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ecomagination is GE 2008 エコマジネーションレポート 要約版

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ecomagination is GE

2008 エコマジネーションレポート 要約版

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1 ge 2008 ecomagination report

エコマジネーションは、エネルギー効率

に優れた製品を求めるお客さまの需要に

応えると同時に、GE の確かな成長を促

進するビジネス・イニシアチブです。さ

らにエコマジネーションは、環境問題に

対する革新的なソリューションの開発

や、お客さまにとって価値ある製品や

サービスの提供に向けて、利益ある成長

を達成しながら将来に投資するという

GE のコミットメントを反映させたもの

です。このレポートでは、お客さまや政

府、NGO(非政府組織)、大学との協力

関係をより一層強化し、製品やサービス

の提供を通じて、世界が直面する重要な

課題に取り組む GE の活動についてご報

告します。

目次 :

1. GE のエコマジネーションへのコミットメントと成果

2. ジェフ・イメルトとスティーブン・フラッダーからのメッセージ

3. 成果を上げるためのビジネス戦略

3. エコマジネーション製品の売り上げを増大

5. 研究開発(R&D)への投資額を倍増

6. GE の事業活動における温室効果ガス(GHG)の排出量削減とエネルギー効率の向上

6. 水の消費量削減と再利用促進

7. 皆さまへの情報公開

8. GE の概要

GE のエコマジネーションへのコミットメントと成果

2005 年 5 月にエコマジネーションを立ち

上げてから 4 年目となる 2008 年、GE は

5 つの主要なコミットメントのそれぞれ

において、大きな成果を挙げています。

エコマジネーション関連製品の売り上げを増大:

• エコマジネーションの製品ポートフォリオは、

2005 年に 17 製品でしたが、現在は 80 製品以

上に増えています。

• 2008 年のエコマジネーション関連製品の売上

高は、前年比 21%増の 170 億ドルに達しました。

1

2研究開発(R&D)への投資額を倍増:

• 2005 年に 7 億 5,000 万ドルだったクリーン技術

(環境にやさしい技術)に向けた投資額を、2008

年には 2 倍の 14 億ドル以上に引き上げました。

3GE の事業活動における温室効果ガス(GHG)の

排出量削減とエネルギー効率の向上:

• GE は、自らが掲げた社内目標の達成に向けて

順調に進んでいます。2008 年には、事業活動に

よる GHG 排出量を、ベースラインである 2004

年と比較して約 13%削減しました。さらに、

GHG 強度とエネルギー効率もそれぞれ、2004

年に比べて 41%と 37%の改善を達成しました。

4水の消費量削減と再利用促進:

• GE は 2008 年 5 月に、2012 年までに水の消費

量を 20%削減するというコミットメントを発

表しました。2008 年には、水の消費量削減に

向け、当社施設に対する分析・調査計画を策定

しました。

5皆さまへの情報公開:

• GEはこのレポートのほかに、エコマジネーション・

ウェブサイトや、さまざまな国際会議、ステーク

ホルダー(利害関係者)に向けたイベント、エコ

マジネーション諮問委員会と共同で進めている取

り組み、米気候行動パートナーシップ(USCAP)

がまとめた歴史上重要な「Blueprint for Climate

Action」を含む新しい公共政策への参画など、あら

ゆる機会を通じて皆さまに情報を開示しています。

1 ge 2008 ecomagination report

Page 3: 2008 ecomagination is GE...1 ge 2008 ecom agin tion report エコマジネーションは、エネルギー効率 に優れた製品を求めるお客さまの需要に 応えると同時に、GE

私たちがエコマジネーションに取り組み始めたのは 2005 年のことです。

その当時の私たちの目標は、エネルギー効率の改善や環境に与える影響

の軽減といった重要な問題の解決を目指すとともに、株主の皆さまに最

大の利益をもたらす、という GE のミッションに合致したプログラムを

立ち上げることでした。それ以降、私たちは、環境に対する影響の抑制

に向けて GE の技術力と産業力を活用するために惜しみない投資を行っ

てきました。同時に、1 億ドルを上回るコストを削減しました。このエ

コマジネーション・レポート 2008 では、私たちが近年取り組んできた

活動の成果をご報告するとともに、今後数年間にわたる当社の計画につ

いて、皆さまと情報を共有したいと考えています。

現在の過酷な経済環境下において、私たちは今まで以上にエコマジネー

ションの必要性を感じています。世界各国の政府が打ち出した景気刺激

策には、ほぼ例外なく「環境(グリーン)」という観点が盛り込まれて

います。この背景には、環境関連産業での雇用の支援や創出が将来的な

競争力の開発や発展に結び付くとの認識があります。私たちは、エコマ

ジネーションによって培ってきた経験を基に、「グリーンカラー(green

collar: 環境産業に従事する人々)」と呼ぶ労働者層の創出について、各

国政府と意見を交換する機会に恵まれました。現在、景気刺激策の中で

環境関連事業に投じられる費用の総額は、全世界で 4,000 億ドルを超え

ると推定されています。私たちのプログラムは、こうした環境を重視す

る動きに後押しされています。また、各国の景気刺激策は景気回復まで

の一時的な需要に対応するだけのものでなく、将来的にエネルギー面で

他国に依存しない強固な社会的基盤を世界全体で構築するものだと私た

ちは考えています。

私たちはエコマジネーションへの取り組みを通じて、景気刺激策という

当面の目標のためだけでなく、世界各国の首脳陣や国会議員と一緒に

なって長期的な政策策定に携わる機会を得ました。こうした政策は、イ

ノベーションを加速させ、実際の行動に移すことを目的としています。

2009 年初頭には、米国気候行動パートナーシップ(USCAP)が、地球

温暖化対策の法制化に向けて詳細な枠組みをまとめたコンセンサス・レ

ポート「A Blueprint for Legislative Action」を発行しました。このレポー

トに記載された提案の多くが立法案に反映されたことを、USCAP の創設

メンバーであるGEをはじめ、USCAPに加入する企業やNGO(非政府機関)

は非常に心強く感じています。

エコマジネーションの進歩には目を見張るものがあります。特に 2008

年は、特筆すべき成果を数多く残すことができました。過去を振り返る

と、GE が全社を挙げて取り組んだイニシアチブの成功事例はいずれも

具体的な指標に基づいて進めてきたものでした。エコマジネーションも

例外ではありません。私たちは、このプログラムを立ち上げたときに

「2008 年までに当社の事業活動による温室効果ガス排出強度を売上高

ベースで 30%削減する」という目標を掲げました。実際にこの目標は、

2008年に達成しています。さらに私たちは2008年に、エコマジネーショ

ンに関連した製品のポートフォリオを約 1.3 倍に増やし、製品数は合計

で 80 種に達しました。このほかエコマジネーション関連製品の売上高

は前年比 21%増の 170 億ドルに増加し、クリーン技術の研究開発

(R&D)費は前年比 25%増の 14 億ドルに増えました。

私たちは今後も、現在の成長速度を維持できるように努めてまいります。

経済環境は依然として厳しい状況ですが、2010 年にはエコマジネーショ

ン関連製品の売上高を 250 億ドルに、クリーン技術の研究開発費を 15

億ドルに増やしたいと考えています。

こうした多くの成果の中で特筆すべきは、GE 以外の企業でもエコマジ

ネーションの成功事例が増えたことでしょう。現在、多くのパートナー

企業が私たちとともに、エコマジネーションを展開し、その効果を高め

ています。例えば、デューク・エナジー社の石炭ガス化複合発電所(イ

ンディアナ州エドワーズポート)では、大量の石炭から発生する二酸化

炭素の排出量を削減するために、私たちの最先端石炭技術を利用してい

ます。また、エリオン・ケミカル社の中国工場では、私たちの排水処理

技術を駆使して、環境保護の必要性が高まっている黄河に流れ込む工場

排水量を抑制しています。GE のエコマジネーションを導入すれば、パー

トナー企業は業務改善が可能になるだけでなく、環境に対する全般的な

影響の管理も可能になります。さらに、GE は社内に限らず社外でもイ

ノベーションを追求し続けています。その証拠として、私たちがベン

チャー・キャピタルの立場から投資する環境関連分野の企業数は増え続

けています。

エコマジネーションは、世界各国における景気回復の加速や、将来的な

雇用創出につながる環境関連事業の支援、お客さま(および私たち)の

事業が環境に与える影響の改善、エネルギー面における独立の推進、利

益をもたらす環境ソリューションのイノベーションと成長促進など、重

要な役割を担っています。私たちは、業界に先駆けて環境関連事業に取

り組み始めた経験を生かし、今後も躍進してまいります。

このレポートがお役に立てば幸いです。当社のウェブサイト

ecomagination.com より、是非ご意見をお聞かせください。皆さまのご

意見をお待ちしております。

これからも変わらないご支援を、宜しくお願い申し上げます。

取締役会長兼最高経営責任者(CEO)

ジェフリー・R・イメルト

エコマジネーション担当副社長

スティーブン・M・フラッダー

投資家の皆さま、お客さま、

そしてあらゆるステークホルダーの皆さまへ

ge 2008 ecomagination report 2

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エコマジネーション

成果を上げるためのビジネス戦略

エコマジネーションは、イノベーションを促進し、利益性の高い環

境ソリューションの成長を加速させると同時に、ステークホルダー

の皆さまにとっても魅力的なビジネス戦略です。私たちは、社内の

研究開発(R&D)活動とベンチャー・キャピタルとしての外部企業

への投資の両面から、イノベーションに対して投資しています。GE

や当社の顧客企業は、こうして開発された製品によって売り上げが

得られるだけでなく、温室効果ガス(GHG)の排出量も削減できます。

利益の向上とエネルギーの節約がもたらす相乗効果によって、環境

ソリューションに対する投資を続けることが可能になり、このサイ

クルを永続的に繰り返すことができます。

私たちは 2008 年と 2010 年、2012 年を区切りとして具体的な目標

を設定しています。そして、GHG 強度を 30%削減するという 2008

年のコミットメントはすでに達成しています。

エコマジネーション関連製品の 2008 年の売上高は、2007 年の

140 億ドルと比べて 21%の増加となる 170 億ドルに達しまし

た。このコミットメントを掲げて以降の 5 年間で、私たちは着

実な成果を挙げています(右図をご参照ください)。

私たちは、最高水準の完全性を備える製品を確実にエコマジネーション

のポートフォリオに追加するために、新たに開発した対象製品を効率的

に認定する厳格なプロセスを用意しています。このプロセスではまず、

2 つの評価基準に基づいて、エコマジネーション製品に関する明確な規

格を策定しました。

エコマジネーション製品に求められるのは、お客様の

1. 業績もしくは価値提案、および

2. 環境性能

を目に見えるかたちで大幅に改善することです。

また、エコマジネーション・サービスに求められるのは、これらの改善

が実質的に実行可能であることです。

この 2 つの評価基準は、相互に影響を及ぼす関係にあります。この規格

の中心にあるのが「グリーン・イズ・グリーン(「緑」を育む環境技術で

売上高

主なエコマジネーション製品とサービスエコマジネーション製品の認定プロセス

14

17

10

6

2004 2005 2007 20082006

12

エコマジネーション関連製品の売上高推移

(単位:10億ドル)

コミットメント1

エコマジネーション関連製品の売り上げを増大

3 ge 2008 ecomagination report

2008年

GHG強度を

30%削減

目標達成済み

エコマジネーション関連製品の売り上げを

250億ドルに拡大

2010年

R&D投資額を

15億ドルに倍増

GHGの絶対排出量を

1%削減

2012年

水の絶対消費量を

20%削減

先行すれば、もう一つの「グリーン(米国紙幣)」を生み出すという意

味を込めた合言葉)」という GE の信念です。つまり、私たちは環境性能

に優れた製品やサービスへの投資と開発を推進することで、お客さまに

高い競争力をもたらし、成功へと導くソリューションを提供していきた

いと考えています。さらに GE は、エコマジネーション製品レビュー

(EPR:Ecomagination Product Review)と呼ぶスコアカードを作成し、他

の製品と比較した上でエコマジネーション製品が環境に与える影響と得

られる利益を数値で示しています。GE ではスコアカードの精度を保証

するため、当社製品の主張に対する定量的な環境分析と検証を第三者機

関で行っています。

GE のエコマジネーション製品とサービスのポートフォリオは、このレ

ポートを作成した時点で 80 種を超えており(下記のリストをご参照く

ださい)、これらは GE の事業全体に渡っています。その中から、主なエ

コマジネーション製品とサービスを以下でご紹介します。

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ge 2008 ecomagination report 4

• アモルファス変圧器

• 協調電圧-無効電力(VAR)制御技術

• DLN 1+ 燃焼システム

• DLN 2.6+ 燃焼システム

• HEAT™ 蒸気タービン

• H System™ タービン・コンバインド・

サイクル・システム

• ガス化複合発電(IGCC)システム

• Jenbacher™ バイオガス・エンジン

• Jenbacher™ 炭鉱ガス・エンジン

• Jenbacher™ コンバインド・ヒート・

アンド・パワー

• Jenbacher™ 埋立処分場ガス・エンジン

• Kn3発電所向け最適化ソフトウェア

• LMS100ガスタービン・システム

• 原子力発電:

改良型沸騰水型軽水炉(ABWR)と

次世代沸騰水型軽水炉(ESBWR)• OpFlex™ ターンダウン・テクノロジー

• ORegen 廃熱回収用システム

• Powerwave+™ クリーニング・システム

• PulsePleat™ フィルタ・エレメント

• Quadromatic™ モーター

• 太陽光発電システム

• 風力発電システム

• Zonal™石炭焚ボイラー向け燃焼調整

• エコマジネーション・ホームビルダー・

プログラム

• ENERGY STAR® コンパクト蛍光灯

(ねじ込み式)

• ENERGY STAR® 認証取得済み洗濯機

(前面投入型と上面投入型)

• ENERGY STAR® 認証取得済み食洗機

• ENERGY STAR® 認証取得済み冷蔵庫

• 1033機関車向けエミッション・キット

• China Mainline Evolution™ 中国幹線鉄道

向け機関車

• Evolution™ ハイブリッド機関車

• Evolution™ シリーズ機関車

• Kazakhstan Evolution™ ES44ACi機関車

• Locotrol™ システム

• PowerHaul™ エンジン

• ロシア製機関車向けモダニゼーション・

スキッド

• SmartBurn™ テクノロジー

• Trip Optimizer™ システム

GEエナジー

GEコンシューマー&インダストリアル

GEトランスポーテーション

• 750 kVA無停電電源装置(UPS)

GEエンタープライズ・ソリューションズ

• GEとAESの合弁ベンチャー企業

グリーンハウス・ガス・サービス社

GEエナジー・ファイナンシャル・サービス

• デジタルX線検査装置

• エコマジネーション・ホスピタル・

プログラム

• Signa™ HDe 1.5T磁気共鳴断層撮影装置

(MRI)• Voluson™ Eシリーズ超音波診断装置

GEヘルスケア

• CFM56 Tech Insertion• CFM56-3アドバンスト・アップグレード

• ランディング最適化飛行管理システム

(FMS)• GE90™-115B航空機エンジン

• GEnx™ 航空機エンジン

GEアビエーション

• 酸性ガス・リインジェクション用

遠心コンプレッサーBCL300シリーズ

• GE Frame5-2ガスタービン用

DLN-1 IBH燃焼システム

• 動力回収システム用

ホット・ガスエキスパンダー

• ICL(Integrated Compressor Line、電動機一体型コンプレッサー)

• PGT25ガスタービン

• UltraScan™ デュオ・パイプライン

インスペクションツール

GEオイル&ガス

• 先端バイオ技術による金属除去技術

(ABMet)• 最先端水処理膜技術

• 海水淡水化や井戸水・河川水等の純粋化

などの高度水処理技術

• DusTreat™ 制御処理プログラム

(粉塵防止ケミカル・プログラム)

• E-Cell™ 電気再生式脱イオン・システム

(EDI)• 極性転換型電気透析装置(EDR)• 封入エアー浮上装置(EAF) • GenGard冷却水装置 • MetClear™(金属沈降ケミカル・プログラム)

• PRO/Titan Series 逆浸透膜水処理システム

• SAGD産出水蒸発器

• Waste to Valueソリューション

(廃水のリサイクル・システム)

• ZeeWeed™ 中空糸膜による排水処理・

水処理技術

GEウォーター&プロセス・テクノロジー

• オーストラリア・エコ・マスターカード

• テレマティックスによる環境性能向上

サービス

• 高エネルギー効率住宅向けローン商品

GEキャピタル

• ENERGY STAR® 認証取得済み温冷水

ディスペンサー

• 高効率ハロゲンランプ

• 高効率直管蛍光灯とバラスト

• 高効率モーター

• 高効率給湯器

• LED光源(4製品)

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コミットメント2

研究開発(R&D)への投資額を倍増:

現在、GE では、世界の各事業拠点と 4 カ所のグローバル・リサーチ・

センター(米国のニューヨーク州ニスカユナ、中国の上海、ドイツの

ミュンヘン、インドのバンガロール)において 3 万人を超える技術者

が働いています。彼らは、GE のさらなる成長とより良い世界を実現

するために、最先端技術と製品の開発に日々取り組んでいます。

GE は 2008 年に、クリーン(環境にやさしい)技術に対する研究開発

(R&D)に 14 億ドルを投資しました。この結果、2010 年までにエコ

マジネーションの R&D に 15 億ドルを投資するという公約の達成に大

きく近づきました。エコマジネーションのプログラムを開始してから、

このプログラムの R&D 投資の合計額は 40 億ドルを超えました。エコ

マジネーションを通じて重要なソリューションを提供するという GE

のコミットメントは順調に進んでいます(右図を参照ください)。次世代の風力発電を実現するカギはブレード(風車の羽根)にありま

す。風力発電の性能と経済性を改善するには、空気力学特性を高めた

長いブレードが必要です。しかし、ブレードを長くすると重くなり、

構造的な負担が増します。この結果、発電容量や発電効率の低下を招

いてしまいます。この課題を克服すべく、GEでは開発に着手しました。

米国とドイツにあるグローバル・リサーチ・センターでは現在、より

長く、より進化させたブレードを開発中です。このブレードには炭素

複合材料を採用しています。炭素複合材料は、炭素繊維と樹脂を混ぜ

合わせたもので、軽量で強度が高いという特徴があります。

GE アビエーションでは 1990 年代に実用化した、航空機用エンジン

「GE90」のファンブレードに炭素複合材料を採用した実績があります。

その後、最新の広胴型航空機向け航空機エンジン「GEnx」のファンケー

スにも使用しました。この 2 つのエンジンはともに、炭素複合材料の

採用で軽量化に成功し、燃費の改善と性能の向上を達成しました。

現在、風力発電用ブレードにおいては、その内部に炭素複合材料を採

用することで、30%の軽量化を目指す開発を進めています。風を最

大限にとらえる新しい空気力学デザインの研究も進行中です。

1.1

1.4

0.7

2005 20072006

0.9

エコマジネーションの研究開発(R&D)への投資額

(単位:10億ドル)

2008

5 ge 2008 ecomagination report

新しいアイデアで飛躍する風力発電

長い年月にわたり、私たちの生活に深く浸透している電池。この電池を

電気自動車やハイブリッド機関車、電力網といった用途に適用するには、

極めて高いエネルギー容量と出力電力を備えた電池が不可欠です。現在、

GE では、新しい用途に向けた電池開発の意欲がかつてないほどに高まっ

ています。

燃料価格の高騰や CO2 排出量の削減を背景に、ガソリンを採用する自

動車産業に変化の時が訪れています。この変化とともに、出力電力やエ

ネルギー容量、コストなどの点で電池技術の改善が進んでおり、自動車

や鉄道などの輸送機器の電動化が現実のものになりつつあります。今後

も電池技術は、輸送機器の電動化の牽引役となるでしょう。

GE では、デュアル電池システムの開発に取り組んでいます。これは、

化学反応系が異なる 2 つの電池を組み合わせて 1 つの電池システムを

実現するものです。一般に、シングル電池システムでは、出力電力とエ

ネルギー容量の間にトレードオフの関係があります。しかし、リチウム

イオン電池とナトリウム電池を組み合わせると、このトレードオフを解

消できます。

将来市場に向けた最先端電池技術

GE には、リチウムイオン電池やナトリウム電池、ナトリウム金属ハロ

ゲン化合物電池などを含むエネルギー貯蔵システムの研究開発を通し

て幅広い経験を積んできました。なお、リチウムイオン電池は A123 シ

ステムズ社と共同開発しています。こうした経験から、2 つの電池を 1

つのシステムに組み合わせれば、加速性能と航続距離の最適なバラン

スを実現できるだけでなく、エネルギー貯蔵システムの小型化や低コ

スト化、長寿命化を達成できると判断しました。用途は幅広く、ハイ

ブリット機関車や採掘用トラックから、SUV 車や乗用車までに至りま

す。さらに定置式システムを使う電力分野での採用も期待できます。

GE は最近、電池の未来を語るシンポジウムを開催しました。輸送と電

力という 2 つの分野に電池技術が浸透するか否かに対する専門家の意

見は明らかです。もはや、「もし」という仮定の段階ではなく、「いつか」

という段階にあります。

エジソン以来さまざまな技術者が 1 世紀もの間、輸送機器の電動化を

夢に見てきました。GE ではこの間も、電池技術を研究室から市場へと

移すことを目的に、電池を取り巻く課題の解決に取り組んできました。

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ge 2008 ecomagination report 6

コミットメント3

GEの事業活動における温室効果ガス(GHG)の排出量削減とエネルギー効率の向上

GE は、エコマジネーションをビジネスの観点から見て本当に「持続可

能な」取り組みとするため、このプログラムを開始するに当たって、

極めて現実的でありながらも積極的な目標を設定しました。その 1 つ

が、社内の事業活動におけるエネルギー効率を高め、それに起因する

温室効果ガス(GHG)の排出量を減らすことです。この目標の達成に

向けて私たちが遂行しているのが「1-30-30」計画です。

「1-30-30」計画の「1」は、全世界に展開する GE の事業全体で、2012

年までに削減する GHG 絶対排出量を 2004 年の実績との割合で示した

数値です。現時点で予想される事業成長率を基に試算すると、何も対

策を講じなければ、当社の GHG 排出量は実質的に約 30%増加します。

このため、この目標の達成が非常に重要となります。「1-30-30」の 2

つの「30」は、2008 年までに自社の事業活動に起因する GHG 排出量

の強度を 30%削減し、2012 年末までにエネルギー効率を 30%改善す

るという当社のコミットメントを反映させたものです(いずれも 2004

年比)。エネルギー効率を改善すれば、エネルギー・コストを大幅に削

減できます。つまり、エコマジネーションの取り組みは、投資家の皆

さまへの利益還元につながります。

GE はコミットメントを公表し、その成果を追跡調査することで、1 つの企

業が環境改善にどれだけ貢献できるのかを自ら率先して実証しています。

2008 年における GE の GHG 排出量は、ベースラインとなる 2004

年よりも 13%少ない 649万トンでした。GHG排出量とエネルギー

削減を推進するプロジェクトを、2008 年も引き続き数多く実施

したことが削減に成功した大きな理由ですが、景気の減速も一部

要因となっています。私たちが掲げる GHG 強度とエネルギー効

率の目標値は、当社の収益を基準にして設定するため、経済情勢

が反映されるのです。目標達成に向けた私たちの取り組みは日々

前進しており、2008 年の GHG 強度とエネルギー効率はそれぞれ、

2004 年比で 41%、37%の改善に成功しました。

この結果、エコマジネーションの開始時に設定した GHG とエネル

ギー効率に関する 3 つの目標のうち、「2008 年末までに GHG 強度

を 30%削減する」という最初の目標を達成することができました。

コミットメント4

水の消費量削減と再利用促進

私たちは 2008 年 5 月に、ベースラインとなる 2006 年から 2012 年ま

での間に、水の消費量を 20%削減するという目標を発表しました。

2008 年には、水の消費量を削減するプロジェクトの実施に伴うコスト

や利点の調査や確認、定量化を可能にするツールを社内向けに開発し

ています。さらに水の消費量削減に向けた「Kaizen(改善) Blitz」イベ

ントを、米国ニューヨーク州ニスカユナに拠点を置く GE グローバル・

リサーチにおいて初めて開催しました。このイベントでは、水の消費

量の削減策やコスト効果を高める方法について、非常に有効なアイデ

アが提案されました。私たちは 2009 年にも、さらなるアイデアを求

めて、対象となる施設で同様のイベントの開催を計画しています。

GE では 2006 年以降、1 年間の水の消費量が 1,500 万ガロンを超える

社内の施設を対象に、水の消費量を計測しています。計測の対象には、

飲料用水や工場用水、衛生用水に加えて、非接触型冷却水(NCCW)

装置で利用される淡水も含まれます。水の消費量データは、買収や売

却を伴う事業再編の状況に合わせて毎年調整します。

対象となる施設で計測した 2008 年の水消費量は、ベースラインとな

る 2006 年の数値を 0.2%上回りました。飲料用水や工場用水、衛生用

水の消費量は 10.8%減ったものの、NCCW 装置による消費量増加に相

殺される結果となりました。NCCW 装置による消費量が増えた理由は、

社内で水を最も消費する施設の 1 つで、水の消費量を正確に計測する

プロジェクトを実施したためです。GE センシングの超音波流量計

(Ultrasonic Flow Meter)を利用したこのプロジェクトでは、同施設の

水消費量が当初の推定値を大きく上回り、2006 年以降に 11%も上昇

していることが判明しました。

私たちはこの結果を踏まえた上で、同施設だけでなく社内の全部門で、

水の消費量を大幅に削減する対策を検討しています。

事業活動に起因する温室効果ガス(GHG)排出量

GE における水の消費量

2006 年

合計:122 億 9,000 万ガロン

NCCW:58 億 8,000 万ガロン

2008 年

合計:123 億 2,000 万ガロン

NCCW:66 億ガロン

上段:太陽電池パネルを利用して発電する GE の施設(米国サウスカロライナ州グリーンビル)

下段左:ドイツ・ケルン近郊のハースにある GE の施設

下段右:米国グリーンビルディング協会による LEED-EB 認証を 2008 年 2 月に取得した GEカナダの本社(カナダ・オンタリオ州メドウヴェール)

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7 ge 2008 ecomagination report

日立 GE ニュークリア・エナジー(GEH)と、GE が東芝および日

立製作所と合弁で設立したグローバル・ニュークリア・フュエル

社(GNF)は、2012 年までに水の消費量を 20%削減するという

GE のエコマジネーションにおけるコミットメントの達成に向け

て取り組んでいます。米国ノースカロライナ州のウィルミントン

に新たに導入した高エネルギー効率の廃水処理システムでは、既

に年間 2,500 万ガロンもの水消費量の削減に成功しました。さら

に、二酸化炭素(CO2)の年間排出量も約 80 トン減少し、水と

エネルギーのコストを年間 16 万ドルも節約しています。

GEH は、GE のエコマジネーション製品である ZeeWeed® 膜バイ

オリアクター(MBR)技術を採用し、1 日当たり最大 6 万 5,000

ガロンの工場排水を浄化しています。浄化処理によって生成した

高品質な非飲料水は、干ばつ対策に向けた持続可能な水源として

使われます。また、処理の過程で発生した廃水についても、施設

内の暖房・換気・冷房(HVAC)システムに不可欠な冷却塔で再

利用します。この結果、これまで冷却塔用水として使っていた地

下水が不要になりました。

GE は自社技術を駆使して、水の消費量削減に努めています。

温室効果ガス(GHG)削減の法制化に向けて

米国気候行動パートナーシップ(USCAP)は、企業や主要な環境

保護団体によって構成されたグループで、GE も創設メンバーと

して参加しています。USCAP は米国連邦政府に対して、GHG 排

出量の大幅な削減を義務化する、効力の高い国内法を迅速に制定

す る よ う に 求 め て い ま す。2009 年 に は「A Blueprint for

Legislative Action(立法活動のための青写真)」という提案書を作

成しました。この提案書には、経済界全体で「キャップ・アンド・

トレード(排出権取引)」プログラムを実施することで、GHG の

排出量を 2005 年の測定レベルから、2020 年までに 14~20%、

2050 年までに 80%引き下げる案が盛り込まれています。

コミットメント5

皆さまへの情報公開

私たちは、エコマジネーションの取り組みに対して皆さまに賛同していた

だけるように、これからも議論や対話、コミュニケーションを続けていき

ます。また、2009 年中にはエコマジネーションのウェブサイト(日本語 :

www.ge.com/jp/ecomagination/ 、英 語 : www.ecomagination.com)を

一新し、GE のエコマジネーションや私たちの顧客企業、私たちをとりま

くステークホルダーの方々について、皆さまにもっと知っていただける場

を用意します。

私たちは透明度の高い企業を目指して、日々企業努力を重ねています。

その取り組みの一環として、このエコマジネーション・レポートを毎

年発行し、社内における環境目標の進捗状況を皆さまにご報告します。

このほか、企業の社会的責任イニシアチブに焦点を絞ったシチズンシッ

プ・レポートも発行しています。また、投資家や、アナリストとのミー

ティングを介して、年間を通してエコマジネーションの最新情報を提

供しています。

膜バイオリアクター装置をパッケージ化した ZeeWeed Z-MOD™

Page 9: 2008 ecomagination is GE...1 ge 2008 ecom agin tion report エコマジネーションは、エネルギー効率 に優れた製品を求めるお客さまの需要に 応えると同時に、GE

GEが全社を挙げて取り組むソリューション

将来の電力需要を見据え、既存の電力網をさらに進化

私たちは、電力網内におけるリアルタイムの情報を配信するさま

ざまなスマート・グリッド技術の開発に全社を挙げて取り組んで

います。こうしたリアルタイム情報を活用することで、再生可能

エネルギーの発電量を増やすだけでなく、プラグイン型電気自動

車の充電に対応することも可能になります。さらに、作業生産性

が向上し、エネルギー消費に伴う二酸化炭素の排出量も低減でき

ます。しかも、一般消費者はこうした数々のメリットを享受でき

ると同時に、生活に制限を強いられることなく電力利用量の管理

や省エネを実現できるようになります。

GE は、スマート・グリッドの実現に向けたソリューションのポー

トフォリオが最も広範な企業のひとつです。提供しているスマー

ト・グリッド向けソリューションは、エネルギーの供給システム

や家電機器から、電力事業者への資金供給や支援に至るまで多岐

に渡ります。GE はまた、スマート・グリッドの実現を可能にする

技術を、エコマジネーション・ポートフォリオに組み込もうと動

き出しています。私たちは世界各国の顧客との協力のもと、政府

や電力事業者、一般消費者に向けて、エネルギー効率がより高い

未来を実現するソリューションを今後も提供してまいります。

メキシコ最大の電力事業者である CFE(Comisión Federal de

Electricidad)は、Prolec-GE(GE とメキシコのシグナクス社の合弁

会社)の高効率変圧器を採用しています。この製品は配電用変圧

器で生じる電力の損失を低減するため、電力事業者はより効率的

に電力需要に対応できるようになります。CFE は同製品を導入す

ることで、2006 年から 2008 年にかけて 5GWh を超える省エネに

成功しました。この省エネの効果は、メキシコの平均的な一般家

庭 3,000 世帯分の年間消費電力量を上回ります。

私たちはオクラホマ・ガス・アンド・エレクトリック(OG&E)社と、

同社が展開するプロジェクトである Positive Energy® SmartPower

に共同で取り組んでいます。このプロジェクトでは、6,000 世帯

以上の家庭に設置した GE 製スマート・メーターとプログラム可

能なサーモスタット、タッチスクリーン採用の情報パネルをセ

キュアな無線ネットワークを使って接続し、電力事業者と消費者

間で双方向のリアルタイム通信を実現します。

パシフィック・ガス・アンド・エレクトリック(PG&E)社(米国

カリフォルニア州)は、同社の SmartMeter™プログラムを通じて、

カリフォルニア州の北部と中部の電力消費者を対象にGE製スマー

ト・メーターを 330 万台設置する計画を発表しました。このメー

ターを利用すれば、消費者がエネルギー消費量や電気料金を管理

できるようになるほか、電力事業者もさらに効率良くピーク電力

負荷を管理できます。

GE の最新技術の粋を集めたスマート・グリッド・ラボ(米国ニュー

ヨーク州ニスカユナ)では、当社が誇る最高峰の科学者たちがさ

らなる技術革新を目指して研究に取り組んでいます。このラボで

は、よりスマートな家電機器の開発だけでなく、風力発電や太陽

光発電が普及した際に、安定した電力を確保する上で発生し得る

課題も検討しています。また、電力事業者がより正確かつ効率的

に電力を管理できるように、電力網内の双方向通信の品質向上に

努めています。またその一方で、一般消費者に対しても、エネル

ギー・コストをさらに削減する製品を提供していく考えです。

写真説明:1. GE 製スマート・メーター、2. 変電所の開閉器、3. OG&E 社製の屋

内向けエネルギー・ディスプレイ、4. GE 製スマート家電、5. クリーンな電池

新しい電球型蛍光ランプ(CFL)「GE Energy Smart®」では、GE コ

ンシューマー&インダストリアルの技術者や科学者が開発した小

型の電子回路を採用しています。電球のネック部分には、米国で

特許出願中の 12 件を超える技術を採用した電子部品を搭載して

おり、この結果、標準的な白熱電球と同じ使いやすさを実現でき

ました。

白熱灯のソケットにそのまま取り付けられるシリカタイプの電球

型蛍光ランプ「GE Energy Smart®」の新製品である 9W 品、15W 品、

20W 品はそれぞれ、従来の白熱電球の 40W 品、60W 品、75W 品

とほぼ同じ光束が得られます。この電球型蛍光ランプのユニーク

なデザインは、私たちが販売している別の電球型蛍光ランプ「GE

Energy SmartR Spiral®」が持つエネルギー節約効果と長寿命性能

を確保しながら、従来の白熱電球と変わらない親しみのある外観

や大きさを求めるお客さまに最適であると言えます。定格寿命は

8000 時間を保証しており、1 日 4 時間使用した場合の寿命は 5 年

間に達します。

写真説明:1. 白熱灯のソケットにそのまま取り付けられる新しい電球型蛍光

ランプ「GE Energy Smart®」、2. 電球型蛍光ランプ「GE Energy SmartRSpiral®」

電力網は何十年にもわたって、必要な時に必要な場所へ電力を供給する役目を果たしてきました。しかし、近年の増大する電力需要を

満たすために、既存の電力ネットワークを最大限に活用する、すなわち最小限の労力で効率の向上を実現する、よりスマートな電力網の

開発が求められています。

コンシューマー&インダストリアル

電球型蛍光ランプ「GE Energy Smart®」

親しみやすい形状ながらも、より進化した照明技術GE の創始者の一人であるトーマス・エジソンがかつて発明した電球は、GE の遺してきた功績の中でもいまだに重要な位置を占めて

います。世界で初めて市販した電球を発明してから 1 世紀が経過した現在においても、私たちは照明技術の発展に貢献し続けています。

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Page 10: 2008 ecomagination is GE...1 ge 2008 ecom agin tion report エコマジネーションは、エネルギー効率 に優れた製品を求めるお客さまの需要に 応えると同時に、GE

エネルギー

廃ガスをエネルギーに変えるイエンバッハ・エンジン

現在、オーストラリアやメキシコ、オランダ、中国、日本といった世

界各国で、GE エナジー製のイエンバッハ・ガス・エンジンがさまざま

な用途で実際に使われています。イエンバッハ・ガス・エンジンを使

えば、エネルギー効率を高めると同時に、温室効果(CO2)ガスの排

出量削減を実現できます。それでは以下で、世界各国での導入事例を

見てみましょう。

オーストラリアでは、同国において最大級の複数の炭鉱メタンガス・

プロジェクトにイエンバッハ・ガス・エンジンが採用されています。

そのプロジェクトの 1 つであるイエンバッハ炭鉱メタンガス・エンジ

ン利用の発電所では、炭鉱で採掘時に得たメタンを多く含むガスを使っ

て発電し、この電力を Anglo Coal社が所有するMoranbah North鉱山の施

設内で利用しています。これにより、1 年間に約 150 万トンの温室効

果ガス(CO2ガス)の削減が期待できます。

メキシコでは、埋立処分場で発生する埋立地ガス(LFG)を電力に変換

するプロジェクトでイエンバッハ・ガス・エンジンが使われています。

このプロジェクトは、ヌエボレオン州の政府機関である Simeprode 社

の埋立地ガスを電力に変換するもので、発電規模は 12MWに達します。

発電した電力は、固形廃棄物処理施設や、モンテレー州の路面電車や

街灯で利用されています。同国のフェルペ・カルデロン大統領は、こ

のプロジェクトをラテン・アメリカ地域における「再生可能エネルギー・

プロジェクトの見本」と高く評価しました。

オランダでは、アムステルダムの郊外にあるトマト栽培用の温室にお

いて、商業用としては世界初となる 24 気筒のイエンバッハ・ガス・エ

ンジンが 2 基稼働中です。このプロジェクトの名前は「Royal Pride

Holland」で、同エンジンの園芸用途での実用性を実証するパイロット・

プログラムと位置付けられています。

中国でのイエンバッハ・ガス・エンジンの利用方法は、欧州とはまっ

たく異なります。具体的には、北京郊外にある大規模な養鶏場に導入

されており、ニワトリの糞尿堆肥から製造したバイオガスを利用して

電力や熱を得ています。このプロジェクトで得られる電力は 1 年間に

約 1 万 4600MWh で、北京郊外の電力不足の緩和に一役買っています。

さらに削減できる CO2排出量は、1 年間に 9万 5000トンにも達します。

日本でもイエンバッハ・ガス・エンジンが活躍しています。聖マリア

ンナ医科大学病院と東京ガスの子会社であるエネルギーアドバンス社、

川崎市が共同で改装した同病院のエネルギーセンターに導入されてい

ます。このセンターは 2008 年に再稼働しており、改装前の古い施設に

比べるとエネルギー消費量を 14%、排出量を 24%も削減することに成

功しました。

導入されたイエンバッハ・ガス・エンジンはGEエナジー製の Type6で、

天然ガスを燃料に使います。発電出力は 2430kW に達し、延べ床面積

が 8 万 5800m2(平方メートル)にも及ぶ広大な病院施設に電力を供給

しています。この発電システムは、エネルギー効率が高い熱電併給

(CHP:combined heat and power)が可能で、廃熱は温水と冷水、さらに

蒸気の生成に使っています。このエネルギーセンターの改装は、京都

議定書に記述された CO2 排出削減目標の達成に向けた模範的な事業と

言えるでしょう。

写真の説明:1. オーストラリアで建設された GE エナジー製の炭鉱メタン発

電プラント、2. Simeprode 社の発足時にスピーチするメキシコのフェルペ・

カルデロン大統領、3 モンテレーの埋立地ガス・プロジェクト、4. オランダ

のトマト栽培用温室プロジェクトである「Royal Pride Holland」は、世界初と

なる 24気筒のイエンバッハ・ガス・エンジンを導入することで生産量を増や

している。5. 中国の養鶏場では、イエンバッハ・ガス・エンジンを使って、

ニワトリの糞尿堆肥から製造したバイオガスから電力を得ている。

GE エナジー・ファイナンシャル・サービスと、世界規模で事業を

展開する米国の発電事業者である AES 社が合弁で設立したベン

チャー企業、グリーンハウス・ガス・サービス社は、地球温暖化

の直接的な原因となるガスの削減、排出回避、破壊を目指すプロ

ジェクトのポートフォリオを構築しています。このポートフォリ

オには現在、埋立処分場や炭坑、農業廃棄物から発生するガスか

らメタンを回収、もしくは破壊することでカーボン・クレジット

を発行するプロジェクトなどが含まれます。

グリーンハウス・ガス・サービス社は 2008 年にグーグル社ととも

に、GHG 排出量の削減に向けた共同プロジェクトを立ち上げまし

た。プロジェクトの取り決めによると、グリーンハウス・ガス・サー

ビス社がノースカロライナ州コールドウェル郡の埋立処分場で発

生するメタンガスを回収および破壊し、10 年間で約 11 万トンの

カーボン・クレジットを創出します。一方、グーグル社は、その

クレジットの一部を利用し、全社レベルでカーボン・ニュートラ

ル化を図ります。

グリーンハウス・ガス・サービス社は、埋立処分場や農業廃棄物

から発生するメタンガスを破壊するプロジェクトのほかにも、将

来的なGHG排出量の削減策として、精密農業(プレシジョン・ファー

ミング)やエネルギー効率の改善などの可能性も検討しています。

写真説明:1. 既存のガス回収システムの拡張に向けて、米国バージニア州の

埋立処分場に設置したバイオガス回収井戸、2. 米国バージニア州の埋立処分

場で燃えるメタンガスの炎

新しい廃ガスの回収法と利用法に、自社施設内の発電システムでエネルギーを賄いたいと考える世界各国の顧客企業が注目しています。

この廃ガス利用発電で重要な鍵を握るのが、GE のイエンバッハ・ガス・エンジンです。このエンジンを導入すれば、顧客企業は

さまざまな廃棄物をエネルギー源として発電に利用できるようになり、環境に対する影響の軽減にもつながります。

エナジー・ファイナンシャル・サービス

グリーンハウス・ガス・サービス社

GEとAESの合弁ベンチャー企業、グーグル社と共にGHG削減プロジェクトを推進カーボン・クレジットは、自社が排出する温室効果ガス(GHG)の相殺や、環境目標の達成や規制への準拠を目指す企業にとって有効な

ツールと言えます。2007 年に GE エナジー・ファイナンシャル・サービスが AES と共に設立したベンチャー企業は、カーボン・クレジットを

発行する、複数のプロジェクトを推進しています。

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Page 11: 2008 ecomagination is GE...1 ge 2008 ecom agin tion report エコマジネーションは、エネルギー効率 に優れた製品を求めるお客さまの需要に 応えると同時に、GE

ヘルスケア

医療機関において治療時に使うエネルギー

現在、多くの医療機関では、医療コストが高騰しているため、

エネルギー経費の削減が求められています。ドイツのブラウ

ンシュバイクにおいてベレナ・ショルツ博士が運営する民間

の画像診断センターでは、エコマジネーションのポートフォ

リオと磁気共鳴断層撮影装置(MRI)「Signa HDe 1.5T」を利

用することで、エネルギー経費の削減に成功しました。

Signa HDe 1.5T は、効率の高い磁界勾配と電子回路設計の採

用とともに、革新的な水冷技術を導入しています。このため、

既存の GE 製 MRI システムと比べるとエネルギー消費量は約

41%も少なく、現在市販されている 1.5T(テスラ)の磁場

強度を有する MRI システムの中で最も高いエネルギー効率

を達成しています。削減できるエネルギー消費量は 1 年間

に約 7 万 kWh(キロワット時)に達し、これは EU(欧州連合)

の平均家庭約 17 世帯分の年間電力消費量に相当します。

GE の見積もりでは、Signa HDe 1.5T を導入することで、既

存の GE 製 MRI システムを使った場合に比べて、エネルギー

経費を月額で約 500 ユーロ削減できます。ただし、条件が

異なれば、もっと多くのエネルギー経費を削減できる可能性

があります。

ショルツ博士の画像診断センターでは、現地の電気料金と

MRI システムの置き換えという条件下において、月額で

1000 ユーロ近くの経費削減に成功しました。最も重要なの

は、こうした経費削減が画像品質を犠牲にすることなく実現

できたことです。

Signa HDe は日本で開発され、グローバルに販売されていま

す。この MRI システムは、低いランニング・コストや、使

いやすさの向上、設置スペースの削減を望む日本のお客さま

の声をきっかけとして開発されたものですが、欧州や米国、

中国においても幅広い支持をいただいております。中国で

は、2008 年北京夏季オリンピックに選手村に設置された総

合 病 院「Beijing Olympic Village Hospital」に 2 台 の Signa

HDe が導入され、700 名近い選手の精密検査に使われました。

最近、米国の外来患者向け画像診断センターから受けた注文

は、発売以降ちょうど 500 台目の Signa HDe になります。

写真説明:1.MRI 装置「Signa HDe 1.5T」、2. 脊髄の臨床画像を Signa HDe の

優れた画質で広範囲に表示、3.MRI システムでの検査に向かう患者、4. 使い

やすさを追求した Signa の操作インターフェース

GE はこうした需要(ニーズ)に対して、エコマジネーショ

ンが備える製品群の幅広さと技術の深さを組み合わせたプロ

グラムで応えています。具体的には、施設内で使える再生可

能エネルギー発電機や、エネルギー効率が高い照明器具や配

電装置、ビル・マネジメント・システム、節水技術などを含

むソリューションをお客さまに提供しています。GE はイン

フラ向けの製品に加えて、環境に対する影響が少ないデジタ

ル X 線装置といった臨床用途向け最先端医療機器のファミ

リーを提供しています。GEの医療機関向けソリューションは、

少ないコストで運営できるように設計されており、患者と医

療従事者がより良い医療経験を得ることを支援します。米国

や欧州、アジアの医療機関は既に、こうした利点を享受する

ために GE のエコマジネーション技術を導入しています。

写真説明:1. 設置された太陽電池パネル、2. GE のイエンバッハ・ガス・

エンジン

GE ヘルスケアの複数の製品が 2008 年に初めて、エコマジネーションのポートフォリオに加わりました。これらの製品は、優れた

臨床実績を提供するだけでなく、エネルギー消費量を大幅に削減します。医療に携わるお客さまがエネルギー効率の改善と環境保護を

達成することをサポートする GE の広範な取り組みの一部と言えます。

全社の力を結集させたソリューション

Signa HDe 1.5T MR

エコマジネーションの影響を受ける医療機関医療機関は、その特有の使命と 24 時間 365 日体制での運営という理由から、非常に大量のエネルギーと水を消費します。現在世界の

至るところで、医療機関の経営者たちは、増大する経費や規制、医療施設が環境に与える影響の削減を求める周辺地域社会からの圧力

といった課題に直面しています。

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GEのビジネス戦略「エコマジネーション」の詳しい情報のほか、

関連する製品やサービス、エコマジネーションに対する

GEのコミットメント全般に関する最新情報は

www.ge.com/jp/ecomagination/(日本語)および

www.ecomagination.com(英語)をご覧ください。