2014 年6 月25 日発行 issn 2186-876x 脈管脈管学会学会

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1 55 回日本脈管学会総会 3 次会告 …………………………… 1 寄  稿…………………………… 5 Green IVY 運動 重松  宏 脈管専門医試験問題と解説 …… 7 お知らせ ………………………… 9 2013 年優秀論文のご報告 専門医制度委員会からのお知らせ 学会案内 『脈管学』オンライン版目次 Vol. 54 No. 46 ……………… 11 http://www.jc-angiology.org/ 20146 月号 20146 月号 脈管 学会 ISSN 2186-876X 2014 6 25 日発行 Contents 編集 「脈管学」編集委員会 発行 一般社団法人日本脈管学会 制作 株式会社メディカルトリビューン 102-0074 東京都千代田区九段南 2-1-30 イタリア文化会館ビル 8F TEL 03-3239-9376 E-mail: [email protected] No. 10 第 55 回日本脈管学会総会 会告(第3次) The 55th Annual Meeting of Japanese College of Angiology 55 回日本脈管学会総会を下記の通り開催致します.会員各位の多数の ご参加をお待ち申し上げます. 55 回日本脈管学会総会 会長 種本 和雄 詳細は随時総会 HP http://www.jc-angiology.org/meeting/55/)より ご確認ください. 会  長: 種本 和雄(川崎医科大学心臓血管外科学 教授) 会  期: 2014 10 30 日(木)〜 11 1 日(土) 会  場: 倉敷市芸文館 710-0046 岡山県倉敷市中央 1-18-1 TEL086-434-0400 マ: Vascular Team の新時代」 日  程: 10 29 日(水) 理事会,評議員会 10 30 日(木)〜 31 日(金) 学術集会 11 1 日(土) 医用近赤外線分光法研究会 血管無侵襲診断セミナー 日本血管外科学会教育セミナー 血管内レーザー焼灼術研修会 その他 予定プログラム: 会長講演 ★西丸記念講演 ★招請講演 ★特別講演 教育講演

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Page 1: 2014 年6 月25 日発行 ISSN 2186-876X 脈管脈管学会学会

─ 1─

第 55回日本脈管学会総会3次会告 …………………………… 1

寄  稿…………………………… 5Green IVY運動 重松  宏

脈管専門医試験問題と解説 …… 7

お知らせ ………………………… 92013年優秀論文のご報告専門医制度委員会からのお知らせ学会案内

『脈管学』オンライン版目次 Vol. 54 No. 4~6 ……………… 11

http://www.jc-angiology.org/

2014年6月号

2014年6月号

脈管学会脈管学会脈管学会ISSN 2186-876X2014年 6月 25日発行

Contents

編集「脈管学」編集委員会

発行一般社団法人日本脈管学会

制作株式会社メディカルトリビューン102-0074 東京都千代田区九段南 2-1-30イタリア文化会館ビル 8FTEL 03-3239-9376E-mail: [email protected]

No.10

第 55 回日本脈管学会総会 会告(第 3 次)The 55th Annual Meeting of Japanese College of Angiology

 第 55 回日本脈管学会総会を下記の通り開催致します.会員各位の多数の

ご参加をお待ち申し上げます.

第 55 回日本脈管学会総会

会長 種本 和雄

詳細は随時総会 HP(http://www.jc-angiology.org/meeting/55/)より

ご確認ください.

会  長: 種本 和雄(川崎医科大学心臓血管外科学 教授)

会  期: 2014 年 10 月 30 日(木)〜 11 月 1 日(土)

会  場: 倉敷市芸文館

〒 710-0046 岡山県倉敷市中央 1-18-1

TEL:086-434-0400

テ ー マ: 「Vascular Team の新時代」

日  程: 10 月 29 日(水) 理事会,評議員会

10 月 30 日(木)〜 31 日(金) 学術集会

11 月 1 日(土) 医用近赤外線分光法研究会

血管無侵襲診断セミナー

日本血管外科学会教育セミナー

血管内レーザー焼灼術研修会

その他

予定プログラム: ★ 会長講演

★西丸記念講演

★招請講演

★特別講演

★ 教育講演

Page 2: 2014 年6 月25 日発行 ISSN 2186-876X 脈管脈管学会学会

─ 2─

★ シンポジウム

・ 「Vascular team による重症虚血肢の治療」

・ 「弓部大動脈瘤に対するステントグラフト治療(chimney vs debranching)」

・ 「冠動脈疾患の新しいエビデンスとチームアプローチ」

・ 「ここまで進化した脈管の基礎研究」

★ パネルディスカッション

・ 「下肢静脈瘤の血管内レーザー治療の合併症と対策」

・ 「脈管疾患の画像診断(CT と MRI のすみわけ)」

・ 「膝下病変に対する治療(EVT vs Bypass)」

・ 「動静脈奇形の最新の治療」

★ ワークショップ

・ 「チームアプローチによるリンパ浮腫の最新の治療」

・ 「フットケアーの Pitfall」

・ 「脈管疾患の CVT の役割」

★ 脈管専門医教育セッション

★ 会長要望演題

・ 「CEA と CAS の遠隔成績比較」

・ 「CAS の pitfall」

・ 「PCI の最新の話題」

・ 「心臓大血管に対するリハビリテーション」

・ 「透析患者の遠隔成績向上のための対策」

・ 「大動脈解離の最新治療」

・ 「大動脈解離に対するステントグラフト治療」

・ 「肺塞栓血栓症の最新治療」

・ 「下大静脈フィルターの功罪」

・ 「CVT による脈管検査」

・ 「腹部大動脈瘤破裂に対するステントグラフト治療」

・ 「間歇性跛行の運動療法」

・ 「PAD に対するハイブリッド治療」

・ 「SFA の血管内治療」

・ 「Distal bypass の遠隔成績」

・ 「吻合部内膜肥厚の防止策」

・ 「難治性血管炎治療の最前線」

・ 「人工血管感染に対する治療の工夫」

・ 「下肢静脈瘤の術式別遠隔成績」

・ 「保険収載された内視鏡下筋膜下不全穿通枝切離術」

Page 3: 2014 年6 月25 日発行 ISSN 2186-876X 脈管脈管学会学会

脈管学会 Newsletter No. 10

─ 3─

★ 一般演題(口演,ポスター)

1. 画像診断 2. 動脈硬化(検査・診断) 3. 動脈硬化(病態・治療) 4. 血管作動物質

5. 脳血管・脳循環 6. 冠血管・冠循環 7. 肺血管・肺循環 8. 閉塞性動脈疾患

9. 急性動脈閉塞症 10. 動脈瘤 11. 大動脈瘤 12. 末梢性動脈瘤

13. 大動脈解離 14. 静脈疾患 15. リンパ疾患 16. 血管炎

17. 先天性異常 18. 遺伝子・再生医療 19. 血管内治療 20. 高血圧

21. 血小板・凝固 22. 代謝疾患 23. 循環生理・薬理学 24. 脈管病理学

25. 基礎研究 26. その他

★ Japanese College of Angiology Award(JCAA)(基礎,臨床部門)

★ 共催シンポジウム(JCAC シンポジウム)

「日本人における抗血栓療法 NOW !!」

★ランチョンセミナー

★ 第 55 回日本脈管学会総会期間中(10 月 31 日・金)に美観地区一周

‘Morning Fun Run with Prof. Hiatt’を開催いたします.(小雨決行,参加費無料)

William R Hiatt, MD のサイン入り記念 T シャツを配布します.

参加ご希望の方は事前に HP よりご登録をお願いいたします.

演題採否および発表日時通知:ご応募いただいた演題の採否および発表日時については,E-mail にて 8 月中旬頃までにお知らせいた

します.

詳細は総会 HP(http://www.jc-angiology.org/meeting/55/)をご確認ください.

事 務 局: 川崎医科大学 心臓血管外科学

事務局長:正木 久男

〒 701-0192 岡山県倉敷市松島 577

TEL : 086-462-1111(代)  FAX : 086-464-1189(直通)

連 絡 先: 第 55 回日本脈管学会総会 運営事務局

(株)メッド:清水明日香

〒 701-0114 岡山県倉敷市松島 1075-3

TEL : 086-463-5344  FAX : 086-463-5345

E-mail: [email protected]

Page 4: 2014 年6 月25 日発行 ISSN 2186-876X 脈管脈管学会学会

PubMedからも検索可能です

──── Annals of Vascular Diseases ───使用言語: 英語発  行: オンラインジャーナル(J-STAGEで先行公開、PMC) ペーパー版(年 4 回 + Supplement (ASVS抄録集))判  型: A4変型

投稿規定詳細は下記をご参照ください。http://www.avd.umin.jp/

問合せ先: AVD編集室 Email: [email protected] TEL: 03-3239-9376

PMCとは?米国国立医学図書館(NLM, National Library of Medicine)が運営するオンライン論文アーカイブで,掲載論文の全文を無料で閲覧できます。PubMedの検索対象ともなるため,世界中からの閲覧機会が飛躍的に広がります。会員のみなさまからの多数のご投稿をお待ち申し上げます。

■ お知らせ■ 15th Congress of Asian Society for Vascular Surgery■ 5-7 September, 2014■ Hong Kong Academy of Medicine Building■ http://www.asvs2014.org/※ AVDはASVSのオフィシャルジャーナルです。

日本脈管学会,日本血管外科学会,日本静脈学会の合同英文誌

AVD(Annals of Vascular Diseases)は,PMC(旧PubMed Central)に一般公開されています。

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/journals/1829/

AVD Annals of Vascular Diseases

最新号 vol.7 iss.2 は、6 月 25 日に J-Stage 公開、7月上旬に PMC 公開予定です。

REVIEW ARTICLES

Myocardial Bridge as a Structure of “Double-Edged Sword” for the Coronary Artery

Toshiharu Ishii, Yukio Ishikawa, Yoshikiyo Akasaka

The Relationship between Vascular Function and the Autonomic Nervous System

Eisuke Amiya, Masafumi Watanabe, Issei Komuro

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脈管学会 Newsletter No. 10

─ 5─

が,個別の重症度としては跛行患者の申告による最

大歩行距離(時間)や跛行出現距離(時間)に拠らざる

を得なかった.患者の跛行症状を可及的に実際のも

のに即するため,トレッドミルを用いた歩行速度や

歩行面の勾配を含め,種々の運動負荷法が試みられ

た.12 度勾配で 3.2 km / 時間の速度で行う負荷法が

一般的となったが,徐々に歩行面の勾配をあげてい

く Gardner 法も使用されている.我が国では運動負荷

後の足関節部圧の回復過程を評価する方法が提唱さ

れる一方,客観的評価法として近赤外線分光法を用

いたリアルタイムでの跛行評価も有用な方法として

用いられるようになった.

 このように間歇性跛行肢の客観的評価法が議論さ

れるなか,間歇性跛行患者の虚血肢の予後は比較的

良好であり,5 年後の転帰をみた場合,跛行肢が肢切

断に至る可能性は高くても 2~3%に止まるのに対

し,生命予後をみると 15~20%は死亡しており,そ

の 70%前後は心血管事故によるものであることが明

らかになった.

 21 世紀を迎え新たに大きな母数の観察研究が行わ

れた.44 カ国の 68000 名余の患者を対象に行われた

REACH registry では,脳血管障害や虚血性心疾患,

PAD を有する患者が登録され,観察研究が行われ

た.登録された患者群について検討すると,虚血性

心疾患患者の 25%,脳血管障害患者の 40%,PAD 患

者の 60%以上が,相互に他臓器の動脈硬化性血管病

変を有していることが明らかになり,これら脳や心

臓,末梢動脈病変を有する患者は個別臓器の血管病

変を有する患者として捉えるのではなく,個別臓器

の病変は全身的な動脈硬化症の一部分症である,と

する考えが広まってきた.さらに病変が多臓器に及

ぶほど,polyvascular disease であるほど心血管事故は

増加し,生命予後も不良になることが明らかにな

 我が国のみならず世界の PAD 診療には,10 年ごと

に一つの流れを見て取ることができる.1970 年代

は,我が国においては,慢性閉塞性動脈疾患の代表

であったいわゆる Buerger 病患者数が急速に減少し,

閉塞性動脈硬化症患者が凌駕しつつあった.また,

ドプラ血流計による足関節部動脈圧測定が,客観的

定量的肢虚血重症度評価法として広く用いられるよ

うになった.1980 年代初頭にはロンドンで Working

Party of the International Vascular Symposium が開かれ,

The definition of critical ischemia of a limb が討議され,

重症虚血肢の診断基準が提唱された.この診断基準

は, 米 国 血 管 外 科 学 会 や 国 際 脈 管 学 会(IUA;

International Union of Angiology)において引き続き議

論が行われ,1986 年には米国血管外科学会により,

重症虚血肢を含めた慢性虚血肢の重症度分類が提唱

された.1989 年にはローマで開かれた IUA 総会で,

重 症 虚 血 肢 の 定 義 に 関 す る European Consensus

Document が発表された.これらの基準は,1992 年に

改訂されたヨーロッパ基準や 1997 年の米国血管外科

学会基準と大きな変更はなく,2000 年に出された

TASC(TransAtlantic Inter-Society Consensus)に述べら

れている基準,すなわち安静時疼痛や潰瘍壊死があ

り,半年から 1 年以内に肢切断になる可能性のある

虚血肢で,足関節部圧が 50~70 mmHg 未満,または

足趾動脈圧が 30~50 mmHg 未満,あるいは経皮的組

織酸素分圧が 30~50 mmHg 未満のもの,に集約され

ている.したがって,1980 年代は重症虚血肢の時代

とも言えよう.

 重症虚血肢の診断基準に一定の結論が出た後,

1990 年代に入って間歇性跛行の評価法が取り上げら

れるようになった.すでに 1986 年の米国血管外科学

会基準では,運動負荷により低下する足関節部圧の

程度により,跛行重症度を 3 段階に分類していた

寄  稿

Green IVY運動

国際医療福祉大学臨床医学研究センター

山王メディカルセンター血管外科

重松  宏

Page 6: 2014 年6 月25 日発行 ISSN 2186-876X 脈管脈管学会学会

─ 6─

り,他臓器病変を併存する率の高い PAD は,全身的

な動脈硬化症を検索する“窓 Window”として注目され

るところとなった.

 PAD に焦点を当てた観察研究である GET ABI は大

きなインパクトを与えた.この研究では,無症候性

PAD 患者の event free survival は症候性 PAD 患者ほど

ではないにしても,正常群に比して有意に不良であ

り,とくに 65 歳以上の高齢者群にあっては,心筋梗

塞や脳卒中,脳血管や心血管イベントによる死亡,

全死亡,いずれにおいても症候性 PAD と無症候性

PAD との間に有意差がないことが明らかになった.

すなわち医療機関を肢虚血のために受診することの

ない患者群,症状はないが動脈の閉塞はあると規定

した Fontaine I 度の患者群,の早期診断や治療的介入

が PAD 患者の生命予後の改善に必須であることが明

らかとなった.

 2010 年に非営利型一般社団法人日本心・血管病予

防会が設立され,敬老の日を中心に,一般市民を対

象に足の血圧を測定する Take ABI というイベント

が,東京を初めとして全国各地で開かれ,マスメ

ディアを通じて大きな関心が寄せられた.2013 年に

は敬老の日の前日を「心・血管病予防デー」とするこ

とが,日本記念日協会から認定された.これらの活

動の中から,我が国においても動脈硬化を原因とし

た PAD 患者は多く,市井の市民の中で ABI が 0.9 以

下のものは 2.8%に,0.91~0.99 の境界域のものは

6.8%にみられること明らかになった.

 そこで足の血圧測定を通じて脳や心血管病変を捉

えて生命予後の改善をはかることのみならず,超音

波検査を用いた大動脈瘤の早期診断など,血管病の

啓発活動を“Green IVY”運動と名付けて,東京タワー

のライトアップなどの様々な活動が行われている

(図).

 PAD 診療の流れは重症虚血肢から無症候性 PAD

へ,そしてその予防に広がりを見せている.

(2014 年の Take ABI & Echo イベントは,9 月 14 日

(日)の心・血管病予防デーに開催されます.御協力

頂ける施設は,日本心血管病予防会(http://shinkekkan.

com/)に御連絡頂けると幸甚です.)

図 Green IVY 運動のシンボルマーク.

蔦の葉が心臓の形に似ていて,蔦のつるが

血管のようである.グリーンは若さ,希望等

を意味する.

脈管学会 Newsletter はオンラインでもご覧いただけます

なお,閲覧は会員のみ可能となりますので,会員共通の下記 ID,パスワードをご入力ください.

ID:jcanl パスワード:angio* ID,パスワードは毎号 Newsletter に掲載いたします.

学会ホームページよりアクセスしてください.

http://www.jc-angiology.org/japanese/

Page 7: 2014 年6 月25 日発行 ISSN 2186-876X 脈管脈管学会学会

脈管学会 Newsletter No. 10

─ 7─

 脈管学会認定脈管専門医試験の過去の試験問題から,毎号数題ピックアップして解説付きで掲載いたします.

日本脈管学会専門医制度委員会

問題 2

腎動脈狭窄について誤りはどれか.

a 血漿レニン活性測定がスクリーニングに最も適して

いる.

b ステントによる血行再建術が有効である.

c 線維筋性異形成は腎動脈以外の動脈にも起こり

うる.

d 繰り返すうっ血性心不全の原因となる.

e 急激な腎機能低下の原因となる.

正解: a

解説:腎血管性高血圧の原因疾患には粥状動脈硬化

性,線維筋性異形成,大動脈炎症候群などがある.粥

状動脈硬化性は腎動脈起始部に多く,線維筋性異形成

は若年者に多く腎動脈の中遠位部が好発部位である.

形態的,機能的な診断のスクリーニングとして有用性

が高いのは非侵襲的な超音波ドプラ検査である.腎動

脈狭窄があれば血漿レニン活性は上昇するが,経過が

長くなったり両側性の場合では上昇しないことがあ

る.ACC/AHA ガイドラインでは腎動脈狭窄のスク

リーニングとして血漿レニン活性は有用でないとして

いる.

 腎動脈狭窄症の診断の手がかりは,30 歳以下また

は 50 歳以上で発症の高血圧,突然発症した原因不明

の肺水腫,増悪する軟治性高血圧,急激な腎機能低

下,原因不明の腎萎縮や腎サイズの左右差などの場合

は,腎動脈狭窄を疑う.

 腎動脈狭窄に対しての治療は近年血管形成術が広

まってきた.線維筋性異形成ではバルーン拡張が主

で,粥状動脈硬化性ではステント留置術が主である.

血管形成術の適応がまだ問題である.

参考文献

日本高血圧学会高血圧治療ガイドライン作成委員会編:高血

圧治療ガイドライン 2014,日本高血圧学会,ライフサイエ

ンス出版,2014

ACC/AHA 2005 Guidelines for the Management of Patients With

Peripheral Arterial Disease. Circulation 2006; 113: 1474–1547

問題 1

急性動脈閉塞術後の再灌流障害で,最も障害を受けや

すいのはどれか.

a 脛骨神経

b 深腓骨神経

c 伏在神経

d 坐骨神経

e 腓腹神経

正解: b

解説:急性動脈閉塞に対する血流再開手術の後は,再

灌流障害である代謝性筋腎症候群(MNMS)とコンパー

トメント症候群の予防に努めねばならない.長時間の

虚血後に血流が再開すると,毛細血管の透過性亢進と

筋肉浮腫によって筋区画(コンパートメント)の内圧が

上昇する.区画内圧の正常値は 4 mmHg 前後(正常上

限 10 mmHg),細動脈の灌流圧は約 20〜30 mmHg で

ある . 区画内圧が 30 mmHg を超えると循環障害を来

し,神経麻痺や筋肉壊死すなわちコンパートメント症

候群が生じる.下腿には前方,外側,浅後方,深後方

の 4 つの区画があり,下腿前方区画は脛骨および腓骨

に包囲される面積が広く,コンパートメント症候群の

好発部位である.前方区画には前脛骨筋,長趾伸筋,

長母趾伸筋,前脛骨動・静脈,深腓骨神経が含まれ

る.区画内圧 30 mmHg 以上が持続する際は,筋膜切

開術(減張切開)が必要である.脛骨神経は深後方区

画,伏在神経は下腿内側の皮下,坐骨神経は臀部から

大腿部,腓腹神経は小伏在静脈の横を走行する.

参考文献

末田泰二郎:第 27 章 急性動脈閉塞,脈管専門医のための臨

床脈管学(日本脈管学会編),メディカルトリビューン,東

京,2010,263–265

脈管専門医試験問題と解説

Page 8: 2014 年6 月25 日発行 ISSN 2186-876X 脈管脈管学会学会

─ 8─

 腹部大動脈あるいは内腸骨動脈から分岐する動脈

は,すべて II 型エンドリークに関与する可能性があ

る.瘤内に直接流入する動脈として腰動脈,下腸間膜

動脈,正中仙骨動脈が挙げられる.腰動脈には,内腸

骨動脈から分岐する腸腰動脈の血流が流入し II 型エン

ドリークをきたし得る.下腸間膜動脈には,上腸間膜

動脈からの血流が「Riolan のアーケード」を介して流入

し得る.正中仙骨動脈には内腸骨動脈から分岐する外

側仙骨動脈の血流が流入し得る.この他に,EVAR の

術前あるいは術中に内腸骨動脈を塞栓してある症例で

は,外腸骨動脈から分岐する深腸骨回旋動脈が側副血

行路を介して腸腰動脈と吻合し,腰動脈への血流を供

給することがある.下腹壁動脈は,深腸骨回旋動脈と

同じ高さで外腸骨動脈から分岐し,前腹壁の後面を内

側に向かって走行する.この動脈が II 型エンドリーク

に関与することはない.

参考文献

Sidloff DA, Stather PW, Choke E, et al: Type II endoleak after

endovascular aneurysm repair. Br J Surg 2013; 100: 1262–1270

問題 3

腹部大動脈瘤のステントグラフト内挿術後に認められ

る II 型エンドリークに関与しない動脈はどれか.

a 腰動脈

b 下腸間膜動脈

c 正中仙骨動脈

d 腸腰動脈

e 下腹壁動脈

正解: e

解説:II 型エンドリークは,EVAR 症例の 10〜20%で

認められる.II 型エンドリークに対する基本は経過観

察で,約 3 分の 1 の症例でエンドリークは自然に消失

する.一方,II 型エンドリークが原因で瘤径が増大

し,追加治療が必要となる症例が約 20%で認められ

る.追加治療として,II 型エンドリークに流入する動

脈に対する経動脈的塞栓術,経腰的穿刺塞栓術が挙げ

られる.とくに前者の場合,エンドリークに関与する

動脈に関する知識が不可欠である.

『脈管学』オンライン版は,迅速な論文公開が可能,検索情報として論文の流通が拡大,図表のカラー掲載が無料など多くのメリットがあります.会員のみなさまのご投稿をお待ちしております.

論文投稿(オンライン投稿システム;Editorial Manager)および掲載論文の閲覧(J-STAGE)は学会ホームページからhttp://www.jc-angiology.org/japanese/

Page 9: 2014 年6 月25 日発行 ISSN 2186-876X 脈管脈管学会学会

脈管学会 Newsletter No. 10

─ 9─

お知らせ

2013 年優秀論文のご報告

「脈管学」編集委員会委員長 荻野 均

 『脈管学』2013 年の掲載原著論文のなかから編集委員会の厳正な選考の結果,下記の論文が 2013 年優秀論文に認定されました. 優秀論文に認定された論文は,英訳され Annals of Vascular Diseases(AVD;『脈管学』

『日本血管外科学会雑誌』『静脈学』の 3 学会合同英文誌)に掲載されます.

左総腸骨静脈 spur に関する組織学的検討 三岡 裕貴 先生(愛知医科大学医学部 / 現 大垣市民病院臨床研修センター)ほか53 巻 4 号  pp. 43–47

孤立性ひらめ筋内静脈血栓の分布特性と危険因子との関連應儀 成二 先生(日立記念病院血管外科)ほか53 巻 10 号  pp. 159–166

急性大動脈解離後の大動脈外膜の張力と伸びに関する研究秋本 剛秀 先生(静岡県立総合病院心臓血管外科)ほか53 巻 6 号  pp. 77–81

※ AVD への掲載は著者の同意が得られた場合に限ります.

『Newsletter』ご寄稿のお願い

『Newsletter』は会員相互の交流の場として活用されることを目指しております.会員のみなさまのご寄稿,ご意見などお寄せくださいますようお願い申し上げます.

 内容:学会参会記・留学記や,日頃お感じになっていることなどご忌憚なくお寄せください. 分量:2000字程度 ご送稿先:「脈管学」編集室 E-mail: [email protected]

 投稿の採否については編集委員会判断とさせていただきます.また採用の場合,原稿の手直し等をお願いすることがあります.

Page 10: 2014 年6 月25 日発行 ISSN 2186-876X 脈管脈管学会学会

─ 10─

専門医制度委員会からのお知らせ

専門医制度委員会

委員長 林 宏光

◆ 2014年 日本脈管学会認定脈管専門医試験スケジュール

8 月 合否通知発送

9 月 合格者の認定申請書受付(〜 9 月 30 日必着)

11 月〜 12 月 認定証の発送

◆ 2014年 日本脈管学会施設認定スケジュール6 月初旬〜 施設申請受付期間:

2014 年 6 月 1 日〜 2014 年 9 月 1 日(必着)

(要項・申請書類等の必要書類は学会 HP より

ダウンロード)

11 月 合否通知発送

合格施設の認定申請書受付(〜 12 月 13 日必着)

12 月下旬 認定証の発送

◆ 日本脈管学会認定脈管専門医更新に関する重要なお知らせ

 脈管専門医の資格の更新について,以下の点をご留

意くださいますようお願い申し上げます.

【更新の研修単位について】 更新には研修単位数 50単位以上が必要となり,提

出書類として単位取得証明書が必要となります.

 単位取得証明書として有効な物は以下の通りです.

 ・学会参加証(原則コピー不可)

 ・演者・座長として参加した学会抄録集のコピー

 ・学術論文のコピー

 特に学会参加証,学会抄録のコピー等の紛失がござ

いませんようご注意願います.

 その他,更新に関する詳細は,日本脈管学会認定脈

管専門医制度規則をご確認くださいますようお願い致

します.

【教育セッションについて】 更新に際して「教育セッション」2回以上の参加が必

須条件となります.

○ 第一回認定者(認定期間 2010年 1月 1日~ 2014年12月 31日):特例として更新申請年の教育セッション参加を有効とする

 第一回認定の専門医の先生方(認定期間 2010 年 1 月

1 日〜 2014 年 12 月 31 日)には 2014 年に更新申請を

していただきましたが,これまで教育セッションを 1

度しか受講されていない先生に関しては,2014 年 10

月の学術総会時に開催される教育セッションに参加し

ていただくことが更新の必須条件となります.

○ 第二回以降の認定者:認定された前年の教育セッションの参加を有効とし,更新申請年の教育セッションの参加は無効とする

 第二回認定の専門医の先生方(認定期間 2011 年 1 月

1 日〜 2015 年 12 月 31 日)には 2015 年に更新申請を

していただくことになりますが,更新申請年の教育

セッションの参加は無効となりますので,これまで教

育セッションを 1 度しか受講されていない先生に関し

ては,2014 年 10 月の学術総会時に開催される教育

セッションに参加していただくことが更新の必須条件

となります.

 ご参加忘れの無いようご注意願います.なお,教育セッション会場への入室はセッション開始 15分後まで,退出はセッション終了 15分前以降とします.これより遅い入室や早い退室の場合は教育セッション参加証をお渡しできませんので,時間に余裕をもってのご参加をお願いいたします.【専門医更新猶予申請について】○ 受付期間

 認定期間終了年の 2 月 1 日〜 4 月 30 日必着締切と

します.

 第二回認定者(認定期間 2011 年 1 月 1 日〜 2015 年

12 月 31 日)の専門医更新猶予申請期間は 2015 年 2

月 1 日〜 4 月 30 日です.

○ 更新猶予審査・認定料

 猶予期間に関わらず 10,000 円とします.申請料は

申請時にお振り込みいただき,猶予が認められない場

合でも返金しません.

○ 提出書類

 専門医更新猶予申請書及び猶予理由を証明する書類

をご提出いただきます.猶予理由を証明する書類の形

式は自由です.

○ 猶予認定後

 更新猶予証明書を発行します.尚,猶予期間中に

行った症例は,脈管専門医資格認定更新審査申請書に

記載する症例数として認めません.

日本脈管学会認定脈管専門医制度規則につきまして

は,日本脈管学会ホームページ(http://www.jc-angiology.

org/japanese/)をご参照ください.

お知らせ

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脈管学会 Newsletter No. 10

─ 11─

● 第 56 回日本脈管学会総会会  期: 2015 年 10 月 29 日(木)〜31 日(土)会  場: 虎ノ門ヒルズ(予定)会  長: 磯部光章(東京医科歯科大学大学院循環制御内

科学)

お知らせ

Vol. 54 No. 4(4 月 10 日公開)

原  著外傷性膝窩動脈損傷の治療経験─術中術後持続血液濾過透析(CHDF)施行の有効性─

皆川 幸洋 (岩手県立久慈病院救命救急センター)ほか 39

下肢潰瘍に対する足関節レベルの血管超音波検査の有用性:皮膚微小循環血流との比較

関谷 直美 (埼玉医科大学形成外科)ほか 45

症例報告Helicobacter cinaedi 菌血症による感染性大腿深動脈瘤の 1 例

新美 清章 (公立陶生病院心臓血管外科)ほか 51

足関節内果骨折の 12 年後に生じた後脛骨動脈仮性動脈瘤小林 健介 (医療法人社団松和会池上総合病院心臓血管

外科)ほか 57

診断に難渋した腹腔動脈分枝瘤破裂の 1 例三戸 隆裕 (宗像水光会総合病院心臓血管センター・循環

器科)ほか 61

Vol. 54 No. 5(5 月 10 日公開)

第 54 回総会シンポジウム 7 血管内皮機能改善のための最新治療 総  説

新しい心臓リハビリテーション─全身加速ベッドと四肢駆血を冠血流予備能(CFR)から評価する─

福田 祥大 (産業医科大学第 2 内科)ほか 67

脈管学 Vol. 54(2014) Contentshttp://www.jstage.jst.go.jp/browse/jca/-char/ja

第 54 回総会 座長推薦論文 症例報告

ステントで治療したナットクラッカー症候群の 1 例─超音波所見を中心に─

田端 強志 (東邦大学医療センター佐倉病院生理機能検査部)ほか 73

EVAR 術後に対麻痺を発症した腹部大動脈瘤の 1 例水野 明宏 (公益財団法人天理よろづ相談所病院心臓血管

外科)ほか 79

Vol. 54 No. 6(6 月 10 日公開)

症例報告特発性肋間動脈仮性瘤の 1 治験例

磯田竜太郎 (川崎医科大学総合外科学)ほか 83

腹腔動脈閉塞を伴う下膵十二指腸動脈瘤に対し,左腎動脈-脾動脈バイパス術と動脈塞栓術で治療した 1 例

中野 善之 (東日本旅客鉄道株式会社 JR 仙台病院外科)ほか 87

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