3-8 人間環境学部 - hosei ·...

21
3-8 人間環境学部 【到達目標】 (教育課程等) 人間環境学部は,「人間と環境」とのかかわりに関する諸問題を解決するという時代の要請に応ず るべく設立され,サステイナビリティー(持続可能性)を基本コンセプトに学問の総合化を志向 して,既存の学部には見られない「環境に関する学際的な教育」を行い,豊かな人間性をもった 社会科学系の環境専門家を育成することを目指して,教育課程を展開している。 本学部のカリキュラムは,人文科学,社会科学,自然科学,外国語,体育の基礎科目に加えて, 学部専門科目として,大学での学び方や学習のための技術(読み書き能力)を入学後早い内に身 につけることを目的とするフレッシュマン科目,スキルアップ科目,そして,5つの科目群から 成る講義科目と研究会(ゼミナール),フィールドスタディ,人間環境セミナー,インターンシッ プなどの展開科目で構成されている。 学部開設後,4年を経た2003 年度には,学生の勉学意欲を増す目的から履修の自由度を拡大す るために大幅なカリキュラム改正を行い,また,学生からの要望の強かった科目の新設,フィー ルドスタディにおけるコースの増設,インターンシップの正規科目化,さらにコース制を導入す るなど,学部の理念に照らしてカリキュラム構成を見直し改善・充実を図ってきた。 しかし,次のような問題も浮上してきている。今日における環境問題の領域はますます広がっ てきており,学生にとっては限られた時間で,複数の学問領域を並行して深く理解することが難 しくなっている。また,学習の焦点を絞るのに困難を感じている学生も少なからず見かけられる 現状にある。さらに,本学部の卒業生が従事する職業分野は,多かれ少なかれ環境と関わり合い を持つものが多いが,そこでは環境に関する総合的な知識と同時にかなりの専門的知識が要求さ れる場面が多くなってきている。環境問題を基軸に諸学問を連接し,学際的な新しい環境学を構 築していくという大きな方向性に変わりはないが,現実的課題として,幅広い知識と同時に,あ る程度限定された分野における深い知識の習得の必要性があげられる。 この課題は,2004 年度に学部内に設置した「将来構想委員会」の主要な検討テーマとなってお り,これまで多くの時間をかけて検討を続けてきている。カリキュラムに関しては,学部の最重 要課題であるとして,科目構成のバランス,新規に開設が望まれる科目,コース制の活用法など を取り上げて来た,現在は具体案作りの段階に達しつつある。学部としてはこうした将来構想委 員会の検討結果を速やかに実施するため,教授会構成員における問題意識の共有,関連する諸問 題の検討などを鋭意進めている。 本学部では,設立時より1年次必修科目として,大学教育への,そして専門教育への導入科目 として,「人間環境学入門」と「基礎演習」を開設して来た。人間環境学入門に関しては,所期の 成果をあげていると評価できるが,さらに,いわゆるオムニバス形式の授業の利点を生かしつつ, 学生の理解力に対応したレベルおよび内容面での連続性と一貫性を図るために,コーディネータ ー役の担当教員をおく制度を導入する。 基礎演習についても,当初の期待以上の成果をあげているが,1年次の必修科目で少人数クラ ス方式をとっているため,約 20クラスを毎年開講しなければならず,開講時限の設定,担当教員 3- 23 7

Upload: others

Post on 20-Aug-2020

2 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

Page 1: 3-8 人間環境学部 - Hosei · につけることを目的とするフレッシュマン科目,スキルアップ科目,そして,5つの科目群から 成る講義科目と研究会(ゼミナール),フィールドスタディ,人間環境セミナー,インターンシッ

3-8 人間環境学部

【到達目標】

(教育課程等)

人間環境学部は,「人間と環境」とのかかわりに関する諸問題を解決するという時代の要請に応ず

るべく設立され,サステイナビリティー(持続可能性)を基本コンセプトに学問の総合化を志向

して,既存の学部には見られない「環境に関する学際的な教育」を行い,豊かな人間性をもった

社会科学系の環境専門家を育成することを目指して,教育課程を展開している。

本学部のカリキュラムは,人文科学,社会科学,自然科学,外国語,体育の基礎科目に加えて,

学部専門科目として,大学での学び方や学習のための技術(読み書き能力)を入学後早い内に身

につけることを目的とするフレッシュマン科目,スキルアップ科目,そして,5 つの科目群から

成る講義科目と研究会(ゼミナール),フィールドスタディ,人間環境セミナー,インターンシッ

プなどの展開科目で構成されている。

学部開設後,4 年を経た 2003 年度には,学生の勉学意欲を増す目的から履修の自由度を拡大す

るために大幅なカリキュラム改正を行い,また,学生からの要望の強かった科目の新設,フィー

ルドスタディにおけるコースの増設,インターンシップの正規科目化,さらにコース制を導入す

るなど,学部の理念に照らしてカリキュラム構成を見直し改善・充実を図ってきた。

しかし,次のような問題も浮上してきている。今日における環境問題の領域はますます広がっ

てきており,学生にとっては限られた時間で,複数の学問領域を並行して深く理解することが難

しくなっている。また,学習の焦点を絞るのに困難を感じている学生も少なからず見かけられる

現状にある。さらに,本学部の卒業生が従事する職業分野は,多かれ少なかれ環境と関わり合い

を持つものが多いが,そこでは環境に関する総合的な知識と同時にかなりの専門的知識が要求さ

れる場面が多くなってきている。環境問題を基軸に諸学問を連接し,学際的な新しい環境学を構

築していくという大きな方向性に変わりはないが,現実的課題として,幅広い知識と同時に,あ

る程度限定された分野における深い知識の習得の必要性があげられる。

この課題は,2004 年度に学部内に設置した「将来構想委員会」の主要な検討テーマとなってお

り,これまで多くの時間をかけて検討を続けてきている。カリキュラムに関しては,学部の最重

要課題であるとして,科目構成のバランス,新規に開設が望まれる科目,コース制の活用法など

を取り上げて来た,現在は具体案作りの段階に達しつつある。学部としてはこうした将来構想委

員会の検討結果を速やかに実施するため,教授会構成員における問題意識の共有,関連する諸問

題の検討などを鋭意進めている。

本学部では,設立時より 1 年次必修科目として,大学教育への,そして専門教育への導入科目

として,「人間環境学入門」と「基礎演習」を開設して来た。人間環境学入門に関しては,所期の

成果をあげていると評価できるが,さらに,いわゆるオムニバス形式の授業の利点を生かしつつ,

学生の理解力に対応したレベルおよび内容面での連続性と一貫性を図るために,コーディネータ

ー役の担当教員をおく制度を導入する。

基礎演習についても,当初の期待以上の成果をあげているが,1 年次の必修科目で少人数クラ

ス方式をとっているため,約 20 クラスを毎年開講しなければならず,開講時限の設定,担当教員

3-237

Page 2: 3-8 人間環境学部 - Hosei · につけることを目的とするフレッシュマン科目,スキルアップ科目,そして,5つの科目群から 成る講義科目と研究会(ゼミナール),フィールドスタディ,人間環境セミナー,インターンシッ

の選定など運営上の作業に時間をとられている。また,担当教員の専門分野との関連においてク

ラス間の内容上のばらつきも見られ,学習ガイドを作成したりメニューの標準化を図るなどの改

善が課題となっている。

(教育方法等)

本学部教員の中には,全学的 FD 制度が始まる以前から,科目内容に合った個別の授業評価アン

ケートを自主的に実施していた者も多いが,2004 年度から実施されている全学的な FD(ファカル

ティ・ディベロップメント)の中で,「学生による授業評価アンケート」が行われている。

教員間での教育に関する意見交換を更に活発にしていくための場作りを進める。また,授業評

価アンケートについては,本学部の授業特性に適合した実施方法,実施時期,質問内容を工夫し

ていくことが望まれる。

個別授業の短期的な教育効果の測定にとどまらず,学部教育が目指してきた理念に照らして,

長期的かつ学部総体としての教育効果の測定も重要と考えている。これらに関しては,適切な指

標の検討・作成,測定方法の工夫など,本学部の長期的課題として研究を進めていく。

(国内外における教育研究交流)

現状の国際研究教育交流は,一部の海外フィールドスタディや時折の国際シンポジウム開催に

限られている。しかしながら,いずれも学生の国際的な環境問題に対する視野を広げ,その後の

学習に大きな刺激になっている。環境問題の性格上,国際的な連携が今後さらに求められるよう

になると考えている。このため,海外フィールドスタディの拡充とともに,将来的には,海外大

学と連携した授業や海外研修,さらには,海外大学での環境 SA(スタディ・アブロード)プログ

ラムも検討する。

(1)教育課程等

1)学部・学科の教育課程

a. 現状の説明

本学部のカリキュラムは,大きく分けて二つの部分から成っている。すなわち,「市ヶ谷基礎

科目」と「学部専門科目」である。しかしながら,本学部では「基礎」と「専門」といったとら

え方はしていない。後述するように,履修学年の設定においても 1・2 年生で「市ヶ谷基礎科目」

を学び,3・4 年生で「学部専門科目」を履修するという順序づけは行っていない。

まず,「市ヶ谷基礎科目」は,5 群に分かれている。1 群は「人文科学」の諸科目「文学」「哲学」

から「芸術」まで 20 科目(すべて 2 単位科目)を設けている。2 群は「社会科学」である。「法

学」「政治学」など 16 科目(同上),ここには「心理学」も含まれる。また,3 群は「自然科学」

に属する 14 科目(同上)であり,「数学・情報を読むために」や「科学史」「天文学」などを開講

している。さらに,4 群は「外国語」科目で,「英語」「ドイツ語」「フランス語」「中国語」「ロシ

ア語」「スペイン語」「日本語(留学生のみ)」のほか,各国語の選択科目および「選択朝鮮語」「英

語特講」の計 16 科目で構成されている。5 群は「体育実技」で,フィットネスやテニス・スキー

(野外教室)などのスポーツ種目が設けられている。

次に,「学部専門科目」には,リテラシー科目として「フレッシュマン科目」「スキルアップ科

3-238

Page 3: 3-8 人間環境学部 - Hosei · につけることを目的とするフレッシュマン科目,スキルアップ科目,そして,5つの科目群から 成る講義科目と研究会(ゼミナール),フィールドスタディ,人間環境セミナー,インターンシッ

目」,「展開科目」としての 5 つの「科目群(法律・政治,経済・経営,社会・地域,人間・文化,

地球・生命)」,および,「研究会(ゼミナール)」,「フィールドスタディ」,「人間環境セミナー」,

「インターンシップ」が設けられている。以下に学部専門科目のそれぞれについて説明する。

※カリキュラム概念図(文末に添付)

【リテラシー科目】

大学での学び方や学習のための技術(読み書き能力)を入学後早い内に身につけることを目的

として「フレッシュマン科目」と「スキルアップ科目」を設けている。

① フレッシュマン科目

「人間環境学入門Ⅰ」と「人間環境学入門Ⅱ」および「基礎演習」が 1 年次前期セメスター

における必修科目で,2 年次までの履修を義務づけており,これらの単位取得を 3 年次進級条

件としている。

本学部は諸学問の総合化を目指しており,2 年次以降本格的に「学際的」な科目を勉強する

ことになる。学際教育が効果的であるためには,入門段階での方向付けが重要となる。「人間環

境学入門Ⅰ」で,学部のカリキュラム体系についてその理念と履修方法などを詳しく説明,学

習の手引きとなる情報を提供する。「持続可能な社会」をめぐる諸問題を概説し,環境問題が総

合的で多面的な考察を必要とする課題であることを確認,人文・社会科学系科目担当教員によ

るオムニバス形式の講義を通して,人間環境学への視点を提示する。

「人間環境学入門Ⅱ」では,環境問題学習に不可欠である自然科学の基礎的な知見・理解を

身につけることを目指して,自然科学系科目担当教員によるオムニバス形式の講義が行われて

いる。

「基礎演習」は「人間環境学入門Ⅰ・Ⅱ」を履修した後,大学で学ぶためのスキルを身につ

けることを目的として,1 年次後期セメスターの必修科目として開講している。学部専任教員

が分担して演習クラス(毎年 20 クラスほどを設定)を担当し,文献・資料の検索方法,レジュ

メ・レポートの作成法,プレゼンテーション(発表)の仕方など,基本的な技術を習得させて

いる。また,少人数(1 クラス 20 名前後)授業の利点を生かして,学生と教員・学生同士のコ

ミュニケーションをはかり,学部への所属意識を高める機会となるよう計画されたものである。

② スキルアップ科目

スキルアップ科目には,情報処理の能力向上を目的にした「情報処理基礎」「ネットワークと

マルチメディア」「統計処理Ⅰ」「統計処理Ⅱ」および英語と中国語の会話能力アップを図るた

め,「アクティブ語学」科目としてそれぞれ「初級」「中級」「上級」会話クラスを設けている。

「アクティブ語学」については「市ヶ谷基礎科目」の語学科目に振り替え可能な制度をとって

いる。

【展開科目】

「展開科目」は 5 つの科目群から構成される「学際的」なものとなっている。それぞれの科目

群は「基幹科目」と「専攻科目」に区分され,基幹科目は1 年次からの履修,専攻科目は 2 年次から

3-239

Page 4: 3-8 人間環境学部 - Hosei · につけることを目的とするフレッシュマン科目,スキルアップ科目,そして,5つの科目群から 成る講義科目と研究会(ゼミナール),フィールドスタディ,人間環境セミナー,インターンシッ

の履修する原則となっている。

① 基幹科目

基幹科目では 5 科目群それぞれの中から,専門基礎と位置づけられる 4~6 科目を選定し,専

攻科目の履修へ繋げることにしている。特に履修の順序が定まっているような科目については,

「履修ガイド」に記載して注意を喚起している。

② 専攻科目

専攻科目の 5 科目群を簡単に説明する。「法律・政治」科目群は環境法や環境行政を学ぶ科目

からなり,国内のあるいは国際的な環境政策の仕組みを取り上げる。「経済・経営」では,経済

の視点から環境問題のメカニズムをとらえ,企業の環境経営や途上国の持続可能な開発など問

題解決の方策を考察。「社会・地域」では現代社会の有り様やライフスタイルを点検し,持続可

能な社会・地域づくりの実際を NPO の役割なども視野に入れ学習する。「環境」を考える際「人

間」についての考察が欠かせないという本学部のカリキュラムの特色を端的に現しているのが

「人間・文化」科目群である。思想・芸術・歴史・文化などの領域から「持続可能性」の土台

となる人間のあり方を問い,人間理解の考えを深める目的で設けている。「地球・生命」科目で

は,地球の自然環境や生命に関する基礎知識を習得し,自然保護,エネルギー問題,心身の健

康などを,新たな自然科学の動向とともに学ぶ。

これらの講義科目に加えて,専攻科目においては,演習形式や本学部の特色ある授業形態で

あるフィールドスタディ(現地学習)や外部講師による人間環境セミナー,インターンシップ,

が開講されている。

【研究会(ゼミ)】

本学部では,いわゆる演習(ゼミナール)を「研究会」と表記している。2 年次以降の履修科

目である。同一教員が担当する研究会を複数回履修することができ,修得単位数の上限は設けて

いない。

2005 年度より,研究会を 2 つのタイプに分けている。Aタイプ(通年開講型)は,2 年次から

4 年次までひとつのゼミに所属することにより,継続的学習により成果をあげることを目指して

いる。2 つ以上のAタイプゼミを同時に履修することはできない。原則として,4年次に卒論に相当する研究レポートの作

成を義務づけている。

Bタイプ(通年もしくは半期開講型)は,担当教員の許可があれば,他の研究会との重複履修

ができる。年度ごとに参加メンバーが変動することを可としている。。ただし,Bタイプも継続して履修することが望ましいと

する研究会もある。

2005年度は通年・半期型を合わせて53クラスが開講され,対象学年の約7割の学生が参加している。毎年12月に次年度研

究会への参加希望調査をし,後期試験前に参加者の確定ができるようにしている。

【フィールドスタディ】

フィールドスタディ(現地学習)は,「人間環境学」の学習を進めていくうえで,講義や文献か

ら学んだ事柄を直接現地に赴いて検証するために設けている。フィールドスタディは本学部のカ

リキュラムの特色を体現したもので,環境問題を肌で感じ,現地でさまざまな実体験を重ね,自

3-240

Page 5: 3-8 人間環境学部 - Hosei · につけることを目的とするフレッシュマン科目,スキルアップ科目,そして,5つの科目群から 成る講義科目と研究会(ゼミナール),フィールドスタディ,人間環境セミナー,インターンシッ

らの問題意識を高めていくことを目的としている。各コースは,テーマに応じて,現地での観察

や調査,実習などを行う。夏期休暇中に原則として 3 泊 4 日で実施され,原則として専任教員全

員が担当する。現地での学習の準備のための事前学習会および事後報告会を複数回行うことで効

果を高めるしくみをとっている。

2005 年度は 20 コース,中国・ベトナムの海外コースおよび青森県から福岡県までの国内コー

ス,を実施した。毎年約 400 人が希望している。

年度初めの 4 月に,コースごとの実施概要を発表,志望理由書を含む書類を提出してもらい参

加者募集を行っている。5 月はじめに参加許可者を発表し,事前学習を開始する。選択科目であ

るので,参加費用は参加学生の個人負担である。

履修学年は 2 年次以上。夏期休暇中に実施されるので,後期セメスター科目として実際に参加

した者のみが登録を行う。1 コース 2 単位で 3 コース(6単位)までを履修上限としている。同一

年度に 2 コース以上を履修する,また同一コースを 2 回以上履修することは原則としてできない

が,各コースの参加人員に余裕がある場合,担当教員の判断で許可することがある。

【人間環境セミナー】

フィールドスタディが現地に出かけて行う学習であるのに対し,人間環境セミナーは自治体・

企業・NPO など社会の第一線で活躍する専門家を講師に招いて開講するもので,キャンパスでの

フィールドスタディとも言える。専門家の経験に基づく講義により視野を広げ,知的好奇心の開

発を目指している。2000 年度からの開講で,各セメスターごとにテーマを設け,専任教員 2~5

名が企画を立て講師を選任・依頼し,コーディネーターを務めている。本学部のカリキュラムの

幅と同じく,文化政策から企業・NPO,自然科学まで多様なテーマを取り上げ,1 テーマを 8~10

名ほどの講師を招いて実施している。

講師依頼の都合上,土曜日の午後に開講しているが学生の関心は高く,毎セメスター200 名を

超える受講者を集めている。

【インターンシップ】

本学部では 2004 年度からインターンシップを正規科目として設置した。それまでも官公庁や企

業でのインターンシップに参加する学生がおり,正規科目としてほしいという学生からの要望が

寄せられていた。毎年度はじめに,この科目の目的登録方法等についての説明会を開催している

が,この中で前年度にインターンシップを経験した学生による報告を行っている。

この事前説明会に参加した後,事前登録を行う。受け入れ機関は学生自身で決定する。履修者

は,事前指導時に実習計画書,実習後に報告書を担当教員に提出する。その後,事後報告会に出

席し発表・討論が義務付けられている。

単位認定の対象になるインターンシップは,原則として通算 10 日以上の実習を伴うものとされ

ており,履修学年は 3・4 年生である。

b. 点検・評価 長所と問題点

基礎科目は現在「市ヶ谷地区教養教育運営協議会」によって運営されている,本学部では 2 名

3-241

Page 6: 3-8 人間環境学部 - Hosei · につけることを目的とするフレッシュマン科目,スキルアップ科目,そして,5つの科目群から 成る講義科目と研究会(ゼミナール),フィールドスタディ,人間環境セミナー,インターンシッ

の教員が協議会委員となっており,相当数の教員が授業担当者として関わりを持っている。学部

開設当時は,旧第二教養部カリキュラムに沿って科目設置等がなされていたが,その後科目の増

設などにより現在の科目構成となっている。本学部では,市ヶ谷基礎科目の最低履修単位数を 40

単位としており,1~3群は 24 単位以上,4 群(外国語)は必修 1 外国語 8 単位のほか選択外国語

を履修できる,5 群(体育実技)は 2 単位が必修である。

基礎科目の中で,4 群と 5 群については 3 年次までに履修することが義務付けられており,4 年

次進級条件となっている。一方,1~3 群科目は 1 年次から 4 年次の間で自由に履修できる。これ

が,先述した市ヶ谷基礎科目と学部専門科目を履修順序で区分するというやり方をしないという

ことである。なぜなら,本学部の特徴として,学部専門科目が学際的に人文科学から社会科学そ

して自然科学と幅広く設定されている,これは基礎科目が幅広い教養という意味での科目の広が

りを有しているのと同じである。「環境」を対象に学際的に学ぶという目的からすれば,これは教

養科目あれは専門科目と区分することはあまり意味を持たない。専門科目を学んで行くうちに関

連する教養(基礎)科目を学ぶ必要を感じたり,意味を理解できるようになると考えてこのよう

な履修制度を設けた。実際に,「環境倫理」を専門科目で学んだ後により広く倫理学や哲学を学ぶ

学生がいる。また,学部専門科目ではカバーしきれていない「心理学」や「人類学」関連の科目

を市ヶ谷基礎科目として学ぶことができるのは,学際性をより深めるのに効果的であるといえる。

このような教養・専門の考え方に立てば,市ヶ谷基礎科目の現在の設置科目をさらに拡大するこ

とが必要であると言えよう。

学部専門科目に関しては,2002 年度まで人間形成科目と 4 つの系(専門科目)で構成されてい

たが,それぞれの最低取得単位数の制限に代わって,実際に学ぶ学生の勉学意欲を増す目的から

履修の自由度を拡大するために大幅なカリキュラム改正を 2003 年度に行った。また,学生からの

要望の強かった科目の新設,人間環境入門Ⅱの新設,フィールドスタディのコースの増設,イン

ターンシップの正式科目化,さらにコース制を導入するなど学部の理念に照らしてカリキュラム

構成を見直し改善を図ってきた。これを進めるに際し,学生のニーズの把握に努めた。

本学部の学際的なカリキュラムの長所である,幅広い学習,多面的な視点の提供に関しては学

生の間に浸透しているという評価はできる。ただし,今日における環境問題の領域はますます広

がってきており,学生の限られた時間において,数多くの分野を並行的に深く理解することが難

しくなっているのは事実である。また,学習の焦点を絞るのに困難を感じている学生も少なから

ず見かけられる現状にある。

さらに,本学部の卒業生が従事する職業分野は,多かれ少なかれ環境と関わり合いを持つもの

が多いが,そこでは環境に関する総合的な知識と同時にかなりの専門的知識が要求される場面が

多くなってきているのも事実である。このようなことから現実的問題として幅広い知識と同時に,

その中でもある程度,分野を限った深い知識の習得が必要になってきている。もちろん,環境問

題を基軸に諸学問を連接し,学際的な新しい学問を構築していくという大きな方向性に変わりは

ない。

c. 将来の改善・改革に向けた方策

これらの問題は,2004 年度よりの「将来構想委員会」の主要な検討テーマであり,これまで多

3-242

Page 7: 3-8 人間環境学部 - Hosei · につけることを目的とするフレッシュマン科目,スキルアップ科目,そして,5つの科目群から 成る講義科目と研究会(ゼミナール),フィールドスタディ,人間環境セミナー,インターンシッ

くの時間をかけて検討を続けてきている。カリキュラムに関しては,学部の最重要課題であると

して,科目構成のバランス,新規に開設が望まれる科目,コース制の活用法などを取り上げ具体

案作りの段階に達しつつある。学部としてはこうした将来構想委員会の検討結果を速やかに実施

するため,教授会構成員における問題意識の共有,関連する諸問題の検討などを鋭意進めている。

2)カリキュラムにおける高・大の接続

a. 現状の説明

本学部では,設立時より 1 年次必修科目として,人間環境学入門と基礎演習を開設している。

人間環境学入門は,まず学部のカリキュラム体系についてその理念と履修方法などを詳しく説

明し学習の手引きとなる情報を提供する。同時に,21 世紀の「持続可能な社会」をめぐる諸問題

を概説し,環境問題が総合的で多角的な考察を必要とする課題であることを確認する。その上で,

人文・社会科学・自然科学の各分野の担当教員によるオムニバス形式の講義を通して,人間環境

学への視点を提供する。

2003 年度からは,それまでの総合的入門科目から,人文・社会科学分野を「人間環境学入門Ⅰ」,

自然科学分野を入門Ⅱと発展させた。人間環境学部は,人文・社会科学系教科を中心に据えつつ

環境問題を多角的に捉えることを目指す学部であるが,それには自然科学の基礎的な知見・理解

が不可欠である。高校時代に自然科学を学習する機会の少なかった学生にとっては格好の基礎学

習の場となっている。

また,「基礎演習」は,前期に「人間環境学入門Ⅰ・Ⅱ」を履修した後,大学で学ぶためのスキ

ルを身につけることを目的とした少人数型の演習科目である。学部教員が分担して演習クラスを

担当し,文献や資料の検索法,レジュメの作成法,発表の仕方やレポートの作成法など基本的な

技術の習得を目指す。少人数授業の利点を活かして,学生と教員・学生同士のコミュニケーショ

ンを図り,互いに刺激しあって活発に議論を展開していく習慣をつけ,2 年次以降の学習の有効

性を高めることも目的としている。

b. 点検・評価 長所と問題点

「人間環境学入門Ⅰ・Ⅱ」に関しては,所期の成果をあげているが,限られた時間数の中で多

様な内容を提供する必要があることの反面,若干理解不足も生じている場合もある。このため,

いわゆるオムニバス形式の授業の利点を生かしつつ,学生の理解力に対応したレベルおよび内容

面での連続性と一貫性の工夫が求められている。

基礎演習については,当初の期待以上の成果をあげている。とりわけ,教員と学生との密接な

関わりのある場として満足度の高い授業となっている。1 年次において自主的・積極的な学習を

進めた科目としてこの基礎演習をあげる学生は多い。しかしながら,問題点としては,1 年次の

必修科目で少人数クラスであり約 20 クラスを毎年開講するため,時限設定,担当教員の選定など

運営上の調整などがあげられる。さらに,担当教員の専門分野との関連においてクラス間の内容

上のばらつきもあり,改善が望まれている。

3-243

Page 8: 3-8 人間環境学部 - Hosei · につけることを目的とするフレッシュマン科目,スキルアップ科目,そして,5つの科目群から 成る講義科目と研究会(ゼミナール),フィールドスタディ,人間環境セミナー,インターンシッ

c. 将来の改善・改革に向けた方策

これらの問題点に対応して現在いくつかの方策が検討され,実施に移す方向になっている。「人

間環境学入門Ⅰ」に関しては,2006 年度よりコーディネーター制度を導入し,担当教員のうち 1

名が連続して出講する。これにより,オムニバス形式の講義のレベル調整と内容の連続性を図る

ことになっている。基礎演習の内容の調整に関しては,ガイダンスの作成や,メニューの標準化

する方向で検討している。

3)カリキュラムと国家試験

a. 現状の説明

現状,環境に関わる国家資格は理系分野および実務経験を要するものがほとんどであり,本学

部では資格取得と直結する科目は設置されていない。ただし,公害防止管理者資格につながる科

目として,「公害防止管理論Ⅰ・Ⅱ」は設置されている。なお,国家資格ではないが,環境関連の

資格として環境マネジメントシステムの国際規格である ISO14001 に関する授業が行われ,これを

履修した学生が,大学の実施している「環境マネジメントシステム研修講座」を受講し,審査員

資格の取得を目指している。

b. 長所と問題点

現状においては,実務経験を要する資格が殆どであり,学部教育のみでは資格取得に結びつく

ものではない。したがって,学部としては,就職を含め学生の長期的なキャリア形成の指導を通

して将来的な資格取得を奨励している。本学部は設置して間もないため,まだ本格的に資格者を

輩出している現状にはない。

c. 将来の改善・改革に向けた方策

将来的には環境に関する様々な資格が創設されることが予想されるため,社会のニーズの把握

や創設資格の内容などに関する情報収集に努めていきたい。また,資格取得を希望する学生に対

して,そのための学習指導を鋭意進めていきたい。さらに,中期的には,資格を取得し社会で活

躍している卒業生と連携して,現役学生の資格取得への意欲を向上させるためのセミナーなども

開催していきたい。

4)インターンシップ,ボランティア

a. 現状の説明

2004 年度よりインターンシップを正規科目とした。受け入れ機関については,学生自らが選定

し実習前に科目担当教員と内容等について相談・調整し,許可を得ることとなっている。原則とし

て 10 日間以上の実習を義務付けている。受け入れ先としては,環境関連の省庁,自治体・企業の

環境関連部署,NPO・NGO などがある。受け入れ先情報に関しては,学部に専用の掲示板を設け学

生の便宜を図っている。

ボランティア活動に対しての単位認定は行っていない。ただし,学生のボランティア活動は活

発で,棚田保全,地域活性化,児童への環境教育など多方面での自主的な活躍が注目されている。

3-244

Page 9: 3-8 人間環境学部 - Hosei · につけることを目的とするフレッシュマン科目,スキルアップ科目,そして,5つの科目群から 成る講義科目と研究会(ゼミナール),フィールドスタディ,人間環境セミナー,インターンシッ

b. 点検・評価 長所と問題点

インターンシップに関しては,現状,始まったばかりで,まだ年 10 人程度の参加にすぎないが,

徐々に増加の傾向にはある。事前指導および事後報告会を実施,その効果を高める形での取り組

みを行っている。毎年 1 回,学部学生を対象にインターンシップ説明会を開催,その中で経験し

た学生による体験報告も行われ,参加意欲を高めてきている。特に問題はないが,一連の学生指

導,管理におけるより効果的な仕組みづくりが今後の課題として残っている。

ボランティアに関しては,特に単位化への希望や動きもない。本学部学生は,とりわけボラン

ティア活動に関しての意欲が強く,大学主催の活動支援制度である「チャレンジ・サポート・シス

テム」への応募・採択率は,学部間比較では圧倒的な高さにある。

c. 将来の改善・改革に向けた方策

インターンシップに関しては,今後,希望学生が増大することが見込まれ,学生への情報提供,

事前事後指導等に関するシステム化を図り,社会との連携の中で環境問題を考える本学部教育の

重要な柱として位置付けていきたい。現在,参加時期と履修登録時期の整合性をとるための制度

改訂を検討している。

学生のボランティア活動,ないし社会貢献活動については,自主的かつ自由な発想で進めるこ

とが大事と考えている。したがって,単位化により活動を標準化の方向に導いたり,制度的枠組

みの中にとどめるような形での推奨は考えていない。むしろ,学生の自主的な活動を支援する形

での教員および学部側の取り組みを積極的に考えていきたい。

5)履修科目の区分

a. 現状の説明

本学部では,学生が自らの関心に基づいて主体的に学習をデザインできることが大切と考え,

自由度の高い履修制度を設けている。必修科目は,「人間環境学入門Ⅰ・Ⅱ」および「基礎演習」

のみである。これら必修科目は,本学部での学習を進めるに当たっての導入教育をなしており,

同科目の履修によって,各人が自己の学習プログラムを検討できる力を持つことが期待されてい

る。

なお,本学部では,卒業所要単位は 124 単位である。その内訳は,基礎科目(「市ヶ谷基礎科目」

計 40 単位以上)において外国語(8単位),体育実技(2 単位)が必修となっており,その他は人

文科学・社会科学・自然科学(各 4 単位以上,24 単位以上)が選択必修となっている。また,専門

科目(84 単位以上)は,リテラシー科目(8 単位以上)と展開科目(76 単位以上)で構成されて

いる。リテラシー科目の内訳は,フレッシュマン科目(人間環境学入門Ⅰ・Ⅱ,基礎演習の必修 6

単位)およびスキルアップ科目(情報処理,アクティブ語学)である。

b. 点検・評価 長所と問題点

本学部が対象としている人間環境学分野はきわめて学際的であり,必修科目を多く設けること

は,逆に勉学の幅を狭めることにつながる。したがって,カリキュラムとしては,必修科目を極

3-245

Page 10: 3-8 人間環境学部 - Hosei · につけることを目的とするフレッシュマン科目,スキルアップ科目,そして,5つの科目群から 成る講義科目と研究会(ゼミナール),フィールドスタディ,人間環境セミナー,インターンシッ

力少なくし,導入教育の充実と,学習のガイドラインとしてのコースを示すことで,学生に適切

な科目選択を促している。

これにより自主性と積極性を発揮して,勉学を進め成果をあげている学生は多い。例えば,大

学主催の「懸賞論文制度」に応募する者は多く,高い評価を受け入賞する割合も高い。一方で,

選択の自由さを活かすことができず勉学の方向を明確につかみきれない学生がいることも実情で

ある。

c. 将来の改善・改革に向けた方策

現状においては,必修科目を増やすことは考えていない。上記問題点における,勉学の方向性

をつかみきれない学生に関しては,コース制におけるガイダンス,研究会(ゼミナール)やオフ

ィスアワーにおける相談などを通して,履修計画作成の指導を徹底していく。

なお,カリキュラム全体の構成に関しては,科目の改廃も含め,引き続き将来構想委員会で検

討課題としていきたい。

6)授業形態と単位の関係

a. 現状の説明

本学部における単位は次の基準で計算している。

①講義および演習(研究会・基礎演習)は,毎週 1 回 1 セメスター15 週の授業をもって 2 単位

とする。

②外国語科目および体育実技は,毎週 1 回 1 セメスター15 週の授業をもって 1単位とする。

③フィールドスタディは,オリエンテーション,事前学習,現地学習(原則として 3 泊 4 日),

事後学習を通して 1 コース 2 単位とする。

b. 点検・評価 長所と問題点

本学部はセメスター制を採用しており,通年型の研究会(ゼミナール)を除いては,すべての

専門科目は 1 セメスター2 単位となっている。これにより多様な科目を履修することができ,科

目選択の自由度が高くなっている。研究会に関しては,これまで全てが半期型であったが,受講

者の継続性を確保する必要から通年型を導入することにした。

c. 将来の改善・改革に向けた方策

通年型研究会の導入により,これまでの問題点は解消しており,現時点では大きな改訂の必要

は感じていない。なお,今後の課題として,1 セメスター週 2 回で 4 単位,あるいは 1/2 セメス

ター週 2 回で 2 単位など,様々な授業形態の導入が考えられる。学生の学習効果,外部からの講

師の招聘などの検討を通して実現の方向を探っていきたい。

7)単位互換,単位認定等

a. 現状の説明

本学部は,昼夜開講制をとっており社会人入学者が比較的多く,大学・短大・専門学校の卒業

3-246

Page 11: 3-8 人間環境学部 - Hosei · につけることを目的とするフレッシュマン科目,スキルアップ科目,そして,5つの科目群から 成る講義科目と研究会(ゼミナール),フィールドスタディ,人間環境セミナー,インターンシッ

者の割合が高い。2・3年次編入者のみならず 1 年次入学者においても,既修得単位の認定が必要

であるため,以下の規定を設けている。なお,社会人以外の転編入者(3 年次のみ)についても

この規程を適用している。

【単位認定規程】

① 1 年次生

1.認定単位の上限は 30 単位とする。

2.認定単位の修得単位への繰り入れは,4年次で行う。

3.認定対象学校 ; 大学・短大・専門学校(文部科学省が認めた学修)

4.手続き ; ①単位修得証明書とシラバスの提出。

②教員による認定作業。教授会の承認。

③認定確認書の交付。確認後に登録。

② 2 年次編入

1.認定単位の上限は 40 単位とする。

2.認定単位数が少ないために,1 セメスターの登録上限である 30 単位以上を履修すること

が必要な場合,学部長の判断により,上限を超えて履修を許可することがある。

3.認定対象学校 ; 大学・短大・専門学校(文部科学省が認めた学修)

4.手続き ; ①単位修得証明書とシラバスの提出。

②教員による認定作業。教授会の承認。

③認定確認書の交付。確認後に登録。

③ 3 年次編入

1.認定単位の上限は 60 単位とする。

4 年制大卒の場合は,「市ヶ谷基礎科目」(40 単位)は自動的に免除。

「市ヶ谷基礎科目」の単位は認定 60 単位に含む。

2.認定単位数が少ないために,1 セメスターの登録上限である 30 単位以上を履修すること

が必要な場合,学部長の判断により,上限を超えて履修を許可することがある。

3.認定対象学校 ; 大学・短大・専門学校(文部科学省が認めた学修)

4.手続き ; ①単位修得証明書とシラバスの提出。

②教員による認定作業。教授会の承認。

③認定確認書の交付。確認後に登録。

このほか,外国大学において修得した単位を卒業所要単位として認める。既修得認定単位を含

め最大 60 単位まで認定することができる。認定には教授会の承認が必要である。

b. 点検・評価 長所と問題点

本認定制度により,通学や学習時間の制約の強い社会人学生にとって入学後の履修計画が立て

やすくなっている。問題点としては,社会人受験生にとって,受験前に自己の個別的認定に関す

る予測が立たないため,編入年次の選択などにおいて不安を感じることがあげられる。また,外

国大学での修得単位の認定に際しては,本学部開講科目との対応が必ずしも一致するとは限らな

3-247

Page 12: 3-8 人間環境学部 - Hosei · につけることを目的とするフレッシュマン科目,スキルアップ科目,そして,5つの科目群から 成る講義科目と研究会(ゼミナール),フィールドスタディ,人間環境セミナー,インターンシッ

いという問題もある。

c. 将来の改善・改革に向けた方策

今後,社会人入学者や編入学者に限らず,他の大学との単位互換制度が拡大していく中にあっ

て,柔軟な認定制度を工夫する必要性が出てくるものと思われる。これに関しては,逐次ケース

バイケースで対応し,事例の集積の中で徐々に規定化していく方針である。

8)開設授業科目における専・兼比率等

a. 現状の説明

本学部における,専任教員が担当する専門科目授業回数の比率は,授業回数を半期 0.5 通年 1.0

で換算した場合,72.6%(2003 年度),75.5%(2004 年度)である。また,兼担教員を含めた同比

率は,それぞれ,76.4%,81.9%である。

したがって,兼任教員の専門科目教育課程への関与の比率は,23.6%(2003 年度),18.1%(2004

年度)である。また,兼任教員等(兼任および兼担教員)の同比率は,それぞれ,27.4%,24.5%

である。

b. 点検・評価 長所と問題点

本学部では,基礎演習・研究会(ゼミナール)・フィールドスタディは,原則的にすべて専任教

員が受け持ち,基礎演習は 1 年生が全員,研究会・フィールドスタディも 2 年生以上のほとんど

の学生が履修するという状況にある。これらの科目については専任教員のほぼ全員が担当してい

る。それぞれ少人数クラスであり,個々の学生への細かな学習指導が可能になるだけでなく,学

生のニーズが学部教員に共有されるなど教育効果を上げている。

このような中,より一層の効果を上げるためにも,兼任教員の力を借りることで,専任教員へ

の過重な負担を回避することも必要と思われる。

さらに,本学部の学問上の特徴として,基礎となる学問領域の深化とともに,多様な発展の必

要性が現実課題として存在する。特に後者に関しては,専任教員の増加が抑制されている現状に

おいて,新規の兼任教員採用による教育内容の拡大が有効な方策と考えられる。各分野の専門家

を講師として招聘し,学生に最先端の経験や学術研究情報を提供することは今後,積極的に考え

ていくべきと思われる。

c. 将来の改善・改革に向けた方策

将来構想委員会では,本学部に新規に必要とされる授業科目の検討を開始しており,この中で

は専任教員あるいは兼任教員による当該科目担当の適否もテーマに上がっている。

専任教員による学部教育の芯の確保とともに,適時に柔軟な対応の取りやすい兼任教員との連

携による教育の高度化・重層化を図っていきたい。

9)生涯学習への対応

a. 現状の説明

本学部では開設時より社会人特別入試を実施している。社会人の受け入れをしているのは,環

3-248

Page 13: 3-8 人間環境学部 - Hosei · につけることを目的とするフレッシュマン科目,スキルアップ科目,そして,5つの科目群から 成る講義科目と研究会(ゼミナール),フィールドスタディ,人間環境セミナー,インターンシッ

境問題の教育がすでに社会人として活躍している者にとっても重要と考えるからである。

1 年次への入学者数は,経年的には 1999 年 75 人,2000 年 54 人,2001 年 53 人,2002 年 34 人,

2003 年 15 人,2004 年 8 人となっている。近年は減少してきているが,一方で,2・3 年次への編

入(2004 年 2 年次編入 2 人,3 年次編入 8 人)があり,社会人入学者の合計は 2004 年 18 人であ

る。社会人の多くは有職者であるため,6・7 時限および土曜日曜の授業を中心に履修している。

b. 点検・評価 長所と問題点

本学部の社会人受け入れは,学部にとってもさまざまな教育効果のあるものと考えられる。特

に,高校卒業間もない若い学生が社会人と一緒に学ぶことは,若い学生にとって社会を知る一端

ともなっている。また,さまざまな活動において,社会人学生がリーダー役や指導的立場を務め

たりしており,勉学のみならず,ボランティア活動などにおいても大きな刺激となっている。さ

らに,授業の学習態度や勉学姿勢などにおいても,若い学生に与える好影響が多い。

社会人受け入れに付随する問題点としては,昼夜土日開講や,背景の多様な社会人へのきめ細

かな個人別対応などのための教員の負担増加の問題が大きいといえる。また,社会人を受け入れ

るための入学案内,入学試験などに関わる独特の手間もある。なお,学部発足時に比べ,1 年次

への入学者が減少しているのは,2・3 年次編入学へのシフト,大学院入学へのシフトなどの理由

がある。

c. 将来の改善・改革に向けた方策

社会人入学者の減少,特に 1 年次入学者の大幅な減少は,編入や大学院入学の選択肢の拡大と

いう,学部設立以降の年次進行に伴う要因もあり,ある程度は予想された事態である。高卒就業

者が極めて少なくなっている社会状況の中では,今後,受験者の増加を期待することはできない。

したがって,今後は,2・3 年次編入が主体になる。そのため,入試広報や編入学試験のあり方を

再検討し,学費や奨学金あるいは履修年限等,社会人にとってより学びやすい制度条件を整備し

ていく必要がある。社会人リカレント教育の意義は今後ますます重要になってくるものと考えら

れるため,本学部では,現状の諸問題を前向きに検討し,可能な解決策から逐次実施していきた

い。すでに将来構想委員会では,本件についての検討を鋭意進めている。

10)正課外教育

本学部に関連する正課外教育としては,ISO14001 審査員養成講座,内部監査員養成講座が法政

大学環境センターによって実施されている。学部専門科目である環境経営実践論の履修を終えた

学生が,資格取得を目指してそれらを受講している。

(2)教育方法等

1)教育効果の測定

(教育上の効果を測定するための方法,それらの測定方法に対する教員間の合意,教育効果を測

定するシステム全体の機能的有効性を検証する仕組みの導入)

3-249

Page 14: 3-8 人間環境学部 - Hosei · につけることを目的とするフレッシュマン科目,スキルアップ科目,そして,5つの科目群から 成る講義科目と研究会(ゼミナール),フィールドスタディ,人間環境セミナー,インターンシッ

a. 現状の説明

講義や研究会(ゼミナール)の教育効果測定の一部としては,2004 年度から実施されている全

学的な FD(ファカルティ・ディベロップメント)の中で,「学生による授業評価アンケート」が

行われている。なお,本学部教員の中には,この制度が始まる以前から,科目内容に合った個別

の授業評価アンケートを自主的に実施していた者も多い。また,フィールドスタディなど現場教

育においては,教員との密接なコミュニケーションを通じて,その教育効果の把握がなされてい

る。多くの外部講師を招聘して開催される人間環境セミナーにおいては,各回とも,学生より評

価コメントを回収しているなど,様々な場面で学習効果のフィードバックを工夫している。

b. 点検・評価 長所と問題点

本来の教育効果の測定としては,長期的な見方でみる必要もあると考えられる。

なお,個別の授業の教育方法や教育効果の測定については,基礎演習,フィールドスタディ,

研究会(ゼミナール)など,比較的少人数の教育も多く,教育効果の定性的な学生・教員間のフ

ィードバックが密に行われている。これらに関しての,教員相互間の情報交換や議論も盛んであ

る。ただし,これらは専任教員についてであり,兼任教員については,このようなことが不明な

場合もある。したがって,問題点としては,兼任教員の教育効果の測定がややなおざりになって

いる点が考えられる。この問題の一因としては,専任教員とのコミュニケーションの場が少ない

ということもある。

c. 将来の改善・改革に向けた方策

個別授業の短期的な教育効果の測定にとどまらず,学部教育のもともと目指した目的に照らし

ての,社会的かつ長期的な学部総体としての教育効果の測定も重要と思われる。これらに関して

は,適切な指標の検討,測定方法の工夫等,本学部の長期的課題として研究を進めていきたい。

なお,個別授業の問題に関しては,教員間コミュニケーションの機会を増やす工夫もしていき

たい。

(卒業生の進路状況)

a. 現状の説明

本学部はこれまでに 4 回卒業生を世に出している。新設学部にとって学生の進路・就職につい

ては,当初より課題として強く認識されてきた。そのため,学生に対して,キャリア形成に関す

る学部独自の指導を折々行ってきた。また,2002 年度には最初の卒業生を出すに当たって,学部

教員こぞって企業訪問をするなど進路問題に関しては特に注力してきた。これらにより,現在ま

で,卒業生に関しその就職は比較的スムーズである。社会人有職者を除く卒業生の就職率は,法

政大学の社会科学系学部と同水準である。

b. 点検・評価 長所と問題点

本学部卒業生の特徴として環境関連の業務に就きたいと考える者が当然にして多く,企業にお

いてもそのような方向を選んでいるのが目立つ。これはまた,かなり強い環境目的の意識を持っ

3-250

Page 15: 3-8 人間環境学部 - Hosei · につけることを目的とするフレッシュマン科目,スキルアップ科目,そして,5つの科目群から 成る講義科目と研究会(ゼミナール),フィールドスタディ,人間環境セミナー,インターンシッ

て入学してきた社会人学生からの影響による部分も多い。インターンシップで研修先を選ぶ際も,

企業や自治体の環境部門を希望する傾向が強く,進路選択でもこうした傾向が顕著に見られる。

問題点としては,我が国の新卒者採用が,必ずしも職種・部門別になっている訳ではなく,短期

的・直接的に環境部門への希望を叶えられないことがあげられる。

c. 将来の改善・改革に向けた方策

社会や企業において環境に関わる人材の重要性がますます高くなってきており,本学部卒業生

に対する需要は長期的に大きく拡大していくものと思われる。本学部では,このような社会的な

期待に対応する優秀な人材育成を目指し,教育内容や方法の改善など鋭意努力をしていきたい。

2)厳格な成績評価の仕組み

(履修科目登録の上限設定とその運用の適切性)

a. 現状の説明

本学部ではセメスター制を採用している。各セメスターにおける履修科目登録の上限(制限単

位数)は 24 単位,ただし年間履修上限は各年次 40 単位である。年間上限がセメスター上限の合

計と一致しないのは,学生にとってフレキシブルな履修を可能にするための措置である。また,2

年次以降の履修上限単位数は,前年度までの取得単位数により変化する。これに関しては,計算

方法を履修ガイドに掲載し学生に周知している。なお,履修上限単位には「教職・資格課程科目」

は含んでいない。

卒業所要単位は 124 単位である。

b. 点検・評価 長所と問題点

現状において,本学部の上限設定には特に問題点はないものと認識している。セメスターごと

のフレキシブル性は,学生にとって履修したい科目が前期または後期セメスターに偏って開講さ

れている場合なども比較的履修しやすく便利である。また,これは編入・留学などにとっても履

修計画を立てる上でも有効である。

c. 将来の改善・改革に向けた方策

今後,開設科目の充実,例えば卒業論文の導入などを進める場合,卒業所要単位を引き上げる

ことが考えられる。その際,セメスターおよび年間の履修上限単位も変更する必要が出てくる。

(成績評価法,成績評価基準の適切性,厳格な成績評価を行う仕組みの導入状況)

a. 現状の説明

成績評価については,A(80~100 点),B(79~60 点),C(59~50 点),D(不合格:49 点以下),

E(未受験)という基準を設け,採点は各教員の責任で行っている。各科目の成績評価に関しては,

シラバスに成績評価法を明記している。

登録科目を受験しその評価が D および E である場合に限り,成績発表後一定の期間内に,学生

の申し出に応じ採点調査を実施している。

3-251

Page 16: 3-8 人間環境学部 - Hosei · につけることを目的とするフレッシュマン科目,スキルアップ科目,そして,5つの科目群から 成る講義科目と研究会(ゼミナール),フィールドスタディ,人間環境セミナー,インターンシッ

b. 点検・評価 長所と問題点

成績評価は,各教員の責任において行っており,現状特に問題点はない。

c. 将来の改善・改革に向けた方策

成績評価の段階区分について,現在の 5 区分をより詳細な区分(例えば,7 区分)もしくは,

素点方式に改めることも課題となっている。今後の国内外大学との単位互換なども視野に入れ検

討する必要がある。

(学生の学習意欲を刺激する仕組みの導入状況)

a. 現状の説明

本学部では,現実の環境問題などに触れる工夫,あるいは,少人数教育の工夫など学習意欲を

向上させるためのカリキュラム上での取り組みを導入している。さらに,学生の自主的学習およ

び活動を奨励するための種々の工夫も取り入れている。その中の主な例を挙げれば以下のとおり

である。

【カリキュラム】

・フィールドスタディ

現地で実際に環境問題などを体験し,学習内容を確認し,また新たな課題を発見に結び

付けていく。

・人間環境セミナー

企業・自治体・NPO など社会の第一線で活躍する専門家を講師として招き,実践経験に

基づく講義を受け,問題に対する理解を深める。

・研究会(ゼミナール)

各教員の専門分野に応じて開講される少人数クラスで,教員との,また学生同士の交流

を通じて自らのテーマに関する勉学を深める。

・基礎演習

大学での自主的な学習を進めるためのスキルを身につける演習であり,少人数クラスで,

教員のきめ細かな指導が行われている。

【その他】

・大学懸賞論文等への応募の奨励

学生に対し,大学の実施している懸賞論文やチャレンジサポートなどへの応募を奨励し

ている。懸賞受賞論文を掲載した学生論文集なども発行している。

・環境問題に対する学生の自主企画への協力

例えば,学生企画による環境シンポジウムに対し,学部として応援・協力をしている。

多くの企画が毎年実施されている。

b. 点検・評価 長所と問題点

カリキュラム上の工夫に関しては,学部創設以来の特徴として有効に機能している。とりわけ

3-252

Page 17: 3-8 人間環境学部 - Hosei · につけることを目的とするフレッシュマン科目,スキルアップ科目,そして,5つの科目群から 成る講義科目と研究会(ゼミナール),フィールドスタディ,人間環境セミナー,インターンシッ

フィールドスタディに関しては,学生の自主的な学習や活動を引き出すことに大きく役立ってい

る。このような新たな取り組みを進める上で,各種の資源(ヒト・モノ・カネ)の不足という問

題に直面しつつある。

c. 将来の改善・改革に向けた方策

今後,このようなカリキュラムや取り組みはますます重要度を増すものと考えられ,本学部で

は更に力を入れていく方針である。そのため,TA(ティーチング・アシスタント)や外部人材の

積極採用,活動スペースや予算の確保など,条件整備を行っていきたい。

3)履修指導

a. 現状の説明

本学部では,各年度の初めに履修指導を行っている。1 年次生に対しては,人間環境学入門Ⅰ

の中で,カリキュラムの構成および科目の説明,履修手続きなどガイダンスを行っている。また,

2 年次以降に対しては,4月初めに学年別ガイダンスで,年次別の履修指導をきめ細かに行ってい

る。

また,オフィスアワーを制度化している。各教員は週 1 回授業 1 コマ分(90 分)のオフィスア

ワーの時間帯を設け,これを学部ガイドで明示している。なお,学部では専任教員用にそれぞれ

個別掲示板を設置しており,教員は学生への連絡に使用している。

本学部の進級条件からして,留年者はこれまで比較的少なく,個別の指導以外には特段の制度

的な取り組みは行ってきていない。

b. 点検・評価 長所と問題点

各年次に対する履修ガイダンスに関しての問題は現状特にない。オフィスアワーに関しては,

これまでのところ利用度がさほど高くないが,時間以外で教員を訪ねる学生もおり,特定の時間

に限定をすることには,若干問題があるとも思われる。本学部は少人数のクラスも多くあり,学

生にとって教員との身近な接触の機会が比較的多く,オフィスアワーに限定しなくてもよいとい

う事情もある。

c. 将来の改善・改革に向けた方策

オフィスアワーの形態については今後変更を検討する必要もある。なお,現実問題として,学

生のグループとじっくり懇談したり議論する場所を学部としてもっておらず,会議室確保への強

い要望が多くの教員より出ている。

4)教育改善への組織的な取り組み

(学生の学修の活性化と教員の教育指導方法の改善,シラバスの作成と活用,学生による授業評

価の活用状況)

a. 現状の説明

本学部では,1 年次に基礎演習を必修としており,ここで学修の活性化への基礎を築いている。

3-253

Page 18: 3-8 人間環境学部 - Hosei · につけることを目的とするフレッシュマン科目,スキルアップ科目,そして,5つの科目群から 成る講義科目と研究会(ゼミナール),フィールドスタディ,人間環境セミナー,インターンシッ

このほか,フィールドスタディや研究会などで個々の学生の学習意欲を高める指導が行われてい

る。

シラバスは統一した様式で各教員が作成し学部ガイドに履修要綱とあわせ掲載している。シラ

バスには,①授業の目的および概要,②テキスト・参考文献,③各回毎の授業計画,④成績評価

方法,⑤学生へのメッセージ,の項目が統一的に掲載されている。

「学生による授業評価アンケート」の活用に関しては,現在始まったばかりであり,まだ組織

的な対応はとられていない。

b. 点検・評価 長所と問題点

本学部は比較的小規模なため,学生の学修の活性化や教育指導方法の改善に関しては,専任教

員間で日常的に議論が交わされている。シラバスは作成が定着し,学生の間で科目選択などにお

いて一般的に利用されている。「学生による授業評価アンケート」の活用に関してはこれからの課

題である。

c. 将来の改善・改革に向けた方策

現状において大きな問題はないが,今後については,時代に合わせより積極的に IT の活用をす

る必要があろう。学生への連絡,シラバスなど,学部のホームページや各教員のホームページの

作成・充実を前向きに検討していきたい。

(FD 活動に対する組織的取り組み状況の適切性)

a. 現状の説明

本学では 2004 年度より,FD の一環として全学的に学生による授業評価アンケートを制度化し

た。全体的な取り組みについては FD 推進センターにおける記述に詳しい。

本学部では,この制度に則りアンケートを適切に実施している。また,教員間での教育方法や

教育効果などについての情報・意見交換は,人間環境学入門Ⅰ・Ⅱや人間環境セミナーなど複数

教員が共同で担当する授業や教授会において活発に行われている。

b. 点検評価 長所と問題点

授業評価アンケートに関しては,その本格的な活用はこれからである。なお,フィールドスタ

ディについては,その時期がアンケート実施時期と大きくずれることからこれまで対象に入れて

いない。このようなことからアンケート集計結果は学部科目全体の評価にはなっていない。

c. 将来の改善・改革に向けた方策

教員間での教育に関する意見交換をさらに活発にしていくための場作りを進めていきたい。ま

た,授業評価アンケートについては,本学部の授業特性に適合した実施方法,実施時期,質問内

容を工夫していくことが望ましい。

3-254

Page 19: 3-8 人間環境学部 - Hosei · につけることを目的とするフレッシュマン科目,スキルアップ科目,そして,5つの科目群から 成る講義科目と研究会(ゼミナール),フィールドスタディ,人間環境セミナー,インターンシッ

5)授業形態と授業方法の関係

a. 現状の説明

本学部では,大規模教室を利用する講義科目は少なく,多くが小規模ないし中規模教室である。

授業形態としてはマルチメディアを積極的に利用しているものも多い。教室を離れ,現場に出か

けていき学ぶフィールドスタディの効果はきわめて高いと認識している。後掲の SSI(スポーツ・

サイエンス・インスティテュート)所属学生の受講する必修科目においては e-ラーニン グ・シ

ステムを利用した遠隔授業を行っている。

b. 点検・評価 長所と問題点

本学部では,小規模あるいは中規模型授業が多いが,現状,曜日・時限によってはそれらに見

合う教室が払底しており,時間割編成にも支障をきたしている。また,教室の AV 装置等の設備に

関しては需要が強いが,設備の欠如,老朽化という問題は否めない。

c. 将来の改善・改革に向けた方策

環境問題に関して特に教育効果の高いフィールド型授業について,量・質ともに充実していく

ことを目指していきたい。教室授業においても,今後予想される最新設備(電子黒板等)の導入

整備に応じた新しい授業形態を研究していきたい。

(3)国内外における教育研究交流

a. 現状の説明

本学には,国際交流センターが設置されており,学部学生などに関する,海外協定校との派遣・

受け入れ等の交流,海外の大学・研究機関との教員交換・招聘・派遣,外国人留学生の生活支援

業務などを行っている。

本学部独自では,海外の大学や機関と協力して,海外フィールドスタディを実施している。2004

年度にはラオス,中国で,2005 年度はベトナム,中国で実施している。このうち例えば中国のフ

ィールドスタディは,西安理工大学と合同で行っており,北京林業大学とも協力している。また,

本学部の外国人教員を中心に,2005 年度,スイス連邦工科大学(ATH)他と連携して,環境教育

に関する国際シンポジウムを開催した。この他,学部設立以来,各種の国際交流シンポジウムが

行われている。

また,毎年,学部教員が研究休暇を活用して,主として欧米の大学や研究機関などで約 1 年間

にわたり研究活動を行っている。

b. 点検・評価 長所と問題点

現状の国際研究教育交流は,一部の海外フィールドスタディや時折の国際シンポジウム開催に

限られている。しかしながら,いずれも学生の国際的な環境問題に対する視野を広げ,その後の

学修に大きな刺激になっている。なお,海外フィールドスタディには,学生の費用負担の問題が

付随するので,参加者も限られるという問題もある。

3-255

Page 20: 3-8 人間環境学部 - Hosei · につけることを目的とするフレッシュマン科目,スキルアップ科目,そして,5つの科目群から 成る講義科目と研究会(ゼミナール),フィールドスタディ,人間環境セミナー,インターンシッ

c. 将来の改善・改革に向けた方策

環境問題の性格上,国際的な連携が今後さらに求められていくものと思われる。このため,海

外フィールドスタディの拡大とともに,将来的には,海外大学との連携授業や,海外研修,さら

には,海外大学への環境 SA(スタディ・アブロード)プログラムも検討の対象となろう。

3-256

Page 21: 3-8 人間環境学部 - Hosei · につけることを目的とするフレッシュマン科目,スキルアップ科目,そして,5つの科目群から 成る講義科目と研究会(ゼミナール),フィールドスタディ,人間環境セミナー,インターンシッ

カリキュラム構成図

市ヶ谷基礎科目(40単位以上)

1群 2群 3群 4群 5群

文学Ⅰ・Ⅱ 哲学Ⅰ・Ⅱ 論理学Ⅰ・Ⅱ 倫理学Ⅰ・Ⅱ 東洋史Ⅰ・Ⅱ 西洋史Ⅰ・Ⅱ 日本史Ⅰ・Ⅱ 宗教論Ⅰ・Ⅱ 文章論Ⅰ・Ⅱ 芸術Ⅰ・Ⅱ

法学Ⅰ・Ⅱ 心理学Ⅰ・Ⅱ 地理学Ⅰ・Ⅱ 政治学Ⅰ・Ⅱ 社会学Ⅰ・Ⅱ 文化人類学Ⅰ・Ⅱ 経済学Ⅰ・Ⅱ 社会思想Ⅰ・Ⅱ

数学・情報を読む ためにⅠ・Ⅱ原子から宇宙まで Ⅰ・Ⅱ物質と環境Ⅰ・Ⅱ 生命科学Ⅰ・Ⅱ 科学史Ⅰ・Ⅱ 天文学Ⅰ・Ⅱ 自然総合講座A・B

英語 選択英語 ドイツ語 選択ドイツ語 フランス語 選択フランス語中国語 選択中国語 ロシア語 選択ロシア語 スペイン語 選択スペイン語日本語 選択朝鮮語 選択日本語

英語特講

スポーツ種目Ⅰ・Ⅱ

学部専門科目(84単位以上)

●リテラシー科目(8単位以上)

フレッシュマン科目(6単位) スキルアップ科目

アクティブ語学 情報処理 人間環境学入門Ⅰ・Ⅱ 基礎演習

英語Ⅰ(初級会話) 中国語Ⅰ(入門会話)英語Ⅱ(中級会話) 中国語Ⅱ(初級会話)英語Ⅲ(上級会話) 中国語Ⅲ(中級会話)英語Ⅳ(ビジネス会話) 中国語Ⅳ(上級会話)

情報処理基礎 ネットワークとマルチメディア統計処理Ⅰ・Ⅱ

●展開科目(76単位以上)

科目群 基幹科目 専 攻 科 目

法律・政治

行政法の基礎 民事法Ⅰ・Ⅱ 国際法Ⅰ・Ⅱ 市民社会と政治

環境法Ⅰ 地方自治論Ⅰ 環境法Ⅱ 地方自治論Ⅱ 環境法Ⅲ 製造物責任法 国際環境法Ⅰ 労働環境法 国際環境法Ⅱ

経済・経営

ミクロ経済学Ⅰ・Ⅱ マクロ経済学Ⅰ・Ⅱ 簿記入門Ⅰ・Ⅱ

環境経済論Ⅰ 公共経済学 国際環境政策 環境経済論Ⅱ 環境会計論Ⅰ 途上国経済論 環境経営論Ⅰ 環境会計論Ⅱ 国際経済協力論Ⅰ 環境経営論Ⅱ 環境経営実践論Ⅰ 国際経済協力論Ⅱ NPO経済論 環境経営実践論Ⅱ

社会・地域

現代社会論Ⅰ・Ⅱ NPO・ボランティア論 地域形成論

環境社会論Ⅰ フィールド調査論 労働環境論Ⅱ 環境社会論Ⅱ 地域福祉論 都市デザイン論 福祉政策Ⅰ 地域経済論 地域コモンズ論 福祉政策Ⅱ 都市環境論 NGO活動論 労働環境論Ⅰ

人間・文化

環境哲学基礎論 環境表象論 日本環境史論Ⅰ・Ⅱ

人間存在基礎論 日本美術の系譜 比較演劇論 西欧近代批判の思想 異文化の交流 日本詩歌の伝統 比較社会史 テクストと人間像 生命の現在と倫理 古典芸能の現在 仏教の精神

地球・生命

自然環境論Ⅰ・Ⅱ 自然環境論Ⅲ・Ⅳ 自然環境論Ⅴ

地球環境論ⅠA 地球科学史Ⅰ 環境健康論Ⅰ 地球環境論ⅡA 地球科学史Ⅱ 環境健康論Ⅱ 環境保護論Ⅰ 衛生・公衆衛生学Ⅰ 公害防止管理論Ⅰ 環境保護論ⅡA 衛生・公衆衛生学Ⅱ 公害防止管理論Ⅱ エネルギー論 環境モデル論Ⅰ エントロピー論 環境モデル論Ⅱ

フィールドスタディ

人間環境セミナー

インターンシップ

3-257