20203 月号 2020 年 看護の力で健康な社会を!nursing...

6
3 月号 2020 看護の力で健康な社会を! Nursing Nowは、ナイチンゲール生誕 200 年を機に、看護職が持つ可能 性を最大限に発揮し、人々の健康向上に貢献するために行動する世界的 なキャンペーンです。日本看護協会は、日本看護連盟と連携し、「看護の 力で健康な社会を!」をテーマに、キャンペーンに取り組んでいます。

Upload: others

Post on 26-Jun-2020

1 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

  • 3月号

    2020年

    看護の力で健康な社会を!Nursing Nowは、ナイチンゲール生誕200年を機に、看護職が持つ可能性を最大限に発揮し、人々の健康向上に貢献するために行動する世界的なキャンペーンです。日本看護協会は、日本看護連盟と連携し、「看護の力で健康な社会を!」をテーマに、キャンペーンに取り組んでいます。

  • CONTENTS� 2020 March  Vol.22, No.3 279 号

    特集 高齢者ケア施設の“介護事故”再考〈総論〉高齢者ケア施設における介護事故への考え方 /鳥海 房枝 .................................. 10〈解説〉防ぐべき事故の明確化と実情に応じた対策が重要 /山田 滋 ........................ 15〈報告1〉認知症の理解と適切なケアが事故防止につながる /海老根 典子 ............... 21〈報告2〉ノンテクニカルスキルを活用した多職種による取り組み /豊嶋 直美 ..... 24〈報告3〉事故を検証し予防策を現場に浸透させる仕組みづくり 亀井 章・宮本 まや ................................................................................................................................................................. 27

    第2特集「日本看護サミット2019・訪問看護サミット2019」レポート〈緒言〉地域包括ケアシステムの推進に向けて /岡島 さおり .......................... 50〈載録〉解説地域包括ケアと看護をめぐる現状と課題〜 166万人で地域の看護提供体制を実現 /齋藤 訓子 ..................... 52〈載録〉鼎談超高齢・人口減少社会に期待される新しい看護の形石田 昌宏・鈴木 康裕・辻 哲夫 ............................................................................................................. 55

    〈載録〉シンポジウム

    今、看護が創つ く る

    造る地域包括ケア棚橋 さつき・久保 幸・平原 優美・村田 昌子 ............................................................................. 59

    〈総括〉サミット2019を開催して /佐藤 美穂子 .............................................................. 64

    55 ページ

  • ※本誌では薬品名などの ® 記号は省略しています。

    CONTENTS� 2020 March  Vol.22, No.3 279 号3

    SERIES 角田直枝の病院と地域を“看護”がつなぐ /角田 直枝令和元年度の目標達成! ....................................................................................................................... 31

    訪問看護ステーションの経営戦略 /渡邉 尚之定期昇給について考えよう.................................................................................................................. 32

    本人・家族とのかかわりの悩みはコレですっきり! /渡辺 裕子 支援者にとっての人間関係見える化シートの効用............................................................. 36

    だから面白い訪問看護管理 /柴田 三奈子スタッフへのGift......................................................................................................................................... 42

    アンガーマネジメント /光前 麻由美怒りのタイプ別の対処法②.................................................................................................................. 43

    訪問の 合間に一句 詠んでみる 訪問看護“泣き笑い”川柳 /白藤 真理 ...........................................�48

    わたしのまちの地域包括ケアシステム /畠山 直樹兵庫県尼崎市から 在宅療養を支える医療・介護連携の推進............................................... 68

    日本訪問看護財団からのお知らせ重症心身障がい児・者と家族への支援 ほか.............................................................................. 72

    全国訪問看護事業協会からのお知らせ新たな「小児訪問看護研修プログラム」 ほか............................................................................. 74

    C.C.INFORMATION ● 71  BOOKS ● 76

    編集部行き FAX シート ● 77  次号予告/編集後記 ● 80

    42 ページ

    ニュース手帳株式会社グローバルヘルスコンサルティング・ジャパン Gem Med 編集部 ................... 4

    地域ケアの今 /上野 まり家族を考える..................................................................................................................... 6

    訪問看護師の強い味方 /高橋 京子島根県訪問看護ステーション協会...................................................................... 8

    Book�Selection新人看護師の入職に備える................................................................................... 67

    COLUMN

    多様な人材が、活き活きと働き続けられる職場づくりを『令和元年版 看護白書 看護職の働き方改革』刊行! .......................................�40

    ビジョンを胸に自ら学び、不確実な未来に立ち向かう力書評『ポートフォリオで未来の教育 次世代の教育者・指導者のテキスト』...............�46

    SPECIAL BOOK GUIDE

    本誌内容の無断複写・転載は著作権法で禁じられています。本誌に掲載された著作物の複写・複製・転載・翻訳・データベースへの取り込み、および送信(送信可能化権を含む)・上映・譲渡に関する許諾権は、株式会社日本看護協会出版会が保有しています。

    〈出版者著作権管理機構 委託出版物〉本書の無断複製は著作権法上での例外を除き禁じられています。複製される場合は、その都度事前に一般社団法人出版者著作権管理機構

    (電話 03-5244-5088、FAX 03-5244-5089、email: [email protected])の許諾を得てください。

  • 特集

    高齢者ケア施設の“介護事故”再考

     人が暮らすことにはさまざまなリスクが伴い

    ます。これは、生活の場である高齢者ケア施設

    でも同様です。その意味では、高齢者ケア施設

    での「事故ゼロ」は事実上難しいと考える必要

    がありそうです。

     高齢者ケア施設は、「暮らしの場」である面

    を強調する一方で、「事故」が発生するとその

    原因を検討し、事故ゼロをめざした再発予防に

    取り組むことを当然としています。しかもこの

    再発予防策は、しばしば職員の「観察・見守り

    の強化」や「注意喚起」に終始しています。

     例えば、利用者の転倒骨折事故について、職

    員が常に利用者の傍らにいられるのか、またそ

    の場にいれば必ず転倒を防げるのかと考えると、

    そのどちらもまず不可能です。にもかかわらず、

    再発予防を職員の「人手」によって対応すると

    いう結論に至っている理由、またそもそも介護

    事故とは何を指すのかについて考察します。

    介護事故とは何を指すのか

     介護保険制度においては、介護サービス提供

    中に「事故」が発生したときには、事業者は保

    険者である市町村に報告することが義務づけら

    れています。事業者としては、どのような事故

    を報告すべきなのかが大変気になるところです。

    なぜなら、高齢者ケア施設は生活の場であるた

    め、利用者に影響を及ぼす出来事は、体へのダ

    メージだけではないからです。また体へのダ

    メージがある出来事にも、影響の極めて小さな

    もの、例えば処置の不要な深爪といった皮膚損

    傷などもあります。体へのダメージのないもの

    としては、ある特養では、利用者の衣類洗濯の

    際に素材の点検不十分からウール製品が着用不

    能となった出来事を「事故」として処理してい

    ました。ここまでになると、「“ヒヤリハット報

    告”なら書きやすいが“事故報告”は気が重い」

    という職員の気持ちにもうなずけます。

    高齢者ケア施設における事故とは、そもそも何を指すのでしょうか。鳥海房枝さんに、生活の場での“介

    護事故”の考え方、ヒヤリハットと事故との違い、事故報告書の作成の意味と適切な報告書のあり方、

    それらをより質の高いケアに生かす視点について解説いただきます。

    特定非営利活動法人メイアイヘルプユー理事・事務局長

    鳥海 房枝(ちょうかい ふさえ)

    〈総論〉

    高齢者ケア施設における介護事故への考え方

    都立公衆衛生看護学校保健師科卒業後、都立豊島長崎保健所に。東京都北区衛生部公害補償課公害担当保健師、北区高齢福祉部お年寄り相談係を経て、1998年より特別養護老人ホーム清水坂あじさい荘副施設長、2007年総合ケアアドバイザー。同年より現職。

    10 Community Care 2020-3

  • 高齢者ケア施設における介護事故への考え方

     事故報告書作成の目的は、事業所が介護の質

    の向上をめざす際に改善すべき点に気づくきっ

    かけにすることです。その意味では、各事業所

    によって「事故」とする範囲に違いがあっても

    よいのかもしれません。ただし、その際には、

    事故報告書の作成が介護の質の向上につながる

    ことが職員に周知されている、職員がそれに意

    味と価値を見いだしている、といった前提が重

    要です。これが明確でない中での事故報告書の

    作成は、職員に強い負担感を抱かせます。

     半面、事業所としては、保険者(市町村)か

    ら求められている「事故報告」の基準も気にな

    るところです。事業所によっては、保険者が「事

    故」として報告を求める事故報告範囲を自施設

    の事故報告書の作成基準にしているところもあ

    ります。しかし、保険者が事業者に報告を義務

    づけている事故報告範囲は、保険者によって異

    なるのが実情です。一部の保険者は、後述する

    介護事故の定義や国が収集する事故情報の範

    囲・収集の枠組み・報告基準を準用しています。

    一方で、「医療機関を受診した場合」「異食・無

    断外出・誤薬(落薬を含む)・誤嚥など」と“事

    象”を挙げ、利用者への影響の程度ではなく、

    それを報告の基準にしている保険者もいます。

     介護事故の定義として、平成 22年度厚生労

    働省老人保健事業推進費等補助金(老人保健健

    康増進等事業分)「介護施設における介護サー

    ビスに関連する事故の実態及び対応策の在り方

    に関する調査研究事業」では、保険者である市

    町村へ報告する事故報告基準を検討し、介護事

    故の定義と国が収集すべき介護事故の範囲につ

    いて、表12ページ

    1・21)のように示しています。

     なお、医療現場での事故においては、報告先

    は全国 1カ所(日本医療機能評価機構)で、報

    告基準は患者への身体的影響度に基づいて決め

    られています。影響度は 8段階で、レベル 0〜

    5(3、4にはそれぞれ a、bあり)に分類され、

    3b、すなわち「障害の継続性が一過性ではあっ

    ても、障害の程度が高度」なレベル以上が報告

    対象です。3a 以下は医療事故ではなく「インシ

    デント」と見なし、対応は当該医療機関に任さ

    れています。

     報告基準が明快で、報告先も1カ所のため、

    情報が集約され、事故件数や内容の変化などの

    経年比較は毎年集計・公表されています。これ

    が、介護現場における事故と大きく異なるとこ

    ろです。

    ヒヤリハットと事故

     ある事業所では、ヒヤリとしたりハッとした

    りしたら「ヒヤリハット」、何か事が起きたら「事

    故」と定義し、たくさんのヒヤリハットへの対

    策を講じれば事故は予防できるとして“ヒヤリ

    ハット報告大賞”なるものまで設けて取り組ん

    でいるそうです。また、職員が書きやすいよう

    にヒヤリハット報告の様式を簡略化し、一方で、

    事故報告書には原因から再発予防策まで詳細に

    書き込む形式にしている現場もあります。

     ヒヤリハットがこれほど重視されるのはなぜ

    でしょうか。その根拠とされているのが 1:

    29:300 の「ハインリッヒの法則」です。これ

    は、重大な事故 1件の背景には軽微な事故が

    29件あり、さらにその背後に隠れた事故寸前

    11Vol.22 No.3

  • 4

    ●発行所 (株)日本看護協会出版会 東京都渋谷区神宮前5-8-2 日本看護協会ビル4F(本社) TEL0436-23-3271(コールセンター:ご注文) 郵便振替00190-8-168557 東京都文京区関口2-3-1(編集) TEL03-5319-8019 https://www.jnapc.co.jp●発行人 井部俊子●編集長 向山恵美子●編集者 村山みのり、中島祥吾●DTP 今村陽子、浜中葉子●発行日 2020年 3月 1日●定価 本体1,400円+税●印刷所 図書印刷株式会社

    ●編集委員 岡島さおり、木下朋雄、佐藤美穂子 椎名美恵子、鳥海房枝、和田洋子●アドバイザー委員 阿蒜ひろ子、海老根典子、中嶋康子 塙真美子、林田菜緒美、松木満里子●表紙デザイン 臼井新太郎●本文デザイン 新井田清輝、佐藤忠、paperstone 齋藤久美子●本文イラスト 榎本はいほ、狐丸 斎藤ひろこ(ヒロヒロスタジオ) TOKUDOME●編集協力 青木茂美、石川奈々子、小松富美子

     今年 4 月に民法・労働者派遣法、6 月に労働施策総合推進法が改正されます。これらの法改正により職場ではどのような対応が求められるでしょうか。Special Feature では、改正内容や職場での対応・留意点などについて解説します。

    Special Feature 民法・労働者派遣法・労働施策総合推進法の改正! 求められる職場での対応

    ●節分の日に家族で恵方巻を食べました。そのとき、小学校1年生の娘から「なぜ去年と違う方角で恵方巻を食べるの?」との質問。夫婦ともに答えられず、しばしの静寂……。食後にググって回答すると、「スマホに聞いたほうがいいね」と娘に言われ、何とも言えない気持ちになりました。(中島)●第1特集は「高齢者ケア施設の“介護事故”再考」。施設でのケアを取り上げた特集ですが、総論や解説で述べられている生活の場での安全や事故リスクへの考え方は、広く在宅でも応用できる内容です。訪問看護師の方々もぜひご一読ください。 (村山)●事例検討会に参加しても事例紹介に過ぎなかった、事例提供したら非難されたといった経験を持つ人も少なくないでしょう。事例検討会の質はファシリテーターのスキルに左右されると言われています。連載「コレですっきり!」では、今号以降、事例検討会の進め方について紹介します。(向山)

    特集 在宅における アドバンス・ケア・プランニング

    アドバンス・ケア・プランニング(ACP)では、心身の状態や生活状況が変わるごとに当事者の意思の確認を行うことが求められます。本特集では、ACPの基本的な考え方を踏まえて、病院と在宅の看看連携・地域での多職種連携のポイントを解説。また、家族との間で意見相違が見られる利用者・認知症等で意思決定が困難な利用者へのACPの実践事例を紹介し、当事者の意思決定支援のあり方を示します。

    80 Community Care 2020-3

    次 号 予 告 2020年4月1日発行・発売

    コミュニティケア 2020年3月 Vol.22No.3 279号

    3 編 集 後 記

    ☆編集部へのご連絡は [email protected] にいつでもどうぞ! ご感想をお待ちしております。

    好評発売中!

    2019 年 11 月臨時増刊号看護師が

    社会を変える!「日本財団在宅看護センター」の

    挑戦