多元性の中での開発教育・社会学教育のゆくえ――大学教育におけるグループディスカッション手法の経験から(国際開発学会大会報告2013.12.1)...

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Page 1: 多元性の中での開発教育・社会学教育のゆくえ――大学教育におけるグループディスカッション手法の経験から(国際開発学会大会報告2013.12.1)

多元性の中での開発教育・社会学教育のゆくえ――大学教育におけるグループディスカッション手法の経験から

宮内泰介北海道大学(環境社会学)

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本日の報告概要

1. 1980 年代に開発教育の洗礼を受けた報告者が、それを援用しつつ 1990 年代以降行ってきた大学での社会学教育についてふりかえり、

2. 教育実践(グループディスカッションを軸にした授業実践+調査実習)を紹介しつつ、

3. その意義と課題について議論する

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開発教育の特徴

1. 先駆的な参加型学習の提案と実践• ゲーム形式(貿易ゲーム)、ロールプレイ、シミュレーション、

ランキング、ディスカッション など

2. 「貧困・南北問題」というフレームワークとその暫時的拡大

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開発教育のフレームワーク

• 「この頃[ 1982 年開発教育協議会発足ごろ]の開発教育は「低開発の原因と構造を理解して、問題解決に参加する態度を養う」ことを目標に掲げて」いた(田中治彦, 2003:4 )

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開発教育のフレームワーク

• フレームの拡大

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開発教育のフレームワーク

• 「地域」へ

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社会学教育の変遷

• 社会学理論の教授• ウェーバー、デュルケム、…

↓• 「社会学的な視点」の重視へ

• 「あたりまえをひっくりかえす」社会学授業• 社会調査実習の重視へ

• 大学教育上の要請

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大学における開発教育・社会学教育実践

• 宮内の担当科目:いろいろだが、それほど制約がなく、比較的自由

• 授業手法:グループディスカッション1. 映像・資料(新聞記事など)の提示2. 個人作業3. グループディスカッション( 4 人)4. 個人作業 or グループでのまとめ5. 全体でのシェアと短いレクチャー

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グループディスカッションのセッティングで注意していること

( 1 )議論になりやすそうなテーマを選ぶ( 2 )回によってディスカッションの方向性に多様

性を持たせる• 根本から問う、概念を問う、賛成・反対を考える、解決

策を考える、構想する、などの多様な方向性

( 3 )個人作業とグループ作業とのバランスをうまくとる( 4 )議論しやすい場づくりに注意する

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グループディスカッションの効果は高い

( 1 )グループの中でお互いに刺激しあいながら、深く考えるようになる。多様な考え方に触れる。

( 2 )自分で話しながら理解しようとするので、提示された問題についてより理解が深まる。

( 3 )考える姿勢が身につく。議論する姿勢が身につく。

( 4 )学生の高い満足度が得られる。(学生による授業評価で毎年高いランク)

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グループディスカッション中心の授業の課題

( 1 )教師側からのフレーミングは避けられない( 2 )大学の講義時間の制約( 3 )問題のリアリティは伝わらない( 4 )授業の中の「多様な意見」の限界

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調査実習の可能性

• 多元的な現実からの問題発見のためには、調査実習がいちばん• フィールドの多元性が確保されるような場の設定が必要

• 大学教育として理想:教室におけるグループディスカッション手法と調査実習を有機的につなげて教育を行うこと

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調査実習の課題

1. 調査実習の準備と実施には大きな労力が必要2. 調査地の人たちとの関係

• 調査実習の実験台にしてはならない• 継続的な関係が難しい

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「成功した」調査実習北海道南幌町:聞き取り調査による町の計画づくり

Page 18: 多元性の中での開発教育・社会学教育のゆくえ――大学教育におけるグループディスカッション手法の経験から(国際開発学会大会報告2013.12.1)

「成功した」調査実習北海道日高町:大学と住民との協働による地域資源発見

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「成功した」調査実習北海道日高町:大学と住民との協働による地域資源発見

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“グループディスカッション+調査実習”と社会実践・まちづくりとの関係

1. 「ワークショップ」型まちづくり実践の行きづまり

• 誰のイニシアティブによる「参加」か• 手法の制度化とそこからこぼれ落ちるもの

2. 調査の必要、参加型調査手法開発の必要