個体と多様性の 生物学

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個体と多様性の 生物学. 第2回 多細胞生物への道   ー細胞の数を増やす. 和田 勝. 東京医科歯科大学教養部. 細胞分裂と細胞周期. の話をするが、理解するためにはこれまでの知識が必要となる. たとえば 体細胞分裂( mitosis ) を理解するためには、 DNA のこと、染色体のこと、細胞骨格の知識が必要. まず、 DNA と染色体についてもう一度. 染色体と DNA の関係. 染色体. クロマチン. DNA. ヌクレオソーム. DNA の複製. - PowerPoint PPT Presentation

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個体と多様性の生物学

個体と多様性の生物学

和田 勝和田 勝

東京医科歯科大学教養部東京医科歯科大学教養部

第2回 多細胞生物への道  ー細胞の数を増やす第2回 多細胞生物への道  ー細胞の数を増やす

の話をするが、理解するためにはこれまでの知識が必要となるの話をするが、理解するためにはこれまでの知識が必要となる

たとえば体細胞分裂( mitosis )を理解するためには、 DNA のこと、染色体のこと、細胞骨格の知識が必要

たとえば体細胞分裂( mitosis )を理解するためには、 DNA のこと、染色体のこと、細胞骨格の知識が必要

まず、 DNA と染色体についてもう一度まず、 DNA と染色体についてもう一度

細胞分裂と細胞周期細胞分裂と細胞周期

染色体と DNA の関係染色体と DNA の関係

染色体染色体

DNADNA

ヌクレオソーム

クロマチン

DNA の複製DNA の複製DNA の構造モデルがワトソンとクリックによって発表されたとき、塩基の相補性( A とT 、 C と G )によって、片方の鎖が決まれば、それに対応する鎖の塩基配列が一意に決まることにより、 DNA が遺伝情報となることが説明できた。

DNA の構造モデルがワトソンとクリックによって発表されたとき、塩基の相補性( A とT 、 C と G )によって、片方の鎖が決まれば、それに対応する鎖の塩基配列が一意に決まることにより、 DNA が遺伝情報となることが説明できた。

DNA 分子の構造モデルDNA 分子の構造モデル

DNA の複製DNA の複製実際には DNA がどのように複製されているのか、すぐにはわからなかった。

実際には DNA がどのように複製されているのか、すぐにはわからなかった。メセルセンとスタールは、 14Nと 15N をそれぞれ含む培地で培養し、軽い DNA と重い DNAを大腸菌に作らせた。

メセルセンとスタールは、 14Nと 15N をそれぞれ含む培地で培養し、軽い DNA と重い DNAを大腸菌に作らせた。重い DNAをもつ大腸菌を軽い培地に移して、、、。重い DNAをもつ大腸菌を軽い培地に移して、、、。

DNA の複製DNA の複製

軽い培地に移して培養した第一世代と第二世代では軽い培地に移して培養した第一世代と第二世代では

第一世代では中間、第二世代では中間と軽い DNA だった。第一世代では中間、第二世代では中間と軽い DNA だった。

DNA の複製DNA の複製この結果は、 DNA の複製が、次の図のような「半保存的」に起こることを示している。

この結果は、 DNA の複製が、次の図のような「半保存的」に起こることを示している。

DNA の複製DNA の複製実際には、 DNA ポリメラーゼという酵素が DNA の複製を行っている。

実際には、 DNA ポリメラーゼという酵素が DNA の複製を行っている。

DNA の複製DNA の複製DNA ポリメラーゼは、鋳型鎖の塩基と相補的な塩基を持つヌクレオシド三リン酸を取り込み、 3’末端にホスホジエステル結合をつくって、鎖を伸長させる。

DNA ポリメラーゼは、鋳型鎖の塩基と相補的な塩基を持つヌクレオシド三リン酸を取り込み、 3’末端にホスホジエステル結合をつくって、鎖を伸長させる。したがって、鎖は5’→3’の方向で伸長していく。したがって、鎖は5’→3’の方向で伸長していく。

DNA の複製DNA の複製5’

5’

3’

DNA の複製DNA の複製DNA は二本鎖なので、それぞれを鋳型にして半保存的に複製していく。ある点(複製開始点)で水素結合が外れて二本鎖が分離したとき、鋳型鎖が3’→5’の場合は5’→ 3’と塩基を伸長させていけるが、反対側では3’→5’となり DNAポリメラーゼは同じ向きには伸長できない。さあどうするか。

DNA は二本鎖なので、それぞれを鋳型にして半保存的に複製していく。ある点(複製開始点)で水素結合が外れて二本鎖が分離したとき、鋳型鎖が3’→5’の場合は5’→ 3’と塩基を伸長させていけるが、反対側では3’→5’となり DNAポリメラーゼは同じ向きには伸長できない。さあどうするか。

DNA の複製DNA の複製

リーディング鎖とラギング鎖

リーディング鎖とラギング鎖

DNA の複製DNA の複製

複製開始点複製開始点

DNA 複製をまとめるとDNA 複製をまとめると

DNA ポリメラーゼを中心としたこれらの酵素群を「複製装置」というDNA ポリメラーゼを中心としたこれらの酵素群を「複製装置」という

こうして、一本の二本鎖 DNAは、複製され、体細胞分裂が始まると染色体として顕微鏡で見えるようになり、それぞれが染色分体となって、セントロメアで融合した X 字状を呈する。

こうして、一本の二本鎖 DNAは、複製され、体細胞分裂が始まると染色体として顕微鏡で見えるようになり、それぞれが染色分体となって、セントロメアで融合した X 字状を呈する。

複製開始点複製開始点

染色体染色体

ヒト染色体: 22対の常染色体と 1対の性染色体ヒト染色体: 22対の常染色体と 1対の性染色体長さとセントロメアの位置で Aから Gのグループに分けられる長さとセントロメアの位置で Aから Gのグループに分けられる

染色体染色体

染色体の数は種によって決まっている。染色体の数は種によって決まっている。父親からの半数のセット( haploid)と母親からの半数のセットからなる。これを二倍体( diploid、 2n)であると言う。

父親からの半数のセット( haploid)と母親からの半数のセットからなる。これを二倍体( diploid、 2n)であると言う。つまり同じ染色体をペアで持っている。対応するそれぞれの染色体を相同染色体という。

つまり同じ染色体をペアで持っている。対応するそれぞれの染色体を相同染色体という。

唾腺染色体唾腺染色体

ショウジョウバエ唾腺ショウジョウバエ唾腺

縞模様が見える縞模様が見える

Gバンド分染法Gバンド分染法

染色体染色体

短腕短腕

長腕長腕

セントロメアセントロメア

9p21のように場所を指定できる

9p21のように場所を指定できる

染色分体染色分体

染色体異常と病気染色体異常と病気ダウン症候群ダウン症候群

= trisomy 21= trisomy 21

大多数は卵形成時の染色体不分離による大多数は卵形成時の染色体不分離による

正常正常

ダウン症

ダウン症

体細胞分裂体細胞分裂体細胞分裂は、すべての組織でいつも起こっているわけではない。体細胞分裂は、すべての組織でいつも起こっているわけではない。

間期間期 分裂期(M期)分裂期(M期)

必要に応じて、分裂期に入る。必要に応じて、分裂期に入る。

細胞周期細胞周期染色体が倍になり、分離して、染色体が倍になり、分離して、

2つの細胞になるまでの周期を言う2つの細胞になるまでの周期を言う

細胞周期細胞周期

G1 期G1 期

S 期S 期

G2 期G2 期

間期はさらに間期はさらに

M期M期

細胞周期細胞周期分裂を停止した細胞は、 G1期から外れて G0期に入り、細胞周期のサイクルの外に出る。

分裂を停止した細胞は、 G1期から外れて G0期に入り、細胞周期のサイクルの外に出る。盛んに分裂している細胞では、G0期に入らず、細胞周期のサイクルを繰り返す。

盛んに分裂している細胞では、G0期に入らず、細胞周期のサイクルを繰り返す。

実際の分裂の様子を見てみよう。実際の分裂の様子を見てみよう。

体細胞分裂体細胞分裂

体細胞分裂の過程は連続しているが、便宜的に有糸分裂期( mitosis、M期)と細胞質分裂期( cytokinesis)に分けられる。

体細胞分裂の過程は連続しているが、便宜的に有糸分裂期( mitosis、M期)と細胞質分裂期( cytokinesis)に分けられる。

体細胞分裂体細胞分裂

M期は、さらにM期は、さらに前期、中期、後期、終期前期、中期、後期、終期に分けられる。に分けられる。

体細胞分裂(固定像)体細胞分裂(固定像)

間期間期

M期M期

前期前期 中期中期

後期後期 終期終期

体細胞分裂の過程1体細胞分裂の過程1

●染色質の糸が凝縮し始め分裂染色体となる●染色質の糸が凝縮し始め分裂染色体となる●紡錘体( spindle)が形成され始める●紡錘体( spindle)が形成され始める

●染色体はさらに短くなり染色分体が明瞭となる●染色体はさらに短くなり染色分体が明瞭となる●染色体は赤道面に並ぶ●染色体は赤道面に並ぶ

体細胞分裂の過程2体細胞分裂の過程2

体細胞分裂の過程3体細胞分裂の過程3

●各染色分体が両極に移動する●各染色分体が両極に移動する●移動は紡錘体・星状体を構成する微小管の はたらきによる●移動は紡錘体・星状体を構成する微小管の はたらきによる

体細胞分裂の過程4体細胞分裂の過程4

●染色体は元の状態へ戻り、核膜が再生する●染色体は元の状態へ戻り、核膜が再生する●収縮環ができ始める●収縮環ができ始める

体細胞分裂の過程5体細胞分裂の過程5

●収縮環のはたらきでくびれが深くなり、分裂する●収縮環のはたらきでくびれが深くなり、分裂する

体細胞分裂体細胞分裂こうして細胞の数を増やしていく。こうして細胞の数を増やしていく。S 期に DNA が複製されて、染色体はまったく同じ2本の染色分体になるので、 2 つの娘細胞はまったく同じ遺伝情報をもつ。

S 期に DNA が複製されて、染色体はまったく同じ2本の染色分体になるので、 2 つの娘細胞はまったく同じ遺伝情報をもつ。

細胞周期の制御細胞周期の制御細胞周期の過程には、いくつかのチェックポイント(関所)があり、監視体制が敷かれていて、一定の条件を満たす場合にのみ、そこを超えて次のステップに行く事がわかってきた。

細胞周期の過程には、いくつかのチェックポイント(関所)があり、監視体制が敷かれていて、一定の条件を満たす場合にのみ、そこを超えて次のステップに行く事がわかってきた。もちろん監視体制というのは比喩的な表現で、物質的基盤がある。

もちろん監視体制というのは比喩的な表現で、物質的基盤がある。

MPF の発見MPF の発見

MPF が真核生物の細胞周期の制御に普遍的であるという認識MPF が真核生物の細胞周期の制御に普遍的であるという認識

ヒトデでの研究による卵成熟誘起物質と卵成熟促進因子( Maturation Promoting Factor )の発見

ヒトデでの研究による卵成熟誘起物質と卵成熟促進因子( Maturation Promoting Factor )の発見酵母菌での研究による M 期促進因子( M-phase Promoting Factor )の発見

酵母菌での研究による M 期促進因子( M-phase Promoting Factor )の発見

細胞周期に伴うサイクリン    濃度の変動と CdK活性細胞周期に伴うサイクリン    濃度の変動と CdK活性

G2→Mチェックポイントの実態G2→Mチェックポイントの実態

MPFは、サイクリンというタンパク質がサイクリン依存性キナーゼと結合して活性化されたもの

MPFは、サイクリンというタンパク質がサイクリン依存性キナーゼと結合して活性化されたもの

サイクリンの増減によって、MPF活性の消長が起こる

サイクリンの増減によって、MPF活性の消長が起こる

まとめまとめ 今回は、細胞分裂と細胞周期について、いろいろなことを学んだ。体細胞分裂の過程は、しっかりと覚えておくこと。

 今回は、細胞分裂と細胞周期について、いろいろなことを学んだ。体細胞分裂の過程は、しっかりと覚えておくこと。

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