第第1111講講心のケアと心のケアと 精神症状のマネジメント...
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あさひかわ緩和ケア講座 2010
第第1111講講 心のケアと心のケアと精神症状のマネジメント精神症状のマネジメント( 安 抑 妄)( 安 抑 妄)
あさひかわ緩和ケア講座あさひかわ緩和ケア講座 20102010あさひかわ緩和ケア講座あさひかわ緩和ケア講座 20102010
(不安・抑うつ・せん妄)(不安・抑うつ・せん妄)
旭川医科大学病院
緩和ケア診療部 阿部泰之
心の医療の重要性心の医療の重要性
• 心がつらいと、様々な悪影響が出る
– 患者の全般的QOLの低下と関連する
– 「死にたい」という思いが強まり、最悪の場合自殺につながる
あさひかわ緩和ケア講座あさひかわ緩和ケア講座 20102010
につながる
– がんに対する治療意欲を奪う
– 家族の気持ちのつらさとも関連
– 入院期間の長期化と関連
PEACE project 緩和ケア研修会プレゼンテーション資料を改変
がん医療における心理変化がん医療における心理変化
がんの診断時
がんの治療中
がんの再発・進行
終末期がんの治療後
あさひかわ緩和ケア講座あさひかわ緩和ケア講座 20102010
PEACE project 緩和ケア研修会プレゼンテーション資料を改変
正常心理範囲内~病的精神症状まで様々
あさひかわ緩和ケア講座あさひかわ緩和ケア講座 20102010
心身医療心身医療
心身乖離?心身乖離?
• 身体的問題と精神心理的問題
– 切っても切り離せない相互関係
– 病気になれば心弱まり、ときとして抑うつ・不安
精神的問題が長引けば身体合併症が増える
あさひかわ緩和ケア講座あさひかわ緩和ケア講座 20102010
– 精神的問題が長引けば身体合併症が増える
– 人格の問題が顕在化し、トラブルとなる
– 家族の問題に波及
– 身体疾患の多くは心理社会的後遺症を来たす
• 医療におけるどんな病気、どんな場面、どんな職種であっても“心”に対応できなくてはならない
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なぜ乖離するのかなぜ乖離するのか
• 訓練を受けていないという後ろめたさ
– 「専門家ではないのに勝手なことはできない」
• 他人の感情を受けとめるのは苦痛:自己防衛
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– 「忙しいから構ってられない」
– 「もとの性格が悪いから(自分のせいではない)」
– ブラックユーモアへの逃避
• このようなバリア(障壁)に気付くことは重要
心身医療心身医療
身体治療・ケア身体治療・ケア
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心の治療・ケア心の治療・ケア
診断
治療終了
または
死
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がん患者の心を理解するがん患者の心を理解する
ビデオを見てみましょうビデオを見てみましょう
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がん患者の心を理解するキーワードがん患者の心を理解するキーワード
がんの診断時がんの診断時
• 患者は大きな衝撃を受ける– 「頭が真っ白になった」:衝撃
– 「何かの間違いだろう」:否認
– 「もうだめだ、終わりだ」:絶望
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」
– 「何であいつじゃなくて俺なんだ!」:怒り
• 防衛機制を使って心のバランスをとっている
• 1週間~10日ほどで軽減し適応していく
• この“変化”を多くが経験することを伝えることが大きな保証となる
小川朝生・内富庸介編 精神腫瘍学クイックリファレンスより引用
がんに対する心の反応がんに対する心の反応-時間経過と適応--時間経過と適応-
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がん患者の心を理解するキーワードがん患者の心を理解するキーワード
がんの診断時がんの診断時
• 適応が得られないままの患者に、治療法の選択をさせない
• 適応を遅らせないために、一旦感情表出を
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促す場が必要なことがある
• 概ね2週間経っても患者の変化がない場合は専門家のコンサルテーションを考慮
小川朝生・内富庸介編 精神腫瘍学クイックリファレンスより引用
態度・行動と生存期間の関係態度・行動と生存期間の関係
• “前向きに生れば癌が治る”??– Watson et al. Lancet. 1999
前向きな姿勢の方が生存期間が長い!?
同じグル プの追試 2005→否定
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– 同じグループの追試 2005→否定
• 今のところの結論– 無理に「前向き」にと思う必要はない
– ただし「絶望的態度」「うつ状態」
→生存期間を短くする可能性がある
がん患者の心を理解するキーワードがん患者の心を理解するキーワード
がんの治療中がんの治療中
• 治療を待つ間の患者の不安は強い
• 正確な情報によって不安が軽減する
• 抗がん剤、放射線、麻酔、麻薬:誤解の払拭
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抗がん剤、放射線、麻酔、麻薬 誤解の払拭
• 繰り返しの心理的援助に意義がある
– 医師
– 看護師
– 薬剤師
– ・・・小川朝生・内富庸介編 精神腫瘍学クイックリファレンスより引用
がん患者の心を理解するキーワードがん患者の心を理解するキーワード
がんの治療後がんの治療後
• 身体状況、生活が落ち着くとともに不安が弱まっていく
• 退院すると、心理的援助が急になくなる
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• 治療関連の機能障害、外見上の変化、家庭・社会での役割の喪失
• 自殺のリスクが最も高くなる時期
• →心理的援助は引き続き必要である
小川朝生・内富庸介編 精神腫瘍学クイックリファレンスより引用
がん患者の心を理解するキーワードがん患者の心を理解するキーワード
がんの再発・進行がんの再発・進行
• 心理的に最もつらい時期
• 知識が整理されている分、患者は否認に走れず大打撃となる
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• 予期していないと、動揺が強い(準備教育の重要性)
• 安易な支持的対応では解決しない
• 今後の“人生”を見据えた話し合いが必要
小川朝生・内富庸介編 精神腫瘍学クイックリファレンスより引用
がん患者の心を理解するキーワードがん患者の心を理解するキーワード
がんの終末期がんの終末期
• その時々の身体状況によって心理状態が動揺する
• 実際の依存度が増し、これまで隠れていた人間関係の葛藤が生じる
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間関係の葛藤が生じる
• 近づく死に対する防衛機制として、否認・退行がしばしば見られる
• 十分な身体症状緩和とともにスピリチュアルケアが必要となる
小川朝生・内富庸介編 精神腫瘍学クイックリファレンスより引用
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心の問題のスクリーニング心の問題のスクリーニング
気持ちのつらさ気持ちのつらさ
気持ちのつらさ(distress)とは
• 感情面における不快な体験全般
正常心理から病的な状態まで幅がある
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• 正常心理から病的な状態まで幅がある
• がんにおいて注意が必要な主なもの
–抑うつ
–不安
気持ちのつらさの重症度気持ちのつらさの重症度
通常 重症
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悲しみ心配恐れ
うつ病不安障害
抑うつ不安
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心理(学)的? 精神(学)的?
気持ちのつらさの評価気持ちのつらさの評価 STEP1STEP1
• はじめは身体的なことから導入する
• 心配の内容を聞く
• 最初は開かれた質問を用いる
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*開かれた質問=はい・いいえでは答えられない質問
「お身体の具合はいかがでしょうか?」
「最近気持ちの面でつらそうに見えますが、いかがですか?」
「お気持ちをつらくさせているのはどういったことですか?」
「つらい症状や病状に対しての心配や気がかりはありませんか?」
PEACE project 緩和ケア研修会プレゼンテーション資料を改変
気持ちのつらさの評価気持ちのつらさの評価 STEP2STEP2
• ケアが必要な気持ちのつらさのスクリーニング
①一日中気持ちが落ち込んでいませんか?
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• いずれかに「はい」と答えた場合、ケアが必要な気持ちのつらさである可能性が高い
②今まで好きだったことが楽しめなくなっていませんか?
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気持ちのつらさの評価気持ちのつらさの評価 STEP3STEP3
• 希死念慮
– つらさの程度が強い場合、希死念慮(「死にたい」という気持ち)を患者や家族に確認する
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一般的に、聞くことで実行のリスクは高まらない
家族に聞く:「死んでしまいたい、早く命を終わらせてほしいとご本人がおっしゃることはありますか?」
患者に聞く:「気分がおつらいようですが、すべてを終わりにしたいとか、つらくて生きていてもしかたがないと感じることがありますか?」
PEACE project 緩和ケア研修会プレゼンテーション資料を改変
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希死念慮の背景にあるもの希死念慮の背景にあるもの
• “生きたい”の逆説的表現
• 死にゆく課程のつらさの訴え
• 苦痛(痛みなど)を取ってほしいという求め
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• 今後の苦痛から解放されるための防衛機制
• 自分に関心を抱いてほしいという欲求
• 愛他性の表現
• 周囲からの見捨てられ不安
Coyle et al, 2004
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精神症状とその対応精神症状とその対応
がん患者の精神症状がん患者の精神症状
• 頻度の高いもの
• 大うつ病:5-15%
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• 適応障害:30-40%
• せん妄:終末期の30-90%
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感情・気分の定義感情・気分の定義
• 感情(=天気)
– 各種の感覚と結びついた快感・不快感
– 気分に比べより一時的
喜び 悲しみ 怒り 楽しい 驚き 恐怖など
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– 喜び、悲しみ、怒り、楽しい、驚き、恐怖など
• 気分(=天候)
– 比較的穏やかな持続的な感情
– 不安、憂うつ、爽快、上機嫌、刺激性など
諏訪,最新精神医学 1984 を改変
不安・抑うつ(気分)の定義不安・抑うつ(気分)の定義
• 不 安 ≠ 心配・気がかり
– 存在がおびやかされたときにおこる感情
– (対象のない恐怖)
ふるえ 動悸など 不快な自律神経症状を伴う
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大熊 2002
– ふるえ、動悸など、不快な自律神経症状を伴う
• 抑うつ(気分) ≠抑うつ状態・うつ病
– ゆううつ、悲しみ、苦しみなどが持続する感情
– 喪失に伴っておきることが多い
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適応障害適応障害
• はっきりと確認できるストレス・心因(がんの診断
や再発の告知など)に関連して起こる不安・抑う
つ(うつ病の診断基準は満たさない)
DSMDSM--ⅣⅣ--TRTR
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( 病 診断 準は満 さな )
• 予測される範囲をはるかに超えた苦痛、あるいは
社会的、職業的機能の著しい障害
• 遺族の悲嘆(死別反応)は含まない
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不安不安
不安不安
• 内的矛盾から発する対象のない情緒的混乱
• 対象のない恐怖
• 身体的表出を伴う
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– 自律神経症状(動悸、胸部絞扼感、発汗、ふるえ)
– 行動の変化(そわそわする、強迫行為)
• 人間にとって避けられない心理現象
• 自己防衛的な危険信号でもある
• 量的に過度になると支障が出る→病的不安山内俊雄ら編:プラクティカル精神医学 中山書店:2009 から引用改変
不安反応3つの表出軸不安反応3つの表出軸
【精神化】
心配、緊張、焦燥
双極性感情障害
【行動化】
衝動性、強迫行為
摂食障害
小児
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【身体化】
自律神経症状、過呼吸
疼痛、ふるえ
心身症
“自律神経失調症”
ヒステリー
不安原点
不安の操作的診断不安の操作的診断
• 不安障害:不安を基本症状にもつ疾患群
– パニック障害:パニック発作と予期不安
– 恐怖症
• 社会恐怖:他人の注目を浴びる状況や行為への恐れ
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• 社会恐怖:他人の注目を浴びる状況や行為への恐れ
• 特定の恐怖症:高所、閉所、注射など
– 全般性不安障害:多数の出来事や活動について慢性的で過剰な心配(例;仕事、家業、家計)
– 強迫性障害:強迫を中和するための反復的な行動(手洗い、確認行動、順番に並べるなど)
– 外傷後ストレス性障害:フラッシュバックと苦悩
不安の操作的診断不安の操作的診断
• 従来の神経症に含まれるもの
– 身体表現性障害
– 解離性障害(ヒステリー)
抑うつ神経症
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– 抑うつ神経症
– 心気症
– 神経衰弱 など
• これらは別に分類された
山内俊雄ら編:プラクティカル精神医学 中山書店:2009 から引用改変
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不安のある患者とのコミュニケーション不安のある患者とのコミュニケーション
• 不安はあらゆる状況で生じる
→不安のある患者とのコミュニケーションは病を抱える人への接し方の基本
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• 「頼りたいけど頼りたくない、頼るのも不安」
– 頼りたい心性
– 頼ることへの恐怖
– 頼りたくない心性
山内俊雄ら編:プラクティカル精神医学 中山書店:2009 から引用改変
頼りたい心性頼りたい心性
• 誰かが一緒に居ると不安が和らぐため、その求めがエスカレート、自立が失われる
• 自律的な判断を避けて他人(医療者)に指示と保証を求める
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と保証を求める
• 治療の終結による不安増大→「症状再燃」と捉えてしまう
• 医療者や薬物への心理的依存の背景にある心性
山内俊雄ら編:プラクティカル精神医学 中山書店:2009 から引用改変
頼ることへの恐怖頼ることへの恐怖
• 内心頼りたいと思っていても、それを求めることで拒絶されることに恐怖を抱く
• 結果的に他者との関わりを回避する
医療者に頼れない分 薬物 の依存を来たす
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• 医療者に頼れない分、薬物への依存を来たす背景にある心性
山内俊雄ら編:プラクティカル精神医学 中山書店:2009 から引用改変
頼りたくない心性頼りたくない心性
• 頼ること=自律的なコントロールを失うこと自体への不安
• 医療者が助言をしても「でも・・」といった口調で拒むことが多い
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で拒むことが多い
• 「薬で治さず自力で治したい」といった言葉の背景にある心性
• 医療者の意のままにならないことで、自律を保持しようとする(歪んだ自律の認識)
山内俊雄ら編:プラクティカル精神医学 中山書店:2009 から引用改変
不安に対する治療的コミュニケーション不安に対する治療的コミュニケーション
共感をもって受け止めること
• 患者の今の態度は、そうせざるをえないほど不安が強いからであってわざとではない
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不安が強いからであ てわざとではない
• 患者の抱えている不安は誰も避けられない人間としての事実であり、よりよく生きたいという願いの裏返しであることを理解し伝える
山内俊雄ら編:プラクティカル精神医学 中山書店:2009 から引用改変
不安に対する治療的コミュニケーション不安に対する治療的コミュニケーション
不安を肩代わりしないこと
• 不安を除去するために、患者に代わってそれを医療者が引き受けてはならない
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を医療者が引き受けてはならない
• ますます患者の依存を引き出してしまう
• 不安を自身が引き受けることが治療の始まり
山内俊雄ら編:プラクティカル精神医学 中山書店:2009 から引用改変
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不安に対する治療的コミュニケーション不安に対する治療的コミュニケーション
患者の自発性を尊重すること
• 患者自らが回復の主体となる必要がある
• 医療者は一歩引いた態度で
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医療者は 歩引いた態度で
– 患者の自発的取り組みを尊重・促進
– 建設的な行動を拡げられるように援助
– 経験を通して得られた洞察を強化
山内俊雄ら編:プラクティカル精神医学 中山書店:2009 から引用改変
不安に対する治療的コミュニケーション不安に対する治療的コミュニケーション
薬物療法に対する姿勢
• 投薬に対しても一貫した姿勢をもつこと
• 患者自身が“不安”という問題に取り組むこと
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患者自身が 不安 という問題に取り組むこと自体が回復の原動力
• 薬物はあくまで補助的なもの
• これを間違うと→依存→不安再燃→治らない
• 服薬に関する懸念はオープンに話し合う
山内俊雄ら編:プラクティカル精神医学 中山書店:2009 から引用改変
不安のある患者不安のある患者‐‐対応の実際対応の実際
• Aさん、40代女性、進行乳がんで通院化学療法をしている
• 通院時、調子が良くないということで面談
• 待ち合いの椅子に座っていられずにうろうろとし
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• 待ち合いの椅子に座っていられずにうろうろとしている
• そわそわと落ち着かない様子で入室
• 「なんだか調子が良くないんです。どきどきするし、汗がすごく出るの。だから夜も寝られない。出してもらっている薬のせいかしら」
不安のある患者不安のある患者‐‐対応の実際対応の実際
• (確かに調子が良くなさそうに見えます)
• 「そうなの大変なのよ。来週はCTの検査だっていうのにね」
• (来週 治療評価の検査があるんでしたね どん
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• (来週、治療評価の検査があるんでしたね。どんな結果か緊張しますよね。かなり気になってますか?)
• 「まあ、そりゃあ気になりますけど。でもその時にならないとわからないことだから」
不安のある患者不安のある患者‐‐対応の実際対応の実際
• (お家のこととかはできています?)
• 「それはしなきゃいけないと思ってるからなんとかやってますよ。でもこのままじゃ困ります」
• 「とにかくつらいので何とかしてほしいんです も
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• 「とにかくつらいので何とかしてほしいんです。もらっている薬もやめたほうがいいですよね」
• (なるほどそう思いますよね。今お聞きしたところまでで私が感じたことをちょっとお話してもよろしいですか?)
• 不安症状、対応法などについて説明
不安のある患者不安のある患者‐‐対応の実際対応の実際
• 「じゃあ、気持ちの問題ってことですか!?薬のせいじゃないの?また薬が増えるの?」
• (それもあるかもしれませんが、気持ちの部分でおつらそうにも見えます 以前よりなんだか気ぜわ
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つらそうにも見えます。以前よりなんだか気ぜわしく感じていませんか?)
• 「そう言われればいつもとは違うのかも。なにか落ち着かなくて・・」
• (大変な病気の治療をしているわけですから、こんなふうになる方もよくいらっしゃいます)
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不安のある患者不安のある患者‐‐対応の実際対応の実際
• (それだけ繊細な人だということかもしれませんよ。今はそれが仇となっているのかもしれません)
• (薬はあくまで補助的なものですが、眠れないと次の日にも響いて と悪循環になるので 少なく
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次の日にも響いて、と悪循環になるので、少なくとも眠れるようになってはどうでしょう)
• 「それもそうですね。またあんなふうになったらどうしたらいいですか?」
• (これは気持ちの揺れですから、いずれ治まるものだと思うのは良い事です。それがそのまま治療みたいなものですから)
不安のある患者不安のある患者‐‐対応の実際対応の実際
• (それでも、、という時のために不安を和らげる薬も屯用で出しておきましょうか?)
• 「でも、そういう薬ってやめられなくなるんじゃ・・」
• (短期的に使うぶんには大丈夫です あと薬は補
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• (短期的に使うぶんには大丈夫です。あと薬は補助的なので使わなくても良くなっていきますよ。いわゆるカウンセリングもしていきましょう)
• 「ほんとに良くなりますか?なんだかそんな気がしないわ。永遠に続いたらどうしよう」
• (大丈夫ですよ。一緒にやっていきましょう!)
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抑うつ抑うつ
①気分・感情の障害 ②意欲・行動の障害 ③思考の障害
うつ病に見られる精神症状うつ病に見られる精神症状
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渡辺 昌祐:Ⅲ.症状 プライマリケアのためのうつ病診療Q&A 金原出版:2000より改変
抑うつ気分不安、焦燥感
「気が滅入る」「気が晴れない」「そわそわする」
意欲の低下興味の喪失
「やる気がでない」「億劫だ」
「興味が持てない」
思考制止思考内容の変化
「決められない」「迷惑をかけている」「希望がもてない」
「死にたい」
日内変動
↑これだけでうつ病なのではない!
抑うつのある患者とのコミュニケーション抑うつのある患者とのコミュニケーション
• 一昔前:休養と薬物療法>コミュニケーション
• うつ病が多様化しており、人格要因の影響が大きくなってきている
社会的背景 年齢 もともとの性格によ て
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• 社会的背景、年齢、もともとの性格によって個別のコミュニケーションが求められるようになった
抑うつのある患者とのコミュニケーション抑うつのある患者とのコミュニケーション
• 傍に寄り添って患者の苦悩を受け止める:支
持的受容的態度が基本
• 現在の苦悩はうつ病という病気から来るもの
治療に く 保
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であり、治療によりよくなることを保証する
• 回復しかけの不安・焦燥の出現に対応する
– 病状悪化と捉え薬物療法を強化→×
– 環境要因や葛藤への介入のチャンス→○
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うつ病の人を励ましてはいけない?うつ病の人を励ましてはいけない?
• メランコリー親和型(古典的なうつ病の病前性格)の人には注意が必要
– 几帳面で完全主義、責任感が強い
励まされると「早く治さなくては!!」と追い込まれる
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– 励まされると「早く治さなくては!!」と追い込まれる
• 患者や時と場合によりけり
– 「この病気がよくなるよう一緒に頑張りましょうね」
• 意識しすぎてケア自体の積極性がなくなるのは逆効果
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がん患者に対する精神療法がん患者に対する精神療法
がん患者に対する精神療法がん患者に対する精神療法
• 心理教育的介入
– 精神療法を検討する以前に必要
• 「患者さんが不安を訴えています」 (!?)
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– 患者が自分の状況・病状についてどこまで理解し
ているか探索する
– (病状に対する)理解が不十分、誤った思い込み
から生じる猜疑心、不安感を低減する
– 何回か繰り返さないといけないこともある
がん患者に対する精神療法がん患者に対する精神療法
• 支持的精神療法
– 精神医療において最も基本的な治療技法であり、
患者に対する基本的態度といってもよい
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患者に対する基本的態度といってもよい
– 不安・抑うつをコミュニケーションの中で軽減し、現
実への再適応を援助する
– 非審判的態度で一貫して患者を支持する
心の問題について話すことは恥ずかしいことで
はないことを伝え、表出された言葉をあるがまま
受けとめる。相手の言葉を支持し、適切な情報を
支持的精神療法支持的精神療法
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提供と現実的な範囲の保証を与える。この行程
を通して、感情と苦しみが「今まさに理解されて
いる」と、言語的・非言語的に伝わることが治療
的に働く
がん患者に対する精神療法がん患者に対する精神療法
• 認知行動療法
– “認知の歪み”に対して別の見方や考え方ができるように援助する⇒がん患者において系統的な認知行動療法ができることは稀
行動療法
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• 行動療法
– 漸進的筋弛緩法:身体各部の筋肉にいったん力を入れさせてから、力を抜くことを繰り返す。筋緊張を和らげ、リラックスを促す
• 回想法(ライフレビュー)
– 過去の自分を振り返り、現在の自分をより肯定的に受け取れるようになる。高齢者向きか
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“依存”にたいする考え方“依存”にたいする考え方--終末期終末期--
• 患者さんの予後が限られているとき、過度に
依存形成を嫌うのは良くないかもしれない
– 実際の依存度が高くなる
あさひかわ緩和ケア講座あさひかわ緩和ケア講座 20102010
– 人生の最後に“認知の歪み”の指摘は酷
– 変容を来たす時間がない
• QOLを指標として、ある程度の依存は許容す
る必要がある
深刻な病状の患者をケアする人の問題点深刻な病状の患者をケアする人の問題点
患者を良くしようと問題点を見つけること
人間としての価値を見出して寄り添うこと
この2つのバランスは難しい
あさひかわ緩和ケア講座あさひかわ緩和ケア講座 20102010
• 患者の全ての“要素”を無理に知ろうとすると、患者を“全体的”に洞察できなくなる
• ほじくり出されたくない感情や苦痛を意識化させてしまう結果になることもある
深刻な病状の患者をケアする人の問題点深刻な病状の患者をケアする人の問題点
• ケアする人自身のマイナス感情– 病状の進行や、患者が死んでいくこと
– 苦痛と向き合わなければいけないこと
• 結果として、患者を避けたり、無視したり、早く
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結果として、患者を避けたり、無視したり、早くいなくなってくれた方が楽、と思ったりする
• 自分のマイナス感情と共存し、患者から逃げないことを身につける
• 多くの患者はケアしてくれる人に「受け入れられている」という感覚が望みとなっている
深刻な病状の患者をケアする人の問題点深刻な病状の患者をケアする人の問題点
危険な対応姿勢
• 相手に何かを求めている
– 誰かから賛辞を受ける(自分のしたケアに対して)
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– 患者から感謝されたり愛される
– 相手を教育して変容をおこす
• “多くのことをやりすぎて”消耗する/させる
• 一生懸命すればするほど空回りして、周囲の士気を萎えさせる
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せん妄せん妄
せん妄の有病率せん妄の有病率
著者、年 対象 N 有病率
一般人口(55歳以上)
Folstein,1991
術後せん妄
810 1%
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Derogatis,1983
Minagawa,1996
Lawlor, 2000
がん(入院・外来)
終末期(死亡前約2ヶ月)
215
93
4%
28%
Bitondo,1995術後せん妄
(文献レビュー)
PCU(入院時)
(累積罹患率)
(死亡6時間前)
10410452
42%68%88%
2797(26研究)
37%
2011/4/11
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せん妄のアセスメントで医療の質が問われるせん妄のアセスメントで医療の質が問われる
本当はせん妄なのに…
• 「もう治療しなくていいっていうからやめよう」
– 意思決定能力が“一時的に”低下しているだけ
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• 「手がかかるから寝かせとこう」
– 過度の鎮静(倫理上も問題)→誤嚥性肺炎→死亡
• 「言うこと聞かないから強制退院させよう」
– 原因は投与した薬剤だったりする
患者にとってのせん妄患者にとってのせん妄
• 苦痛を伴ったまま見過ごされる危険性
• 合併症増加→生命予後を不良にする
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• せん妄自体が苦痛体験
– せん妄中の記憶:不安感や恐怖心、被害的な妄想
• 認知障害があり方針決定に関われない
家族にとってのせん妄家族にとってのせん妄
• 付き添いに関わる身体的な苦痛
• 方針決定が家族に委ねられるプレッシャー
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• 変容に戸惑いその姿を見たくないという苦悩
• 周囲の他患者や医療者に対して申し訳ない
• 残された貴重な時間がつらい体験で終わる
医療者にとってのせん妄医療者にとってのせん妄
• 基礎疾患の検査や治療の妨げ
• 不隠に対応する看護労力の増大
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• 在院日数の長期化
• 患者状態を適切に判断出来ず、方針決定が困難となる
• 本当に患者のためになったのかという悩み
せん妄は苦痛であるせん妄は苦痛である
せん妄を患者、家族、医療者にとっての
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「苦痛」であると捉え、苦痛のケアという
観点から対処することが望まれる
せん妄の診断基準せん妄の診断基準
A. 注意を集中し、維持し、転導する能力の低下を伴う意識の障害(清明度の低下)
B. 認知の変化(記憶欠損、失見当識、言語の障害など) またはすでに先行していた認知症ではうまく説
A. 注意を集中し、維持し、転導する能力の低下を伴う意識の障害(清明度の低下)
B. 認知の変化(記憶欠損、失見当識、言語の障害など) またはすでに先行していた認知症ではうまく説
DSM-Ⅳ
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ど)、またはすでに先行していた認知症ではうまく説明できない知覚障害の発現
C. その障害は短期間のうちに出現し(通常数時間ゲ数日)、1日のうちで変動する
D. 病歴、身体診察、臨床検査所見から、その障害が一般身体疾患の直接的な生理学的結果により引き起こされたという証拠がある
ど)、またはすでに先行していた認知症ではうまく説明できない知覚障害の発現
C. その障害は短期間のうちに出現し(通常数時間ゲ数日)、1日のうちで変動する
D. 病歴、身体診察、臨床検査所見から、その障害が一般身体疾患の直接的な生理学的結果により引き起こされたという証拠がある
2011/4/11
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A.A. 注意を集中し、維持し、転導する注意を集中し、維持し、転導する能力の低下を伴う意識の障害能力の低下を伴う意識の障害
(清明度の低下)(清明度の低下)
• 質問に対して集中できない
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質問に対して集中できない
• 前の質問に対して同じ答えをする
• 話の途中で寝てしまう
せん妄の本態は“意識障害”
B.B. 認知の変化(記憶欠損、失見当識、認知の変化(記憶欠損、失見当識、言語の障害など)、またはすでに先言語の障害など)、またはすでに先行していた認知症ではうまく説明で行していた認知症ではうまく説明で
きない知覚障害の発現きない知覚障害の発現
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• 新しいことを忘れる
• 時間や場所に関する見当識がない
• 錯覚:壁のシミ→「虫がいる」
• 幻覚:人がいない所→「人がいる」
• 妄想→誤ったことを確信している
C.C. その障害は短期間のうちに出現しその障害は短期間のうちに出現し(通常数時間(通常数時間ゲゲ数日)、1日のうち数日)、1日のうち
で変動するで変動する
• 手術後 つじつまのあわない言動
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• 手術後、つじつまのあわない言動
• 薬を変更した翌日に急に変化
• 「○月○日から変わった」と特定できる
• 午前中おとなしく協調的
• 夜には点滴を抜く、部屋から逃げ出す
D.D. 病歴、身体診察、臨床検査所見病歴、身体診察、臨床検査所見から、その障害が一般身体疾患から、その障害が一般身体疾患の直接的な生理学的結果によりの直接的な生理学的結果により引き起こされたという証拠がある引き起こされたという証拠がある
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• 必ず身体的原因がある
せん妄の分類せん妄の分類
• 過活動型 落ち着きがない、不穏、幻覚大声をあげる→離脱症候群、抗コリン薬
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• 低活動型 嗜眠状態、静穏、質問には答えられることが多い、抑うつと誤診→肝・腎不全、低酸素血症
• 混合型 上記の2つの特徴、最多→オピオイド
中枢神経 脳転移、脳血管障害
臓器不全 肝不全、腎不全、呼吸不全、心不全
代謝 高Ca血症、高Na血症、低Na血症、
低血糖、高血糖、脱水
せん妄の直接原因せん妄の直接原因
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栄養障害 低栄養、ビタミン欠乏(B1/B12など)
薬物 オピオイド、向精神薬、ステロイド、
抗コリン薬、H2ブロッカー、抗生剤
感染症 敗血症、脳炎、発熱そのもの
その他 疼痛などの不快感、手術後、貧血
2011/4/11
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高齢
知症
心理社会的ストレス
環境因子環境因子準備因子準備因子
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認知症
視覚聴覚障害
身体機能低下
睡眠障害
昼夜逆転
身体拘束
• 依存性薬物からの離脱
アルコール、睡眠薬、抗不安薬
• 中枢神経系に作用する薬物の使用
せん妄の原因となる薬剤せん妄の原因となる薬剤
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向精神薬、抗ヒスタミン薬、抗アレルギー薬
抗コリン薬、H2ブロッカー、ステロイド、オピオイド
アトロピン、アキネトン、アーテン、ガスター、ザンタック、
タガメット、アシノン、プレドニン、リンデロン、ソルコーテフ、
ソルメドロール、オキシコンチン、モルヒネ、 など
可逆性の見積もり可逆性の見積もり
回復の可能性が高い 回復の可能性が低い
脱水
感染
肝不全
腎不全
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• 回復可能な原因を見逃さない
• 病状の進行によるせん妄は不可逆であることが多い
高カルシウム血症
薬剤性
術後せん妄
低酸素血症
頭蓋内病変
老衰
せん妄の発見率、誤診率せん妄の発見率、誤診率
観察総数 (n=2721)
対象 新規に入院した70歳以上の患者 (n=797)
方法 看護師がせん妄の有無を臨床的に評価 (隔日)
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観察総数 (n 2721)
看護師の評価せん妄あり
(n=239)
せん妄なし(n=2482)
せん妄あり 19% (見つけた!) 4%
せん妄なし 81% (見逃した!) 96%
Inoue. Arch Intern Med, 2001
せん妄の早期発見せん妄の早期発見
本人より「ぼんやりする」→意識障害「集中できない」→注意・集中の障害
家族より
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家族より「最近言っていることがおかしい」「忘れっぽくなっている」「昼はずっとうとうとしており、夜眠れていない」
日頃看ているスタッフが“最軽度の意識障害”に気付かなければならない
最軽度の意識障害を見つける最軽度の意識障害を見つける
• 一見正常だが本来の活発さや生彩に欠ける
• 注意力の低下– 長い思考の際に緻密さがなくまとまりが悪い
– 些細な単語の言い間違い、語性錯語が多い
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些細な単語の言い間違い、語性錯語が多い
– 連続の引き算、桁の繰り下がりを間違える
• 感情・意欲の変化– 多弁、多幸的、状況にそぐわない呑気さ
– 緘黙、不機嫌、かたくなに返事をしない
– ぼんやりしていて、放っておけばずっとそのまま
原田憲一:意識障害を診わける より
2011/4/11
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せん妄を見逃す医療者の態度せん妄を見逃す医療者の態度
• たまたま言い間違えたのかな
• ふらついて転んだのだろう
• 今朝には戻っていたから大丈夫
• むしろ前より陽気で元気ですよ
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• むしろ前より陽気で元気ですよ
• 年だからこんなものだろう
• もともとボケてたみたいだから..
• 告知のショックじゃないのか?
• ストレスでおかしくなってるだけ
• もう終末期だから仕方ない
せん妄のキモチせん妄のキモチ
『朝起きたら全然知らないとこだった。なんでこんな白い部
屋に閉じ込められてるんだろう?みんな白装束を着て、こ
こから出ちゃいけないと怒る。やつらは突然腕を締めあげ
“患者さんはこんなキモチ?”
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こから出ちゃいけないと怒る。やつらは突然腕を締めあげ
たり、仮面を押し当ててきたり、洗濯挟みで指をつねったり
してくる。腕には何回も針を刺された。どうも麻薬を打た
れているらしい。抵抗したら手袋をはめられ、身体をしばら
れた!これからどうなるの?これはまずいことになった。と
にかくここを出て家に帰らなきゃ。まずは腕についているこ
のヒモを取って、逃げ出さなくちゃ!』
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チームアプローチチームアプローチ
チームアプローチチームアプローチ
• さまざまな苦痛に対処し、多くのニーズに答えていくにはチームでのアプローチが重要
• 特に患者さんの心のケアにおいては関係性の微妙な違いが影響する
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妙な違いが影響する
– 医療者の立場(職種)の違い
– 親密度の違い
– 性別の違い など
• メンバーそれぞれの視点と患者さんとの関係から、収集された情報をカンファレンスで統合する
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心のこと以外の見直しを!心のこと以外の見直しを!
精神症状ではない“精神症状”精神症状ではない“精神症状”
• まるで精神症状のように見える薬剤の身体副作用≒薬剤性パーキンソニズム
–アキネジア
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アキネジア
–アカシジア• 主に抗ドパミン作用を持つ薬剤で起こる
2011/4/11
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精神症状ではない“精神症状”精神症状ではない“精神症状”
• アキネジア– 「元気がなさそう」
– 「表情が少なくなった」
「声が小さくな た
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– 「声が小さくなった」
– 「動作が遅くなった」
– 「歩くとふらふらする」
– 「動きがスムーズでない」
• 原因薬剤の中止
精神症状ではない“精神症状”精神症状ではない“精神症状”
• アカシジア– 「イライラして落ち着かない」
– 「じっとして居られない」
「足がむずむずする
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– 「足がむずむずする」
– 「客観的にも落ち着きがない」
– 「焦燥感、不安感、易刺激性」
• 原因薬剤の中止
精神症状ではない“精神症状”精神症状ではない“精神症状”
薬剤性パーキンソニズムの原因薬剤
• 抗精神病薬:セレネース、グラマリールなど(非定型抗精神病薬でも起こることがある)
• 抗うつ薬:アモキサンなど
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• 抗うつ薬:アモキサンなど
• 消化性潰瘍薬:ドグマチール、ザンタックなど
• 制吐薬:プリンペラン、ノバミンなど
• 降圧薬:アルドメット、アポプロン
• その他:ユーエフティー、イホマイド(白質脳症として?)
厚生労働省 重篤副作用疾患別対応マニュアル 薬剤性パーキンソニズム 平成18年
“心のこと”以外の見直しを!“心のこと”以外の見直しを!
• コントロールされていない痛みは精神症状に似ることがある1)
• 経験例(がん患者)– 痛みで緘黙となった中年男性
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– 不穏、不眠がBPSDとされ多量の抗精神病薬が使用された老年女性
– 電気けいれん療法が繰り返された統合失調症の女性
• 精神論・心因論に執着しすぎるのは危険
• 身体症状の見直しを常に行ってほしい
1)WilliamBreibart,M.D.他著、内富庸介監訳:進行がん・AIDS患者におけるとうつ管理の精神医学的側面緩和医療における精神医学ハンドブック、星和書店、2001.
Take Home Message!Take Home Message!心のケアはどんな病気・医療においても身体の治療と並行して提供されるべきものである
がん患者の状況に応じた心理過程を理解し対応することが大切
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応 大切
気持ちのつらさの重症度をスクリーニングする必要がある
不安・抑うつなど病態に応じてコミュニケーションの取り方を考える
せん妄への対応ができるかどうかでその医療者個人や施設の質が問われる
参考文献参考文献
• 内富庸介監訳:緩和医療における精神医学ハンドブック. 星和書店 .2001.• 井上令一/四宮滋子 監訳:カプラン 臨床精神医学テキスト.医学書院MY
W.1996.• 小川朝生・内富庸介 編:精神腫瘍学クイックリファレンス.創造出版.2009.• 山内俊雄総編集:精神科専門医のためのプラクティカル精神医学.中山書店.2009.• 長嶺敬彦:抗精神病薬の「身体副作用」がわかる.医学書院.2006.• 薬物療法検討小委員会 編:せん妄の治療指針 日本総合病院精神医学会治療指
針1.星和書店.2008.
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• 一瀬邦弘ほか監修:せん妄 すぐに見つけて!すぐに対応.照林社.2008.• 厚生労働省:重篤副作用疾患別対応マニュアル 薬剤性パーキンソニズム.2006.• 諏訪 望:最新精神医学―精神科臨床の基本―新改訂版.南江堂.1984.• 松浦 雅人/松島 英介 監訳:コンサルテーション・リエゾン 精神医学ガイド.メディ
カル・サイエンス・インターナショナル.2002.• The National Comprehensive Cancer Network Psychosocial Distress Practice
Guideline,2003• 渡辺 昌祐:Ⅲ.症状 プライマリケアのためのうつ病診療Q&A.金原出版.2000.• PEACE project 緩和ケア研修会資料ダウンロード
http://www.jspm-peace.jp/pdfdownload.php
2011/4/11
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あさひかわ緩和ケア講座あさひかわ緩和ケア講座 20102010
心のケアとしてのコミュニケーション心のケアとしてのコミュニケーション
普段の人付き合いとは違う?普段の人付き合いとは違う?
• 患者は保護されるべき存在である
– 病によって自立と判断力が失われている
• 医療者は患者にない知識と経験を持っている
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医療者は患者にない知識と経験を持っている
– 医療行為の有益性、危険性、結果、これまでの判断の経
験(患者にとっては初めて)
• 患者は本来的に医療者に依存する
– 目の前の医療者を介さず患者が情報を得るのは難しい
本来的に患者は目の前の医療者を頼る
バーナード・ロウ著 医療の倫理・ジレンマ 2003.より一部改変
共感というスキル共感というスキル
• 共感:empathy≠sympathy:同情
• 一般の人の見解:人間味のなくなった医療に思いやりをもたらすとの期待
• 共感のスキル
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• 共感のスキル– 共感を表すという行動
– 自意識への感情の浸食を防ぐ
– 治療的手段
– 会得することが出来る
• ≠相手をコントロールするための方法
共感というスキル共感というスキル
• 共感のスキル
–反映 reflection
–保証 validation
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–パートナーシップ
–敬意
参考:Feldman M et. al, Behavioral medicine 3rd ed.
反映反映 reflectionreflection
• 相手の言葉をそのままもしくは理解を加えて繰り返す
• こちらが受け止めていること、理解していることを示す
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とを示す
「どうしてこんなに痛いんでしょう?」
「やっぱりまだまだ痛いんですね」
「どうしてこんなに痛いのか納得できないところがあるのですね」
参考:Feldman M et. al, Behavioral medicine 3rd ed.
保証保証 validationvalidation
• 感情の理由を理解していることを相手に伝えること
• 相手の気持ちになりきることではない。安易な同意は逆効果のこともある
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同意は逆効果のこともある
「思うようにいかなくていらいらするんです」
「この状況だったらそう思うのも当然ですね」
「そっか、そうだよね」
参考:Feldman M et. al, Behavioral medicine 3rd ed.
2011/4/11
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パートナーシップパートナーシップ
• こちらが相手のことをとても心配しており、感情に積極的に寄りそう気持ちがあること、これから一緒にやっていけることを示す
• 非言語的
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非言語的
– ティッシュを差し出す
– 身体に触れる(関係性、状況によって判断)
• 言語的
「私たち」、「我々」など
「よければこのピンチを乗り越えるお手伝いをします」
敬意敬意
• 感情に関わる問題を経験していることについて敬意を表する
「たいへんつらい状況にいらっしゃるのですね」
「この状況でもなんとかやっていらっしゃることは凄い
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「この状況でもなんとかやっていらっしゃることは凄いと思います」
• 「強い」、「たくましい」などのフレーズは、相手を追い込むこともあるので注意
参考:Feldman M et. al, Behavioral medicine 3rd ed.
がん患者に使用する抗不安薬がん患者に使用する抗不安薬
一般名 商品名(例)抗不安作用
鎮静作用
筋弛緩作用
clotiazepam リーゼ ++ +
alprazolam ソラナックス、コンスタン ++ ++ +
lorazepam ワイパックス、ユーパン +++ ++ +
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diazepam セルシン、ホリゾン ++ +++ +++
bromazepam レキソタン +++ ++ +++
clonazepam リボトリール、ランドセン +++ +++ ++
etizolam デパス +++ +++ ++ethyl
loflazepate メイラックス ++ +
tandospirone セディール ++ +
せん妄に使用する抗精神病薬・抗うつ薬せん妄に使用する抗精神病薬・抗うつ薬
一般名 商品名(例) 投与法(剤形)
パーキンソニズム
鎮静 耐糖能障害
腎排泄
QT延長
haloperidol セレネース 注射、内服 ++ + - - +levomepro
mazineヒルナミン、レボトミン
注射、内服 + ++ - - ++risperidone リスパダール 内服・液剤 ++ + + + +
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quetiapine セロクエル 内服 - ++ ++ - +perospirone ルーラン 内服 + - - - -olanzapine ジプレキサ 内服・OD + + ++ - -aripiprazole エビリファイ 内服・液剤 ± ± - - -mianserin テトラミド 内服 - ++ - - -trazodone デジレル、
レスリン内服 - ++ - + -