② 差替え版 プレゼン資料(alca) nims 唐 大容量グラフェ …1...
TRANSCRIPT
1
大容量グラフェンスーパーキャパシター
物質・材料研究機構
エネルギー・環境材料研究拠点
先進低次元ナノ材料グループ
グループリーダー 唐 捷
先端的低炭素化技術開発(ALCA)蓄電デバイス分野 新技術説明会平成28年10月6日
2
グラフェンスーパーキャパシターの応用分野
CO2削減には、エネルギー効率がよく
ブレーキエネルギー回収率の高い電気自動車やハイブリッド車が求められる。これらの車には、高性能蓄電デバイスが必要である。主要な蓄電デバイスとして、リチウムイオン2次電池と電気二重層キャパシター(スーパーキャパシター)とがある。
電気自動車
走行距離:エネルギー密度急速充電: 出力密度
CO2削減 その他の応用●携帯電話用蓄電デバイス
●太陽電池用蓄電デバイスなどへの応用
●フォークリフト等の大出力用
●停電用非常用電源などの応用
3
従来技術(リチウムイオン2次電池)とスーパーキャパシターの比較
リチウムイオン2次電池
電気二重層キャパシター(スーパーキャパシター:SC)
エネルギー密度
出力密度 備考安全性
リチウムイオン二次電池とその事故
大
大
小 課題あり
グラフェンとCNTの積層構造で増大可能
安全
商業レベルですでに普及
一般のSCはエネルギー密度
が小
電気二重層キャパシター(スーパーキャパシター:SC)
4
グラフェンはキャパシター性能を飛躍的に高める
グラフェンはキャパシター性能を飛躍的に向上させる新素材
●炭素原子1個の厚さ → 巨大な比表面積 → 高エネルギー密度
●高導電性 → 高出力密度
●ナノポアの形成 → 電解液イオンの吸着・浸透 → 高エネルギー密度
●グラファイトはグラフェンの積層体 → 低コスト量産化
グラフェンはキャパシターを高エネルギー密度化・高出力密度化・低コスト化を可能にする
グラファイト グラフェン ナノポア
5
開発したグラフェン/CNTスーパーキャパシター技術の紹介
1. グラフェン電極化基盤技術開発
2. グラフェン電極最適化技術
3. グラファイトからの単層グラフェン低コスト量産化
4. 電解液の最適化
5. グラフェンキャパシターのスループロセス
6. グラフェンキャパシターの性能
6
1.グラフェン電極化基盤技術開発
グラフェン表面反応を活かす電極構造開発
カーボンナノチューブをスペーサーとするグラフェン積層構造 電解液イオン吸着と流路のナノポア
グラフェン
カーボンナノチューブ
電解液イオン
7
2.グラフェン電極最適化技術
グラフェン積層の横方向の構造にうねりが見られる。これはグラフェンのrippleによる。うねり
は電極反応を阻害するので特殊ロール矯正法により除いた。矯正により、充放電曲線の遅
れがなくなった。
グラフェン積層模式図
グラフェン積層上方向からの電顕写真
グラフェン積層横方向からの電顕写真と阻害となる空洞形成図
グラフェンのripple
矯正前後の充放電曲線
矯正性前
矯正後
8
蓄電デバイス 主原材料コスト 寿命リチウムイオン電池 金属リチウム
6万円/kg6~10年、3500サイクル
グラフェンキャパシター 輸入グラファイト2百円/kg
10年以上、1万サイクル以上
グラフェンは低廉なグラファイトから低コストで量産できる。
表 グラフェンキャパシターのリチウムイオン電池との経済性の比較
高性能グラフェンの量産プロセス
グラフェン剥離とカーボンナノチューブスペーサー化の同時プロセス
グラファイトからの低コスト量産化
3.グラファイトからの単層グラフェン低コスト量産化
9
4.電解液の最適化
イオン液体のMPPp-TFSIはMPPpについては反応はしない;TFSIは電極反応によりのS=Oの酸素を失い、電極に移り、C=Oを形成するが、安定である。
Voltage(V)
Ionic Liquids
SpecificCapacitance
(F/g)
Energy Density (Wh/kg)
4.5 MPPp-TFSI 314 216
キャパシター性能を左右するのは、電極材料・構造についで電解液である。安定で電極電圧を高くでき、エネルギー密度を大きくできるイオン液体を選定。イオン液体の中で、MPPp-TFSIの性能が高い。
4.5
10
5.グラフェンキャパシターのスループロセス
グラフェン積層電極、イオン液体、セパレータ等をシステム化し、キャパシター試作、今までにない性能を得た。
エネルギー密度:262Wh/kg(電極重量ベース)
出力密度: 255kW/kg(電極重量ベース)
使用劣化が少ないなどの実用性が確認された
●重なりが2枚以下のグラフェン、●高密度に形成させたナノポア、●カーボンナノチューブ
スペーサーのグラフェン積層、●最適なイオン液体の選定、●最適なグラフェンキャパシターシステム構築、により、現時点で世界トップの性能を達成。
コインセルグラフェンキャパシター
11
6.グラフェンキャパシターの性能
試作したグラフェンキャパシターの特徴●比較的高いエネルギー密度:262Wh/kg
(電極重量ベース) ●極めて高い出力密度:255kW/kg
(電極重量ベース) ●高速放電安定性●耐繰り返し劣化性
チャージ・ディスチャージ特性
繰り返し安定性高速放電でのキャパシタンス(電気容量)
3.0V
3.5V
3.7V
(電圧3.7V: エネルギー密度123Wh/kg, 出力密度255kW/kg)
5000回100% 10000回
94%
12
試作したグラフェンキャパシター性能の比較
●グラフェンキャパシター研究は米国が最も進んでいる。米国のトップ機関(下表の上)と比較し、唐グループ(下表の下)は、キャパシタンス及びエネルギー密度とも優れている。
13
大型グラフェン電極プロセスの開発
現在のラボないしはベンチスケールから実使用を目指して大面積グラフェン積層シート作製と性能評価を実施中
グラフェン積層シート片から大面積電極シート作製し、コイン及びラミネート型キャパシターで性能評価
14
【参考】グラフェンキャパシターの他との比較
●現在の活性炭素キャパシターとの比較
実使用されている活性炭素電極のキャパシターは、比表面積増大のため、高密度に微細孔を形成させている、グラフェンの比表面積や導電性に比べ格段に低い。
●リチウムイオン2次電池との比較
リチウムは活性で燃えやすいため、電池の火災事故が絶えない。使用中だけでなく廃棄後の事故も絶えない。エネルギー密度は高いが、出力密度が低く、長時間充電を要し、寿命が短いなど、問題が多い。
●グラフェンキャパシターの特徴
性能が高く、安全、急速・非接触充電可能、長寿命、低コスト化可能、などの利点をもつ。
活性炭素の微細孔
リチウムイオン電池の事故
15
本技術に関する知的財産権
• 発明の名称 :カーボンナノチューブ連結のグラフェンシートフィルムとその製造方法及びそれを用いたグラフェンシートキャパシター
• 登録番号 :5747421• 出願人 :物質・材料研究機構
• 発明者 :唐捷 他
その他 関連特許12件保有(出願済み含む)
16
グラフェンキャパシター開発の見通しが得られ、実用化の段階にある。
グラフェンスーパーキャパシターの材料、プロセス及びその実用化に関心のある企業を募集中(ALCAへの参加または個別の共同研究)
企業への期待
当機構独自の研究成果により、グラフェン電極材料の量産化の開発(ハリマ化成との共同研究)
キャパシター電極の整粒・混合、電極膜の作製についての関連技術を持つ企業や、デバイス製品に興味のある企業との連携を希望(連携の形態についてはご相談させてください。
グラフェンスーパーキャパシタの応用に関心のあるパートナー募集中
17
お問い合わせ先
科学技術振興機構
環境エネルギー研究開発推進部
TEL 03-3512 - 3543
FAX 03-3512 - 3533
e-mail alca@jst.go.jp