある

からみなさん体調に気を付けようね。そうそう、Aさんと

この前、ゆっくり話したんだ。6月の校外学習に行って

みたいって。でも、楽しいときだけ行くと、みんなに悪い

かなって気にしてた、、。」

生徒「そんなことないよ!」

生徒「僕、連絡してみるよ」

5月中旬 家庭訪問 担任 「(学級だよりを見せて)6月に

校外学習があるんだけど、

どう?」

生徒A「行事は行けそうかも。だけど、

みんなに悪いなって思う。」

担任 「そう考えるんだね。Aくんの

気持ちをみんなに伝えても

いい?」

生徒A「いいよ」

5月中旬 朝の会後 生徒C「Aさん、ずるいよ。Aさんはいつも休めていいよな。」

担任 「そうか、CさんはAさんがいつも休んでいて、ずるい

って思うんだね。」

生徒C「そうだよ。世の中そんなに甘くないんだ。」

担任 「なるほど。Cさんは部活とか習い事とかいろんなこと

がんばってるもんね。複雑な気持ちを話してくれて

ありがとう。先生、Cさんのこと、もっと知りたいな。」

5月中旬 職員室にて 担任 「Cさんがこんなこと言ってたのですが、どのような生徒

か教えてください。」

部活動顧問「両親とも厳しく子育てしていて、本人はその期待

に応えようとしている様子があるよ。」

担任 「そうなんだ。」

美術の教員「ほめられる経験があまりなく、プレッシャーを感じ

ているのかもね。この前、作品が思うようにでき

て本人とても喜んでいたわよ。」

学年主任「いろいろな場面でほめる場面を作って〇〇先生

(担任)に伝えていこう。」

6月初旬 家庭訪問 生徒A「この前、〇〇さんからメールがあったん

だ。校外学習の前に学校に行ってみよう

かな。」

担任 「うれしいな!事前学習がある日に行って

みようか。」

そろそろ校外学習参加の可能性

を探ってみよう!!

そう思っていたんだ!学級の生徒の受け入れの気持ちを探ってみよう。

良かった!みんな、ありがとう。

!!!! Cさんそんなこと言うんだ

落ち着こう。 Cさんにも事情があるのかも、、。

支援が必要な級友 を良く思わない生徒は自分も何かに葛藤している場合が多い。「そうだね。Aさん甘いよね」は×。しかし「そんなことを言ってはダメ!」も×。まずはその生徒を受け止め、認めてもらえたという気持ちになることが必要!

怒らなくて良かった。

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入学以来続く課題・・・

【継続支援】

3年間を見通した粘り強い長期的アプローチ

「全く本人に会えない」「居住の実態もわからない」先が全く見えない状況。学校全体で担任を支え、担任の粘り強いアプローチで保護者・生徒を支援し、高校進学までつながった事例を紹介します。

蓄積していくそれぞれの「不安」 どのように軽減していくか。その体制と具体策は?

本人に会えない 家庭状況の 把握が困難

感情の起伏が 大きい ・本人は小3から全欠状態。

学級内のトラブルが原因で 教室に入るのが怖くなった ・担任からのメッセージを本 人に定期的に送るが反応が ない。長期間、学校の校舎 自体に入れていない状態が つづく。

・家庭の都合で、居住が親族 の住居との行き来が多く状 況がつかめない ・家に訪問されることを拒む ので、会いにいけない ・手紙等は郵送が主な手段

・保護者への連絡手段は、 携帯電話のみ。なかなかつ ながらない。つながった時 の通話は短時間が多い。 ・保護者は感情の起伏が大き く時には強い感情を教員に ぶつけてくることもあった

気持ちは届いて いるのだろうか

本当に住んで いるのだろうか

電話がしにくい 何を言われるか

不安・・・

粘り強くアプローチするが、改善が見られないと 先生たちは不安な気持ちに・・・。

生徒が抱える不安

生徒が抱える不安 保護者が抱える不安 ずっとこのままなのかな・・・。 この子はどうなるのだろう・・・。

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学校や関係機関で協議した支援体制

・保護者の特性を学校が理解できる よう情報共有

子育て支援センター

生徒・保護者

スクールソーシャルワーカー(SSW)

バックアップ

校内支援チーム

・家庭への直接支援

・担任以外が電話に出て も同じ認識で対応でき るよう情報共有 ・担任の悩みを仲間が共 有している

・保護者との信頼関係構築に 全力を尽くす ・子育て支援センターとの情 報共有を行い保護者を理解 する

・入学や進級に向けての確認 ・学校方針の確認 ・支援チームの考えを共有

校長

担任・ 養護教諭 学年団

信頼関係構築へ 粘り強いアプローチを行う

・学校の後方支援 ・福祉的支援の情報収集 ・類似事例からの見立てを共有

具体的な対応

①返信用封筒入りの本人への手紙 <家庭とつながりがある教員から継続的な励まし> 姉とつながりのあった養護教諭が定期的に生徒本人へ手紙を出した。本人との直接的なつながりは 無かったが、中学校生活をイメージできるようメッセージを送り続けた。 ②担任からの保護者への連絡 <担任談「保護者との信頼関係構築に全力を尽くしました」> 子育て支援センターからの情報共有で保護者の特性を理解しながら、電話でのアプローチを試みた。 限定的な保護者との会話だったが、次第に母の状態が会話から分かるようになってきた。

※担任は、繰り返し保護者へアプローチすることで、徐々に適切な距離感がわかってきた。

一貫した見立て・・・「進路選択時に事態は大きく動く。それまで地道に コミュニケーションの窓口構築を目指す」

担任が気をつけたこと

・進路選択学年の3年時でのビジョンを明確にした。 <どのタイミングで、どの情報を伝えるか、詳細なシュミレーション> ・学校側のペースにのせようとしても無理が生じる。必ずしも想定通りに進まないこともあると受 け入れる。 <しつこくしても効果は無い。状態が良くないことも当然ある> ・生徒本人の変化を生むには、環境改善をはかり、保護者の気持ちを前向きにする必要がある。 <保護者の不安軽減がなされないと、子どもへの囲い込みが解除されない>

粘り強い学校からのアプローチにより、完全に関係性が切れることはありませんでした。関係性を保ったまま3年生を迎えることができました。保護者との話の中で、高校進学の希望があることを確認し、学校・行政が連携し、スケジュール・手続き・試験内容について、伝達のタイミング・方法を入念に練り、段階的に伝達しました。本人と保護者に明確な見通しが持てるよう資料を整理しながら、郵送と電話を織り交ぜながら出願・受験を実現。受験準備で約7年振りに学校の校舎に入ることができました。作文指導もできました。受験は見事合格し、卒業証書も校舎内で授与ができ、本人と保護者の感謝の言葉が教職員に贈られました。

保護者「先生は娘のこと考えてくれ、話を聞いてくれた」

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取り組みの実際

(4)【外部機関との連携】

『チーム学校』のその先! 外部機関もメンバーに!!

情報共有の方法、記録の仕方等、学校全体で共有しています。また、外部機関を知り、どのような連携ができるか考えながら取り組む不登校支援について紹介します。

【多面的に分析】 ・『校務支援ソフト』の「日々の様子」の 中に、①生徒指導②教育相談③その他の

観点でコメント欄に記入する。 《記入者の主な観点》 ・学級担任・・・学習面・友だちとの関係 ・教科担任・・・学習面・態度 ・部活の顧問・・出席率・休日練習の様子 ・養護教諭・・・来室状況 ・校務支援ソフトで記入されたものをもと に支援教育コーディネーター、各学年の 支援担当者、養護教諭、カウンセラー等 が集まり、現状の共通理解と今後の支援 を確認する。

①校務支援ソフト

先生方から一言!

情報共有

②教育相談係会

《コメント欄、記入のポイント》 ・日時、場所、人をはっきり記入 する。 ・事態に変化がなくても、「電話 をした」「家庭訪問をした」等 取り組んだことも記入する。 ・全職員で記入する。

客観的に 事実のみ

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一人の生徒についていろいろな先生が、いろいろな場面での情報を記入してくれるので今の状況を早く把握することができました。また、共通理解もできるので話し合

いもスムーズです。

記入するのは面倒くさいな・・と思っていましたが、いろいろな先生が自分のクラスの生徒に記入してくれるとうれしくなりました。自分もちょっとした時間に、ほんのひとことでも記入しようと思いました。

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取り組みの背景

不登校の要因が複雑になってきていて、どの機関と連携して取り組むのが良いか

支援教育コーディネーターだけではなく、全ての職員に各機関のイメージが持てるように研修を行うこととしました。

研修後の校内での変化

関係機関の紹介

■ケース会議の中身が充実

③研修(外部機関を知る)

・ケース会議の中で「青少相」「子セン」というワードが出ても、共通 のイメージをもって話し合うことができました。 ・「学校でできること」「機関と一緒に取り組むこと」の整理ができる ようになり、見通しを持って対応することができるようになりました。

学校が研修を企画し、次の3つの機関にも参加してもらいました。事例を用いて研修しながら、それぞれの役割について、共通理解を図りました。

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【SSWの感想】 関係機関同士が連携しながら対応しているというイメージが伝わったのではないかと思います。顔の見える関係ができ、今後、学校への訪問もしやすくなりました。

【こども家庭支援班の感想】 学校がどんなところに不安をもっていて、どんなことをお手伝いしてほしいかを知ることができて、良かったです。

青少年相談センター

19歳以下の青少年に関する全般的な相談(不登校、性格・行動上の問題、養育の不安等)。

青少年教育カウンセラー

児童・生徒の当面する課題解決と健やかな成長に向けて、相談活動等を通して心理面から支援。

スクールソーシャルワーカー(SSW)

家庭環境に起因すると考えられる長期欠席や問題行動等のケースに対して、福祉的側面から働きかけや支援を行う。

少年相談・保護センター

専門の相談員が少年の非行問題やいじめ、犯罪被害者等に関する相談を受け、その立ち直りを支援。

子育て支援センター

【こども家庭支援班】 ・子どもとその家庭に関する相談。 ・児童虐待の対応や家庭の支援等。 ・市民や関係機関への研修・啓発。

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【相談指導教室との連携】 温かいまなざしが支えた子どもの成長

学校の先生方の関わり、青少年教育カウンセラーとの出会い、相談指導教室での体験を通して、小・中学校で成長した子どもの様子を事例を交えて紹介します。

まずは、相談指導教室って?

心理的な要因等で登校することが難し

い児童・生徒を中心に、学校復帰や社会的自立支援へ向けた支援・援助を行う、教育委員会が設置・運営する通室制教室です。 本人と保護者が共に学校か相談室で青少年教育カウンセラーと継続して相談を行い、通室準備をしていきます。

どんなところ・・・?

入室時や長期休み等、必要に応じて学校の先生と相談指導教室で情報交換を行っています。また、毎月末に相談指導教室から指導状況報告書を学校に送っています。連携をすすめ、担任が生徒に会いに来てくださり、登校につながった児童生徒の例も見られます。

学校との連携方法は・・・?

電車・バスを利用する必要がある場合、「通学実習定期券」を利用することが可能です。また平成31年4月より、就学奨励費が適用される方は、通学費が支給されるようになりました。

通学実習定期券等について

原則として、学校課業日と同じ日に活動し、年度初めと終業式・修了式は、閉室します。時間は月曜日は10時~12時、他の曜日は10時~15時までの活動となります。 <基本的な1日の流れ> 朝の会 個に応じた学習活動 昼食 集団体験活動 清掃 1日の振り返り 曜日によって、スポーツ活動、調理実 習、校外学習も計画されています。

どんな活動をしているの?

●大地(大野北中学校敷地内)

○いずみ

●銀河

(センター内)

○すばる ●若葉

(南相談室内)

◎はるばやし(城山相談室)

◎かつら(相模湖相談室内)

○ 小学校相談指導教室

● 中学校相談指導教室

◎ 小・中学校相談指導教室

市内7つの相談指導教室

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3 小・中学校

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事例の紹介 小学4年Aさん(男児)、登校班で嫌がらせを受けていると本人から訴えがあり、

はさみを常に携帯する様子が見られるようになる。担任と本人の教育相談の中で、家族関係 にも悩みがあることがわかった。次第に登校をしぶるようになり、小学5年時は、仕事で忙 しい母に代わって祖母が嫌がる本人を何とか連れてくる形で保健室登校をする。保健室で本 人は、ソファーの下に隠れて過ごすことが多い。

青少年教育カウンセラーとの出会い

養護教諭と支援教育コーディネーターの先生から本人の様子を聞いた青少年教育カウンセラーが、保健室登校でソファーの下にうずくまる本人に話しかける。 青少年教育カウンセラー:(ソファーの下をのぞきな がら)「こんにちは」 本人:(持っていた三角定規を武器に見立てて) 「シャー、シャー」(威嚇のような声) 青少年教育カウンセラー:「⁉(強い防御姿勢だ)」

校内ケース会議で方針検討・実行

◆学校は青少年教育カウンセラーの見立てを共有

「日中の保健室登校は、人の行き来も多 く、本人にとって負担が大きい。学校 は安全な場所と思って欲しい」 ◆小学校時の目標を決定 『安心して担任と良い関係を作る』 →放課後登校を保護者に提案。本人が担任 と安心して活動する時間を積み重ねた。

中学に進学したAさん。入学式には出席できたが、両親の離婚による喪失感から、次第に家にひきこもるように、、、。摂食障害もわずらい、体重が減少していった。ベッドに横たわりぼんやり天井を見る毎日を過ごす。

青少年教育カウン

セラーとの 継続相談

週1回のペースで、 父親が本人を相談に連 れてきた。 本人は相変わらずソファーの下にうずくまる状態だったが、相談を重ねていく中で、親子の気持ちは整理されていった。ある日、 本人:「相談指導教室か、、行ってやってもいいよ、、、。」

学校の継続支援

~ありのままの姿~ 中2から通室を決意。通室のための面接では、本人は隠れずに臨むことができたが、通室後は、教室内の隙間(30㎝程)に入り、誰とも接触を持たない状態が約3ヶ月続いた。

~安心感の獲得~ 本人のペースを大切にスタッフが関 わりを続けた。徐々に隙間から出てくる事が増え、他の通室生との関わりが見られてきた。

~仲間との交流~ 中3の通室生から声をかけられ、一緒に自転車で外出するようになる。教室で自分から会話をするようになり、食欲も出て体力が回復してくる。

~やさしさを後輩に~中3になり、新しい通室生に言葉をかけ、活動をリードする姿が見られるようになる。卒業式に向け、学校へ登校することもできた。卒業時には、今までを振り返り、スタッフに感謝の気持ちを伝えた。

小中学校で引継ぎ、連携

連携

相 談指導教室での支援

中1 本人…家庭訪問を重ねた。 3学期、本人の希 望で週1の放課後 登校が実現。担任 と教室の掃除等を 通して、信頼関係 を築いていく。 祖母…孫が心配な祖母か ら学校に頻繁に連 絡が来る。学年主 任がカウンセラー の助言を受けなが ら丁寧に対応した。

中2 【情報交換会開催】 ◆参加者: 担任、学年主任 支援教育 コーディネーター 相談指導教室スタッフ ◆支援方針、 情報交換の仕方等 を確認。 ◆学校は放課後登校を 続け、行事等の参加 を促すことに。

中3 【情報交換の継続、 自立支援】 本人…相談指導教室 からの情報(電 話での情報交換 指導状況、報告 書等)を参考に 本人との関わり の中で成長を認 めていき学級活 動や卒業式参加 につながる。

連携

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【相談指導教室との連携】

相談指導教室の通室

児童 ・ 保護者 ・ 学校の密な連携

学級内のトラブルが複雑化し、児童の欠席が長期化。相談指導教室への入室によって、関わりの構図がシンプルになり、児童・保護者・学校が、課題へと向き合えるようになった事例を紹介します。

今までの経緯と、 積み重なった感情で 問題が複雑化

・事実認識の共有が、家庭 と学校間でできない

課題の整理・支援の計画

日頃の課題

様々な対応をするが… 学校生活に戻れない

不登校のきっかけ

<Aさん> かかわりの手段は「いたずら」 相手の気持ちが汲み取れない

<周囲の友だち> Aさんの「いたずら」は「嫌がらせ」と 受け止めている 理由…しつこいから

<担任> その都度事実を確認し、 個別指導と学級指導を重ねている

人とのかかわり方に関する指導が多い

ある日友人とのトラブル ・子ども同士の問題に、大人 の関係性が入り込み、学級 内の対応では収まらない

子ども・保護者・学校 皆が苦しい状態へ

Aさん・お腹が痛い ・学校がこわい

<学校> 支援教育コーディネーターを中心に支援体制を協議 カウンセラーとの面談実施(親・子への助言)

ケース会議 ・ 青少年教育カウンセラーとの継続相談等

本人面接

・傷つきケア ・本人の客観的認識支援 ・自信回復への支援

保護者面接

・労い ・助言 ・今後の見通しの整理

学校とのやりとり

・本人理解 ・家族理解 ・今後の見通しの整理

青少年教育カウンセラーの視点から

不登校状態

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支援の具体策

・相談指導教室への 通室

・他機関の支援併用 ※このケースについては、 医療支援の併用が必要と 判断

・環境調整 ・見守り ・相談機関との連携

・コミュニケーションの 課題としては、多人数 での人間の中では関係 性を作りにくいとい うことがわかった。 (複数の人間関係の対応 が、本人の中でできな い)

・問題が複雑化している ため家族が子どものコ ミュニケーションの課 題をフォローできない

・家庭との連携が極めて 困難になり、学校で手 立てが取れない状況 が生じている

保護者 学校との協議 本人

相談指導教室の通室で関係性が整理され、冷静な対応が可能に

支援者 ◇青少年教育カウンセラー プレイセラピーの実施 ◇相談指導教室 少人数での学習の場 ◇医療機関 医療のアプローチ

・学習の場が保障されたこ とで安心し、客観的に周 囲とやりとりできる姿勢 を取り戻すことができた ・医療受診を通して、医師 のアドバイスを受け、学 校との連携の機軸ができ た

具体的な課題

・子どもの発達について 医療的な観点から捉え てみる必要性を、保護 者自身が考えていない。

相談指導教室という少人数のかかわりの中で安心感を抱きながら、コミュニケーションの仕方を学んでいる

支援者 ◇青少年教育カウンセラー 相談の継続 ◇医療機関 受診での見立てを家庭 で実践 ◇学校 窓口の教員を一本化し 円滑な情報伝達・共有

支援者 ◇青少年教育カウンセラー 情報共有(連携可案件) ◇医療機関 受診での見立てを保護 者と共有(同意有) ◇青少年相談センター指導主事 連携のコーディネート

・保護者がつながってい る関係機関と学校が連 携し、共に情報を共有 できる機会が生まれ、 保護者と同じ方向性で 協議できる場が確保で きた。 ・相談指導教室と定期的 に連携し、本人の学習 状況を把握している

戻る場所を確保した 上で教室復帰への チャレンジが可能 連携サイクルの構築

で生まれた安心感で 対人関係にゆとりが 生まれた

学校の理解で学ぶ場が確保された

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【相談指導教室との連携】

相談指導教室から聞こえる声!~子どもたちの思い~

相談指導教室通室生の様子を紹介します。

夏休みに昨年度相談指導教室に通っていた卒業生が、今年相談指導教室に通っている生徒に、今の高校生活について話す機会を設けています。その時の生徒の話。 現在○○高等学校に行っています。全日制と3日制があって、私は全日制に通っています。「中学校のときに、学校に行けなかったときがあるの」と友だちに話したら、「私もそうだよ」と言っていてまわりの子がそういう感じの子が多かったので、安心して話せています。とても楽しいです。

三菱重工相模原ダイナボアーズとのスポーツ連携事業に参加した生徒の感想。 久しぶりに激しい運動をして、いろいろ出来ることに気づけました。自分に自信が持てました。もっと体力をつけようと思いました。

相談指導教室3学期閉室式の生徒の感想。「私は相談指導教室に通って、友だちとかかわるときに、周りの人が変わるのではなく、まず自分が変わることが必要と感じることが できました」

演劇教室「ガンバの大冒険」を見て。主人公がすごく活躍して、かっこよかった。演劇を見て鳥が悠々と飛んで涼しそうだったので僕も鳥になって飛んでみたくなった。・(略)・・帰る前に劇団の皆さんとハイタッチでいたのが嬉しかった。

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先生方へ~学校の先生のメッセージは、通室生にとって大きな力となっています。表情には表れていなくても先生方の思いを感じ取っています。これからも、子どもたちが「自分は大切にされている」という安心できる働きかけを是非お願いします。

不登校の経験者から、一部分を紹介します。

~「不登校を考えるつどい」卒業生の体験談より~

~不登校を抜け出すのは簡単なことではありません。~そして、学校に行けない理由は本人でもよくわからないかもしれません。それが親には言えないのかもしれません。ただ、毎日寄り添って日常会話をするだけでも、変化はあります。いつまで、この時間が続くのだろうと不安になる気持ちもわかります。しかしまずそこから始めるしかないと思います。そして、お子さんが朝は憂鬱な顔をして学校に行きたくないと言っておきながら、夜は元気にテレビを見たりしていても怒らないであげてください。必死に自分で気持ちを安定させようとしているんです。他にも、家族以外で話を聞いてくれる人が居れば、それが一番有効な支援であると思います。私にとっては相談指導教室の職員の方々でした。興味関心を持って関わってもらえることで毎日、今日は何を話そうかなと楽しみでした。決して学校だけが選択肢ではなく、助けてくれる人はたくさんいるということを私はその時に感じました。~(大学4年生 男性)

~学校に行かず家にいる間、色々なことを考えていました。何もすることがないように思うかもしれませんが、常に色々考えて、精神的な疲労を感じていました。そんな状況なので、父や母とも関係性は良好ではありませんでした。粗暴な言葉を使ったり、時には物にあたったりしていました。しかし、唯一自分が大好きな鉄道のことについては、前向きな興味が心の中を埋めてくれました。そんな時、父の趣味であったカメラの雑誌に、列車の写真が載っており、自分もカメラの魅力に惹かれ、父が定期購読していたその雑誌を隠れて見始めました。そんな、私の興味を察した父は、「こんな雑誌もあるぞ」と他のカメラ専門誌を少し手が震えながらも私の目の前に置いてくれました。父の緊張が伝わってくるとてもぎこちない言い方と動作でしたが、父の気持ちが伝わってきました。心の中ではとても嬉しく思ったことを覚えています。ですが、その場では素直にその感謝を伝えられませんでした。表面的には素直に自分の気持ちを伝えられなくても、心の中では自分に歩み寄ってくれるその振る舞いには、感謝の気持ちを持っていました。 ぎこちなくても、アプローチしてくれることはとてもありがたかったです。 ~(24歳 男性 市営地下鉄運転手)

~私が一番変われたのは叱る、怒るではなく客観的に正面から私のことを言ってくれた人に出会えたことです。私は今まで人に触れ合わなくなった分、私のことを正面からちゃんと言ってくれる人とは出会えなかったです。相談指導教室の室長先生との出合いは大きな出会いでした。私は4月~新たに専門学生として一歩、踏み出します。また引きこもりに戻る可能性だってあるけれども今までの自分はたくさん教えてくれました。違う道を歩んだ人生の教科書として学ぶことが出来ました。だから繰り返さないように堂々と歩んでいきたいと思っています。不登校で良かったかと聞けば良かったです。理由は辛い事や苦しい事も経験出来、人の痛みを人一倍知り、優しい人間になれるからです。不登校は悪いことではないし、きっと不登校の子は強い子だから今があるんだと思います。(高校3年生 女子)

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第3章 不登校対策・対応のポイント

1 未然防止

(1)学校で取り組む未然防止

① 不登校の未然防止とは

特定の児童生徒を想定せず、全ての児童生徒を対象に学校を休みたいと思わせない「魅力ある学校づく

り」を進めることを目指します。授業や行事等の工夫や改善が基本です。

「魅力ある学校づくり」とは、全ての児童生徒が、学校に来ることを楽しいと感じ、学校を休みたいと

思わせないような、日々の学校生活の充実です。学級や学校をどの児童生徒にも落ち着ける場所にしてい

くこと「居場所づくり」と、日々の授業や行事等において、すべての児童生徒が活躍できる場面を実現す

ること「絆づくり」を進めることです。そのためには、「一人ひとりを大切にした学級づくり」「わかりや

すい授業づくり」が大切です。

② 一人ひとりを大切にした学級づくり

一人ひとりを大切にした学級は「自分が大事にされている、認められている等の存在感が実感でき、か

つ精神的な充実感の得られる」場所となり、「心の居場所」になります。

「居場所づくり」とは、学級や学校をどの児童生徒にも落ち着ける場所にしていくことです。児童生徒

が自己存在感、精神的な充実感を得ることを目指します。教職員が児童生

徒のために「場づくり」を進めます。

【先生の一言や態度が大切です!】

③ 児童生徒同士の絆づくり

児童生徒が主体的に取り組む共同的な活動を通して、児童生徒自らが「絆」を感じ、紡いでいくことを

指しています。そのためには、児童生徒同士の人間関係を把握し、意図的・計画的に学級集団を育んでい

くことが大切です。

ペア学習・活動の成立 グループ学習・活動の成立 学級集団学習・活動の成立

④ あらゆる教育活動で取り組む

教職員が居場所をつくる

児童生徒が絆をつくる

・いつも真面目に取り組んで

いるね

・友だちと協力して活動でき

ていて素晴らしいね

・やるべきことをしっかりと

やっているのはいいね

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④ あらゆる教育活動で取り組む

日々の学校生活を落ち着ける場所にするためには、授業時間が大切です。授業中、間違ったことを言っ

ても笑われない、安心して授業を受けることができる授業づくり、学級づくりが必要です。授業において

全ての児童生徒が活躍できているか、そうした場面をつくるような授業の組み立て、授業の進め方をして

いるか、常に考える必要があります。

*出典:国立教育政策研究所 生徒指導・進路情報センター

「不登校・長期欠席を減らそうとしている教育委員会に役立つ施策に関するQ&A」(H24)

*出典:国立教育政策研究所 生徒指導・進路情報センター 生徒指導リーフ

「絆づくりと居場所づくり」 Leaf.2

*出典:「だれもが行きたくなる学級づくり 日々の取り組みで未然防止」相模原市立青少年相談センター

((22))年年間間をを通通ししたた未未然然防防止止ののポポイインントト

① 新学期 居場所づくり

新学期が始まる前に前年度の子どもたちの情報を把握し、一人ひとりの状況を確認しておくことが大切

です。児童生徒が安心して落ち着いた学級づくりをすることが必要です。

温かな学級づくりのために自己評価をしてみましょう

② 夏休みに入る前

夏休み前は保護者面談や三者面談、通知票を渡す際など、個人と話す機会も多くなります。また、一学

期の振り返りや生活アンケートなど、心を知る資料に目を通す機会でもあります。心配な児童生徒につい

ては、様子をよく観察し、学年主任や生徒担当者などに伝えておくことが大切です。評価等様々なことが

重なるので忙しくなるとは思いますが、児童生徒の様子をよく見ておくことが必要です。

③ 夏休み中

□児童生徒一人ひとりの情報は把握していますか

□児童生徒の良いところを見つけてほめていますか

□一日一回児童生徒と話をするよう心がけていますか

□からかいや、いじめの兆候などみられたときに毅然として対応できていますか

□児童生徒の発言や意見を大切にして話をしていますか

□児童生徒がクラスの中で自分の意見を自信をもって発言できるように励ましていますか。

□一人ひとりの児童生徒が活躍する場面を設定していますか

□児童生徒が安心して話ができるような行動をとっていますか

教職員が児童生徒にとって学校・学級を落ち着いた場所にすること「居場所づくり」を行うことは大

切なことです。そこで自分が認められたり、活躍できたりしたことで児童生徒にとって学校は心地よ

い居場所となります。さらに進んで、児童生徒が主体的な学びを進め、お互いを認め合い、体験を通

して社会性を身に付ける「絆づくり」の場となり、魅力ある学校が形成されます。

未然防止

初期対応

□夏休みの過ごし方 規則正しく過ごしましょう

□地域活動に参加する等学校以外でできることをしてみましょう

□何か心配なことあったら信頼できる大人に話しましょう

□2学期学校で元気に会えることを待っていることを話しましょう

様子が心配な児童生徒とは長期休

暇に入る前に個別に面談をして様

子を聞きます。「心配しているよ」

というメッセージが伝わるように

話しましょう

学習に心配な児童生徒について

は夏季休業中に手立てをとると

2学期に学業不振が理由で欠席

することも少なくなります

ちょっと気にな

るな・・

温かな学級づくりのために自己評価してみましょう

子どもたちに伝えましょう

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③ 夏休み中

夏休み中は、児童生徒と、地域の夏祭りや部活動等で会うことがあります。部活動で会ったときは是非

頑張りをほめてください。また地域の夏祭りで会ったときは、2学期に会うことを楽しみに待ってること

を状況によって伝えてください。心配な児童生徒には夏休み終了の前に事前に会ったり、電話連絡をした

りしてください。「気にしているよ」というメッセージが伝わるように話しましょう。 ④ 2学期

夏休み明けは、児童生徒が様々な気持ちで登校しています。友だちと会うことを楽しみにしている子も

いれば、不安な気持ちで登校している子もいます。また夏休み明けは、不登校が増える傾向にあります。

児童生徒の状況をていねいに観察して、気になることがあれば個別の面談を行うなど早期に対応できるよ

うに心がけましょう。何か気になることがあったら一人で悩まず、学年主任等にすぐ相談して対応しまし

ょう。また、通知票の保護者の欄を読み、保護者とも情報の共有をしてください。

⑤ 冬休みに入る前

冬休みは、家族で過ごす行事が多い時期でもあります。家族と過ごすことを楽しみにしている児童生徒

も多いはずです。学期末は教員の業務があわただしく、そのため、児童生徒の変化を見落としがちになり

ます。気を付けて対応しましょう。 ⑥ 3学期

3学期は、新年の行事等が冬休み中にあり、新たな気持ちで登校してくる児童生徒も多いです。学級も

それに合わせて新しい気持ちでスタートできるように心がけましょう。

インフルエンザ等体調を崩しやすい時期でもあります。せっかくリズムを整えて学校に来ても、風邪が

長引いて登校をしぶる児童生徒もいます。また、受験のシーズンとも重なり、児童生徒の中には気持ちが

揺れる子もいます。様子が気になる子には、それとなく言葉をかける等積極的に対応しましょう。

□児童生徒一人ひとりの様子に変わったことはありませんか

□毎朝遅れて来る児童生徒はいませんか

□体調はどんな様子ですか。毎日保健室にいく子はいませんか

□いつも一緒にいた児童生徒とグループが違っている子はいませんか

□休み時間にいつも一人でいる子はいませんか

□学習面で困っている様子はみられませんか

□教材研究を行ってから授業に臨むことはできていますか

□児童生徒が主体的に活動する場面を設定していますか

□一人ひとりの学習状況を把握し、個に応じた対応を取り入れていますか

□同じ児童生徒ばかりが発言しないように気を付けていますか

□児童生徒から出された意見は尊重していますか

□すべての児童生徒が「わかった」と実感できるような授業づくりを心がけていますか

□学習状況に課題のみられる児童生徒に対して、ていねいな学習支援を心がけていますか

2学期は、行事も多く児童生徒の成長が見られる時期です。教員としては支え合い、認め合う

学級、落ち着いた誰もが心地よい学級、居場所づくりに努めていると思います。一方で、児童生

徒同士のトラブルが多く見られる時期でもあります。何かあったときはその都度当該児童生徒の

話をていねいに聞くなどの対応をして、さらによりよい集団になるよう支援していきたいもので

す。

子どもたちを観察しましょう

授業づくりについて自己評価をしてみましょう

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⑦ 進級・進学に向けて

3月は、学年のまとめの時期です。今まで頑張ってきたことを振り返る時間をとってください。また、

今まで関わってきてくれた人に感謝する気持ちを持つことも大切な学習です。人との関わりを通して、自

ら学び、自分の成長を感じることができます。

また、進級・進学に向けて不安がないように、一人ひとりの成長を感じ、自信をもつように伝えます。

■引継ぎについて■

一年間担任が把握していた情報や行ってきた支援方法について引き継ぎます。小6については小

中連携支援シートMapのつなぐページを活用して保護者の要望により、情報を伝えることもで

きます。

□一年間で成長したことを伝え、自信をもつことができるようにしましょう

□進級・進学に不安を与えないように、必要な情報は適切に伝えましょう

□次の年度について予定表など見通しをもてるような情報を伝えましょう

☆不登校の未然防止は全ての児童生徒が、学校に行きたい!と感じる

「魅力ある学校づくり」が不可欠です。

☆教職員が授業や行事等において、児童生徒が「絆」をつくれるよう、活躍したり、認

め合えたりする場、「居場所づくり」をすすめることが大切です。

子どもたちに伝えましょう

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2 早期対応

(1)児童生徒の状況をつかむ

① 児童生徒の過去の欠席状況について把握する

「不登校」「不登校相当」「準不登校」になっているかを確認しておきます。「不登校」は、もちろんです

が、「不登校相当」「準不登校」の児童生徒の欠席には、他の児童生徒より早期対応が求められます。

区分

不登校 □病気欠席も含めて、過去に30日以上欠席した年があったか?

□遅刻・早退、保健室・相談室等への来室が頻繁にあったか?

不登校相当 □欠席日数+保健室等登校+(遅刻早退日数÷2)=30日以上

準不登校 □欠席日数+保健室等登校+(遅刻早退日数÷2)=15日以上30日未満

*参考:国立教育政策研究所 生徒指導・進路情報センター(H24)

② 児童生徒の出しているサインに気づく

出しているサインは、子どもたちのSOSです!

□登下校をしぶる

□決まった曜日に登校をしぶる

□遅刻・早退が増加する

□挨拶に元気がない

□友だちと一緒に登下校したがらない

□参加を拒む

□参加への不安を訴える

□行事が近づくと体調不良になる

□行事への欠席が多い

□体調不良をよく訴える

□朝から眠いと訴える

□遅くまでゲームをしていたという話が出

□表情や目つきがいつもと違う

□朝と夕方で変化が見られる

□感情の起伏が激しくなる

□服装に変化が見られるようになった

□そわそわし、必要以上に周囲を気にする

□自分の気もちをまわりに表現しなくなる

□爪をかんだり、髪の毛を抜いたりする

□学習に取り組む意欲がない

□学習用具の忘れ物が多い

□先生の話が聞けない

□ぼんやりしている

□ペアやグループ学習に参加しない・関わらない

□字が小さくなる・暗い絵を描く

□保健室への来室が増える

□クラスにいることが少なくなる

□今までできていたことができなくなる

□用事もないのに職員室にくる

□友だちと遊びたがらない

□一人で過ごすことを好む

□外で遊ぶことを嫌がる

□保健室や相談室等に行きたがる

□他学年の子どもとばかり遊ぶ

□トラブルが増え、不満の訴えが増える

□休みがちになる

□練習等への参加意欲が乏しい

□友だちと関わろうとしない

□食べる量が極端に減る

□食べる量が極端に増える

□食欲がないと訴える

□友だちとの会話が減る

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③ 児童生徒の出しているサインの要因について情報を集める

児童生徒が出しているSOSのサインに早めに気づき、

その要因について情報を集めることが重要です。

情報は、

「友だち・学級」

学級内での人間関係や学習の様子について

「教職員」

担任以外の先生等から見た本人の様子について

「家族」

親子関係や家庭での様子や成育暦について

「地域」

放課後等の地域での様子について

「関係諸機関」

関係諸機関が関わっている

ときは、各機関からの情

報も集める

④ 情報をもとにアセスメントする

集めた情報を系統的に分析し、なぜそのような状態に至ったのか、児童生徒の示す行動の背景や要因

について明らかにしていくことを「アセスメント」あるいは「見立て」と言います。「アセスメント」をし

っかりと行うことで、具体的な支援の方法や支援者の役割分担も明確になっていきます。

気になる様子が見られたら、早めの対応が大切です

友だち

学級

教職員 関係

諸機関

地域

家族

本人

本人について

□本人の思い

□本人の性格

□学習状況

□発達の課題

□学級での人間関係(いじめ等の問題の有無)

□部活動における人間関係

□進路における悩み

□教職員との関係

家族・地域

□保護者の思い

□親子関係・きょうだい関係

□家族関係(3世代まで確認)

□保護者の生活状況(両親の関係)

□経済的状況

□家庭と地域の関係・繋がり

今、本人に起きている現象・事象に対して、その要因を明らかにし、

適切・効果的な支援方法や支援者の役割分担を考えて、支援を行う。

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ちょこっとコラム

ここでは、児童生徒と話すときのポイントについて紹介します。

【聴き方】

・児童生徒の話は最後まで聴きます(話を途中で遮らないように)

・話を聴いてあげるという姿勢ではなく、児童生徒に教えてもらうという謙虚な気持ちで臨み

ましょう

・腕や足を組んで話を聴くことがないようにします(高圧的な印象を与えることがあります)

・事前にアンケートなどをとった場合は気になった事柄について尋ねます

・アンケート等を実施していない場合は、児童生徒が話す順番にも意味があることを意識して

聴きます

・一緒に考えていく姿勢を大切にしましょう

・児童生徒が話さないからといって、無理に聞き出すことは避けましょう

・沈黙も児童生徒が伝えたいことの一つのであるという視点を持ちましょう

【伝え方】

・「でも」や「しかし」は相手を否定する印象を与えるため、使用を控えます

(例)「でも」「しかし」⇒「それで」「それから」

・相槌やうなずきだけをすることも必要ですが、児童生徒の話した内容については、フィード

バックを行います。

(例)児童「今日は、午前中、暑い中運動会の練習をして疲れちゃった」

先生「今日は、午前中、暑い中運動会の練習をして疲れちゃったんだね」

フィードバックの効果⇒きちんと聴いてもらえているという安心感を与えます

【質問の方法】

・「なぜ?」と問う場合は、「なぜ、できたの?」と肯定的な表現を用いましょう

・具体的なことを聴きたい場合は、「どのように」「どのくらい」など「ど」ではじまる語句を

用いましょう

【相談内容の記録】

・内容については記録に残します(日時と内容を客観的に)

・資料の扱いと管理には十分注意をしてください

☆保護者との面談も児童生徒と同様です。指示的・指導的ではなく、ど

のようなときも「教えていただく」という姿勢が信頼関係を構築して

いくうえでも大切です。

発達に課題がある児童生徒には、具体

的な質問のほうが答えやすいです。

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(2) 休み始めたときの対応

適切な支援を早期に開始することは重要です。1日~2日目の欠席、遅刻や早退についても適切な支援を

していくことが大切です。

欠席が1日でも理由が明確ではなく、欠席する児童生徒がいた場合は、保護者

に連絡をとり(場合によっては、家庭訪問)、児童生徒が置かれている状況を確

認します。朝保護者から欠席の連絡があっても放課後に電話してみましょう。

児童生徒の普段の様子を確認し、複数の教職員で課題を見立てることで、多面

的な見方になります。次の日に登校したときに、温かな言葉かけができるよう

に、他の教職員にも知らせておき、欠席が3日目になったときに、家庭訪問を

するかどうかについても打ち合わせます

わが子が登校を渋るようになって非常に不安になっている保護者の困り感に寄

り添い、学校が積極的に支援することを伝えることが大きな目的です。

欠席1日目 担任が電話連絡。親身な対応を心がける

欠席3日目

2日欠席で、他の教職員と立ち話、多面的な見方を共有。

欠席2日目

信頼感、安心感をもってもらい、孤立化させない

家庭訪問の実施を!

本人や保護者が先生(学校)とはつながっているという気持ちを

持つように伝えることが大切です!

本人に会えたら、まずは、「心配してい

たよ」の一言を

☆早期発見・早期対応をすることで、欠席の長期化を防ぐことができます

☆気になる児童生徒の様子が見られたら、

①情報収集⇒②アセスメント(見立て)⇒③支援方法・支援者役割分担⇒④支援の実行

☆気になる児童生徒が休み始めたら、児童生徒や保護者とのつながりを大切に!

☆情報は校内の関係する教職員で共有し、チームで支援していく

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ちょこっとコラム

不登校児童生徒の早期対応として、電話・手紙・家庭訪問を薦めています。実際には、連絡が取

れにくかったり、児童生徒本人あるいは保護者とも会えなかったり、児童生徒本人からは何も反応

がなかったりなど。。。。といった経験があるかと思います。

電話・手紙・家庭訪問が先生側の一方通行になってしまっていても、児童生徒や保護者はそれを

待っている可能性もあります。諦めず長い目で取り組んでいくことが大切です。

電話・手紙・家庭訪問も基本は、

あなたのことを心配しているよ のメッセージです。

【電話のポイント】

・「心配しているよ」の気持ちを伝えましょう

・長時間にならないように気をつけましょう

・相手の表情が見えないので、声色等で様子を判断しながら対応しましょう

→相手が見えない分、言葉は慎重に選んで対応しましょう

・本人が話さないのも伝えたいことの一つだと考えましょう

→「話せるときを待っているね」と返してあげましょう

・繋がらないときは、時間帯をかえて電話をかけてみましょう

【手紙のポイント】

・「心配しているよ」の気持ちを伝えましょう。

・短く簡潔な文章で書きましょう

・最初はハガキで、一目でわかるような内容にするといいでしょう

・保護者にも手紙を書きましょう

→保護者の不安を和らげるために、「大丈夫ですよ」

「一緒に考えて行きましょう」などと伝えてあげましょう

【家庭訪問のポイント】

・「心配しているよ」を伝えましょう

・会えたときは、児童生徒の表情や様子、服装等を観察しましょう

・無理に会おうとせず、会えるタイミングを待ちましょう

・会えなかった場合を考えて手紙を残しておきましょう

→次の訪問日も書いておきましょう

・環境にも目を向けましょう(家の中、周りの様子やポストの状態など)

NGです!!

■「どうして登校しないの」など欠席理由を追求しない

■「明日は登校するよね」といった約束はしない

■「勉強が遅れるよ」等の不安をあおることは言わない

■「休み癖がつくよ」等の欠席を責めることは言わない

児童生徒・保護

者に関わり続け

ることが大切で

す。

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3 継続支援・自立支援

((11))ケケーースス会会議議ををひひららきき、、組組織織的的なな対対応応をを!!

ケース会議では、これまでの情報やアセスメントをもとに、今後の方向性や目標を関係職員全員で確認し、

役割分担等を行います。

【学校】

・児童生徒の様子

・友人関係・学習状況・生活全般の様子

・これまでの情報や取組

【家庭】

・家庭での児童生徒の様子

・保護者の考え方や困り感

・家庭の状況や生育歴

情報共有

【青少年相談センター】【関係機関】

青少年教育カウンセラー (Co)スクー

ルソーシャルワーカー(SSW)等から

の情報提供

アセスメント

○児童生徒の心身の状態から、不登校に至った要因や背景について

○現在の児童生徒の心理、保護者・家庭状況について

支援方針の検討→目標(短期・長期)とそれぞれの役割を明確にする

【学校】

・児童生徒のへの関わり方

・保護者への関わり方

・学校環境の調整

・情報の集約

・関係機関との連携

【青少年相談センター】

【関係機関】

・児童生徒・保護者面接

(Co)

・家庭環境の調整(SSW)

・学校との連携(主事)

・関係機関との連携・調

【家庭】

・児童生徒への関わり方

・学校との関わり方

・関係機関への相談

★必ずしも計画通りにならないため、適宜見直し、修正を図る

・それぞれの役割限界を互いに理解する。・同一歩調で取り組む

ケース会議 児童生徒のできていることや

強みに目を向けた具体的支援を

考える

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ちょこっとコラム

ケース会議の必要性はわかっていても、実際は、「時間が長い」「情報共有で終わってしまう」「愚

痴や悪口で終わってしまう」「一部の参加者の意見で終わる」などの声を聞くことがあります。有効

なケース会議にしていくためのポイントをここでは紹介したいと思います。

【ケース会議を開く前の準備が大切!】

・提案資料(レジュメ)を作成する。

・共有すべき情報は事前に収集し、提案資料に載せておく

・ケース会議の進行内容や役割分担、時間配分、場所・日時、参加者、持ち物等の周知

・ケース会議に必要な道具を揃えておく

→進行表、提案資料、記録用紙、ホワイトボードなど

【ケース会議の約束を守る】

・お互いの批判をしない

・特定の人ばかりが持論を展開するのではなく、参加者全員が発言するようにする。

・参加者の意見を否定せずに、最後まで聴く

・スムーズな進行に協力する

・当事者として主体的に会議に参加し、建設的な支援方法を考える

・ケース会議の開始と終了時刻を守る

【ケース会議を計画的に進行する】

※第1回目は90分以内、第2回目からは60分以内を目安としてケース会議を進める。

①ケース会議の目的と、会を進めるにあたっての約束や終了時刻の確認

②出席者の確認(関係機関がいる場合は必ず)

③提案者からケースについて説明

・主訴 ・ケースの経過と現状 ・家族構成・家族関係・家族歴

・児童生徒の心身の状況

・児童生徒や保護者、学校の困っている問題意識

・関係機関から

④質問や追加情報を提示して、情報の共有化を進める

⑤情報から児童生徒(家庭)についてアセスメントし、目標を設定する

→目標は長期・短期の2つにし、短期目標は、達成可能な目標にして共通理解する

⑥目標に向けて、児童生徒、家庭、環境面など多面的に具体的な支援を考える

→実現可能な支援方法を考える

⑦支援の役割分担をする

⑧支援の振り返りをいつ行うかを相談する(次回のケース会議の日程を決める)

→次回のケース会議では支援についての振り返りからはじめる

⑨後日ケース会議の記録をまとめたものを出席者に確認できるようにする

→次はいつくるよのメッセージも書いておきましょう

・環境にも目を向けましょう(家の中、周りの様子やポストの状態など)

第2回目からは、

③のところを前回

の支援の評価と追

加情報の共有とし

ていく

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((22))長長期期欠欠席席児児童童生生徒徒へへのの対対応応

児童生徒本人と会える 児童生徒本人と会えない

○定期的に本人・保護者と会う

○本人・保護者の理解を深める

→趣味や流行っているものなどの話、保護者の

今の状態についての思いなど

○プリントやお便りを配布する

→本人が興味を示すまでは、渡すだけで。

→保護者には必要なことはしっかりと伝える

○本人・保護者の相談ニーズが高まるようにする

→いきなりではなく徐々に進めていく

○相談ニーズが高まったら、適切な関係機関を案

内する

○関係機関につながっても学校は主体的に

○登校方法を本人・保護者・学校の三者で相談

→達成できそうな枠を決めて登校復帰を目指す

→いきなり学級集団への所属を目指さず、スモー

ルステップで

○登校が難しい場合のSOSの発信について確認

○会えなくても訪問し、手紙を残す

○次の訪問日時を伝える。

→訪問の日時のタイミングは変えて実施する

○本人に会える方法を保護者と考える

○段階を踏んで、本人の現認ができるようにする

→姿を見ることを目的とするのではなく、本人

に無理のない範囲で行う

○本人と定期的に連絡を取れる方法を本人・保護

者・学校で確認

→いつ・どこでなら会えるかを確認

→会えない場合は、どんな連絡方法がいいか確認

児童生徒や保護者との信頼関係の構築を!

児童生徒と保護者の相談ニーズが高まったら適切な

相談機関を紹介する!

学校へ行ってもいいという兆しが見えたら、登校方

法を本人・保護者と相談する

保護者とまずは会う

本人に会える方法を保護者と相談しよう

本人と定期的に会う方法を相談しよう

学校への登校ありきの支援ではなく、児童生徒や保護者との信頼関係を大切に!!

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ちょこっとコラム

① 護者と連絡をとろう!

~学校に行かせてないことで、後ろめたい気持ちになっている場合もあることを踏まえて対応を

②保護者と会おう!

~まずは、ご家庭で会い、その次に学校での面接のステップで

③保護者の相談意欲を高めていこう!

~保護者に寄り添うことで、心配感や不安感を明確にし、相談したい気持ちを高めることが

関係機関につなぐ第一歩となります

④児童生徒本人と会って話をしよう!

~登校については、触れずに、今の本人の考えや現状について受容する姿勢で

⑤児童生徒本人の相談意欲を高めていこう!

~本人に寄り添うことで、本人がもっと話を聴いてほしいという思いを持つことが、

関係機関につなぐ第一歩となります。

⑥児童生徒本人・保護者・学校で、登校の方法について相談しよう!

~学校へ行く気持ちが高まったら、三者で話し合い登校方法を決める。

あくまでもスモールステップで!

※本人と会えない場合の対応

・手紙を書いて渡してもらう

・本人の安心できる人と一緒に会う

・地域の行事等に顔を出す

・本人と会えそうな時間帯に会う

学校復帰に向けては、スモールステップで!!

~焦らず、じっくり、丁寧に!!~

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欠席が続いた状態にある生徒は、登校しなくては…という思いと、それを実現できない自分との間で苦し

んでいます。苦しい気持ちは漠然としていて言葉にも表せず、自己肯定感が低い状態におかれています。そ

のため、家庭訪問に来た先生に会うことは、本人にとってハードルがとても高くなっている場合が少なくあ

りません。顔を見せてくれるということは、先生の訪問に必死に応えようとしているのかもしれません。

「トレーナーのフードで顔を隠す」「長い前髪で顔を覆う」

「スマホから顔を上げない」等は、

極度の緊張をしのぐ姿として、よく聞かれます。

そんな状態に対して先生が「会えてうれしいよ。」

「顔を見せてくれてありがとう。」

というメッセージを伝えることが、

生徒と先生のコミュニケーションの一歩となり、

先生に受けて止めてもらえたという安心感を与えます。

表情には表れなくても本人の心の中には小さな変化が起こっているのです。

家庭訪問の頻度や時間については、先生方が青少年教育カウンセラーの助言やケース会議等で本人につい

てアセスメントし、本人・保護者との相談で決まっていくと思いますが、担任の先生が一人で全て担わない

形を工夫することも大切です。

複数の教員で家庭訪問を行うメリットは

「本人と話す人、保護者等と話す人というように役割分担ができる」

「本人・保護者と関わる人が増える」

「チームで支援しやすくなる」があります。

3人以上で出向くときは、相手に威圧感を与えないかどうか、

目立ってしまうことで地域の目を気にする保護者の方に不安感を与えないかどうか等の配慮が必要です。

担任以外の先生が出向くときは、本人となんらかのプラスの関わりがあったり、関わりを持てそうだった

りする先生から始めると良いでしょう。家庭訪問での関わりは、不登校児童生徒にとって、とても貴重な社

会とのつながり体験になります。

第4章 こんなときはどうすればいい?

1 不登校対応 Q&A

不登校 Q&A ~先生方の疑問に応えます~

QQ11不不登登校校生生徒徒のの家家庭庭訪訪問問をを続続けけてていいまますすがが、、生生徒徒ははななかかななかか会会っっててくくれれずず、、

会会ええててももゲゲーームム機機かからら手手をを離離ささなないい、、ここちちららをを見見るるここととももせせずず、、複複雑雑なな心心境境

でですす。。保保護護者者のの表表情情もも暗暗くく、、家家庭庭訪訪問問はは迷迷惑惑ななののかかななとと思思ううここととががあありりまますす。。

家家庭庭訪訪問問はは、、有有効効ななののででししょょううかか。。

QQ22不不登登校校児児童童生生徒徒のの家家庭庭訪訪問問がが数数件件あありり、、担担任任ととししてて時時間間ををつつくくるるここととにに苦苦労労

ししてていいまますす。。他他のの先先生生方方ににおお願願いいすするるののもも申申しし訳訳なないいしし、、担担任任がが行行ううべべきき

だだとともも思思いい、、悩悩んんででいいまますす。。

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非常に心配ですね。連絡が取れなくなった理由に心当たりはありますか?

・以前、家庭訪問時に家の様子で気になることがあった。子どもから気になることを聞いた。

ゴミが散乱している。

子どもの発言「お母さんもお父さんも帰ってこないときがある。」

子どもの発言「お母さんが疲れていて心配だ。食事はいつも菓子パンを食べている。」等

・保護者が学校に対して警戒心を持つようになったかもしれない。

学校からの電話連絡を負担と感じたのだろうか。

毎日の欠席連絡、集金等の提出が滞っているため避けているのだろうか。

虐待の様子が考えられそうな場合は、早急に管理職に報告しましょう。

虐待の心配はないようだが、不登校の背景に家庭環境が影響している等、

スクールソーシャルワーカーと対応を検討したい場合は、青少年相談センターにご連絡ください。

先生は、子ども達の生活環境にいる、身近にいて信頼できる大人です。

「先生に話してスッキリした。」

「先生がわかってくれているから、もう少しがんばってみようかな。」というように、

登校しぶりに悩んでいる子どもが、先生に相談して早期に救われた例を多く聞いています。

相談を受けている中で、先生方が心理面で専門的な相談が必要かなと感じたときには、

是非事前に青少年教育カウンセラーに声を掛けてください。そして、

「先生もこれからも話を聞くけど、カウンセラーさんとも話てみるといいかも、どう?」

そのようなやりとりで青少年教育カウンセラーにつながった児童生徒は、

先生とのつながりに安心しながら、

青少年教育カウンセラーと複雑な心を整理していったり、

相談指導教室に興味を持ったりしていきます。保護者に対しても同様です。

先生が十分話を聞かない状態で

「それはカウンセラーさんのところに行ってください。」

と伝えたことを、「見捨てられた。別の機関に任された。」と感じて

心を閉ざしてしまう子どもや保護者もいるかもしれないことを

心に留めておくと良いでしょう。

スクールソーシャルワーカーについても同様ですが、学校に対して苦手意識を持っている

保護者に対して、違う立場の相談者として効果的に関わることができる場合もあります。

支援の可能性が考えられましたら、青少年相談センターにご相談ください。

QQ33不不登登校校児児童童のの保保護護者者とと連連絡絡がが取取れれまませせんん。。以以前前はは取取れれたたととききももああっったたののでですす

がが、、連連絡絡がが取取れれななくくななっっててかからら11ヶヶ月月経経っっててししままいいままししたた。。児児童童ににもも会会ええずず、、

困困っってていいまますす。。

QQ44不不登登校校児児童童生生徒徒やや保保護護者者へへのの関関わわりりはは、、教教員員よよりりもも専専門門性性ののああるる青青少少年年教教育育

カカウウンンセセララーーややススククーールルソソーーシシャャルルワワーーカカーーがが行行っったた方方がが効効果果的的ななののででははとと

思思いいまますす。。

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青少年教育カウンセラーは、児童生徒、保護者に対するカウンセリングや教職員とのコンサルテーション

(専門家による指導・助言を含めた検討)、教職員等への研修、アセスメント(情報収集・見立て)、事件・

事故等が発生した際の被害児童生徒の心のケア等(緊急支援)を行います。

スクールソーシャルワーカー

は、学校からの要請で学校と共

に児童生徒、保護者を支援して

いくことを基本として活動しま

す。主に家庭環境に起因した長

期欠席や問題行動等の解決にあ

たるため、関係機関とのネット

ワークを構築し、児童生徒の置

かれたさまざまな環境への働き

かけや支援を行います。

青少年カウンセラーは、「心」

に注目し心理的支援を行い、ス

クールソーシャルワーカーは、

「取り巻く環境」に注目し福祉

的支援を行います。右の図のよ

うに先生方と協働してそれぞれ

の専門性を活かした役割分担が

可能です。

青少年教育カウンセラーと先生方のパイプ役になる

担当の先生の役割が大変重要になります。

児童生徒、保護者のカウンセリングの時間と先生方と

のコンサルテーションの時間をどのように組み立てるか

は、それぞれの学校事情によって違います。校内の教育

相談のニーズを把握し、計画的に設定してください。

9:00~10:00、17:00~17:30は情報共有やコンサルテー

ションの時間とするようお願いしています。パイプ役の

担当の先生がまとめて行い後日各担任の先生に伝達する、

あらかじめ関係する先生方を調整して臨む等、各学校に

あった方法を工夫していただく必要があります。

QQ55青青少少年年教教育育カカウウンンセセララーーととススククーールルソソーーシシャャルルワワーーカカーーははどどうう違違ううのの

でですすかか??

QQ66限限らられれたた勤勤務務時時間間のの中中ででカカウウンンセセララーーをを効効果果的的にに活活用用すするるににははどどううししたたらら

よよいいでですすかか??

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青少年相談センターでは、不登校対策に向けた取組みの一環として、教職員を対象とした不登校対応セ

ミナーを毎年実施して、不登校の予防と対応についての認識を深め、課題の解決を図る一助となる機会を

設けています。

【2019年度実施】

回 日 程 時 間 テーマ 対 象 講 師

1 4/9

(火)

15:00~

17:00

不登校への早期対応について

(児童支援専任教諭研修兼) 教職員

青少年相談

センター主事

2 6/17

(月)

15:00~

17:00

不登校対応セミナー①

不登校への対応

~事例を通して支援を考える

教職員 青少年相談

センター主事

3 7/5

(金)

15:30~

17:00

不登校児童・生徒対応の基礎

(新任支援教育コーディネーター研修兼) 教職員

青少年相談

センター主事

4 8/22

(木)

10:00~

12:00

不登校対応セミナー②

~関係機関との連携 教職員

青少年相談

センター主事

フリースクール

関係機関

それぞれの学校へは通知やe-ネットSAGAMI「お知らせ」への掲載等でお知らせしますので、ぜひご参加

いただければと思います。

青少年相談センターは、不登校対策に向けた取組みの一環として、保護者や教職員を対象とした「つ

どい」を実施して、不登校の対応についての認識を深め、課題の解決を図る一助とする機会を設けてい

ます。

不登校問題に関わる話題提供や保護者同士の話し合いをし、家庭における対応のあり方等について考

えていきます。

【2019年度実施予定】

回 日 程 時 間 テーマ 会 場 対 象 講 師

1 5/18(土) 10:00~12:00 不登校についての理解 青少年相談センター 保護者 主事・青少年教育カウンセラー

2

6/26(水) 13:30~

16:00 様々な進路選択

青少年相談センター 保護者

子ども

主事・

フリースクール 6/29(土) 城山総合事務所第2別館

7/4(木) ユニコムプラザさがみはら

3 10/2(水) 14:00~16:00 学校への登校に向けて 南区合同庁舎 保護者 主事・青少年教育カウンセラー

4 11/26(火) 14:00~16:00 家庭での過ごし方 青少年相談センター 保護者 主事・青少年教育カウンセラー

5 2/15(土) 13:30~16:00 本人・保護者の経験談 青少年相談センター 保護者・子ども 主事・青少年教育カウンセラー

不登校経験者

青少年教育カウンセラーからの呼びかけや広報「さがみはら」やホームページ、e-ネットSAGAMI「お

知らせ」への掲載等でよびかけていきます。もちろん先生方の参加もできます。

QQ88保保護護者者やや児児童童生生徒徒がが不不登登校校ににつついいてて考考ええたたりり、、学学んんだだりりででききるる機機会会ははあありりまま

すすかか??

QQ77不不登登校校ににつついいてて考考ええたたりり、、学学んんだだりりすするる機機会会ははあありりまますすかか??

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不登校児童生徒が学校外の施設において指導等を受けている場合、これらの児童生徒の努力を学校として評

価し支援するため、国の義務教育制度を前提としつつ、一定の要件を満たす場合に、当該施設において指導等

を受けた日数を指導要録上「出席扱い」とすることが可能となっています。

青少年相談センターが運営している相談指導教室の通室は指導要録上、出席扱いとなります。

民間教育施設等への通室についての指導要録上の出欠の取扱いは学校長判断となります。一定の要件等、

詳細については文部科学省の次の通知でご確認ください。

◆「不登校児童生徒への支援の在り方について(抜粋)」

平成28年9月14日付文部科学省初等中等教育局長通知

◆「不登校児童生徒が学校外の公的機関等に通所する場合の通学定期乗車券制度の適用について」

平成21年3月27日付文部科学省初等中等教育局児童生徒課通知

義務教育段階の不登校児童生徒が自宅において ICT等を活用した学習活動を行った場合の指導要録上

の出欠の扱いについては、次の通知でご確認ください。

◆「不登校児童生徒が自宅において IT等を活用した学習活動を行った場合の積極的な対応について」

平成30年10月1日付文部科学省初等中等教育局児童生徒課通知

◆「不登校児童生徒が自宅において IT等を活用した学習活動を行った場合の指導要録上の出欠の扱

いについて(通知)」

平成17年7月6日付文部科学省初等中等教育局長通知

「遠隔教育の推進に向けた施策方針」の策定について

平成30年9月20日付生涯学習政策局情報教育課

相模原市には相模原地区学校・フリースクール連携協議会に3つの団体が所属しています。

特定非営利活動法人 太陽の学園 中央教室

さくら教室

中央区中央2丁目7-9―3階 ℡ 707-0160

中央区中央6丁目14-8-302 ℡ 707-1421

特定非営利活動法人 フリースクール鈴蘭学園 中央区矢部3-1-8 ℡ 733-0015

フリースクールKK 中央区相模原5-2-1シャトーライフ相模原1-2C ℡ 704-8581

日々の過ごし方や、かかる費用等は、フリースクールによって特色があります。見学や問い合わせは、そ

れぞれのフリースクールへ直接連絡をしてください。夏休み中には、先生方を対象とした「フリースクール

見学会」もあります。それぞれの学校へは通知やe-ネットSAGAMI「お知らせ」への掲載等でお知らせします

ので、ぜひご参加いただければと思います。

QQ99不不登登校校のの児児童童生生徒徒がが学学校校外外のの施施設設にに通通っってていいるる場場合合等等のの「「出出席席扱扱いい」」ととはは

どどののよよううななももののでですすかか??

QQ1100相相模模原原市市ににああるるフフリリーーススククーールルをを教教ええててくくだだささいい。。

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2 相模原市の相談窓口 (2019年4月現在)

不登校、登校しぶり、交友関係、性格・行動上

の課題、養育の不安などに関する教育相談

育児やしつけ、子育てについての様々な相談

など、子どもとその家庭に関する相談

【青少年相談センター】

月~金曜日(祝日、年末年始を除く) 9:00~17:00

城山相談室 042-783-6188

相模湖相談室 042-682-7020

センター 042-752-1658

南相談室 042-749-2177

【ヤングテレホン相談】

月~金曜日(祝日、年末年始を除く) 15:30~21:00

土曜日(祝日、年末年始を除く) 13:00~17:00

042-755-2552

【Eメール相談】

24時間対応

[email protected]

月~金曜日(祝日、年末年始を除く) 8:30~17:00

【緑子育て支援センター】

042-775-8815

【中央子育て支援センター】

042-769-9221

【南子育て支援センター】

042-701-7700

小学生の発達障害に関する相談

少年の非行問題・犯罪被害に関する相談

精神保健福祉に関する相談

いじめや学校に関する相談

月~金曜日(祝日、年末年始を除く) 9:00~12:00

13:00~17:00

【緑障害福祉相談課】

042-775-8811

【津久井保健福祉課】

042-780-1412

【中央障害福祉相談課】

042-769-9806

【南障害福祉相談課】

042-701-7715

【発達障害支援センター】

月~金曜日(祝日、年末年始を除く) 8:30~17:00

042-756-8411

【神奈川県警察 少年相談・保護センター】

相模原方面事務所

月~金曜日(祝日、年末年始を除く) 8:30~17:15

042-741-3887

【学校教育課 いじめ相談ダイヤル】

月~金曜日(祝日、年末年始を除く) 8:30~17:00

042-707-7053

月~金曜日(祝日、年末年始を除く) 8:30~17:00

【緑子育て支援センター】

療育相談班 042-775-1760

津久井担当 042-780-1420

相模湖担当 042-684-3737

藤野担当 042-687-5515

【中央子育て支援センター】

療育相談班 042-756-8424

【南育て支援センター】

療育相談班 042-701-7727

中学生の発達障害に関する相談

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