平成17年10月介護報酬改定のポイント解説 (改訂版)「平成17 年度10...

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平成 17 年 10 月介護報酬改定のポイント解説 (改訂版) 全国社会福祉施設経営者協議会 本書は、平成 17 年 10 月介護報酬改定の内容を正しく情報提供を行うために『経営協』の 8 月号増刊号として刊行した 「平成 17 年度 10 月介護報酬改定のポイント解説」を、刊行後9月7日の「全国介護保険指定基準・監査担当者会議資料」 等で示された新たな情報を踏まえ、内容の変更・改訂を行ったものです。 なお、内容の一部は現在も確認中のところがありますので、今後追加修正等の変更が出た場合は、当ホームページにて 掲載いたします。

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Page 1: 平成17年10月介護報酬改定のポイント解説 (改訂版)「平成17 年度10 月介護報酬改定のポイント解説」を、刊行後9月7日の「全国介護保険指定基準・監査担当者会議資料」

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平成 17 年 10 月介護報酬改定のポイント解説

(改訂版)

全国社会福祉施設経営者協議会

本書は、平成 17年 10 月介護報酬改定の内容を正しく情報提供を行うために『経営協』の 8 月号増刊号として刊行した「平成 17年度 10月介護報酬改定のポイント解説」を、刊行後9月7日の「全国介護保険指定基準・監査担当者会議資料」等で示された新たな情報を踏まえ、内容の変更・改訂を行ったものです。 なお、内容の一部は現在も確認中のところがありますので、今後追加修正等の変更が出た場合は、当ホームページにて

掲載いたします。

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9月 26 日改訂版

事業者収入からみた

平成 17年度 10月介護報酬改定のポイント解説(改訂版)

藤井賢一郎 (獨協大学経済学部/全国社会福祉施設経営者協議会介護事業経営委員会専門委員)

事業所収入の変化からみた

本書は、平成 17年8月 30日に発行した「平成 17年度 10月介護報酬改定のポイント解説」について、9月7日「全国介護保

険指定基準・監査担当者会議資料」等を踏まえ、変更・改訂した

ものです。 内容については、一部、見込み・推計を含めて書いている部分

は、藤井の個人的な見識とお考えください。

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○● 目 次 ●○ 食事に関する介護報酬の見直し ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2

見直しの基本構造 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2

見直しの算定根拠 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4

食費の利用者負担と補足給付 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6

食費設定のパターン ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8

各施設における食費設定の考え方(居住費についても共通) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10

栄養管理評価の概要 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 12

各栄養管理評価の留意点 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 14

栄養管理評価に係る加算の基本パターン ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 16

居住費に関する介護報酬の見直し(従来型) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 18

見直しの基本構造 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 18

居住費の利用者負担と補足給付(多床室) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 20

居住費の利用者負担と補足給付(従来型個室) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 22

居住費に関する介護報酬の見直し(ユニット型個室・準個室) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 24

従来ホテルコストを徴収していない施設の場合 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 26

従来ホテルコストを月額5万円徴収している施設の場合 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 28

ユニット型個室に係る社会福祉法人軽減制度の特例措置 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 30

短期入所生活介護に関する介護報酬の見直し ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 32

特別な室料・食費 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 33

利用料に係る消費税について ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 34

利用者負担段階一覧 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 35

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○ 今回の改定により廃止される介護報酬は次の2つです。

基本食事サービス費(自己負担分を含む) 特別食加算

○ 新たに施設の収入として導入されるのは、以下の2つです。

食費利用者負担(基準費用額 1380 円:低所得者に対しては介護保険による補足給付が行われます) 栄養管理の評価(個々の入所者への栄養ケア・マネジメント等を評価します→p12)

○ しかし、食費を基準費用額に設定する限り、廃止される介護報酬の合計額の方が、新たに導入される利用者負担

や介護報酬の合計額より大きいため、施設収入が減少することになります。

○ この減少分は、以下の収入によって一部が補われますが、やはり不足分が生じます。

居住費に関する介護報酬見直しに伴う収入の増額(p18~19、26~30)。 利用者の選定による特別な食費又は特別な室料(p33)

○ 不足分は今回の介護報酬の見直しによる、施設収入の実質減額に相当します。以下、この減額の考え方と概ねの

額について示します。

見直しの基本構造

食費に関する介護報酬の見直し

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食費に関する介護報酬の見直しの基本構造(介護老人福祉施設)

【基本食事サービス費】2120円/1920円/1520円

栄養管理

評 価

利用者負担

不足分

補足給付

廃止

現 行

施設サービス費増額

利用者負担780/500/300円

特別食加算

実質減額分

「利用者選択」新設 改 定後

管理栄養士等人件費分 食材料費+調理費相当分

基準費用額 1380円

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○ 今回の食費に関する介護報酬の見直しは、「介護事業経営概況調査」(平成 16 年 10 月)を根拠に行われています

(調査速報は、第 24 回介護給付費分科会(平成 17 年 7 月 14 日)で報告されています)。

○ 介護保険施設三施設では、利用者1人当たりの食事提供に係る費用は下の通り算定されており、それぞれの費用

負担の転嫁先は、下の通り定められています(費用と負担額・報酬はおおむね一致していますが、完全には一致し

ていません)。

管理栄養士・栄養士の人件費 → 4,536 円(月額)/149 円(日額) → 栄養管理評価(介護給付)

調理員の人件費 → 25,399 円(月額)/833 円(日額) 利用者負担

食材料費 → 16,891 円(月額)/555 円(日額) /補足給付(介護給付)

光熱水費等 → 4,650 円(月額)/153 円(日額) → 施設サービス費に転嫁

○ しかし、「介護事業経営概況調査」の結果では、これらのコストを合計しても1人1日 1690 円にしかなりません。

つまり、基本食事サービス費 2120 円(又は 1920 円など)+特別食加算の合計と、この食事コスト 1690 円の差額

約 500 円が、(食費を基準費用額に設定する場合)いわば「食事差益」として、今回、施設の減益になるというこ

とです。これによって、多床室で、かりに、全ての利用者負担段階の食費を基準費用額に設定した場合には、施設

収入は約 3.5%減少すると推計されます(推計内容については、平成 17 年度第1回介護保険事業経営セミナー(全

国社会福祉施設経営者協議会)で発表)。

○ なお、国は、当初、平成 14 年3月の「介護事業経営実態調査」の結果をもとに、食費介護報酬改定の見込みを

示していました。しかし、審議会等において、最新のデータをもとに算定すべきとの意見があり、平成 16 年 10 月

の結果をもとに、改定を行うことになりました。これにより、結果的に施設収入の減額幅が 300 円以上増加したこ

とになりました。

見直しの算定根拠

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食費に関する介護報酬の見直しの算定根拠

管理栄養士

栄養士人件費 調理員人件費

施設サービス費

への転嫁分

介護事業経営概況調査速報(平成16 年10 月実施分)

4,536円/月

食材料費 光熱水費等

25,339円/月 16,891円/月 4,650円/月

1,388円/日 149円/日

第24 回介護給付費分科会資料より

153円/日

合計1690円/日

利用者負担

補足給付(介護給付)

基準費用額 1380円

栄養管理

評価の

介護報酬

3施設平均食事提供費用(利用者1人当たり)

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○ 利用者負担第4段階の食費は、調理員人件費と食材料費をベースに利用者と施設との契約によって定められるこ

とになります。各事業所が定める食費は、あくまで利用者との契約で定める価格(プライス)ですから、原価(コ

スト)を勘案しつつも、必ずしも原価と一致する必要はないと考えます。

○ 一方、負担能力の低い利用者(利用者負担第3段階以下)の食費については、1人1日 1380 円の基準費用額が

定められています(この基準費用額は、p4に示したとおり、全国の介護保険施設の調理員人件費と食材料費の

合計額の平均をベースに算定されたものです)。

○ この基準費用額は、第3段階以下について、利用者の負担能力に応じた軽減措置を行うための基準です。この軽

減分は、事業者に対して直接介護保険から補足給付が行われることになります。補足給付の対象となる利用者を

「特定入所者」と呼び、補足給付のことを、「特定入所者介護サービス費」といいます(「特定入所者生活介護」

と混乱しやすい名称ですが、両者は全く関係有りません)。

○ 例えば、食費を、基準費用額 1380 円で設定した場合、利用者負担額と補足給付額は、次ページ図のようになり

ます。いずれの利用者負担段階でも、利用者負担額と補足給付額の合計は 1380 円に一致します。

○ 食費は、基準費用額 1380 円に一致する必要はありませんが、p8で述べるように一定のルールがあります。

食費の利用者負担と補足給付

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食費の利用者負担と補足給付

利用者負担 第1段階

【特定入所者介護サービス費】

1080円/日 利用者負担限度額

300円/日 利用者負担 第2段階

【特定入所者介護サービス費】 990円/日

利用者負担限度額 390円/日

利用者負担 第3段階

【特定入所者介護サービス費】

730円/日 利用者負担限度額

650円/日 利用者負担 第4段階

全額利用者負担1380円/日

食費日額を基準費用額1380円に設定した場合

介護報酬(補足給付)

合計1380円

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○ 食費及び利用者負担の設定については、いくつかのルールがあります。

【第4段階の食費を基準費用額 1380 円/日より高い水準(例えば 1500 円/日)とする場合】

第3段階以下の補足給付の額は食費が 1380 円/日に設定される場合(p7)が上限です。そこで、第3段階以下に 1500 円/日を徴収しようとすれば、負担限度額を上回る利用者負担を設定することになります。しかし、

負担限度額を上回る利用者負担を設定すると、補足給付が給付されません。

したがって、第3段階以下の食費については、事実上、基準費用額 1380 円/日で設定し、第4段階のみ、1500円/日を設定することになります。また、第4段階が、他より高く設定されている金額(120 円=1500 円-

1380 円)は、利用者の選定による特別な食事(p25)とは異なり、あくまで一般の食事に対する料金とい

うことになります(第4段階の利用者に対しても、他の利用者と同様の食事を提供することになります)

【第4段階の食費を基準費用額 1380 円/日より低い水準(例えば 1200 円/日)とする場合】

食費を標準負担額より低い水準で設定すると、その分、第3段階以下の補足給付は減額されます。 第4段階についてのみ、低い食費を設定することはできません。第4段階の方に、負担増を説明しにくいという理由で負担額を減額すると、全ての利用者からの収入が減額になります(第4段階の食費負担がこれま

でと大きく増額されるのは、負担能力がある方に負担して頂くという社会保障改革の趣旨に基づくものであ

り、事業者側から、その趣旨を十分に説明し、負担して頂けるようご理解頂く必要があります)。

食費設定のパターン

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食費設定のパターン

給付されません 420円510円給付されません

770円 1500円/日

食費日額を1500円に設定する場合

第3段階以下の利用者負担額を負担上限額以上に

設定しようとすると、補足給付が給付されません。

第4段階の食費だけを1500円に設定し、第3段階以下を1380円に設定することは可能です。

給付されません

第1段階 1080円/日 300円390円990円/日

650円 1500円/日

第2段階

第3段階

第4段階

730円/日

第1段階

第2段階

第3段階

第4段階

補足給付日額 利用者負担日額

補足給付日額(上限) 利用者負担日額(上限)

900円/日

810円/日

1200円/日

食費日額を1200円に設定する場合

食費を、基準費用額1380円より低い額に設定する場合、補足給付が減額されます。

第4段階の食費だけを1380円より低額に設定し、第3段階以下を1380円に設定できません。

550円/日

第1段階 1080円/日 300円 390円990円/日

650円 1200円/日

第2段階

第3段階

第4段階

730円/日

第1段階

第2段階

第3段階

第4段階

補足給付日額 利用者負担日額(上限)

補足給付日額 利用者負担日額

300円390円

650円

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○ 利用者負担第4段階の利用者の食費については、以下のような考え方に従って設定する必要があります。

p6に示したように、利用者負担第4段階の食費については、基準費用額 1380 円/日とは関係なく、利用者と施設の契約に基づき、費用(コスト)だけではなく、価格(プライス=利用者が、食事の内容に応じ、負担す

るのが適当と考える範囲の金額)の観点から設定することになります。

ただし、利用者負担第4段階は、世帯の市町村民税負担の状況に応じて機械的に設定されているため、一部には、負担能力が低い利用者がいることが想定されます。このような一部の利用者については、個別に施設独自

に負担の軽減が認められています。したがって、個別に減額するための一定の基準を設け、利用者に対して説

明するなど、公平で説得力のある軽減を設定することが求められます。

○ 利用者負担第1~3段階の利用者の食費については、以下のような考え方に従って設定する必要があります。

利用者負担第1~3段階の利用者(低所得者)については、補足給付部分が引き続き介護保険から給付が行われるとともに、今回の改定の経緯(p4)を踏まえると、機械的に基準費用額で食費を設定すべきではないと

考えます。かりに、かかった費用以上の金額で食費を設定し、補足給付の満額給付を受けていた場合、今回と

同様、実態に応じて、基準費用額及び補足給付の引き下げが行われることが想定されるからです。

したがって、基準費用額を下回るとしても、低所得者の食費(利用者負担+補足給付)は、食材料費及び調理員人件費の合計額(委託の場合は、食材料費と調理員人件費に該当する委託費用)以下になるよう設定すべき

と考えます。

なお、第3段階以下についても、個別の利用者の負担能力に応じた施設独自の負担の軽減が認められています(この場合、補足給付は減額されません)。施設としても、第4段階と同様の取り組みを行う必要があります。

○ 食費の具体的内容、金額の設定及び変更に関する事項については、運営規定に記載し、利用者との契約に際して

十分説明するとともに、事業所等の見えやすい場所に掲示を行うことが必要です。なお、金額の設定根拠等につ

いては、利用者から特に求めがあった場合に、施設の判断で説明すればよいこととなっています。

各施設における食費設定の考え方(居住費についても共通)

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各施設における食費の設定の考え方(居住費についても共通)

利用者負担 第1段階

介護給付(補足給付)

【特定入所者介護サービス費】

利用者負担 300円/日

利用者負担 第2段階

利用者負担 390円/日

利用者負担 第3段階

利用者負担 650円/日

利用者負担 第4段階

食事提供に係るコストだけではなく、利用者が負担することが適切と

考える範囲の「価格(プライス)」で、利用者との契約で設定します。

基準費用額の範囲で、施設独自で設定できるが、食材料費と調理員人件費の合算を超えない範囲で設定すべき(食費減額分は、補足給付が減額されますので、利用者負担は変わりません)。

標準負担額とは関係なく、利用者との契約により定める(ただし、第3段階以下の食費より低い水準には設定できません)

利用者の個別

の負担能力等

を勘案して、一

部の利用者に

ついて施設独

自で減額を設

定することは可

能です(この場

合、補足給付

は減額されま

せん)。

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○ 今回の食費の自己負担に関する見直しと一体的に、栄養管理についての評価が導入されました。本来、ケアの内

容に関する項目は、10 月改定には馴染まないのですが、これまでの食事基本サービス費に、管理栄養士の配置

等が設定されており、一体的に見直されることになったと考えられます。

○ まず、栄養士配置については、これまで、管理栄養士が配置されず、栄養士が配置されていた場合、基本サービ

ス費上で1人1日 200 円の減算が設定されていましたが、今回の改定で基本食事サービス費が廃止されたことに

伴い、管理栄養士又は栄養士を配置していることを直接評価する体系に改められました。また、いずれも常勤配

置が条件となっています。

○ さらに、「栄養マネジメント加算」が新設されました。栄養マネジメント加算は、施設全体の利用者に対して、

管理栄養士を配置するなど、栄養ケア・マネジメント体制を確立し、入所者の栄養状態をアセスメントし、栄養

ケア計画の作成や、実施、チェックしている場合に算定されます。

○ また、現状の特別食加算が廃止され、流動食とそれ以外の特別食とに分けた評価が行われます。

○ 現状の、流動食以外の特別食については、「療養食加算」と名称が改められますが、医師の指示せんに基づくな

ど、算定条件や対象は、これまでと同様です。

○ 現状の流動食については、経管栄養から経口摂取への移行への取り組みの加算(「経口移行加算」)として評価す

ることに改められました。ただし、経口摂取に一部移行できた場合は、医師の指示等により、引き続き加算が算

定できますが、できなかった場合、この加算は 180 日が限度となります。

栄養管理評価の概要

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栄養管理評価の概要

療養食加算 (23単位/日)

特別食加算(350円/日)

経管栄養以外 経管栄養

経口移行加算 (28単位/日)

流動食が除かれること以外は、算定条件はほぼ変更無し

経管栄養から経口栄養 に移行しようとする者を対象に180日を限度として算定(一部経口栄養に移行した場合は、引き続き算定可)。 経管栄養ではない著しい摂食機能障害についても算定できるが、造影撮影又は内視鏡検査による評価が必須。

管理栄養士・栄養士配置分

(これまでは、外だし評価ではなく、 栄養士のみの場合200円減算等)

栄養士配置 (10単位/日)

管理栄養士配置(12単位/日)

栄養マネジメント

加算(12単位/日)

管理栄養士必置。利用者全員を対象に、アセスメントを行い、栄養ケア計画、モニタリング等を実施

常勤要件 常勤要件

栄養士 管理栄養士

( 廃 止 )

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○ 栄養マネジメント加算

• 原則的に施設全体の利用者を対象に、栄養ケア・マネジメントを、個別に実施した場合に算定されます。栄養ケア・マネジメントを実施した利用者のみに、加算が算定されるわけではありません(いわば体制加算です)。

• 栄養ケア・マネジメントの記録様式(「栄養マネジメント加算及び経口移行加算に関する事務処理手順例及び様式例」の提示について)老老発第 0907002 号平成 17 年 9 月 7 日)が参考例として示されています。

○ 経口移行加算

• 経口移行加算は、①経管栄養の者が経口栄養に移行する利用者、②経口栄養であっても著しい摂食機能障害・誤嚥がある利用者について、個別に算定します。

• ただし、②の場合は、造影撮影や内視鏡により、医師の指示を受けることが必要となります。また、糖尿病の利用者が経管栄養である場合などであっても、栄養マネジメント加算と経口移行加算は、同じ利用者に重複し

て算定することができません。この場合、栄養マネジメント加算又は経口移行加算のいずれかのみを算定する

ことになります。

○ 栄養マネジメント加算と経口移行加算の条件と経過措置

• 栄養マネジメント加算及び経口移行加算を算定するにあたっては、入所者又はその家族に対し説明し、その同意を得た日から当該入所者について算定の開始ができます(栄養マネジメント加算は、同意までに、栄養ケア

計画が作成されている必要がある)。

• ただし、経過措置として、平成 17 年 10 月1日時点既入所者については、10 月中に同意が終わっていれば、10月1日に溯って加算を算定することが可能となっています(この点も利用者に説明する必要があります)。こ

の取扱は、10 月分についてのみの取扱です(かりに、11 月にずれこんだ場合は、同意を取った当該日からの

加算算定になります)。

各栄養管理評価の留意点

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栄養ケア計画

栄養スクリーニング

栄養アセスメント

実施・チェック

モニタリング

評価

栄養補給 栄養食事指導

摂食・嚥下リハビリ 服薬指導 口腔ケア

低リスク者は3か月ごと(体重計測は1か月ごと)

高リスク者及び栄養補給法の移行の必要性があ

る者は2週間ごと

入所時に全員実施

再スクリーニングは3か月ごと実施

低リスク者は簡潔に記載される

ことになることが想定

経口移行の取り組み→加算算定(180日間)

経口移行が進まなかった場合

加算算定(180日間)

経口移行が進んだ場合

引き続き加算算定(完全に経口移行した場合は算定終了)

経口移行の取り組み→加算算定できない。1入所1回を限度

一定期間後、再度経口移行の取り組み

加算算定

一部できていた経口食事摂取が疾病等により中断

引き続き算定可能

回復

栄養ケア・マネジメントの流れ

経口移行加算の算定期間

算定開始

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16

○ 以上のように、栄養管理評価に係る加算は5種類新設されましたが、施設全体の体制に係る3加算と、個別利用

者へのケアに係る2加算に区分できます。また主要な加算の取得パターンは、p17 に示すとおり、7通り想定

できます。

○ p17 の図に示すとおり、今回の改定は、栄養ケア・マネジメント体制の確立にむけて努力している施設が、よ

り評価されるように変更されたといえます。

○ また、今回の改定では、栄養管理評価が、管理栄養士と栄養士の人件費に相当するものとして位置づけられてい

ます。私の試算でも、今回の導入された栄養管理評価によって、管理栄養士配置施設について、1人1日当たり

で平均すると約 270 円、栄養士配置施設で約 100 円加算が算定できることになります。これは、管理栄養士と栄

養士の人件費(1人1食約 149 円:p5)にほぼ相当するといって良いでしょう(詳細は、平成 17 年度第1回

介護保険事業経営セミナー(全国社会福祉施設経営者協会)で発表)。

○ 全般に、減額された印象を受けるのは、これまでの加算や基本食事サービス費の設定がコストに基づいたもので

なかったり、コストの範囲が異なっていたためであり、単純にこれまでとの減額の対応をみるのではなく、食事

給付全体で検討する必要があります(→p5)。

栄養管理評価に係る加算の基本パターン

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栄養管理評価に係る加算の基本パターン

④療養食加算 (23単位/日)

⑤経口移行加算 (28単位/日)

②栄養士配置 (10単位/日)

①管理栄養士配置 (12単位/日)

③栄養ケアマネ (12単位/日)

栄養ケア・マネジメント体制の整備

特定の対象

※この他の組み合わせも、理屈上は想定しうるが現実的でない

このパターンが最も多いと想定される

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18

○ 今回の改定により、従来型の施設サービス費については、要介護度にかかわりなく、以下の通り減額されます。

多床室 → 18 単位減額(1人1日当たり)

個室 → 100 単位減額(1人1日当たり)

○ 逆に、新たに施設の収入となる居住費利用者負担の基準費用額は以下の通りです。

多床室 → 320 円(1人1日当たり) →光熱水費相当

個室 → 1,150 円(1人1日当たり) →光熱水費+室料相当(施設整備費補助金分除く)

○ この結果として、全ての利用者負担段階の居住費を基準費用額に設定した場合、施設の収入は以下の通り増額と

なります(1単位=10 円とした場合)。

多床室 → 140 円増額(1人1日当たり)

個室 → 150 円増額(1人1日当たり)

○ この増額分は、食事提供の光熱水費等が転嫁された費用に相当します(→p4)。したがって、従来型施設の場

合、居住費を基準費用額に設定すると、基本的に、居住費に係る施設の収入は増減がないということになります

(食費の「差益分」のみが施設の減収になります)。

○ なお、利用者が入院・外泊の際について、施設と利用者の契約にもとづき、居室が利用者のために確保されている場合

等は、原則として引き続き居住費の対象とできます。ただし、第3段階以下の利用者の場合については、補足給付は外

泊時加算の対象期間(6日間)に限り給付されます。

居住費に関する介護報酬の見直し(従来型)

見直しの基本構造

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19

収入増加分は食費の

光熱水費に相当

従来型の施設給付の見直しの基本構造

(要介護3、基準費用額で居住費を徴収する場合の例示)

介護福祉施設サービス費(Ⅰ)

[要介護3]818単位

変更

介護福祉施設サービス費Ⅱ

【多床室】[要介護3]800単位

利用者負担

補足給付

320円

現行

介護福祉施設サービス費Ⅰ

【従来型個室】[要介護3]718単位

利用者負担

補足給付

1150円

(7180+1150) -8180 =150円

改定

1単位=10円の場合

(8000+320)-8180 =140円

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20

○ 利用者負担第4段階の多床室の居住費は、光熱水費をベースに利用者と施設との契約によって定められることに

なります。

○ 各事業所が定める居住費は、食費と同様あくまで利用者との契約で定める価格(プライス)ですから、近隣の類

似施設の光熱水費の平均的な水準を勘案するなど(社会保障審議会介護給付費分科会(第 25 回)資料1p12(参

考)「居住費・食費の利用者負担のガイドラインに盛り込む事項について」)、原価(コスト)を勘案しつつも、

必ずしも原価と一致する必要はないと考えます。

○ 一方、負担能力の低い利用者(利用者負担段階第3段階以下)の多床室の居住費(利用者負担又は補足給付)に

ついては、320 円/日の基準費用額が定められています。利用者負担第1段階(生活保護受給者等)の利用者に

ついては、居住費の全額が補足給付として、事業者に対して直接介護保険から給付され、第2、第3段階につい

ては、居住費の全額が利用者負担となっています。

○ 基準費用額 320 円で居住費を設定した場合、利用者負担額と補足給付額は、次ページ図のようになります。

○ その他、多床室の居住費の設定の考え方は、基本的に食費(p6~11)と同様です。

居住費の利用者負担と補足給付(①多床室)

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21

利用者負担320円/日(負担限度額)

利用者負担320円/日

【特定入所者介護サービス費】(補足給付)

320円/日

居住費の利用者負担と補足給付①多床室

利用者負担

第1段階

利用者負担

第2・3段階

利用者負担

第4段階

居住費日額を基準費用額320円に設定した場合

※第4段階については、基準費用額以上に設定可能(p8~11と同様の考え方)

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22

○ 利用者負担第4段階の従来型個室の居住費は、基本的に、室料(修繕・維持費用等を含み、施設整備費補助金又

はその他の公的助成分を除く)と光熱水費相当を勘案して、利用者と施設との契約によって定められることにな

ります。

○ 各事業所が定める居住費は、食費と同様、あくまで利用者との契約で定める価格(プライス)ですから、近隣の

類似施設の家賃、光熱水費の平均的な水準を勘案するなど(社会保障審議会介護給付費分科会(第 25 回)資料

1p12(参考)「居住費・食費の利用者負担のガイドラインに盛り込む事項について」)、原価(コスト)を勘案

しつつも、必ずしも原価と一致する必要はないと考えます。

○ 一方、負担能力の低い利用者(利用者負担段階第3段階以下)の従来型個室の居住費(利用者負担+補足給付)

については、1,150 円/日の基準費用額が定められています。

○ 基準費用額 1,150 円で居住費を設定した場合、利用者負担額と補足給付額は、次ページ図のようになります。

○ その他、従来型個室の居住費の設定の考え方は、基本的に食費(p6~11)と同様です。

居住費の利用者負担と補足給付(従来型個室)

※ なお、以下の場合について、従来型個室入所者であっても、従来型多床室入所者の報酬の適用となる等の経過措置があります(平成 21 年

度改定時に再検討の予定)。

(既入所者)

● 平成 17 年9月 30 日の時点における従来型個室の入所者(一時入院している場合を含む)が退所するまでの期間

(新規入所者)

● 感染症や治療上の必要、ターミナル期など、施設側の事情により個室入所が必要な場合(医師の判断で、30 日を限度)

● 10.65m2以下の居室(特養の場合)

● 著しい精神症状等で、他の同室者の心身の状況に重大な影響を及ぼすため、個室への入所が必要である場合(医師の判断で 30 日以

上も認められる)。

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利用者負担 第1段階

【特定入所者介護サービス費】

830円/日

利用者負担限度額 320円/日

利用者負担 第2段階

【特定入所者介護サービス費】

730円/日

利用者負担限度額 420円/日

利用者負担 第3段階

【特定入所介サ費】

330円/日

利用者負担限度額 820円/日

利用者負担 第4段階

全額利用者負担1150円/日

居住費の利用者負担と補足給付②従来型個室

居住費日額を基準費用額1150円に設定した場合

介護報酬(補足給付)

合計1150円

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24

○ ユニット型個室・準個室は、以下の条件等を満たすユニットに配置される個室又は準個室を指します。

• 居室と共同室によって一体的に構成される場所を単位として構成。 • 居室の定員は基本的に1名で、共同生活室に近接して一体的に配置。 • 1ユニットの入居定員はおおむね 10 名。

○ 個室・準個室の区分は、次ページ図の通りですが、図内に示したとおり、例外等があります。

居住費に関する介護報酬の見直し(ユニット型個室・準個室)

設備要件

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25

ユニット型個室

ユニット型準個室

従来型多床室

全て該当

13.2m2 以上

○ユニットに配置されている ○個室で窓がある ○壁が可動でなく、音・視線が遮断されている ○入り口が分かれている

天井隙間

いずれか非該当

個室面積

なし

あり

10.65~13.2m2

10.65m2 未満

(※)壁芯

(※)平成15年4月時点で、省令附則による経過措置の対象で

小規模単位生活型を算定している、10.65~13.2m2の居室は、今

後もユニット型個室として取扱う

(※)夫婦等2人で入

居するなどサービス提

供上ユニット型に設け

られた2人部屋は、個

室として取り扱う。

ユニット型個室・準個室の設備要件

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26

○ 今回の改定により、小規模生活単位型施設の以下の収入・介護報酬が廃止又は減額になります。

施設独自に利用者から徴収していたホテルコスト → 廃止

居住費対策(介護報酬) → 廃止

施設サービス費:個室 → 143単位減額(全ての要介護度1人1日当り)

○ この結果として、かりに居住費を基準費用額に設定した場合、これまで、ホテルコストを徴収していない施設では、

次ページ図に示すとおり、利用者1人1日当たり 540 円の増額となります(個室;1単位=10 円とした場合)。

○ この増額分は、食費の減額分(p4)より大きいため、これまでホテルコストを徴収していない施設では、今回

の改定で収入が増加することとなります。

○ なお、利用者が入院・外泊の際の取扱は、従来型施設と同様の考え方(p18)です。ユニット型個室の場合には、個室

に自分の身の回り品や家具等を持ち込んでいるなど、入院・外泊中も居住費を徴収することが適切な場合が多くなるこ

とが想定されます。

従来ホテルコストを徴収していない施設の場合

※ ホテルコストを徴収していない小規模生活単位型施設は、平成 15 年 10 月時点で全体の約 40%(厚生労働省「介護サ

ービス施設・事業所調査」)、また、平成 16 年3月までにオープンした施設では、全体の約 21%となっています(社団法人

日本医療福祉建築協会「小規模生活単位型(一部小規模生活単位型)特別養護老人ホームにおけるサービス実態と評価手

法の開発に関する研究報告書」平成 17 年3月)。最近オープンした小規模生活単位型施設は、ほとんど月額4~5万円の

ホテルコストを徴収しているため、ホテルコストを徴収していない施設の割合は、更に低いものと想定されます。

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収入増加分は食費の光熱水費相当額以上

個室ユニットケアの施設給付の見直しの基本構造

(要介護3、基準費用額で居住費を徴収する場合の例示)

ユニット型介護福祉施設サービス費Ⅰ

[要介護3]879単位

変更

ユニット型介護福祉施設サービス費(Ⅰ)

【個室】[要介護3]736単位

利用者負担

補足給付

1970円

現行

ユニット型介護福祉施設サービス費(Ⅱ)

【準個室】[要介護3]736単位

利用者負担

補足給付

1640円

(7360+1640)-8790 =210円

改定

1単位=10円の場合

(7360+1970)-8790 =540円

イ.これまで利用者負担を徴収していなかった施設

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○ 一方、これまで、ホテルコストを月額5万円徴収している施設について、同様に計算すると、次ページ図に示す

ように、利用者1人1日当たり約 1,100 円の減額となります(個室;1単位=10 円とした場合)。

○ この減額分に食費の減額分を加えると、利用者1人1日当たり約 1,600 円施設収入が減少することになります。

これは、施設収入の 10%強に当たります。

○ このような大幅な収入減となるのは、今回の小規模生活単位型の居住費に係る改定が、ホテルコスト分を月額1

万2千円という前提で行ったためです(2003 年報酬設定時に、従来型多床室介護報酬から、利用者負担となるホテ

ルコスト分として1万2千円を一旦減じ、その後、サービス提供体制等を勘案して増額したのが従前の小規模生活単位

型の報酬)。つまり、従来のホテルコストの設定が月額1万2千円の施設では、多床室と同じ減額(すなわち、居

住費・食費を全て基準費用額で設定した場合食費差益分のみが減額=施設収入約 3.5%減)ということになり、1

万2千円より多いホテルコストを徴収してきた施設は更に収入減となります。特に、月額4~5万円のホテルコ

ストを設定してきた施設では、今回の改定が、施設経営に極めて大きな影響をもたらします。

○ 今回(10 月改定)の食費・居住費に係る改定は、機械的に行うことが前提であったため、このようなことが起

こっています。

従来ホテルコストを月額5万円徴収している施設の場合

※ なお、小規模生活単位型施設における、居住費の設定と補足給付は、基本的に、従来型施設と同様であるため省略しまし

た。小規模生活単位型施設の居住費の設定においては、p18~19(又、p6~11)を参照下さい。なお、小規模生活単位型

施設では、利用者負担居住費として介護報酬から減額された額に、施設整備費補助金は勘案されていないため、従来型個室と

異なり、居住費の設定にあたって、施設整備費補助金を勘案(減額)する必要はないと考えます。

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収入減

個室ユニットケアの施設給付の見直しの基本構造(要介護3の場合の例示)

ユニット型介護福祉施設サービス費Ⅰ

[要介護3]879単位

変更

ユニット型介護福祉施設サービス費(Ⅰ)

【個室】[要介護3]736単位

利用者負担

補足給付

1970円

現行

ユニット型介護福祉施設サービス費(Ⅱ)

【準個室】[要介護3]736単位

利用者負担

補足給付

1640円

(7360+1640) -(8790+1644) =▲1434円

改定

1単位=10円の場合

(7360+1970) -(8790+1644) =▲1104円

ロ.これまで利用者負担を1人5万円(日額約1644円)徴収していた施設

ホテルコスト

居住費対策66/33単位

1644円

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○ 以上のように、居住費自己負担に際して、従来のホテルコストを月 1.2 万円として、一律に報酬を引き下げたため、居住

費を5~6万円に設定している施設にとっては、極めて大きな減収となります。平成 18 年4月に向けて、ケアの内容等に

応じたユニット型施設の報酬の向上が期待されますが、それまでの6ヶ月間の赤字に耐えられない施設も想定されま

す。

○ こうした施設が報酬改定による影響を利用者負担に転嫁しようとすると、低所得者に対しても特別室料など、新たな保険

外負担を求めざるをえなくなります。そこで、国は、急遽、社会福祉法人等による利用者負担軽減制度を活用した特例

措置を講ずることになりました。

○ この特例措置は、次ページ図に示すとおり、施設が設定した第4段階の居住費(又は従前のホテルコスト+4.8万円/月)

をもとに、低所得者(第1段階~第3段階)の居住費の基準費用額(ユニット型個室の場合、月6万円)との差額の一部を、

公費助成する制度です。

○ ただし、この特例措置は、平成 18 年4月にユニット型施設のケア内容に応じた改定が行われまでの期間の、あくまで時

限的な措置です。したがって、公費助成を受けることを優先した居住費の設定を行うと、半年後に一貫性のない居住費

再設定を行うこととなり、利用者に不審を買われることになります。この点を勘案すると、特例措置があろうが、なかろう

が、p10の考え方に従い第4段階の居住費を設定すべきと考えます。

ユニット型個室に係る社会福祉法人軽減制度の特例措置

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ユニット型個室に係る社会福祉法人軽減制度の特例措置

(現行5万円のホテルコストの施設の例)

利用者負担

(例5万円)

介護報酬減額分

(4.8万円)

現行のホテルコスト

基準費用額から1

.2

万円減じた値

利用者負担として設定する額(例9・8万円)

基準費用額6万円

現行 第4段階

補足給付 利

用者負担

第1段階 第2段階 第3段階

(法人持ち出し1万円)

どちらかの低い額で助成額決定

利用者負担

補足給付

利用者負担

補足給付

公費助成

公費助成

公費助成

特別措置 (3万円を上限)

(※)上の例では、公費助成額は第1~3段階1人につき、2.8万円。上の例で、仮に、第4段階の

負担を8万円と設定した場合、公費助成額は、第1~3段階1人につき、1.0万円となる。

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○ 従来の短期入所生活介護費からは、食事サービス費分及び居住費分が減額されます。減額される額は、要介護度

又は単独・併設型に関係なく、以下の通りです。また、食材料費として、施設独自に徴収していた利用料は徴収

できなくなります。

従来型個室 → 234 単位減額(1人1日当たり)

多床室 → 152 単位減額(1人1日当たり)

ユニット型個室 → 277 単位減額(1人1日当たり)

○ 逆に、新たに施設の収入となる居住費及び食費(及びそれぞれの補足給付)が施設と同様に設定されます。なお、

現在、1泊2日で、2日分の短期入所生活介護費の算定が行えますが、今後、食費に関しては、基本的に朝食、

昼食、夕食ごとに分けて設定することになります。この場合、低所得者については、自己負担分が上限に達した

後に、補足給付が行われることになります。

○ また、これまで、短期入所については、食に関する介護報酬の評価はありませんでしたが、今回の改定で、施設

と同様に以下の報酬が新設されます(なお、経口移行加算と栄養ケアマネジメント加算は、算定できませんが、

これは、短期入所のサービスの性格上の区別と考えられます)。

管理栄養士配置(常勤)→ 12 単位(1人1日当たり)

栄養士配置(常勤) → 10 単位(1人1日当たり)

療養食加算 → 23 単位(対象者1人1日当たり))。

○ これらの結果、管理栄養士を配置する従来型施設で、施設同様、3.5%程度の収入減となることが想定されます

(推計内容については、平成 17 年度第1回介護保険事業経営セミナー(全国社会福祉施設経営者協議会)で発表)。

短期入所生活介護に関する介護報酬の見直し

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○ 以上とは別に、利用者の選定に基づく特別な居室や食事の提供に関する追加的費用が認められることとなりまし

た。追加費用の例としては、以下のものが、国から例示されています。

特別な室料 → 利用者の特別な希望に基づく居住環境(占有面積、立地条件、景観、インター

ネットの接続等の利便性等)であり、施設、設備等が、費用の支払を利用者から受けるのにふさわしい

ものであること。

特別な食費 → 利用者の特別な希望に基づくメニュー、食材等(おやつを特別な食事の提供に

位置づけることも可能)

○ 特別な室料については、定員割合がおおむね 50%を超えないことが要件となっています。また、国庫補助を受

けて整備した居室も、特別な室料を徴収することは可能になります。

○ これらは、一般の居住費、食費に対する「追加的費用」であり、利用者の選択に基づくこと、また、サービス提

供上の必要から行われるものでないことを明確にしたうえで徴収することが想定されています。

特別な室料・食費

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○ 今回の改定による、消費税等(消費税及び特別地方消費税)の課税・非課税の取扱については、基本的に従来ど

おりの扱いとなり大きな変更はありません。 ○ ただし、

利用者の選定による特別な室料 利用者の選定による特別な食費

については、課税対象になります。 ○ なお、非課税事業者から課税事業者になる場合や、簡易課税を選択できる事業者から簡易課税を選択できない事

業所になる場合が想定されます。今年は2か月分ですから、来年から再来年にかけて、時間をかけて事前に十分

準備しておくことが必要です。

利用料に係る消費税について

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本人・世帯の

収入・所得

従来区分

区分

本人・世帯の

収入・所得区分

市町村民税本人課税

(本人所得200万円超)(※5)

市町村民税本人課税

(本人所得200万円以下)(※5)

市町村民税世帯課税

〃 本人非課税

(利用者負担段階に同じ)

(利用者負担段階に同じ)

(利用者負担段階に同じ)

保険料段階(※1)

基準額

×150%

基準額

×125%

基準額

基準額

×75%

基準額

×50%

(※1)

基準額

×50%

保険料

約2%

(約20%)

居住費

420円

1640円

1310円

490円

1970円

1640円

820円

ユ個

ユ準

従個

多床

食費

820円

320円

自己負担限度額(日額)

320円

0円

1380円

650円

390円

300円

1150円

320円

比率

(※2)

高 額

介護費

(月額)

利用者負担段階

約12%

約13%

約39%

37,200

円市町村民税世帯課税4

約17%

(約38%)

24,600円

市町村民税世帯非課税

(例:年金1人80-266万円(※3) )

約17%

(約25%)

市町村民税世帯非課税

(例:年金1人80万円以下)

15,000円

生活保護受給 等1

本人・世帯の

収入・所得

従来区分

区分

本人・世帯の

収入・所得区分

市町村民税本人課税

(本人所得200万円超)(※5)

市町村民税本人課税

(本人所得200万円以下)(※5)

市町村民税世帯課税

〃 本人非課税

(利用者負担段階に同じ)

(利用者負担段階に同じ)

(利用者負担段階に同じ)

保険料段階(※1)

基準額

×150%

基準額

×125%

基準額

基準額

×75%

基準額

×50%

(※1)

基準額

×50%

保険料

約2%

(約20%)

居住費

420円

1640円

1310円

490円

1970円

1640円

820円

ユ個

ユ準

従個

多床

食費

820円

320円

自己負担限度額(日額)

320円

0円

1380円

650円

390円

300円

1150円

320円

比率

(※2)

高 額

介護費

(月額)

利用者負担段階

約12%

約13%

約39%

37,200

円市町村民税世帯課税4

約17%

(約38%)

24,600円

市町村民税世帯非課税

(例:年金1人80-266万円(※3) )

約17%

(約25%)

市町村民税世帯非課税

(例:年金1人80万円以下)

15,000円

生活保護受給 等1

利用者負担段階・保険料段階一覧

(約16%)

(※1)保険料段階の5段階以上の設定及び第2段階の保険料は、国の基準例を参考に、各市町村が条例により設定。(※2)65歳以上人口に占める割合。()内は、介護老人福祉施設入所者に占める割合。(※3)266万円は平成17年度の値、平成18年度は税制改革により非課税の上限額が減額される。(※4)利用者負担第4段階には、負担限度額はなく、利用者との契約でこれ以上の徴収が可能。(※5)本人所得200万円の区分は、平成15~17年の設定値。

(※4)

国のこれまでの資料を総合し作成。

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本書を許可なく複写することを禁じます。ただし、法人・

施設内等研修で用いる場合を除きます。