火力発電技術(石炭、ガス)の技術開発の現状...火力発電技術(石炭、ガス)の技術開発の現状...

24
火力発電技術(石炭、ガス)の技術開発の現状 国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構 平成27年6月 次世代火力発電協議会 (第1回会合)資料2-1

Upload: others

Post on 05-Jan-2020

7 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

Page 1: 火力発電技術(石炭、ガス)の技術開発の現状...火力発電技術(石炭、ガス)の技術開発の現状 国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構

火力発電技術(石炭、ガス)の技術開発の現状

国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構

平成27年6月

次世代火力発電協議会

(第1回会合)資料2-1

Page 2: 火力発電技術(石炭、ガス)の技術開発の現状...火力発電技術(石炭、ガス)の技術開発の現状 国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構

New Energy and Industrial Technology Development Organization

1

1.火力発電技術開発の全体像

2. LNG火力発電

1.1 LNG火力発電の高効率化の全体像

1.2 主なLNG火力発電の高効率化技術開発

3.石炭火力発電

2.1 石炭火力発電の高効率化の全体像

2.2 主な石炭火力発電の高効率化の技術開発

4.その他の更なる高効率化に向けた技術開発

Page 3: 火力発電技術(石炭、ガス)の技術開発の現状...火力発電技術(石炭、ガス)の技術開発の現状 国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構

New Energy and Industrial Technology Development Organization

2

1.火力発電技術開発の全体像

Page 4: 火力発電技術(石炭、ガス)の技術開発の現状...火力発電技術(石炭、ガス)の技術開発の現状 国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構

New Energy and Industrial Technology Development Organization

3

1.火力発電技術の全体像

(出典;CCTワークショップ2013 NEDO資料2013.8)

・火力発電技術については、大きく分けて、LNG火力ではガスタービンの高温化技術、石炭火力においてはUSCの高効率化、石炭ガス化発電技術(IGCC・IGFC)の技術開発が実施されている。 ・IGCC、IGFCには、LNG火力で開発される高温ガスタービン技術が適用可能であり、ガスタービンと同様に、IGCC/IGFCにおいても同様の高温化・高効率化が図られていく。

Page 5: 火力発電技術(石炭、ガス)の技術開発の現状...火力発電技術(石炭、ガス)の技術開発の現状 国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構

New Energy and Industrial Technology Development Organization

4

2.LNG火力発電

2.1 LNG火力発電の高効率化の全体像

Page 6: 火力発電技術(石炭、ガス)の技術開発の現状...火力発電技術(石炭、ガス)の技術開発の現状 国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構

New Energy and Industrial Technology Development Organization

5

2.1 LNG火力発電の高効率化の全体像

(出典;総合資源エネルギー調査会(METI)資料2015.3)

・大容量(数10万kW以上)LNG火力発電設備として、高温ガスタービンを開発。 1600℃級の商用化など、世界に先駆けてガスタービンの高温化を実現。更なる高温化に向けて、1700℃に向けた技術開発が実施中。 ・中小容量(10万kW程度)LNG火力発電設備として、ガスタービンのみでコンバインドサイクルの熱効率に匹敵する高湿分空気利用ガスタービン(AHAT)の技術開発が実施中。

35

40

45

50

55

60

1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2015 2020 2025

熱効率(%)(送電端・HHV)

<LNG火力発電の効率向上>

中小容量機向け

既存の発電技術

コンバインドサイクル発電

LNG火力発電 (約38%)

1100℃級 (約43%)

1350℃級 (約50%)

1500℃級 (約52%)

高湿分空気利用ガスタービン (AHAT) (約51%)

1700℃級 (約57%)

今後の技術開発

大容量機向け

1600℃級 (約54%)

従来型LNG コンバインドサイクルLNG

2390万kW (35%) 4525万kW (65%)

【一般電気・卸供給事業者の技術別LNG容量】 ※卸電気はLNG保有無し。

Page 7: 火力発電技術(石炭、ガス)の技術開発の現状...火力発電技術(石炭、ガス)の技術開発の現状 国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構

(参考) これまでの既存のロードマップ エネルギー基本計画技術ロードマップ(平成25年12月) 高効率天然ガス火力発電

6

・これまでの策定されてきたロードマップにおいては、1700℃ガスタービン及びAHATの実用化として、2020年代の実用化が見込まれている。

Page 8: 火力発電技術(石炭、ガス)の技術開発の現状...火力発電技術(石炭、ガス)の技術開発の現状 国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構

New Energy and Industrial Technology Development Organization

7

2.2 主なLNG火力発電の高効率化技術開発

Page 9: 火力発電技術(石炭、ガス)の技術開発の現状...火力発電技術(石炭、ガス)の技術開発の現状 国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構

New Energy and Industrial Technology Development Organization

8

2.2 主な高効率化技術開発 1700℃級ガスタービン技術開発

(出典;NEDOのHP「実用化ドキュメント」)

・ガスタービン技術は、かつて日本は米国等に後れを取っていたところ、78年から87年にかけて260億円の予算を投入し、高温化技術の後れを挽回。以降、大型ガスタービンの高温化は日本が世界をリード。 ・我が国のガスタービン技術開発は、1600℃級ガスタービンで世界最高の熱効率55%(HHV)を達成。 ・現在では、1700℃級ガスタービン(目標熱効率57%(HHV)の技術開発が実施中。

タービン入口温度(℃)1100

1300

1500

1980 1990 2000 2010

1700

ATS(800億)

NGT(500億)

米国DOE ファンド

超高温ガスタービンプロジェクト

HEET(1000億)

ムーンライト(260億円)

( ) プロジェクト費用

ガスタービンのタービン入口温度の上昇

タービン入口温度(℃)1100

1300

1500

1980 1990 2000 2010

1700

ATS(800億)

NGT(500億)

米国DOE ファンド

超高温ガスタービンプロジェクト

HEET(1000億)

ムーンライト(260億円)

( ) プロジェクト費用

ガスタービンのタービン入口温度の上昇

ガスタービンコンバインドサイクル(GTCC)の構成

出典:平成25年度次世代電力供給システム分野に係る技術に関する施策・事業評価検討会

Page 10: 火力発電技術(石炭、ガス)の技術開発の現状...火力発電技術(石炭、ガス)の技術開発の現状 国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構

New Energy and Industrial Technology Development Organization

9

2.2 主な高効率化技術開発 AHAT(高湿分空気ガスタービン)

(出典;日立、住精工、電中研資料2013.11)

・高湿分空気ガスタービン技術は、中小容量機(10万kW程度)でコンバインドサイクルの効率をしのぐことが

可能な日本オリジナルのガスタービン単独発電技術。コンバインドサイクルの蒸気タービン蒸気量に匹敵する湿分を加えて、ガスタービン排熱を熱交換器で回収し、ガスタービンで利用する。 ・中小容量機での発電効率51%を目指して、技術開発が実施中。

Page 11: 火力発電技術(石炭、ガス)の技術開発の現状...火力発電技術(石炭、ガス)の技術開発の現状 国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構

New Energy and Industrial Technology Development Organization

10

3. 石炭火力発電

3.1 石炭火力発電の高効率化の全体像

Page 12: 火力発電技術(石炭、ガス)の技術開発の現状...火力発電技術(石炭、ガス)の技術開発の現状 国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構

New Energy and Industrial Technology Development Organization

11

・我が国の石炭火力は、現在、微粉炭火力の超々臨界圧(USC)が最高効率の技術として実用化。 ・今後、微粉炭火力の効率向上を進めるとともに、新たに、低品位炭も使用可能な石炭ガス化火力(IGCC、

IGFC)の技術開発が進められている。

(出典;総合資源エネルギー調査会(METI)資料2015.3)

3.1 石炭火力発電の高効率化の全体像

Page 13: 火力発電技術(石炭、ガス)の技術開発の現状...火力発電技術(石炭、ガス)の技術開発の現状 国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構

(参考) これまでの既存のロードマップ エネルギー基本計画技術ロードマップ(平成25年12月) 高効率石炭火力発電

12

・これまで策定されてきた既存のロードマップにおいては、A-USC、IGCC共に2020年代の実用化、IGFCは2030年代の実用化を目指すこととされている。

Page 14: 火力発電技術(石炭、ガス)の技術開発の現状...火力発電技術(石炭、ガス)の技術開発の現状 国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構

New Energy and Industrial Technology Development Organization

13

2.2 主な石炭火力発電の高効率化の技術開発

Page 15: 火力発電技術(石炭、ガス)の技術開発の現状...火力発電技術(石炭、ガス)の技術開発の現状 国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構

New Energy and Industrial Technology Development Organization

14

微粉炭火力発電技術(USC,A-USC)について

(出典;電源開発資料)

・微粉炭火力発電技術は、燃焼技術、発電技術を年々向上、蒸気温度や蒸気圧力を上げて効率を向上。現在の商用技術は、USCで発電効率約40%程度を達成。(送電端・HHV。25Mpa、600℃/620℃) ・USCの更なる高温化技術として、A-USC(35MPa、700℃、発電効率46~48%(送電端・HHV))の技術開発が実施中。

Page 16: 火力発電技術(石炭、ガス)の技術開発の現状...火力発電技術(石炭、ガス)の技術開発の現状 国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構

New Energy and Industrial Technology Development Organization

15

IGCC(石炭ガス化複合発電)について

(出典;第6回東京大学エネルギー環境シンポジウムMHPS資料2014.10)

・IGCCは、石炭をガス化しコンバインドサイクル発電を行う次世代の石炭火力技術として、技術開発・実証が実施。若松EAGLEプロジェクト( 2002年~ 2013年)、勿来IGCC実証(2007年~ 2012年)が実施。 ・現在ではIGFC(燃料電池複合発電)を目指した大崎クールジェンプロジェクトが実施中。また、福島復興IGCCプロジェクトなども計画されている。

Page 17: 火力発電技術(石炭、ガス)の技術開発の現状...火力発電技術(石炭、ガス)の技術開発の現状 国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構

New Energy and Industrial Technology Development Organization

16

4. その他の更なる高効率化等に向けた技術開発

Page 18: 火力発電技術(石炭、ガス)の技術開発の現状...火力発電技術(石炭、ガス)の技術開発の現状 国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構

New Energy and Industrial Technology Development Organization

17

石炭 ガス化炉

湿式ガス精製 精密ガス精製 燃料電池

燃料電池用ガス精製技術の検討

2017年度終了 大崎クールジェンプロジェクトに反映

・石炭ガス化ガス中の微量成分の把握 ・微量成分を除去する技術を把握 ・燃料電池に対し、有害な微量成分の許容濃度や被毒挙動を把握

IGFC向け石炭ガスのクリーンナップ技術開発

Page 19: 火力発電技術(石炭、ガス)の技術開発の現状...火力発電技術(石炭、ガス)の技術開発の現状 国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構

New Energy and Industrial Technology Development Organization

18

酸素

酸素側

空気側 酸素分離膜

空気

水蒸気ガス化 による冷ガス 効率向上

技術革新による 酸素製造動力の削減

石炭

水蒸気 噴流床 ガス化

生成ガス

実績のある 噴流床ガス化技術で実施

実用化時期:2030年以降

空気 発電機

ガスタービン

水蒸気 蒸気

タービン

冷却水

排熱回収 ボイラ

次世代ガス化技術 (IGCC水蒸気噴流床ガス化技術開発)

・噴流床ガス化炉における水蒸気ガス化、酸素製造装置の効率化、乾式ガス精製の要素技術の向上によって、発電効率60%程度の技術開発を実施。

乾式ガス精製による効率向上

乾式ガス精製

Page 20: 火力発電技術(石炭、ガス)の技術開発の現状...火力発電技術(石炭、ガス)の技術開発の現状 国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構

New Energy and Industrial Technology Development Organization

19

ガス化炉

酸素

CO2

石炭

GT ST G 電力 合成 ガス

CO2回収

CO: 66% H2: 24% CO2: 5%

燃焼器

酸 素

CO2リサイクル

CO2回収型次世代IGCC技術開発

GT: ガスタービン ST: 蒸気タービン G: 発電機

CO2リサイクル

技術確立時期: 2035年

・CO2分離・回収設備やシフト反応器の不要なCO2回収型IGCC技術 ・CO2回収後も42%の送電端効率が期待できる革新的なIGCC基盤技術の開発 (CO2分離・回収に相当する効率損失は2ポイント) ・CO2分離・回収に相当するコスト:3円/kWhから2円/kWhへの低減が期待できる技術

Page 21: 火力発電技術(石炭、ガス)の技術開発の現状...火力発電技術(石炭、ガス)の技術開発の現状 国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構

New Energy and Industrial Technology Development Organization

20

空気反応塔

燃料反応塔

窒素 MOX

MOX-1

石炭

空気

サイクロン

蒸気

サイクロン

CO2: (98%, dry) HRSG

窒素: (98%, dry) HRSG

HRSG:排熱回収ボイラ

蒸気(発電用) 窒素

MOX

ケミカルルーピング燃焼技術開発

技術確立時期: 2030年

・中小型石炭火力発電所向け(100 MW ~ 500 MW) ・空気分離装置不要。排ガスがほとんどCO2 で、 CO2分離・回収設備不要。 ・CO2回収後も送電端効率46%を目指す技術開発 ・CO2分離・回収に相当するコスト: 4円/kWhから2円/kWhへの低減が期待できる技術

Page 22: 火力発電技術(石炭、ガス)の技術開発の現状...火力発電技術(石炭、ガス)の技術開発の現状 国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構

New Energy and Industrial Technology Development Organization

21

バイナリー発電(オーガニックランキンサイクル)

・低沸点の媒体を熱源(廃熱、温水、蒸気など)で加熱し、蒸発させてタービンを回し、発電する方式。 ・媒体にはペンタンやアンモニア系媒体、代替フロンなどが利用される。 ・未利用廃熱は回収が困難な300℃以下が大半を占め、市場は大きい(欧州では普及が進む)。 ・熱主電従システムで、総合エネルギー効率は高い。 ・課題点は制度緩和(電気事業法にORC発電の位置づけが無いなど)、低コスト化など。

バイナリー発電のフロー図 (出典;神戸製鋼所)

(出典;H24次世代型熱利用設備導入緊急対策事業(METI)資料)

(出典;三菱重工)

Page 23: 火力発電技術(石炭、ガス)の技術開発の現状...火力発電技術(石炭、ガス)の技術開発の現状 国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構

New Energy and Industrial Technology Development Organization

22

火力発電の負荷変動対応

(出典;総合資源エネルギー調査会(METI)資料2015.4.16)

・再生可能エネルギーの導入量が増えると、火力発電による出力調整(速い出力変化や起動時間など)が求め られるが、起動停止の増加や急激な出力変化は疲労劣化を助長させる可能性がある。 ・出力変化の速度は、一般的にGTCCは早く、汽力(貫流・ドラム)は遅めである。 ・起動時間も、GTCCは40~80分程度と早いが、石炭等の汽力プラントはさらに時間を要する。 ・さらに低出力域では出力変化速度は小さく設定されるなど、各方式の特徴を十分に把握しておく必要がある。

Page 24: 火力発電技術(石炭、ガス)の技術開発の現状...火力発電技術(石炭、ガス)の技術開発の現状 国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構

New Energy and Industrial Technology Development Organization

23

負荷変動対応(ドイツの例)

・再生可能エネルギーが 20%以上導入されている ドイツの発電所の運転 状況 ・左表は2014年の各発電所 の出力の様子 (注意;上は電力量、下は出力)

・再生可能エネルギーの変動 により、石炭火力が激しい 出力変動を余儀なくされて いる様子が分かる。

ガ ス

瀝青炭

褐 炭

原子力

PV WP

(出典;Fraunhofer Institute 資料2014.12)