204 回日本経済予測 (改訂版)...2020/03/09  · 2 / 53 第204...

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株式会社大和総研 丸の内オフィス 100-6756 東京都千代田区丸の内一丁目 9 1 グラントウキョウ ノースタワー このレポートは投資勧誘を意図して提供するものではありません。このレポートの掲載情報は信頼できると考えられる情報源から作成しておりますが、その正確性、完全性を保証するも のではありません。また、記載された意見や予測等は作成時点のものであり今後予告なく変更されることがあります。㈱大和総研の親会社である㈱大和総研ホールディングスと大和証券 ㈱は、㈱大和証券グループ本社を親会社とする大和証券グループの会社です。内容に関する一切の権利は㈱大和総研にあります。無断での複製・転載・転送等はご遠慮ください。 2020 3 9 53 204 回日本経済予測(改訂版) 常務取締役 チーフエコノミスト 熊谷 亮丸 経済調査部 シニアエコノミスト 神田 慶司 シニアエコノミスト 佐藤 シニアエコノミスト 橋本 政彦 研究員 山口 エコノミスト 鈴木 雄大郎 研究員 小林 若葉 研究員 田村 統久 研究員 矢澤 朋子 調査本部 藤原 204 回日本経済予測(改訂版) 新型肺炎が日本経済に与える影響を検証する 実質 GDP: 2019 年度▲0.1%、2020 年度+0.1%、2021 年度+0.8名目 GDP: 2019 年度+0.7%、2020 年度+1.3%、2021 年度+1.3経済予測

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Page 1: 204 回日本経済予測 (改訂版)...2020/03/09  · 2 / 53 第204 回日本経済予測(改訂版) 【予測のポイント】 (1) 実質GDP 成長率見通し:19

株式会社大和総研 丸の内オフィス 〒100-6756 東京都千代田区丸の内一丁目 9 番 1 号 グラントウキョウ ノースタワー

このレポートは投資勧誘を意図して提供するものではありません。このレポートの掲載情報は信頼できると考えられる情報源から作成しておりますが、その正確性、完全性を保証するも

のではありません。また、記載された意見や予測等は作成時点のものであり今後予告なく変更されることがあります。㈱大和総研の親会社である㈱大和総研ホールディングスと大和証券

㈱は、㈱大和証券グループ本社を親会社とする大和証券グループの会社です。内容に関する一切の権利は㈱大和総研にあります。無断での複製・転載・転送等はご遠慮ください。

2020 年 3月 9日 全 53頁

第 204 回日本経済予測(改訂版)

常務取締役 チーフエコノミスト 熊谷 亮丸

経済調査部 シニアエコノミスト 神田 慶司

シニアエコノミスト 佐藤 光

シニアエコノミスト 橋本 政彦

研究員 山口 茜

エコノミスト 鈴木 雄大郎

研究員 小林 若葉

研究員 田村 統久

研究員 矢澤 朋子

調査本部 藤原 翼

第 204回日本経済予測(改訂版)

新型肺炎が日本経済に与える影響を検証する

実質 GDP: 2019年度▲0.1%、2020年度+0.1%、2021年度+0.8%

名目 GDP: 2019年度+0.7%、2020年度+1.3%、2021年度+1.3%

経済予測

Page 2: 204 回日本経済予測 (改訂版)...2020/03/09  · 2 / 53 第204 回日本経済予測(改訂版) 【予測のポイント】 (1) 実質GDP 成長率見通し:19

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第 204 回日本経済予測(改訂版)

【予測のポイント】

(1) 実質 GDP 成長率見通し:19 年度▲0.1%、20 年度+0.1%、21 年度+0.8%:20 年 1-3 月期の実質

GDP 成長率は、新型肺炎による経済活動の自粛や外需の悪化などにより、前期比でマイナスとなる

見込みである。また、実質 GDP 成長率見通しを 19 年度で 0.5%pt、20 年度で 0.3%pt 引き下げた。

当面の最大のリスクは新型肺炎だ。仮に感染拡大が長期化すると、20 年度の日本経済は大幅なマ

イナス成長に転じる可能性がある。本予測のメインシナリオでは、新型肺炎が 3 カ月程度流行し、20

年 4-6 月期中に経済活動が正常化すると想定している。中国経済の回復やシリコンサイクルの持ち

直しに加え、国内では拡張的な財政政策や労働需給のひっ迫で内需が底堅く推移し、緩やかなが

らも景気の回復基調が続くとみているが、景気後退期入りするリスクは急速に高まっている。

(2) 論点①:サイクル面から見た景気の先行き:日米中 3 カ国では概ね「中国→米国→日本」の順番で

景気回復となるパターンが見られ、2020年は日本の回復期入りが期待される。当面は輸出の回復が

ポイントとなろう。業種別では、半導体需要の回復に伴う電子部品・デバイスの生産増が期待される

一方、家計所得の影響が大きい輸送機械は横ばいで推移し、両者の動きが乖離した状況が続くと

想定される。だが、業種間の波及構造を踏まえた当社の試算によれば、稼働率上昇による資本財需

要の増加などもあり、鉱工業生産全体は緩やかな増加基調が続こう。ただし、新型肺炎の影響など

によって、前提となるシリコンサイクルが下振れするリスクには細心の注意が必要である。

(3) 論点②:消費増税後の個人消費の先行き:前回増税時は、購買力が低下したことで低所得世帯を

中心に消費が低迷したが、今回は軽減税率制度や、幼児教育・保育無償化などの社会保障充実策

により購買力が高まったため、低所得世帯の消費は安定している。対照的に、今回は高所得者世帯

の買い控えが消費を下押ししており、前回とは異なる特徴が見られる。先行きの個人消費は新型肺

炎による活動自粛の影響で当面は厳しい状況が続くとみている。新型肺炎が終息し経済が正常化

すれば消費も持ち直すとみられるが、所得の伸び悩みや節約志向の高まり、消費増税対策の段階

的終了等により、伸びは幾分低下するだろう。なお、非製造業ではこのところ労働生産性以上に実

質賃金が上昇しており、企業の負担が増している。今後の雇用調整リスクなどには注意が必要だ。

(4) 論点③:2020 年のリスクを検証する:米国大統領選挙に向け、トランプ大統領は製造業のテコ入れ

が課題となる。実行可能な政策が限られる中、ドル安志向を強める可能性に注意が必要である。選

挙の結果、仮に政権交代となれば、トランプ減税からの巻き戻し、規制強化が経済のリスクとなろう。

中東情勢緊迫化の経済面のリスクは原油価格の高騰となる。リスクオフの円高と合わせて最大で実

質 GDPを▲0.8%程度下押しする懸念があろう。東京五輪後の建設需要の剥落懸念については、供

給力不足による受注残の高止まりなどから、腰折れは回避されよう。

(5) 日銀の政策: コア CPI は、20 年度は前年度比▲0.1%、21 年度は同+0.4%と予測する。そのた

め、日銀は非常に緩和的な金融政策を継続するとみている。米欧中央銀行の金融緩和姿勢が強ま

る中、当面、小幅な追加金融緩和が視野に入る展開が予想される。

【主な前提条件】

(1) 公共投資は 19 年度+5.4%、20 年度+1.8%、21 年度+0.0%と想定。

(2) 為替レートは 19 年度 108.5 円/㌦、20 年度 105.0 円/㌦、21 年度 105.0 円/㌦とした。

(3) 米国実質 GDP 成長率(暦年)は 20 年+1.9%、21 年+2.0%とした。

Page 3: 204 回日本経済予測 (改訂版)...2020/03/09  · 2 / 53 第204 回日本経済予測(改訂版) 【予測のポイント】 (1) 実質GDP 成長率見通し:19

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2019年度 2020年度 2021年度 2019暦年 2020暦年 2021暦年

(予測) (予測) (予測) (予測) (予測)

1.主要経済指標

 名目GDP成長率 0.7 1.3 1.3 1.2 0.2 1.7

 実質GDP成長率(2011暦年連鎖価格) -0.1 0.1 0.8 0.7 -1.1 1.2

内需寄与度 -0.0 -0.1 0.7 0.8 -1.3 1.1

外需寄与度 -0.1 0.2 0.1 -0.2 0.2 0.0

 GDPデフレーター 0.9 1.2 0.5 0.6 1.3 0.6

 全産業活動指数上昇率 -1.5 -0.9 0.8 -0.3 -3.0 1.5

鉱工業生産指数上昇率 -3.3 -1.3 1.8 -2.8 -3.0 1.9

 第3次産業活動指数上昇率 -1.1 -0.7 0.6 0.5 -3.0 1.5

 国内企業物価上昇率 -0.1 -1.6 0.8 0.2 -1.5 0.3

消費者物価上昇率(生鮮食品除く総合) 0.6 -0.1 0.4 0.7 0.1 0.2

失業率 2.3 2.5 2.5 2.4 2.5 2.5

10年物国債利回り -0.13 -0.16 -0.16 -0.11 -0.15 -0.16

国際収支統計

貿易収支(兆円) 1.6 7.2 7.7 0.6 6.7 7.5

経常収支(億ドル) 1,956 2,665 2,723 1,840 2,584 2,698

経常収支(兆円) 21.4 28.2 28.8 20.1 27.3 28.3

対名目GDP比率 3.9 5.0 5.1 3.6 4.9 5.0

2.実質GDP成長率の内訳

 (括弧内は寄与度、2011暦年連鎖価格)

民間消費 -1.0 (-0.5) -0.1 (-0.1) 0.8 ( 0.4) 0.2 ( 0.1) -2.0 (-1.1) 1.5 ( 0.8)

民間住宅投資 1.4 ( 0.0) -1.5 (-0.0) 0.1 ( 0.0) 2.0 ( 0.1) -1.8 (-0.1) -0.0 (-0.0)

 民間設備投資 -0.8 (-0.1) -1.4 (-0.2) 1.4 ( 0.2) 0.7 ( 0.1) -2.8 (-0.4) 1.4 ( 0.2)

 政府最終消費 2.6 ( 0.5) 1.2 ( 0.2) 1.0 ( 0.2) 1.9 ( 0.4) 1.7 ( 0.3) 1.0 ( 0.2)

公共投資 3.7 ( 0.2) 0.7 ( 0.0) -0.8 (-0.0) 2.9 ( 0.1) 1.8 ( 0.1) -0.6 (-0.0)

財貨・サービスの輸出 -2.2 (-0.4) 1.0 ( 0.2) 1.6 ( 0.3) -1.8 (-0.3) -1.1 (-0.2) 2.3 ( 0.4)

財貨・サービスの輸入 -1.6 ( 0.3) 0.0 (-0.0) 1.2 (-0.2) -0.8 ( 0.1) -2.3 ( 0.4) 2.3 (-0.3)

3.主な前提条件

(1)世界経済

主要貿易相手国・地域経済成長率 2.7 3.1 3.3 3.0 2.8 3.2

原油価格(WTI、$/bbl) 55.6 40.0 40.0 57.0 42.3 40.0

(2)米国経済

米国の実質GDP成長率(2012暦年連鎖価格) 2.2 1.9 2.0 2.3 1.9 2.0

米国の消費者物価上昇率 2.0 2.0 2.0 1.8 2.1 1.9

(3)日本経済

名目公共投資 5.4 1.8 0.0 4.5 3.2 0.2

為替レート(円/ドル) 108.5 105.0 105.0 109.0 105.8 105.0

     (円/ユーロ) 120.8 118.0 118.0 122.2 118.4 118.0

(注1)特に断りのない場合は前年比変化率。

(注2)四捨五入の影響で政府の公表値と異なる場合があります。

(出所)大和総研

第204回日本経済予測(改訂版)(2020年3月9日)

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前回予測との比較

2019年度

2020年度

2021年度

2019年度

2020年度

2021年度

2019年度

2020年度

2021年度

1.主要経済指標

 名目GDP成長率 0.7 1.3 1.3 1.2 1.1 1.2 -0.5 0.2 0.1 実質GDP成長率(2011暦年連鎖価格) -0.1 0.1 0.8 0.4 0.4 0.7 -0.5 -0.3 0.1 内需寄与度 -0.0 -0.1 0.7 0.6 0.3 0.7 -0.6 -0.4 0.1 外需寄与度 -0.1 0.2 0.1 -0.2 0.1 0.1 0.1 0.1 -0.0 GDPデフレーター 0.9 1.2 0.5 0.8 0.7 0.4 0.0 0.5 0.1

 全産業活動指数上昇率 -1.5 -0.9 0.8 -0.6 -0.1 0.8 -1.0 -0.8 0.1 鉱工業生産指数上昇率 -3.3 -1.3 1.8 -3.0 -0.6 1.7 -0.3 -0.7 0.1 第3次産業活動指数上昇率 -1.1 -0.7 0.6 0.0 0.1 0.6 -1.1 -0.8 0.1

 国内企業物価上昇率 -0.1 -1.6 0.8 0.1 0.1 0.7 -0.2 -1.7 0.1 消費者物価上昇率(生鮮食品除く総合) 0.6 -0.1 0.4 0.6 0.2 0.4 -0.0 -0.3 0.1 失業率 2.3 2.5 2.5 2.3 2.5 2.5 0.0 0.0 0.0

10年物国債利回り -0.13 -0.16 -0.16 -0.11 -0.05 -0.05 -0.02 -0.11 -0.11

国際収支統計 貿易収支(兆円) 1.6 7.2 7.7 0.8 3.2 3.7 0.8 4.0 4.0 経常収支(億ドル) 1956 2665 2723 1853 1980 2040 103 685 683 経常収支(兆円) 21.4 28.2 28.8 20.3 21.9 22.5 1.0 6.3 6.2 対名目GDP比率 3.9 5.0 5.1 3.7 3.9 4.0 0.2 1.1 1.1

2.実質GDP成長率の内訳 (2011暦年連鎖価格)

民間消費 -1.0 -0.1 0.8 -0.2 0.1 0.6 -0.8 -0.2 0.2 民間住宅投資 1.4 -1.5 0.1 1.3 -1.5 0.1 0.1 0.0 0.0 民間設備投資 -0.8 -1.4 1.4 0.0 0.2 1.4 -0.8 -1.6 0.0 政府最終消費 2.6 1.2 1.0 2.5 1.1 1.0 0.1 0.1 0.0 公共投資 3.7 0.7 -0.8 4.1 0.3 -0.8 -0.4 0.4 0.0 財貨・サービスの輸出 -2.2 1.0 1.6 -1.8 0.1 1.5 -0.4 0.9 0.1 財貨・サービスの輸入 -1.6 0.0 1.2 -0.4 -0.3 1.0 -1.2 0.3 0.2

3.主な前提条件

(1)世界経済

主要貿易相手国・地域経済成長率 2.7 3.1 3.3 2.9 3.0 3.3 -0.2 0.1 -0.0 原油価格(WTI、$/bbl) 55.6 40.0 40.0 56.6 52.0 52.0 -1.0 -12.0 -12.0

(2)米国経済

米国の実質GDP成長率(2012暦年連鎖価格) 2.2 1.9 2.0 2.2 2.0 2.0 0.0 -0.1 -0.0 米国の消費者物価上昇率 2.0 2.0 2.0 2.0 2.0 2.0 -0.0 -0.0 -0.0

(3)日本経済

名目公共投資 5.4 1.8 0.0 5.7 1.4 0.0 -0.4 0.4 0.0 為替レート(円/ドル) 108.5 105.0 105.0 108.9 109.7 109.7 -0.4 -4.7 -4.7      (円/ユーロ) 120.8 118.0 118.0 120.9 119.0 119.0 -0.1 -1.0 -1.0

(注)特に断りのない場合は前年比変化率。

(出所)大和総研

今回予測(3月9日)

前回予測(2月21日)

前回との差

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◎目次

1. 日本経済のメインシナリオ ................................................... 6

1.1. はじめに ............................................................... 6

1.2. 現在は景気後退期入りの「瀬戸際」、新型肺炎には細心の注意が必要 ......... 7

1.3. 新型肺炎の日本経済への影響 ............................................ 10

2. 論点①:サイクル面から見た景気の先行き .................................... 12

2.1. 日米中のサイクルは、中期的に日本の景気回復を下支え .................... 12

2.2. シリコンサイクルの持ち直しで日本は安泰か? ............................ 15

3. 論点②:消費増税後の個人消費の先行き ...................................... 20

3.1. 消費増税後の個人消費の特徴 ............................................ 20

3.2. 先行きの個人消費は、新型肺炎の影響が剥落した後は緩やかに増加 .......... 24

4. 論点③:2020年のリスクを検証する ......................................... 28

4.1. 米国大統領選挙 ........................................................ 28

4.2. 中東情勢緊迫化による原油高 ............................................ 32

4.3. 東京五輪後に建設需要剥落のリスク ...................................... 35

5. マクロリスクシミュレーション .............................................. 38

5.1. 円高 .................................................................. 38

5.2. 原油高騰 .............................................................. 39

5.3. 世界需要の低下 ........................................................ 39

5.4. 金利上昇 .............................................................. 39

6. 四半期計数表 .............................................................. 41

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第 204 回日本経済予測(改訂版)

新型肺炎が日本経済に与える影響を検証する

1. 日本経済のメインシナリオ

神田 慶司

1.1. はじめに

中国で発生した新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大が深刻化している。中国の景気が

減速する場合、日本と世界経済に及ぼす悪影響は SARS(重症急性呼吸器症候群)が流行した 2002

~03年から格段に高まっている。2003年と比べると、中国の実質 GDPは 4倍に、世界の GDPや

輸入額に占める中国の割合は 2倍以上に拡大した。45万人だった訪日中国人観光客は 2019年に

は 959万人に達し、日本のインバウンド消費の要となっている。

日本経済にとって新型肺炎は当面の最大のリスクだ。その先行きは執筆時点で全く予断を許

さない状況にあるが、訪日中国人旅客数は足元で激減しており、インバウンド関連業種の事業

活動に悪影響が表れ始めた。さらに、政府が 2 月末に発表した自粛要請もあって、行事や催し

物の延期・中止が相次いでいる。3月 9日には中韓からの入国者全員に対する入国制限措置が実

施された。

本予測のメインシナリオでは新型肺炎が 3カ月程度(2~4月頃)流行し、2020年 4-6月期中

に経済活動が正常化すると想定している。中国経済の回復やシリコンサイクルの持ち直しに加

え、国内では拡張的な財政政策や労働需給のひっ迫で内需が底堅く推移し、緩やかながらも景

気の回復基調が続くとみている。だが、新型肺炎が本予測の想定以上に拡大する可能性もある。

本章第 3 節で述べるように、仮に流行が 1 年程度続くと、2020 年度の日本経済は大幅なマイナ

ス成長に陥ると試算される。現在は景気後退期入りのリスクが急速に高まっているといえる。

さらに、本予測では以下の三つの論点を検証した。

第 2 章ではサイクル面から見た景気の先行きを検討した。日米中 3 カ国の景気は概ね「中国

→米国→日本」の順番で回復する傾向が見られる。中国経済が新型肺炎を乗り越えれば、2020 年

は政治のサイクル面からも日本の回復期入りが期待される。業種別では、輸送機械の伸び悩み

が懸念される一方、シリコンサイクルの改善に伴う電子部品・デバイスの生産増が見込まれる。

第 3 章では消費増税後の個人消費に焦点を当てた。前回は消費増税後に低所得世帯の消費が

特に弱かったが、今回は対照的に高所得世帯の消費が弱い。増税後に見られた個人消費の減少

は「購買力低下」よりも「買い控え」の要因が大きかったといえる。

第 4章では 2020 年のイベントリスクの中で特に注目されている米国大統領選挙や、テールリ

スクである中東情勢緊迫化による原油高を取り上げた。また東京オリンピック・パラリンピッ

ク後の建設不況を懸念する声が聞かれることから、建設投資の先行きについても検討している。

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1.2. 現在は景気後退期入りの「瀬戸際」、新型肺炎には細心の注意が必要

大幅減となった 2019 年 10-12月期の実質 GDPは景気後退のサイン?

2019 年 10-12 月期の実質 GDP は二次速報値で前期比▲1.8%(年率換算▲7.1%)だった。減

少率は消費税率が 8%に引き上げられた 2014 年 4-6月期(同▲1.9%)以来の大きさである。

図表 1-1 は過去 2 回の消費増税時の実質 GDP 成長率を前期比寄与度で示したものだ。今回増

税時における個人消費と住宅投資に注目すると、増税前の駆け込み需要が含まれる 2019 年 7-9

月期の増加率は前回増税時(2014 年 1-3 月期)よりもかなり小さく、増税後の減少率も小さか

った。今回は消費税率の引き上げ幅が前回より 1%pt 低いことに加え、軽減税率制度や消費増

税対策により、増税前後の需要変動が平準化されたとみられる。また、今回は増税後に設備投資

が前期比▲4.6%と、前回の同▲1.9%を大幅に下回ったという特徴も見られた。

図表 1-1:消費増税前後の実質 GDP 成長率(前期比寄与度)

2019 年 10-12 月期は駆け込み需要の反動減が発生したことに加え、大型台風の影響で経済活

動が停滞し、暖冬で季節商材の売れ行きが鈍かったことは、月次統計から明らかだった。そのた

め実質 GDP が 5 四半期ぶりに前期比でマイナス成長となることは事前に想定されていた。しか

しながら、結果は一次速報時点で市場予想の前期比▲1.0%(年率換算▲3.9%)を下回る厳しい

内容だったことから、日本経済は既に景気後退期入りしたのではないかとの見方が広がってい

る。

確かに、個人消費や設備投資の基調は弱かった可能性がある。米国は 2019年 9月に対中追加

関税第四弾の「リスト A」を発動し、12 月には米国消費者への悪影響が特に大きい「リスト B」

の発動が予定されていた。10 月の米中閣僚級協議において「第一段階」が大枠で合意に達した

ものの、その後は調整が難航し、12 月初めでも決裂する可能性は小さくなかった。米中摩擦や

地政学的リスクの高まりで製造業の事業環境が悪化し、日銀短観における 12月の大企業製造業

-5

-4

-3

-2

-1

0

1

2

3

1-3月期 4-6月期 7-9月期 10-12月期

前回増税時(2014年) 今回増税時(2019年)

個人消費 住宅投資設備投資 民間在庫公需 外需GDP

(%、%pt)

(注)季節調整値。

(出所)内閣府統計より大和総研作成

Page 8: 204 回日本経済予測 (改訂版)...2020/03/09  · 2 / 53 第204 回日本経済予測(改訂版) 【予測のポイント】 (1) 実質GDP 成長率見通し:19

8 / 53

の業況判断 DI(最近)は 2013年 6月調査以降で最低水準となった。こうした中で経済の先行き

に対する慎重な見方が強まり、家計は平均消費性向を引き下げたり(買い控えたり)、企業は設

備投資計画を先送りしたりしたと考えられる。

成長率が予想以上に悪化したのは、大型台風による経済への悪影響を推計することが困難で、

結果として過小評価されたことも一因だ。例えば、住宅投資は駆け込み需要がほとんど見られ

なかった割に増税後の減少率は大きかった。住宅着工統計から事前に予想された伸びを下回っ

ており、大型台風に伴う工期の遅れが影響したと考えられる。同様に、軽減税率制度やキャッシ

ュレス決済時のポイント還元制度への対応として、企業が増税前までに行った設備投資額も把

握が困難だったことから、2019 年 10-12 月期に生じた反動減の規模が過小評価された可能性が

ある。

2020年 1-3月期は大幅なマイナス成長を予想するも更なる下振れリスクあり

改訂前の本予測(2月 21日公表)では、2020 年 1-3月期は消費増税や大型台風、暖冬の影響

が剥落することで、実質 GDP が前期比でプラスに転じる展開をメインシナリオに据えていた。

だがその後の状況を踏まえると、大幅なマイナスとなる公算が大きい。当社では、同期間の実質

GDP 成長率を前期比年率▲4.3%と予想している(図表 1-2)。個人消費と輸出の大幅減が主因で

あり、2019 年 10-12 月期に続き 2四半期連続で前期比マイナスとなろう。

図表 1-2:実質 GDP 成長率見通し 図表 1-3:製造業と非製造業の見通し

-8

-6

-4

-2

0

2

4

6

8

ⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠ

18 19 20 21 22

(前期比年率、%)

見通し

(年)(注)季節調整値。見通しは大和総研による。

(出所)内閣府統計より大和総研作成

96

98

100

102

104

106

108

110

112

91

93

95

97

99

101

103

105

107

12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22

(2015年=100) (2015年=100)

見通し

(年)

(注)季節調整値。第3次産業活動指数は2015年

を基準とした指数に修正。見通しは大和

総研による。

(出所)経済産業省統計より大和総研作成

非製造業

(第3次産業活動指数,右軸)

製造業

(鉱工業生産指数)

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当社のメインシナリオでは、新型肺炎が 3 カ月程度(2~4 月頃)流行するという機械的な想

定を置いている。想定通りに流行が終息に向かえば、国内外の経済活動は 2020 年 4-6月期中に

正常化し、足元で深刻な状況にある中国の景気は金融・財政両面からの刺激策もあって底入れ

するだろう。消費や輸出の回復などにより、景気が急速に持ち直す姿を見込んでいる(図表 1-

2、1-3)。

第 2 章で述べるように、日本の景気は輸出を起点に回復する傾向にあり、米中両国の製造業

の影響を強く受けている。米国の製造業は米中摩擦の激化やドル高などにより業況が悪化して

きたが、米中合意第一段階によって両国間の緊張は幾分緩和された。さらに、世界的な半導体需

要の回復を受けて日本の電子部品・デバイス工業の生産が持ち直しつつある。こうした動きが

今後本格化していく過程で、設備稼働率の上昇による資本財需要の増加などもあり、鉱工業生

産は緩やかな増加基調を辿るとみている(図表 1-3)。

他方、内需の柱である個人消費は消費増税後に落ち込んだものの、軽減税率制度の実施や幼児

教育・保育無償化により、平均的な家計の購買力は増税後にほとんど低下していない。加えて、

年金生活者支援給付金 1などの社会保障の充実策や、ポイント還元制度などの消費増税対策が実

施された。第 3章で述べるように、今回増税時は高所得世帯の「買い控え」が個人消費を下押し

しており、前回増税時に下押しした低所得世帯の購買力はむしろ高まったとみられる。メイン

シナリオでは労働需給のひっ迫が見込まれることから、個人消費は底堅く推移するとみている。

拡張的な財政政策が景気を下支えすることもあり、内外需(あるいは製造業・非製造業)ともに

緩やかながらも回復基調が続くだろう(図表 1-3)。

こうしたメインシナリオの下、日本の実質 GDP 成長率は 2019 年度で▲0.1%、2020 年度で+

0.1%、2021 年度で+0.8%を予想している。

だが、新型肺炎の感染拡大が想定以上に長引けば、メインシナリオは大幅な修正を迫られる。

第 3 節で述べるように、新型肺炎の流行期間を 1 年程度と想定する「リスクシナリオ」では、

実質 GDPは少なくとも 3%程度押し下げられる。メインシナリオにおいて+0.1%を見込む 2020

年度の実質 GDP成長率見通しは、大幅なマイナスに転じることになろう。

いずれにせよ、日本経済が景気後退入りするかどうかは新型肺炎の流行期間に大きく左右さ

れる。景気後退のリスクが急速に高まる中、新型肺炎の動向に加え、経済活動の自粛やインバウ

ンド減少によるサービス業への悪影響や、政府の経済対策の効果には特に注視する必要がある。

1 住民税が家族全員非課税などの条件を満たす老齢基礎年金受給者を対象に、国民年金の保険料納付月数に応

じて最大で月 5,000円(年 6万円)を支給。

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1.3. 新型肺炎の日本経済への影響

メインシナリオにおいても実質 GDPは新型肺炎拡大で 4.5兆円程度押し下げ

新型肺炎の日本経済への影響については、神田慶司・山口茜「【改訂】新型肺炎拡大による日

本経済への影響度試算」(大和総研レポート、2020年 3月 6日)を利用する。改訂前の本予測か

らの想定の変更点は、①メインシナリオにおける中国の経済成長率見通しの引き下げ、②訪日

外客数の減少幅拡大、③活動自粛による個人消費の抑制要因の追加、の 3つである。

図表 1-4:新型肺炎の影響に関する想定と日本の実質 GDP への影響

試算結果が図表 1-4 右である。本予測のメインシナリオでは、新型肺炎による実質 GDP への

影響が▲0.8%程度(▲4.5 兆円程度)と想定されている。さらに、中国国内を中心に新型肺炎

の拡大が深刻化し、流行が 1 年程度続くという悲観的なリスクシナリオでは、個人消費の大幅

な抑制、1,600万人の訪日外国人旅客の減少、世界経済の減速、円高により、実質 GDPへの影響

は▲3.1%程度(▲16.3 兆円程度)と試算される。

なお、この試算結果には新型肺炎が欧米など中国以外の国・地域で蔓延した場合の経済への影

響などが織り込まれていない。中国では感染拡大が収まりつつあるものの、韓国やイタリアな

どでは感染拡大が深刻化しており、経済活動にも影響が表れている。景気拡大が続く米国でも

感染拡大のリスクは高まりつつある。その意味で、リスクシナリオが発現した場合の実際の日

本経済への影響度は、前出の数値を大幅に上回るだろう。

メインシナリオ リスクシナリオ

3カ月程度(2~4月頃)

1年程度

▲0.6%pt ▲1.4%pt

▲2,500万人 ▲1億人

日本向け(2019年比)

▲200万人(約▲20%)

▲800万人(約▲80%)

その他地域向け(2018年比)

▲2,300万人(約▲15%)

▲9,200万人(約▲60%)

▲200万人(約▲9%)

▲800万人(約▲36%)

変化なし5円の

円高ドル安

新型肺炎の流行期間

中国GDP成長率の低下幅

(2020年)

中国人の海外旅行客数

中国人以外の訪日旅客数

(2019年比)

為替レート

(注1)中国の景気減速による日本並びに世界経済への影響度は、Bing, Roth and Santabárbara, 2019, “GLOBAL

IMPACT OF A SLOWDOWN IN CHINA”, Banco de España の推計結果に基づく。さらに、中国の海外旅行者の

減少による経済への影響を加味した。

(注2)円高ドル安と個人消費の抑制による日本経済への影響は大和総研のマクロモデルに基づく。

(注3)インバウンドの減少による日本経済への影響には波及効果が含まれている。

(出所)各種統計、Bing et al.(2019)より大和総研作成

-4.5

-4.0

-3.5

-3.0

-2.5

-2.0

-1.5

-1.0

-0.5

0.0

メインシナリオ リスクシナリオ

個人消費の抑制

インバウンドの減少

円高ドル安

世界経済の減速

(新型肺炎の影響を考慮しないGDPとの乖離率、%)

欧米等での新型肺炎の

蔓延等でさらに下押し

-0.8

(-4.5兆円)

-3.1

(-16.3兆円)

日本の実質GDPへの影響

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訪日外国人 400万人の減少は日本の GDPを 7,800億円程度押し下げ

仮に訪日中国人が 100 万人減少する場合、日本国内の消費減少額は約 2,000 億円と試算され

る。さらに、国内消費額の減少が他産業の経済活動を縮小させるといった波及効果を含めれば、

GDP の押し下げ幅は 2,500 億円程度に拡大する。

本予測のメインシナリオでは訪日中国人が 200 万人減少し、その他の国・地域からの旅行者

も 200万人減少すると想定しているが 2、日本経済への影響を費目別にまとめたものが図表 1-5

である。GDP は波及効果を含めて約 7,800 億円押し下げられ、宿泊費や飲食費のほか、化粧品、

交通費、衣類、菓子類、医薬品などの比率が高い。こうした財・サービスを扱っているホテル、

旅館、飲食店、百貨店、小売店などの業種ではとりわけ収益が悪化しやすいと考えられる。

図表 1-5:訪日外国人が 400 万人(うち中国人 200 万人、韓国人 50 万人)減少した場合の影響

2 中韓からの入国者全員の隔離措置を含む「水際対策の抜本的強化に向けた新たな措置」を受け、訪日中国人

が 4月末までに約 50万人、訪日韓国人が約 40万人、その他の訪日外国人が約 10万人減少すると想定した。

0 500 1,000 1,500 2,000

宿泊費

飲食費

新幹線・鉄道・地下鉄・モノレール

その他交通費

テーマパーク

その他娯楽等サービス費

菓子類

化粧品・香水

医薬品

健康グッズ・トイレタリー

衣類

靴・かばん・革製品

電気製品

時計・フィルムカメラ

宝石・貴金属

その他買物代

その他

国内消費減少額(中国人)

国内消費減少額(韓国人)

国内消費減少額(中国人・韓国人以外)

波及効果

(億円)

(注1)国内消費減少額は、2018年の費目別購入者単価に購入率を掛け、訪日外国人の減少分を掛け合わせた。

(注2)波及効果は、2015年の産業連関表(107部門)をもとに輸入内生モデルを用いて推計。国内消費が減少した影響が、

自部門及び他部門へ波及して付加価値(GDP)を減少させた効果を表している。

(出所)観光庁、日本政府観光局(JNTO)、総務省統計より大和総研作成

国内消費減少額(中国人) = 約 3,900 億円

国内消費減少額(韓国人) = 約 300 億円

国内消費減少額(それ以外)= 約 1,800 億円

波及効果 = 約 1,800 億円

約 7,800 億円

交通

娯楽

買物

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2. 論点①:サイクル面から見た景気の先行き

佐藤 光・橋本 政彦・小林 若葉

2.1. 日米中のサイクルは、中期的に日本の景気回復を下支え

中国と米国の景気回復は日本に先行する傾向

当面の日本の景気動向を考える上で、ここでは景気サイクルの面からの注目ポイントを取り

上げたい。その中で、まずは日本自身と、日本経済への影響が極めて大きい中国・米国に関する

サイクルを検証した。結論としては、新型肺炎が長期化しないという当社のメインシナリオの

下では、中国と米国の景気回復方向への変化を通じて、日本経済も 2020年後半に向けての回復

が支えられるとみている。

各国の景気先行指数の推移を見ると、日米中の 3カ国では概ね「中国→米国→日本」の順番で

底入れする傾向がある(図表 2-1)。日本の景気は世界の GDP 上位 3 カ国の中では遅行的といえ

る。そして、足元では中国と米国の指数に底入れの動きが出始めており、次は日本が底入れする

順番となってもおかしくない。ただし、今年に入ってからの新型肺炎による影響で中国の景気

は二番底となる懸念もあり、それに伴って日本経済が大きく下振れするリスクには細心の注意

が必要となろう。

なお、中国については OECD 景気先行指数が 2019 年 2 月を底にいち早く回復基調となってい

るが、各構成要素の現状に鑑みると、足元までの上昇はやや慎重に評価する必要がある(中国の

OECD景気先行指数については、第 201回日本経済予測(改訂版)の第 4章を参照されたい)。そ

のため、今回は中国国家統計局が発表する景気先行指数の動きを比較対象としている。

図表 2-1:景気先行指数の底入れは、概ね中国→米国→日本の順

94

96

98

100

102

104

-9

-6

-3

0

3

6

9

1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020

中国景気先行指数 前年差

OECD景気先行指数 米国(右軸)

OECD景気先行指数 日本(右軸)

(pt) (pt)

(年)(出所)中国国家統計局、OECD、Haver Analyticsより大和総研作成

中国の底入れ

日本の底入れ

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日本の景気浮上には輸出の回復がポイントに

日本の景気の方向性に関しては、輸出の動向にも注目したい。過去 4 回の日本の景気の谷前

後において、GDP 成長率への項目別の寄与度の変化を見ると、輸出のプラス転換が景気回復のカ

ギとなったことが多い(図表 2-2左)。現在の日本経済は輸出依存度が必ずしも高くないものの、

足元でやや成長力に乏しい内需に対して、外需の動向が景況感を左右する度合いが相対的に増

していると考えられる。

そして、当面の日本の輸出回復のカギを握るのは、やはり中・米両国の景気動向だと考えられ

る。実際に、中・米の製造業指数の回復が日本の輸出回復の先行指標になる傾向が見られる。日

本の実質輸出の前年比に対して中国の製造業 PMI は 4 カ月先行、米国の ISM 製造業指数は 3 カ

月先行させた場合に相関係数が最も高い(図表 2-2右)。足元で中・米両国の製造業指数には底

入れの兆しが出てきており、日本の実質輸出も前年比のマイナス幅が縮小しつつある。新型肺

炎などのリスク要因の影響は予断を許さず、中でも中国の製造業指数が再び悪化する可能性に

は注意が必要なものの、影響が収束した後には中国の経済対策等が同指数の回復を支えよう。

それらを通じて、日本の輸出も 2020 年半ば以降は回復傾向に転換することが期待される。

図表 2-2:過去 4 回の景気の谷前後の推移(左)、中・米の製造業指数と日本の輸出(右)

日米中の政治サイクルが、2020 年の景気を下支え

2020年は米国大統領選挙が行われるなど(詳細は第 4章を参照)、各国の政治日程も注目され

よう。そして、選挙に代表される重要な政治サイクルは、各国の景気サイクルにも一定の影響を

与えていると考えられる。

日本では、参議院選挙の年の景気がさえないという 3年サイクルが指摘されることが多い(図

表 2-3上段)。その背景としては、参院選の結果は政権選択には直結しにくいことから、選挙に

向けた積極的な経済政策が期待しにくいことが挙げられる。逆に、過去には参院選の翌年に総

選挙が行われたことも多く、それに向けた積極策の結果から景況感が改善するケースが多く見

られた。政治サイクルが景気サイクルに影響する一例といえる。

-10

-8

-6

-4

-2

0

2

4

6

-4 -3 -2 -1 谷 +1 +2 +3 +4 +5

民間最終消費 民間住宅

民間企業設備 民間在庫

公的需要 輸入

輸出 実質GDP

(年率換算%、%pt)

(期)(出所)内閣府より大和総研作成

実質GDP成長率と

項目別寄与度の平均

0.2

0.3

0.4

0.5

0.6

0.7

0.8

時差

なし

1カ月

先行

2カ月

先行

3カ月

先行

4カ月

先行

5カ月

先行

6カ月

先行

中国製造業PMI

米ISM製造業指数

(注)中・米の製造業指数の前年差と、日本の実質輸出前年比との相関係数。

(出所)日銀、Bloombergより大和総研作成

日本の実質輸出との時差相関係数

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米国では、大統領の任期に伴う 4年サイクルが指摘される(図表 2-3中段)。やはり大統領選

挙に向けては経済のテコ入れ期待が高まりやすいことが景況感改善の背景と考えられる。足元

でもトランプ大統領が新たな減税策等を打ち出している。ただし、積極策によって持ち上げら

れた景気が、翌年の政権 1年目にもピークアウトしやすいことには注意が必要となる。

そして中国では、共産党大会に伴う 5年サイクルが指摘される(図表 2-3下段)。西暦末尾が

2と 7の年に開催される党大会に向けて、各地域で経済発展の実績を競うことで成長率が高まる

傾向が見られるが、それらの動きは党大会の 2 年前(西暦末尾が 0 と 5 の年)頃から始まって

いるようだ。また、西暦末尾が 0 と 5 の年は、経済 5 カ年計画の最終年であることも影響して

いるとみられる。2020 年は GDP倍増を掲げた第 13次 5カ年計画の最終年に当たる。足元の新型

肺炎の影響を乗り越えて、計画の達成を目指した積極的な政策実施が期待されよう。

このように、日米中 3カ国の政治サイクルは、いずれも 2020 年の各国経済を下支えするとみ

られる。これらの要因も日本の景気回復を後押しすると考えられよう。

図表 2-3:日米中の政治サイクルと景気

(出所)Bloomberg等より大和総研作成

0

1

2

3

4

5

6

7

-1.0

-0.5

0.0

0.5

1.0

1.5

2.0

2.5

参院選の年

(2019イメージ)

翌年

(2020イメージ)

翌々年

(2021イメージ)

景気動向指数(先行

CI)の前年比平均

衆院選の回数(右軸)

(%) (回)

0

1

2

3

4

5

0

1

2

3

4

政権3年目

(2019イメージ)

大統領選の年

(2020イメージ)

政権1年目

(2021イメージ)

政権2年目

(2022イメージ)

CB景気先行指数

の前年比平均

景気の山の回数

(右軸)

(%) (回)

日本3年サイクル

選挙と景気

(1986年以降)

米国4年サイクル

大統領任期と

景気

(1963年以降)

中国5年サイクル

西暦末尾の年別

成長率

(1985年以降)

0

1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

11

4,9の年

(2019イメージ)

0,5の年

(2020イメージ)

1,6の年

(2021イメージ)

2,7の年(党大会)

(2022イメージ)

3,8の年

(2023イメージ)

GDP成長率平均

前年の成長率を上回った回数(7回中、右軸)

(%) (回)

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2.2. シリコンサイクルの持ち直しで日本は安泰か?

半導体需要の回復と生産持ち直しへの期待

前節では、グローバルな景気サイクル、および政治サイクル面から、新型肺炎が長期化しない

という当社のメインシナリオの下では、日本経済の持ち直しが期待されることを示した。本節

では、セクター別の動向から日本経済、中でも循環的な振幅が大きい製造業の先行きを占う。

セクター別に見た際に、特に好材料と考えられるのは、世界的な半導体需要、いわゆるシリコ

ンサイクルに持ち直しの動きが見られていることである(図表 2-4左)。シリコンサイクルの底

打ちに沿う形で、日本においても、半導体メーカーが含まれる電子部品・デバイス工業の生産が

持ち直しつつある。

一般に、シリコンサイクルは、上昇局面 2 年程度、下降局面 2 年程度、計 4 年程度でサイク

ルを描くことで知られるが、これは大規模な設備投資を必要とする半導体メーカーが伸縮的に

生産調節できないことによる在庫循環が主な要因である。すなわち、足元のシリコンサイクル

の持ち直しは、2017 年頃から続いてきた在庫調整の一巡を反映したものと考えられる。

加えて、足元では、次世代通信技術、いわゆる 5G(第 5 世代移動通信システム)の本格的な

実用化が見込まれる中、これに関連した需要の増加に対する期待が高まっている。マクロ経済

や主要電子機器の動向などを参考に作成される世界半導体市場統計(WSTS)の予測によれば、

2020 年の半導体市場は前年割れとなった 2019 年から回復に転じ、前年比+5.9%と 2 年ぶりの

増加が見込まれている。また、シリコンサイクルに先行する、主要半導体関連株で構成されるフ

ィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)は、足元で調整が見られつつも、2019 年央からの急上

昇によって、なおも半導体市場の更なる改善を織り込んだ水準にある(図表 2-4右)。

図表 2-4:シリコンサイクルと電子部品・デバイス工業生産(左)、SOX指数(右)

-60

-30

0

30

60

90

-40

-20

0

20

40

60

05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20(年)

中国 日本、中国を除くアジア日本を除くアジア 日本欧州 米国世界半導体販売額 SOX指数(右軸)

(出所)SIA、Haver Analytics、Bloombergより大和総研作成

(前年比、前年比寄与度、%、%pt) (前年比、%)

-60

-30

0

30

60

90

-40

-20

0

20

40

60

05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20(年)

(出所)経済産業省、SIA、Haver Analyticsより大和総研

作成

(前年比、%) (前年比、%)

世界半導体販売額

電子部品・デバイス工業生産

(右軸)

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改善する電子部品・デバイスと悪化する輸送機械

シリコンサイクルの底打ちが日本の製造業全体へと波及するか否かが、日本経済の先行きを

考える上での大きな注目点と考えられよう。既述のように、半導体市場の動向の影響を直接的

に受ける電子部品・デバイス工業では既に日本国内での生産に持ち直しの動きが見られている

が、これ以外の業種については、生産は総じて弱含みの動きが続いている。

そこで日本国内の生産動向に関して、電子部品・デバイス工業とそれ以外の業種の過去の連動

性(相関係数)を確認すると(図表 2-5左)、鉄鋼や非鉄金属など、素材業種については高い連

動性が確認できる。ここでの相関関係は、必ずしも電子部品・デバイス工業の生産が素材業種へ

波及するという因果関係を表しているとは限らないものの、半導体需要が増加する経済環境に

おいては、これら素材業種においても生産が持ち直す可能性が高いことを示唆する。

他方、鉱工業生産指数におけるウエイトが高い輸送機械との相関係数は 0.6 程度と、相対的

に連動性が低く、次いでウエイトが大きい食料品・たばこについてはほぼ相関関係がない。すな

わち、少なくとも統計上の関係からは、電子部品・デバイスの生産が持ち直したからといって、

それに連動する形で全ての業種で生産が増加へ向かうとはいえない。

とりわけ、日本経済の先行きを考える上では、ウエイトが高く、かつ経済への波及効果が大き

い輸送機械の動向が重要と考えられる。リーマン・ショック以降、電子部品・デバイスと輸送機

械の生産はほぼ連動性がない状態が続いているが(2011 年以降の相関係数は 0.08)、足元でも

電子部品・デバイス工業の生産が持ち直しに向かう一方で、これまで増加が続いてきた輸送機

械では、むしろ悪化が加速している(図表 2-5右)。

図表 2-5:電子部品・デバイス工業と他業種の生産の相関(左)と業種別の生産の推移(右)

所得見通しに照らすと日米自動車販売は横ばい圏で推移

輸送機械の生産の減少は、国内新車販売の不振に加えて、主要輸出先である米国向け輸出の低

0

400

800

1,200

1,600

2,000

0.0

0.2

0.4

0.6

0.8

1.0

電子部品・デバイス

鉄鋼

非鉄金属

窯業・土石製品

プラスチック製品

その他

生産用機械

電気機械

パルプ・紙・紙加工品

化学

情報通信機械

汎用機械

輸送機械

業務用機械

金属製品

石油・石炭製品

鉱業

食料品・たばこ

(相関係数) (万分比)

相関係数ウエイト

(右軸)

(注)相関係数は前後12カ月の時差相関のうち最も高いもの。

データ期間は2004年1月~2019年12月。

(出所)経済産業省より大和総研作成

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

10 0

-40

-30

-20

-10

0

10

20

30

40

99 01 03 05 07 09 11 13 15 17 19

(年)

電子部品・

デバイス工業

輸送機械工業

(前年比、%)

(注1)3カ月移動平均の前年比。

(注2)シャドー期間はリーマン・ショック発生から2年間。

(出所)経済産業省より大和総研作成

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17 / 53

調さを反映している。足元での低調さの要因を探るため、日米の新車販売台数を、実質所得、実

質金利、消費者マインド、自動車価格(日本のみ)、金融機関の貸出態度(米国のみ)を説明変

数として推計し、その変動要因を分解したものが図表 2-6である。

推計結果を見ると、日本の新車販売台数については、エコカー減税や消費増税など、制度要因

による振れが大きいことが特徴となっている(図表 2-6 左)。足元でも、2019 年 10 月の消費増

税前の駆け込み需要が販売を大きく押し上げた半面、増税後は消費増税に伴う価格上昇が販売

の押し下げ要因となっていることがわかる。こうした制度要因による下押しは、先行きは徐々

に逓減していくことになる。また、制度要因以外で特に説明力が高い家計の所得動向の先行き

については、緩やかな増加基調が続くと見込まれることから、足元で軟調な国内新車販売が一

層下振れする可能性は高くないだろう。だが一方、所得の伸びの鈍化が見込まれることに鑑み

ると、先行きを楽観的にみることも難しい。

図表 2-6:日米の新車販売台数推計値の要因分解

米国に関して見ると(図表 2-6右)、金融機関の貸出態度の悪化がリーマン・ショック直後に

新車販売を大きく押し下げたほか、足元でも販売の下押し要因となっていることがわかる。米

国の自動車ローンの延滞率は上昇基調が続き、リーマン・ショック時に匹敵する高さになって

いることから、金融機関がさらに貸出態度を厳格化し、先行きも新車販売を抑制する可能性に

は注意が必要であろう。他方、自動車販売を押し上げる要因として作用する実質所得について

は、先行きも緩やかな増加基調が続く公算が大きく、新車販売を下支えすると見込まれる。

なお、米国の新車販売の内訳を見ると、ここ数年来、乗用車の販売が減少する一方、SUVやピ

-30

-20

-10

0

10

20

30

08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19(年)

日本

各種ダミー変数 自動車価格消費者態度指数(雇用環境) 実質金利実質所得 定数項新車販売台数 推計

(前年比、%、%pt)

-40

-30

-20

-10

0

10

20

08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19(年)

米国

金融機関の貸出態度

消費者センチメント(雇用)

実質金利

実質所得

新車販売台数

推計

(前年比、%、%pt)

(注)推計期間は1982年第2四半期~2019年第4四半期。ダ

ミー変数は1989年~2019年の消費税導入・増税前後の半年

間、2009年、2011年に導入したエコカー補助金期間中とその

後半年間、2011年の東日本大震災発生後半年間で作成した。

(出所)日本銀行、内閣府、総務省、日本自動車販売協会連

合会、全国軽自動車協会連合会統計より大和総研作成

(注)推計期間は1996年第1四半期~2019年第4四半期。

(出所)BEA、FRB、ミシガン大学、Autodata、Haver

Analytics、Bloombergより大和総研作成

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18 / 53

ックアップトラックなどのライトトラックの販売が増加し、両者の乖離は拡大し続けている。

ライトトラックについては、日本メーカーの現地生産化が進んでいるため、日本から米国に向

けた輸出は、米国内の販売ほどには増加しない可能性が高い。

以上を総合すると、日米ともに新車販売の減少基調が続く可能性は低い一方で、半導体で見込

まれているような力強い回復軌道を描くとも考え難い。こうした需要見通しを前提とすれば、

輸送機械工業の生産についても、底割れは回避されつつ、概ね横ばい圏での推移が続くことに

なろう。

結論:鉱工業生産は緩やかに増加

ここまで見てきたように、半導体需要の回復を背景に電子部品・デバイス工業の生産の持ち直

しが見込まれる一方で、足元で弱含む輸送機械については、底割れを回避しつつも、横ばい圏で

推移するとみられ、両者の動きが乖離した状況が先行きも続くと見込まれる。では、こうした乖

離が続いた場合に、鉱工業生産全体としてはどのような動きが想定されるだろうか。

一義的には、それぞれの業種の変動にウエイトを掛け合わせたものが、鉱工業生産に対する影

響度ということになるため、よりウエイトが大きい輸送機械工業の影響が強く表れることにな

る。しかし、現実的には各業種の生産動向が、他業種に与える波及効果も考慮する必要があると

考えられる。

業種間の波及構造を踏まえて鉱工業生産の先行きを試算すると(図表 2-7)、鉱工業生産全体

は、緩やかな右肩上がりの推移が続く結果となった。シリコンサイクルの改善に沿って右肩上

がりの推移を続ける電子部品・デバイスの生産と、横ばい圏で推移する輸送機械の生産の間を

とる形で鉱工業生産全体は増加していく。

図表 2-7:業種間波及を考慮した鉱工業生産の試算(左)、試算の概念図(右)

(注)右図は概念図であり、試算モデルにおける変数間のつながりを全て示したものではない。

試算の前提となる世界半導体販売額は、2020 年 2 月末時点の SOX 指数が示す水準に 2021 年度末に到達

すると想定。日米の新車販売台数は、図表 2-6の推計結果に実質雇用者所得の予測値を外挿して延長。

(出所)経済産業省、日本自動車販売協会連合会、全国軽自動車協会連合会、Autodata、SIA、Haver Analytics

より大和総研作成

新車販売台数

(日本)

新車販売台数

(米国)

世界

半導体販売額

鉱工業生産

輸送機械工業

生産

電子部品・デバイス

工業生産

はん用・生産用・

業務用機械工業生産

電気・情報通信

機械工業生産

その他鉱工業

生産

稼働率60

70

80

90

100

110

120

130

07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22

鉱工業生産電子部品・デバイス輸送機械

(年)

(2015年=100)

試算値

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19 / 53

特に着目すべきは全体に占めるウエイトが大きい輸送機械の生産が予測期間後半にかけて鈍

化する一方、鉱工業生産全体の伸びは目立って鈍化はしない点である。これは、生産の増加に伴

う設備稼働率の上昇が、はん用・生産用・業務用機械を代表とする資本財需要を喚起し、それが

更なる鉱工業生産の増加、稼働率の上昇という循環が発生することに起因する。

ここでの結果はあくまでモデルによる試算値であり、幅をもって解釈する必要がある。だが、

電子部品・デバイスという一部業種の生産の拡大が、単純なサプライチェーン上でのつながり

のみならず、様々な波及経路を通じて他業種の生産を押し上げる可能性が示唆される。

サプライチェーン寸断によるシリコンサイクルの下振れに警戒

前項での試算では、シリコンサイクルの改善が続くこと、および日米の新車販売台数は、家計

所得の増加に見合う形で推移するという前提のもと、鉱工業生産の先行きを予測した。しかし、

当然ながら、この前提条件自体が変化すれば、鉱工業生産の先行きも大きく変わることになる。

そこで試算の前提となる、シリコンサイクル(世界半導体販売額)、および日米の新車販売がそ

れぞれ、上振れ、下振れした場合の鉱工業生産への影響を試算し、一覧にしたものが図表 2-8で

ある。

当社のメインシナリオでは、2020年度の鉱工業生産は前年比▲1.3%と見込んでいるが、仮に

シリコンサイクルのみが 5%下振れした場合、鉱工業生産は同▲2.1%まで低下幅が拡大する。

一方、日米の新車販売台数が同様に 5%下振れした場合の鉱工業生産は同▲2.5%となり、新車

販売台数の下振れの方が、鉱工業生産全体に与える影響は大きくなることが示唆される。

ただし、目先のリスク要因としては、特にシリコンサイクルの下振れに注意が必要であろう。

なぜなら、新型肺炎の流行に伴う、中国での需要減少に加えて、生産停滞、サプライチェーンの

寸断による供給不足によって、足元までのシリコンサイクルの改善に水を差す可能性が高まっ

ているからである。シリコンサイクルの下振れは、単純に半導体関連の生産を下押しするのみ

でなく、前項で言及した生産増加のメカニズムとは反対に、稼働率の低下などを経由して、多く

の業種に悪影響が拡大するとみられ、その長期化には最大限の警戒が必要である。

図表 2-8:シナリオごとの鉱工業生産前年比変化率(2020 年度)

(出所)経済産業省、日本自動車販売協会連合会、全国軽自動車協会連合会、Autodata、SIA、Haver Analytics

より大和総研作成

▲10%下振れ ▲5%下振れ メインシナリオ +5%上振れ +10%上振れ

+10%上振れ ▲2.1% ▲0.8% +0.3% +1.5% +2.6%

+5%上振れ ▲2.8% ▲1.6% ▲0.5% +0.7% +1.8%

メインシナリオ ▲3.7% ▲2.5% ▲1.3% ▲0.1% +1.0%

▲5%下振れ ▲4.5% ▲3.3% ▲2.1% ▲1.0% +0.1%

▲10%下振れ ▲5.4% ▲4.2% ▲3.0% ▲1.9% ▲0.8%

日米新車販売台数

世界半導体販売額

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20 / 53

3. 論点②:消費増税後の個人消費の先行き

山口 茜・神田 慶司・田村 統久

3.1. 消費増税後の個人消費の特徴

台風の影響を除けば、2019年 10-12月期の実質家計最終消費支出は前期比▲2.5%程度

2019 年 10-12 月期の実質家計最終消費支出は前期比▲2.9%と、前回増税時の 2014 年 4-6 月

期(同▲4.9%)以来の落ち込み幅となった。大幅に減少した主因は、消費増税前の駆け込み需

要の反動減が生じたことだ。加えて、大型台風や暖冬も下押し要因となった。

台風 19 号の影響に関しては、「家計調査」における 10 月の実質消費支出が 1.1%程度下押し

されたと総務省が試算している 3。この試算を参考にすると、2019年 10-12月期の個人消費は台

風 19 号の影響で 0.4%程度下押しされたとみられる。すなわち、仮に大型台風が上陸しなかっ

たら、同時期の家計最終消費支出は前期比▲2.5%程度だった可能性がある(図表 3-1)。

図表 3-1:増税前後の GDP家計最終消費支出

駆け込み需要・反動減は特に耐久財・半耐久財で発現

2019年 10-12月期の個人消費を財・サービス別に見ると(図表 3-1)、自動車などの高額品が

含まれる耐久財が大幅に落ち込んだほか、衣類などが含まれる半耐久財も落ち込んだ。半耐久

財に関しては、駆け込み需要の反動減に加え、暖冬で冬物衣料の販売が低調だったことが下押

3 家計調査において台風 19号が上陸した 2019年 10月 12日の世帯当たり消費支出額が例年(2017年・2018年

の平均)より 3,360円少なかったことを基に推計されている。

97

98

99

100

101

102

103

-4 -3 -2 -1 0 +1 +2 +3 +4

家計最終消費支出

前回増税時 今回増税時

(増税の1年前=100)

消費増税

(四半期)

台風19号の

影響により

0.4%程度下押し

90

95

100

105

110

115

120

-4 -3 -2 -1 0 +1 +2 +3 +4

耐久財

(増税の1年前=100)

(四半期)

90

95

100

105

110

115

120

-4 -3 -2 -1 0 +1 +2 +3 +4

非耐久財

(増税の1年前=100)

(四半期)

90

95

100

105

110

115

120

-4 -3 -2 -1 0 +1 +2 +3 +4

サービス

(増税の1年前=100)

(四半期)

90

95

100

105

110

115

120

-4 -3 -2 -1 0 +1 +2 +3 +4

半耐久財

(増税の1年前=100)

(四半期)

(注)実質ベース。台風の影響は家計調査ベースの総務省試算を参考にした。

(出所)内閣府統計より大和総研作成

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21 / 53

し要因となった。

他方、非耐久財とサービスの落ち込みは小幅にとどまった。非耐久財に関しては、化粧品や酒

類など一部の品目で駆け込み需要・反動減が発生したものの、今回の消費増税時には軽減税率

制度が導入されたため、前回のような目立った動きは見られなかった。また、サービスでも定期

券の購入や結婚式など一部で駆け込み需要・反動減が見られた 4。

今回は消費増税後に購買力が上昇した世帯が多い

消費増税による個人消費への影響を考える際、前述した駆け込み需要・反動減に加えて重要な

のが、家計の購買力の変化である。前回増税時は、消費税率 3%pt の引き上げで家計の購買力

は CPI ベースで 2%pt ほど低下した(図表 3-2)。しかし、今回の消費増税では前回よりも税率

引き上げ幅が小さかったことに加え、軽減税率制度と幼児教育・保育無償化が実施された。その

ため増税による CPIの上昇幅は 0.3%ptとわずかだ。

世帯の負担増加額について具体例を挙げて説明すると、2019 年の二人以上世帯の平均消費支

出は約 30万円/月である。この平均的な世帯では、前回増税時は物価上昇で約 6,000円/月の

負担増だったが、今回の負担増加額は約 900円/月にとどまったことになる。これに加えて、ポ

イント還元制度などが実施されたため、実際の負担額は約 900円/月を下回るだろう。

図表 3-2:消費増税による物価上昇幅 図表 3-3:消費増税前後の物価上昇率の変化

ただし、物価を押し下げている幼児教育・保育無償化の恩恵は、一部の世帯に限られているこ

とには注意が必要だ。図表 3-3 は世帯の属性別に消費増税前後の物価上昇率の変化幅を示して

いる。このうち勤労者世帯に関しては年収五分位で示している。年収五分位とは、各世帯を年収

4 2019年 10-12月期の家計サービス消費支出では、台風で外出が控えられたことや、無償化により幼児教育・

保育への支出が減少したことも下押し要因となったとみられる。

3.0

2.02.0

0.3

0.0

0.5

1.0

1.5

2.0

2.5

3.0

3.5

前回

(2014年4月)

今回

(2019年10月)

消費税率引上げ幅

消費増税による物価上昇分

(%pt)

(注)CPI総合への影響。

(出所)総務省統計より大和総研作成

1.3

軽減税率制度

幼児教育無償化

-0.4-0.5

-0.2-0.1

0.2

0.9

-1.2

-0.8

-0.4

0.0

0.4

0.8

1.2

Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅴ 60歳以上

勤労者世帯(年間収入五分位) 無職世帯

(%pt)

(注)新コアコアCPI(生鮮食品及びエネルギーを除く総合)における2019年9月と11月の

前年比の差。

(出所)総務省統計より大和総研作成

増税後に負担増

増税後に負担減

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22 / 53

の低い順に並べ五等分(低い順に、第Ⅰ分位、第Ⅱ分位…)したものだ。勤労者世帯では、第Ⅴ

分位を除き、増税後にむしろ購買力が上昇(負担が減少)していることが分かる。特に第Ⅰ分位、

第Ⅱ分位で購買力が上昇しているが、これは無償化の対象となる子供のいる比較的若い世帯が

多く分布しているためと考えられる。一方で、60 歳以上の無職世帯では、幼児教育・保育無償

化の対象となる世帯はほとんどないため、他の属性と比較して負担増加幅が大きい。ただし、こ

うした世帯では年金生活者支援給付金の支給や、介護保険料の軽減が行われていることから、

物価の上昇が示すほどに実際の負担は重くなっていないとみられる。

増税後の消費の特徴:前回増税時は「購買力の低下」、今回増税時は「買い控え」

次に、属性別に消費増税後の消費動向を確認する。内閣府「平成 27年度 年次経済財政報告」

では、前回 2014 年 4 月の消費増税後は、消費性向の高い 60 歳未満の第Ⅰ分位、第Ⅱ分位の世

帯の消費が停滞したことを指摘している。しかし、今回の増税時は、これらの世帯の消費の落ち

込みは見られない(図表 3-4)。これは先述した通り、幼児教育・保育無償化によって増税後に

購買力が上昇していることに加え、消費増税対策が実施されたためと考えられる。

図表 3-4:年収五分位階級別に見た実質消費支出(2014 年 4 月増税時/2019年 10 月増税時)

75

80

85

90

95

100

105

110

115

120

-10 -8 -6 -4 -2 +0 +2 +4 +6 +8 +10

前回(337万円)

今回(358万円)

(増税10カ月前=100)

(カ月)

(勤労者世帯)第Ⅰ分位

消費増税

80

85

90

95

100

105

110

115

120

-10 -8 -6 -4 -2 +0 +2 +4 +6 +8 +10

前回(799万円)

今回(838万円)

(増税10カ月前=100)

(カ月)

(勤労者世帯)第Ⅳ分位

消費増税

80

85

90

95

100

105

110

115

120

-10 -8 -6 -4 -2 +0 +2 +4 +6 +8 +10

前回(501万円)

今回(535万円)

(増税10カ月前=100)

(カ月)

(勤労者世帯)第Ⅱ分位

消費増税

80

85

90

95

100

105

110

115

120

-10 -8 -6 -4 -2 +0 +2 +4 +6 +8 +10

前回(1,194万円)

今回(1,243万円)

(増税10カ月前=100)

(カ月)

(勤労者世帯)第Ⅴ分位

消費増税

80

85

90

95

100

105

110

115

120

-10 -8 -6 -4 -2 +0 +2 +4 +6 +8 +10

前回(636万円)

今回(672万円)

(増税10カ月前=100)

(カ月)

(勤労者世帯)第Ⅲ分位

消費増税

(注1)2015年基準。大和総研による季節調整値。属性ごとに、家計調査の消費支出を消費者物価指数の持家の帰属家賃除く総合で除して実質化した。

(注2)勤労者世帯の凡例の括弧内の金額は、前回は2014年、今回は2019年の年間収入額の平均値(名目値)。

(出所)総務省統計より大和総研作成

80

85

90

95

100

105

110

115

120

-10 -8 -6 -4 -2 +0 +2 +4 +6 +8 +10

前回

今回

(増税10カ月前=100)

(カ月)

(無職世帯)60歳以上

消費増税

Page 23: 204 回日本経済予測 (改訂版)...2020/03/09  · 2 / 53 第204 回日本経済予測(改訂版) 【予測のポイント】 (1) 実質GDP 成長率見通し:19

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今回の消費増税後の消費の落ち込みは、高所得(第Ⅴ分位)世帯で特に見られる。自動車購入

などが落ち込んでおり、買い控えが生じていると考えられる。高所得(第Ⅴ分位)世帯の消費支

出は、勤労者世帯全体の消費支出の約 3 割を占める。そのため、高所得世帯の消費の減少が消

費全体に与える影響は大きい。そうした要因が 2019年 10-12月期に見られた個人消費の大幅減

の背景にあると考えられる。

以上を踏まえると、前回増税時は購買力が低下したことで第Ⅰ分位・第Ⅱ分位世帯の消費が低

迷したことが消費の下押し要因となったが、今回は高所得世帯の買い控えが下押し要因になっ

ている。

業種ごとに明暗が分かれた増税後の小売販売動向

次に、速報性の高い業界統計や POS データで足元までの消費動向を確認すると(図表 3-5)、

業種によって明暗が分かれている。

METI POS小売販売額指標 5を見ると、家電量販店は増税後の落ち込みから順調に回復し、増税

前の水準まで回復しつつある。Windows7 のサポート終了に伴う買い替え需要やテレワークの普

及などを背景に、パソコン販売が好調であることが牽引役となっている。また、スーパーマーケ

ットに関しても、増税後は底堅く推移してきた。なお、足元では新型肺炎による活動自粛やデマ

の影響を受けた食料品や紙製品の買い込みにより大きく伸びている。

一方で、自動車小売業を取り巻く状況はかなり厳しい。新車販売台数を確認すると、駆け込み

需要が顕著に発生しなかった車種でも増税前よりも低い水準で推移している。2月は人気の新型

車の販売があったことで小型車の販売は増加したものの、普通乗用車の販売が落ち込んだこと

で一部相殺され、全体の伸びは限定的であった。

図表 3-5:足元の消費動向(METI POS 小売販売額指標と新車販売台数)

5 詳しくは、岸川和馬・山口茜「新指標『METI POS小売販売額指標』の見方」(2020年 1月 9日、大和総研レ

ポート)

(注1)家電大型専門店とスーパーマーケット:週次データ。消費税を除くベース。大和総研による季節調整値。

(注2)新車販売台数:月次データ。大和総研による季節調整値。

(出所)経済産業省、日本自動車販売協会連合会、全国軽自動車協会連合会統計より大和総研作成

30

50

70

90

110

130

150

170

190

210

3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3

家電大型専門店

(2018年=100)

2019年 2020年

(月)

4週移動

平均

95

100

105

110

115

120

3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3

スーパーマーケット

(2018年=100)

2019年 2020年

(月)

4週移動

平均

27

29

31

33

35

37

39

41

3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3

新車販売台数

(万台)

2019年 2020年

(月)

Page 24: 204 回日本経済予測 (改訂版)...2020/03/09  · 2 / 53 第204 回日本経済予測(改訂版) 【予測のポイント】 (1) 実質GDP 成長率見通し:19

24 / 53

3.2. 先行きの個人消費は、新型肺炎の影響が剥落した後は緩やかに増加

消費を抑制する三つの要因:①所得の伸びの鈍化、②節約志向の高まり、③増税対策の終了

当社では、先行きの個人消費は新型肺炎による活動自粛の影響を受け 6、当面は厳しい状況が

続くとみている。新型肺炎が終息し経済が正常化すれば消費も持ち直すとみられるが、伸び率

は三つの要因により抑制されると考えられる。

一つ目は、消費の原資である所得の伸びの鈍化だ(図表 3-6)。これまで雇用者報酬は雇用者

数の増加によって大きく押し上げられてきたが、人口減少が進展する中でこれ以上の大幅な増

加は見込みにくい。他方で、労働需給のひっ迫を受けて一人当たりの賃金は上昇していくだろ

う。ただし、日本経済が潜在成長率を下回る低空飛行を続ける中で企業収益も鈍化することが

見込まれる。そのため、一人当たり賃金は雇用者数の伸びの鈍化を補うほどには上昇しないと

考えられる。

図表 3-6:実質雇用者報酬の見通し 図表 3-7:購入単価指数と消費者物価指数

二つ目は、節約志向の高まりだ。熊谷亮丸他「第 202回日本経済予測」で分析した通り、共働

き世帯の増加等により世帯ベースの可処分所得は大きく増加している一方、50代・60代を中心

に消費が抑制され、平均消費性向は低下傾向にある。50 代・60 代世帯では、教育費の増加や、

遺産を目的とする貯蓄の積み増しを背景に、選択的支出を大きく減らし貯蓄を積み増している。

これらの要因は、増税後の教育無償化策など各種施策によりいくらか緩和されるとみられるも

のの、先行きも所得が増加するほどには消費は増えない可能性がある。

節約志向の高まりは、低価格志向の強まりとしても表れている。図表 3-7 は、同程度の品質

6 新型肺炎による活動自粛が個人消費に与える影響については、神田慶司・山口茜・藤原翼「新型肺炎拡大を

受けたイベント自粛等により、個人消費はどれだけ下振れするか?」(2020年 2月 28日、大和総研レポート)

を参照。

-2

-1

0

1

2

3

4

ⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠⅡⅢⅣⅠ

16 17 18 19 20 21 22

デフレーター要因雇用者数要因一人当たり名目雇用者報酬要因実質雇用者報酬

(前年比、%、%pt)

(四半期)

(年)

予測値

(出所)内閣府、総務省統計より大和総研作成

92

94

96

98

100

102

104

106

00 02 04 06 08 10 12 14 16 18 20

購入単価指数

消費者物価指数

(2000年=100)

(年)

(注1)購入単価指数は、内閣府「平成25年度 年次経済財政報

告」の手法を参考に作成。

(注2)大和総研による季節調整値。太線は3カ月移動平均。

(出所)総務省統計より大和総研作成

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の正規価格の推移を示す消費者物価指数と、家計が実際に購入した消費財・サービスの平均価

格の推移を示す購入単価指数の動向を比較している。2014 年以降、消費者物価は緩やかに上昇

する一方、購入単価は伸び悩んでいる。消費者物価が上昇しても、消費者がより低品質で安いも

のを購入したり、同じ品質のものでもセールやネット販売の特売価格で購入したりすれば、購

入単価は消費者物価ほどには上昇しない。こうした低価格志向の強まりが足元で消費性向が低

迷する一因となっている 7。

三つ目は、消費増税対策の段階的終了である(図表 3-8下)。足元の消費はキャッシュレス決

済時のポイント還元制度などの消費増税対策によって下支えされているが、これらの多くは

2020年中に終了する。そのため、2020年春以降は段階的に対策効果が剥落し、消費の伸びを抑

制するとみられる。

図表 3-8:個人消費の見通しと消費増税対策の実施時期

7 購入単価指数と消費者物価の乖離幅(=低価格志向を表す)を変数に入れ、消費関数を推計した。それに基

づくと、2014年以降の低価格志向の高まりにより、平均消費性向は 2.8%pt程度下押しされたと試算される。

【推計式】

ln�名目個人消費

可処分所得−財産所得�純�−人口動態要因調整項�

=𝛽𝛽1 × � 長期金利− ⊿ ln�消費増税の影響を除く個人消費デフレーター� −潜在成長率�4 期移動平均��

+𝛽𝛽2 × ln家計金融資産(−1)家計金融負債(−1)

+𝛽𝛽3 × ln�購入単価指数と消費者物価指数の乖離幅�+�定数項�

𝛽𝛽1=−0.39 、𝛽𝛽2=0.15∗∗∗、𝛽𝛽3=0.70∗∗∗、定数項=−0.19∗∗∗ (***は 1%有意)

※「人口動態要因」とは、家計調査から算出した人口動態による平均消費性向の変動要因。

【推計期間】2000年~2018年

2019 2022

10-12 1-3 4-6 7-9 10-12 1-3 4-6 7-9 10-12 1-3

 マイナポイントによる還元

消費増税対策(消費活性化策のみ)

2020

 自動車減税(環境性能割)

2021実施期間(年/月)

 プレミアム付商品券

 自動車減税(種別割)

 ポイント還元制度

2020年9月

恒久措置

226

228

230

232

234

236

238

240

242

244

280

285

290

295

300

305

Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ

2018 2019 2020 2021 2022

実質民間最終消費支出

一人当たり実質民間最終消費支出

(右軸)

(兆円、年率) (万円、年率)

(四半期)

(年)

消費増税

新型肺炎

(出所)内閣府統計、各種政府資料、各種報道資料より大和総研作成

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以上の三つの要因を踏まえた個人消費のメインシナリオが図表 3-8 上である。なお、国立社

会保障・人口問題研究所の出生中位(死亡中位)推計によると、総人口は 2020年に前年比▲0.4%、

2021 年に同▲0.4%減少する見込みである。マクロで見た消費はそれだけ伸びにくくなってお

り、見方を変えれば一人当たりで見た消費額はマクロの数値より高い伸びになる。

リスク要因:①新型肺炎長期化、②労働分配率の高止まりを背景とする非製造業での雇用調整

最後に、先行きの個人消費のリスク要因として二点挙げたい。まず、新型肺炎による影響の深

刻化・長期化である。先述した通り、新型肺炎による経済活動の自粛を受けた個人消費の減少は

既に顕在化し始めているが、その影響が深刻化・長期化することで雇用・所得環境が悪化し、消

費がさらに減少する可能性には注意が必要だ。

また、先行きの所得を見通す上で、特に非製造業の労働分配率(=名目雇用者報酬÷名目 GDP)

が近年上昇傾向にあることに注目したい。労働分配率の上昇は、雇用者の受け取る所得が以前

よりも増えやすくなり、消費の活性化を通じて経済の好循環を促す側面がある一方、企業の人

件費の負担が増すことを意味している。

近年の労働分配率の変化とその要因を業種別に示したものが図表 3-9 である。労働分配率の

変動は主に実質時給(=時間当たり実質雇用者報酬)と労働生産性(=時間当たり実質 GDP)の

二つで説明される。実質時給の上昇は労働分配率を押し上げる一方、労働生産性の向上は押し

下げに寄与する。図表 3-9 を見ると、製造業、非製造業の労働分配率は 2015年を底に上昇傾向

にあり、実質時給の伸びが労働分配率を押し上げてきた 8。ただし製造業では、労働生産性の向

上が実質賃金の上昇分を吸収し、労働分配率は 2012年対比で低下している。これに対して非製

造業では同期間に労働生産性がほとんど改善しておらず、実質時給の上昇が労働分配率の上昇

に直結している。

実質時給の上昇は、労働需給のひっ迫のほか、春季生活闘争(春闘)でベースアップが 2019

年まで 6年連続で実施されたことや、最低賃金の引き上げ率が 4年度連続で 3%以上となったこ

となどが反映されていると思われる。他の経済指標から試算してみると、2019 年の実質時給(全

産業)も前年比+2.3%と、前年(同+1.5%)より伸びが加速した 9。労働分配率も 52.1%(2018

年:51.9%)に上昇したことから、実質時給の上昇が労働分配率を押し上げる構図は足元でも継

続していると推察される。

8 なお、労働分配率は 2015年から 2018年にかけて、製造業では 45.5%から 47.7%へ、非製造業では 50.6%

から 52.9%へと上昇している。 9 2019年の雇用者数、労働時間数は、労働力調査における雇用者数と、毎月勤労統計における労働時間指数を

もとに試算している。「四半期 GDP速報」は業種別の GDP、雇用者報酬等を公表していないため、ここでは全産

業ベースのみ試算している。

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前述したように、これまで非製造業では労働生産性を改善できないままに実質賃金が上昇し

ており、その分だけ企業の負担は増している。これからも労働生産性が向上しない状況が続け

ば、雇用や賃金が調整されることになる。2020 年も賃上げや最低賃金引き上げが実施されると

みられるが、非製造業を中心に雇用調整リスクが高まっていることには注意が必要だ。

図表 3-9:労働分配率(=名目雇用者報酬÷名目 GDP)の要因分解(2012年対比)

-7.5

-5.0

-2.5

0.0

2.5

2013 2014 2015 2016 2017 2018

実質時給要因 時間当たり労働生産性要因(逆符号) 相対物価要因 労働分配率

(対数変化率、%)

(注)労働分配率の分解は、Δln(LS)=Δln(W)-Δln(Y)+Δln(p/d)。なお、LS:労働分配率、W:実質時給、Y:時間当

たり労働生産性、p:雇用者報酬デフレーター、d:GDPデフレーター。

(出所)内閣府統計より大和総研作成

製造業

(年) (年)

-1.5

-1.0

-0.5

0.0

0.5

1.0

1.5

2.0

2013 2014 2015 2016 2017 2018

(同左)

非製造業

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4. 論点③:2020 年のリスクを検証する

橋本 政彦・佐藤 光・鈴木 雄大郎・矢澤 朋子・藤原 翼

4.1. 米国大統領選挙

現職のトランプ大統領は製造業のテコ入れが課題

2020 年の世界経済を見渡した際の最大のイベントは米国における大統領選挙であろう。2 月

3 日に行われたアイオワ州の党員集会から共和・民主両党の候補者選びは本格化し、11 月の本

選に向けて、選挙に対する関心は一層高まっている。

大統領選挙が経済に及ぼす影響を考える上では、11 月の本選においてトランプ大統領が再選

を果たすか否かが注目されがちだが、その前段階として選挙を見据えたトランプ大統領の政策

動向を注視していく必要がある。かつてビル・クリントン元大統領は大統領選挙において、

“It’s the economy, stupid”のフレーズをスローガンにしたことで知られるが、足元の世論

調査においても大統領選挙で投票先を決定するにあたって、「経済」を重視すると答える有権者

が多い。このため現職のトランプ大統領も選挙戦を有利に進めるために、経済政策を重視する

可能性がある。

では、足元の米国経済の状況はどうなっているのか。大統領就任直前から足元までの、様々な

経済・金融指標の変化について、現職のトランプ大統領と過去の大統領を比較したものが図表

4-1 である。

図表 4-1:歴代大統領の成績表(就任 2 年 9カ月後)

(注)各大統領就任の 1四半期前の指標=100。赤字・下線部分は上位 3位内、網掛け部分は下位 3位内。

(出所)BEA、BLS、ISM、FRB、Bloomberg、Haver Analytics より大和総研ニューヨークリサーチセンター作成

カーター レーガンブッシュ

(父)クリントン

ブッシュ

(子)オバマ トランプ

(参考)トラ

ンプ以外平均

実質GDP 113.2 105.5 104.2 108.4 105.5 103.2 107.3 106.7

株価 103.6 124.3 140.2 133.4 73.3 135.0 135.4 118.3

鉱工業生産 115.9 100.8 99.4 113.6 98.2 101.2 103.6 104.8

企業収益 145.8 139.7 109.6 151.6 161.1 184.2 114.6 148.7

ISM製造業景況感指数 93.0 113.5 94.9 92.3 111.0 142.5 93.1 107.8

実質可処分所得 108.8 107.2 104.4 107.4 108.6 104.3 109.8 106.8

非農業雇用者数 112.6 99.9 101.6 107.6 98.2 97.5 104.4 102.9

失業率 75.5 126.6 128.8 76.9 157.3 131.1 76.2 116.0

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これを見ると、トランプ政権下においては、多くの指標が過去の大統領に比べて良好な状態に

あることが確認できる。雇用・所得環境は改善基調を維持する中、実質 GDPは拡大を続け、景気

拡張期間は過去最長に達した。また、株価は短期的な調整局面を挟みつつ、概ね上昇傾向を続

け、過去最高値を更新し続けている。一方、歴代大統領に比べて相対的にパフォーマンスが良く

ない指標は、企業収益、および製造業マインドであり、大統領選挙に万全を期すという意味で

は、企業活動のテコ入れがトランプ大統領の課題と言える。

米中合意第一段階は好材料だが、ドル安政策に注意

企業マインドの動向を確認すると(図表 4-2)、2017年のトランプ大統領就任から 1年間程度

は改善していた。しかし、2018 年に入ると頭打ちとなり、2018年後半には製造業を中心に大幅

に落ち込んでいる。これは言うまでもなく、保護主義的な通商政策、とりわけ中国との追加関税

合戦が大きく影響している。しかし、2020 年 1 月に米中合意第一段階によって、米中間の緊張

は幾分緩和し、追加関税の更なる拡大の可能性は大きく後退した。もちろん、米中合意第一段階

は、トランプ大統領による大統領選挙を見据えた企業部門へのテコ入れ策の一環としての意味

合いがあったとみられるが、そうした意図に沿う形で、1月には製造業マインドの悪化に歯止め

が掛かった。

図表 4-2:米国企業景況感と実効ドル

(注)名目実効ドルは Broad ベース。

(出所)ISM、FRB、Haver Analytics より大和総研作成

だが、留意が必要なのは、米中摩擦のみが企業マインド悪化の唯一の要因ではないことであろ

う。貿易摩擦以外の大きな要因としては、2018年以降のドル高傾向の影響が考えられる。実際、

トランプ大統領はこうしたドル高傾向を強く問題視しているとみられる。例えば、トランプ大

統領は FRB に対して、幾度となく利下げを催促するような発言を繰り返してきたが、これは金

利低下による景気浮揚に加えて、ドル安誘導を狙ったものと考えられる。また、2020 年 2 月に

は外国政府による為替操作を特定企業に対する補助金とみなして、追加関税を課すことを可能

とする規則を 4月から施行することが決定された。

85

90

95

100

105

110

115

12030

35

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45

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60

65

07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 (年)

(DI、%)

名目実効ドル(右軸)

(2006年1月=100)

ISM製造業景況感指数

ドル安

ドル高→

ISM非製造業景況感指数

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日本円については、トランプ大統領の就任以降、ボックス圏で推移し、極端な円安傾向が続い

てきたわけではない。しかし、日本は米国に対し、多額の貿易黒字を計上し、それを根拠に財務

省の為替報告書において監視リストに入っていることに鑑みると、トランプ大統領からの批判

が強まるリスクには一定の注意が必要であろう。

政権交代によるリスク

次に、大統領選挙の結果が経済に与える影響、とりわけリスクシナリオとして民主党候補者が

次期大統領になった場合を考える 10。

当初、多数の候補者が乱立していた民主党の指名候補争いは、3月 3日のスーパーチューズデ

ーを経て多くの候補者が撤退を表明し、ジョー・バイデン前副大統領、バーニー・サンダース上

院議員の 2 名にほぼ絞られた。両者への支持率はどちらかが大きく抜き出ているわけではない

ため、最終的にどちらが指名候補となるかを占うのは依然難しい状況にある。だが、両者が掲げ

る政策にはいくつかの共通点を見出すことができる(図表 4-3)11。言うなれば、2017 年以降の

トランプ政治からの巻き戻しである。

図表 4-3:民主党主要候補者の政策

(出所)各候補者ウェブサイト、各種報道より大和総研ニューヨークリサーチセンター作成

その代表とも言えるのが、2017 年末に成立し、2018年から実施されている税制改革からの巻

き戻しだ。トランプ大統領による税制改革では、連邦法人税率が大幅に引き下げられたほか、個

人についても総じて所得税率が引き下げられた。バイデン氏、サンダース氏は、こうした税制改

10 政権交代をリスクシナリオとしたのは、現職のトランプ大統領が再選された場合に比べて、政策が大きく変

わる可能性が高いためである。11月の大統領選挙本選において、トランプ大統領再選の可能性が高いと予想し

ているわけではない。 11 主要民主党候補者の政策の詳細については、矢作大祐・鳥毛拓馬「米国大統領選挙いよいよ開幕」(2020年

1月 31日、大和総研ニューヨークリサーチセンターレポート)を参照。

バイデン氏 サンダース氏

経済・通商政策

・クリーンエネルギーなどのインフラに1.7兆ドルの投資を実施・対中政策については、トランプ政権の単独外交を批判・現在の形式でのUSMCAに反対、NAFTA支持・環太平洋経済連携協定(TPP)参加支持(ただし再交渉が必要)・連邦最低賃金を15ドルに引上げ

・「グリーン・ニューディール」政策を支持し、16.3兆ドルの公共投資を実施・トランプ政権の対中政策を批判しつつ、中国、ロシア、韓国などに追加関税を課すことを支持・環太平洋経済連携協定(TPP)参加に反対・NAFTA反対・連邦最低賃金を15ドルに引上げ

税制・連邦法人税率引上げ(21%→28%)・連邦の個人所得税最高税率引上げ(37%→39.6%)

・連邦法人税率引上げ(21%→35%)・CEOと従業員賃金の中央値の差が50倍以上ある企業に対する法人税率の引上げ・連邦の個人所得税最高税率引上げ(37%→52%)・富裕層(上位0.1%)の極端な富に対し課税

社会保障 ・オバマケアの拡充・メディケア・フォー・オール(国民皆保険)の導入・民間保険は廃止

環境政策・2050年までに温室効果ガス国内排出量をゼロにする・パリ協定への再加入

・2030年までに温室効果ガス国内排出量を少なくとも71%削減・パリ協定への再加入

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革を、企業優遇・富裕層優遇であると批判し、提案する引き上げ幅こそ異なるものの、いずれも

税率の引き上げを主張している。

他方、両者はそうした増税による税収を財源として、社会保障分野、とりわけ医療保険制度の

拡充を掲げている。これも 2017 年の就任以降、トランプ大統領および議会共和党が、真っ先に

オバマケアの廃止・置き換えに取り組んだことと対照的である 12。また、トランプ大統領が積極

的に進めてきた規制緩和に対しても両者は否定的であり、例えば環境規制強化は両者に共通し

た主張となっている。

なお、既述したように、とりわけ 2018年以降、注目されてきた通商政策については、両者で

意見が割れている。前オバマ政権下で副大統領を務めたバイデン氏は、再交渉の必要性に言及

しつつ、トランプ大統領が離脱を表明した TPPへの参加に前向きである。一方、急進左派に位置

づけられるサンダース氏は、保護貿易を志向し、追加関税にも肯定的だ。

以上のような、民主党候補者の主張を踏まえると、仮に政権交代が実現した場合、それがどち

らの候補者であったとしても、増税や規制強化が経済の下押し要因となる可能性があろう。CBO

(米国議会予算局)の試算によれば、トランプ政権による税制改革は、その効果を徐々に逓減さ

せつつ 2022 年頃までは、実質 GDP 成長率を押し上げると試算されている(図表 4-4 左)。民主

党候補者の公約通りに増税が行われれば、こうしたプラス効果が剥落するのみにとどまらず、

GDP を押し下げる可能性が高い。また、トランプ大統領による規制緩和策はその具体的な効果を

測ることは難しいものの、企業マインドの押し上げに作用してきたとみられる(図表 4-4 右)。

各候補者が掲げる、社会保障の拡充も合わせれば、家計への影響は限定的となる可能性も十分

考えられるものの、とりわけ、企業部門に対する逆風が強くなるリスクには注意が必要である

といえよう。

図表 4-4:税制改革が米国経済に与える影響(左)、中小企業のマインドと最大の問題(右)

(出所)CBO、NFIB、Haver Analytics より大和総研作成

12 ただし、オバマケアの廃止・置き換えについては、共和党内からの反発もあり、議会での法制化には頓挫し

ている。一方、税制改革の一環として、医療保険未加入による罰則は廃止された。

0

50

100

150

200

250

-0.3

-0.2

-0.1

0.0

0.1

0.2

0.3

0.4

18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28

(10億ドル)

(年)

(%pt)

実質GDP成長率

への影響

実質GDP水準の

押し上げ

(右軸)

60

65

70

75

80

85

90

95

100

105

110

10

15

20

25

30

35

12 13 14 15 16 17 18 19 20

(中小企業にとっての最大の問題、%)

(年)

税金

政府による規制

中小企業楽観指数

(右軸)

(1986年=100)

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4.2. 中東情勢緊迫化による原油高

ホルムズ海峡封鎖による原油価格高騰が最大のリスク

2020 年に入り、米国によるイラン革命防衛隊司令官殺害のニュースが世界に衝撃を与えた。

中東情勢は米国のイラン核合意離脱表明以降、改善の兆しが見られなかったが、司令官殺害と

いう強硬策によって中東情勢が決定的に悪化するとの懸念が一時高まった。

中東情勢緊迫化がもたらす経済面での最大のリスクは、イランに面したペルシャ湾ホルムズ

海峡の封鎖で原油の輸送が滞り、価格が高騰することである。ホルムズ海峡は世界の原油供給

量の約 2 割が通過する‘チョークポイント’とされる。日本の原油輸入の中東依存度は 87.3%

(2017年度)と高い中、一時的にせよ輸送が滞った場合の原油需給への影響は大きい。

海峡封鎖時の原油価格は 120ドル/バレル水準に高騰する可能性

ホルムズ海峡が封鎖され原油輸送が停止した場合の原油価格への影響を試算する。米 EIA に

よると、同海峡封鎖時に想定される原油輸送量は、迂回可能なパイプラインを活用しても 1,690

万バレル/日の減少となり、直近の世界の原油供給量(10,164万バレル/日)の 16.6%に相当

する。仮に 1カ月停止した場合、原油需給への影響は 6カ月移動平均ベースで 2.8%の需要超過

となり、過去の経験則からみると、WTI 価格が最大で前年比+120%程度まで上昇する可能性が

考えられる(図表 4-5)。具体的には、2019年の平均価格 57ドル/バレルからは、125ドル程度

が上値メドとなる。

また、別の観点からは、原油価格には過去の価格の本格的上昇期に、安値から 3倍程度まで上

昇するというパターンも観測される(図表 4-6)。シェールオイルの開発が進み、米国が原油の

純輸出国となった現在は状況が大きく異なるものの、仮に上記の事態が今後再現されるような

ことがあれば、2018年 12月の安値から 3倍程度でやはり 125ドル/バレル程度が上値のメドと

して挙げられよう。

図表 4-5:原油の需給バランスと価格の関係

Page 33: 204 回日本経済予測 (改訂版)...2020/03/09  · 2 / 53 第204 回日本経済予測(改訂版) 【予測のポイント】 (1) 実質GDP 成長率見通し:19

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図表 4-6:原油価格の本格上昇時は、安値から 3倍前後がメドに

日本の実質 GDPを最大で 0.8%程度押し下げる懸念も

原油価格の高騰は、輸入額の増加や原材料価格の上昇などを通じて日本経済の大きな下押し

圧力となりうる。大和総研のシミュレーションによれば、原油価格が仮に 2倍(100%上昇)に

なる場合、日本の実質 GDPを▲0.5%程度下押しする(第 5章のマクロリスクシミュレーション

参照)。

また、こうした事態は市場のリスクオフムードを通じて為替の円高圧力にもつながりやすい。

中東情勢緊迫化の典型例である 1990 年のイラクのクウェート侵攻時を参考にすると、当時のド

ル円レートは直近数年間での円の高値水準であった 120 円/ドルに接近したことから、今回は

2016 年の円の高値 99 円/ドル前後がメドになると考えられる。2019 年末の 109 円/ドル水準

から約 10%の円高となる場合、シミュレーションからは実質 GDPで▲0.3%程度の下押し要因と

なる。これらを合わせると、中東情勢の緊迫化は日本の GDPに対して最大で▲0.8%程度の下押

し圧力となる可能性が考えられる。足元の中東情勢は小康状態となっているものの、今後の情

勢の変化には一定の注意が必要となろう。

なお、仮に原油価格が高騰する場合、日本の企業業績にも幅広く悪影響が想定されるが、業種

別の影響を見たものが図表 4-7、および図表 4-8 である。原油価格の 10 ドル/バレルの上昇で

日本企業の営業余剰は約 9,300億円の減少が見込まれ、特に素材関連や電力・ガス、運輸などで

の悪影響が大きい。

83/8

32.2085/11

31.72

87/7

22.39

90/1

23.68

90/10

40.42

97/1

26.62

00/9

37.2003/3

37.83

06/7

77.03

08/7

145.2911/4

113.9313/9

110.53

18/10

76.41

10.42

86/3

12.60

88/10

15.30

90/6 13.91

93/12

10.72

98/12

17.45

01/11

50.48

07/1

33.87

08/12

75.67

11/10

26.21

16/2

42.53

18/12

25.24

03/4

5

10

20

40

80

160

1983 1985 1987 1989 1991 1993 1995 1997 1999 2001 2003 2005 2007 2009 2011 2013 2015 2017 2019

WTI原油価格

(月足、対数目盛) 2.9倍

3.4倍2.9倍

3.1倍

3.5倍3.2倍

(ドル/バレル)

(出所)Bloombergなどより大和総研作成 (年)

他の場面の例

・第一次オイルショック時

3.01ドル→11.65ドル (3.9倍、公定価格)

・第二次オイルショック時

13.90ドル→41.00ドル (2.9倍、スポット価格)

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図表 4-7:エネルギーが各産業の中間投入に占める割合

図表 4-8:10ドル/バレルの原油価格上昇が企業収益(営業余剰)に与える影響

93.5

69.3

25.2

23.0

16.516.2

12.6

10.710.59.4

8.7 8.5 8.0 7.8 7.8

6.25.6 5.2 4.8 4.8

4.1 3.9 3.72.9

0

5

10

15

20

25

30

0

20

40

60

80

100

石油・石炭製品

電力・ガス・熱供給

廃棄物処理

運輸・郵便

化学製品

窯業・土石製品

鉱業

水道

内生部門計

鉄鋼

対個人サービス

教育・研究

商業

パルプ・紙・木製品

公務

繊維製品

プラスチック・ゴム製品

非鉄金属

金属製品

電子部品

農林漁業

医療・福祉

その他の製造工業製品

建設

ガス・熱供給

電力

石油・石炭製品

石炭・原油・天然ガス

エネルギー

(%)

(注)2015年の投入産出構造を基にした試算値。

(出所)総務省統計より大和総研作成

(%)

(右軸)(左軸)

原油価格変化前 営業余剰 原油価格変化前 営業余剰

国内生産高 変化額 国内生産高 変化額(兆円) (億円) (兆円) (億円)

全産業 972 -9,336製造業 301 -3,416 非製造業 671 -5,920

飲食料品 38 -105 農林漁業 13 -81繊維製品 4 -21 鉱業 1 332パルプ・紙・木製品 12 -102 建設 61 -592化学製品 28 -962 電力・ガス・熱供給 25 -1,741石油・石炭製品 17 230 水道 5 -43プラスチック・ゴム製品 14 -61 廃棄物処理 5 -69窯業・土石製品 6 -342 商業 95 -306鉄鋼 27 -1,015 金融・保険 35 -28非鉄金属 9 -676 不動産 81 -51金属製品 12 -48 運輸・郵便 55 -2,449はん用機械 10 -23 情報通信 50 -50生産用機械 17 -30 教育・研究 44 -174業務用機械 7 -11 医療・福祉 68 -180電子部品 14 -54 他に分類されない会員制団体 4 -10電気機械 16 -26 対事業所サービス 75 -116情報通信機器 5 -5 対個人サービス 55 -361輸送機械 55 -135その他の製造工業製品 10 -31

(注)2015年の投入産出構造を基にした試算値。

(出所)総務省、日本銀行統計より大和総研作成

(2015年)

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4.3. 東京五輪後に建設需要剥落のリスク

建設需要は 2011 年以降、緩やかに増加

日本の建設投資は 1990年代のバブル期をピークに、長期にわたって減少基調が続いてきたが、

2011年の東日本大震災を境に増加に転じ、足元まで緩やかな増加基調が続いている(図表 4-9)。

最大の要因は、震災からの復興需要に加えて、震災をきっかけに防災・減災投資の増加が続いて

いることである。さらに、2020 年の東京オリンピック・パラリンピック(以下、東京五輪)開

催が決定した 2013年以降は、東京五輪に関連した投資も建設投資の押し上げ要因となってきた。

このため、東京五輪が 7 月に迫る中、一部では東京五輪後の建設需要の減少による景気減速が

懸念されている。そこで本節では、東京五輪後の建設需要について検討する。

図表 4-9:建設投資の推移

(出所)国土交通省統計より大和総研作成

まず、五輪関連の建設投資がどの程度であるかを確認する。図表 4-10 は組織委員会が公表す

る大会予算から見た、東京五輪開催に伴う直接的経済効果を示したものである。この中で主な

建設投資に該当するのは、新国立競技場や選手村などの恒久施設の整備費(3,460億円)と、大

会運営費に含まれる仮設施設整備費(3,160億円)を合わせた 6,620億円、およびエネルギーイ

ンフラや道路の舗装などの各種インフラ整備である。ただし、これらは東京五輪に伴う建設需

要の一部にすぎない。足元で堅調な建設需要には、民間部門によるインバウンド需要に対応す

るためのホテル建設や、老朽化したビルの更新に伴う都心の再開発などが多く含まれている。

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

61 64 67 70 73 76 79 82 85 88 91 94 97 00 03 06 09 12 15

政府・土木

政府・建築

民間・土木

民間・建築

(兆円)

(年度)

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図表 4-10:東京五輪開催に伴う直接的経済効果

(注)数値は組織委員会予算 V4(2019年 12月 20日)。

(出所)東京都、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会資料より大和総研作成

東京の建設投資はピークアウトするも、それ以外の地域は底堅く推移

図表 4-11 は建設工事出来高を地域別に見たものである。五輪関連の建設投資が多く含まれる

とみられる東京都では、2016~18 年に建設投資が大きく増加した一方で、足元では既にピーク

アウトしていることが確認できる。他方、東京都以外の地域を見ると、東日本大震災関連の工事

はピークを過ぎつつも、公共工事は横ばい圏で推移していることに加え、民間建設工事の増加

基調が続いている。民間建設の増加が続いている背景には、上述の都市部の再開発、ホテル建設

に加えて、e-コマースの普及による物流施設の増加、高速道路や新幹線などの大規模インフラ

整備・更新が寄与しているとみられる。

足元まで堅調に推移してきた民間部門の建設投資は、東京五輪後も堅調さを維持する可能性

が高い。首都圏を中心に都市部での再開発案件は未だ多く残存していることに加え、2025 年大

阪・関西万博に関連する工事(会場建設費、鉄道延伸等)や、高速道路の大規模更新・修繕、洋

上風力発電などパイプラインに多数の大型プロジェクトが存在するからである。また、公共投

資に関しても、2019年秋の大型台風からの復興需要や 2019年度補正予算などが組まれたことな

どを踏まえると、高水準での推移が続くとみられる。東京五輪関連の建設需要は剥落するもの

の、それは建設投資に占める割合のごく一部にすぎず、五輪関連以外の建設投資が全体を下支

えすることで建設需要全体としては底堅い推移が続く公算が大きい。

供給のボトルネックで施工が進まないこともあり、建設投資の腰折れは回避へ

建設投資は人手不足という供給面のボトルネックにより、堅調ながらも増加ペースが抑制さ

れてきた。図表 4-12 は建設業の総労働時間(=就業者数×平均労働時間)と手持工事月数(施

工高に占める未消化工事の割合)の推移を示したものである。総労働時間に注目すると、2011 年

以降、建設需要が回復する中でも横ばい圏で推移してきたことがわかる。建設業者は強化現場

(残業や休日作業の実施)の増加などによって需要の増加に対応してきたが、その間の労働投入

量(総労働時間)は所定内労働時間の趨勢的な減少や就業者数の伸び悩みによって増加しなか

った。その結果、手持工事月数は 2011年頃から上昇傾向が見られるようになり、足元では過去

最高水準付近にある。

一方、公共関係事業費の消化率は低下傾向にあり、2018 年度の水準は震災の影響があった期

項目 内容 需要増加額

施設整備費 恒久施設整備費 3,460億円

大会運営費仮設施設整備費、エネルギーインフラ、輸送、セキュリティ、テクノロジー、オペレーション、管理・広報、その他

9,840億円

その他大会参加者・観戦者支出、家計消費支出、国際映像制作・伝送費、企業マーケティング活動費

5,690億円

合計 1兆8,990億円

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間を除くと過去最低だった 13。つまり、建設業者は人手不足を理由に受注を十分にできていない

可能性が高い。さらに、2016 年から 18年にかけての手持工事月数の急増は東京五輪関連の建設

がピークを迎えるにあたり、他の建設投資が抑制されていた面も指摘できる。

以上のように、建設業における人手不足は構造的な問題であり、その解消は短期的には困難と

考えられる。また五輪関連以外の建設需要は底堅い推移が見込まれる。こうした点を踏まえれ

ば、東京五輪後の建設投資の腰折れは回避されよう。

図表 4-11:地域別建設工事出来高 図表 4-12:建設業の総労働時間と手持工事月数

(注)大和総研による季節調整値。

(出所)国土交通省統計より大和総研作成

(注)手持工事月数は大和総研による季節調整値。

(出所)総務省、厚生労働省、国土交通省統計より大和総研作

13 公共事業関係費の予算消化に関する詳細は神田慶司他「日本経済中期予測(2020年 1月)」(2020年 1月 20

日、大和総研レポート)を参照。

0

5,000

10,000

15,000

20,000

25,000

30,000

00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20

東京都(公共) 東京都(民間)

(年)

(億円)

東京都(合計)

東京都以外(公共)

東京都以外(民間)

9

11

13

15

17

8

9

10

11

12

90 92 94 96 98 00 02 04 06 08 10 12 14 16 18

総労働時間

手持工事月数(右軸)

(万時間)

(年)

(ヶ月)

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5. マクロリスクシミュレーション

山口 茜

本章では景気に影響を与えるいくつかのリスク要因が想定以上に進行することで、予測にど

の程度の影響が出るかの試算を示す。標準シナリオにおける主な前提と、四つのリスクシナリ

オが顕在化した場合の実質 GDPに与える影響(下図参照)は以下の通り。リスクシナリオは 2020

年 4-6月期以降に顕在化すると仮定して推計している。

【前提】 【シミュレーション】

・為替レート :2020-21 年度;105.0 円/㌦, 105.0 円/㌦ 各四半期 10 円/㌦円高

・原油(WTI)価格 :2020-21 年度;40.0㌦/bbl, 40.0 ㌦/bbl 各四半期 20%上昇

・世界経済成長率 :2020-21 暦年;2.8%, 3.2% 各四半期 1%低下

・長期金利 :2020-21 年度;-0.16%, -0.16% 各四半期 1%pt 上昇

図表 5-1:実質 GDP に与える影響

5.1. 円高

円高は貿易財の価格競争力を低下させるため、財貨・サービスの輸出が減少する。これに合わ

せ、電気機器や輸送機器などの輸出型製造業やこれに付帯する運輸、電力、商業などの非製造業

を中心に生産が減少する。輸出や生産の減少は企業の売上の減少となり、企業収益の低下をも

たらす。これは企業のキャッシュフローの減少や将来の成長期待を悪化させ、設備投資の減少

へとつながる。また、円高による輸入物価の低下は国内の物価を押し下げ、企業物価や消費者物

価が下落する。物価下落で家計の実質購買力が上昇するものの、企業収益の減少からくる雇用・

所得環境の悪化により、個人消費は減少する。なお、円高の影響が個人消費に波及するまでには

長いラグがあるため、本シミュレーション期間内での影響は軽微である。以上の経路を通じて、

10 円/ドルの円高により、実質 GDP の水準は標準シナリオに比べて 2020 年度で▲0.3%、2021

年度で▲0.5%縮小する。

-0.3

-0.5

-0.1 -0.1

-0.4

-0.3

-0.2 -0.2

-0.7

-0.6

-0.5

-0.4

-0.3

-0.2

-0.1

0.02020 2021

為替 10円/㌦ 円高

原油価格 20% 上昇

世界需要 1% 低下

長期金利 1%pt 上昇

(年度)(%)

(注)標準シナリオから各リスクシナリオへ変化した場合の影響度。(出所)大和総研作成

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5.2. 原油高騰

原油価格が標準シナリオの想定よりも 20%上昇した場合、日本経済に与える影響は実質 GDP

を標準シナリオに比べて 2020年度で▲0.1%、2021年度で▲0.1%縮小させることになる。

原油価格の上昇は輸入デフレーターを押し上げることになる。輸入デフレーターが上昇する

と名目輸入額が増加し、純輸出が減少して名目 GDPが減少する。また、原油価格の上昇はエネル

ギー価格を上昇させるとともに、原材料価格の上昇を通じて最終財価格を上昇させる。その結

果、家計の実質購買力は低下し、消費を押し下げることにつながる。

企業部門においては、原材料価格の上昇によって収益が圧迫され、設備投資が減速する。設備

投資は企業マインドに左右されるため、翌年度の設備投資にも影響を与えることになる。収益

の減少は雇用・所得環境の悪化につながり、消費者マインドが冷やされることから、民間消費も

減速する。

5.3. 世界需要の低下

世界需要(GDP)が 1%低下した場合、日本の実質 GDP は標準シナリオに比べて 2020 年度で

▲0.4%、2021年度で▲0.3%縮小することになる。

世界需要が低下すると、日本からの輸出が押し下げられるため、製造業の売上の減少によって

企業収益が悪化する。また、製造業の生産活動の低下は、非製造業への波及によって、広く企業

収益を押し下げることになる。こうした企業収益の減少に加えて、鉱工業生産の減少による稼

働率の低下および設備過剰感の高まりから、設備投資が減少する。さらに企業収益の減少は、賃

金下落圧力となるため、ラグを伴って個人消費や住宅投資といった家計部門の需要も減少する

ことになる。なお、こうした状況に陥ると、内需の減少を受けて、輸入をも減少させるという結

果となる。

5.4. 金利上昇

長期金利が標準シナリオに比べ 1%pt上昇した場合、実質 GDPの水準は 2020年度で▲0.2%、

2021年度は▲0.2%の縮小となる。金利上昇による資金調達コストの上昇は設備投資や住宅投資

を減少させる。また、個人への直接的な影響は純有利子負債(有利子資産を除いた有利子負債)

の大きさによって決まるが、個人は純受取主体、つまり有利子資産が有利子負債を上回ってい

るため、金利上昇は財産所得を増加させる。投資の減少による景気悪化を受け、勤労所得は減少

するものの、財産所得の増加に相殺され、個人消費への影響は軽微なものにとどまることとな

る。

ただし、他のシミュレーション同様、ここでは金利が上昇するときの外部環境を考慮していな

い。通常、金利はそれ自体、単独では上昇せず、景気の回復や先行きの明るい見通しを反映して

上昇する。そのようなときには期待物価上昇率が高まり、実質金利の上昇を抑えることになる

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ため、投資の限界収益率(投資収益率と実質金利の差)は保たれ、設備投資には影響が出にくく

なると考えられる。従って、本シミュレーションでは金利上昇の負の作用が強調されている可

能性がある。

なお、景気対策などの財政出動による財政悪化から長期金利が上昇する場合、設備投資や住宅

投資などに対するクラウディングアウト効果などによって、シミュレーション結果に近い効果

がマクロ経済にもたらされるとみられる。

図表 5-2:シミュレーション結果

名目GDP 0.6 (-0.7) 1.2 (-0.8) 0.7 (-0.6) 1.2 (-0.7)実質GDP -0.3 (-0.3) 0.6 (-0.5) -0.1 (-0.1) 0.8 (-0.1)GDPデフレーター 0.8 (-0.4) 0.6 (-0.3) 0.7 (-0.5) 0.4 (-0.5)

全産業活動指数 -1.5 (-0.6) 0.8 (-0.6) -1.0 (-0.1) 0.8 (-0.1)

鉱工業生産指数 -3.1 (-1.9) 1.7 (-2.0) -1.5 (-0.2) 1.8 (-0.2)第3次産業活動指数 -1.1 (-0.4) 0.6 (-0.4) -0.9 (-0.1) 0.6 (-0.1)

国内企業物価 -2.9 (-1.3) 0.7 (-1.4) -0.9 ( 0.7) 0.8 ( 0.7)

消費者物価 -0.3 (-0.2) 0.4 (-0.3) 0.0 ( 0.2) 0.4 ( 0.2)

失業率 2.5 ( 0.0) 2.5 ( 0.0) 2.5 (-0.0) 2.5 ( 0.0)

貿易収支(兆円) 7.3 ( 0.1) 7.1 (-0.5) 5.5 (-1.7) 5.7 (-2.0)

経常収支(億ドル) 2,779 ( 114) 2,661 (-62) 2,535 (-130) 2,558 (-165)

経常収支(兆円) 27.9 (-0.2) 26.2 (-2.6) 26.6 (-1.6) 27.0 (-1.8)

実質GDPの内訳

民間消費 -0.2 (-0.1) 0.7 (-0.1) -0.2 (-0.1) 0.8 (-0.1) 民間住宅投資 -1.7 (-0.3) -0.1 (-0.5) -1.7 (-0.3) -0.0 (-0.4) 民間設備投資 -2.6 (-1.2) 1.2 (-1.4) -1.9 (-0.5) 1.3 (-0.6) 政府最終消費 1.3 ( 0.1) 1.1 ( 0.2) 1.1 (-0.0) 1.0 (-0.0) 公共投資 1.3 ( 0.6) -0.7 ( 0.7) 0.5 (-0.2) -0.8 (-0.2) 財貨・サービスの輸出 0.4 (-0.6) 1.2 (-1.0) 0.9 (-0.1) 1.6 (-0.1) 財貨・サービスの輸入 -0.2 (-0.3) 2.0 ( 0.5) -0.5 (-0.5) 1.1 (-0.6)

名目GDP 0.8 (-0.4) 1.4 (-0.4) 1.1 (-0.2) 1.3 (-0.2) 1.0 (-0.2) 1.3 (-0.3)実質GDP -0.4 (-0.4) 0.9 (-0.3) -0.2 (-0.2) 0.8 (-0.2) 0.1 ( 0.1) 0.9 ( 0.1)GDPデフレーター 1.2 (-0.0) 0.5 (-0.0) 1.2 ( 0.0) 0.5 (-0.0) 0.9 (-0.3) 0.4 (-0.4)

全産業活動指数 -1.2 (-0.3) 0.9 (-0.2) -1.0 (-0.1) 0.8 (-0.1) -0.8 ( 0.2) 0.8 ( 0.2)

鉱工業生産指数 -2.4 (-1.1) 2.0 (-0.9) -1.7 (-0.4) 1.8 (-0.4) -0.6 ( 0.7) 1.8 ( 0.8)第3次産業活動指数 -0.8 (-0.1) 0.6 (-0.1) -0.8 (-0.1) 0.6 (-0.1) -0.7 ( 0.1) 0.6 ( 0.1)

国内企業物価 -1.7 (-0.0) 0.7 (-0.1) -1.6 ( 0.0) 0.7 (-0.0) -0.3 ( 1.4) 0.8 ( 1.4)

消費者物価 -0.1 (-0.0) 0.4 (-0.1) -0.1 (-0.0) 0.4 (-0.0) 0.2 ( 0.3) 0.5 ( 0.3)

失業率 2.5 (-0.0) 2.5 ( 0.0) 2.5 ( 0.0) 2.5 ( 0.0) 2.5 (-0.0) 2.5 (-0.0)

貿易収支(兆円) 6.6 (-0.6) 7.2 (-0.4) 7.5 ( 0.3) 8.1 ( 0.5) 5.4 (-1.8) 5.9 (-1.7)

経常収支(億ドル) 2,592 (-73) 2,628 (-95) 2,618 (-47) 2,315 (-408) 2,478 (-187) 2,589 (-134)

経常収支(兆円) 27.3 (-0.9) 27.7 (-1.0) 27.6 (-0.5) 24.3 (-4.4) 26.7 (-1.4) 28.3 (-0.5)

実質GDPの内訳

民間消費 -0.2 (-0.1) 0.8 (-0.0) -0.2 (-0.0) 0.8 (-0.0) -0.2 (-0.1) 0.8 (-0.1) 民間住宅投資 -1.6 (-0.2) -0.1 (-0.4) -2.2 (-0.8) 0.3 (-0.6) -1.6 (-0.1) 0.1 (-0.2) 民間設備投資 -1.7 (-0.3) 1.3 (-0.5) -2.8 (-1.4) 1.2 (-1.6) -1.3 ( 0.1) 1.4 ( 0.1) 政府最終消費 1.2 ( 0.0) 1.0 ( 0.0) 1.2 ( 0.0) 1.0 ( 0.0) 1.1 (-0.1) 0.9 (-0.1) 公共投資 0.7 ( 0.0) -0.7 ( 0.1) 0.7 (-0.0) -0.7 ( 0.0) 0.2 (-0.5) -0.8 (-0.5) 財貨・サービスの輸出 -1.0 (-2.0) 2.1 (-1.6) 1.0 (-0.0) 1.6 (-0.0) 1.2 ( 0.2) 1.9 ( 0.4) 財貨・サービスの輸入 -0.3 (-0.3) 1.3 (-0.2) -0.4 (-0.5) 1.1 (-0.5) -0.3 (-0.4) 0.7 (-0.8)

(注1)表の数値は断りがない限り、前年度比変化率。ただし、失業率、貿易収支、経常収支は数値。

(注2)括弧内数値は基準解の水準に対する乖離率。ただし、失業率、貿易収支、経常収支については乖離幅。

(出所)大和総研作成

1.2

7.2

2,723

28.8

-1.4

0.0

28.2

シミュレーション2

原油20%上昇

-0.1

2021年度

0.8

-0.9

2021年度

シミュレーション1

2,665

-1.6

標準シナリオ

0.5

1.3

0.8

1.8

0.8

2021年度

0.4

0.11.2

0.7

1.4

2020年度

0.6

2.5 2.5

7.7

0.8

0.1

-0.1

1.01.2

円高(10円高)

1.3

2020年度

-1.5

-0.7

-1.3

2020年度

シミュレーション3 シミュレーション4

-0.8

2020年度

2021年度

1.0

5円円安と原油20%上昇

2021年度

世界需要1%低下

2020年度

1.6

長期金利1%pt上昇

(参考)

2020年度 2021年度

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41 / 53

6. 四半期計数表

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42 / 53

(1-a) 主要経済指標

2018 2019 2020

4-6 7-9 10-12 1-3 4-6 7-9 10-12 1-3 2018 2019 2018 2019

(予) (予)

名目国内総支出(兆円) 549.2 545.5 546.7 552.7 556.0 558.2 549.9 546.3 548.4 552.4 547.1 554.0

前期比% 0.3 -0.7 0.2 1.1 0.6 0.4 -1.5 -0.7

前期比年率% 1.1 -2.7 0.9 4.4 2.4 1.7 -5.8 -2.6

前年同期比% 1.2 -0.6 -0.9 0.9 1.3 2.3 0.5 -1.2 0.1 0.7 0.2 1.2

実質国内総支出(兆円、2011暦年連鎖価格) 534.9 530.4 533.6 536.5 539.5 539.7 529.9 524.1 533.6 533.0 532.6 536.1

前期比% 0.5 -0.8 0.6 0.5 0.6 0.0 -1.8 -1.1

前期比年率% 2.0 -3.3 2.4 2.2 2.3 0.1 -7.1 -4.3

前年同期比% 1.0 -0.3 -0.3 0.8 0.9 1.7 -0.7 -2.3 0.3 -0.1 0.3 0.7

内需寄与度(前期比) 0.5 -0.7 1.0 0.1 0.8 0.3 -2.3 -1.3 0.4 -0.0 0.3 0.8

外需寄与度(前期比) 0.0 -0.2 -0.4 0.5 -0.3 -0.3 0.5 0.2 -0.1 -0.1 -0.0 -0.2

GDPデフレーター(前年同期比%) 0.1 -0.3 -0.6 0.1 0.4 0.6 1.2 1.2 -0.2 0.9 -0.1 0.6

全産業活動指数(2010=100) 105.9 105.5 106.4 105.9 106.4 106.9 103.6 100.4 105.8 104.2 105.8 105.5

前期比% 0.5 -0.3 0.8 -0.4 0.4 0.4 -3.1 -3.1 0.8 -1.5 1.1 -0.3

鉱工業生産指数(2015=100) 104.3 103.6 105.0 102.4 103.0 102.5 98.3 97.6 103.8 100.3 104.2 101.2

前期比% 0.8 -0.7 1.3 -2.5 0.7 -0.5 -4.0 -0.8 0.2 -3.3 1.1 -2.8

第3次産業活動指数(2010=100) 105.9 105.8 106.7 106.7 106.9 107.9 104.9 100.7 106.2 105.1 105.9 106.5

前期比% 0.5 -0.1 0.9 -0.0 0.2 1.0 -2.8 -4.0 1.1 -1.1 1.2 0.5

企業物価指数(2015=100)

国内企業物価指数 101.0 101.9 102.0 101.2 101.6 101.0 102.2 100.9 101.5 101.4 101.3 101.5

前年同期比% 2.6 3.1 2.2 0.9 0.6 -0.9 0.2 -0.2 2.2 -0.1 2.6 0.2

消費者物価指数(生鮮食品除く総合2015=100) 101.0 101.1 101.5 101.3 101.7 101.6 102.1 101.9 101.2 101.8 101.0 101.7

前年同期比% 0.8 0.9 0.9 0.8 0.8 0.5 0.6 0.5 0.8 0.6 0.8 0.7

完全失業率(%) 2.4 2.4 2.4 2.5 2.4 2.3 2.3 2.4 2.4 2.3 2.4 2.4

10年物国債利回り(%) 0.04 0.10 0.07 -0.04 -0.10 -0.22 -0.09 -0.13 0.04 -0.13 0.07 -0.11

国際収支統計

貿易収支(季調済年率、兆円) 3.8 0.1 -1.0 0.3 -1.0 0.5 1.9 5.1 0.7 1.6 1.2 0.6

経常収支(季調済年率、億ドル) 1,944 1,667 1,518 1,776 1,740 1,778 1,964 2,342 1,735 1,956 1,741 1,840

経常収支(季調済年率、兆円) 21.2 18.6 17.1 19.6 19.1 19.1 21.4 25.3 19.2 21.4 19.2 20.1

対名目GDP比率(%) 3.9 3.4 3.1 3.5 3.4 3.4 3.9 4.6 3.5 3.9 3.5 3.6

為替レート(¥/$) 109.1 111.5 112.9 110.2 109.8 107.3 108.7 108.1 110.9 108.5 110.4 109.0

     (¥/Euro) 129.0 130.5 128.2 125.3 122.9 118.9 121.5 119.8 128.3 120.8 130.0 122.2

(注1)四半期データの実額と前期比・前期比年率は季節調整値、前年同期比は原系列。年度、暦年データは原系列。

(注2)四捨五入の影響で政府の公表値と異なる場合があります。

年度 暦年

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43 / 53

(1-b) 主要経済指標

2020 2021 2022

4-6 7-9 10-12 1-3 4-6 7-9 10-12 1-3 2020 2021 2020 2021

(予) (予) (予) (予) (予) (予) (予) (予) (予) (予) (予) (予)

名目国内総支出(兆円) 555.4 559.3 561.0 562.3 564.1 565.8 567.7 569.7 559.3 566.7 555.3 564.8

前期比% 1.7 0.7 0.3 0.2 0.3 0.3 0.3 0.3

前期比年率% 6.9 2.8 1.2 1.0 1.3 1.2 1.4 1.4

前年同期比% -0.1 0.2 2.0 2.9 1.6 1.2 1.2 1.3 1.3 1.3 0.2 1.7

実質国内総支出(兆円、2011暦年連鎖価格) 530.4 533.5 534.6 535.3 536.2 537.1 538.3 539.4 533.2 537.6 530.4 536.5

前期比% 1.2 0.6 0.2 0.1 0.2 0.2 0.2 0.2

前期比年率% 4.9 2.3 0.8 0.6 0.6 0.7 0.9 0.8

前年同期比% -1.7 -1.1 0.9 2.1 1.1 0.7 0.7 0.8 0.1 0.8 -1.1 1.2

内需寄与度(前期比) 1.2 0.7 0.2 0.1 0.1 0.1 0.2 0.2 -0.1 0.7 -1.3 1.1

外需寄与度(前期比) -0.0 -0.1 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.1 0.2 0.1 0.2 0.0

GDPデフレーター(前年同期比%) 1.6 1.3 1.1 0.8 0.5 0.5 0.5 0.5 1.2 0.5 1.3 0.6

全産業活動指数(2010=100) 102.7 103.4 103.6 103.7 103.9 104.1 104.3 104.6 103.3 104.1 102.3 103.8

前期比% 2.3 0.6 0.2 0.1 0.2 0.2 0.2 0.2 -0.9 0.8 -3.0 1.5

鉱工業生産指数(2015=100) 98.2 99.0 99.4 99.7 100.1 100.6 101.1 101.7 99.0 100.8 98.2 100.1

前期比% 0.6 0.8 0.4 0.4 0.4 0.5 0.5 0.5 -1.3 1.8 -3.0 1.9

第3次産業活動指数(2010=100) 103.8 104.4 104.6 104.7 104.8 104.9 105.1 105.2 104.3 104.9 103.2 104.8

前期比% 3.0 0.6 0.2 0.1 0.1 0.1 0.2 0.1 -0.7 0.6 -3.0 1.5

企業物価指数(2015=100)

国内企業物価指数 99.5 99.7 99.9 100.0 100.2 100.4 100.7 100.9 99.8 100.6 100.0 100.3

前年同期比% -2.1 -1.3 -2.3 -0.9 0.7 0.7 0.8 0.9 -1.6 0.8 -1.5 0.3

消費者物価指数(生鮮食品除く総合2015=100) 101.8 101.7 101.7 101.6 102.1 102.1 102.2 102.2 101.7 102.2 101.8 102.0

前年同期比% 0.1 0.1 -0.4 -0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 -0.1 0.4 0.1 0.2

完全失業率(%) 2.4 2.5 2.5 2.5 2.5 2.5 2.5 2.5 2.5 2.5 2.5 2.5

10年物国債利回り(%) -0.16 -0.16 -0.16 -0.16 -0.16 -0.16 -0.16 -0.16 -0.16 -0.16 -0.15 -0.16

国際収支統計

貿易収支(季調済年率、兆円) 7.5 7.1 7.1 7.2 7.3 7.5 7.8 8.0 7.2 7.7 6.7 7.5

経常収支(季調済年率、億ドル) 2,702 2,637 2,653 2,667 2,682 2,706 2,736 2,767 2,665 2,723 2,584 2,698

経常収支(季調済年率、兆円) 28.4 27.7 27.9 28.0 28.2 28.4 28.7 29.1 28.2 28.8 27.3 28.3

対名目GDP比率(%) 5.1 5.0 5.0 5.0 5.0 5.0 5.1 5.1 5.0 5.1 4.9 5.0

為替レート(¥/$) 105.0 105.0 105.0 105.0 105.0 105.0 105.0 105.0 105.0 105.0 105.8 105.0

     (¥/Euro) 118.0 118.0 118.0 118.0 118.0 118.0 118.0 118.0 118.0 118.0 118.4 118.0

(注1)四半期データの実額と前期比・前期比年率は季節調整値、前年同期比は原系列。年度、暦年データは原系列。

(注2)四捨五入の影響で政府の公表値と異なる場合があります。

暦年年度

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44 / 53

(2-a) 実質国内総支出(兆円、2011暦年連鎖価格)

2018 2019 2020

4-6 7-9 10-12 1-3 4-6 7-9 10-12 1-3 2018 2019 2018 2019

(予) (予)

国内総支出 534.9 530.4 533.6 536.5 539.5 539.7 529.9 524.1 533.6 533.0 532.6 536.1

前期比年率% 2.0 -3.3 2.4 2.2 2.3 0.1 -7.1 -4.3

前年同期比% 1.0 -0.3 -0.3 0.8 0.9 1.7 -0.7 -2.3 0.3 -0.1 0.3 0.7

国内需要 534.7 531.2 536.8 537.2 541.8 543.3 530.9 524.2 534.8 534.7 533.6 538.0

前期比年率% 2.0 -2.6 4.3 0.3 3.4 1.1 -8.8 -5.0

前年同期比% 0.5 -0.2 0.2 0.9 1.3 2.3 -1.1 -2.4 0.4 -0.0 0.3 0.8

民間需要 401.1 398.0 403.2 403.6 405.9 406.3 393.5 386.3 401.4 397.7 400.4 402.1

前期比年率% 1.8 -3.0 5.3 0.4 2.3 0.4 -12.0 -7.1

前年同期比% 0.4 -0.5 0.0 1.0 1.2 2.1 -2.5 -4.3 0.2 -0.9 0.1 0.4

民間最終消費支出 299.0 298.3 299.5 299.6 301.3 302.7 294.3 287.3 299.0 296.2 298.8 299.3

前期比年率% 0.9 -0.9 1.5 0.2 2.3 1.8 -10.6 -9.3

前年同期比% -0.3 0.2 -0.0 0.4 0.7 1.4 -1.8 -4.1 0.1 -1.0 -0.0 0.2

民間住宅投資 14.9 15.0 15.2 15.4 15.4 15.6 15.2 15.2 15.1 15.4 15.1 15.4

前期比年率% -9.1 0.6 6.9 6.0 -0.8 5.0 -9.7 -0.8

前年同期比% -9.8 -7.4 -2.9 0.7 3.0 4.3 0.0 -1.6 -4.9 1.4 -6.7 2.0

民間企業設備投資 86.8 83.1 86.8 86.4 87.1 87.3 83.2 83.1 85.7 85.1 85.4 86.0

前期比年率% 8.8 -16.1 18.8 -1.7 3.2 0.9 -17.3 -0.4

前年同期比% 4.5 -0.6 2.0 1.4 0.4 5.4 -4.4 -3.7 1.7 -0.8 2.1 0.7

民間在庫変動 0.3 1.6 1.7 2.1 2.1 0.8 0.8 0.8 1.5 1.1 1.1 1.4

公的需要 133.6 133.2 133.6 133.6 135.9 137.0 137.4 137.9 133.4 137.0 133.2 135.9

前期比年率% 2.5 -1.3 1.2 0.2 6.9 3.2 1.4 1.3

前年同期比% 0.9 0.9 0.8 0.6 1.9 2.9 2.9 3.2 0.8 2.7 0.8 2.1

政府最終消費支出 106.9 107.1 107.8 107.4 109.2 110.0 110.3 110.6 107.2 110.0 107.1 109.2

前期比年率% 0.5 0.6 2.7 -1.5 6.8 3.0 0.9 1.4

前年同期比% 0.8 0.9 1.3 0.5 2.1 2.8 2.3 3.0 0.9 2.6 0.9 1.9

公的固定資本形成 26.6 26.0 25.7 26.3 26.7 27.0 27.2 27.2 26.1 27.1 26.0 26.8

前期比年率% 10.9 -8.9 -4.2 8.5 7.1 4.5 2.8 0.8

前年同期比% 1.6 1.0 -1.0 1.0 1.0 3.9 5.5 3.9 0.6 3.7 0.3 2.9

公的在庫変動 0.1 0.1 0.0 -0.0 -0.0 -0.0 -0.0 -0.0 0.0 -0.0 0.1 -0.0

財貨・サービスの純輸出 -0.4 -1.3 -3.8 -1.3 -2.8 -4.1 -1.6 -0.7 -1.7 -2.3 -1.5 -2.4

財貨・サービスの輸出 94.2 92.0 93.5 91.8 92.1 91.5 91.4 88.1 92.9 90.8 93.4 91.7

前期比年率% 2.8 -9.0 6.7 -7.3 1.6 -2.8 -0.3 -13.6

前年同期比% 5.9 1.7 1.1 -2.1 -2.2 -0.5 -2.2 -3.9 1.6 -2.2 3.4 -1.8

財貨・サービスの輸入 94.6 93.3 97.3 93.1 94.9 95.6 93.0 88.8 94.6 93.1 94.9 94.2

前期比年率% 2.7 -5.5 18.3 -16.3 8.2 2.8 -10.2 -16.8

前年同期比% 2.9 2.9 4.2 -1.2 0.2 2.6 -4.4 -4.4 2.2 -1.6 3.4 -0.8

(注1)需要の小計(国内、民間、公的)は各構成項目の単純集計値であり、政府発表の系列とは異なります。

(注2)四半期データの実額と前期比年率は季節調整値、前年同期比は原系列。年度、暦年データは原系列。

(注3)四捨五入の影響で政府の公表値と異なる場合があります。

年度 暦年

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45 / 53

(2-b) 実質国内総支出(兆円、2011暦年連鎖価格)

2020 2021 2022

4-6 7-9 10-12 1-3 4-6 7-9 10-12 1-3 2020 2021 2020 2021

(予) (予) (予) (予) (予) (予) (予) (予) (予) (予) (予) (予)

国内総支出 530.4 533.5 534.6 535.3 536.2 537.1 538.3 539.4 533.2 537.6 530.4 536.5

前期比年率% 4.9 2.3 0.8 0.6 0.6 0.7 0.9 0.8

前年同期比% -1.7 -1.1 0.9 2.1 1.1 0.7 0.7 0.8 0.1 0.8 -1.1 1.2

国内需要 530.7 534.6 535.6 536.3 537.0 537.7 538.7 539.5 534.2 538.1 531.1 537.2

前期比年率% 5.1 2.9 0.8 0.5 0.5 0.5 0.7 0.6

前年同期比% -2.0 -1.6 0.9 2.3 1.2 0.6 0.5 0.6 -0.1 0.7 -1.3 1.1

民間需要 392.5 396.1 396.9 397.4 397.9 398.4 399.1 399.8 395.6 398.7 392.9 398.0

前期比年率% 6.5 3.7 0.8 0.5 0.5 0.5 0.7 0.7

前年同期比% -3.2 -2.5 0.9 2.9 1.3 0.6 0.5 0.6 -0.5 0.8 -2.3 1.3

民間最終消費支出 293.3 296.5 296.9 297.3 297.6 298.0 298.5 299.0 295.9 298.1 293.4 297.7

前期比年率% 8.7 4.5 0.5 0.5 0.5 0.5 0.6 0.6

前年同期比% -2.6 -2.0 0.9 3.5 1.5 0.5 0.5 0.6 -0.1 0.8 -2.0 1.5

民間住宅投資 15.1 15.1 15.1 15.1 15.1 15.1 15.2 15.2 15.1 15.2 15.1 15.1

前期比年率% -0.8 -0.5 0.0 -0.0 0.2 0.2 0.3 0.3

前年同期比% -1.7 -3.1 -0.6 -0.4 -0.1 0.1 0.2 0.3 -1.5 0.1 -1.8 -0.0

民間企業設備投資 83.3 83.7 84.1 84.4 84.6 84.9 85.2 85.5 83.9 85.1 83.6 84.8

前期比年率% 0.8 2.0 1.9 1.4 1.2 1.2 1.4 1.4

前年同期比% -4.4 -4.3 1.2 1.5 1.6 1.5 1.2 1.3 -1.4 1.4 -2.8 1.4

民間在庫変動 0.8 0.8 0.8 0.6 0.5 0.4 0.3 0.2 0.7 0.3 0.8 0.4

公的需要 138.2 138.5 138.7 138.9 139.1 139.3 139.6 139.7 138.5 139.4 138.3 139.2

前期比年率% 1.0 0.7 0.7 0.5 0.6 0.6 0.7 0.5

前年同期比% 1.6 1.1 0.9 0.7 0.7 0.6 0.6 0.6 1.1 0.6 1.7 0.7

政府最終消費支出 110.9 111.2 111.4 111.7 112.0 112.3 112.5 112.8 111.3 112.4 111.0 112.1

前期比年率% 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0

前年同期比% 1.6 1.1 1.1 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0 1.2 1.0 1.7 1.0

公的固定資本形成 27.3 27.3 27.3 27.2 27.1 27.1 27.1 27.0 27.3 27.1 27.3 27.1

前期比年率% 1.2 -0.5 -0.3 -1.3 -0.8 -0.8 -0.3 -1.3

前年同期比% 2.0 1.0 0.4 -0.3 -0.6 -0.8 -0.9 -0.8 0.7 -0.8 1.8 -0.6

公的在庫変動 -0.0 -0.0 -0.0 -0.0 -0.0 -0.0 -0.0 -0.0 -0.0 -0.0 -0.0 -0.0

財貨・サービスの純輸出 -0.9 -1.7 -1.6 -1.5 -1.4 -1.2 -0.9 -0.7 -1.5 -1.1 -1.3 -1.3

財貨・サービスの輸出 91.2 91.5 91.9 92.2 92.5 92.9 93.4 93.9 91.7 93.2 90.7 92.8

前期比年率% 14.8 1.4 1.6 1.2 1.4 1.8 2.2 2.2

前年同期比% -1.0 0.0 0.5 4.5 1.4 1.5 1.7 1.9 1.0 1.6 -1.1 2.3

財貨・サービスの輸入 92.1 93.2 93.5 93.7 93.9 94.1 94.4 94.6 93.2 94.3 92.0 94.0

前期比年率% 15.6 4.7 1.2 0.8 0.9 0.9 1.1 1.0

前年同期比% -2.9 -2.6 0.5 5.4 1.9 1.0 0.9 1.0 0.0 1.2 -2.3 2.3

(注1)需要の小計(国内、民間、公的)は各構成項目の単純集計値であり、政府発表の系列とは異なります。

(注2)四半期データの実額と前期比年率は季節調整値、前年同期比は原系列。年度、暦年データは原系列。

(注3)四捨五入の影響で政府の公表値と異なる場合があります。

年度 暦年

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46 / 53

(3-a) 名目国内総支出(兆円)

2018 2019 2020

4-6 7-9 10-12 1-3 4-6 7-9 10-12 1-3 2018 2019 2018 2019

(予) (予)

国内総支出 549.2 545.5 546.7 552.7 556.0 558.2 549.9 546.3 548.4 552.4 547.1 554.0

前期比年率% 1.1 -2.7 0.9 4.4 2.4 1.7 -5.8 -2.6

前年同期比% 1.2 -0.6 -0.9 0.9 1.3 2.3 0.5 -1.2 0.1 0.7 0.2 1.2

国内需要 546.2 544.6 549.4 550.5 555.6 558.2 547.1 539.8 547.5 549.9 545.8 552.6

前期比年率% 1.7 -1.2 3.6 0.8 3.8 1.9 -7.7 -5.2

前年同期比% 1.2 0.6 0.5 1.2 1.8 2.5 -0.5 -2.0 0.9 0.4 0.9 1.2

民間需要 408.9 407.9 413.6 412.7 415.5 417.0 405.9 398.0 410.7 408.8 409.4 412.5

前期比年率% 1.2 -0.9 5.6 -0.8 2.7 1.5 -10.3 -7.5

前年同期比% 0.9 0.2 0.7 1.3 1.6 2.2 -1.9 -3.6 0.8 -0.5 0.8 0.8

民間最終消費支出 303.6 304.5 305.7 305.2 307.3 309.2 302.4 294.5 304.7 303.2 304.4 305.8

前期比年率% -0.5 1.2 1.6 -0.7 2.9 2.5 -8.6 -10.0

前年同期比% 0.1 0.9 0.5 0.4 1.2 1.4 -1.1 -3.5 0.5 -0.5 0.6 0.5

民間住宅投資 16.3 16.3 16.6 16.9 16.9 17.1 17.0 17.0 16.5 17.0 16.4 17.0

前期比年率% -6.5 1.4 7.8 5.7 0.3 6.4 -3.1 -0.4

前年同期比% -7.8 -5.9 -1.4 1.8 3.7 5.1 2.4 0.8 -3.4 3.0 -5.0 3.2

民間企業設備投資 88.6 85.6 89.3 88.7 89.2 90.1 85.9 85.9 88.0 87.6 87.5 88.4

前期比年率% 8.8 -13.1 18.9 -2.6 1.9 4.2 -17.5 -0.0

前年同期比% 5.2 0.1 2.7 2.2 0.8 5.6 -4.3 -3.2 2.5 -0.5 2.8 1.0

民間在庫変動 0.4 1.5 1.9 1.9 2.1 0.6 0.6 0.6 1.5 1.0 1.1 1.3

公的需要 137.3 136.6 135.8 137.7 140.1 141.2 141.3 141.8 136.8 141.1 136.4 140.1

前期比年率% 3.3 -1.9 -2.3 5.7 7.0 3.3 0.1 1.6

前年同期比% 2.3 1.9 -0.1 1.1 2.3 3.5 3.8 3.1 1.3 3.2 1.4 2.7

政府最終消費支出 108.6 108.5 107.9 109.3 111.0 111.7 111.3 111.7 108.5 111.4 108.3 110.8

前期比年率% 0.7 -0.5 -2.0 5.0 6.5 2.6 -1.5 1.7

前年同期比% 2.1 1.7 -0.3 0.7 2.4 3.2 2.8 2.3 1.0 2.7 1.1 2.3

公的固定資本形成 28.6 28.1 27.9 28.5 29.1 29.5 30.0 30.1 28.2 29.7 28.0 29.3

前期比年率% 14.0 -7.4 -2.8 9.0 8.8 6.3 6.3 1.4

前年同期比% 3.7 2.7 0.9 2.6 2.2 5.2 7.5 5.8 2.4 5.4 2.1 4.5

公的在庫変動 0.1 0.1 0.0 0.0 0.0 -0.0 -0.0 -0.0 0.0 -0.0 0.1 -0.0

財貨・サービスの純輸出 3.1 1.0 -2.7 2.2 0.4 0.0 2.8 6.4 0.8 2.4 1.3 1.4

財貨・サービスの輸出 101.6 101.3 101.6 98.0 97.7 96.1 95.6 91.5 100.6 95.2 101.4 96.8

前期比年率% 3.6 -1.1 1.3 -13.6 -1.3 -6.1 -2.3 -16.0

前年同期比% 7.9 3.7 1.4 -3.1 -3.6 -4.8 -6.4 -6.5 2.3 -5.3 4.6 -4.5

財貨・サービスの輸入 98.6 100.3 104.3 95.8 97.3 96.1 92.8 85.0 99.7 92.8 100.1 95.4

前期比年率% 7.3 7.5 16.8 -29.0 6.5 -4.7 -13.2 -29.4

前年同期比% 8.6 11.4 9.3 -1.4 -1.0 -4.1 -11.3 -11.0 6.8 -6.9 9.0 -4.6

(注1)四半期データの実額と前期比年率は季節調整値、前年同期比は原系列。年度、暦年データは原系列。

(注2)四捨五入の影響で政府の公表値と異なる場合があります。

年度 暦年

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47 / 53

(3-b) 名目国内総支出(兆円)

2020 2021 2022

4-6 7-9 10-12 1-3 4-6 7-9 10-12 1-3 2020 2021 2020 2021

(予) (予) (予) (予) (予) (予) (予) (予) (予) (予) (予) (予)

国内総支出 555.4 559.3 561.0 562.3 564.1 565.8 567.7 569.7 559.3 566.7 555.3 564.8

前期比年率% 6.9 2.8 1.2 1.0 1.3 1.2 1.4 1.4

前年同期比% -0.1 0.2 2.0 2.9 1.6 1.2 1.2 1.3 1.3 1.3 0.2 1.7

国内需要 545.8 550.3 551.9 553.2 554.8 556.2 557.8 559.5 550.2 556.9 546.8 555.3

前期比年率% 4.5 3.3 1.2 0.9 1.2 1.0 1.2 1.2

前年同期比% -1.7 -1.4 0.9 2.5 1.6 1.1 1.0 1.2 0.1 1.2 -1.0 1.5

民間需要 403.5 407.7 408.9 409.8 411.1 412.2 413.4 414.8 407.4 412.7 404.4 411.5

前期比年率% 5.7 4.1 1.2 0.9 1.2 1.1 1.2 1.3

前年同期比% -2.8 -2.2 0.8 3.0 1.8 1.1 1.1 1.3 -0.3 1.3 -2.0 1.7

民間最終消費支出 299.8 303.4 304.1 304.8 305.8 306.6 307.5 308.5 302.9 306.9 300.4 306.0

前期比年率% 7.4 4.9 0.9 0.9 1.3 1.0 1.2 1.3

前年同期比% -2.4 -1.8 0.6 3.5 2.0 1.0 1.1 1.2 -0.1 1.3 -1.8 1.9

民間住宅投資 17.0 17.0 17.0 17.0 17.1 17.1 17.1 17.1 17.0 17.1 17.0 17.1

前期比年率% -0.0 0.3 0.6 0.4 0.6 0.6 0.7 0.7

前年同期比% 0.7 -0.8 0.0 0.3 0.4 0.6 0.6 0.7 0.0 0.6 0.2 0.5

民間企業設備投資 86.1 86.6 87.1 87.5 87.9 88.2 88.6 89.0 86.9 88.4 86.4 88.0

前期比年率% 1.2 2.4 2.3 1.8 1.6 1.6 1.8 1.8

前年同期比% -3.5 -4.0 1.7 1.9 2.1 1.9 1.6 1.7 -0.9 1.8 -2.3 1.8

民間在庫変動 0.6 0.6 0.6 0.5 0.4 0.3 0.2 0.2 0.6 0.3 0.6 0.4

公的需要 142.3 142.7 143.0 143.3 143.7 144.0 144.4 144.7 142.8 144.2 142.4 143.9

前期比年率% 1.4 1.0 1.1 0.8 1.0 1.0 1.1 0.8

前年同期比% 1.4 1.0 1.4 1.0 1.1 1.0 0.9 0.9 1.2 1.0 1.7 1.0

政府最終消費支出 112.1 112.4 112.8 113.1 113.4 113.8 114.1 114.5 112.5 113.9 112.2 113.6

前期比年率% 1.2 1.2 1.2 1.2 1.2 1.2 1.2 1.2

前年同期比% 0.9 0.5 1.5 1.2 1.2 1.3 1.1 1.2 1.0 1.2 1.3 1.2

公的固定資本形成 30.2 30.3 30.3 30.3 30.3 30.3 30.3 30.3 30.3 30.3 30.2 30.3

前期比年率% 2.0 0.3 0.5 -0.5 0.0 0.0 0.5 -0.5

前年同期比% 3.6 2.5 1.1 0.5 0.2 -0.0 -0.0 0.0 1.8 0.0 3.2 0.2

公的在庫変動 -0.0 -0.0 -0.0 -0.0 -0.0 -0.0 -0.0 -0.0 -0.0 -0.0 -0.0 -0.0

財貨・サービスの純輸出 9.6 8.9 9.1 9.2 9.3 9.6 9.9 10.2 9.2 9.8 8.5 9.5

財貨・サービスの輸出 93.4 93.8 94.2 94.6 95.0 95.6 96.2 96.8 94.0 95.9 93.2 95.4

前期比年率% 8.5 1.8 2.0 1.6 1.8 2.2 2.6 2.6

前年同期比% -4.6 -2.6 -1.2 3.3 1.9 2.0 2.0 2.4 -1.3 2.1 -3.7 2.3

財貨・サービスの輸入 83.8 84.8 85.2 85.4 85.7 86.0 86.3 86.6 84.8 86.2 84.7 85.9

前期比年率% -5.8 5.1 1.6 1.2 1.3 1.3 1.5 1.4

前年同期比% -14.0 -11.8 -8.1 0.4 2.4 1.4 1.3 1.4 -8.6 1.6 -11.2 1.3

(注1)四半期データの実額と前期比年率は季節調整値、前年同期比は原系列。年度、暦年データは原系列。

(注2)四捨五入の影響で政府の公表値と異なる場合があります。

年度 暦年

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48 / 53

(4-a) デフレーター(2011暦年=100)

2018 2019 2020

4-6 7-9 10-12 1-3 4-6 7-9 10-12 1-3 2018 2019 2018 2019

(予) (予)

国内総支出 102.7 102.9 102.5 103.0 103.1 103.4 103.8 104.2 102.8 103.6 102.7 103.3

前期比% -0.2 0.2 -0.4 0.5 0.0 0.4 0.3 0.4

前年同期比% 0.1 -0.3 -0.6 0.1 0.4 0.6 1.2 1.2 -0.2 0.9 -0.1 0.6

民間最終消費支出 101.5 102.1 102.1 101.9 102.0 102.1 102.7 102.5 101.9 102.4 101.9 102.2

前期比% -0.3 0.5 0.0 -0.2 0.1 0.1 0.6 -0.2

前年同期比% 0.3 0.8 0.6 0.1 0.4 0.0 0.7 0.6 0.4 0.4 0.6 0.3

民間住宅投資 108.8 109.0 109.2 109.2 109.5 109.8 111.8 111.9 109.1 110.7 108.8 110.1

前期比% 0.7 0.2 0.2 -0.1 0.3 0.3 1.8 0.1

前年同期比% 2.2 1.6 1.6 1.1 0.6 0.7 2.3 2.5 1.6 1.6 1.8 1.2

民間企業設備投資 102.0 102.9 103.0 102.7 102.4 103.2 103.2 103.3 102.7 103.0 102.5 102.8

前期比% -0.0 0.9 0.0 -0.2 -0.3 0.8 -0.0 0.1

前年同期比% 0.7 0.7 0.7 0.7 0.5 0.2 0.1 0.5 0.7 0.3 0.6 0.4

政府最終消費支出 101.6 101.3 100.1 101.7 101.6 101.6 100.9 101.0 101.2 101.3 101.2 101.5

前期比% 0.0 -0.3 -1.2 1.6 -0.1 -0.1 -0.6 0.1

前年同期比% 1.2 0.8 -1.6 0.1 0.2 0.4 0.6 -0.7 0.1 0.1 0.3 0.3

公的固定資本形成 107.5 108.0 108.3 108.5 108.9 109.3 110.3 110.4 108.1 109.8 107.6 109.3

前期比% 0.7 0.4 0.3 0.1 0.4 0.4 0.9 0.1

前年同期比% 2.1 1.7 1.9 1.6 1.3 1.2 1.9 1.8 1.8 1.6 1.8 1.5

財貨・サービスの輸出 107.8 110.1 108.7 106.8 106.0 105.1 104.6 103.8 108.3 104.9 108.6 105.6

前期比% 0.2 2.1 -1.3 -1.7 -0.7 -0.9 -0.5 -0.7

前年同期比% 1.9 2.0 0.3 -1.0 -1.5 -4.3 -4.2 -2.7 0.8 -3.2 1.1 -2.8

財貨・サービスの輸入 104.1 107.5 107.2 102.9 102.5 100.6 99.7 95.7 105.4 99.7 105.5 101.4

前期比% 1.1 3.3 -0.3 -4.0 -0.4 -1.9 -0.8 -4.0

前年同期比% 5.5 8.3 5.0 -0.2 -1.2 -6.5 -7.2 -6.9 4.6 -5.5 5.4 -3.9

(注1)四半期データの指数と前期比は季節調整値、前年同期比は原系列。年度、暦年データは原系列。

(注2)四捨五入の影響で政府の公表値と異なる場合があります。

年度 暦年

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49 / 53

(4-b) デフレーター(2011暦年=100)

2020 2021 2022

4-6 7-9 10-12 1-3 4-6 7-9 10-12 1-3 2020 2021 2020 2021

(予) (予) (予) (予) (予) (予) (予) (予) (予) (予) (予) (予)

国内総支出 104.7 104.8 104.9 105.0 105.2 105.3 105.5 105.6 104.9 105.4 104.7 105.3

前期比% 0.5 0.1 0.1 0.1 0.2 0.1 0.1 0.1

前年同期比% 1.6 1.3 1.1 0.8 0.5 0.5 0.5 0.5 1.2 0.5 1.3 0.6

民間最終消費支出 102.2 102.3 102.4 102.5 102.7 102.9 103.0 103.2 102.4 103.0 102.4 102.8

前期比% -0.3 0.1 0.1 0.1 0.2 0.1 0.1 0.2

前年同期比% 0.2 0.2 -0.3 0.0 0.5 0.5 0.6 0.6 0.0 0.6 0.2 0.4

民間住宅投資 112.1 112.3 112.5 112.6 112.7 112.8 113.0 113.1 112.4 112.9 112.2 112.8

前期比% 0.2 0.2 0.1 0.1 0.1 0.1 0.1 0.1

前年同期比% 2.4 2.3 0.6 0.6 0.5 0.4 0.4 0.4 1.5 0.4 2.0 0.5

民間企業設備投資 103.4 103.5 103.6 103.7 103.8 103.9 104.0 104.1 103.5 103.9 103.4 103.8

前期比% 0.1 0.1 0.1 0.1 0.1 0.1 0.1 0.1

前年同期比% 0.9 0.3 0.5 0.4 0.4 0.4 0.4 0.4 0.5 0.4 0.5 0.4

政府最終消費支出 101.0 101.1 101.2 101.2 101.3 101.4 101.4 101.5 101.1 101.4 101.1 101.3

前期比% 0.1 0.1 0.1 0.1 0.1 0.1 0.1 0.1

前年同期比% -0.7 -0.5 0.4 0.2 0.3 0.3 0.2 0.2 -0.1 0.2 -0.4 0.2

公的固定資本形成 110.7 110.9 111.1 111.3 111.5 111.8 112.0 112.2 111.0 111.9 110.8 111.7

前期比% 0.2 0.2 0.2 0.2 0.2 0.2 0.2 0.2

前年同期比% 1.6 1.4 0.7 0.8 0.8 0.8 0.8 0.8 1.1 0.8 1.4 0.8

財貨・サービスの輸出 102.4 102.5 102.6 102.7 102.8 102.9 103.0 103.1 102.5 102.9 102.8 102.8

前期比% -1.4 0.1 0.1 0.1 0.1 0.1 0.1 0.1

前年同期比% -3.6 -2.6 -1.7 -1.2 0.5 0.5 0.3 0.4 -2.3 0.4 -2.6 0.0

財貨・サービスの輸入 90.9 91.0 91.1 91.2 91.3 91.4 91.5 91.6 91.0 91.4 92.1 91.3

前期比% -5.0 0.1 0.1 0.1 0.1 0.1 0.1 0.1

前年同期比% -11.4 -9.5 -8.5 -4.7 0.5 0.4 0.3 0.4 -8.6 0.4 -9.1 -0.9

(注1)四半期データの指数と前期比は季節調整値、前年同期比は原系列。年度、暦年データは原系列。

(注2)四捨五入の影響で政府の公表値と異なる場合があります。

年度 暦年

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50 / 53

(5-a) 実質経済成長率に対する寄与度

2018 2019 2020

4-6 7-9 10-12 1-3 4-6 7-9 10-12 1-3 2018 2019 2018 2019

(予) (予)

1. 前期比%

実質GDP成長率 0.5 -0.8 0.6 0.5 0.6 0.0 -1.8 -1.1 0.3 -0.1 0.3 0.7

国内需要 0.5 -0.7 1.0 0.1 0.8 0.3 -2.3 -1.3 0.4 -0.0 0.3 0.8

民間需要 0.3 -0.6 1.0 0.1 0.4 0.1 -2.4 -1.4 0.2 -0.7 0.1 0.3

民間最終消費支出 0.1 -0.1 0.2 0.0 0.3 0.3 -1.5 -1.3 0.0 -0.5 -0.0 0.1

民間住宅投資 -0.1 0.0 0.0 0.0 -0.0 0.0 -0.1 -0.0 -0.1 0.0 -0.2 0.1

民間企業設備投資 0.3 -0.7 0.7 -0.1 0.1 0.0 -0.7 -0.0 0.3 -0.1 0.3 0.1

民間在庫変動 -0.1 0.2 0.0 0.1 -0.0 -0.2 0.0 0.0 0.0 -0.1 -0.0 0.1

公的需要 0.2 -0.1 0.1 0.0 0.4 0.2 0.1 0.1 0.2 0.7 0.2 0.5

政府最終消費支出 0.0 0.0 0.1 -0.1 0.3 0.1 0.0 0.1 0.2 0.5 0.2 0.4

公的固定資本形成 0.1 -0.1 -0.1 0.1 0.1 0.1 0.0 0.0 0.0 0.2 0.0 0.1

公的在庫変動 0.0 0.0 -0.0 -0.0 0.0 -0.0 0.0 0.0 -0.0 -0.0 0.0 -0.0

財貨・サービスの純輸出 0.0 -0.2 -0.4 0.5 -0.3 -0.3 0.5 0.2 -0.1 -0.1 -0.0 -0.2

財貨・サービスの輸出 0.1 -0.4 0.3 -0.4 0.1 -0.1 -0.0 -0.6 0.3 -0.4 0.6 -0.3

財貨・サービスの輸入 -0.1 0.2 -0.7 0.8 -0.4 -0.1 0.5 0.8 -0.4 0.3 -0.6 0.1

2. 前年同期比%

実質GDP成長率 1.0 -0.3 -0.3 0.8 0.9 1.7 -0.7 -2.3 0.3 -0.1 0.3 0.7

国内需要 0.5 -0.2 0.3 0.9 1.3 2.3 -1.1 -2.4 0.4 -0.0 0.3 0.8

民間需要 0.3 -0.4 0.1 0.8 0.9 1.6 -1.8 -3.2 0.2 -0.7 0.1 0.3

民間最終消費支出 -0.2 0.1 -0.0 0.2 0.4 0.8 -1.0 -2.3 0.0 -0.5 -0.0 0.1

民間住宅投資 -0.3 -0.2 -0.1 0.0 0.1 0.1 0.0 -0.0 -0.1 0.0 -0.2 0.1

民間企業設備投資 0.6 -0.1 0.3 0.3 0.1 0.8 -0.7 -0.7 0.3 -0.1 0.3 0.1

民間在庫変動 0.1 -0.1 -0.2 0.3 0.3 -0.2 -0.2 -0.3 0.0 -0.1 -0.0 0.1

公的需要 0.2 0.2 0.2 0.2 0.5 0.7 0.7 0.8 0.2 0.7 0.2 0.5

政府最終消費支出 0.2 0.2 0.3 0.1 0.4 0.5 0.4 0.6 0.2 0.5 0.2 0.4

公的固定資本形成 0.1 0.1 -0.1 0.1 0.0 0.2 0.3 0.2 0.0 0.2 0.0 0.1

公的在庫変動 -0.0 -0.0 -0.0 -0.0 -0.0 -0.0 -0.0 0.0 -0.0 -0.0 0.0 -0.0

財貨・サービスの純輸出 0.5 -0.2 -0.5 -0.2 -0.4 -0.6 0.4 0.1 -0.1 -0.1 -0.0 -0.2

財貨・サービスの輸出 1.0 0.3 0.2 -0.4 -0.4 -0.1 -0.4 -0.7 0.3 -0.4 0.6 -0.3

財貨・サービスの輸入 -0.5 -0.5 -0.7 0.2 -0.0 -0.5 0.8 0.8 -0.4 0.3 -0.6 0.1

(注1)四半期データの前期比は季節調整値、前年同期比は原系列。年度、暦年データは原系列。

(注2)項目の一部の寄与度は簡便法による。

(注3)四捨五入の影響で政府の公表値と異なる場合があります。

年度 暦年

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51 / 53

(5-b) 実質経済成長率に対する寄与度 

2020 2021 2022

4-6 7-9 10-12 1-3 4-6 7-9 10-12 1-3 2020 2021 2020 2021

(予) (予) (予) (予) (予) (予) (予) (予) (予) (予) (予) (予)

1. 前期比%

実質GDP成長率 1.2 0.6 0.2 0.1 0.2 0.2 0.2 0.2 0.1 0.8 -1.1 1.2

国内需要 1.2 0.7 0.2 0.1 0.1 0.1 0.2 0.2 -0.1 0.7 -1.3 1.1

民間需要 1.2 0.7 0.1 0.1 0.1 0.1 0.1 0.1 -0.4 0.6 -1.7 1.0

民間最終消費支出 1.2 0.6 0.1 0.1 0.1 0.1 0.1 0.1 -0.1 0.4 -1.1 0.8

民間住宅投資 -0.0 -0.0 0.0 -0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 -0.0 0.0 -0.1 -0.0

民間企業設備投資 0.0 0.1 0.1 0.1 0.0 0.0 0.1 0.1 -0.2 0.2 -0.4 0.2

民間在庫変動 0.0 0.0 0.0 -0.0 -0.0 -0.0 -0.0 -0.0 -0.1 -0.1 -0.1 -0.1

公的需要 0.1 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.3 0.2 0.4 0.2

政府最終消費支出 0.1 0.1 0.1 0.1 0.1 0.1 0.1 0.1 0.2 0.2 0.3 0.2

公的固定資本形成 0.0 -0.0 -0.0 -0.0 -0.0 -0.0 -0.0 -0.0 0.0 -0.0 0.1 -0.0

公的在庫変動 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 -0.0 -0.0

財貨・サービスの純輸出 -0.0 -0.1 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.1 0.2 0.1 0.2 0.0

財貨・サービスの輸出 0.6 0.1 0.1 0.1 0.1 0.1 0.1 0.1 0.2 0.3 -0.2 0.4

財貨・サービスの輸入 -0.6 -0.2 -0.1 -0.0 -0.0 -0.0 -0.0 -0.0 -0.0 -0.2 0.4 -0.3

2. 前年同期比%

実質GDP成長率 -1.7 -1.1 0.9 2.1 1.1 0.7 0.7 0.8 0.1 0.8 -1.1 1.2

国内需要 -2.0 -1.6 0.9 2.3 1.2 0.6 0.5 0.6 -0.1 0.7 -1.3 1.1

民間需要 -2.4 -1.9 0.7 2.1 1.0 0.4 0.4 0.5 -0.4 0.6 -1.7 1.0

民間最終消費支出 -1.5 -1.1 0.5 1.9 0.8 0.3 0.3 0.3 -0.1 0.4 -1.1 0.8

民間住宅投資 -0.0 -0.1 -0.0 -0.0 -0.0 0.0 0.0 0.0 -0.0 0.0 -0.1 -0.0

民間企業設備投資 -0.7 -0.7 0.2 0.3 0.2 0.2 0.2 0.2 -0.2 0.2 -0.4 0.2

民間在庫変動 -0.2 0.0 0.0 -0.0 -0.1 -0.1 -0.1 -0.1 -0.1 -0.1 -0.1 -0.1

公的需要 0.4 0.3 0.2 0.2 0.2 0.2 0.1 0.2 0.3 0.2 0.4 0.2

政府最終消費支出 0.3 0.2 0.2 0.2 0.2 0.2 0.2 0.2 0.2 0.2 0.3 0.2

公的固定資本形成 0.1 0.0 0.0 -0.0 -0.0 -0.0 -0.0 -0.0 0.0 -0.0 0.1 -0.0

公的在庫変動 -0.0 0.0 -0.0 -0.0 0.0 -0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 -0.0 -0.0

財貨・サービスの純輸出 0.3 0.5 0.0 -0.1 -0.1 0.1 0.1 0.2 0.2 0.1 0.2 0.0

財貨・サービスの輸出 -0.2 0.0 0.1 0.8 0.2 0.3 0.3 0.3 0.2 0.3 -0.2 0.4

財貨・サービスの輸入 0.5 0.5 -0.1 -0.9 -0.3 -0.2 -0.2 -0.2 -0.0 -0.2 0.4 -0.3

(注1)四半期データの前期比は季節調整値、前年同期比は原系列。年度、暦年データは原系列。

(注2)項目の一部の寄与度は簡便法による。

(注3)四捨五入の影響で政府の公表値と異なる場合があります。

年度 暦年

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52 / 53

(6-a) 主要前提条件

2018 2019 2020

4-6 7-9 10-12 1-3 4-6 7-9 10-12 1-3 2018 2019 2018 2019

(予) (予)

1. 世界経済

主要貿易相手国・地域経済成長率

  (貿易額加重平均)

前年同期比% 4.2 3.7 3.5 3.2 3.1 2.9 2.9 2.0 3.7 2.7 3.9 3.0

原油価格(WTI、$/bbl) 67.9 69.4 59.3 54.9 59.9 56.4 56.9 49.4 62.9 55.6 64.9 57.0

前年同期比% 41.0 44.1 7.3 -12.7 -11.8 -18.7 -4.2 -10.1 17.3 -11.5 27.6 -12.1

2. 米国経済

実質GDP(10億ドル、2012年連鎖) 18,598 18,733 18,784 18,927 19,022 19,121 19,221 19,311 18,760 19,169 18,638 19,073

前期比年率% 3.5 2.9 1.1 3.1 2.0 2.1 2.1 1.9

前年同期比% 3.2 3.1 2.5 2.7 2.3 2.1 2.3 2.0 2.9 2.2 2.9 2.3

消費者物価指数(1982-1984=100) 250.6 251.9 252.7 253.3 255.2 256.3 257.8 259.2 252.1 257.1 251.1 255.7

前期比年率% 2.2 2.1 1.3 0.9 3.0 1.8 2.4 2.2

前年同期比% 2.7 2.6 2.2 1.6 1.8 1.8 2.0 2.4 2.3 2.0 2.4 1.8

生産者物価指数(最終需要、09/11=100) 115.9 116.6 117.4 117.3 118.3 118.5 118.7 119.6 116.8 118.8 116.2 118.2

前期比年率% 2.9 2.2 2.9 -0.3 3.3 0.7 0.8 3.0

前年同期比% 3.0 3.0 2.8 1.9 2.0 1.7 1.2 1.9 2.7 1.7 2.9 1.7

FFレート(期末、%) 2.00 2.25 2.50 2.50 2.50 2.00 1.75 0.75 2.50 0.75 2.50 1.75

10年物国債利回り(%) 2.92 2.93 3.03 2.65 2.33 1.80 1.79 1.34 2.88 1.82 2.91 2.14

3. 日本経済

名目政府最終消費支出(兆円) 108.6 108.5 107.9 109.3 111.0 111.7 111.3 111.7 108.5 111.4 108.3 110.8

前期比年率% 0.7 -0.5 -2.0 5.0 6.5 2.6 -1.5 1.7

前年同期比% 2.1 1.7 -0.3 0.7 2.4 3.2 2.8 2.3 1.0 2.7 1.1 2.3

名目公的固定資本形成(兆円) 28.6 28.1 27.9 28.5 29.1 29.5 30.0 30.1 28.2 29.7 28.0 29.3

前期比年率% 14.0 -7.4 -2.8 9.0 8.8 6.3 6.3 1.4

前年同期比% 3.7 2.7 0.9 2.6 2.2 5.2 7.5 5.8 2.4 5.4 2.1 4.5

為替レート(¥/$) 109.1 111.5 112.9 110.2 109.8 107.3 108.7 108.1 110.9 108.5 110.4 109.0

     (¥/Euro) 129.0 130.5 128.2 125.3 122.9 118.9 121.5 119.8 128.3 120.8 130.0 122.2

(注)四捨五入の影響で政府の公表値と異なる場合があります。

年度 暦年

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53 / 53

(6-b) 主要前提条件

2020 2021 2022

4-6 7-9 10-12 1-3 4-6 7-9 10-12 1-3 2020 2021 2020 2021

(予) (予) (予) (予) (予) (予) (予) (予) (予) (予) (予) (予)

1. 世界経済

主要貿易相手国・地域経済成長率

  (貿易額加重平均)

前年同期比% 2.9 3.1 3.1 3.3 3.3 3.2 3.3 3.3 3.1 3.3 2.8 3.2

原油価格(WTI、$/bbl) 40.0 40.0 40.0 40.0 40.0 40.0 40.0 40.0 40.0 40.0 42.3 40.0

前年同期比% -33.2 -29.1 -29.7 -19.0 0.0 0.0 0.0 0.0 -28.1 0.0 -25.8 -5.5

2. 米国経済

実質GDP(10億ドル、2012年連鎖) 19,388 19,484 19,581 19,678 19,776 19,869 19,968 20,067 19,533 19,920 19,441 19,823

前期比年率% 1.6 2.0 2.0 2.0 2.0 1.9 2.0 2.0

前年同期比% 1.9 1.9 1.9 1.9 2.0 2.0 2.0 2.0 1.9 2.0 1.9 2.0

消費者物価指数(1982-1984=100) 260.3 261.6 262.8 264.0 265.3 266.7 268.0 269.2 262.2 267.3 261.0 266.0

前期比年率% 1.7 1.9 1.9 1.9 2.0 2.0 2.0 1.8

前年同期比% 2.0 2.0 1.9 1.8 1.9 1.9 2.0 1.9 2.0 2.0 2.1 1.9

生産者物価指数(最終需要、09/11=100) 120.1 120.6 121.1 121.6 122.2 122.7 123.3 123.8 120.9 123.0 120.4 122.5

前期比年率% 1.6 1.8 1.7 1.7 1.8 1.8 1.8 1.7

前年同期比% 1.5 1.8 2.0 1.7 1.7 1.7 1.8 1.8 1.8 1.8 1.8 1.7

FFレート(期末、%) 0.75 0.75 0.75 0.75 0.75 0.75 0.75 0.75 0.75 0.75 0.75 0.75

10年物国債利回り(%) 0.88 1.11 1.21 1.23 1.22 1.22 1.22 1.22 1.11 1.22 1.14 1.22

3. 日本経済

名目政府最終消費支出(兆円) 112.1 112.4 112.8 113.1 113.4 113.8 114.1 114.5 112.5 113.9 112.2 113.6

前期比年率% 1.2 1.2 1.2 1.2 1.2 1.2 1.2 1.2

前年同期比% 0.9 0.5 1.5 1.2 1.2 1.3 1.1 1.2 1.0 1.2 1.3 1.2

名目公的固定資本形成(兆円) 30.2 30.3 30.3 30.3 30.3 30.3 30.3 30.3 30.3 30.3 30.2 30.3

前期比年率% 2.0 0.3 0.5 -0.5 0.0 0.0 0.5 -0.5

前年同期比% 3.6 2.5 1.1 0.5 0.2 -0.0 -0.0 0.0 1.8 0.0 3.2 0.2

為替レート(¥/$) 105.0 105.0 105.0 105.0 105.0 105.0 105.0 105.0 105.0 105.0 105.8 105.0

     (¥/Euro) 118.0 118.0 118.0 118.0 118.0 118.0 118.0 118.0 118.0 118.0 118.4 118.0

(注)四捨五入の影響で政府の公表値と異なる場合があります。

年度 暦年