聞き書きからはじめる地域づくり(2013.12.7 聞き書きと市民調査の勉強会「聞いて、記録し、そして活かそう」、奄美大島)...

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2013.12.7聞き書きと市民調査の勉強会「聞いて、記録し、そして活かそう」

聞き書きからはじめる地域づくり

宮内泰介北海道大学大学院文学研究科教授

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SATOYAMAイニシアティブ国際パートナーシップ事務局 『聞くこと・記録すること――「聞き書き」という手法』より

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SATOYAMAイニシアティブ国際パートナーシップ事務局 『聞くこと・記録すること――「聞き書き」という手法』より

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静岡県御前崎市:NPO 手火山+大学聞き書き講座( 2009 年 8月)

• 中・高生と大学生の協働• NPOと大学の協働

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なぜ聞くことが必要か

聞かないとわからない世界中の情報の 99% は人の頭の中

にある聞かないと消えてしまう

無視されてしまう人々の歴史・人々の思い

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なぜ聞くことが必要か

聞くことの多面的な目的地域の歴史、人の歴史

• 自然、文化、社会を掘り起こす先人を見つめる

• 先人の足跡の上に私たちがいる• 多面的な人生

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なぜ聞くことが必要か

自然とのかかわりを聞く自然科学的な自然理解だけではダメ。自然と人との相互関係が大事。“ 地域にとっての自然”が大事。

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宮城県石巻市 北上川河口地域(追波湾)の岩ノリ採集

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岩ノリ採集に見る人と自然の相互作用

「山の石を砕いて、海岸のほうに転がしていく。その石には付きやすい。新しい石や岩には付きやすい」 ( S.T. さん、 2010.3.21 )

「つぎ石工事はフノリのため。フノリは当時は農家でいえば米と同じだから」 ( E.E. さん、 2010.3.22 )

「フノリなんかは、採らないと、余計な草がつく。ノラというノリみたいな草がついて、食用に適さなくなる。だから採った方がきれいなのがおがってくる」 E.E. さん、 2009.8.5 )

「フノリなんかね、繁殖時期に採ったやつを水で洗ってその水をじょうろで岩にかけるんですよ。そうすると、すぐ密着してしまうんだ。流れない」 ( E.E. さん、 2009.8.5 )

「マツモの根っこは食べないので残しておく。根っこを残しておけばまた再生する」( S.T. さん、 2010.3.21 )

→ 人と自然の相互作用が重要

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コミュニケーションとしての聞きとり話し手と聞き手の共同作業

エンパワメント(問題解決能力の向上)としての聞きとり

聞くことはおもしろい

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回想法

回想法=高齢者を対象とする心理療法。「クライエントが、受容的、共感的、支持的な良き聞き手と共に心を響かせあいながら過去の来し方を自由に振り返ることで、過去の未解決の葛藤に折り合いをつけ、そのクライエントなりに人格の統合を図る技法」(黒川由紀子『回想法』 p.23 )

傾聴ボランティア

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こちらの力量が問われる。予備知識 人間としての度量

一次情報 vs 二次情報 相互作用としての聞き取り

語りは常に変化する

代表性の問題

聞くことは難しい

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書くということ 聞くことと書くこととは一体加工する・編集するということ

インタビューのときから始まっている編集

何を落とし、何を加えるか誰に向けて書くか

語り手と聞き手と読み手の共同作業

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聞き書きの技法

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SATOYAMAイニシアティブ国際パートナーシップ事務局 『聞くこと・記録すること――「聞き書き」という手法』より

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SATOYAMAイニシアティブ国際パートナーシップ事務局 『聞くこと・記録すること――「聞き書き」という手法』より

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どう聞くか

• リラックスした雰囲気で。日常会話的に聞く

• 相手の話をすべて受け入れる

• 聞き取りは「コミュニケーション」であることを忘れずに

• 詰問しない。圧迫的な聞き方は絶対にしない

• 答えやすい質問を

• あらかじめ用意した質問項目にこだわらない

• 話の流れを重視する• 聞き取りの中で新たなポイントが出てくることがある。それを逃さないように

• しかし大事な質問項目は落とさないように

受容的に聞く 柔軟に聞く

•まずは簡単に調査の趣旨説明と自己紹介をする

•名刺を渡す•趣旨説明をする

趣旨説明と自己紹介•基本情報=正確な氏名、生年月日、家族構成、住所・電話番号

•氏名以外の基本情報は、冒頭に聞くのではなく、話の流れの中で聞く、あるいは、最後に聞く方がよい

基本情報を押さえる

•最初に「記録のため録音させていただいてよいですか」とさりげなく了解をとる

• ICレコーダーがちゃんと動いているかどうか確認する

ICレコーダーによる記録をとる •各自メモ帳を用意してください

•メモは大事。しかし、メモを取ることに忙しく下を向きながら聞くのは避けるべし。

•メモは、インタビューの間に適宜ふりかえって次の質問を考えるために重要。

メモを取る

•地図を用意する•地図にいろいろと書き込んでいく(何がそこにあったか、そこで何をしたか、などなど)

地図に書き込む

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SATOYAMAイニシアティブ国際パートナーシップ事務局 『聞くこと・記録すること――「聞き書き」という手法』より

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SATOYAMAイニシアティブ国際パートナーシップ事務局 『聞くこと・記録すること――「聞き書き」という手法』より

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【サンプル テープ起こし】

 昔はねえ、お葬式や結婚式は、自分の家でやったのさ。嫁さんの家へ迎えに行って、婿さんも連れてきて、そこで、身内が集まって、お祝いして、終わったら今度、嫁ぐところへ一緒に行ってさ、そこでまたお祝いして、結婚式やりました。 神社でお参りなどはしないで、ただ、三三九度の杯をやって、そして、御馳走を食べました。昔は仲人さんがおったから、自分で彼女を作るとかってことはめったに無かったのです。誰か仲人が入ってどうだいもらわんかい?って言ったら、ああいいかっちゅうことでね。自分で彼女を見つけて連れてくるとは全然なかった。 仲人が中に入って「どうですか?」って言って、親が「どうだい、あの人もらえんか」って言うんだね。そしたらその仲人さんが女の人のところへ行って、その親にくれないかって言って、そして、よしあげるってことになれば、そこで結納入れたのです。そうしてやったんだね。だから、ほとんど、それが最初さ。千栄あたりはね。結婚式は。だけど、そのあとだんだんね、終戦後になって、学校とか施設、この生活館、そこでやるようになった。ここはもともとは生活館ていうんではなかったけども、まだね、古い学校を利用したりなんかしてね、そこで結婚式挙げた。学校ったって、小学校だとかなんかでね。そんな程度。でもあれ、写真 写真屋さんて日高におったのか、杉山さんっちゅうて、もとはそこで店やった・・・りなんかした人、その人は、けっこうみんなの写真、結婚式の写真撮って、うん。それはもう最初はもうなんだか、あまり写真も無いようだったけど、誰か撮ってなんぼか、ね。おらあ、 29年に、結婚したんだけど、やっぱり写真はあったよ。あ、あん時は杉山さんちゅう人が撮ってくれた。そして、だんだん今度、生活改善ちゅうもんがあって、お金 もうお祝・・・いきたらなんぼっていうのが決まってなかったわけさ。 2000円だとか、 1000円だとか、いろいろみんな出しとったんだけど、それじゃうまくないってんで、結局、今の制度、一人なんぼっていう、料金にして、ちゃんと案内状出して、そして、あれするべっちゅうことになって。そして今度日高、結婚式ったらほとんど日高でやったもんね。日高の町民センター。まだちっちゃかったからあれだけども。あそこらへんで式挙げる。そしてお祝いして。もとは千栄は、千栄でここらへんでやってたの。その前は自分の家で結婚式やってた。

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↓【サンプル 聞き書き完成版】

■昔の結婚式は家で行った

昔は、自分で彼女作るとかってことはめったになかった。誰か仲人が入って「どうだいもらわんかい?」って言ったら、「ああいいか」っちゅうことで決まったのです。その仲人さんが女の人のところへ行って、その親に「くれないか」って言って、そして、「よしあげる」ってことになれば、そこで結納を入れて結婚が決まったのです。昔はお葬式も結婚式も自分の家でやりました。嫁さんの家へ迎えに行って、婿さんも連

れて、そこで、身内のもんが集まってお祝いして、終わったら今度、嫁ぐとこへ一緒に行ってさ、そこでまたお祝いしたのです。三三九度の杯やって、そして、御馳走食べてね。

だけど、戦後になって、だんだん、学校とか生活館とかで結婚式をやるようになった。でも、杉山さんという写真屋さんが日高にいて、その人が、みんなの結婚式の写真撮っていました。おらあ、昭和 29年に、結婚したんだけど、やっぱり写真はあったよ。当時は、お祝いが来たらいくらというのが決まってなくて、 2000円だとか、 1000円だとか、いろいろみんな出しとったんだけど、そのうち、生活改善というものがあって、一人なんぼっていう、料金にして、ちゃんと案内状出して、という形になりました。そして次第に結婚式ったらほとんど日高の町民センターでやるようになりました。当時は町民センターもまだ小さかったけど、あそこで式を挙げるようになりました。もとは千栄の人は、千栄の施設で結婚式でやってたの。その前は自分の家で結婚式やってたのです。

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聞き書き手順

前準備 聞く テープ起こし

加工編集(順番の入れ替え、カットなど)

版組

印刷・製本

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聞き書きの効用

人と出会う

地域を発見する

お互いに成長する

伝える

アクションへつながる

副産物がある