平成28年度 特許出願技術動向調査報告書(概要)...

67
平成28年度 特許出願技術動向調査報告書(概要) 次世代動画像符号化技術 平成29年3月 問い合わせ先 特許庁総務部企画調査課 知財動向班 電話:03-3581-1101(内線:2155)

Upload: others

Post on 27-May-2020

1 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

Page 1: 平成28年度 特許出願技術動向調査報告書(概要) 次世代動画像符号化技術 · 処理ツール、多視点符号化等が挙げられる。これらの技術は、動画像符号化の基本となる

平成28年度

特許出願技術動向調査報告書(概要)

次世代動画像符号化技術

平成29年3月

特 許 庁

問い合わせ先 特許庁総務部企画調査課 知財動向班 電話:03-3581-1101(内線:2155)

Page 2: 平成28年度 特許出願技術動向調査報告書(概要) 次世代動画像符号化技術 · 処理ツール、多視点符号化等が挙げられる。これらの技術は、動画像符号化の基本となる

- 1 -

資料編

第7部

第6部

第5部

第3部

第2部

第1部

要約

本編 目次

第4部

第 1 章 調査概要

第 1 節 調査目的

本調査のテーマである次世代動画像符号化技術については、 2013 年 1 月に

H.265/HEVC(以下、「HEVC」と表記する。)が標準化され、インターネットでの動画配

信等で徐々に普及が進みつつある。HEVC は、UHDTV(4K、8K などの超高精細テレ

ビ)において利用されており、2015 年においても、各社から放送向けエンコーダチップ

やコンシューマ向けデコーダチップの出荷が始まってきている。 このように、HEVC の標準化が完了して製品も市場に出始めてきており、将来の放送

での利用も見込まれているため、国内外の技術動向を整理し、日本企業の研究開発の支

援が必要である。 以上のような背景のもと、本調査では、次世代動画像符号化技術に関する国内外の技

術動向、日本及び外国の技術競争力の状況と今後の展望を明らかにすることを目的とし

て、次世代動画像符号化技術に関する特許等の動向について調査分析を行った。

第 2 節 技術俯瞰図

次世代動画像符号化技術の技術俯瞰図を図 1-1 に示す。 図 1-1 次世代動画像符号化技術の技術俯瞰図

Page 3: 平成28年度 特許出願技術動向調査報告書(概要) 次世代動画像符号化技術 · 処理ツール、多視点符号化等が挙げられる。これらの技術は、動画像符号化の基本となる

- 2 -

資料編

第7部

第6部

第5部

第3部

第2部

第1部

要約

本編 目次

第4部

動画像符号化技術とは、一定の画質を確保しつつ、映像のデータ量を圧縮する技術で

ある。この技術により、映像の伝送や記録を効率的に行うことが可能になる。本調査で

は、動画像符号化技術の対象技術を、「要素技術・符号化手法」「対象動画像・走査方式」

「符号化方式」「課題」「基本製品」「用途」の観点で整理した。 「要素技術・符号化手法」としては、予測、変換、量子化、エントロピー符号化、並列

処理ツール、多視点符号化等が挙げられる。これらの技術は、動画像符号化の基本となる

技術であり、市場での通用性のため、標準化が行われる。この標準化の対象となる技術

は、復号側の動作の互換性を確保するために必要な最低限の部分に限定される。例えば、

HEVC では、画像の絵柄に合わせて画像を様々なサイズの領域に分割し、その領域ごと

に異なる符号化処理を行うことができるが、選択可能な分割サイズや符号化処理ごとに

適用可能な動作モードは、標準化の対象となる一方で、分割サイズや動作モードの選択

方法は、標準化の対象とはならず、各社が独自に技術開発することが可能である。製品化

の際には、こうした標準化の対象とならない技術の優劣が符号化効率(圧縮性能)や画

質、符号化処理の演算量、消費電力、遅延の大きさ等を決めるため、競争力を左右する重

要な要因となる。また、自社の提案技術が国際規格に採用されれば、製品化の技術開発で

先行できることが期待される。 「対象動画像」は、現状の自然動画像から適用領域の拡大に伴い、奥行情報を示すデプ

ス動画像、多視点動画像、PC の画面やゲーム画面等のスクリーンコンテンツ、医療用画

像等の特殊画像等に広がっている。多視点動画像は、任意視点の映像を実現するために

利用できるが、多視点動画像に加えてデプス動画像を用いることで、多視点動画像をよ

り効率的に符号化することが検討されている。また、「走査方式」としては、プログレッ

シブ方式とインターレース方式が挙げられる。前者は、ディスプレイの走査線を一本ず

つ走査してフレームを伝送する方式であり、後者は、走査線を一本おきに走査すること

で、フレームを 2 枚に分けて伝送する方式である。 「符号化方式」としては、情報通信分野の国際標準化機関である ITU-T(国際電気通

信連合 電気通信標準化部)と ISO/IEC(国際標準化機構/国際電気標準会議)の共通規

格として 2003 年に標準化された H.264/ MPEG-4 AVC や、その後継規格として 2013 年

に標準化された HEVC が挙げられる。前者は、動画配信サービス、Blu-ray Disc(ブル

ーレイディスクアソシエーションの登録商標)、1 セグメント放送等で幅広く用いられて

おり、後者は、UHDTV(4K、8K などの超高精細テレビ)において利用されており、イ

ンターネットでの動画配信等で徐々に普及が進みつつある。その他、SMPTE(Society of Motion Picture and Television Engineers)により標準化された VC-1、米 Google 社に

より開発された VP9 等が挙げられる。 「課題」としては、符号化効率(圧縮性能)の向上、符号化処理の演算量に関係する、

演算の省略又は簡略化、処理の高速化等が挙げられる。符号化効率と符号化処理の演算

量はトレードオフの関係にあるため、符号化処理の演算量は、符号化効率に次いで、代表

的な課題である。符号化処理の演算量に関わる技術には、大きく、処理を高速化すること

と、演算そのものを省略したり簡略化したりする方向がある。その他、メモリ使用量の削

減、低消費電力は、モバイルにおける利用で、端末の大きさに実用上制限があること、バ

ッテリーの容量にも制限があることから電力消費を抑える必要があるために対応が必要

になる課題である。また、低遅延は、リアルタイム性の要求が高い用途において重要とな

Page 4: 平成28年度 特許出願技術動向調査報告書(概要) 次世代動画像符号化技術 · 処理ツール、多視点符号化等が挙げられる。これらの技術は、動画像符号化の基本となる

- 3 -

資料編

第7部

第6部

第5部

第3部

第2部

第1部

要約

本編 目次

第4部

る課題であり、符号化歪みの低減、誤り耐性、レート制御は、用途を必ずしも問わず、映

像の品質改善に向けた技術である。 「基本製品」は、符号化するエンコーダ、復号するデコーダ、符号化データを復号して

解像度や符号化方式等を変換した上で再度符号化するトランスコーダがある。これらの

基本製品は、TV やカメラ、記録装置等の映像関連機器に組み込まれ、図 1-1 の右下部に

示すような用途に用いられる。 「用途」として代表的なものは放送・制作であり、放送局のカメラや記録装置をはじめ

とする業務用機器、家庭用テレビ等で用いられている。こうした 1 対 n の放送に加え、

近年では、1 対 1 の通信で映像を伝送するインターネットビデオ配信も拡大している。

ビデオ配信は、LTE 等の移動体通信技術の進歩により、スマートフォン等のモバイル環

境でも広く利用されるようになっている。一方、業務の効率化、生産性向上、長時間労働

の削減等の要請から、ワークスタイル変革が期待されているところであり、その手段と

しての遠隔会議や在宅勤務等のため、遠隔で職場 PC 内のデータを表示するデスクトッ

プ仮想化の利用が拡大し、こうした用途でも符号化技術の重要性が増してくると考えら

れる。また、街角で行き交う人々に映像を見せるデジタルサイネージやシネマ、オリンピ

ック等のイベントを大勢の人々が一つの場所に集まって鑑賞するパブリックビューイン

グ等でも活用されるようになる。インターネット配信での高画質のゲームも普及してお

り、更なる臨場感の追求に活用されるようになる。その他、VR(仮想現実)、AR(拡張

現実)等の、適用領域の拡大が期待される。応用産業の全体としては、映像の配信の始点

と終点で使われる映像関連機器の供給だけでなく、その間の伝送サービス(放送/通信)

提供、それを支える配信インフラ整備等がある。

Page 5: 平成28年度 特許出願技術動向調査報告書(概要) 次世代動画像符号化技術 · 処理ツール、多視点符号化等が挙げられる。これらの技術は、動画像符号化の基本となる

- 4 -

資料編

第7部

第6部

第5部

第3部

第2部

第1部

要約

本編 目次

第4部

第 2 章 市場環境調査

基本製品であるエンコーダ・デコーダは、ハードウェア(LSI チップ等)とソフトウェア

として市場に流通している。 ここでは、ハードウェアの一例として、広域監視用途の機器の国内市場規模の推移を図

2-1 に示す。2014-2015 年が実績値であり、2016 年以降は予測値である。2016 年以降、市

場規模は拡大する傾向にあることが予測されている。

図 2-1 エンコーダ・デコーダ(広域監視用途の機器)の国内市場規模の推移

出典:「4K・8K ビジネス/市場の全貌 2016」 株式会社富士キメラ総研発行 P176 記載のデータを基に作成

0

2000

4000

6000

8000

10000

12000

14000

16000

2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 ・・・ 2025

販売

台数

(台)

実績 予測

Page 6: 平成28年度 特許出願技術動向調査報告書(概要) 次世代動画像符号化技術 · 処理ツール、多視点符号化等が挙げられる。これらの技術は、動画像符号化の基本となる

- 5 -

資料編

第7部

第6部

第5部

第3部

第2部

第1部

要約

本編 目次

第4部

第 3 章 政策動向調査

動画像符号化の国際規格としては、情報通信分野の国際標準化機関である ITU-T(国際

電気通信連合 電気通信標準化部)と ISO/IEC(国際標準化機構/国際電気標準会議)の共

通規格として 2003 年に策定された「H.264/MPEG-4 AVC」が現在の主流となっている。

その後、AVC の後継規格として 2013 年に策定された「H.265/HEVC」は、AVC の約 2 倍

の符号化効率(圧縮性能)を持つなど、優れた性能を有している。 そのため、4K・8K などの超高精細 TV、三次元映像等への活用が期待される。

第 1 節 日本国内の政策動向

総務省が推進する「4K・8K ロードマップに関するフォローアップ会合」において策定

された 4K・8K 推進に関するロードマップによると、衛星放送では、まず 124/128 度 CSが 2015 年に 4K 実用放送が始まり、BS(右旋)、BS(左旋)、110 度 CS(左旋)は、2018年に 4K(一部 8K)実用放送開始が予定されている。ケーブルテレビは、2014 年に 4K試験放送及び 4K VOD トライアルが実施されたのち、2015 年に 4K 実用放送が開始され

た。IPTV 等は 2014 年に 4K VOD 実用サービスが始まり、2015 年に 4K 実用放送が開

始された。

第 2 節 海外の政策動向

1.米国

米国のデジタル放送標準化団体である ATSC ( Advanced Television System Committee)では、4K 放送を対象にした次世代地上テレビジョン放送標準規格 ATSC3.0の標準化が進められている。

2.欧州

欧州では、フランスが 2012 年より政府主導の元 4EVER(For Enhanced Video ExpeRience)コンソーシアムを設立し、3 か年計画で HEVC と超高精細 TV 分野の研究

開発をスタートさせた。 イギリスでは、2013 年 7 月に公共放送の英国放送協会(BBC)と衛星放送の BSkyB

が中心となり UHD(Ultra High Definition)フォーラムを設立し、欧州の標準化団体な

どとも連携して 4K 放送の要件を検討している。

3.韓国 韓国では、放送通信委員会(KCC:Korea Communications Commission)が 2009 年

5 月に「電波振興基本計画」を策定しており、2010 年 5 月に発表した今後の有望放送通

信サービスの中の一つにも 4G 放送(超高画質放送、3D 放送、実感放送)を取り上げて

いる。1

1 出典:総務省 http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h25/html/nc112320.html 2017.3.1 アクセス

Page 7: 平成28年度 特許出願技術動向調査報告書(概要) 次世代動画像符号化技術 · 処理ツール、多視点符号化等が挙げられる。これらの技術は、動画像符号化の基本となる

- 6 -

資料編

第7部

第6部

第5部

第3部

第2部

第1部

要約

本編 目次

第4部

第 4 章 特許動向調査

第 1 節 調査対象範囲と調査方法

1. 調査対象範囲

次世代動画像符号化技術に関する特許出願動向について、全体動向調査、技術区分別

動向調査、出願人別動向調査及び注目特許の調査を行った。

(1) 調査対象とした出願先国 今回調査した特許の出願先国は、日本、米国、欧州、中国、韓国(以下、日米欧中韓

と略す場合がある)及び PCT(特許協力条約)に基づく国際出願である。欧州への出

願については、欧州特許庁への出願(EPC 出願)だけでなく、EPC 加盟国の内で検索

に使用したデータベース(後述)の収録国(アイルランド、イギリス、イタリア、オ

ーストリア、オランダ、スイス、スウェーデン、スペイン、スロバキア、チェコ、デ

ンマーク、ドイツ、トルコ、ノルウェー、ハンガリー、フィンランド、フランス、ベ

ルギー、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、ルクセンブルク)への出願も対象と

した。

(2) 使用したデータベースと調査対象期間 特許検索に使用したデータベースは、Clarivate Analytics 社が提供する Thomson

Innovation の Derwent World Patents Index(DWPI)を用い、最先の優先権主張年

が 2008 年から 2014 年を調査対象期間とした。

(3) 調査対象技術範囲 本調査における特許検索では、動画像符号化に関する国際特許分類(IPC)及び欧米

共同特許分類(CPC)である「H04N19/00(デジタルビデオ信号を符号化、復号化、

圧縮または伸張するための方法または装置)ならびにその下位分類」及び「H04N7/26(画像通信)ならびにその下位分類」を併用して検索を行った(検索式の詳細は資料

編を参照のこと)。

(4) その他の留意事項 出願人国籍は、日本国籍、米国籍、欧州国籍、中国籍、韓国籍及びその他の国籍に分

けて集計を行った。出願人国籍は「筆頭出願人名または筆頭出願人の住所」、「発明者

の住所」、「優先権主張国」の優先順位で付与した。なお、香港(HK)は中国籍に合算

し、台湾(TW)はその他の国籍として集計した。 出願人国籍別出願動向調査において、欧州国籍の出願とは、2015 年 3 月現在の EPC

加盟国である 38 か国(アイスランド、アイルランド、アルバニア、イギリス、イタリ

ア、エストニア、オーストリア、オランダ、キプロス、ギリシア、クロアチア、サン

マリノ、スイス、スウェーデン、スペイン、スロバキア、スロベニア、セルビア、チ

ェコ、デンマーク、ドイツ、トルコ、ノルウェー、ハンガリー、フィンランド、フラ

ンス、ブルガリア、ベルギー、ポーランド、ポルトガル、マケドニア旧ユーゴスラビ

Page 8: 平成28年度 特許出願技術動向調査報告書(概要) 次世代動画像符号化技術 · 処理ツール、多視点符号化等が挙げられる。これらの技術は、動画像符号化の基本となる

- 7 -

資料編

第7部

第6部

第5部

第3部

第2部

第1部

要約

本編 目次

第4部

ア、マルタ、モナコ、ラトビア、リトアニア、リヒテンシュタイン、ルーマニア、ル

クセンブルク)の国籍を欧州国籍とした。 特許の出願先国によってデータベースに収録されるまでの時間差があるため、全て

の特許データが収録されている期間が各国で異なっている。このため、特に 2013 年

以降は全データが取得されていない可能性があることに留意が必要である。さらに

PCT 出願については、国内段階へ移行するまでの期間が長く(国内段階移行手続期間

(国内書面提出期間):優先日から 30 月以内)、国内書面提出期間の経過後となる公

表公報発行時期は、通常の国内出願の公開公報発行時期(出願から 1 年 6 か月)より

遅くなることに留意が必要である。 登録件数の年次推移については、審査請求制度の有無、特許出願から審査請求まで

の期間、及び審査にかかる期間が各国で異なることを念頭において評価する必要があ

る。 ファミリー件数の調査は、日本、米国、欧州、中国及び韓国へのいずれかの国への出

願を有するパテントファミリーに加え、まだどの国にも国内移行していない PCT 出

願を有するパテントファミリーも含めて集計を行った。

2. 調査方法 「1. 調査対象範囲」で示した条件での特許データベース検索で得られた特許文献のパ

テントファミリー単位での件数は 23,834 件であり、国内外の内訳は、日本への出願があ

るファミリーが 7,114 件、日本への出願が無いファミリーが 16,720 件であった。 特許情報の解析にあたっては、まず特許文献の一次分類を行った。一次分類は、表 4-1 の定義に基づき、各特許文献を以下のいずれかのカテゴリに分類した。 調査対象の 23,834 件のパテントファミリーの内訳は、符号化技術の特許文献が 16,123件、符号化周辺技術の特許文献が 4,640 件、その他の特許文献が 3,071 件であった。

表 4-1 一次分類の定義と該当件数

カテゴリ 定義 ファミリー件数 符号化技術 符号化技術に特徴があるもの 16,123

符号化周辺技術 符号化技術に特徴はないものの、明細書等

に符号化技術に関する事項が記載されて

いるもの 4,640

その他 符号化技術に特徴はなく、また、明細書等

に符号化技術に関する事項が記載されて

いないもの 3,071

本調査の目的が次世代動画像符号化技術に関する技術動向を明らかにすることにある

ことから、符号化技術のカテゴリに含まれると判断された特許文献について、本調査に

おいて作成した技術区分表(表 4-2~4-7)に従い、技術区分の付与を行った。

Page 9: 平成28年度 特許出願技術動向調査報告書(概要) 次世代動画像符号化技術 · 処理ツール、多視点符号化等が挙げられる。これらの技術は、動画像符号化の基本となる

- 8 -

資料編

第7部

第6部

第5部

第3部

第2部

第1部

要約

本編 目次

第4部

表 4-2 用途に関する技術区分 大分類 中分類 備考

放送・制作

放送事業者設備 放送送信機、番組制作装置、衛星、中継局等

放送受信機 テレビ、受信チューナ内蔵パソコン等

ビデオ配信 放送以外の映像配信(一方向の映像配信を想定)

配信設備 ビデオサーバー、ゲートウェイ、ルータ等

配信受信機 セットトップボックス等

モバイル スマホ、タブレット、ノート PC 等、モバイル端末用

テレビ会議

コンピュータ画面転送 画面転送型シンクライアント、デスクトップ仮想化等

監視 監視カメラ、ドローン等

医療

ゲーム 家庭用ゲーム機またはスマートフォン等のゲームアプリに適用されるもの

VR/AR 仮想現実空間、拡張現実空間を提供するもの

記録・再生 蓄積系映像機器に該当するもの

デジタルシネマ 銀塩フィルムの代わりにデジタルカメラを使用して撮影した映画

ディスプレイ駆動回路

カメラ

自動車

その他の用途 上記分類に該当しない用途

用途の記載なし

表 4-3 基本製品に関する技術区分

大分類 備考

エンコーダ 符号化側のみに特徴があるもの

デコーダ 復号側のみに特徴があるもの

エンコーダ及びデコーダ 符号化側と復号側の両方に特徴があるもの(トランスコードは除く)

トランスコーダ

ビットストリームを復号し(完全に復号するものと一部復号するものの両

方を含む)、異なる符号化方式のビットストリームや、同じ符号化方式の

ビットストリーム(符号化パラメータや解像度等を変えたもの)に変換す

るもの

Page 10: 平成28年度 特許出願技術動向調査報告書(概要) 次世代動画像符号化技術 · 処理ツール、多視点符号化等が挙げられる。これらの技術は、動画像符号化の基本となる

- 9 -

資料編

第7部

第6部

第5部

第3部

第2部

第1部

要約

本編 目次

第4部

表 4-4 課題に関する技術区分 大分類 中分類 備考

高画質画像に対応した符号化 高画質画像に対応することを課題とするもの

解像度(空間解像度) フル HD(2K)より高い空間解像度の画像に対応することを課題とす

るもの

フレームレート(時間

解像度)

ビット深度

ダイナミックレンジ

色域

低遅延 画像が表示されるまでのタイムラグの短縮を課題とするもの

符号化効率の向上

符号化歪みの低減 ループ内フィルタや後処理フィルタ等により、符号化歪みを低減する

ことを課題とするもの

メモリ使用量の削減 符号化または復号時のメモリ量・メモリバンド幅の削減を課題とする

もの

低消費電力 低消費電力化を課題とするもの

コスト削減 回路の共通化、チップの小型化、ソフトウェア化など、コスト低廉化

を課題とするもの

処理の高速化 符号化処理または復号処理の高速化を課題とするもの

演算の省略又は簡略化 演算処理の削減を課題とするもの

誤り耐性 誤りが発生した時のリカバリー対策やエラーの伝搬防止を課題とする

もの

画質評価

レート制御 符号量・画質の一定化、オーバーフロー・アンダーフローの防止等を

含むレート制御に関わる課題を有するもの

互換性の確保

ランダムアクセス

その他の課題 上記分類に該当しない事項を課題とするもの

課題の記載なし

Page 11: 平成28年度 特許出願技術動向調査報告書(概要) 次世代動画像符号化技術 · 処理ツール、多視点符号化等が挙げられる。これらの技術は、動画像符号化の基本となる

- 10 -

資料編

第7部

第6部

第5部

第3部

第2部

第1部

要約

本編 目次

第4部

表 4-5 符号化方式に関する技術区分 大分類 中分類 備考

H.265/HEVC

HEVC

HEVC RExt

SHVC

MV-HEVC

3D-HEVC

SCC Screen Content Coding

H.264/MPEG-4 AVC

H.264/MPEG-4 AVC 拡張規格である FRExt を含む

SVC

MVC

3D-AVC

MPEG-1,2,4

MPEG1 ビデオ:ISO/IEC 11172-2

MPEG2 ビデオ:ISO/IEC 13818-2

MPEG4 ビジュアル:ISO/IEC 14496-2

JPEG JPEG2000、Motion JPEG、JPEG XR 等、動画を処理すること

が可能な JPEG 符号化方式

VCx

SMPTE(米国映画テレビ技術協会)により標準化された方

式。VC-1,2,3,4,5、Windows Media Video(WMV)、Dirac を含

VPx Google 社が開発した方式。VP6,7,8,9、WebM を含む

Daala Xiph.Org Foundation と Mozilla Foundation により共同開発され

た方式。Theora を含む

AVS-China 中国政府/企業が主体となって開発した方式。AVS と表記さ

れているものを含む

その他の符号化方式 上記分類に該当しない符号化方式のもの

表 4-6 符号化対象動画像種別・走査方式に関する技術区分 (a)符号化対象動画像種別

大分類 備考

自然動画像

デプス動画像、コンピュータ動画像及び特殊画像に該当しない一般動画像。デプ

ス画像を扱わない多視点動画像(ステレオ動画像、3 視点以上の動画像)を含

む。

デプス動画像

コンピュータ動画像 CG、ゲーム画面、コンピュータ画面等のスクリーンコンテンツ、VR/AR 動画像

特殊画像 医療用画像、レーダ画像、赤外線画像等、特殊な画像

(b)走査方式

プログレッシブ フレーム画像を扱うもの

インターレース フィールド画像を扱うもの

Page 12: 平成28年度 特許出願技術動向調査報告書(概要) 次世代動画像符号化技術 · 処理ツール、多視点符号化等が挙げられる。これらの技術は、動画像符号化の基本となる

- 11 -

資料編

第7部

第6部

第5部

第3部

第2部

第1部

要約

本編 目次

第4部

表 4-7(a) 要素技術・符号化手法に関する技術区分 大分類 中分類 備考

データ構造 ビットストリームのシンタックス/データ構造(SPS,PPS,ス

ライスヘッダ等)に特徴があるもの

前処理

色変換、ノイズ除去、帯域制限、画像解析、解像度変換、シ

ーンチェンジ検出、ダイナミックレンジ変換等、符号化処理

のための前処理に特徴があるもの

符号化単位(CU)の分割 符号化単位(CU)サイズ選択、階層分割、分割パターン等、

符号化単位(CU)の分割に特徴があるもの

予測 イントラ予測、インター予測等、予測の手法に特徴があるも

イントラ予測

イントラ予測方法、イントラ予測モード選択等、イントラ予

測に特徴があるもの。多視点符号化技術特有のイントラ予測

(Depth Mode Modeling 等)に関するものは含まない。

インター予測

動き補償予測、参照画像選択、予測単位(PU)サイズ選択、

動きベクトル検出、参照ピクチャリスト作成等、インター予

測に特徴があるもの。スケーラブル符号化技術、多視点符号

化技術特有のインター予測(レイヤ間予測、視点間予測等)

に関するものは含まない

その他の予測 予測に特徴があるが、イントラ予測に関するものでもインタ

ー予測に関するものでもないもの

フレーム/フィールド内符号化 MPEG-2、JPEG 等、イントラ予測を使用しないフレーム/フ

ィールド内符号化

Page 13: 平成28年度 特許出願技術動向調査報告書(概要) 次世代動画像符号化技術 · 処理ツール、多視点符号化等が挙げられる。これらの技術は、動画像符号化の基本となる

- 12 -

資料編

第7部

第6部

第5部

第3部

第2部

第1部

要約

本編 目次

第4部

表 4-7(b) 要素技術・符号化手法に関する技術区分 大分類 中分類 備考

変換 複数の変換からの選択、変換サイズの選択、変換量子化スキッ

プモード、変換スキップモード等、変換手法に特徴があるもの

変換一般 他の中分類に分類できないもの

DCT

DST

整数変換

KLT

ウェーブレット

特殊な変換符号化モード 変換量子化バイパスモード、変換スキップモードに特徴がある

もの

アダマール変換

変換単位の分割

H.265/HEVC で用いられる変換単位(TU)の分割に関するも

の。H.264/MPEG-4 AVC 等における変換ブロックの分割に関す

るものも含む。

量子化

量子化(量子化幅(量子化ステップ)、量子化パラメータ、量

子化マトリクス、レート制御等に関するもの)の手法に特徴が

あるもの

ループ内フィルタ エンコーダ内で、ローカル復号後の画像を参照画像として使用

する際に、歪みの伝搬を抑制するために演算されるフィルタ

デブロッキングフィルタ

サンプルアダプティブオ

フセット SAO

適応ループフィルタ Wiener フィルタ等、符号化誤差に基づいて符号化誤差を最小化

するフィルタ

その他のループ内フィル

エントロピー符号化

エントロピー符号化一般

符号割り当て処理、ハフマン符号、ランレングス符号、算術符

号、変換係数(量子化係数)スキャン等、可変長符号化に特徴

があるもの

CABAC

CAVLC

指数ゴロム符号

後処理 復号ループ外において符号化誤差による画質劣化を低減させる

ためのフィルタ処理等、後処理に特徴があるもの

オブジェクト符号化

関心領域符号化 画像の特定領域を抽出し、特定領域と非特定領域との間で符号

化手法や符号化パラメータを変えるもの

トランスコーディング ビットストリームを復号し、異なる符号化方式のビットストリ

ームや、同じ符号化方式のビットストリームへ変換するもの

エラー訂正/修正

ベクトル量子化 複数の入力画素からベクトルを構成し、最も近い代表的なベク

トルで近似することによって量子化を行うもの

Page 14: 平成28年度 特許出願技術動向調査報告書(概要) 次世代動画像符号化技術 · 処理ツール、多視点符号化等が挙げられる。これらの技術は、動画像符号化の基本となる

- 13 -

資料編

第7部

第6部

第5部

第3部

第2部

第1部

要約

本編 目次

第4部

表 4-7(c) 要素技術・符号化手法に関する技術区分 大分類 中分類 備考

スケーラブル符号化

空間スケーラブル符号化

時間スケーラブル符号化

SNR スケーラブル符号化

ビットストリームを符号化歪の多い低画質なベースレイヤと

ベースレイヤの歪を低減し画質を高めるための追加情報であ

るエンハンスメントレイヤに分割して階層符号化するもの

ビット深度スケーラブル符号

ビットストリームを低ビット深度のベースレイヤとそれと組

み合わせることで高ビット深度の復号画像が得られる追加情

報であるエンハンスメントレイヤに分割して階層符号化する

もの

色域スケーラブル符号化

ダイナミックレンジスケーラ

ブル符号化

ビットストリームを低ダイナミックレンジのベースレイヤと

それと組み合わせることで高ダイナミックレンジの復号画像

が得られる追加情報であるエンハンスメントレイヤに分割し

て階層符号化するもの

符号化規格スケーラブル符号

ベースレイヤとエンハンスメントレイヤとで、それぞれ異な

る符号化規格により符号化を行うもの

その他のスケーラブル符号化

「スケーラブル符号化の他の中分類に分類できないもの

(例:階層化の種類(空間、時間等)が特定されていないも

の)」

時間的サブサンプリングまたは補間 フレームスキップ、フレーム補間等、時間的サブサンプリン

グ又は補間に特徴があるもの

空間的サブサンプリングまたは補間 画素補間、画素間引き等、空間的サブサンプリング又は補間

に特徴があるもの

並列処理ツール

並列処理一般 他の中分類に分類できないもの

タイル 並列処理の単位がタイルであるもの

WPP Wavefront Parallel Processing。複数の符号化/復号処理を時間

差で並列実行するもの

多視点符号化 多視点符号化(ステレオ画像符号化、デプス画像符号化も含

む)に特徴があるもの

パレット符号化 予め定められた色をパレットとして登録し、入力画素の色と

比較することにより、符号化する方式

分散映像符号化(DVC) 相関を持つ複数の分散信号源を個別に符号化し、受信側でこ

れら符号化データを一括復号するもの

Page 15: 平成28年度 特許出願技術動向調査報告書(概要) 次世代動画像符号化技術 · 処理ツール、多視点符号化等が挙げられる。これらの技術は、動画像符号化の基本となる

- 14 -

資料編

第7部

第6部

第5部

第3部

第2部

第1部

要約

本編 目次

第4部

表 4-7(d) 要素技術・符号化手法に関する技術区分 アーキテクチャ

ハードウェア構成 ハードウェアによる構成に特徴があるもの

ソフトウェア構成 ソフトウェアによる構成に特徴があるもの

その他

ロスレス圧縮 ロスレス~1/5 圧縮など、圧縮率よりも、元の画像を復元で

きることを優先した符号化技術

機械学習を用いた符号化

機械学習(遺伝的プログラミング、ニューラルネットワー

ク、ディープラーニング等)を用いた符号化・復号手法に特

徴があるもの

その他の符号化手法 他のいずれの大分類に分類できないもの

Page 16: 平成28年度 特許出願技術動向調査報告書(概要) 次世代動画像符号化技術 · 処理ツール、多視点符号化等が挙げられる。これらの技術は、動画像符号化の基本となる

- 15 -

資料編

第7部

第6部

第5部

第3部

第2部

第1部

要約

本編 目次

第4部

3. 調査対象特許件数 調査対象の特許出願は、検索された特許出願から、調査対象外の技術に関する特許出

願(Y 文献及び Z 文献)を除いたものとし、この調査対象の出願(X 文献)に対して、

技術区分の付与を行った。調査対象とした特許の出願先国別の出願件数を表 4-8に示す。

なお、登録特許は検索日時点で公報がデータベースに収録されたものを対象とした。

表 4-8 対象とした出願先国別特許出願件数 出願先国 分析対象の出願件数

日本 6,071 米国 9,641 欧州 4,385 中国 8,062 韓国 4,766

日米欧中韓への出願 合計 32,925 PCT 出願 6,241 その他 6,967

総計(PCT 出願、その他を含む) 46,133

第 2 節 全体動向調査

1. PCT 出願動向

2008 年から 2014 年までにおける、出願人国籍別の PCT 出願件数推移と出願件数比

率を図 4-1 に示す。 出願人国籍ごとの全出願件数に対する比率については、米国籍出願人と日本国籍出願

人の比率はほぼ同じで、それぞれ 27.7%と 27.3%である。次いで、韓国籍出願人の 15.8%、

欧州国籍出願人の 13.6%と続いている。 出願件数全体の推移は、2009 年から 2011 年にかけて大きく増加し、それ以降は緩や

かな減少傾向である。 国籍別の推移では、日本国籍出願人は 2008 年から 2011 年の間は最も多いが、2012 年

以降は米国籍出願人が最も多い。

Page 17: 平成28年度 特許出願技術動向調査報告書(概要) 次世代動画像符号化技術 · 処理ツール、多視点符号化等が挙げられる。これらの技術は、動画像符号化の基本となる

- 16 -

資料編

第7部

第6部

第5部

第3部

第2部

第1部

要約

本編 目次

第4部

日本国籍

1,704件

27.3%

米国籍

1,730件

27.7%欧州国籍

850件

13.6%

中国籍

453件

7.3%

韓国籍

989件

15.8%

その他

515件

8.3%

合計

6,241件

図 4-1 出願人国籍別‐出願件数推移及び出願件数比率(PCT 出願、出願年(優先権主張年):

2008-2014 年)

2. 出願先国別出願動向 日米欧中韓への出願における出願先国別の出願件数推移と出願件数比率を図 4-2 に示

す。 出願先国ごとの全出願件数に対する比率は、米国への出願が 29.3%と最も高く、次い

で中国への出願が 24.5%、日本への出願が 18.4%と続く。 全体の出願件数は 2011 年をピークに減少しており、いずれの国籍においても減少傾

向が見られるが、特に日本国籍出願人の減少幅が大きい。

図 4-2 出願先国別‐出願件数推移及び出願件数比率(日米欧中韓への出願、出願年(優先権

主張年):2008-2014 年)

366 440

986 1,351 1,206

1,027

865

0

150

300

450

600

750

900

1,050

1,200

1,350

1,500

0

100

200

300

400

500

600

700

800

900

1,000

2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014

合計

出願件数

出願年(優先権主張年)

日本 米国 欧州 中国 韓国 その他 合計

出願人国籍(地域)

優先権主張

2008-2014年

注)2013 年以降はデータベース収録の遅れ、PCT 出願の各国移行の

ずれ等で、全データを反映していない可能性がある。

日本

6,071件

18.4%

米国

9,641件

29.3%欧州

4,385件

13.3%

中国

8,062件

24.5%

韓国

4,766件

14.5%

合計

32,925件

3,168 3,782

5,508 7,751 5,970

4,548

2,198

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

6,000

7,000

8,000

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

3,000

3,500

4,000

4,500

5,000

2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014

合計

出願件数

出願年(優先権主張年)

日本 米国 欧州 中国 韓国 合計

出願先国(地域)

優先権主張

2008-2014年

Page 18: 平成28年度 特許出願技術動向調査報告書(概要) 次世代動画像符号化技術 · 処理ツール、多視点符号化等が挙げられる。これらの技術は、動画像符号化の基本となる

- 17 -

資料編

第7部

第6部

第5部

第3部

第2部

第1部

要約

本編 目次

第4部

3. 出願人国籍別出願動向 日米欧中韓への出願における出願人国籍別の出願件数推移と出願件数比率を図 4-3 に

示す。 特許出願件数を出願人国籍別に見ると、日本国籍出願人が 9,783 件で最も多く全体の

29.7%を占めている。次いで米国籍出願人が 7,448 件(22.6%)、韓国籍が 6,456 件(19.6%)

となっている。 出願年別に見ると、2008 年から 2011 年までは日本国籍出願人の出願件数が最も多い

が、2012 年及び 2013 年は米国籍出願人の件数が最も多い。 図 4-3 出願人国籍別‐出願件数推移及び出願件数比率(日米欧中韓への出願、出願年(優先

権主張年):2008-2014 年)

日本国籍

9,783件

29.7%

米国籍

7,448件

22.6%欧州国籍

3,324件

10.1%

中国籍

3,678件

11.2%

韓国籍

6,456件

19.6%

その他

2,236件

6.8%

合計

32,925件

注)2013 年以降はデータベース収録の遅れ、PCT 出願の各国移行の

ずれ等で、全データを反映していない可能性がある。

3,168 3,782

5,508 7,751 5,970

4,548

2,198

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

6,000

7,000

8,000

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

3,000

3,500

4,000

2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014

合計

出願件数

出願年(優先権主張年)

日本 米国 欧州 中国 韓国 その他 合計

出願人国籍(地域)

優先権主張

2008-2014年

Page 19: 平成28年度 特許出願技術動向調査報告書(概要) 次世代動画像符号化技術 · 処理ツール、多視点符号化等が挙げられる。これらの技術は、動画像符号化の基本となる

- 18 -

資料編

第7部

第6部

第5部

第3部

第2部

第1部

要約

本編 目次

第4部

第 3 節 技術区分別動向調査

1. 技術区分別出願件数推移

(1) 基本製品 技術区分「基本製品」の出願件数推移を図 4-4 に示す。「エンコーダ」、「デコーダ」

及び「トランスコーダ」は 2011 年がピークとなっているが、「エンコーダ及びデコー

ダ」は 2010 年と 2013 年がピークとなっている。 「エンコーダ」が最も多く、「デコーダ」及び「エンコーダ及びデコーダ」はほぼ同

じ水準である。「トランスコーダ」の出願件数は他に比べて少ない。

図 4-4 技術区分「基本製品」‐出願件数推移(日米欧中韓への出願、出願年(優先権主張

年):2008-2014 年)

(2) 課題 技術区分「課題」の出願件数推移を図 4-5 に示す。多くの課題において 2008 年から

2011 年まで増加している。 「符号化効率の向上」が他の課題を大きく上回っている。その他「演算の省略又は

簡略化」、「処理の高速化」、「符号化歪みの低減」、「メモリ使用量の削減」などが多い。 「高画質画像に対応した符号化」の中分類を見ると、「解像度」が最も多く、次いで

「ダイナミックレンジ」となっている。「フレームレート」、「ビット深度」、「色域」に

関するものは少ない。「解像度」の小分類を見ると、「8K」より「4K」の方が多く、特

に 2011 年に急増している。

エンコーダ 1934 2016 3142 5012 3375 2377 1500

デコーダ 640 626 938 1579 1418 669 292

エンコーダ及びデコーダ 442 1048 1305 1025 1053 1379 327

トランスコーダ156 95 123 141 124 125 79

基本製品

出願年(優先権主張年)

2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014

注)2013 年以降はデータベース収録の遅れ、PCT 出願の各国移行の

ずれ等で、全データを反映していない可能性がある。

Page 20: 平成28年度 特許出願技術動向調査報告書(概要) 次世代動画像符号化技術 · 処理ツール、多視点符号化等が挙げられる。これらの技術は、動画像符号化の基本となる

- 19 -

資料編

第7部

第6部

第5部

第3部

第2部

第1部

要約

本編 目次

第4部

図 4-5 技術区分「課題」‐出願件数推移(日米欧中韓への出願、出願年(優先権主張年):

2008-2014 年)

注)2013 年以降はデータベース収録の遅れ、PCT 出願の各国移行の

ずれ等で、全データを反映していない可能性がある。

高画質画像に対応した

符号化 156 86 83 561

369 374 115 ・解像度

132 56 40414

283 214 68

・・8K3 6 26 71 15 9 14

・・4K12 2 1 121 175 133 31

・・その他118 50 13

327221 171 37

・フレームレート11 2 2 1

・・60fps超8 1

・・60fps3 1 2 1

・ビット深度5 1 9 10 9 2

・・16ビット4 1

・・12ビット3 5 5 2

・・10ビット5 1 2 10 8 2

・ダイナミックレンジ14 22 40 140 65 117 31

・色域5 4 15 16 70 24

低遅延53

116 222 158 302144 129

符号化効率の向上 1282 1824 2801 4366 2812 2079 1039

符号化歪みの低減227

370 479 676 357227 122

メモリ使用量の削減182 191

287 581 373 394116

低消費電力112 88 137 175 218 140 90

コスト削減117 139 317 268 243 173 95

処理の高速化 430 338 450 884 839 453 294

演算の省略又は簡略化 381 437 721 1146 829 768 327

誤り耐性147 202

320 352292 160 131

画質評価39 37 84 123 127 78 31

レート制御133 216 333 297 198 174 124

互換性の確保28 33 36 76 88 58 11

ランダムアクセス49 24 47 40 149 63 26

その他の課題 599 512 660 1133 904 1097 325

課題

出願年(優先権主張年)

2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014

Page 21: 平成28年度 特許出願技術動向調査報告書(概要) 次世代動画像符号化技術 · 処理ツール、多視点符号化等が挙げられる。これらの技術は、動画像符号化の基本となる

- 20 -

資料編

第7部

第6部

第5部

第3部

第2部

第1部

要約

本編 目次

第4部

(3) 符号化対象動画像種別・走査方式 技術区分「符号化対象動画像種別・走査方式」の出願件数推移を図 4-6 に示す。 符号化対象動画像種別では、その大半が「自然動画像」であり、2008 年の 2,937 件

から 2011 年の 7,321 件へと約 2.5 倍に増加している。全体的に「デプス動画像」、「コ

ンピュータ動画像」、「特殊画像」を対象にするものは少なかったが、「デプス動画像」

は 2013 年がピークとなっており、2011 年をピークとする「自然動画像」及び「コン

ピュータ動画像」とは推移パターンが異なっている。 「走査方式」では大部分が「プログレッシブ」であり、「インターレース」は僅かで

ある。 図 4-6 技術区分「符号化対象動画像種別・走査方式」‐出願件数推移(日米欧中韓への出

願、出願年(優先権主張年):2008-2014 年)

(4) 要素技術・符号化手法(大分類) 技術区分「要素技術・符号化手法(大分類)」の出願件数推移を図 4-7 に示す。 全体的な傾向としては、2008 年から 2011 年にかけて増加傾向を示しているものが

多い。「予測」が最も多く、2008 年の 1,292 件から 2011 年の 3,557 件へと 2.5 倍以上

に増加している。その他、「量子化」、「エントロピー符号化」、「変換」などが上位であ

る。 多くの「要素技術・符号化手法(大分類)」のピークは 2011 年であるのに対し、「多

視点符号化」、「スケーラブル符号化」、「データ構造」、「アーキテクチャ」などはその

ピークが 2012 年以降であることが特徴的である。

注)2013 年以降はデータベース収録の遅れ、PCT 出願の各国移行の

ずれ等で、全データを反映していない可能性がある。

自然動画像 2937 3637 5340 7321 5485 4087 2018

デプス動画像93 69 108 285 336 348 115

コンピュータ動画像103 51 38 101 80 66 42

特殊画像22 21 22 45 64 44 21

プログレッシブ 3114 3768 5489 7708 5933 4524 2193

インターレース61 33 18 47 46 31 9

符号化対象動画像種別・走査方式

出願年(優先権主張年)

2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014

Page 22: 平成28年度 特許出願技術動向調査報告書(概要) 次世代動画像符号化技術 · 処理ツール、多視点符号化等が挙げられる。これらの技術は、動画像符号化の基本となる

- 21 -

資料編

第7部

第6部

第5部

第3部

第2部

第1部

要約

本編 目次

第4部

図 4-7 技術区分「要素技術・符号化手法」‐出願件数推移(日米欧中韓への出願、出願年

(優先権主張年):2008-2014 年)

注)2013 年以降はデータベース収録の遅れ、PCT 出願の各国移行の

ずれ等で、全データを反映していない可能性がある。

データ構造 217 383 196 557 880 692 237

前処理99

462 656 447 352160

254

符号化単位(CU)の分

割 140222 240 535 466 412 213

予測 1292 1362 2192 3557 2206 1994 840

フレーム/フィールド内

符号化 91 38 6 72 64 37 16

変換 358 534 555 868 641 444 218

量子化 528 472 486 911 847 459 269

ループ内フィルタ 198 259 401 657 495 24583

エントロピー符号化 402 317 428 1147 765 355 216

後処理66 67 83 125 128 82 42

オブジェクト符号化18 12 5 39 39 4 3

関心領域符号化103 30 35 81 120 135 70

トランスコーディング150 88 122 137 110 99 79

エラー訂正/修正141 82 139 111 160 98 48

ベクトル量子化41 8 18 14 23 27 10

スケーラブル符号化 275 260 368 439 921 1056 194

時間的サブサンプリン

グまたは補間 66 65 85 25 28 24 26空間的サブサンプリン

グまたは補間 115 76 122 109 93 64 34

並列処理ツール139 103

201 299 377 266141

多視点符号化 166 422 527 680 747 531 182

パレット符号化6 3 2 14 4 46 86

分散映像符号化

(DVC) 30 18 16 39 38 27 13

アーキテクチャ 529175 114

565 843 959 354

ロスレス圧縮51 40 44 73 130 91 43

機械学習を用いた符

号化 13 8 12 23 20 30 12

その他の符号化手法 24352 74 176

220137 82

要素技術・符号化手法

出願年(優先権主張年)

2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014

Page 23: 平成28年度 特許出願技術動向調査報告書(概要) 次世代動画像符号化技術 · 処理ツール、多視点符号化等が挙げられる。これらの技術は、動画像符号化の基本となる

- 22 -

資料編

第7部

第6部

第5部

第3部

第2部

第1部

要約

本編 目次

第4部

(5) 要素技術・符号化手法(予測の中分類) 技術区分「要素技術・符号化手法(予測の中分類)」の出願件数推移を図 4-8 に示す。

全体的な傾向としては、2008 年から増加し 2011 年をピークとする推移をしている。

中分類を比較すると、「インター予測」が「イントラ予測」に比べて多い。 図 4-8 技術区分「要素技術・符号化手法(予測の中分類)」‐出願件数推移(日米欧中韓へ

の出願、出願年(優先権主張年):2008-2014 年)

予測 1292 1362 2192 3557 2206 1994 840

・イントラ予測448 567

999 1436 847 798423

・インター予測 911 976 1367 2328 1186 989521

・その他の予測145 59 30 288 647 771 90

要素技術・符号化手法(予測)

出願年(優先権主張年)

2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014

注)2013 年以降はデータベース収録の遅れ、PCT 出願の各国移行の

ずれ等で、全データを反映していない可能性がある。

Page 24: 平成28年度 特許出願技術動向調査報告書(概要) 次世代動画像符号化技術 · 処理ツール、多視点符号化等が挙げられる。これらの技術は、動画像符号化の基本となる

- 23 -

資料編

第7部

第6部

第5部

第3部

第2部

第1部

要約

本編 目次

第4部

2. 出願人国籍別出願動向

(1) 課題 技術区分「課題」における出願人国籍別の出願件数を図 4-9 に示す。 最も件数が多い「符号化効率の向上」では日本国籍が 4,570 件と最も多く、韓国籍

の 4,088 件、米国籍の 3,702 件の順となっている。 「高画質画像に対応した符号化」では韓国籍が突出しており、その中分類である

「解像度」において他の国籍を大きく上回っている。 日本国籍は、「低遅延」、「符号化歪みの低減」、「低消費電力」、「コスト削減」、「処

理高速化」、「演算の省略又は簡略化」、「誤り耐性」、「レート制御」などで最も多い出

願人国籍となっている。米国籍は「ダイナミックレンジ」、「互換性の確保」、「ランダ

ムアクセス」で最も多く、欧州国籍は「画質評価」で最も多くなっている。

Page 25: 平成28年度 特許出願技術動向調査報告書(概要) 次世代動画像符号化技術 · 処理ツール、多視点符号化等が挙げられる。これらの技術は、動画像符号化の基本となる

- 24 -

資料編

第7部

第6部

第5部

第3部

第2部

第1部

要約

本編 目次

第4部

図 4-9 技術区分「課題」‐出願人国籍別‐出願件数(日米欧中韓への出願、出願年(優

先権主張年):2008-2014 年)

高画質画像に対応した

符号化 320 311 186 82 808

37

・解像度 203 84 43 60791

26

・・8K19 4 4 116 1

・・4K 57 27 6 7375

3

・・その他152 60 37 50

61325

・フレームレート12 1 1 2

・・60fps超8 1

・・60fps4 1 2

・ビット深度7 16 7 1 5

・・16ビット1 4

・・12ビット3 12

・・10ビット3 16 3 1 5

・ダイナミックレンジ73 197 122 17 15 5

・色域40 61 16 4 5 8

低遅延 431 275 131 131 8670

符号化効率の向上 4570 3702 1489 1407 4088 947

符号化歪みの低減 806 718284 146

364140

メモリ使用量の削減 676 578186 1… 261 251

低消費電力 332 23366 103 115 111

コスト削減 497 287165 168 93 142

処理の高速化 1052 666206

740 704320

演算の省略又は簡略化 1145 1098 495 669 834368

誤り耐性 483 409184 236 199 93

画質評価 84 124 164 77 21 49レート制御 466 442

173 196 103 95互換性の確保

53 134 59 20 55 9ランダムアクセス

1 160 38 10 75 9その他の課題 1801 1143 490 575 918

303

課題

出願人国籍

日本 米国 欧州 中国 韓国 その他

Page 26: 平成28年度 特許出願技術動向調査報告書(概要) 次世代動画像符号化技術 · 処理ツール、多視点符号化等が挙げられる。これらの技術は、動画像符号化の基本となる

- 25 -

資料編

第7部

第6部

第5部

第3部

第2部

第1部

要約

本編 目次

第4部

(2) 要素技術・符号化手法(大分類) 技術区分「要素技術・符号化手法(大分類)」における出願人国籍別の出願件数を

図 4-10 に示す。 日本国籍は「前処理」、「予測」、「変換」、「量子化」、「ループ内フィルタ」、「エント

ロピー符号化」、「多視点符号化」などで最も多い。 米国籍は「データ構造」、「トランスコーディング」、「スケーラブル符号化」、「アー

キテクチャ」などで最も多い。 韓国籍は「符号化単位(CU)の分割」において最も件数が多い。

Page 27: 平成28年度 特許出願技術動向調査報告書(概要) 次世代動画像符号化技術 · 処理ツール、多視点符号化等が挙げられる。これらの技術は、動画像符号化の基本となる

- 26 -

資料編

第7部

第6部

第5部

第3部

第2部

第1部

要約

本編 目次

第4部

図 4-10 技術区分「要素技術・符号化手法(大分類)」‐出願人国籍別‐出願件数(日

米欧中韓への出願、出願年(優先権主張年):2008-2014 年)

データ構造 889 1,111 277 154

582 149

前処理 716 537 405 300 348124

符号化単位(CU)の分

割546 493

121227 620 196

予測 4130 2609 997 1349 3377 981

フレーム/フィールド内

符号化 112 78 40 40 36 18

変換 1008 765 256 535 782 272

量子化 1449 858 264 494 600 307

ループ内フィルタ 717 630147 116

500 228

エントロピー符号化 1245 823 326 376 519 341

後処理 231127 72 58 62 43

オブジェクト符号化12 49 36 13 7 3

関心領域符号化171 142 73 129 35 24

トランスコーディング 211230 75 175 51 43

エラー訂正/修正 237174 67 154 110 37

ベクトル量子化39 16 39 30 9 8

スケーラブル符号化 697 1154 440 243 828151

時間的サブサンプリン

グまたは補間 100 75 21 51 44 28空間的サブサンプリン

グまたは補間 157 169 51 82 134 20

並列処理ツール 433 474133 181

202103

多視点符号化 840 742 438 375 635225

パレット符号化36 55 12 28 10 20

分散映像符号化(DVC)46 22 12 71 25 5

アーキテクチャ 848 894 411 739 412 235

ロスレス圧縮124 104 65 104 48 27

機械学習を用いた符号

化 26 26 16 38 10 2

その他の符号化手法 300264 149 132 90 49

要素技術・符号化手法

出願人国籍

日本 米国 欧州 中国 韓国 その他

Page 28: 平成28年度 特許出願技術動向調査報告書(概要) 次世代動画像符号化技術 · 処理ツール、多視点符号化等が挙げられる。これらの技術は、動画像符号化の基本となる

- 27 -

資料編

第7部

第6部

第5部

第3部

第2部

第1部

要約

本編 目次

第4部

(3) 要素技術・符号化手法(予測の中分類) 技術区分「要素技術・符号化手法(予測の中分類)」における出願人国籍別の出願

件数を図 4-11 に示す。 中分類である「イントラ予測」は韓国籍が最も多く 1,677 件である。次いで日本国

籍の 1,466 件、米国籍の 1,010 件と続く。他方の中分類である「インター予測」は日

本国籍が最も多く 2,716 件である。次いで韓国籍の 1,958 件、米国籍の 1,576 件と続

く。 図 4-11 技術区分「要素技術・符号化手法(予測の中分類)」‐出願人国籍別‐出願件数

(日米欧中韓への出願、出願年(優先権主張年):2008-2014 年)

予測 4130 2609 997 1349 3377 981

・イントラ予測 1,466 1,010 380 580 1,677 405

・インター予測 2716 1576 637 844 1958

547

・その他の予測504 713 114 167 363 169

要素技術・符号化手法(予測)

出願人国籍

日本 米国 欧州 中国 韓国 その他

Page 29: 平成28年度 特許出願技術動向調査報告書(概要) 次世代動画像符号化技術 · 処理ツール、多視点符号化等が挙げられる。これらの技術は、動画像符号化の基本となる

- 28 -

資料編

第7部

第6部

第5部

第3部

第2部

第1部

要約

本編 目次

第4部

3. 注目技術区分別‐出願人国籍別出願動向

技術区分表から特に注目される技術区分を選択し、技術区分別の出願人国籍別の出願

件数推移及び件数比率を調査した。ここでは、注目される技術区分として、「基本製品」

の中の「エンコーダ」「エンコーダ及びデコーダ」の結果を示す。 「エンコーダ」に分類されるものは、符号化側のみに特徴がある出願を対象とし、符

号化側と復号側の両方に特徴がある出願は除外している。例えば、絵柄に合わせて分割

サイズを選択する方法の技術の出願は含まれるのに対し、選択可能な分割サイズを規定

する技術の出願は含まれない。これに対し、「エンコーダ及びデコーダ」は、符号化側及

び復号側の両方に特徴がある出願を対象としている。

(1) エンコーダ 技術区分「基本製品」の「エンコーダ」における出願人国籍別の出願件数推移及び

件数比率を図 4-12 に示す。 全体の出願件数推移を見ると、2009 年から大きく増加し 2011 年には 5,012 件で

ピークに達している。2011 年から 2012 年は大きく減少している。 出願人国籍では日本国籍が 31.9%(6,168 件)と最も多く、米国籍が 23.2%(4,492件)で続いている。 出願人国籍による出願件数推移を見ると、日本国籍は 2008 年から 2011 年は最も

多く、特に 2008 年から 2010 年は突出していたが、2012 年以降は大きく減少し、

他の国籍との差がほとんど無くなっている。 図 4-12 基本製品「エンコーダ」‐出願人国籍別の出願件数推移及び件数比率(日米欧

中韓への出願、出願年(優先権主張年):2008-2014 年)

日本国籍

6,168件

31.9%

米国籍

4,492件

23.2%

欧州国籍

1,985件

10.3%

中国籍

2,401件

12.4%

韓国籍

3,018件

15.6%

その他

1,292件

6.7%

合計

19,356件

1,934 2,016

3,142

5,012

3,375

2,377

1,500

0

600

1,200

1,800

2,400

3,000

3,600

4,200

4,800

5,400

6,000

0

300

600

900

1,200

1,500

1,800

2,100

2,400

2,700

3,000

2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014

合計

出願件数

出願年(優先権主張年)

日本 米国 欧州 中国 韓国 その他 合計

出願人国籍(地域)

優先権主張

2008-2014年

Page 30: 平成28年度 特許出願技術動向調査報告書(概要) 次世代動画像符号化技術 · 処理ツール、多視点符号化等が挙げられる。これらの技術は、動画像符号化の基本となる

- 29 -

資料編

第7部

第6部

第5部

第3部

第2部

第1部

要約

本編 目次

第4部

(2) エンコーダ及びデコーダ 技術区分「基本製品」の「エンコーダ及びデコーダ」における出願人国籍別の出願

件数推移及び件数比率を図 4-13 に示す。 全体の出願件数推移を見ると、2010 年にピークに達した後、2011 年から 2012 年

は落ち込みが見られるが、2013 年に再び増加している。 出願人国籍では韓国籍が 30.2%(1,990 件)と最も多く、日本国籍が 23.7%(1,562件)、米国籍が 20.4%(1,343 件)と続いている。 出願人国籍による出願件数推移を見ると、2009 年から 2011 年の間で韓国籍が最

も多いが、2012 年から 2013 年は米国籍が首位に立っている。 図 4-13 基本製品「エンコーダ及びデコーダ」‐出願人国籍別の出願件数推移及び件数

比率(日米欧中韓への出願、出願年(優先権主張年):2008-2014 年)

日本国籍

1,562件

23.7%

米国籍

1,343件

20.4%欧州国籍

690件

10.5%

中国籍

625件

9.5%

韓国籍

1,990件

30.2%

その他

369件

5.6%

合計

6,579件

442

1,048

1,305

1,025 1,053

1,379

327

0

200

400

600

800

1,000

1,200

1,400

1,600

1,800

2,000

0

100

200

300

400

500

600

700

800

900

1,000

2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014

合計

出願件数

出願年(優先権主張年)

日本 米国 欧州 中国 韓国 その他 合計

出願人国籍(地域)

優先権主張

2008-2014年

Page 31: 平成28年度 特許出願技術動向調査報告書(概要) 次世代動画像符号化技術 · 処理ツール、多視点符号化等が挙げられる。これらの技術は、動画像符号化の基本となる

- 30 -

資料編

第7部

第6部

第5部

第3部

第2部

第1部

要約

本編 目次

第4部

第 4 節 出願人別動向調査

1. 全体の出願件数上位出願人ランキング

日米欧中韓への出願件数の合計が多い出願人の上位 30 者までを表 4-8 に示す。 最も多く出願しているのがクアルコムで 3,098 件、次いでサムスン(2,897 件)、ソニ

ー(2,299 件)と続く。上位 30 者を国籍別に見ると、日本が 11 者、米国 6 者、韓国 5者、欧州 4 者、中国 1 者、その他 3 者となっている。

表 4-9 全体の出願件数上位出願人ランキング(日米欧中韓への出願、出願年(優先権主張年):

2008-2014 年) 順位 出願人名称 出願件数

1 クアルコム(米国) 3,098

2 サムスン(韓国) 2,897

3 ソニー 2,299

4 パナソニック 1,449

5 トムソン・ライセンシング(フランス) 1,106

6 キヤノン 1,021

7 電子通信研究院(韓国) 859

8 メディアテック(台湾) 845

9 ファーウェイ(中国) 722

10 LG エレクトロニクス(韓国) 640

11 シャープ 618

12 JVC ケンウッド 571

13 インテル(米国) 559

14 SK テレコム(韓国) 534

15 NTT 506

16 東芝 496

17 富士通 477

18 三菱電機 467

19 ドルビーラボラトリーズ(米国) 463

20 マイクロソフト(米国) 435

21 エリクソン(スウェーデン) 372

22 KT(韓国) 338

23 日本電気 315

24 INFOBRIDGE PTE LTD(シンガポール) 269

25 グーグル(米国) 259

26 ブロードコム(米国) 240

27 ノキア(フィンランド) 224

28 NTT ドコモ 219

29 ブラックベリー(カナダ) 214

30 フラウンホーファー研究機構(ドイツ) 212

Page 32: 平成28年度 特許出願技術動向調査報告書(概要) 次世代動画像符号化技術 · 処理ツール、多視点符号化等が挙げられる。これらの技術は、動画像符号化の基本となる

- 31 -

資料編

第7部

第6部

第5部

第3部

第2部

第1部

要約

本編 目次

第4部

2. 注目出願人別の日米欧中韓への出願動向

注目出願人別の日米欧中韓への出願件数を図 4-14 に示す。 全体的に自国への出願が多い傾向であるが、その中でもサムスン、クアルコム、トム

ソン・ライセンシングなどは、日本、米国、欧州、中国及び韓国に広く出願している。テ

キサス・インスツルメンツ、アップル及び ZTE は自国への出願が大半を占めており、外

国への出願は少ない。

図 4-14 注目出願人別‐出願先国別出願件数(日米欧中韓への出願、出願年(優先権主張年):

2008-2014 年)

クアルコム(米国) 489 888 527 678 516

メディアテック(台湾) 46 328 150 269 52

トムソン・ライセンシング

(フランス)183 228 305 228 162

ファーウェイ(中国)28

164 109 384 37

電子通信研究院(韓国) 68 21441

56 480

LGエレクトロニクス(韓国)40

163 102 154 181

マイクロソフト(米国)27

189 86 9736

インテル(米国) 45 203 120 123 68

テキサス・インスツルメンツ

(米国) 5193

3

ブロードコム(米国) 13430

60

16

エリクソン(スウェーデン)41

130 110 6625

ZTE(中国)4 13 13

976

グーグル(米国)5

19040 11 13

SKテレコム(韓国)3

17720

106 228

アップル(米国)9

13413 17 15

サムスン(韓国) 337 840 382 499 839

注目出願人

出願先国(地域)

日本 米国 欧州 中国 韓国

Page 33: 平成28年度 特許出願技術動向調査報告書(概要) 次世代動画像符号化技術 · 処理ツール、多視点符号化等が挙げられる。これらの技術は、動画像符号化の基本となる

- 32 -

資料編

第7部

第6部

第5部

第3部

第2部

第1部

要約

本編 目次

第4部

3. 注目出願人別-日米欧中韓以外の国への出願動向 日本、米国、欧州、中国及び韓国の 5 カ国・地域の少なくともいずれかに対する特許

出願をファミリー出願として有する前記 5 カ国・地域以外の国への注目出願人別‐出願

先国別出願件数を図 4-15 に示す。 クアルコム及びサムスンが突出しており、他の出願人を大きく上回っている。サムス

ンはメキシコ、オーストラリア、ベトナム、カナダ、ロシアなどが多く、クアルコムは

台湾、カナダ、インド、シンガポールなどが多い。その他、メディアテック、トムソ

ン・ライセンシング、インテルの台湾への出願及びエリクソンのインドへの出願が目立

つ。 図 4-15 注目出願人別-出願先国別出願件数(日米欧中韓以外の国への出願、出願年(優

先権主張年):2008-2014 年)

サムスン(韓国) 78 12 163 38 73 88 78 173 1

146 203 1 143 3

64

クアルコム(米国) 176 2 117 4 112 136 257 126 182 27 9 31 94 91 21

メディアテック(台湾) 213 2 2 4

66 38 7 37 101

9 9 9

トムソン・ライセンシング

(フランス)8 20

1 1 338 20 16 14 24 9

1 4

ファーウェイ(中国) 81

8 15 10 8

電子通信研究院(韓国) 2 6 1 2 1 5 2

LGエレクトロニクス(韓国)5 3 6 25 11

2

マイクロソフト(米国) 61 3

6 171

18 75 5 2 1

インテル(米国)3

11 561 4 3

テキサス・インスツルメン

ツ(米国)

ブロードコム(米国) 26

エリクソン(スウェーデン) 351

125

8 7 123

12 7 135

9

ZTE(中国)1 1

グーグル(米国)3 5 1

SKテレコム(韓国)

アップル(米国)1

14 113 1

注目出願人

出願先国

アルゼンチン

オーストラリア

ブラジル

カナダ

インドネシア

イスラエル

インド

メキシコ

マレーシア

ニュージーランド

フィリピン

シンガポール

ロシア

ベトナム

台湾

南アフリカ

Page 34: 平成28年度 特許出願技術動向調査報告書(概要) 次世代動画像符号化技術 · 処理ツール、多視点符号化等が挙げられる。これらの技術は、動画像符号化の基本となる

- 33 -

資料編

第7部

第6部

第5部

第3部

第2部

第1部

要約

本編 目次

第4部

第 5 章 規格提案動向調査

第 1 節 調査対象範囲と調査方法

次世代動画像符号化技術に関する規格提案動向について、全体動向調査、技術区分別

動向調査、提案者所属機関別動向調査、重要技術区分における規格提案と特許出願の動

向調査及びパテントプールの動向調査を行った。

1. 調査対象範囲 規格提案動向調査には、当該技術分野に対応する標準化団体に提案された規格提案文

書(寄書)を取得できる下記のインターネットサイトを利用した。 ・JCT-VC(調査対象の時期的範囲:2010-2015 年):Joint Collaborative Team on Video

Coding(HEVC 標準化のため、VCEG と、国際標準化機構/国際電気標準会議から派

生して 1988 年に発足した映像符号化方式検討グループ MPEG が 2010 年に結成した

共同作業班) → http://phenix.it-sudparis.eu/jct/index.php ・JCT-3V(調査対象の時期的範囲:2012-2015 年):Joint Collaborative Team on 3D

Video Coding Extension Development(三次元映像符号化方式の標準化のため、

VCEG と MPEG が 2012 年に結成した共同作業班) → http://phenix.it-sudparis.eu/jct2/index.php ・VCEG(調査対象の時期的範囲:2008-2015 年):Video Coding Experts Group(1984

年に発足した国際電気通信連合 電気通信標準化部門の映像符号化専門家グループ) → http://wftp3.itu.int/av-arch/video-site/

2. 調査方法

1. で示したインターネットサイトから得られた規格提案文書から、技術提案でない文

書(テストモデルのドラフト、クロスチェック、ワーキングドラフト関係等)を一次ス

クリーニングで除外した所、4,850 件(JCT-VC:3,638 件、JCT-3V:1,124 件、VCEG:88件)となり、これらを詳細解析対象とした。また、規格採用された提案文書の解析は、各

会合のドラフトの冒頭に列挙されている文書を規格採用提案文書とみなして実施した。 各規格提案会合で提案された件数規模を考慮し、以下では、JCT-VC 及び JCT-3V に

ついての調査結果を報告する。 なお、分析にあたっては、提案者所属機関の名寄せを行った上、その国籍も母体とな

る企業の国籍に合わせた。また、共同提案の場合はそれぞれの提案者所属機関をカウン

トしている。

第 2 節 全体動向調査

規格提案会合 JCT-VC における提案者所属機関国籍別の提案件数比率を図 5-1 に、提

案件数推移を図 5-2 に示す。 提案件数比率は、米国が 1,347 件(30.5%)と最も多く、日本が 1,130 件(25.6%)、

韓国が 603 件(13.7%)と続く。 提案件数推移を見ると、日本、米国、韓国及び台湾はいずれも 2011 年 11 月が提案の

Page 35: 平成28年度 特許出願技術動向調査報告書(概要) 次世代動画像符号化技術 · 処理ツール、多視点符号化等が挙げられる。これらの技術は、動画像符号化の基本となる

- 34 -

資料編

第7部

第6部

第5部

第3部

第2部

第1部

要約

本編 目次

第4部

ピークである。中国はそれより若干早く、2011 年 7 月が最も多い。欧州は 2011 年 11 か

ら 2013 年 10 月までほぼ横ばいで推移している中で、2013 年 7 月という他国より遅れ

てのピークであった。

図 5-1 提案者所属機関国籍別‐提案件数比率(JCT-VC での提案、提案年:2010-2015 年)

図 5-2 提案者所属機関国籍別‐提案件数推移(JCT-VC での提案、提案年:2010-2015 年)

規格提案会合 JCT-3V における提案者所属機関国籍別の提案件数比率を図 5-3 に、

提案件数推移を図 5-4 に示す。 提案件数比率は、韓国が 346 件(26.3%)と最も多く、米国が 240 件(18.2%)、日

日本 15 31 30 55 67 116 165 109 88 78 47 47 50 52 51 37 33 16 18 14 9 2

米国5

12 32 59 64 103 147 117 115 101 80 48 73 70 75 48 47 26 43 37 29 16

欧州7 5 6

18 18 17 36 34 35 35 30 25 37 40 30 28 21 166 3 4

中国 11 16 17 34 31 60 49 38 31 2010 10

127 6 3 4 3 10 10 6 1

韓国9 9

18 21 22 68 81 57 54 43 23 38 54 34 34 198 6 2 1 2

台湾2 4 6

13 27 31 57 32 21 156

15 204 5

27 12 19 19 24 213

その他1 5 4 9 9 10

13 16 119 5 5 5 3 6 1

提案者所属機関国籍

規格提案会合開催年月

2010

04-D

resden

2010

07-G

eneva

2010

10-G

uangzhou

2011

01-D

aegu

2011

03-G

eneva

2011

07-T

orino

2011

11-G

eneva

2012

02-S

anJose

2012

04-G

eneva

2012

07-S

tockholm

2012

10-S

hanghai

2013

01-G

eneva

2013

04-In

cheo

n

2013

07-V

ienn

a

2013

10-G

eneva

2014

01-S

anJose

2014

03-V

alencia

2014

06-S

apporo

2014

10-S

trasbourg

2015

02-G

eneva

2015

06-W

arsaw

2015

10-G

eneva

日本

1,130件

25.6%

米国

1,347件

30.5%

欧州

451件

10.2%

中国

389件

8.8%

韓国

603件

13.7%

台湾

383件

8.7%

その他

112件

2.5%

合計

4,415件

Page 36: 平成28年度 特許出願技術動向調査報告書(概要) 次世代動画像符号化技術 · 処理ツール、多視点符号化等が挙げられる。これらの技術は、動画像符号化の基本となる

- 35 -

資料編

第7部

第6部

第5部

第3部

第2部

第1部

要約

本編 目次

第4部

本が 212 件(16.1%)と続く。 提案件数推移を見ると、米国は 2013 年 4 月及び 2013 年 7 月が提案のピークで、日

本、欧州、中国及び台湾は 2013 年 7 月が最も多い。それに対して韓国は、2013 年 4月が提案のピークとなっており、他国よりも早いピークとなっている。

図 5-3 提案者所属機関国籍別‐提案件数比率(JCT-3V での提案、提案年:2012-2015 年)

図 5-4 提案者所属機関国籍別‐提案件数推移(JCT-3V での提案、提案年:2012-2015 年)

日本 11 17 16 22 35 29 22 26 15 13 6

米国 12 16 24 35 35 33 34 23 25 21

欧州 22 16 17 26 32 19 15 14 241

5

中国 10 9 14 12 25 13 20 12 10 5 7

韓国 35 29 27 55 47 39 24 31 26 27 6

台湾 7 18 18 19 31 20 24 19 12 8 41

2

その他1 1

51 1

提案者所属機関国籍

規格提案会合開催年月

201207-S

tockh

olm

201210-S

han

ghai

201301-G

ene

va

201304-In

cheo

n

201307-V

ienn

a

201310-G

ene

va

201401-S

anJose

201403-V

alencia

201407-S

apporo

201410-S

trasbourg

201502-G

ene

va

201506-W

arsaw

201510-G

ene

va

日本

212件

16.1%

米国

240件

18.2%

欧州

191件

14.5%

中国

137件

10.4%

韓国

346件

26.3%

台湾

183件

13.9%

その他

9件

0.7%

合計

1,318件

Page 37: 平成28年度 特許出願技術動向調査報告書(概要) 次世代動画像符号化技術 · 処理ツール、多視点符号化等が挙げられる。これらの技術は、動画像符号化の基本となる

- 36 -

資料編

第7部

第6部

第5部

第3部

第2部

第1部

要約

本編 目次

第4部

第 3 節 技術区分別動向調査

本節では、技術区分「要素技術・符号化手法」の区分のうち、規格提案との関連性が大

きくないものを除いた技術区分(大分類で 15 区分)を使用して、分析を行った。なお、

中分類・小分類が存在する大分類については、これらの分類も分析対象とした。

規格提案会合 JCT-VC における、技術区分別「要素技術・符号化手法」(大分類)の提

案件数推移を図 5-5 に示す。 全体的には、2011 年後半から 2012 年前半にかけて提案が多い傾向である。「予測」が

最も多く、それに「データ構造」、「エントロピー符号化」、「スケーラブル符号化」、「変

換」などが続いている。 主要技術区分の提案推移を見ると、「予測」は 2011 年 7 月から 2011 年 11 月にかけて

提案件数のピークとなっている。 「データ構造」は 2012 年 4 月から 2012 年 7 月にかけてピークを形成している。 「エントロピー符号化」は 2011 年 11 月が最も多い。ただ、2013 年以降はほとんど無

い。 「スケーラブル符号化」は 2012 年前半まではほとんど無いが、2012 年後半から急増

し、2013 年 1 月にピークとなっている。 全体的な件数は多くないが、他の技術区分がほとんど無い 2014 年後半から 2015 年前

半にかけての「パレット符号化」の件数推移は特徴的である。

Page 38: 平成28年度 特許出願技術動向調査報告書(概要) 次世代動画像符号化技術 · 処理ツール、多視点符号化等が挙げられる。これらの技術は、動画像符号化の基本となる

- 37 -

資料編

第7部

第6部

第5部

第3部

第2部

第1部

要約

本編 目次

第4部

図 5-5 技術区分「要素技術・符号化手法」の大分類別‐提案件数推移(JCT-VC での提案、

提案年:2010-2015 年)

データ構造9

22 18 46 48 65 103 102 125 125 90 62 51 89 50 42 37 24 6 9 4

前処理1 2 4 2 1 3 3 4 9 13 7 3 3 3 3 2 1

符号化単位(CU)の分割9 9 13

29 59 72 83 69 66 63 36 388 1 5 1 1 2 1

予測 30 47 57 103 94 170 187 127 82 69 56 91 114 59 61 43 41 35 50 38 2410

変換 2416

26 50 41 56 93 70 43 47 20 205 7 4 2 2 4 3 1

量子化7 6 4 11

19 37 64 50 39 2615 6 5 2 1 2 2 4 2

ループ内フィルタ 2210 15

20 31 51 80 63 68 54 2916 13 10 8 4 5 5 4 8 6 1

エントロピー符号化 198 17

39 34 83 121 90 71 60 194 1 3 6 5 6 9 10 12 7 1

スケーラブル符号化2 2 3 6 4 6 14

19 42 91 44 48 31 34 238 6 7 7 4

時間的サブサンプリング/補間1

空間的サブサンプリング/補間11 9 8

2010 18

21 5 1 121

8 9 5 1

並列処理ツール5 6 6

14 16

21 36 40 45 3117 6 7 6 3 2 7 3 2

多視点符号化1 2

14 16 12 5 2 1 1

パレット符号化1 1 1 3 1 1 4 2 12 12 14

28 2713 3

ロスレス圧縮1 1 2 2 6 5 9 9 3 6 11 9 5 1 1 2 2 1

要素技術・符号化手法(大分類)

規格提案会合-開催年月

201004-D

resden

201007-G

eneva

201010-G

uangzhou

201101-D

aegu

201103-G

eneva

201107-T

orino

201111-G

eneva

201202-S

anJose

201204-G

eneva

201207-S

tockho

lm

201210-S

hanghai

201301-G

eneva

201304-In

cheo

n

201307-V

ienn

a

201310-G

eneva

201401-S

anJose

201403-V

alencia

201406-S

apporo

201410-S

trasbourg

201502-G

eneva

201506-W

arsaw

201510-G

eneva

Page 39: 平成28年度 特許出願技術動向調査報告書(概要) 次世代動画像符号化技術 · 処理ツール、多視点符号化等が挙げられる。これらの技術は、動画像符号化の基本となる

- 38 -

資料編

第7部

第6部

第5部

第3部

第2部

第1部

要約

本編 目次

第4部

第 6 章 研究開発動向調査

第 1 節 調査対象範囲と調査方法

1. 調査対象範囲

次世代動画像符号化技術に関する主要な国際会議論文について、動向調査を行った。 国際会議論文の検索には、IEEE が提供する IEEE Xplore を用い、2008 年から 2015年に発行された下記の国際会議における文献を対象とした。 ・ICIP:International Conference on Image Processing ・PCS:Picture Coding Symposium ・ISCAS:International Symposium on Circuits and Systems ・ICME:International Conference on Multimedia and Expo ・ICASSP:International Conference on Acoustics, Speech, and Signal Processing

2. 調査方法

1. で示したデータベースから得られた国際会議論文を対象に文献の一次分類を行っ

た。一次分類は、表 6-1 の定義に基づき、各文献を以下のいずれかのカテゴリに分類し

た。詳細解析対象である 2,479 件の国際会議論文の内訳は、符号化技術の論文が 2,215件、符号化周辺技術の論文が 170 件、その他の論文が 94 件であった。 表 6-1 一次分類の定義と該当件数

カテゴリ 定義 文献数 符号化技術 符号化技術に特徴があるもの 2,215

符号化周辺技術 符号化技術に特徴はないものの、文献抄録

等に符号化技術に関する事項が記載され

ているもの 170

その他 符号化技術に特徴はなく、また、文献抄録

等に符号化技術に関する事項が記載され

ていないもの 94

特許動向調査と同様に、符号化技術のカテゴリに含まれると判断された国際会議論文

について、技術区分の付与を行った。

第 2 節 調査結果

1. 会議別発表件数推移

会議別の発表件数推移を図 6-1 に示す。 ICIP は 2009 年と 2014 年の 2 つをピークとする推移を示し、2009 年のピークの方が

大きい。

Page 40: 平成28年度 特許出願技術動向調査報告書(概要) 次世代動画像符号化技術 · 処理ツール、多視点符号化等が挙げられる。これらの技術は、動画像符号化の基本となる

- 39 -

資料編

第7部

第6部

第5部

第3部

第2部

第1部

要約

本編 目次

第4部

PCS は 1 年半ごとに開催されていることに注意する必要があるが、2008 年、2010 年

及び 2012 年はほぼ横ばいで推移している。2012 年以降は減少傾向を示している。 ISCAS は 2008 年から 2010 年の間は横ばいで推移し、その後は件数の水準が一段下

がって、ほぼ横ばいで推移している。 ICME は 2008 年が最も多く、それ以降は減少傾向で推移している。 ICASSP は 2008 年が最も多く、それ以降は減少傾向を示している。2013 年に小さな

ピークを示している。 5 つの会議の合計を見ると、2009 年の 400 件からなる前半のピークと 2013 年の 283件からなる後半のピークの 2 つのピークで推移している。 図 6-1 会議別発表件数推移(ICIP、PCS、ISCAS、ICME 及び ICASSP での発表、発表

年:2008-2015 年)

2. 技術区分別発表件数比率推移

技術区分別の発表件数比率推移を図 6-2 に示す。バブルチャートの右側には各技術区

分別の合計発表件数を併記した。なお、技術区分は「要素技術・符号化手法」及び「符号

化対象動画像種別」から選択した区分を対象としている。 「インター予測」が合計 552 件で最も多い。2008 年から 2010 年の間の件数比率が高

く、2011 年以降では、件数比率は前半に比べやや低く推移している。それに対し、「イン

トラ予測」は合計 276 件で「インター予測」の半数であり、件数比率推移は 2008 年か

ら 2013 年はほぼ横ばいで推移し、2014 年と 2015 年に大きく増加している。 「多視点符号化」は合計 387 件で、「インター予測」に次いで多かった。2008 年から

増加し、2012 年にピークとなっている。 「スケーラブル符号化」は合計 287 件で 3 番目に多い区分であった。2009 年という早

い段階でピークとなっている。 「符号化対象動画像種別」の「デプス動画像」は 2010 年から急増し、2012 年にピー

クとなっている。

332

400

361

198

270 283

195 176

0

50

100

150

200

250

300

350

400

450

500

0

20

40

60

80

100

120

140

160

180

200

2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015

合計

発表件数

発表年

ICIP PCS ISCAS ICME ICASSP 合計

会議名

発表年

2008-2015年

注)PCS は 1 年半ごとに開催されていることに注意する必要がある。

Page 41: 平成28年度 特許出願技術動向調査報告書(概要) 次世代動画像符号化技術 · 処理ツール、多視点符号化等が挙げられる。これらの技術は、動画像符号化の基本となる

- 40 -

資料編

第7部

第6部

第5部

第3部

第2部

第1部

要約

本編 目次

第4部

図 6-2 技術区分(要素技術・符号化手法・符号化対象動画像種別から選択)別‐発表件数

比率推移(ICIP、PCS、ISCAS、ICME 及び ICASSP での発表、発表年:2008-2015 年、比率は各発表年の総数を 100 として算出)

前処理1.5 1.8 2.5

3.5 3.0 2.5

3.1 4.5

符号化単位(CU)の分割0.3 0.5 0.3 1.0 0.4 1.1 1.5 1.1

イントラ予測 9.6 12.5 10.2 13.6 10.4 12.4 17.4 18.8

インター予測 27.7 25.8 28.5 20.7 24.4 21.9 22.6 23.3

その他の予測 4.8 2.8 2.8

4.5 2.6 2.1

4.1 1.7

変換 14.8 13.3 9.1 15.2 9.6 9.2 10.3 8.0

量子化 14.5 12.8 10.5 9.1 7.0 13.8 11.8 10.2

ループ内フィルタ 3.3 3.5 5.3 6.1 7.4 4.6 5.6 4.5

エントロピー符号化 6.9 5.5 3.3 7.6 6.7 4.6 4.6 3.4

後処理0.3 1.0 0.6 1.0 1.5 1.8 0.5 1.1

オブジェクト符号化0.3 0.3

ベクトル量子化0.5 0.6 0.5 0.7 0.6

スケーラブル符号化 12.3 16.5 15.5 13.1 7.4 13.8 12.3 8.5

時間的サブサンプリング

または補間 0.5 0.4 0.4 0.5 空間的サブサンプリング

または補間 1.5 0.5 0.3 0.5 1.1 1.5 0.6

並列処理ツール 3.3 3.0 3.0 5.6 4.4 6.0 6.7 4.5

多視点符号化 10.5 12.3 20.2 19.7 28.5 18.7 17.9 14.8

パレット符号化1.0 1.5

分散映像符号化(DVC) 7.8 10.8 6.1 8.6 3.7 2.8 2.1 0.6

ハードウェア構成 7.2 7.3 6.9 8.1 7.4 7.8 8.7 6.3

ソフトウェア構成2.7 2.3 1.1 1.0 2.2 1.1 2.1 2.3

ロスレス圧縮0.3 2.8 1.1

3.0 1.1 2.1

4.6 5.7

機械学習を用いた符号

化 0.5 1.0 0.7 0.7 1.0 0.6

デプス動画像 3.3 5.0 14.1 9.1 17.8 11.7 13.3 6.8

コンピュータ動画像2.4 1.3 1.1 0.5 0.7 2.1 2.6 1.7

技術区分(要素技術・符号化手法・符号化対象動画像種別)

発表年

2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015

技術区分別‐合計件数

57

15

276

552

70

251

254

108

118

21

2

8

287

5

16

95

387

5

131

164

41

50

11

219

34

Page 42: 平成28年度 特許出願技術動向調査報告書(概要) 次世代動画像符号化技術 · 処理ツール、多視点符号化等が挙げられる。これらの技術は、動画像符号化の基本となる

- 41 -

資料編

第7部

第6部

第5部

第3部

第2部

第1部

要約

本編 目次

第4部

第 7 章 総合分析と提言

第 1 節 総合分析

本節では、これまでの市場環境調査、政策動向調査、特許出願動向調査、規格提案動向

調査、研究開発動向調査の結果をもとに、当該分野における競争ポイントとなり得る技

術開発領域や国別(出願人国籍)の強み・弱みを分析する。

1. 全体の動向に関する分析 動画像符号化に関する技術全体の出願人国籍別特許出願件数推移及び出願件数比率を

図 7-1 に、出願年ごとの出願人国籍別特許出願件数比率の推移を図 7-2 に示す。2013 年

以降はデータベース収録の遅れ、PCT 出願の各国移行のずれ等があるため、図 7-2 の比

率推移は 2012 年までを表示している。2008 年の段階では、日本が全世界(日米欧中韓)

の約 36%を占め、2 位以下を引き離していたが、近年、日本の比率が低下し、米国の比

率が上昇している。韓国は、H.265/HEVC(以下、「HEVC」と表記する。)の標準化が本

格的に開始される時期の 2009 年と 2010 年に一時的に比率が上昇しているが、その後、

低下している。また、欧州と中国は、全期間にわたって低位にある。

図 7-1 出願人国籍別‐出願件数推移及び出願件数比率(日米欧中韓への出願、出願年(優先

権主張年):2008-2014 年)(再掲)

注)2013 年以降はデータベース収録の遅れ、PCT 出願の各国移行の

ずれ等で、全データを反映していない可能性がある。

日本国籍

9,783件

29.7%

米国籍

7,448件

22.6%欧州国籍

3,324件

10.1%

中国籍

3,678件

11.2%

韓国籍

6,456件

19.6%

その他

2,236件

6.8%

合計

32,925件

3,168 3,782

5,508 7,751 5,970

4,548

2,198

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

6,000

7,000

8,000

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

3,000

3,500

4,000

2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014

合計

出願件数

出願年(優先権主張年)

日本 米国 欧州 中国 韓国 その他 合計

出願人国籍(地域)

優先権主張

2008-2014年

Page 43: 平成28年度 特許出願技術動向調査報告書(概要) 次世代動画像符号化技術 · 処理ツール、多視点符号化等が挙げられる。これらの技術は、動画像符号化の基本となる

- 42 -

資料編

第7部

第6部

第5部

第3部

第2部

第1部

要約

本編 目次

第4部

図 7-2 出願人国籍別‐出願件数比率推移(日米欧中韓への出願、出願年(優先権主張年):

2008-2012 年、比率は各出願年(優先権主張年)の総出願件数を 100 として算出)

動画像符号化に関する技術は市場での通用性のため、標準化が行われる。この標準化

の対象となる技術は、復号側の動作の互換性を確保するために必要な最低限の部分に限

定される。例えば、H.265/HEVC では、画像の絵柄に合わせて画像を様々なサイズの領

域に分割し、その領域ごとに異なる符号化処理を行うことができるが、選択可能な分割

サイズや符号化処理ごとに適用可能な動作モードは、標準化の対象となる一方で、分割

サイズや動作モードの選択方法は、標準化の対象とはならず、各社が独自に技術開発す

ることが可能である。エンコーダの製品化においては、標準化の対象とならない技術の

優劣が符号化効率(圧縮率)や画質、符号化処理の演算量、消費電力、遅延の大きさ等を

決めるため、競争力を左右する重要な要因となる。 その優劣を決める技術についての特許出願の動向として技術区分「エンコーダ」1)を

見ると(図 7-3)、日本の比率は技術全体(図 7-2)よりも高めに推移し、韓国は低めに推

移しており、直近では、日米が 2 強となっているといえる。製品差別化のために重要で

ある符号化方法に関する技術に関して、日本は、これまで技術的蓄積がなされてきてい

るといえる。 ただし、2011 年以降、米国の出願件数が伸長してきており、日本の優位性が低下して

きている可能性もある。

1技術区分「エンコーダ」は、符号化側のみに特徴がある出願を対象とし、符号化側と復号側の両方に特徴

がある出願は除外している。例えば、絵柄に合わせて分割サイズを選択する方法の技術の出願は含まれる

のに対し、選択可能な分割サイズを規定する技術の出願は含まれない。

0

5

10

15

20

25

30

35

40

2008 2009 2010 2011 2012

出願件数比率(%)

出願年(優先権主張年)

優先権主張:2008-2012年

日本 米国 欧州 中国 韓国

出願人国籍(地域)

Page 44: 平成28年度 特許出願技術動向調査報告書(概要) 次世代動画像符号化技術 · 処理ツール、多視点符号化等が挙げられる。これらの技術は、動画像符号化の基本となる

- 43 -

資料編

第7部

第6部

第5部

第3部

第2部

第1部

要約

本編 目次

第4部

図 7-3 技術区分「エンコーダ」‐出願人国籍別‐出願件数比率推移(日米欧中韓への出願、

出願年(優先権主張年):2008-2012 年、比率は各出願年(優先権主張年)の「エ

ンコーダ」に関する総出願件数を 100 として算出)

一方、HEVC の標準化に関わる規格提案件数(JCT-VC)(図 7-4)は、米国が全体の

約 30%、日本が約 26%、韓国が約 14%であり、日米が 2 強となって 3 位以下を引き離

している。したがって、標準化の対象となる技術領域においても、日米が優位性を有し

ているといえる。標準化の対象となる技術は、対象とならない技術と密接な関わりがあ

るため、こうした標準化活動で培った技術的知見を生かして競争力のある製品を開発す

ることが重要といえる。

図 7-4 提案者所属機関国籍別‐規格提案文書提案件数比率(JCT-VC での提案、提案年:

2010-2015 年)(再掲)

0

5

10

15

20

25

30

35

40

2008 2009 2010 2011 2012

出願件数比率(%)

出願年(優先権主張年)

優先権主張:2008-2012年

日本 米国 欧州 中国 韓国

出願人国籍(地域)

日本

1,130件

25.6%

米国

1,347件

30.5%

欧州

451件

10.2%

中国

389件

8.8%

韓国

603件

13.7%

台湾

383件

8.7%

その他

112件

2.5%

合計

4,415件

Page 45: 平成28年度 特許出願技術動向調査報告書(概要) 次世代動画像符号化技術 · 処理ツール、多視点符号化等が挙げられる。これらの技術は、動画像符号化の基本となる

- 44 -

資料編

第7部

第6部

第5部

第3部

第2部

第1部

要約

本編 目次

第4部

ただし、三次元映像符号化の標準化に関わる規格提案件数(JCT-3V)(図 7-5)は韓国

籍の提案が最も多く、韓国が三次元映像符号化を重要視していることがわかる。

図 7-5 提案者所属機関国籍別‐規格提案文書提案件数推移及び提案件数比率(JCT-3V での

提案、提案年:2012-2015 年)(再掲)

また、出願先国別の出願件数(図 7-6)を見ると、中国への出願が 24.5%と米国の 29.3%

に次いで多くなっていることから、中国でビジネスを行う際の権利行使に注意が必要で

あると考えられる。

図 7-6 出願先国別‐出願件数推移及び出願件数比率(日米欧中韓への出願、出願年(優先権

主張年):2008-2014 年(再掲)

日本

212件

16.1%

米国

240件

18.2%

欧州

191件

14.5%

中国

137件

10.4%

韓国

346件

26.3%

台湾

183件

13.9%

その他

9件

0.7%

合計

1,318件

日本

6,071件

18.4%

米国

9,641件

29.3%欧州

4,385件

13.3%

中国

8,062件

24.5%

韓国

4,766件

14.5%

合計

32,925件

3,168 3,782

5,508 7,751 5,970

4,548

2,198

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

6,000

7,000

8,000

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

3,000

3,500

4,000

4,500

5,000

2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014

合計

出願件数

出願年(優先権主張年)

日本 米国 欧州 中国 韓国 合計

出願先国(地域)

優先権主張

2008-2014年

Page 46: 平成28年度 特許出願技術動向調査報告書(概要) 次世代動画像符号化技術 · 処理ツール、多視点符号化等が挙げられる。これらの技術は、動画像符号化の基本となる

- 45 -

資料編

第7部

第6部

第5部

第3部

第2部

第1部

要約

本編 目次

第4部

2. 標準化の動きとの関係の分析 (1)HEVC の標準化の流れ

動画像符号化技術については、従来から ITU-T と ISO/IEC の共同作業により国際規

格が制定されており、近年の動向としては、2003 年に H.264/AVC(以下、「AVC」と表

記する。)が、2013 年に HEVC が標準化されているところである。 こうした標準化にあたっては、国際標準化に参加した企業等が、次世代の規格に盛り

込むべき技術を提案し、各種方式を評価して優れたものが採用されている。規格の中に

各社の保有技術が含まれ、その技術に関する特許が保有されている。これらは、規格を

活用するにあたり使用が必須となる特許として位置付けられる。AVC や HEVC に関し

ては、そうした知的財産の一括管理を図るため、MPEG LA や HEVC Advance のパテン

トプールが組成されている。 また、自社の技術を規格に盛り込むことで、製品の早期市場投入が可能になり、また、

他社に対してノウハウ上で優位に立つことが可能になるため、規格に対応した技術や特

許を保有していることは技術的な強みにつながると考えられる。 HEVC の標準化関連の動向と発売製品例を表 7-1 に示す。2009 年以前から、ITU-T

VCEG(Video Coding Experts Group)と MPEG がそれぞれ AVC を超える新しい符号

化技術の検証を行ってきたが、2010 年 1 月、ITU-T WP3/16、MPEG は JCT-VC の結成

と、JCT-VC による新標準方式の標準化プロジェクトの名称を HEVC とすることについ

て合意した。その後、JCT-VC において会合を重ね、2013 年 1 月、最終規格草案を発行

し、HEVC 第 1 版の標準化を完了した。 製品発売動向を見ると、2013 年に HEVC 第 1 版の標準化が完了したことを受け、そ

の翌年の 2014 年に、早くも、日本電気より HEVC 対応のエンコーダ、デコーダが発売

されている。また、2016 年には、NTT エレクトロニクスからも、HEVC 対応のエンコ

ーダ、デコーダが発売されている。 2013 年の HEVC 第 1 版発行に引き続いて、より一層の高画質化やスケーラブル符号

化を目的とした追加検討が行われ、RExt(Range Extensions:4:2:2 / 4:4:4 色差フォー

マット、高ビット深度(12 ビット)対応)、MV-HEVC(Multi-view HEVC:3D 多視点

映像対応)、SHVC(Scalable HEVC:スケーラブル拡張)の拡張規格群の標準化が進め

られてきた。 三次元映像関連の拡張は、WG 11 と ITU-T SG16 WP3 との間で設立した JCT-3V

(Joint Collaborative Team on 3D Video Coding Extension)において進められている。

これらの拡張は初版 HEVC へ統合され,HEVC2015 年版として発行された。 HEVC を拡張した HEVC2015 年版の標準化後も、さらなる拡張として、スクリーン

コンテンツの符号化(Screen Content Coding:SCC)、ハイダイナミックレンジ(High Dynamic Range:HDR)、高色域映像(Wide Color Gamut:WCG)の符号化、奥行情

報の符号化も伴う多視点映像の符号化(3D-HEVC)、任意視点(超多視点)の映像(Free-viewpoint Television: FTV)の符号化、HEVC よりさらに符号化効率を改善すること

を目標とする次世代映像符号化(Future Video Coding:FVC)の標準化が進められてい

る。

Page 47: 平成28年度 特許出願技術動向調査報告書(概要) 次世代動画像符号化技術 · 処理ツール、多視点符号化等が挙げられる。これらの技術は、動画像符号化の基本となる

- 46 -

資料編

第7部

第6部

第5部

第3部

第2部

第1部

要約

本編 目次

第4部

表 7-1 HEVC の標準化関連動向 時期 HEVC の標準化関連動向 発売製品例(※)

2009 年以前

-

ITU-T VCEG、MPEG が、それぞれ 2004 年、2008 年頃より、AVC を超える新しい符号化技術の検証を開始。

NTT エレクトロニクス(2008 年) ・HVE9100(E) ・HVD9100(D)

2009 年 4 月 MPEG が AVC を超える圧縮性能を有する技術検証に関する公募を実施(この過程で ITU-T VCEG とも意見交換)。

-

2010 年

1 月 MPEG と ITU-T VCEG の共同作業班 JCT-VC を結成。

NTT エレクトロニクス ・HVE9100(E) 日本電気 ・VC-7700(E) ・VD-7700(D)

4 月 JCT-VC 第 1 回会合(27 の機関から 27 件の符号化方式の提案、5 方式を基に基準ソフトを策定)

7 月 JCT-VC 第 2 回会合(基準ソフトの性能評価グループを設立)

10 月 JCT-VC 第 3 回会合(基準ソフト HM1.0 と標準化作業文書 1.0 を発行)

2012 年

2 月 JCT-VC 第 8 回会合(Main プロファイル/レベル案策定、委員会原案発行)

富士通 ・IP-9610(E/D) 日立国際電気 ・PT-IP1900T(E) ・PT-IP2500R(D)

7 月 JCT-VC 第 10 回会合(国際規格案発行)

10 月 JCT-VC 第 11 回会合(Main10 プロファイル/Main still picture プロファイル策定)

2013 年

1 月 JCT-VC 第 12 回会合(最終国際規格案発行) -

4 月~ 12 月

第 12 回会合で発行された規格文書案の承認等を経て、Rec. ITU-T H.265(4 月)と ISO/IEC 23008-2(12月)の第一版として発行

2013 年以降

-

・2013 年の初版 HEVC の標準化後、以下の拡張規格群の標準化が推進、HEVC2015 年版を発行。 ・RExt(色密度・ビット深度拡張) ・MV-HEVC(多視点映像の符号化) ・SHVC(スケーラブル拡張)

・HEVC2015 年版の標準化後、さらなる拡張として以下の項目の標準化が進展 ・SCC(スクリーンコンテンツの符号化) ・HDR(ハイダイナミックレンジ) ・WCG(高色域映像)の符号化 ・3D-HEVC(奥行情報の符号化も伴う多視点映像の符号化)

・FTV(任意視点(超多視点)映像)の符号化 ・FVC(HEVC の符号化効率をさらに改善することを目標とする次世代映像符号化)

パナソニックシステムネッ ト ワ ー ク ス ( 2014年) ・WG-GXE500(E) ・WG-GXE100(E) 日本電気 (2014 年) ★VC-8150(E) ★VD-8100(D) (2016 年) ★VC-9700(E) ★VD-9700(D) NTT エレクトロニクス(2016 年) ★HC11000E ★HC11000D

※ E:エンコーダ、D:デコーダ、E/D:両機能搭載、★:HEVC 対応(・は AVC 対応) 出所:各種情報より FRI 作成

Page 48: 平成28年度 特許出願技術動向調査報告書(概要) 次世代動画像符号化技術 · 処理ツール、多視点符号化等が挙げられる。これらの技術は、動画像符号化の基本となる

- 47 -

資料編

第7部

第6部

第5部

第3部

第2部

第1部

要約

本編 目次

第4部

(2)標準化と特許出願動向との関係 図 7-1 の動画像符号化に関する技術全体の特許出願件数推移を見ると、AVC を超える

新しい符号化技術の検証が本格化してきた 2008 年、2009 年頃から、一定数(3000 件

台)の出願がみられる。そして、JCT-VC が結成され、符号化方式の提案が開始された

2010 年から出願件数が増加し、2011 年にはピークを迎えている。その後、JCT-VC の委

員会原案、及び、国際規格案が発行され、おおよその規格内容が固まった 2012 年、HEVC第 1 版が発行された 2013 年には出願件数が減少してきている。

図 7-7 に技術区分別の特許出願件数推移、図 7-8 に規格提案文書提案件数推移を示す。 ほとんどの技術区分において、2011 年に出願のピークを迎えている。例えば、「予測」

や「エントロピー符号化」等の基本的な要素技術は、2011 年に出願や提案のピークとな

っている。 これに対し、「データ構造」や「並列処理ツール」は、標準化の進展に伴ってやや後れ

て件数が増え、2012 年にピークとなっている。 一方、HEVC2015 年版の標準化、及び、それ以降のさらなる拡張が行われている符号

化技術については、HEVC 第 1 版向けの技術のピークである 2011 年より後に出願のピ

ークがくる。2013 年の HEVC 第 1 版の後、2015 年版が発行されるが、これに関係する

「ビット深度」「多視点符号化」は 2012 年、「スケーラブル符号化」は 2013 年にピーク

となっている。2015 年版の後に標準化が進展している技術に関する「色域」、奥行情報

の符号化も伴う「デプス動画像」は 2013 年、スクリーンコンテンツに関係する「パレッ

ト符号化」は 2014 年にピークとなっている。「コンピュータ動画像」もスクリーンコン

テンツ関係であるが、「ダイナミックレンジ」と共に早く 2011 年にピークとなっている。 特許出願時期と規格提案文書提案時期を比較すると、同じ技術区分についてのピーク

はほとんど 1 年を超えておらず、基本的には、規格提案の直前に特許を出願していると

考えられる。ただし、パテントプールの調査より、一部、例外的に、規格提案のピークよ

り何年も前に特許出願するケースもあることが確認された。具体的には、パテントプー

ルにプールされている特許の、出願時期(優先日)を規格提案会合の開催時期に対応付

けて分析したところ、韓国籍、特に、サムスンが、JCT-VC 結成以前の 2008 年、2009 年

という早い段階から、パテントプールに属することになる特許を多く出願していること

がわかった。

Page 49: 平成28年度 特許出願技術動向調査報告書(概要) 次世代動画像符号化技術 · 処理ツール、多視点符号化等が挙げられる。これらの技術は、動画像符号化の基本となる

- 48 -

資料編

第7部

第6部

第5部

第3部

第2部

第1部

要約

本編 目次

第4部

図 7-7 要素技術・符号化手法・高画質画像に対応した符号化・デプス動画像・コンピュータ

動画像に関する技術区分別‐出願件数推移(日米欧中韓への出願、出願年(優先

権主張年):2008-2014 年)

データ構造217

383 196

557 880 692 237

前処理99

462 656 447 352160

254

符号化単位(CU)の分割140 222 240

535 466 412213

予測 1292 1362 2192 3557 2206 1994 840

変換 358 534 555 868 641 444218

量子化 528 472 486 911 847 459 269

ループ内フィルタ198

259 401 657 495 24583

エントロピー符号化 402 317 428 1147 765 355216

スケーラブル符号化 275 260 368 439 921 1056194

時間的サブサンプリング

または補間 66 65 85 25 28 24 26

空間的サブサンプリング

または補間 115 76 122 109 93 64 34

並列処理ツール139 103 201

299 377 266141

多視点符号化166

422 527 680 747 531182

パレット符号化6 3 2 14 4 46 86

ロスレス圧縮51 40 44 73 130 91 43

デプス動画像93 69 108

285 336 348115

コンピュータ動画像103 51 38 101 80 66 42

・解像度132 56 40

414 283214 68

・フレームレート11 2 2 1

・ビット深度5 1 9 10 9 2

・ダイナミックレンジ14 22 40 140 65 117 31

・色域5 4 15 16 70 24

出願年(優先権主張年)

2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014

要素技術・符号化手法

対象動画像種別

高画質画像に対応した符号化

注)2013 年以降はデータベース収録の遅れ、PCT 出願の各国移行の

ずれ等で、全データを反映していない可能性がある。

Page 50: 平成28年度 特許出願技術動向調査報告書(概要) 次世代動画像符号化技術 · 処理ツール、多視点符号化等が挙げられる。これらの技術は、動画像符号化の基本となる

- 49 -

資料編

第7部

第6部

第5部

第3部

第2部

第1部

要約

本編 目次

第4部

図 7-8 要素技術・符号化手法に関する技術区分別‐規格提案文書提案件数推移(JCT-VC で

の提案、提案年:2010-2015 年)

データ構造9

22 18 46 48 65 103 102 125 125 90 62 51 89 50 42 37 24 6 9 4

前処理1 2 4 2 1 3 3 4 9 13 7 3 3 3 3 2 1

符号化単位(CU)分割9 9 13

29 59 72 83 69 66 63 36 388 1 5 1 1 2 1

予測 30 47 57 103 94 170 187 127 82 69 56 91 114 59 61 43 41 35 50 38 2410

変換 2416

26 50 41 56 93 70 43 47 20 205 7 4 2 2 4 3 1

量子化7 6 4 11

19 37 64 50 39 2615 6 5 2 1 2 2 4 2

ループ内フィルタ 2210 15

20 31 51 80 63 68 54 2916 13 10 8 4 5 5 4 8 6 1

エントロピー符号化 198 17

39 34 83 121 90 71 60 194 1 3 6 5 6 9 10 12 7 1

スケーラブル符号化2 2 3 6 4 6 14

19 42 91 44 48 31 34 238 6 7 7 4

時間的サブサンプリング/補間1

空間的サブサンプリング/補間11 9 8

2010 18

21 5 1 121

8 9 5 1

並列処理ツール5 6 6

14 16

21 36 40 45 3117 6 7 6 3 2 7 3 2

多視点符号化1 2

14 16 12 5 2 1 1

パレット符号化1 1 1 3 1 1 4 2 12 12 14

28 2713 3

ロスレス圧縮1 1 2 2 6 5 9 9 3 6 11 9 5 1 1 2 2 1

要素技術・符号化手法(大分類)

規格提案会合-開催年月

201004-D

resden

201007-G

eneva

201010-G

uangzhou

201101-D

aegu

201103-G

eneva

201107-T

orino

201111-G

eneva

201202-S

anJose

201204-G

eneva

201207-S

tockho

lm

201210-S

hanghai

201301-G

eneva

201304-In

cheo

n

201307-V

ienn

a

201310-G

eneva

201401-S

anJose

201403-V

alencia

201406-S

apporo

201410-S

trasbourg

201502-G

eneva

201506-W

arsaw

201510-G

eneva

Page 51: 平成28年度 特許出願技術動向調査報告書(概要) 次世代動画像符号化技術 · 処理ツール、多視点符号化等が挙げられる。これらの技術は、動画像符号化の基本となる

- 50 -

資料編

第7部

第6部

第5部

第3部

第2部

第1部

要約

本編 目次

第4部

3. 要素技術に関する分析 要素技術に関する技術区分別特許出願件数比率の推移を図 7-9、出願人国籍別特許出

願件数比率を図 7-10 に示す。また、同じ技術区分別の、国際会議論文発表件数比率の

推移を図 7-11、研究者所属機関国籍別発表件数比率を図 7-12 に示す。技術区分は、「要

素技術・符号化手法」及び「符号化対象動画像種別」「高画質画像に対応した符号化」か

ら選択した区分を対象としている。 要素技術の中で「予測」が最も特許出願件数が多く、符号化技術の主要な要素技術と

なっている。予測は、イントラ予測とインター予測に大別される。イントラ予測とイン

ター予測の特許出願件数推移と国際会議論文発表件数推移を見ると、特許と論文の両方

において、予測におけるインター予測の割合が減少し、イントラ予測の割合が増加する

傾向にあることから、イントラ予測は、成熟した予測技術の中でも工夫の余地が大きい

と考えられる。出願人国籍別の特許出願件数を見ると、予測全体とインター予測では日

本が最も多いが、イントラ予測では韓国籍が最も多くなっている。 符号化技術がますます高圧縮を実現できるようになってきていることから、データ容

量の多い 4K・8K 映像や高画質映像、三次元映像、スクリーンコンテンツへの適用が注

目されている。 今後、市場の拡大が期待される 4K・8K 映像において重要となる符号化技術として、

「並列処理ツール」と「スケーラブル符号化」が挙げられる。これらの技術について、

特許出願件数推移、国際会議論文発表件数推移を見ると、「並列処理ツール」は、特許、

論文ともに増加傾向にある。「スケーラブル符号化」は、論文発表件数は上下している

が、特許出願件数は大きく増加しており、これらの技術の研究開発が活発化していると

考えられる。この 2 つの技術について、上位 3 国籍(日米韓)の注力度(各国籍の各年

の総出願件数に占める当該技術に関する出願件数の割合)推移を比較すると、上位 3 国

籍とも注力度を高めてきているが、日本は全体的に米国よりも注力度が低く、米国を後

追いする形になっている(図 7-13、図 7-14)。 映像の質を決める要素には、「解像度(空間解像度)」「フレームレート(時間解像度)」

といった基本的な要素に加え、「ビット深度」「色域」「ダイナミックレンジ(輝度)」が

ある。これらの映像美を向上させることを課題としているところに特徴があると認めら

れる「高画質画像に対応した符号化」に関する特許出願動向を見ると、件数は多くない

ものの「ビット深度」「ダイナミックレンジ」「色域」に関する出願が増加傾向にある。

出願人国籍別に見ると、いずれも米国籍が最も多い。日本国籍はビット深度、色域では

米国籍に次ぐ 2 番目、ダイナミックレンジでは、米国籍、欧州国籍に次ぐ 3 番目となっ

ている。 三次元映像に関係する「デプス動画像」、スクリーンコンテンツに関係する「コンピ

ュータ動画像」の特許出願傾向を出願人国籍別に見ると、「デプス動画像」は韓国籍、

「コンピュータ動画像」は欧州国籍が優位な領域となっている。先に図 7-5 で見たよう

に三次元映像符号化の標準化に関わる規格提案件数でも韓国籍は多く、韓国が三次元映

像符号化を重要視していることがわかる。 また、動画像配信サービスのためにサーバに大量の映像を蓄積しておいたり、放送用

コンテンツを蓄積しておくためにやはり大量の映像を記録しておいたりする必要が出

てきており、そうした記録目的では、復号したときに画質に劣化が起こらないで保たれ

Page 52: 平成28年度 特許出願技術動向調査報告書(概要) 次世代動画像符号化技術 · 処理ツール、多視点符号化等が挙げられる。これらの技術は、動画像符号化の基本となる

- 51 -

資料編

第7部

第6部

第5部

第3部

第2部

第1部

要約

本編 目次

第4部

ることが望ましく、「ロスレス圧縮」の技術が注目される。特許出願件数推移、国際会議

論文発表件数推移を見ると増加傾向にあり、注目度が高まりつつあると考えられる。特

許の出願人国籍別に見ると、日本国籍が 26.3%と最も多く、次いで米国籍と中国籍が

22.0%となっている。なお、2009 年から 2012 年にかけて出願が増加している点は、

HEVC の標準化の時期と重なっているため、HEVC の一部に入っているエントロピー

符号化(CABAC)の関連である可能性がある。 既存の符号化方式にとらわれない技術として、「機械学習を用いた符号化」がある。

その特許出願件数推移および国際会議論文発表件数推移を見ると、全体に占める割合は

大きくはないが、特許出願が増加傾向にあり、注目が高まりつつあると考えられる。出

願人国籍別には、中国籍が最も多い。機械学習は、画像信号処理の分野においては、画

像認識技術で広く用いられているが、動画像符号化に適用した研究はまだ少ない。既存

の多くの研究では、機械学習を適用する対象は、符号化パラメータの選択に関わる部分

であるが、一部には、符号化アルゴリズム(手順)を機械学習によって生み出す手法も

試みられている。

Page 53: 平成28年度 特許出願技術動向調査報告書(概要) 次世代動画像符号化技術 · 処理ツール、多視点符号化等が挙げられる。これらの技術は、動画像符号化の基本となる

- 52 -

資料編

第7部

第6部

第5部

第3部

第2部

第1部

要約

本編 目次

第4部

図 7-9 要素技術に関する技術区分別‐出願件数比率推移(日米欧中韓への出願、出願年(優

先権主張年):2008-2014 年、比率は各出願年(優先権主張年)の総出願件数を 100として算出)

前処理 3.1 12.2 11.9 5.8 5.9 3.5 11.6

符号化単位(CU)の分割 4.4 5.9 4.4 6.9 7.8 9.1 9.7

イントラ予測 14.1 15.0 18.1 18.5 14.2 17.5 19.2

インター予測 28.8 25.8 24.8 30.0 19.9 21.7 23.7

その他の予測 4.61.6 0.5

3.7 10.8 17.0 4.1

変換 11.3 14.1 10.1 11.2 10.7 9.8 9.9

量子化 16.7 12.5 8.8 11.8 14.2 10.1 12.2

ループ内フィルタ 6.3 6.8 7.3 8.5 8.3 5.4 3.8

エントロピー符号化 12.7 8.4 7.8 14.8 12.8 7.8 9.8

後処理2.1 1.8 1.5 1.6 2.1 1.8 1.9

オブジェクト符号化0.6 0.3 0.1 0.5 0.7 0.1 0.1

ベクトル量子化1.3 0.2 0.3 0.2 0.4 0.6 0.5

スケーラブル符号化 8.7 6.9 6.7 5.7 15.4 23.2 8.8

時間的サブサンプリングま

たは補間 2.1 1.7 1.5 0.3 0.5 0.5 1.2空間的サブサンプリングま

たは補間 3.6 2.0 2.2 1.4 1.6 1.4 1.5

並列処理ツール 4.4 2.7 3.6 3.9 6.3 5.8 6.4

多視点符号化 5.2 11.2 9.6 8.8 12.5 11.7 8.3

パレット符号化0.2 0.1 0.0 0.2 0.1 1.0

3.9

分散映像符号化(DVC)0.9 0.5 0.3 0.5 0.6 0.6 0.6

ハードウェア構成 8.1 3.11.4

2.7 3.4 5.4 5.2

ソフトウェア構成1.9 0.4 0.3 0.6 2.6

3.11.2

ロスレス圧縮1.6 1.1 0.8 0.9 2.2 2.0 2.0

機械学習を用いた符号化0.4 0.2 0.2 0.3 0.3 0.7 0.5

デプス動画像 2.91.8

2.0 3.7 5.6 7.7 5.2

コンピュータ動画像 3.31.3 0.7 1.3 1.3 1.5 1.9

・ビット深度0.2 0.0 0.1 0.2 0.2 0.1

・ダイナミックレンジ0.4 0.6 0.7 1.8 1.1

2.61.4

・色域0.1 0.1 0.2 0.3 1.5 1.1

出願年(優先権主張年)

2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014

要素技術・符号化手法

対象動画

像種別

高画質画像に

対応した符号化

2,430

2,228

5,518

8,278

2,030

3,618

3,972

2,338

3,630

593

120

141

3,513

319

613

1,526

3,255

161

181

1,222

462

472

118

1,354

481

36

429

134

技術区分別‐合計件数

注)2013 年以降はデータベース収録の遅れ、PCT 出願の各国移行の

ずれ等で、全データを反映していない可能性がある。

Page 54: 平成28年度 特許出願技術動向調査報告書(概要) 次世代動画像符号化技術 · 処理ツール、多視点符号化等が挙げられる。これらの技術は、動画像符号化の基本となる

- 53 -

資料編

第7部

第6部

第5部

第3部

第2部

第1部

要約

本編 目次

第4部

図 7-10 要素技術に関する技術区分別‐出願人国籍別出願件数比率(日米欧中韓への出願、

出願年(優先権主張年):2008-2014 年、比率は各技術区分の総出願件数を 100 と

して算出)

前処理 29.5 22.1 16.7 12.3 14.3 2.6 2.5

符号化単位(CU)の分割 24.5 22.1 5.4 10.2 28.9 6.12.7

イントラ予測 26.6 18.3 6.9 10.5 30.4 3.3 4.0

インター予測 32.8 19.0 7.7 10.2 23.7 4.22.4

その他の予測 24.8 35.1 5.6 8.2 17.9 6.91.4

変換 27.9 21.1 7.1 14.8 21.62.5

5.0

量子化 36.5 21.6 6.6 12.4 15.12.9

4.8

ループ内フィルタ 30.7 26.9 6.3 5.0 21.4 7.32.5

エントロピー符号化 34.3 22.7 9.0 10.4 14.3 4.0 5.4

後処理 39.0 21.4 12.1 9.8 10.5 4.72.5

オブジェクト符号化 10.0 40.8 30.0 10.8 5.81.7 0.8

ベクトル量子化 27.7 11.3 27.7 21.3 6.4 3.52.1

スケーラブル符号化 19.8 32.8 12.5 6.9 23.6 3.01.3

時間的サブサンプリング

または補間31.3 23.5 6.6 16.0 13.8 7.8

0.9

空間的サブサンプリング

または補間25.6 27.6 8.3 13.4 21.9

1.5 1.8

並列処理ツール 28.4 31.1 8.7 11.9 13.2 4.22.6

多視点符号化 25.8 22.8 13.5 11.5 19.5 6.20.7

パレット符号化 22.4 34.2 7.5 17.4 6.2 11.80.6

分散映像符号化(DVC) 25.4 12.2 6.6 39.2 13.80.6 2.2

ハードウェア構成 20.7 27.2 5.5 27.3 10.9 6.32.1

ソフトウェア構成 20.3 35.3 14.1 16.7 6.3 3.0 4.3

ロスレス圧縮 26.3 22.0 13.8 22.0 10.22.1

3.6

機械学習を用いた符号化 22.0 22.0 13.6 32.2 8.50.8 0.8

デプス動画像 14.0 23.2 14.7 13.8 25.0 8.70.6

コンピュータ動画像 21.2 26.4 29.7 10.6 6.22.5

3.3

・ビット深度 19.4 44.4 19.4 2.8 13.9

・ダイナミックレンジ 17.0 45.9 28.4 4.0 3.50.7 0.5

・色域 29.9 45.5 11.9 3.0 3.7 3.0 3.0

出願人国籍(地域)

日本 米国 欧州 中国 韓国 台湾 その他

要素技術・符号化手法

対象動画

像種別

高画質画像に

対応した符号化

2,430

2,228

5,518

8,278

2,030

3,618

3,972

2,338

3,630

593

120

141

3,513

319

613

1,526

3,255

161

181

1,222

462

472

118

1,354

481

36

429

134

技術区分別‐合計件数

Page 55: 平成28年度 特許出願技術動向調査報告書(概要) 次世代動画像符号化技術 · 処理ツール、多視点符号化等が挙げられる。これらの技術は、動画像符号化の基本となる

- 54 -

資料編

第7部

第6部

第5部

第3部

第2部

第1部

要約

本編 目次

第4部

図 7-11 要素技術に関する技術区分別‐国際会議論文発表件数比率推移(ICIP、PCS、ISCAS、ICME 及び ICASSP での発表、発表年:2008-2015 年、比率は各発表年

の総発表件数を 100 として算出)

前処理1.5 1.8 2.5

3.5 3.0 2.5

3.1 4.5

符号化単位(CU)の分割0.3 0.5 0.3 1.0 0.4 1.1 1.5 1.1

イントラ予測 9.6 12.5 10.2 13.6 10.4 12.4 17.4 18.8

インター予測 27.7 25.8 28.5 20.7 24.4 21.9 22.6 23.3

その他の予測 4.8 2.8 2.8

4.5 2.6 2.1

4.1 1.7

変換 14.8 13.3 9.1 15.2 9.6 9.2 10.3 8.0

量子化 14.5 12.8 10.5 9.1 7.0 13.8 11.8 10.2

ループ内フィルタ 3.3 3.5 5.3 6.1 7.4 4.6 5.6 4.5

エントロピー符号化 6.9 5.5 3.3 7.6 6.7 4.6 4.6 3.4

後処理0.3 1.0 0.6 1.0 1.5 1.8 0.5 1.1

オブジェクト符号化0.3 0.3

ベクトル量子化0.5 0.6 0.5 0.7 0.6

スケーラブル符号化 12.3 16.5 15.5 13.1 7.4 13.8 12.3 8.5

時間的サブサンプリング

または補間 0.5 0.4 0.4 0.5 空間的サブサンプリング

または補間 1.5 0.5 0.3 0.5 1.1 1.5 0.6

並列処理ツール 3.3 3.0 3.0 5.6 4.4 6.0 6.7 4.5

多視点符号化 10.5 12.3 20.2 19.7 28.5 18.7 17.9 14.8

パレット符号化1.0 1.5

分散映像符号化(DVC) 7.8 10.8 6.1 8.6 3.7 2.8 2.1 0.6

ハードウェア構成 7.2 7.3 6.9 8.1 7.4 7.8 8.7 6.3

ソフトウェア構成2.7 2.3 1.1 1.0 2.2 1.1 2.1 2.3

ロスレス圧縮0.3 2.8 1.1

3.0 1.1 2.1

4.6 5.7

機械学習を用いた符号

化 0.5 1.0 0.7 0.7 1.0 0.6

デプス動画像 3.3 5.0 14.1 9.1 17.8 11.7 13.3 6.8

コンピュータ動画像2.4 1.3 1.1 0.5 0.7 2.1 2.6 1.7

技術区分(要素技術・符号化手法・符号化対象動画像種別)

発表年

2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015

57

15

276

552

70

251

254

108

118

21

2

8

287

5

16

95

387

5

131

164

41

50

11

219

34

技術区分別‐合計件数

Page 56: 平成28年度 特許出願技術動向調査報告書(概要) 次世代動画像符号化技術 · 処理ツール、多視点符号化等が挙げられる。これらの技術は、動画像符号化の基本となる

- 55 -

資料編

第7部

第6部

第5部

第3部

第2部

第1部

要約

本編 目次

第4部

図 7-12 要素技術に関する技術区分別‐研究者所属機関国籍別‐国際会議論文発表件数比

率(ICIP、PCS、ISCAS、ICME 及び ICASSP での発表、発表年:2008-2015年、比率は各技術区分の総発表件数を 100 として算出)

前処理 15.8 24.6 28.1 12.3 5.3 3.5

10.5

符号化単位(CU)分割 33.3 20.0 20.0 6.7 20.0

イントラ予測 6.5 15.9 21.4 27.5 7.2 8.7 12.7

インター予測 8.9 14.5 28.8 21.4 6.5 6.2 13.8

その他の予測 5.7 15.7 34.3 18.61.4

8.6 15.7

変換 6.4 19.5 23.1 20.73.2

7.2 19.9

量子化 5.9 18.5 29.1 24.43.5 4.7

13.8

ループ内フィルタ 9.3 16.7 33.3 25.94.6 4.6

5.6

エントロピー符号化 7.6 21.2 19.5 16.1 11.9 14.4 9.3

後処理 14.3 14.3 47.6 9.54.8

9.5

オブジェクト符号化 50.0 50.0

ベクトル量子化 12.5 62.5 25.0

スケーラブル符号化3.5

17.8 33.8 15.04.2

8.0 17.8

時間的サブサンプリン

グまたは補間60.0 20.0 20.0

空間的サブサンプリン

グまたは補間6.3 25.0 37.5 6.3 12.5 12.5

並列処理ツール 11.6 11.6 15.8 30.5 6.3 14.7 9.5

多視点符号化 7.2 13.2 35.4 18.1 6.5 5.9 13.7

パレット符号化 20.0 40.0 20.0 20.0

分散映像符号化(DVC)3.8

13.0 42.0 19.1 5.3 6.9 9.9

ハードウェア構成 11.0 7.9 16.5 20.1 7.9 22.0 14.6

ソフトウェア構成 7.3 9.8 34.1 19.52.4

9.8 17.1

ロスレス圧縮4.0

8.0 36.0 18.0 14.0 6.0 14.0

機械学習を用いた符号

化36.4 27.3 9.1 27.3

デプス動画像 7.8 14.2 38.8 17.4 9.13.7

9.1

コンピュータ動画像2.9

17.6 38.2 20.62.9

17.6

技術区分(要素技術・符号化手法・符号化対象動画像種別)

研究者所属機関国籍

日本 米国 欧州 中国 韓国 台湾 その他

57

15

276

552

70

251

254

108

118

21

2

8

287

5

16

95

387

5

131

164

41

50

11

219

34

技術区分別‐合計件数

Page 57: 平成28年度 特許出願技術動向調査報告書(概要) 次世代動画像符号化技術 · 処理ツール、多視点符号化等が挙げられる。これらの技術は、動画像符号化の基本となる

- 56 -

資料編

第7部

第6部

第5部

第3部

第2部

第1部

要約

本編 目次

第4部

図 7-13 技術区分「並列処理ツール」‐出願人国籍別‐注力度推移(日米欧中韓への出

願、出願年(優先権主張年):2008-2014 年、注力度は各国籍の各年における総件

数に対する当該技術区分に関する出願の比率)

図 7-14 技術区分「スケーラブル符号化」‐出願人国籍別‐注力度推移(日米欧中韓への

出願、出願年(優先権主張年):2008-2014 年、注力度は各国籍の各年における総

件数に対する当該技術区分に関する出願の比率)

0

2

4

6

8

10

12

2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014

注力度(%)

出願年(優先権主張年)

優先権主張:2008-2014年

日本 米国 韓国

出願人国籍

0

5

10

15

20

25

30

35

2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014

注力度(%)

出願年(優先権主張年)

優先権主張:2008-2014年

日本 米国 韓国

出願人国籍

注)2013 年以降はデータベース収録の遅れ、PCT 出願の各国

移行のずれ等で、全データを反映していない可能性がある。

注)2013 年以降はデータベース収録の遅れ、PCT 出願の各国

移行のずれ等で、全データを反映していない可能性がある。

Page 58: 平成28年度 特許出願技術動向調査報告書(概要) 次世代動画像符号化技術 · 処理ツール、多視点符号化等が挙げられる。これらの技術は、動画像符号化の基本となる

- 57 -

資料編

第7部

第6部

第5部

第3部

第2部

第1部

要約

本編 目次

第4部

4. 課題に関する分析 課題に関する技術区分別特許出願件数比率の推移を図 7-15、出願人国籍別特許出願

件数比率を図 7-16 に示す。 課題別に出願件数を見ると、圧縮性能に関する「符号化効率の向上」が最も多い。次

いで、符号化処理の演算量に関係する「演算の省略又は簡略化」「処理の高速化」に対応

する出願が多くなっている。その他、「符号化歪みの低減」「低遅延」「メモリ使用量削

減」「誤り耐性」「レート制御」「低消費電力」などの課題解決を図る技術に関する出願が

なされている。 「符号化効率の向上」は、符号化技術の目的からして、関連する発明の大半がそれを

目指すものと言え、件数が多くなっている。出願人国籍別に見ると、日本国籍が最も多

く、次いで、米国籍、中国籍、韓国籍の順となっている。 符号化効率と符号化処理の演算量はトレードオフの関係にあるため、符号化処理の演

算量は、符号化効率に次いで、代表的な課題である。符号化処理の演算量に関わる技術

には、大きく、処理を高速化することと、演算そのものを省略したり簡略化したりする

方向がある。出願人国籍別に見ると、いずれも日本国籍が最も多く、「処理の高速化」で

は中国籍が、「演算の省略又は簡略化」では米国籍がそれに次いでいる。 「メモリ使用量の削減」「低消費電力」は、モバイルにおける利用で、端末の大きさに

実用上制限があること、バッテリーの容量にも制限があることから電力消費を抑える必

要があるために対応が必要になる課題と言える。出願人国籍別に見ると、ともに日本国

籍が最も多く、米国籍が続いている。 「低遅延」は、リアルタイム性の要求が高い用途において重要となる課題である。具

体的には、監視カメラやドローン、自動運転等、今後、市場の拡大が見込まれている用

途が想定される。出願人国籍別に出願傾向を見ると、日本国籍が最も多く、2 位以下を

引き離しており、競争力があると見られる。 「符号化歪みの低減」「誤り耐性」「レート制御」等は、用途を必ずしも問わず、映像

の品質改善に向けた技術であり、符号化効率、符号化処理の演算量に関する課題に次い

で多くの出願が見られる。

Page 59: 平成28年度 特許出願技術動向調査報告書(概要) 次世代動画像符号化技術 · 処理ツール、多視点符号化等が挙げられる。これらの技術は、動画像符号化の基本となる

- 58 -

資料編

第7部

第6部

第5部

第3部

第2部

第1部

要約

本編 目次

第4部

図 7-15 課題に関する技術区分別‐出願件数比率推移(日米欧中韓への出願、出願年(優先

権主張年):2008-2014 年、比率は各出願年(優先権主張年)の総出願件数を 100として算出)

低遅延1.7

3.1 4.0 2.0

5.1 3.2 5.9

符号化効率の向上 40.5 48.2 50.9 56.3 47.1 45.7 47.3

符号化歪みの低減 7.2 9.8 8.7 8.7 6.0 5.0 5.6

メモリ使用量の削減 5.7 5.1 5.2 7.5 6.2 8.7 5.3

低消費電力 3.52.3 2.5 2.3

3.7 3.1 4.1

コスト削減 3.7 3.7 5.8 3.5 4.1 3.8 4.3

処理の高速化 13.6 8.9 8.2 11.4 14.1 10.0 13.4

演算の省略又は簡略化 12.0 11.6 13.1 14.8 13.9 16.9 14.9

誤り耐性 4.6 5.3 5.8 4.5 4.9 3.5 6.0

画質評価1.2 1.0 1.5 1.6 2.1 1.7 1.4

レート制御 4.2 5.7 6.0 3.8 3.3 3.8 5.6

互換性の確保0.9 0.9 0.7 1.0 1.5 1.3 0.5

ランダムアクセス1.5 0.6 0.9 0.5 2.5 1.4 1.2

出願年(優先権主張年)

2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014

課題

1,124

16,203

2,458

2,124

960

1,352

3,688

4,609

1,604

519

1,475

330

398

技術区分別‐合計件数

注)2013 年以降はデータベース収録の遅れ、PCT 出願の各国移行の

ずれ等で、全データを反映していない可能性がある。

Page 60: 平成28年度 特許出願技術動向調査報告書(概要) 次世代動画像符号化技術 · 処理ツール、多視点符号化等が挙げられる。これらの技術は、動画像符号化の基本となる

- 59 -

資料編

第7部

第6部

第5部

第3部

第2部

第1部

要約

本編 目次

第4部

図 7-16 課題に関する技術区分別‐出願人国籍別出願件数比率(日米欧中韓への出願、出願

年(優先権主張年):2008-2014 年、比率は各技術区分の総出願件数を 100 として

算出)

低遅延 38.3 24.5 11.7 11.7 7.7 3.7 2.5

符号化効率の向上 28.2 22.8 9.2 8.7 25.2 2.7 3.1

符号化歪みの低減 32.8 29.2 11.6 5.9 14.8 3.1 2.6

メモリ使用量の削減 31.8 27.2 8.8 8.1 12.3 7.5 4.3

低消費電力 34.6 24.3 6.9 10.7 12.0 8.3 3.2

コスト削減 36.8 21.2 12.2 12.4 6.9 7.5 3.0

処理の高速化 28.5 18.1 5.6 20.1 19.1 5.2 3.5

演算の省略又は簡略化 24.8 23.8 10.7 14.5 18.1 4.6 3.4

誤り耐性 30.1 25.5 11.5 14.7 12.4 3.3 2.5

画質評価 16.2 23.9 31.6 14.8 4.01.5

7.9

レート制御 31.6 30.0 11.7 13.3 7.0 3.7 2.7

互換性の確保 16.1 40.6 17.9 6.1 16.71.8 0.9

ランダムアクセス 26.6 40.2 9.5 2.5 18.81.8 0.5

出願人国籍(地域)

日本 米国 欧州 中国 韓国 台湾 その他

課題

1,124

16,203

2,458

2,124

960

1,352

3,688

4,609

1,604

519

1,475

330

398

技術区分別‐合計件数

Page 61: 平成28年度 特許出願技術動向調査報告書(概要) 次世代動画像符号化技術 · 処理ツール、多視点符号化等が挙げられる。これらの技術は、動画像符号化の基本となる

- 60 -

資料編

第7部

第6部

第5部

第3部

第2部

第1部

要約

本編 目次

第4部

5. 用途に関する分析 用途に関する技術区分別特許出願件数比率の推移を図 7-17、出願人国籍別特許出願件

数比率を図 7-18 に示す。 動画像符号化技術については、2013 年 1 月に、最新の国際規格である HEVC が標準

化されるなど、従来よりも高い圧縮率を実現できるようになっている。そのため、4K、

8K などの UHDTV 放送への適用、インターネット動画配信での利用、モバイル端末に

おける動画視聴や端末からの動画発信、ゲームへの適用など、用途が広がっているとこ

ろである。 今回の調査結果からは、以下に述べる傾向が見られた2。 用途別に特許出願件数を見ると、「放送・制作」「ビデオ配信」「モバイル」「ゲーム」

「記録・再生」「カメラ」などが多くなっている。それ以外に、「テレビ会議」「監視」「医

療」「ディスプレイ駆動回路」「自動車」への適用が見られる。いずれの用途も、件数の推

移を見ると、2008 年から 2011 年にかけて増加の傾向が見られる。 「放送・制作」は、4K、8K などの UHDTV 放送への適用として着目される。出願人

国籍別に見ると、米国籍が最も多く、次いで日本国籍となっている。 「ビデオ配信」は、記録媒体に代わる映像コンテンツの新たな提供形態として市場規

模が拡大しており、注目される。出願人国籍別に見ると、米国籍が 56.1%と約半数を占

めており、次いで日本が 16.9%と差が大きくなっている。 「モバイル」は、高圧縮化により、同じ帯域幅でもより高画質の映像を視聴できるよ

うになり、また、同時に多数のユーザーが利用可能になることから、モバイル通信の広

帯域化と相まって、利用拡大が期待される。スマートフォンやタブレット端末で動画を

見る視聴スタイルの変化のみならず、個人がスマートフォンやタブレット端末で撮像し

た映像を自由にネットにアップロードし共有する活動スタイルも拡大の兆しがある。出

願人国籍別に見ると、米国籍が 45.9%と最も多く、次いで、日本が 28.6%となっている。 「ゲーム」で用いられるスクリーンコンテンツは、自然動画像とは異なる符号化手法

の検討が必要になると考えられる。出願人国籍別に見ると、米国籍が 71.6%と 7 割以上

を占めており、かなりの優位性をもっている可能性がある。日本国籍は米国籍に次いで、

16.8%となっている。

2 ただし、符号化技術は用途を限定しないことが多いため、当該用途に特化した技術に関する出願の多さ

を示しているというよりは、出願人が関心のある用途の多さを示していることに注意する必要がある。

Page 62: 平成28年度 特許出願技術動向調査報告書(概要) 次世代動画像符号化技術 · 処理ツール、多視点符号化等が挙げられる。これらの技術は、動画像符号化の基本となる

- 61 -

資料編

第7部

第6部

第5部

第3部

第2部

第1部

要約

本編 目次

第4部

図 7-17 用途に関する技術区分別‐出願件数比率推移(日米欧中韓への出願、出願年(優先

権主張年):2008-2014 年、比率は各出願年(優先権主張年)の総出願件数を 100として算出)

放送・制作 11.7 16.6 17.0 16.9 22.3 17.9 8.1

ビデオ配信 5.3 9.8 10.1 9.0 12.0 10.8 6.1

モバイル 10.3 13.5 16.4 15.5 21.6 19.1 12.1

テレビ会議 2.2 1.6 4.4 5.0 6.7 7.5 2.6

コンピュータ画面転送0.7 0.6 0.6 0.4 0.9 0.5 0.7

監視 2.4 1.9 2.0 1.8 2.3 2.8 3.8

医療0.8 0.8 1.0 1.1 1.5 0.7 0.8

ゲーム 1.7 4.3 6.1 6.6 7.8 7.5 2.8

VR/AR0.2 0.4 0.1 0.1 0.2 0.1 0.6

記録・再生 7.9 11.2 12.0 10.8 13.0 13.6 6.6

デジタルシネマ0.7 0.9 0.5 0.5 0.4 0.4 0.3

ディスプレイ駆動回路0.6

1.3 1.90.9 1.1 1.0

1.5

カメラ 7.1 12.6 12.5 12.3 14.9 12.9 8.5

自動車1.1

1.7 2.0 1.7 1.7 2.1 1.3

出願年(優先権主張年)

2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014

用途

5,568

3,139

5,363

1,565

194

743

333

1,933

67

3,712

171

386

4,007

561

技術区分別‐合計件数

注)2013 年以降はデータベース収録の遅れ、PCT 出願の各国移行の

ずれ等で、全データを反映していない可能性がある。

Page 63: 平成28年度 特許出願技術動向調査報告書(概要) 次世代動画像符号化技術 · 処理ツール、多視点符号化等が挙げられる。これらの技術は、動画像符号化の基本となる

- 62 -

資料編

第7部

第6部

第5部

第3部

第2部

第1部

要約

本編 目次

第4部

図 7-18 用途に関する技術区分別‐出願人国籍別出願件数比率(日米欧中韓への出願、出願

年(優先権主張年):2008-2014 年、比率は各技術区分の総出願件数を 100 として

算出)

放送・制作 30.4 43.2 6.6 2.0

13.2 2.2 2.4

ビデオ配信 16.9 56.1 8.53.3

8.12.5

4.6

モバイル 28.6 45.9 7.92.5

10.42.2 2.5

テレビ会議 12.7 73.2 4.0 4.92.9 1.2 1.2

コンピュータ画面転送 24.2 45.9 9.3 9.3 6.73.6 1.0

監視 34.7 17.0 10.9 26.2 6.63.1 1.5

医療 30.9 22.5 34.53.9 3.9 0.9 3.3

ゲーム 16.8 71.6 4.00.2

5.80.5 1.1

VR/AR 32.8 17.9 17.9 20.9 7.53.0

記録・再生 39.4 44.8 4.01.6

6.21.5 2.6

デジタルシネマ 28.7 30.4 23.4 7.61.8

8.2

ディスプレイ駆動回路 27.2 27.5 4.4 4.4 23.1 9.63.9

カメラ 43.1 42.6 5.11.3

5.51.5 0.8

自動車 45.8 29.6 15.51.4

7.00.4 0.4

出願人国籍(地域)

日本 米国 欧州 中国 韓国 台湾 その他

用途

5,568

3,139

5,363

1,565

194

743

333

1,933

67

3,712

171

386

4,007

561

技術区分別‐合計件数

Page 64: 平成28年度 特許出願技術動向調査報告書(概要) 次世代動画像符号化技術 · 処理ツール、多視点符号化等が挙げられる。これらの技術は、動画像符号化の基本となる

- 63 -

資料編

第7部

第6部

第5部

第3部

第2部

第1部

要約

本編 目次

第4部

第 2 節 提言

以下に、調査分析結果を踏まえた提言を示す。

動画像符号化に関する技術全体の出願人国籍別特許出願件数(図 7-1、図 7-2)は、

2008 年の段階では、日本が全世界(日米欧中韓)の約 36%を占め、2 位以下を引き離

していたが、近年、日本の比率が低下し、米国の比率が上昇している。韓国は、

H.265/HEVC の標準化が本格的に開始される時期の 2009 年と 2010 年に一時的に比率

が上昇しているが、その後、低下している。また、欧州と中国は、全期間にわたって低

位にある。 動画像符号化に関する技術は市場での通用性のため、標準化が行われる。この標準化

の対象となる技術は、復号側の動作の互換性を確保するために必要な最低限の部分に限

定される。例えば、H.265/HEVC では、画像の絵柄に合わせて画像を様々なサイズの領

域に分割し、その領域ごとに異なる符号化処理を行うことができるが、選択可能な分割

サイズや符号化処理ごとに適用可能な動作モードは、標準化の対象となる一方で、分割

サイズや動作モードの選択方法は、標準化の対象とはならず、各社が独自に技術開発す

ることが可能である。 H.265/HEVC の標準化に関わる規格提案件数(JCT-VC)(図 7-4)は、米国が全体の

約 30%、日本が約 26%、韓国が約 14%であり、日米が 2 強となって 3 位以下を引き離

している。したがって、標準化の対象となる技術領域においては、日米が優位性を有し

ているといえる。自社の技術を規格に盛り込むことで、製品の早期市場投入が可能にな

り、また、他社に対してノウハウ上で優位に立つことが可能になるため、今後も引き続

き注力すべきと考えられる。 一方、規格に準拠したエンコーダの製品化においては、上述した分割サイズの選択方

法のように、標準化の対象とならない技術の優劣が符号化効率(圧縮性能)や画質、符

号化処理の演算量、消費電力、遅延の大きさ等を決めるため、競争力を左右する重要な

要因となる。 その優劣を決める技術についての特許出願の動向として技術区分「エンコーダ」を見

ると(図 7-3)、日本の比率は技術全体(図 7-2)よりも高めに推移し、韓国は低めに推

移しており、直近では、日米が 2 強となっているといえる。したがって、製品差別化の

ために重要な技術について、日本は、これまで技術的蓄積ができているといえる。 ただし、2011 年以降、米国の出願件数が伸長してきており、日本の優位性が低下して

きている可能性もあり、今後については、これまでの技術的蓄積を生かして取組を強化

することが期待される。

【提言 1】動画像符号化技術全般への取組に関する提言 動画像符号化技術は、標準化の対象となる技術と対象とならない技術のいずれも日

本と米国が技術的な優位性を有していると考えられる。ただし、近年、米国の出願件

数が伸長しており、日本の優位性が低下してきている可能性もある。日本は、これま

での技術的蓄積を生かして取組を強化することが期待される。

Page 65: 平成28年度 特許出願技術動向調査報告書(概要) 次世代動画像符号化技術 · 処理ツール、多視点符号化等が挙げられる。これらの技術は、動画像符号化の基本となる

- 64 -

資料編

第7部

第6部

第5部

第3部

第2部

第1部

要約

本編 目次

第4部

映像の符号化効率(圧縮性能)の向上は、映像に関わる新しい製品やサービスを生み

出すために必要不可欠である。例えば、4K・8K をはじめとする高精細化は、映像のデ

ータ量の増大を抑えなければ、伝送、記録が難しくなり、実用化が困難であるため、符

号化効率の向上が高精細化の実現に大きな役割を果たしている。また、近年、深層学習

に代表される画像認識技術の進歩により、映像は、テレビ放送のように「人が見る」用

途に加え、「コンピュータが解析する」用途も広がっている。第4次産業革命では、様々

な「データ」を「コンピュータが解析する」ことによって利活用し、新しいサービスを

創出することが重要になるとされており、「映像データ」も利活用が進むことが期待さ

れている。画像認識技術を用いた利活用を拡大するためには、大量の映像を伝送、記録

する必要があり、符号化効率(圧縮性能)の向上が求められる。今回の調査結果におい

て、「符号化効率の向上」を技術課題とする特許出願がどの年も全体の半分程度を占め

ている(図 7-15)ことからも、この技術課題が動画像符号化における最も基本的な技術

課題であることがわかる。 2013 年に規格が策定された H.265/HEVC では、従来の H.264/AVC(2003 年策定)

と比較して半分のデータ量で同等の画質を実現しており、符号化効率は 10 年で 2 倍と

なっている。H.265/HEVC を含め、現在主流の技術は、「動き補償+直交変換」という

枠組みの下で、符号化効率を向上させている。この枠組みは、20 年以上も前から変わっ

ておらず、この枠組みの中で改良を続けるだけでは、符号化効率の向上に限界が訪れる

可能性が指摘されている。 こうした中で、既存の技術の延長線上にはない新しい符号化方式を目指す研究の一例

として、機械学習の手法を適用する試みがある。機械学習は、画像信号処理の分野にお

いては、画像認識技術で広く用いられているが、動画像符号化に適用した研究はまだ少

ない。今回の調査結果において、「機械学習を用いた符号化」の国際会議論文発表件数

(図 7-11)は、全期間を合計しても 11 件にとどまっており、特許出願件数(図 7-9)も増加する兆しはあるものの、主要な要素技術と比較すると桁違いに少ない。その一部

ではあるが、符号化アルゴリズム(手順)を機械学習によって生み出す手法も提案され

ており、こうした研究が進むことにより、「動き補償+直交変換」とは異なる枠組みで、

これまでにない符号化効率を達成する符号化方式を実現できる可能性がある。 このように、「動き補償+直交変換」の枠組みを用いない新しい符号化方式を目指す

研究は行われているものの、いまだ新たな標準方式となり得る手法は実現されていない。

符号化効率の向上に限界が訪れる可能性が指摘されている中で、ブレイクスルーへの期

待が大きく、官民を挙げて、こうした研究を推進していくことが望まれる。

【提言 2】従来とは異なる枠組みに基づく新しい符号化方式に関する提言 H.265/HEVC を含め、現在主流の技術は、「動き補償+直交変換」という枠組みの下

で、符号化効率(圧縮性能)を向上させている。この枠組みは、20 年以上も前から変

わっておらず、この枠組みの中で改良を続けるだけでは、符号化効率の向上に限界が

訪れる可能性が指摘されている。「動き補償+直交変換」の枠組みを用いない新しい符

号化方式を目指す研究は行われているものの、いまだ新たな標準方式となり得る手法

は実現されておらず、官民を挙げて、こうした研究を推進していくことが望まれる。

Page 66: 平成28年度 特許出願技術動向調査報告書(概要) 次世代動画像符号化技術 · 処理ツール、多視点符号化等が挙げられる。これらの技術は、動画像符号化の基本となる

- 65 -

資料編

第7部

第6部

第5部

第3部

第2部

第1部

要約

本編 目次

第4部

映像の高精細化(4K・8K 等)と関連して技術開発が進んでいる技術として、「並列処

理ツール」と「スケーラブル符号化」が挙げられる。これらの技術について、要素技術

別の特許出願件数推移(図 7-9)と国際会議論文発表件数推移(図 7-11)を見ると、「並

列処理ツール」は、特許、論文ともに増加傾向にある。「スケーラブル符号化」は、論文

発表件数は上下しているが、特許出願件数は大きく増加しており、これらの技術の技術

開発が活発化していると考えられる。 この 2 つの技術について、上位 3 国籍(日米韓)の注力度(全体出願件数に占める当

該技術の出願件数の割合)推移を比較すると、上位 3 国籍とも注力度を高めてきている

が、全体的に米国よりも注力度が低く、米国を後追いする形になっている(図 7-13、図

7-14)。こうした注目分野にメリハリを付けた技術開発をすべきと考えられる。なお、

スケーラブル符号化については、実用化に懐疑的な見方もあるものの、特許出願動向を

見ると、日本も含めて注力度を高めている状態であることがわかる。

予測は、要素技術の中で最も特許出願件数が多く、動画像符号化の主要な要素技術で

あり、イントラ予測とインター予測に大別される。 「イントラ予測」と「インター予測」の特許出願件数比率推移(図 7-9)と国際会議

論文発表件数比率推移(図 7-11)を比較すると、特許と論文の両方において、全期間に

わたって「イントラ予測」の比率より「インター予測」の比率の方が高いものの、近年、

その差が縮小する傾向にあり、イントラ予測への注目が相対的に高まっている。一方、

予測技術の出願人国籍別の特許出願件数比率(図 7-10)を見ると、「インター予測」で

は日本国籍が最も高いが、「イントラ予測」では日本国籍は 2 位となっている。 イントラ予測は、成熟した予測技術の中でも工夫の余地が多く残されている可能性が

ある。また、イントラ予測は、低遅延化のためにも利用できる技術であり、今後、低遅

延化が重要になる用途(スマートフォンの画面共有等)の普及が進むと、重要性が増す

と考えられる。 日本は、以上を踏まえて技術開発を進めることが望まれる。

【提言 3】映像の高精細化と関連して技術開発が進んでいる技術に関する提言 並列処理ツールをはじめとし、映像の高精細化(4K・8K 等)と関連して技術開発が

進んでいる技術について、日本は、メリハリを付けて技術開発に注力することが期待

される。

【提言 4】予測技術に関する提言 主要な要素技術であるイントラ予測とインター予測を比較すると、全期間にわたっ

てインター予測の技術開発の方が盛んであるものの、近年、その差が縮小する傾向に

あり、イントラ予測への注目が相対的に高まっている。イントラ予測は、成熟した予

測技術の中でも工夫の余地が多く残されている可能性や、低遅延化のために利用する

ことを見据えた動きである可能性が考えられ、日本もこうした動きを踏まえて技術開

発を進めることが望まれる。

Page 67: 平成28年度 特許出願技術動向調査報告書(概要) 次世代動画像符号化技術 · 処理ツール、多視点符号化等が挙げられる。これらの技術は、動画像符号化の基本となる

- 66 -

資料編

第7部

第6部

第5部

第3部

第2部

第1部

要約

本編 目次

第4部

映像の画質を決める要素には、「解像度(空間解像度)」「フレームレート(時間解像

度)」といった基本的な要素に加え、「ビット深度」「色域」「ダイナミックレンジ(輝度)」

がある。課題別の特許出願件数推移(図 7-9)を見ると、件数は多くはないものの、「ビ

ット深度」「色域」「ダイナミックレンジ」に関する出願は増加傾向にある。映像美のさ

らなる追求としてこれらの要素についての注目が近年高まっており、今後の技術開発の

取組の強化が望まれる。 一方、出願人国籍別の特許出願件数(図 7-10)を見ると、「ビット深度」「色域」は米

国籍が最も多く、日本国籍はそれに次ぐ 2 番目、「ダイナミックレンジ」は米国籍、欧

州国籍に次ぐ 3 番目となっている。日本は、撮像や表示の分野について、高い技術力を

有していると考えられるため、こうした技術力を生かして映像の高画質化に対応した符

号化の技術開発を進めることが期待される。なお、ハイダイナミックレンジの映像フォ

ーマットは日米で方式の違いがあり、日本が使っている方式は信号を H.265/HEVC で

そのまま符号化しても問題ないため、日本の出願件数が少なくなっていると考えられる。

【提言 5】映像の高画質化への対応に関する提言 ビット深度、ダイナミックレンジ、色域等、映像の高画質化に対応した符号化技術

は、各国で注目が高まっており、日本の取組の強化が望まれる。