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2018タイの 会計、監査、税務ガイド EY新日本有限責任監査法人 ジャパン・ビジネス・サービス(JBS

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2018年タイの会計、監査、税務ガイドEY新日本有限責任監査法人ジャパン・ビジネス・サービス(JBS)

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はじめに

タイの会計、監査制度

タイの税制

タイの法人税

タイの付加価値税(VAT)

EY Japan ジャパン・ビジネス・サービス(JBS)の概要

3

4

11

12

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目次

2018年タイの会計、監査、税務ガイド

Page 3: 2018年 タイの 会計、監査、税務ガイド - EY Japan2018年タイの会計、監査、税務ガイド 3 タイには、2つの会計基準が存在します。1つは、上場企業や金融機関などの公的説明責

32018年タイの会計、監査、税務ガイド |

タイには、2つの会計基準が存在します。1つは、上場企業や金融機関などの公的説明責

任を有する企業向けの会計基準である「タイ財務報告基準(Thai Financial Reporting

Standards:TFRS)」であり、もう1つは、「公的説明責任を有しない企業向けのタイ財務報

告基準(Thai Financial Reporting Standards for Non-Publicly Accountable

Entities:TFRS for NPAEs)」です。前者のTFRSは、国際財務報告基準(International

Financial Reporting Standards:IFRS)へのコンバージェンスを実施してきており、2018年

1月時点では一部を除き2017年版のIFRSへのアップデートを終えていますが、後者のTFRS for

NPAEsはタイ独自の簡便的な会計基準です。なお、タイ会計職業連盟(Federation of Accounting

Professions of Thailand:FAP)が2017年に公表したロードマップによると、現在、TFRS for

NPAEsを適用している企業に対しては、2019年からTFRS for NPAEsの改訂版が適用となる

うえ、中小企業向け国際財務報告基準(International Financial Reporting Standards

for Small and Medium-sized Entities:IFRS for SMEs)をベースにした中小企業向け

タイ財務報告基準(Thai Financial Reporting Standards for Small and Medium-

sized Entities:TFRS for SMEs)の使用を選択することができるようになる見込みです。そ

のため、タイに進出する日系企業は、タイ関係会社に適用される会計基準の動向を把握し、連結

決算に与える影響をタイムリーに把握することが必要となります。

また、タイの税法のうち、日系企業に影響のある主な税目としては、法人所得税、付加価値税、

駐在員に対する個人所得税などがあります。税制の特徴としては、確実な税収確保のため、さま

ざまな局面で源泉徴収が義務付けられている一方で、税金の還付請求を行うことが税務調査の

トリガーとなるという実務が存在しますので留意が必要です。その他、タイ歳入局(Revenue

Department)から各種さまざまな景気刺激税制がアナウンスされるとともに、タイ投資委員

会(Board of Investment:BOI)が認可したプロジェクトに与えられる税務上の恩恵が存在

するといった特徴があります。

EY新日本有限責任監査法人ジャパン・ビジネス・サービス(JBS)

アセアン・デスク タイ

髙橋 大樹シニアマネージャー公認会計士(日本)

髙橋 顕マネージャー公認会計士(日本)ニューヨーク州弁護士登録

はじめに

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タイの会計、監査制度

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52018年タイの会計、監査、税務ガイド |

タイの会計、監査制度

タイの会計、監査制度(概略)

項 目 タイ フィリピン インドネシア ベトナム ミャンマー

非上場企業(日本企業の子会社)IFRS 適用の可否*

否 可 否 否 否

IFRSと現地会計基準の主な差異

• 上場企業向け 会計基準(TFRS) 小

• 非上場企業向け会 計基準(TFRS for  NPAEs) 中

小不動産の収益認識に関する基準

小土地の取扱いに関する基準

小以下の基準が採用されていない• 金融商品会計基準• 従業員給付会計• 減損会計

小現地会計基準(MFRS,MFRS for SMEs)は2010年時点のIFRS又はIFRS for SMEsとほぼ同等

決算期の変更 可 可 可 可 不可

決算期末の選定(暦年以外の採用可否)

可 可 可

可ただし3月末、6月末、9月末のみ選定が可能

不可3月31日。ただし2019年より法令改正により9月30日に変更される予定。決算期が親会社と異なる場合、一般に親会社報告目的で仮決算を行う

会社法で作成が求められる財務諸表

TFRS• 財政状態計算書• 包括利益計算書• キャッシュ・フロー計算書• 株主持分変動計算書• 財務諸表の注記

TFRS for NPAEs• 財政状態計算書• 損益計算書• 株主持分変動計算書• 財務諸表の注記

• 財政状態計算書• 包括利益計算書• キャッシュ・フロー計算書• 株主持分変動計算書• 財務諸表の注記

• 財政状態計算書• 包括利益計算書• キャッシュ・フロー計算書• 株主持分変動計算書• 財務諸表の注記

• 財政状態計算書• 包括利益計算書• キャッシュ・フロー計算書• 株主持分変動計算書• 財務諸表の注記

• 財政状態計算書• 包括利益計算書• キャッシュ・フロー計算書• 株主持分変動計算書• 財務諸表の注記

提出する財務諸表

• 税務当局 税務申告時に監査済財務諸表を添付して提出

• 商務省 株主総会から1カ月以内に監査済財務諸表を提出

• タイ証券取引所 上場企業の場合は監査済財務諸表の提出が求められる

• 税務当局 税務申告時に監査済財務諸表一式を添付して提出

• SEC 上場非上場を問わず、監査済財務諸表の提出が求められる

• 税務当局 税務申告時に監査済財務諸表一式を添付して提出

• 金融サービス庁 上場企業の場合は監査済財務諸表の提出が求められる

• 税務当局 税務申告時に監査済財務諸表一式を添付して提出

• 統計局

• 財務局等 提出先は企業ごとに異なる

• 税務当局 税務ステータスによっては税務申告時に財務諸表一式を添付して提出が求められる

保存期間 原則5年間 原則10年間 原則10年間 原則10年間 原則3年間

機能通貨適用の可否

必須• TFRS

否• TFRS for NPAEs

必須 必須 可 可

法定監査 必要 必要 必要 必要必要(零細企業に対する適用除外あり)

*非上場企業のIFRS適用可否については、以下の基準で記載しています。否:税務申告時又は規制当局に提出(添付)する、財務諸表は自国の会計基準で提出しなければならない場合。可:税務申告時又は現地当局に提出(添付)する、財務諸表は自国の会計基準以外にIFRS基準であっても良い場合。

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タイの会計、監査制度

タイの会計、監査制度

非上場企業のIFRS適用の可否

タイ国内の企業は、財務諸表の作成に当たり IFRSを直接適用す

ることは認められていません。タイ国内の企業は、IFRSではなく、

タイ会計職業連盟 (Federation of Accounting Professions

of Thailand:FAP)が定めるタイ会計基準及び原則に従って財

務諸表を作成する必要があります。この FAPでは、2つのタイ

会計基準を発行しており、 1 つは 「タイ財務報告基準

(Thai Financial Reporting Standards:TFRS)」であり、も

う 1 つは 「公的説明責任を有しない企業向けのタイ財務

報告基準(Thai Financial Reporting Standards for Non-

Publicly Accountable Entities:TFRS for NPAEs)」です。

TFRSは IFRSそのものではありませんが、IFRSに準拠してお

り、公的説明責任を有する企業に対してその適用が強制されます。

なお、公的説明責任を有する企業とは、以下のいずれかを満たす企

業のことをいいます。

• 持分証券又は社債などの負債証券を発行し、それが公的市場

で取引されている企業

• 公的市場においてあらゆる種類の金融商品を発行する目的で、

監督機関に対して財務諸表を提出した企業又は提出準備中で

ある企業

• 金融機関、保険会社、証券会社及び投資信託

• 公開会社

他方、公的説明責任を有しない企業とは、左記以外の企業であり、

そのような企業は、TFRS又は実務的な負担の少ない TFRS

for NPAEsのいずれかを選択することが可能です。その結果、日

系企業のタイ子会社は、タイにおいて公的説明責任を有しない

ケースが多いことから、そのほとんどが TFRS for NPAEsを

適用しています。

なお、2017年 10月に FAPが公表したロードマップによると、

現在、TFRS for NPAEs を適用している企業に対しては、

2019年から TFRS for NPAEsの改訂版が適用される予定

です。また、改訂版 TFRS for NPAEs に加えて、中小企業

向 け 国 際 財 務 報 告 基 準 ( International Financial

Reporting Standards for Small and Medium-sized

Entities:IFRS for SMEs)をベースにした中小企業向けタイ

財務報告基準 (Thai Financial Reporting Standards for

Small and Medium-sized Entities:TFRS for SMEs)の使

用を選択することができるようになるとされています。ただし、

本稿執筆時点では、これら会計基準の内容は公表されていません。

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タイの会計、監査制度

No 概 要 関連する IFRSs

TFRS第 1号 ※ 1 国際財務報告基準の初度適用 IFRS第 1号

TFRS第 2号 株式報酬 IFRS第 2号

TFRS第 3号 企業結合 IFRS第 3号

TFRS第 4号 保険契約 IFRS第 4号

TFRS第 5号 売却目的で保有する非流動資産及び廃止事業 IFRS 第 5号

TFRS第 6号 鉱物資源の探査及び評価 IFRS 第 6号

TFRS第 7号 ※ 1 金融商品ー開示 IFRS 第 7号

TFRS第 8号 事業セグメント IFRS 第 8号

TFRS第 9号 ※ 1 金融商品 IFRS 第 9号

TFRS第 10号 連結財務諸表 IFRS第 10号

TFRS第 11号 共同契約(ジョイント・アレンジメント) IFRS 第 11号

TFRS第 12号 他の事業体に対する持分の開示 IFRS 第 12号

TFRS第 13号 公正価値測定 IFRS 第 13号

TFRS第 15号 ※ 1 顧客との契約から生じる収益 IFRS 第 15号

TFRS第 16号 ※ 2 リース IFRS 第 16号

TFRS第 17号 ※ 3 保険契約 IFRS 第 17号

TAS第 1号 財務諸表の表示 IAS 第 1号

TAS第 2号 棚卸資産 IAS第 2号

TAS第 7号 キャッシュ・フロー計算書 IAS第 7号

TAS第 8号 会社方針、会計上の見積りの変更及び誤謬 IAS 第 8号

TAS第 10号 後発事象 IAS第 10号

TAS第 11号 工事契約 IAS 第 11号

TAS第 12号 法人所得税 IAS 第 12号

TAS第 16号 有形固定資産 IAS第 16号

TAS第 17号 リース IAS 第 17号

TAS第 18号 収益 IAS 第 18号

TAS第 19号 従業員給付 IAS 第 19号

TAS第 20号 政府補助金の会計処理及び政府援助の開示 IAS第 20号

TAS第 21号 外国為替レート変動の影響 IAS第 21号

TAS第 23号 借入費用 IAS第 23号

TAS第 24号 関連当事者についての開示 IAS第 24号

IFRSと現地会計基準の主な差異

タイでは、2011年以降、下表のとおり IFRSと TFRSとのコン

バージェンスを進めております。2018年 1月時点では、2017

年版 IFRSへのアップデートを終えておりますが、コンバージェン

スという国内手続きを踏む必要があることから、収益認識基準

(TFRS 第15号)やリース基準(TFRS 第16号)のように、IFRS

と比較して 1年遅れで適用される結果となります。なお、金融商

品会計については、従来、コンバージェンスの対象外とされており、

タイ独自の規定が設けられておりましたが、2019年1月1日以

降に開始される事業年度から金融商品会計基準(TFRS 第 9号)

が適用されることが 2016年に決定されました。

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8 | 2018年タイの会計、監査、税務ガイド

タイの会計、監査制度

No 概 要 関連する IFRSs

TAS第 26号 退職給付制度の会計及び報告 IAS第 26号

TAS第 27号 個別財務諸表 IAS第 27号

TAS第 28号 関連会社及びジョイントベンチャーに対する投資 IAS第 28号

TAS第 29号 超インフレ経済下における財務報告 IAS第 29号

TAS第 32号 ※ 1 金融商品―表示 IAS第 32号

TAS第 33号 1株当たり利益 IAS第 33号

TAS第 34号 中間財務報告 IAS第 34号

TAS第 36号 資産の減損 IAS第 36号

TAS第 37号 引当金、偶発負債及び偶発資産 IAS第 37号

TAS第 38号 無形資産 IAS第 38号

TAS第 40号 投資不動産 IAS第 40号

TAS第 41号 農業 IAS第 41号

TAS第 101号 ※ 4 貸倒懸念債権及び不良債権   ー

TAS第 103号 ※ 4 銀行及び金融機関の財務諸表の開示   ー

TAS第 104号 ※ 4 不良債権再編成の会計   ー

TAS第 105号 ※ 4 負債証券と持分証券の会計   ー

TAS第 106号 ※ 4 投資会社の会計指針   ー

TAS第 107号 ※ 4 金融商品ー開示及び表示   ー

※ 1 2019年 1月 1日以降に開始される事業年度から適用。※ 2 2020年 1月 1日以降に開始される事業年度から適用。※ 3 当該 IFRS適用(2021年 1月 1日以降に開始される事業年度)の 1年後に適用とされています。※ 4 IFRSに準拠していないが、改訂/新規会計基準が FAPにより公表されるまで有効とされているタイ会計基準。

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92018年タイの会計、監査、税務ガイド |

タイの会計、監査制度

他方、日系企業のほとんどが採用している TFRS for NPAEs

は、本会計基準がタイ独自の簡便的な会計基準であることから、

IFRSと比較してさまざまな差異があります。日系企業が直面す

る主な差異としては、税効果会計の適用が任意であること、退職

給付債務の計算にあたり年金数理計算を行わない方法も認められ

ていることなどがあげられます。現在の TFRS for NPAEsは

以下のトピックを取り扱う 22章からなっています。

決算期の変更

決算期の変更は、歳入局及び商務省の承認を受ければ可能です。

なお、タイの民商法典上、12カ月を超える決算が認められません。

従って、12月決算の企業が決算期を翌年3月に変更する場合は、

一度 12月で決算を行い、これに加えて翌年 1月から 3月(3カ

月間)の変則的な決算を行う必要があり、15カ月決算は認められ

ません。3カ月間の決算についても、会計監査を受け決算日から

150日以内に歳入局に税務申告書の提出及び株主総会の承認か

ら 1カ月以内に商務省に監査済財務諸表を提出する必要があり

ます。

なお、定款に会計期間を明示している場合は、事前に定款変更の

ための株主総会決議を行い、歳入局及び商務省への申請が必要

です。

決算期末の選定(暦年以外の採用可否)

タイにおける企業の決算期については、12月31日を期末日とす

る企業が一般的ではあるものの、定款によって自由に設定できま

す。日系企業のタイ子会社においても、親会社と決算日を統一す

るため等の理由により、親会社の決算日を考慮して、決算日を決

定している企業も多く存在します。

なお、タイには 4月中旬にソンクランという旧正月があり、多く

のタイ人が帰省するなど、長期休暇を取る習慣がありますので、タ

イ子会社の決算期を 3月とする場合には、決算スケジュールに配

慮が必要です。

章番号 トピック

1 背景及び目的

2 適用範囲

3 基本概念

4 財務諸表の表示

5 会計方針及び会計上の見積りの変更、誤謬の修正

6 現金及び現金同等物

7 売掛金

8 棚卸資産

9 投資

10 有形固定資産

11 無形資産

12 投資不動産

13 借入費用

14 リース

15 法人所得税

16 引当金、偶発負債及び偶発資産

17 後発事象

18 収益

19 不動産販売による収益

20 工事契約

21 外国為替レート変動の影響

22 TFRS for NPAEsへの移行及び発効日

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10 | 2018年タイの会計、監査、税務ガイド

タイの会計、監査制度

会社法で作成が求められる財務諸表

TFRSを採用する企業は以下の財務諸表を作成する必要があり

ます。

• 財政状態計算書(貸借対照表)

• 包括利益計算書

• キャッシュ・フロー計算書

• 株主持分変動計算書

• 財務諸表の注記

TFRS for NPAEsを採用する企業は以下の財務諸表を作成する

必要があります。

• 財政状態計算書(貸借対照表)

• 損益計算書

• 株主持分変動計算書

• 財務諸表の注記

提出する財務諸表

法律で作成が定められた財務諸表一式が対象になります。主な提

出先は以下の通りです。

• 税務当局(歳入局)

  事業年度末日から 150日以内に税務申告書に監査済財務諸表

を添付して提出

• 商務省

 株主総会の承認後 1カ月以内に監査済財務諸表を提出

• タイ証券取引所

 上場企業の場合、以下の通り提出

 年度末:会計年度末より 2カ月以内

 四半期:四半期末より 45日以内

保存期間

会計帳簿や補助資料は税務調査に備えて、少なくとも決算日から

5年間は保管する必要があります。また、歳入局からの命令があっ

た場合には、最大7年間保管する必要があります。さらに、歳入局

との間で未解決の案件がある場合には、会計帳簿と記録は 10年

間又はそれ以上の期間、保管しなければなりません。

機能通貨適用の可否

TFRSを採用する企業は、機能通貨に関する規定(TAS 第21号)

の適用が必須であることから、当該機能通貨によって記帳を行う

ことが求められます。例えば、企業が営業活動を行う主たる経済

環境の通貨が米ドルである場合は、米ドルを機能通貨として記帳

する必要があります。

他方、TFRS for NPAEsを採用する企業にはTAS第21号が適

用されないため、記帳に用いる通貨はタイバーツ(THB)のみと

なります。

法定監査

タイ国内の全ての企業は、タイ会計基準及び原則に従い、財務諸

表を作成し、免許を有する公認会計士による監査を受ける必要が

あります。当該監査済の財務諸表は、決算日から 4カ月以内に定

時株主総会で承認され、承認後 1カ月以内に商務省に提出しなけ

ればなりません。また、監査済の財務諸表は決算日から 150日以

内に年次法人税申告書とともに歳入局に提出する必要がありま

す。

会計、監査上の留意点

タイの全ての企業は、会計法で定められた要件を満たした経理担

当者を配置する必要があります。具体的には経理担当者は、タイ

に居住していて、十分なタイ語能力を備え、会計学に関して一定

の知識を備えていることが求められます。仮に、そのような者を

雇用できない場合は、資格のある経理担当者を有する外部会計事

務所に経理担当者の業務をアウトソースする必要がありますの

で、ご留意ください。

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112018年タイの会計、監査、税務ガイド |

タイの税制

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12 | 2018年タイの会計、監査、税務ガイド

タイの法人税

タイの法人税

概要

法人税率(%) 20

キャピタルゲイン税率(%) 20

支店税率(%) 20

源泉徴収税率(%)

配当金 10

利息 15*

特許、ノウハウ等からのロイヤルティ 15

支店送金税 10

欠損金(年)繰戻し 0

繰越し 5

*特定の種類の利息は、非課税扱いとなります。

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132018年タイの会計、監査、税務ガイド |

タイの付加価値税(VAT)

タイの付加価値税(VAT)概要

税金の名称 付加価値税(VAT)

導入日 1992年 1月 1日

貿易圏への加盟 東南アジア諸国連合(ASEAN)

所管タイ歳入局(Revenue Department)

(http://www.rd.go.th)

VAT税率標準 7%(2018年 9月末までの軽減措置、以降は未定)

その他 0%及び非課税

VAT番号の形式 納税者識別番号に同じ

VAT申告書の期間 月次

VAT登録 180万タイバーツの年間収益

国内で設立されていない事業者(外国法人)による VATの控除

なし

(国内で設立されていない事業者が、タイにおいて、自らまたは代理人を通じて

事業を営んでいるため、VAT登録している場合を除く)

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14 | 2018年タイの会計、監査、税務ガイド

本資料の内容は、各章に別途明記する場合を除き、2017年 1月 1日時点で有効な

情報に基づいています。本資料で取り扱う国の税法やその他の適用法令については、

改正案が提出されている場合があります。最新情報については、EY新日本有限責任

監査法人 海外企画部までお問い合わせください。

本資料には要約した情報を掲載しており、一般的なガイダンスとしてご利用いただく

ことを目的としております。本資料は、詳細な調査や職業的専門家の判断の代替とし

てご利用いただくことを意図したものではありません。EYGMリミテッド及び他の

EYグローバル・メンバー組織はいずれも、本資料の記事に基づく作為又は不作為に

より皆様に生じたいかなる損失に対しても責任を負うことはできません。特定の事項

につきましては、適切なアドバイザーにご照会ください。

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152018年タイの会計、監査、税務ガイド |

EY Japan ジャパン・ビジネス・サービス(JBS)の概要

● 東京

● サンパウロ

● ブエノスアイレス

● イスタンブール

● モスクワ

ミュンヘンフランクフルト

デュッセルドルフ

アムステルダム

ブリストル

ロンドンアントワープブリュッセル

● ワルシャワ

● シンガポール

● マニラ● バンコク

● ハノイ

● ホーチミン● グアム

● サイパン

● ブリスペン

● シドニー

北京 ●天津 ●

上海 ●

バンクーバー ●

シアトル ●

サンノゼ ●

ヒューストン ●

メキシコシティ ●

サンティアゴ ●

レオン ●

ロサンゼルス ●

アーバインサンディエゴ

ドバイ ●

クアラルンプール ●

ハンガロール ● ブノンベン ●

バース ●

ジャカルタ ●

●ソウル

●ミラノ●

バルセロナ

●パリ

●チェンナイ

●アデレード

●メルボルン

大連● タラス

トロント●

ソルトレイクシティ●

ムンバイ●

ニューデリー●

ヤンゴン●

広州

● ボストン● ニューヨーク

ミネアポリス

ナッシュビル

●カルガリー

●アトランタ

シカゴシンシナティ

ピッツバーグ

コロンバス

台北台南高雄

マクレーンローリー

EY Japanにおける海外進出支援体制ジャパン・ビジネス・サービス(JBS)の概要

世界の70を超える主要都市に約500名の日本語対応可能なプロフェッ

ショナル(うち駐在員約100名)を配し、監査、税務、アドバイザリー

などの業務を通じて、均一で高品質なサービス体制を整備しています

JBSはグローバルネットワークを統括する本部機能をEY Japan内に

設けています。 EY Japan主導により、海外各地の日本企業担当プロ

フェッショナルと密接な連携を図りながら、強固な一体組織として、

グローバルで最適なサービスを提供しています

JBSは日本企業の海外事業展開をサポートするアシュアランス、タックス、トラザクション、アドバイザリーの4ラインをまたがるEYのグローバルネットワークです。

JBS

EY新日本有限責任監査法人

マーケッツ本部 海外企画部

ジャパン・ビジネス・サービス(JBS)

[email protected]

Contact us

JBS アセアン・デスク タイ

髙橋 大樹

[email protected]

髙橋 顕

[email protected]

アシュア ランス

アドバイザリー

タックストランザクション

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EY | Assurance | Tax | Transactions | Advisory

EYについてEYは、アシュアランス、税務、トランザクション及びアドバイザリーなどの分野に

おける世界的なリーダーです。私たちの深い洞察と高品質なサービスは、世界中

の資本市場や経済活動に信頼をもたらします。私たちはさまざまなステークホル

ダーの期待に応えるチームを率いるリーダーを生み出していきます。そうすること

で、構成員、クライアント、そして地域社会のために、より良い社会の構築に貢献し

ます。

EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネット

ワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファーム

は法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッド

は、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。詳しく

は、ey.com をご覧ください。

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