熊本地震関連特別レポート vol. 2 - boj.or.jp · 2 < ポイント > 1....

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1 日本銀行熊本支店は、本年 8 1 日に開設 100 周年を迎えます。 2017 4 28 日本銀行熊本支店 当地における人手不足の現状と課題 1 齋藤 香(現金融市場局)、竹内 淳一郎 (はじめに) ○ 熊本県の景気は、地域や業種によっては厳しい状況が続いているものの、復興需 要の拡がりとともに、回復基調は一段としっかりしてきている。震災後、ここまで の経済の足取りを振り返ると、あれだけの規模の被災や、その後の経済の落ち込み、 更には、1 年という短い期間を考慮すれば、マクロの景気は、順調に回復してきた と評価される。別稿で指摘したように 2 、あらゆる経済主体が、東日本大震災など の際の教訓を踏まえ、出来得る最大限の施策を迅速に講じたことが寄与した。 もっとも、個々の状況をつぶさにみると、仮設住宅等での暮らしが続き生活再 建を果たせない家計、店舗や工場などの被災などから厳しい経営を余儀なくされ ている企業は、数多く残されている。また、住宅の竣工を待つ家計、社屋や工場 の復旧・復興を待つ企業なども、多数に上っている。阿蘇地区を中心に交通イン フラが寸断された状況も続き、観光業をはじめ地域経済にも影を落としている。 こうした状況を解消し、1 日も早い復旧・復興、更には「創造的復興」を展望し た際に、最大の制約要因となっているのは、明らかに担い手の不足である。瓦礫 処理や土木、建築工事などでは、県外業者の参入などが進んでいるほか、行政サ イドでも、実態に即した規制緩和などの措置を一部講じている。もっとも、絶対 的に労働力が不足していることが、迅速な復旧の制約となっている。 当地の人手不足は、強い復旧・復興需要という循環要因だけではなく、少子高 齢化、若年層を中心とした生産年齢人口の県外への流出といった構造要因も強く 影響している。換言すると、当地の労働力不足は、復興需要が一巡した後、和ら ぐことがあっても、解消される蓋然性は低いと考えられる。 以上のような問題意識の下で、本稿では、まず、人手不足の実情や背景を、デ ータを基に、分析・整理する。その上で、あり得べき施策などを論じる。結論を 先取りすると、人手不足に即効薬はなく、労働需要・供給双方において、総合的 な施策を講じるほかなく、同時に、出来ることから迅速に着手することが肝要で ある。本稿が、労働力不足問題に関心を集め、議論の一助になることを期待する。 1 本稿作成に当たっては、作図において小林 誉幸のサポートを得た。 2 詳しくは、4 13 日に公表した熊本地震関連特別レポート vol.1「熊本地震 1 年後時点での県 内経済情勢」(総括)(http://www3.boj.or.jp/kumamoto/tokubetsu_chosa/report20170413.pdf)を参照。 本地震関特別レポーvol. 2

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日本銀行熊本支店は、本年 8 月 1 日に開設 100 周年を迎えます。

2017 年 4 月 28 日

日本銀行熊本支店

当地における人手不足の現状と課題1

齋藤 香(現金融市場局)、竹内 淳一郎

(はじめに)

○ 熊本県の景気は、地域や業種によっては厳しい状況が続いているものの、復興需

要の拡がりとともに、回復基調は一段としっかりしてきている。震災後、ここまで

の経済の足取りを振り返ると、あれだけの規模の被災や、その後の経済の落ち込み、

更には、1 年という短い期間を考慮すれば、マクロの景気は、順調に回復してきた

と評価される。別稿で指摘したように2、あらゆる経済主体が、東日本大震災など

の際の教訓を踏まえ、出来得る最大限の施策を迅速に講じたことが寄与した。

もっとも、個々の状況をつぶさにみると、仮設住宅等での暮らしが続き生活再

建を果たせない家計、店舗や工場などの被災などから厳しい経営を余儀なくされ

ている企業は、数多く残されている。また、住宅の竣工を待つ家計、社屋や工場

の復旧・復興を待つ企業なども、多数に上っている。阿蘇地区を中心に交通イン

フラが寸断された状況も続き、観光業をはじめ地域経済にも影を落としている。

こうした状況を解消し、1 日も早い復旧・復興、更には「創造的復興」を展望し

た際に、最大の制約要因となっているのは、明らかに担い手の不足である。瓦礫

処理や土木、建築工事などでは、県外業者の参入などが進んでいるほか、行政サ

イドでも、実態に即した規制緩和などの措置を一部講じている。もっとも、絶対

的に労働力が不足していることが、迅速な復旧の制約となっている。

当地の人手不足は、強い復旧・復興需要という循環要因だけではなく、少子高

齢化、若年層を中心とした生産年齢人口の県外への流出といった構造要因も強く

影響している。換言すると、当地の労働力不足は、復興需要が一巡した後、和ら

ぐことがあっても、解消される蓋然性は低いと考えられる。

以上のような問題意識の下で、本稿では、まず、人手不足の実情や背景を、デ

ータを基に、分析・整理する。その上で、あり得べき施策などを論じる。結論を

先取りすると、人手不足に即効薬はなく、労働需要・供給双方において、総合的

な施策を講じるほかなく、同時に、出来ることから迅速に着手することが肝要で

ある。本稿が、労働力不足問題に関心を集め、議論の一助になることを期待する。

1 本稿作成に当たっては、作図において小林 誉幸のサポートを得た。 2 詳しくは、4 月 13 日に公表した熊本地震関連特別レポート vol.1「熊本地震 1 年後時点での県

内経済情勢」(総括)(http://www3.boj.or.jp/kumamoto/tokubetsu_chosa/report20170413.pdf)を参照。

熊本地震関連特別レポート vol. 2

2

< ポイント >

1. 熊本県の労働市場は、震災前からタイトな状況にあったところ、震災後の強い復旧・復

興需要を受けて、一段と逼迫している。担い手不足は、目下、迅速な復旧・復興に向け

た最大の制約要因であると同時に、経営者の間でも、最大の経営課題と認識されてい

る。

2. 当地の人手不足は循環的な事象ではなく、少子高齢化と若年層を中心とする生産年

齢人口の県外への流出という構造問題である。強い復旧・復興需要が一巡した段階で

も、多少は和らぐとしても、人手不足が解消する公算は小さい。

3. 熊本県の社会減は、県外への大学進学とその後の県外就職、高校卒業時の県外就

職という 3 つの機会で生じている。就職先の県外で世帯を形成し、子女を修学させること

で、人口の流出が固定化している。なお、震災後の昨年には、47 都道府県中、最大の

人口流出超を記録した。

4. 人手不足が続く中、当地でも、女性、高齢者、外国人労働者の順で労働力の活用が

進んでいる。女性は仕事と育児・家事の両立に対するサポート体制、高齢者は雇用延長

を勧奨する国の施策、外国人は技能実習制度の拡充が追い風となった。経営者も総人

件費の抑制を図りつつ、人手不足を補い得るとあって、採用を積極化してきた。

5. 復旧・復興の担い手不足に関しては、県外からの労働力確保や官民対話を通じた規

制緩和、現場での創意工夫で対処するほかない。その上で、中長期的な人手不足に関

しては、労働力の掘り起こし、労働需要の削減双方の面から、官民合わせて、総合的な

対策を講じていく必要がある。

6. 供給面からみると、第 1 は、女性や高齢者、外国人労働者の一層の活用である。掘り

起こしの余地はあるが、この先、上積みするためには、幾つかの制約を乗り越え、より踏み

込んだ対応が必要となる。処遇改善のほか、税制面での後押し、職業訓練のほか、柔軟

な勤務体制や個々の属性・就業ニーズにマッチした仕事のアサインメントなどが該当す

る。

第 2 は、女性や高齢者、外国人労働者を男性正社員の“周縁”労働力として活用する

のではなく、その属性の有する能力や適性を活かすという、意識改革が必要である。

第 3 は、就職を機に流出する若年労働力の引き留めである。初任給を含めた処遇の

改善や県内企業の学生に対する情宣強化を進める必要がある。UIJ ターンを希望する

就労者が増えており、そのニーズを上手くマッチングする仕組み作りも、進めるべきことの

一つと考えられる。

7. 労働需要の削減に向けては、業務プロセスの見直し、過剰ないし無駄なサービスの見

3

直し、省人化・省力化投資の実施が考えられる。

8. これら労働供給・需要双方の取り組みを進めることは、結果として、労働生産性を高め

ることに繋がる。退職者の補充がままならない時代を迎えていることを踏まえると、早期に

取り組まねば、経営の持続性すら脅かされかねない。政府が「働き方改革」の旗を振るこ

とも、同様の危機感に根差している。個々の経営者は、柔軟な勤務体制を通じた労働力

の確保、一人ひとりの能力を活かすための雇用政策などの巧拙が企業の成長を左右す

ることを意識し、経営の舵取りを担う必要がある。

9. 行政においては、引き続き、労働供給を制限している仕組みを除去するほか、流動化

を促す仕組み作りに傾注することが期待される。また、中小企業が多い地方圏において

は、個々の企業レベルでは取り組みに限界があることを踏まえ、就労環境の整備を、企

業群=グループ単位で支援することも一考に値する。

1. 人手不足の現状

○ 当地の労働需給は、震災前から引き締まった状況にあったところ、強い復興需

要を背景とする労働需要の高まりを受けて、一段とタイト化してきた。以下、幾つ

かのマクロ統計で確認する。

有効求人倍率(図表編右下に頁を表記、p2)――有効求職者 1 人当たりの有

効求人数で、1 倍を超えると求人が求職を上回る状況を示す――は、リーマ

ン・ショック後の景気後退期に、0.35 倍(季調値、2009 年 5、7 月)まで低下

した後、2014 年 8 月には、1991 年 12 月以来となる 1 倍を超えた。その後も

上昇を続け、震災前の時点では 1.22 倍と既に、労働市場はタイトな状況にあ

った。震災後は、復旧・復興需要などを背景とする労働需要の高まりを受け

て、有効求人倍率の上昇が加速し、2016 年 9 月には、統計開始以来、初めて

全国を上回り、足もとまで続いている。

―― 有効求人倍率の持続的上昇を求人・求職双方の要因に分解すると、震災

前は、求人の緩やかな上昇と求職者の減少の双方が寄与していた(p3)。も

っとも、震災後は求人数の増加が、主として求人倍率を押し上げている。

県内の殆どの地域で、有効求人倍率は前年を上回っているが、唯一、阿蘇で

は、震災前の水準を下回っている(p2 右表)。

―― 阿蘇地区の雇用保険の受給資格決定件数をみても、震災直後から 9 月に

かけて、大幅に増加した(p4)。交通インフラが寸断され、大量の宿泊キャ

ンセルが相次いだ中で、阿蘇地区の主力産業である観光業が大きな打撃を

受けたことが、読み取れる。

4

有効求人倍率は一般に、正社員に比べパートの方が高い(p5)。企業は、正社

員を新卒で充足する傾向にあることや、人件費の抑制志向が根強いことなど

を反映している。この点は、熊本県でも変わらない。ただ、震災後の 2016/12

月には、正社員の有効求人倍率が 1 倍を超えるまで上昇した(原計数)。この

点からも、現下の労働需要の強さが見て取れる。

求人を新規ベースで業種別にみると、震災前は、製造業のほか、医療・福祉、

人材派遣業や保安を含む「その他サービス業」が全体の求人数を押し上げて

いた(p6)。震災後は、復旧・復興需要に直面する建設業や、挽回生産を進め

操業度の高い製造業などが、明確に増加している。また、卸売・小売業、宿

泊業・飲食サービス業を含め幅広い業種で、求人が増加している。これは、

日当の高い建設業や製造業に労働力が移動していることなども影響している

とみられる。この間、幾つかの業種の有効求人倍率をみると、建設業のほか、

ドライバーなど運輸・郵便業で、目立って上昇している。

―― 建設業は、近年、東日本大震災後の復旧・復興需要、国土強靭化に向け

た各地での土木工事、大都市圏での再開発需要――2020 年開催の東京オリ

ンピック・パラリンピック向けの建設需要を含む――を背景に、全国的に

人手が不足している(p7)。因みに、建設業、不動産業の業況判断(日銀短

観)が揃って高い水準での「良い」超を維持しているのは、バブル期以来

のこととなっている(p8)。

熊本短観で企業の人手不足感を確認すると、雇用判断 D.I.(「過剰」-「不足」)

は、震災前の段階で既に大幅な「不足」超になっていたところ、震災後は一

段と「不足」超幅が拡大した(p9)。直近 3 月の熊本短観の「不足」超幅(▲

38)は、遡って統計が確認できる 1993 年以降で、最大となっている。

―― 全国短観をみても、直近の人手不足感は、バブル期以来の水準に達して

いる(p10)。80 年代後半当時は、5%近い成長率に根差した強い成長期待が、

企業の人手不足感を強める方向に作用した。他方、最近は、年率 1%程度の

成長にとどまり、先行きの成長期待も高まっていない。つまり、最近の企

業の強い人手不足感は、生産年齢人口の減少、つまり絶対的な労働力不足

に根差しており、現状の方がバブル期に比べ問題は深刻ともいえる。

また、先行き 6 月にかけても、同程度の「不足」超を見込んでいる。通常、4

月に新卒が入社した直後の 6 月短観は、季節的に人手不足感が和らぐ傾向に

ある。今回、このパターンに反することが見込まれる背景については、①企

業が直面する需要(=仕事量)が殊の外強く繁忙度が高い点や、②計画どお

り採用が進んでいないこと、などを反映しているとみられる。

―― 県内の企業を対象とした新卒採用計画に関する地方総合研究所のサー

5

ベイ調査によると、来春(2018/3 月)卒業の新卒採用計画は、一段と積極

化している(p11)。これには、強い人手不足のほか、近年、採用予定者数

が確保できていないことも反映していると考えられる。実際に、熊本短観

の採用実績をみると、企業の強い採用意欲にも拘らず、2014~16 年度にか

けて前年実績を下回っている。つまり、労働需給が全国的にタイト化する

下で、県内企業は計画した人数の新卒を確保できていない状況が読み取れ

る。

熊本県中小企業家同友会では、四半期毎に行うサーベイ調査で、「経営者が直

面する(困難な)課題」について、継続して調査している(複数回答可)。こ

れをみると、2013 年頃までは、「価格競争の激化」と回答する比率が最も多か

った(p12)。つまり、デフレを最大の脅威として、捉えていたことが見て取

れる。もっとも、2014 年頃からは、従業員の不足が最大の経営課題として認

識されており、最近では群を抜いている。加えて、2015 年頃からは、人件費

の上昇を挙げる回答企業が増えてきている。

○ 以上を整理すると、熊本県の労働市場は、震災前から既にタイトな状況にあっ

たところ、震災後の復旧・復興需要を受けて、一段と逼迫しており、経営者にとっ

て、人手不足が最大の経営上の課題として、認識されていることが分かる。

2. 人手不足の構造要因 ~若年層を中心とする社会減~

○ 足もとの深刻な人手不足は、明らかに、復興需要を背景とする強い労働需要によ

って、もたらされている。ただ、当地を含め地方圏では、少子高齢化のほか、大都

市圏への(生産年齢)人口の流出という構造問題に直面していることから、復旧・

復興需要の有無にかかわらず、働き手の確保が年々、難しくなっている。以下では、

熊本県の人口減少を構造的にもたらしている社会減(=県外への転出超)を中心に、

データで確認する。

熊本県の人口は、1998 年の 186.2 万人をピークに減少に転じ、2000 年台半ば

から、減少テンポがやや加速している(p14)。人口増減を、社会増減(転入・

転出)と自然増減(出生・死亡)に分解した上で、社会増減からみると、熊

本県の場合、1996 年以降、社会減が一貫して続いている。その減少幅は、全

国の景気回復局面にやや遅れて拡大し(例えば、2000 年代半ば)、景気後退局

面では逆に、縮小する(例えば、リーマン・ショック後)。つまり、当地を含

め地方圏での社会減は、大都市圏の労働需要の強さに影響を受ける面が大き

い。他方、自然増減は、2003 年に減少に転じ、景気に左右されることなく、

減少幅が拡大基調を辿っている。このように、熊本県の人口は、社会減、自

然減双方の要因から、長きに亘り減少が続いている。

6

―― 自然減は、出生数の減少によってもたらされている。合計特殊出生率―

―1 人の女性が生涯に亘って何人の子供を出産するかを表し、2.07 を下回

る限り、自然減から脱却できない――は、減少基調が続いた後、2005 年を

ボトムに、上昇に転じた(p15)。熊本県をはじめ九州の各県は、全国に比

べ水準は高いものの、2.07 には遠く及ばない。こうした低い合計特殊出生

率をもたらした背景には、初婚年齢――他の条件を一定とすれば、2 人目

や 3 人目の出産の減少要因として作用――や生涯未婚率の上昇が、影響し

ている。

震災後の人口動態をみると、2016 年に社会減は▲6,935 人と全国最大の転出超

を記録した(p16、人口対比での減少率は▲0.39 %で、青森、秋田、長崎、和

歌山の各県に次いで第 5 位)。前年実績(▲4,118 人)に比べ、1.68 倍に拡大

している(p17)。当地の場合、例年、3 月と 4 月に県外への就職や進学を主因

に、大幅な転出超となるところ、2016 年春もその例外ではなかった。もっと

も、通常は 5 月、6 月は減少超幅が僅かなところ、昨年は目立った流出超とな

っており、震災の影響が読み取れる。

転出先については、福岡県が最も多く、東京都を除けば、九州(除く沖縄)

各県に転出する県民が多い。近隣に転出していることからみて、住宅再建が

進むにつれて、一定程度は熊本県に戻ることも期待されないわけではない。

―― なお、大震災を経験した兵庫県と東北 3 県の人口動態をみると、何れも

震災後に大幅な転出超を記録している(p18)。両事例をみると、震災の翌

年には、人口流出も落ち着きを取り戻すが、震災年の減少分をカバーする

ことは難しいように映る。

社会減、とくに若年層の生産年齢人口の流出は、卒業生の県外就職によって

もたらされている。高卒に関し県外への就職比率をみると(2016/3月卒業者)、

九州各県は軒並み全国平均(19.0%)を大きく上回っている3(p19)。事実、熊

本県も長崎、佐賀、宮崎および鹿児島同様に、4 割を超えている。2017/3 月は、

5 割近い学生が県外に就職したことが示唆される。

―― 高卒の就職先を九州域内まで広げると、70%弱の学生が九州内の企業に

就職している(p20)。この水準は、大分や福岡――熊本と同様に、大手製

造業の生産拠点が数多く立地している地域――の地元就職率に比べ、はっ

きりと低い。

―― 高校卒業予定者への求人倍率をみても近年、目立って上昇している(p19

3 県内に目を転じれば、郡部から、熊本市を中心とする都市圏に就職する学生が多く、そのこ

とが郡部の働き手減少をもたらしている。

7

右)。この春の卒業生は、一段とその傾向が顕著になっており、3 月時点で

の求人倍率は、2.88 倍(原計数)にも達している。企業からの聞き取り情

報でも、労働需給の逼迫度が高い大都市圏の企業からの好条件のアプロー

チなどを受け、県外に就職する学生が増えているとの指摘が、聞かれる。

熊本県の高校を卒業した学生の 45%強が、大学に進学し(p20 左)、その 45%

程度が熊本県内の大学へ進学している(p21)。この水準は全国平均を上回り、

九州の中では、福岡県に次ぐ水準となっている。なお、九州域内の大学に 30%

程度が進学しており、地元を含めた九州の大学への進学率は 75%になる。地

元進学率は相対的に高めではあるが、大学卒業後の進路をみると、55%程度が

県外に就職している(p22)。因みに、熊本大学の卒業生もほぼ同程度の学生

が、県外に就職している。

3. 女性、高齢者、外国人労働者の活用実態

○ 以上みてきたように、当地では、少子化の下での人口の自然減に加え、①高校卒

業時に就職する際の県外流出、②大学進学の段階での県外流出、③大学卒業時の県

外就職といった 3 つの機会を通じ、若年層の社会減がもたらされている。つまり、

構造的に人手が不足する傾向にあり、労働供給の掘り起こしを進める必要に迫られ

ている。以下では、そうした観点から、女性、高齢者および外国人労働者の順で、

現状の活用実態を整理する。

(1)女性労働者

○ 労働供給を増やす第 1 のターゲットは、女性労働力の一層の活用である。熊本県

を含め、地方圏経済では、かねて女性の活用が、大都市圏に比べ進んでいる。近年

では、女性の労働意欲の一層の高まりや景気の回復、更には行政や企業による就労

環境の整備などが奏功し、一段と増加している。

ややデータは古くなるが、2012 年の就業構造基本調査によると、熊本県の子

育て世代の有業率は 63%に達しており、全国平均(48.6%)を、はっきりと上

回っている(p24)。当地を含め地方圏では、家計所得を補う観点もあって、

元来、女性の就労意欲が高い。加えて、職住接近のほか、両親など家族によ

る子育て支援も得られやすいことが、女性の就業継続に対し、プラスに作用

している。他方、大都市圏の子育て世代の有業率は軒並み、全国平均を下回

っている。

女性の労働参加に関し、国勢調査など最新の調査結果をみると、第 1 に熊本

県、わが国全体ともに、女性の労働力率が近年、明確に上昇している(p25)。

第 2 に、女性の労働力率を年齢階級別にみると、所謂 M 字カーブ――横軸を

年齢階級とし、縦軸に労働力率を図示すると、結婚・出産期に労働力率が低

8

下し、育児終了後に再び上昇する現象を示す線形がアルファベットの「M」に

似ていることから呼称される――が、ほぼ解消していることが見て取れる

(p26)。

○ 以上のことからわかるように、労働力としての女性活用は、近年、はっきりと進

展している。活用余地は、なお残っているが、この先、上積みするためには、より

一層、肌理細かな対応が求められ、労使双方の意識改革や取り組み強化が待たれる。

例えば、目下、強い人手不足に直面している建設や運輸業、保安業務などの職種は、

元来、女性の活用が難しいとみなされてきた。トイレや女性更衣室の整備といった

初歩段階のファシリティの設置をはじめ、職場環境の整備が急務となっている。

労働力率と就業率を並べてみた際の両者の乖離部分は、定義により失業者と

なる。つまり、労働力率は、生産年齢人口対比で労働市場に止まる割合を示

した概念で、就業者だけでなく失業者も含む。他方、就業率は、文字どおり、

就業者に限定したより狭い概念である。熊本県でも、結婚期や子育て初期に

失業者の多いことが読み取れる(p27)。

そうした失業の主因の一つは、ミスマッチと考えられる。実際に、当地の有

効求人場率を仔細にみると、地域や職種に起因したミスマッチの存在が示唆

される。地域的には、企業進出の目立つ菊池や熊本市内に比べ、阿蘇地区の

求人倍率が――1 倍を超えているものの――、相対的に低い(p28)。職種ごと

の求人倍率をみても、建設では 3.2 倍(原計数)、警備などの保安関連は 5.59

倍(同)に達している。その一方で、女性の求職が多いとみられる事務職は、

未だ 0.55 倍(同)といった低水準に止まっている。平たく整理すると、阿蘇

地区の求職者が、他地域の建設業や保安業に従事することで、一定の労働力

確保に繋がり得ることを含意している。当然、そこには様々なハードルがあ

り、容易なことではない。

―― なお、労働需要が強い場合、ミスマッチの有無に拘らず、就職率は上昇

する。熊本県でもそうした関係は確認される。もっとも、最近は、求人倍

率が上昇しているにも拘らず、就職率は上昇しておらず、震災後にミスマ

ッチが強まっていることが読み取れる(p29)。

改めて、熊本の 2015 年時点の女性の完全失業者を確認すると、近年の景気回

復を背景に、2010 年時点に比べ、はっきりと減少しているが、依然として各

年齢階層において、相応に残されている(p30 左)。各年代特有の失業事由に

焦点を当てた肌理細かな対応を進めることを通じ、労働力を確保する必要が

ある。

失業事由について、全国ベースでは、年齢別に集計されたデータがある(p30

9

右)。それによると、子育て世代とみられる 35~44 歳の層では、45~54 歳と

ともに、勤務時間や休日要因がネックとなっている様子が読み取れる。また、

25~34 歳の層でも、仕事の種類・内容に続き、勤務時間や休日要因が失業事

由となっている。つまり、家事や子育てと就労を両立することの難しさが、

ミスマッチ要因となり、意欲がありながらも、就労を阻んでいる状況が推し

量られる。

企業では近年、行政のサポートを得つつ、介護休暇や看護休暇の創設などを

通じ、就労継続を支援している(p31)。ただ、企業からの聞き取り情報では、

女性の就労継続に向けた取り組みには、業種・企業毎にかなりの差違が見受

けられる。女性の就労継続に向け、規模の小さい企業では、インフラや制度

面の整備が、難しい面もある。そこで、企業群、すなわち「グループ」で共

同し取り組むことも、検討に値するように映る。

―― なお、政府では、所謂「働き方改革」の中で、在宅勤務を含め、より

柔軟な勤務体制を構築することを促す構えにある。いずれにせよ、可能な

企業から、出来ることを迅速に取り組むことが肝要だと思われる。

○ 女性が就業することで、出生率が低下することはないか、との問題提起も時折、

耳にする。もっとも、幾つかのデータは女性の労働参加が、出産増加と両立するこ

とを示唆している。

女性の労働参加と合計特殊出生率の関係を、県単位のデータで検証すると、

正の相関関係が見て取れる(p32)。子育て費用を工面する必要が、就労を促

している面もあろう。他方、子育て世代の就労が進んでいることが、所得面

の不安を減じ、出産を促している可能性もある。因果関係は定かではないに

せよ、女性の就労増加は、妊娠・出産を妨げていないことが示唆される。

○ 女性の労働参加は、人手不足を部分的に補っていることは間違いない。ただ、現

状では様々な制約を背景に、女性はパートなど短時間労働者が多い。従って、就労

が増加している割に、マクロの総労働時間を引き上げることに寄与していない。「意

図せざる」短時間労働者については、税制を含め就労促進に向けた環境整備に努め、

その解消を図ることが望ましい。

全国ベースの統計で確認すると、女性の労働力率が急速に高まった 2013 年頃

から、「自分や家族の都合」を事由とした「意図せざる」短時間就業者が増え

ている(p33)。熊本県でも、短時間労働者が増加しており、全国と同様に、「自

分や家族の都合」で止む無くパートを選択している女性が増えていることが

示唆される。

―― 男性と女性の間には、労働時間、給与に格差がある(p34)。その主因の

10

一つに、女性にはパートが多いことが挙げられる。

(2)高齢者

○ 地方圏では、女性活用という点では、大都市圏に比べかなり進んできた。他方、

高齢者については、両者に大きな差異はなく、年金受給開始や定年退職年齢の引き

上げといった国の施策が推進力となり、就労者が増えてきた。実際に、多くの企業

が、定年を 60 歳としてきたところ、(期間の定めのある雇用契約を結び)非正規社

員として 65 歳までの雇用延長措置を設ける企業が、随分と増えてきた。企業とし

ても、人件費を切り下げた格好での再雇用となるため、比較的、受け入れやすい面

もあった。近年では、労働力確保や、次世代への技術やノウハウの伝承というニー

ズが強まっており、企業も積極的に高齢者を採用する傾向にある。

熊本県の高齢化率(総人口に占める 65 歳以上の割合)は、実人数が増加し、

県民人口が減少する下で、着実に上昇しており、2015 年の国勢調査では 28.9%

に達している(p35 左)。生産年齢人口(15~64 歳)が減少基調を強めている

ことを踏まえると、高齢者の活用は、労働力確保の上で不可欠となっている。

実際に、熊本県の 60 歳以上の就業者数は近年、はっきりと増加している(p35

右)。年齢構成をみると、2005⇒10 年にかけては 60~64 歳の就業が進み、2010

⇒15 年にかけては、60~64 歳だけでなく、65~69 歳の層でも就業が進んでい

る。このことからみても、当初、定年延長が契機となって進んだ高齢者の就

業は、人手確保や技術伝承の要請から、より高年齢のゾ-ンにまで拡がりつ

つ、一段の活用が進んでいることが確認される。

○ この先を展望すると、高齢者の就労ニーズは、労使双方で強まると予想される。

労働供給側では、寿命が長期化する中で老後の生活不安は高まる方向にあるほか、

社会参加へのニーズも強い。他方、労働需要側でも、生産年齢人口の減少を補い、

現場力を維持する観点から、引き続き高齢者雇用に関して前向きな姿勢を維持する

と予想される。

地方経済総合研究所のサーベイ調査で高齢者の就業意欲をみると、5 歳刻みで

70 歳くらいまでは、回答比率が高まっており、75 歳以降は、明確に減少して

いる(p36 左)。つまり、70 歳位までは、働きたいと考えている労働者が多い

ことが示唆される。現状、熊本県の企業の 70%超が、65 歳までは希望者を雇

い入れる制度を導入している。もっとも、70 歳までになると、2 割強に止ま

っている。

○ なお、健康寿命が伸びる方向にあるとはいえ、65 歳以上の就労継続を進める上で

は、健康面や労働災害防止への配慮をはじめ、従事させる仕事の割り当てには、各

11

現場で工夫を講じていく必要がある。

(3)外国人労働者

○ 近年、外国人労働者は、全国ベースで目立って増加している。グローバル化の

進展という潮流が根底にあるほか、外国人技能実習制度の拡充措置なども寄与した

とみられる。また、女性や高齢者の活用だけでは労働力が確保できないという事情

も、活用の推進力として作用したと考えられる。

ただ、外国人労働者の活用には、依然として業種や在留期間に制約があるほか、

コミュニケーションや、技術力、顧客の理解などへの懸念も根強く、多くの企業で

は、女性、高齢者対比で後順位に位置付けているように見受けられる。以下では、

熊本県の外国人労働者の実態を、データに基づき整理する。

熊本県の外国人労働者は、増加基調が続いており、2016 年には 6 千人を超え

た(p37)。ただ、福岡に比べれば、実数がかなり少ない上に、最近の増加率

も緩やかなものに止まっている。

―― 福岡で働く外国人労働者は、他の九州 6 県と沖縄の合計値に概ね匹敵す

る。全国的にも、外国人労働者は大都市圏に集まる傾向にある。これには、

在留期間が限られる中、外国人労働者が、好条件の企業に職を求めること

も、影響していると考えられる。

熊本県で従事する外国人労働者の業種をみると、農林業が 3 割を占め最も比

率が高い(p38 左)。続いて、製造業も――比率こそ幾分低下しているものの

――、引き続きシェアは 2 番目に高く、かつ実数でも増加している。ともに、

外国人技能実習制度のいわばコア業種であることが背景にあるとみられ、現

場での活用にも長年の蓄積が活かされている。ただ、近年、卸・小売業、宿

泊・飲食の増加が目立つほか、建設業でも活用が進むなど、外国人の活用に

は裾野の拡がりが見受けられる。

熊本県の外国人労働者の国籍をみると、近年、ベトナム人が急増しているほ

か、ネパール人やフィリピン人も、はっきりと増加している(p38 中)。一方

で、中国人は頭打ちになっている。本国での賃金上昇のほか、県内の企業が

ベトナム人の採用にシフトしていることが影響している、との声が聞かれる。

なお、ベトナム人の従事する業種は、農林業、製造業が多く、その 2 業種で 8

割超となっている(p38 右)。

○ 外国人労働者については、高度なスキルを有する人材を除けば、就労期間や業種

に制限があり、その範囲内での活用に限られる。全面的な労働市場の解放には、国

民的議論を待つ必要があり、本稿の分析対象を超えている。

12

そう指摘した上で、絶対的な人手不足、中でも就労環境の厳しい職場での構造的

不足などを考慮すると、法制度の範囲内で、外国人労働力を、より活用することが

事業継続の前提となる企業が増えると予想される。そうした観点からは、技能実習

生を組織的に雇用する窓口の整備に加え、留学生――わが国の社会慣習に馴染み、

高等教育を受けた人材――の就職を促すことなども、検討に値すると考えられる。

熊本県の留学生は近年、僅かに増加しているものの、福岡県に比べれば、絶

対数も少なく、伸び率も低い(p39)。近隣県と比較すると、大分県に比べて

もその約 1/4、長崎県対比でも 1/2 程度の水準に止まっている。そうした下で、

留学生の就労もごく限定的になっている。九州全体でみると、留学後に就職

する比率が低く、九州圏外に流出していることも確認される。

九州経済産業局のサーベイ調査――2010 年とやや古いデータにはなるが――

によると、留学生のわが国への就労希望は相応に多い(p40)。業務内容やア

ジアとの繋がりを重視する傾向にもあるため、よりアプローチを強めること

で、留学生を確保し得ることが示唆される。

4. 人手不足の克服に向けた取り組みの方向性

○ 当面の復旧・復興に向けた人手不足については、県外からの労働力確保に加え、

現場での創意工夫、更には、行政による規制緩和などを通じ、対応するほかない。

―― 震災後、災害廃棄物などの処理に関する規制が一部緩和されており、引き続き、

官民が協力し、「県民の生活再建ファースト」を目指し、出来得る最大の措置を

講じてくことが求められる。

○ その上で、中長期的な観点から、如何に労働力を確保するか、の検討・方策を並

行して進める必要がある。ただ、わが国全体でみて、労働供給の拡大には自ずと制

約もあることから、労働需要を引き下げるような対策も同時に進めることが肝要で

ある(p41)。以下では、労働供給、需要双方の順で検討を進める。

(1)供給面の掘り起こし①:女性、高齢者、外国人労働者の一層の活用

○ 企業は、労働力不足に直面する中で、これまでも女性、高齢者、外国人労働者の

順で、その活用を進めてきているが、この先も一層の掘り起こしが必要となる。

○ 確かに、それぞれの属性で、なお活用の余地は残されている。ただ、同時に、様々

な制約があり、就業が妨げられている面も少なからずある。行政にも働きかけつつ、

女性や高齢者、外国人労働者の一層の活用に向けて、就労環境の整備に努める必要

がある。既に、幾つかの企業では、処遇改善のほか、職場環境の整備にも取り組ん

でいる。今後も、女性でいえば育児・介護への配慮、女性・高齢者共通に該当する

13

点として、柔軟な勤務体制やその属性に見合った仕事の割り当てなどが必要となっ

てくる。

○ 外国人については、現状、如何にアクセスするかという課題もある。同時に、農

林業や製造業に比べ、建設業やサービス業では、その活用が遅れている。介護など

の職種には規制の問題はあるにせよ、企業からの聞き取り調査では、経営者の間で、

言語(=コミュニケーション)の問題や安全性、作業の丁寧さなどへの根強い懸念

が、採用を躊躇させている面がある。職業訓練の充実を進めるとともに、如何に外

国人労働力を活用するかの視点に立ち、受け入れる側の職場で体制を整備すること

も大事である。

(2)供給面の掘り起こし②:県外就職の抑制

○ わが国では、新卒一括採用と終身雇用に特徴付けられた雇用形態が――幾分変

化はしてきたが――、なお維持されている。従って、新卒の県外就職を如何に喰い

止めるかは、労働力の確保にとって、大変重要となる。というのも、就職した地域

で世帯を形成し、子女を就学させ始めると、I ターンの可能性が大きく減じる。換

言すれば、当地の人口減の根底には、就職・進学の際の継続的な県外流出がある。

では、それを喰い止める方策はあるだろうか。誤解を恐れず記すと、完全には無

くならず、又すべきでもない。というのも、県外への就職を選ぶ判断基準は、個々

人それぞれであり、特定することは難しい。その上で、可能性のある要因の第 1 は、

規模の大きい企業への憧れや安定性の重視であり、第 2 は――第 1 の点とも関係す

るが――期待される生涯所得の高さである4。第 3 に、地元企業の認知度の低さも

影響している。第 1、第 2 の点に関しては、給与面での処遇改善、第 3 に関しては、

学生への認知度向上に向け、企業説明会やイベントの場での就業体験など様々な格

好でアプローチを強める必要がある。

学生の就職志向に関し、全国の学生を対象としたマイナビの調査を手掛かり

にすると、地元で就職しない理由としては、「志望企業がない」や「都会の方

が便利」、「実家を離れたい」、「地域にとらわれたくない」などの理由が多い

(p42)。他方で、「給料が安い」とする回答は意外にも少ない。ただ、地元に

就職するとすればその条件は何かとの問いには、「働きたい企業ができる」、

「給料が良い就職先ができる」との回答が最も多い。

所定内給与の水準を横軸に、社会増減を縦軸として、都道府県のデータをプ

ロットすると、右上がりの傾向線が確認される(p43)。つまり、給与水準の

4 外国人労働者についても、在留期間が限られている以上、賃金水準を重視して、就職先を決

める傾向にあるとしても、不思議ではない。

14

高い地域ほど、転入超ないしは転出超が少ない傾向が見て取れる。この関係

は、横軸を最低賃金にしても、変わらない。当地を含めた地方圏では、給与

ないし賃金水準が低いことが、社会減の主因の一つであることが読み取れる。

熊本県からの転出先は、東京のほか、福岡が多い。福岡や東京と熊本間の所

得格差は、過去 15 年間、ほぼ横ばいが続いており、縮小していない(p45 右)。

○ 県外への就職を選ぶ判断基準に所得が影響している蓋然性は高い。であれば、

その効果は不確実ながら、所得格差を埋めることも県内での労働力確保にとって、

一つの方策になる5。例えば、学生にとって、分かり易い初任給の引き上げを進め

ることも、学生への PR という点で、一定の効果が期待できる。

大卒の初任給を他の都道府県と比較すると、当地は下位グループに属してい

る(p45 左)。

最低賃金をみても、九州各県は上昇傾向にあるものの、全国と比較すると、

その水準は低い(p47)。

近年、熊本県のベースアップ率も上昇しているものの、全国に比べ伸び悩ん

でいる。県内企業の中には、積極的に賃上げを進める先もみられているが、

企業の聞き取り調査からは、拡がりは見受けられない。企業経営者の間では、

横並び意識であったり、生産性の改善が先との見解が強く、人材確保のため

の賃上げという意識はなお低い。実際には、労働需給の逼迫はパートやアル

バイトなどエントリーレベルの賃金には反映されているものの、正社員全般

の給与改善には、さほど繋がっていない。バブル崩壊後、企業は固定費率の

上昇に苦しめられてきたことが遠因となっており、業績と処遇の連動意識を

強める中、賞与での還元を一義的に考える傾向にある。この点、絶対的な人

手不足を踏まえ、囲い込みを企図した賃金政策に逸早く舵を切ることも検討

に値する。

(3)供給面の掘り起こし③:UIJ ターンの促進

○ 若年層の県外流出については、対策を講じれば一定程度、抑制することは可能

とみられる。ただ、当地に限らず、就職機会の多さや期待所得だけでなく、“刺激”

や文化的イベントなど大都市圏には、人を呼び集める魅力が多く、自ずと限界も

ある。

もっとも、故郷を離れ就職した全ての就労者が、大都市圏で馴染めている訳で

も満足していることもない。また、両親の介護をはじめとする家庭の事情や、リ 5 就職選択にも、ある程度のホームバイアスがあると考えられる。加えて、名目所得ではなく、

地価でデフレートした場合の実質所得の格差に着目すれば、(名目の)所得格差をゼロにする

必要は必ずしもない。

15

タイアし子女が巣立ったのちに帰郷希望を有する者など、I ターンニーズは常に存

在する。こうしたニーズを地元企業とマッチングすることが出来れば、流出した

労働力を再び取り戻し、一部ではあるが働き手の確保に繋がる。

厚生労働省の調査によると、近年、新卒就職者の 3年以内での早期離職率が、

高卒で 4 割、大卒で 3 割に達している(p48)。再チャレンジに向け、故郷で

の再就職を希望する若年層を、取り込む余地は大きいように映る。

「ふるさと回帰支援センター」のデータによると、UIJ ターンの潜在的ニー

ズが増えていることが示唆される(p49)。その年齢構成比をみると、30~39

歳が一番多いほか、近年、シェアを高めているのは、29 歳以下となってい

る。若年層のニーズも相応に大きいことが読み取れる。

他県との競争環境は厳しいものの、UIJ ターン先としての移住希望地をみる

と、九州各県は相対的に支持されているように映る(p50)。

○ ここまで論じてきた労働力確保の方策に関しては、既に、熊本県が様々な方策

を講じている(p51)。一つひとつの施策の効果は不確かではあるが、粘り強く取り

組むことが肝要である。

(4)労働需要の削減:業務プロセスの改革、無駄な事業、仕事の見直し

○ 労働供給面での掘り起こしだけでは、労働市場の需給バランスを改善させること

は、難しい。自然減が反転する公算は限りなく小さいほか、社会減についても、そ

のテンポは緩和させ得るとしても、増加に転じることは、過去 20 年のトラックレ

コードが示すように容易ではない。

熊本県の人口ピラミッドをみると、今後は、退職者の補充がままならなくな

る様子が読み取れる(p52)。賃金の引き上げをはじめ各種の施策を講じ、囲

い込みを図ることが、経営戦略の一つとして意識されるべき時代を迎えてい

る。

なお、当地の社会増減は全国の景気が回復し有効求人倍率が上昇する局面で

社会減が拡大する(p53)。皮肉にも、現状では、景気の悪化という企業経営

者が望まない状況でしか、社会減を縮小させ得ないことを示唆している。

○ 従って、労働供給を増やすための方策を講じると同時に、労働需要を抑制するこ

とへの取り組みも併せて、進めていく必要がある。

第 1 は、業務プロセスの改革。アウトソースの活用、事業再編やコア業務へ

の絞り込み、拠点の再編、他社との提携、会議の見直しや内部管理の合理化

など大小、多岐に亘る。その際、ICT を活用することは言うまでもない。

16

第 2 は、過剰ないし無駄なサービスの見直し。質的な差別化が難しく、価格

競争も厳しい中で、わが国のサービス提供者の中には、付加的なサービスを

無償で提供する面があり、そのことが、労働需要を増やしてきた側面がある。

こうしたビジネスモデルは、労働力が豊富であることが前提となっている。

環境の変化を踏まえると、サービスの見直しや対価の徴求を求めることを考

えていく必要があろう。

第 3 は、省力化・省人化投資。他社の事例から学び、行政の支援を得ながら、

着実に進めることが大事となっている。

(おわりに)

○ 本稿では、現下の強い人手不足は復旧・復興需要が一巡したとしても、解消する

可能性が低いことを、少子高齢化の影響や若年層の県外流出に焦点を当て論じてき

た。

その上で、労働供給の掘り起こし、労働需要の抑制への取り組みを、官民合わせ

総力戦で迅速に取り組む必要性を指摘した。

○ 以上のような取り組みは、労働生産性を引き上げる方向に働く。県人口の減少が

避けられない中、生産性を高めなければ、経済は停滞する。この点、1990 年代半ば

以降、当地の労働生産性は伸び悩んでいる(p54)。経営、現場双方でイノベーショ

ンを生み出すことで、この状況を抜け出すことが必要である。労働力不足は深刻で

あり政策対応にも限外がある。ただ、その不足が契機となって、新たなイノベーシ

ョンが生まれる面もある。

本稿に引き付けて例示すると、女性、高齢者および外国人労働者に関するこれま

での活用の多くは、不足する労働力をどう補うかの視点に偏重していたような印象

を受ける。むしろ、今後は、それぞれの属性が有する能力を最大限活かす質的な意

味での“真の活用”を考慮することが肝要であり、そうした取り組み姿勢が生産性

の向上をもたらす。

経営を巡る事業環境は、年々厳しさを増しており、その中でも働き手不足は事業

継続の帰趨にも直結する大きな課題である。震災を経て、企業間の連携、絆は深ま

ったように感じる。個々の企業では難しい取り組みもあるので、企業群、すなわち

グループで困難な状況に取り組み、そこに行政のサポートが加わるような構図が望

まれる。

以 上

本稿に関するお問い合わせは、日本銀行熊本支店総務課(電話 096-359-9501)までお願いします。

本稿の内容について、商用目的で転載・複製を行う場合は、予め日本銀行熊本支店(上記連絡先)まで

ご相談ください。そのうえで転載・複製を行う場合は、出所を明記してください。

当地における人手不足の現状と課題~ 熊本地震関連 特別レポート VOL.2 ~

日本銀行 熊本支店2017年4月28日

本稿の内容について、商用目的で転載・複製を行う場合(引用は含まれません)は、予め日本銀行熊本支店までご相談ください(096-359-9501)。引用・

転載・複製を行う場合は、出所を明記してください。

日本銀行 熊本支店は、本年8月1日に開設100周年を迎えます

1. 人手不足の現状

1

(注) 季節調整値。新規学卒者を除きパートタイムを含む。(出所) 熊本労働局、厚生労働省

<有効求人倍率> <地域別の有効求人倍率>

2

有効求人倍率(1):全国を上回る水準で、既往ピークを更新

(季調値) 2016年3月 2017年3月

熊本県 1.22 1.54

福岡県 1.27 1.41

大分県 1.11 1.36

鹿児島県 0.94 1.12

九州 1.13 1.29

全国 1.30 1.45

(原計数) 2016年3月 2017年3月

熊本地区 1.36 1.72

上益城 1.00 1.48

菊池 1.39 1.69

宇城 1.40 1.89

阿蘇 1.36 1.16

天草 0.95 1.19

八代 1.31 1.67

0.20

0.40

0.60

0.80

1.00

1.20

1.40

1.60

1.80

05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17

(倍)

(年)

熊本

全国

九州

直近:17/3月

▲ 0.06

▲ 0.04

▲ 0.02

0.00

0.02

0.04

0.06

0.08

0.10

0.12

15/1 3 5 7 9 11 16/1 3 5 7 9 11 17/1 3

求職要因

求人要因

有効求人倍率前月差

(前月差、ポイント)

(月)

直近17/3月(注) 季節調整値。新規学卒者を除きパートタイムを含む。(出所) 熊本労働局、厚生労働省

<熊本県の求人数と求職者数> <熊本県の有効求人倍率の変動要因>

3

有効求人倍率(2):求人の増加と求職の減少

震災後

10,000

20,000

30,000

40,000

50,000

08/1 7 09/1 7 10/1 7 11/1 7 12/1 7 13/1 7 14/1 7 15/1 7 16/1 7 17/1

有効求人数

有効求職者数

(人)

(月)

直近17/3月

▲ 9.7

▲ 30.0

▲ 20.0

▲ 10.0

0.0

10.0

20.0

30.0

15/1 3 5 7 9 11 16/1 3 5 7 9 11 17/1 3

(前年比、%)

(月)

その他(定年など)

事業主都合

自己都合

離職者数(前年比)

直近17/3月

震災の影響:阿蘇では、直後から秋口まで、失業者が増加

<県内の離職者数> <雇用保険の受給資格決定件数(地域別)>

4

(注1)左図は、離職者、右図は、離職者のうち、雇用保険の受給申請を行い、受給が決定した件数を表す。(注2)左図の離職者は、常用的フルタイム(季節・臨時雇用を除くフルタイム労働者)の数値。

(出所)熊本労働局

▲ 100.0

▲ 50.0

0.0

50.0

100.0

150.0

200.0

250.0

300.0

350.0

15/1 3 5 7 9 11 16/1 3 5 7 9 11 17/1 3

(前年比、%)

(月)

阿蘇

上益城

熊本地区

菊池

直近17/3月

17/3月の受給資格決定件数:

2,030件(前年比▲0.3%)

5

<正社員の有効求人倍率(熊本)> <パートの有効求人倍率(熊本) >

(注) いずれも原数値。正社員の有効求人倍率は、正社員の有効求人数/常用フルタイムの有効求職者数で、算出。(出所)熊本労働局

有効求人倍率(3):パートだけでなく、正社員の求人も増加

0.40

0.60

0.80

1.00

1.20

1.40

1.60

1.80

4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3

(倍)

(月)

2016年度

2015年度

2014年度

0.40

0.60

0.80

1.00

1.20

1.40

1.60

1.80

4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3

(倍)

(月)

(注1) 原数値。新規学卒者を除きパートタイムを含む。(注2) 業種別の新規求人数は、主要業種のみ。(出所) 熊本労働局

<熊本県の新規求人数(業種別)> <熊本県の有効求人倍率(業種別)>

6

有効求人倍率(4):震災後は建設、製造、運輸業で求人増加

▲ 15.0

▲ 10.0

▲ 5.0

0.0

5.0

10.0

15.0

20.0

25.0

30.0

14/1 3 5 7 9 11 15/1 3 5 7 9 11 16/1 3 5 7 9 11 17/1 3

(%)

製造業 建設業

運輸業、郵便業 卸売業、小売業

宿泊業、飲食サービス業 医療、福祉

その他サービス業 新規求人計(前年比)

(月)直近17/3月

0.80

1.30

1.80

2.30

2.80

3.30

3.80

2014/4 7 10 15/1 4 7 10 16/1 4 7 10 17/1

全職業計

建設関連業

輸送・機械運転業

(月)直近17/3月

(倍)

全国の労働市場(1):近年、目立つ建設業の人手不足

(注)「過剰」と答えた企業の割合(%)から、「不足」と答えた企業の割合(%)を引いたもの。(出所)中小企業庁・(独)中小企業基盤整備機構「中小企業景況調査」

過剰

不足

<業種別の従業員過不足判断D.I.(全国) :「過剰」-「不足」>

7

▲ 100

▲ 80

▲ 60

▲ 40

▲ 20

0

20

40

60

80

100

83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17

(%ポイント)

(年)

大企業

中堅企業

中小企業

▲ 100

▲ 80

▲ 60

▲ 40

▲ 20

0

20

40

60

80

100

83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17

(%ポイント)

(年)

大企業

中堅企業

中小企業

建設、不動産業の業況:バブル期以来の好調さ<全国短観・建設業の業況判断 D.I. :「良い」-「悪い」>

(注1)直近(17/3月)の調査対象企業数は10,799社。(注2)シャドー部分は景気後退局面。(出所)日本銀行

<全国短観・不動産業の業況判断D.I.: 「良い」-「悪い」>

「良い」超

「悪い」超

「良い」超

「悪い」超

予測

予測

8

▲ 50

▲ 40

▲ 30

▲ 20

▲ 10

0

10

20

30

40

50

01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17

(%ポイント)

予測

全産業

製造業

非製造業

「過剰」超

「不足」超

3月熊本短観・雇用判断D.I.:企業の強い人手不足感<熊本短観・雇用判断D.I.(全産業、製造業、非製造業別)>

9(注) 2017年6月は予測。回答企業数は、151社。(出所) 日本銀行熊本支店

製造業 非製造業 全産業

2016年3月 ▲7 ▲30 ▲22

2017年3月 ▲33 ▲42 ▲38

全国の労働市場(2):バブル期以来の強い人手不足感

<全国短観・雇用人員判断D.I. :「過剰」-「不足」>

(注1)直近(17/3月)の調査対象企業数は10,799社。(注2)シャドー部分は景気後退局面。(出所)日本銀行

「過剰」超

「不足」超

10

新卒採用計画:旺盛な採用意欲の一方、実績は減少基調

11

<県内の新卒採用計画> <新卒の採用実績(短観)>

▲ 40

▲ 30

▲ 20

▲ 10

0

10

20

30

40

88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16(年度)

全国

熊本

(前年度比、%)

(注) 回答企業数は、約330社。(出所) 地方経済総合研究所「新卒者採用動向調査」

(注1) 熊本の回答企業数は、151社。(注2) 2016年度は、実績見込み。(出所) 日本銀行

37.4

25.5

14.0

13.4

38.1

47.1

41.9

40.1

4.8

4.6

10.3

9.9

0 20 40 60 80 100

18

17

16

2015

(%)

増やす 前年並み 減らす 未定、計画なし

(出所)熊本県中小企業家同友会「熊本同友会景況調査報告」

熊本の経営者が直面する課題:人手の確保、人件費の上昇<中小企業が直面する経営上の課題(熊本)>

(注) 各年、10-12月期調査。回答企業数は、187社。12

0.0

10.0

20.0

30.0

40.0

50.0

60.0

70.0

2006 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16

(回答率%)

(年)

売上の減少

従業員の不足

価格競争の激化

人件費の増加

2. 人手不足の構造要因~ 若年層を中心とする社会減 ~

13

熊本県の人口:自然減と社会減

14(注)日本人のみの値。(出所)総務省「人口推計」

<熊本県の人口動態:自然増減と社会増減の内訳>

1,700

1,720

1,740

1,760

1,780

1,800

1,820

1,840

1,860

1,880

▲ 14,000

▲ 12,000

▲ 10,000

▲ 8,000

▲ 6,000

▲ 4,000

▲ 2,000

0

2,000

4,000

1996 97 98 99 2000 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16

(千人)(人)

(年)

社会増減

自然増減

人口増減

総人口(右目盛)

自然減の背景:出生率の伸び悩み、未婚率の上昇と晩婚化

15

14.4

21.7

0

5

10

15

20

25

1960 70 80 90 00 05 10 15

(%)

(年)

未婚率(女)

〃 (男)

29.0

30.3

24

26

28

30

32

1960 70 80 90 00 05 10 15

(歳)

(年)

初婚年齢(女)

〃 (男)

(注)生涯未婚率は、45~49歳の未婚率と50~54歳の未婚率の平均値であり、50歳時の未婚率を指す。(出所)国立社会保障・人口問題研究所

<合計特殊出生率> <熊本県の生涯未婚率(上段)と初婚年齢(下段)>

1.45

1.68

1.0

1.2

1.4

1.6

1.8

2.0

2.2

2.4

1960 65 70 75 80 85 90 95 00 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15(年)

全国

熊本

2016

沖縄 1.96

島根 1.78

鹿児島 1.70

宮崎 1.70

熊本 1.68

74,324

21,702

16,093

13,163

8,968

2,549404

▲ 670▲ 2,146 ▲ 2,533

▲ 3,955 ▲ 3,991▲ 5,766

▲ 6,935▲ 10,000

▲ 5,000

0

5,000

10,000

15,000

20,000

25,000

30,000

35,000

東京都

埼玉県

神奈川県

千葉県

愛知県

福岡県

大阪府

沖縄県

佐賀県

大分県

鹿児島県

宮崎県

長崎県

熊本県

65歳~

15~64歳

0~14歳

転入超過数

85,000

80,000

75,000

震災後の人口流出(1):2016年は県外転出者が大幅増

16

<都道府県別転入・転出者数(2016年)>

(注)▲は転出超過。外国人移動者を含む。(出所)総務省「住民基本台帳人口移動報告」

転入超過

転出超過

福岡 1,013

沖縄 ▲92

大分 ▲2,500

佐賀 ▲2,722

宮崎 ▲3,331

熊本 ▲4,118

鹿児島 ▲4,709

長崎 ▲6,266

< 2015年の計数>

▲ 2,683▲ 3,002

▲ 4,118

▲ 6,935▲7,500

▲6,500

▲5,500

▲4,500

▲3,500

▲2,500

▲1,500

▲500

500

2013 14 15 16(年)

(人)

▲ 206

▲ 173

▲ 2,238

▲ 1,706

▲ 1,335

▲ 996

▲ 86

▲ 391

▲ 224

2108 115

▲2,500

▲2,000

▲1,500

▲1,000

▲500

0

500

2016/1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12(月)

(人)

(注) ▲は転出超過。外国人移動者を含む。ただし、右図の転出先別の転出者数は、日本人移動者のみの値。(出所) 総務省「住民基本台帳人口移動報告」

転入超過

転出超過

<熊本県の人口動態・社会増減(暦年、月次)>

震災後の人口流出(2):福岡、東京、鹿児島などへの転出

16/5~12月計の転出者数(人)(転出先別 上位10都道府県)

福岡県 4,591東京都 1,384

鹿児島県 1,162宮崎県 801長崎県 790大分県 762

神奈川県 759大阪府 684愛知県 524埼玉県 454

17

▲ 20,221

▲ 15,379

▲ 10,546

▲ 41,226

▲ 10,159

▲ 2,975 ▲ 2,744

▲ 6,149

▲45,000

▲40,000

▲35,000

▲30,000

▲25,000

▲20,000

▲15,000

▲10,000

▲5,000

0

2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015(年)

(人)

震災後の人口流出(3):阪神・淡路大震災、東日本大震災時も人口は流出

<兵庫県の人口動態・社会増減(暦年)>

(注)▲は転出超過。外国人移動者を含む。(出所)総務省「住民基本台帳人口移動報告」

転入超過

転出超過

転入超過

転出超過

<東北3県(岩手、宮城、福島県)の人口動態・社会増減(暦年) >

11,087 11,870 10,416

▲ 59,626

4,694

9,907 11,658 10,860

2,310

▲70,000

▲60,000

▲50,000

▲40,000

▲30,000

▲20,000

▲10,000

0

10,000

20,000

1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000(年)

(人)

18

2.88

1.60

0.0

0.5

1.0

1.5

2.0

2.5

3.0

1992 94 96 98 2000 02 04 06 08 10 12 14 16

(倍)

(年度)

高卒求人倍率

有効求人倍率

若年層の県外流出(1):高い県外就職率(高卒)

<九州各県の県外就職率(16年高卒)> <県内の高卒求人倍率、有効求人倍率>

(注) 2016年3月末時点。 (注)いずれも原数値、3月末時点。(出所) 文部科学省「高等学校卒業(予定)者の就職(内定)状況に関する調査」 (出所)熊本労働局 19

42.1

0.0

5.0

10.0

15.0

20.0

25.0

30.0

35.0

40.0

45.0

50.0

鹿児島

(%)

全国平均:19.0%

<県内高卒求人倍率>3月末時点:2.88倍

昨年同時期:2.47倍

<17年春卒業者の県外就職内定率>

3月末時点:47.4%昨年同時期:48.1%

若年層の県外流出(2) :就職の7割が九州域内、うち熊本に6割弱

20

<熊本県の高校卒業後の進路> <県内高卒の県内・域内就職率、九州各県との比較(2016年卒)>

50.0

55.0

60.0

65.0

70.0

75.0

2007 08 09 10 11 12 13 14 15 16

(%)

(年卒)

域内就職率

県内就職率

57.5

69.3

30.0

40.0

50.0

60.0

70.0

80.0

90.0

大分

福岡

長崎

佐賀

熊本

宮崎

鹿児島

(%)

県内就職率

域内就職率

域内就職率平均:74.3%

(注)左図の進路には、「大学・短期大学進学」、「就職」の他に、「専修学校(専門課程)進学者」、「専修学校(一般課程)進学者」、「公共職業能力開発施設等入学者」、「一時的な仕事についた者」、「左記以外の者」、「不詳・死亡」がある。

(出所)文部科学省「学校基本調査」

20.0

25.0

30.0

35.0

40.0

45.0

50.0

2008 09 10 11 12 13 14 15 16

(%)

(年)

大学・短期大学進学

就職

若年層の県外流出(3) :県外への大学進学

21

<地元大学進学率(16年卒)> <出身地を離れたきっかけ、理由(全国)>

(注) 右図は、2016年調査。対象は、全国の出身地外の居住者。複数回答、N=1,933。(出所)文部科学省「学校基本調査」、労働政策研究・研修機構「UIJターンの促進・支援と地方の活性化」

45.0

0.0

10.0

20.0

30.0

40.0

50.0

60.0

70.0

80.0

愛知県

北海道

東京都

福岡県

宮城県

熊本県

長崎県

鹿児島県

宮崎県

大分県

島根県

奈良県

佐賀県

鳥取県

和歌山県

(%)

11位

全国平均:32.9%

域内進学率:74.3%

0 10 20 30 40 50 60

転勤

結婚

転職

高校進学

短大・高専進学

実家の都合

専門学校の進学

就職

大学・大学院進学

(%)

0 10 20 30 40

地元以外の土地で生活したい

いい大学に進学したい

都会で生活したい

地元から通える進学先がない

親元を離れたい

希望する学校がない

(%)

若年層の県外流出(4) :県内大卒の県外への就職

22

<大卒の県外就職率(熊本)> <九州国公立大学の県外就職率>

65.8

57.0

56.7

48.2

47.0

43.5

38.5

30.0

53.5

0.0 20.0 40.0 60.0 80.0

北九州市立大学

佐賀大学

宮崎大学

長崎大学

大分大学

熊本大学

鹿児島大学

琉球大学

(%)

実績(2014年度)

目標(2019年度)

(出所)熊本県、九州経済調査協会「九州経済白書」

3. 女性、高齢者、外国人活用の実態

23

女性活用の実態(1):子育て世代の高い有業率

(注1)末子が5歳以下の20~49歳層を子育て世代としている。(注2)子育て世代の女性の有業率は、子育て世代のうち、「夫婦と子供から成る世帯」「夫婦、子供と両親から成る世帯」

「夫婦子供とひとり親から成る世帯」「母子世帯」のいずれかに属する女性の有業率。(出所)「2012年就業構造基本調査」を基に厚生労働省が調査・作成。

<子育て世代の有業率:都道府県別比較>

24

63%

30

40

50

60

70

80

島根県

福井県

山形県

鳥取県

秋田県

石川県

高知県

宮崎県

富山県

青森県

熊本県

岩手県

沖縄県

新潟県

佐賀県

山梨県

群馬県

香川県

徳島県

鹿児島県

長崎県

長野県

福島県

三重県

大分県

愛媛県

岡山県

栃木県

岐阜県

静岡県

福岡県

山口県

広島県

宮城県

茨城県

和歌山県

京都府

東京都

愛知県

滋賀県

北海道

奈良県

千葉県

大阪府

埼玉県

神奈川県

兵庫県

(%)

全国平均:48.6%

女性活用の実態(2):女性労働力率の上昇

(出所)総務省「国勢調査」

<労働力率(熊本)> <労働力率(全国)>

25

44

46

48

50

52

54

70

72

74

76

78

80

85 90 95 00 05 10 15

労働力率(男性、左目盛)

労働力率(女性、右目盛)

(季節調整済、%) (季節調整済、%)

年48.5

49

49.5

50

50.5

51

68

69

70

71

72

73

74

75

76

77

78

1980 85 90 95 00 05 10 15

(%)(%)

(年)

労働力率<男性>

労働力率<女性>(右目盛)

女性活用の実態(3):M字カーブは、ほぼ解消

26

<熊本県と全国の年齢階層別の女性の労働参加率(M字カーブ)>

(出所)総務省「国勢調査」

M字カーブ

女性の労働力率=15歳以上人口に占める労働力人口(就業者+完全失業者)の割合。

結婚・出産期に当たる年代に一旦低下し、育児が落ち着いた時期に再び上昇するという、いわゆるM字カーブを描くことが知られている。

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

15~19歳 20~24歳 25~29歳 30~34歳 35~39歳 40~44歳 45~49歳 50~54歳 55~59歳 60~64歳 65歳以上

2015年<熊本県>

2005年<熊本県>

2015年<全国>

2005年<全国>

(%)

0.0

10.0

20.0

30.0

40.0

50.0

60.0

70.0

80.0

90.0

15~19歳 20~24歳 25~29歳 30~34歳 35~39歳 40~44歳 45~49歳 50~54歳 55~59歳 60~64歳 65歳以上

(%)

労働力率

就業率

女性活用の実態(4):子育て世代に存在する失業者

27

<熊本県の女性の年齢階級別の就業率と労働力率(2015年)>

完全失業者

(出所)総務省「国勢調査」

0.0 20.0 40.0 60.0 80.0 100.0

求職

求人

(%)

事務

運搬・清掃等

サービス

生産工程

専門・技術

建設関連

その他

28

<地域別の有効求人倍率> <職種別の有効求人倍率>

労働市場のミスマッチ(1):地域と職種のミスマッチ

(職種) 2016年3月 2017年3月

事務 0.46 0.55

運搬・清掃等 0.92 1.25

サービス 2.41 2.76

生産工程 1.97 2.80

専門・技術 1.66 1.90

建設関連 1.79 3.20

保安 3.82 5.59

販売 1.36 1.71

(注) 原数値。(出所) 熊本労働局

(注) 原数値。下段図表は、16/5~17/3月までの累計有効求人件数・求職者数から職種別のシェアを算出。

(出所)熊本労働局

0.40

0.60

0.80

1.00

1.20

1.40

1.60

1.80

2.00

2.20

14/1 4 7 10 15/1 4 7 10 16/1 4 7 10 17/1

(倍)

(月)

熊本

上益城

阿蘇

菊池

直近:17/3月

0.20

0.40

0.60

0.80

1.00

1.20

1.40

1.60

1.80

16/1 3 5 7 9 11 17/1 3

(倍)

(月)

労働市場のミスマッチ(2):震災後のミスマッチの拡大

29

<有効求人倍率と就職率(熊本)>

(注) いずれも原数値。就職率=(就職件数/新規求職申込件数×100)。左図は、3か月後方移動平均。(出所) 熊本労働局

直近17/3月

20.0

25.0

30.0

35.0

40.0

45.0

50.0

55.0

60.0

05/1 7 06/1 7 07/1 7 08/1 7 09/1 7 10/1 7 11/1 7 12/1 7 13/1 7 14/1 7 15/1 7

(%)

(月)

就職率

有効求人倍率(右目盛)

女性活用に向けた方策(1):柔軟な雇用制度

30

35.7 33.3

20.0 23.5 15.4

14.3 19.0 35.0 29.4

15.4

7.1 9.5

10.0 5.9

7.7

5.0 17.6

30.8

7.1

9.5

5.0

5.9

7.7

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

100

15~24歳 25~34歳 35~44歳 45~54歳 55~64歳

(%)

その他

技術、技能要因

年齢要因

賃金・給料要因

勤務時間・休日要因

仕事の種類・内容要因

<女性の完全失業者数(熊本)> <女性の完全失業者が就業できない理由(全国)>

15.3

24.6

20.7

18.8

15.9

4.7

0

3,000

6,000

9,000

12,000

15,000

18,000

21,000

1980 85 90 95 00 05 10 15

(人)

(年)

65歳以上

55~64歳45~54歳35~44歳25~34歳15~24歳

(出所)総務省「国勢調査」、同「労働力調査」

女性活用に向けた方策(2):ワークライフバランスの確保

31

<熊本県のワークライフバランス認知状況> <熊本県の企業の具体的な取り組み>

(注) 2016年調査、回答事業所数は、1,123。

(出所) 熊本県

(注1) 回答事業所数は、2015年は1,118、2016年は、1,123。(注2) 複数回答可。(出所) 熊本県

0 10 20 30 40 50 60

介護に関する経済的支援

事業所内保育施設の設置

育児に関する経済的支援

復職支援

子供の看護休暇

介護休業

育児休業

(%)

2016年

2015年

(注) いずれも、2015年。労働力率は、抽出速報値ベース。

(出所)総務省

女性の労働参加と出産:労働参加と出産に関する相関

32

<女性の労働参加と合計特殊出生率>

秋田県

東京都

愛知県

大阪府

鳥取県

福岡県

佐賀県

長崎県 熊本県

大分県

宮崎県鹿児島県

沖縄県

1.2

1.3

1.4

1.5

1.6

1.7

1.8

1.9

2.0

65.0 70.0 75.0 80.0 85.0 90.0

合計特殊出生率

30~44歳女性の労働力率

(人)

(%)

30

50

70

90

110

130

150

170

140

160

180

200

220

240

260

280

02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16

「自分や家族の都合」による

短時間就業者

うち出産・育児のため

(右目盛)

(季節調整済、万人) (季節調整済、万人)

(出所)厚生労働省

女性活用の課題(1):短時間労働者の増加

33

<女性の短時間労働者(全国)> < 同 (熊本)>

25

29

33

37

41

45

4

5

6

7

8

9

2005 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16

(%)(万人)

(年)

短時間労働者

常用労働者に占める割合(右目盛)

(注) 事業所規模10人以上。短時間労働者を除く。(出所)厚生労働省「賃金構造統計調査」

女性活用の課題(2):男女間の労働時間、給与水準の格差

34

<総実労働時間> <所定内給与>

(注) 事業所規模30人以上。パートタイムを含む。(出所) 厚生労働省「毎月勤労統計調査」

130

140

150

160

170

2006 07 08 09 10 11 12 13 14 15

(時間/月)

(年)

全国(男)

全国(女)

熊本(男)

熊本(女)

190

210

230

250

270

290

310

330

350

2008 09 10 11 12 13 14 15 16

(千円)

(年)

全国(男)全国(女)熊本(男)熊本(女)

高齢者雇用の実態:70歳未満の就業比率が徐々に上昇

<年齢階級別人口(熊本県)> <熊本県の60歳以上の就業状況>

35

10.0

16.0

22.0

28.0

34.0

40.0

0

200

400

600

800

1,000

1,200

1,400

1,600

1,800

2,000

1975 80 85 90 95 2000 05 10 15 20 25 30 35 40

(%)(千人)

(年)

0~14 15~64 65~ 高齢化率(右目盛)

予測

(出所)総務省「国勢調査」、国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口」

0

4

8

12

16

20

24

10.0

20.0

30.0

40.0

50.0

60.0

70.0

1985 90 95 00 05 10 15

(万人)(%)

(年)

就業者数(右目盛)

60~64歳就業率

65~69歳 〃

70歳以上 〃

(注1)31人以上規模企業の状況。(注2)2013年に制度改正があったため、それ以前の数値とは単純比較できない。(出所)厚生労働省「高年齢者の雇用状況」

1.0

15.1

21.9

6.4

3.017.2

35.3

60歳くらいまで 65歳くらいまで70歳くらいまで 75歳くらいまで80歳くらいまで 働けるうちはいつまでもその他、仕事をしたくない

高齢者活用の課題:意欲ある高齢者の活用促進

36

<就業希望年齢に関する調査結果(熊本)> <高齢者活用に関する企業の取組み状況(熊本)>

(注)調査時期:2017/1月下旬調査対象:60歳以上の男(155人)、女(142人)。

(出所)地方経済総合研究所「55歳以降の働き方に関する意識調査」

10

20

30

40

50

60

70

80

2010 11 12 13 14 15 16

(%)

(年)

希望者全員が65歳以上まで働ける企業割合<熊本県>〃 <九州>

70歳以上まで働ける企業割合<熊本県>〃 <九州>

31,541

6,422 5,971 5,410 4,689 4,386 4,003 2,602

0

5,000

10,000

15,000

20,000

25,000

30,000

35,000

鹿児島

(人)

(出所)厚生労働省「外国人雇用状況の届出状況」

<外国人労働者数> <地域別・都道府県別外国人労働者数>

外国人労働者の活用実態(1):緩やかに増加

37

0

6,000

12,000

18,000

24,000

30,000

36,000

0

20

40

60

80

100

120

2008 09 10 11 12 13 14 15 16

(人)(万人)

(年)

全国

福岡(右目盛)

熊本(右目盛)

0

10

20

30

40

50

南関東

東海

近畿

北関東・甲信

九州

中国

北陸

東北

四国

北海道

(万人)

34.9

47.3

51.2

35.2

5.8

5.3

0

200

400

600

800

1,000

1,200

1,400

1,600

1,800

2,000

2013 14 15 16

(人)

(年)

その他その他サービス業建設業教育、学習支援業宿泊、飲食業卸・小売業製造業農業、林業

30.1

30.4

32.7

25.610.2

13.8

4.4

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

6,000

7,000

2013 2016

(人)

(年)

その他

その他サービス業

建設業

教育、学習支援業

宿泊、飲食業

卸・小売業

製造業

農業、林業

63.8 38.6

9.1

28.1

12.114.6

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

6,000

7,000

2013 2016

(人)

(年)

その他

G7/8諸国

ペルー

ネパール

ベトナム

フィリピン

韓国

中国

外国人労働者の活用実態(2):ベトナム人の増加、業種に広がり

38

<熊本県の業種別(全体)> <同・国籍別(全体)> <同・ベトナム人の業種別>

(注)□内は、全体に占めるウエイト。(出所)厚生労働省「外国人雇用状況の届出状況」

0

2,000

4,000

6,000

8,000

10,000

12,000

14,000

16,000

18,000

20,000

2007 08 09 10 11 12 13 14 15 16

(人)

(年)

福岡県大阪府大分県長崎県鹿児島県熊本県

外国人活用の方策(1) :留学生の招聘とその就労促進

39

< 留学生数 > < 就職許可数 >

(出所)日本学生支援機構「外国人留学生在籍状況調査」、法務省「留学生の日本企業への就職状況」

857

525

95

56

36

0

20

40

60

80

100

120

140

160

180

0

100

200

300

400

500

600

700

800

900

2010 11 12 13 14 15

(人)(人)

(年)

九州福岡県大分県(右目盛)熊本県( 〃 )長崎県( 〃 )

2016年

福岡県 15,755人

大分県 3,635人

長崎県 1,765人

熊本県 986人

外国人活用の方策(2) :ニーズの掘り起こしとマッチング

40

<九州留学生の就職希望>

▽ 既卒就労者が九州を選択した理由

▽ 留学生の求人情報へのアクセス手段

0.0 5.0 10.0 15.0

キャリア、スキルの形成

企業ブランドイメージが良い

会社の風土

専門性が活かせる

会社の規模、安定性、将来性

地域制、住環境のよさ

アジアへの事業展開意識が強い

仕事の内容

(%)

0.0 30.0 60.0 90.0

ハローワーク

企業にアルバイト

関連企業、知人からの紹介

新聞、ホームページ

インターンシップ

会社説明会、就職面談会

大学

(%)

▽ 日本への就職希望

(注) 2010年調査。(出所) 九州経済産業局

(注) 2010年調査。上図は、複数回答、N=191、下図は「活用する」と答えた割合、N=215。

女性・高齢者の就業促進

労働力不足(労働力人口の減少)

長時間労働の是正

業務改革過剰サービスの見直し

生産性向上

在宅勤務

⽣ 産 性 と 働 き ⽅ の 議 論

出生率の上昇

配偶者控除等の見直し

AI・自動化・省力化

少子高齢化

外国人労働者の活用

41

同一労働同一賃金(非正規の処遇改善) 賃金引き上げと労働生産性の向上 転職・再就職支援、人材育成、教育 テレワーク、副業・兼業といった柔軟な働き方 子育て、介護と仕事の両立

4. 人手不足克服に向けた取り組みの方向性

若年層の県外流出

I/Uターンの促進

(注) 調査対象は、全国の大学生。サンプル数は、16年卒がN=2,219、17年卒がN=1,978。(出所)マイナビ「大学生Uターン・地元就職に関する調査」

人材流出の背景(1) :複合的な理由

42

<地元就職を希望しない理由> <実現すれば地元就職する可能性があるもの>

0 10 20 30 40 50

給料が安い

大手企業がない

志望する職種がない

地域にとらわれたくない

実家を離れたい

都会の方が便利

志望企業がない

(%)

17年卒

16年卒

0 10 20 30 40 50 60

交通手段が改善する

結婚相手ができる

地元の経済が活性化する

志望する企業の拠点ができる

志望する職種に就ける

給料が良い就職先ができる

働きたい企業ができる

(%)

(注) 生産年齢人口の転入超過率は、生産年齢の転入超過数/生産年齢の総人口で算出(日本人のみ、2015年)。所定内給与は、2016年。(出所)総務省、厚生労働省

人材流出の背景(2):県内外の所得格差

43

<所定内給与と生産年齢(15~64歳)人口の転入・転出状況>

転入超過

転出超過

東京都

愛知県

大阪府

奈良県

山形県

大分県

福岡県

佐賀県長崎県

熊本県

宮崎県 鹿児島県

沖縄県

▲ 1.0

▲ 0.5

0.0

0.5

1.0

1.5

220 240 260 280 300 320 340 360 380 400

生産年齢人口の転入超過率

所定内給与

(%)

(千円)

44

<大卒の初任給(2016年、月額)>

人材繋留策(1):初任給の引き上げ

(注)右図は、所定内給与。(出所)厚生労働省

187

160 170 180 190 200 210 220

沖縄鳥取青森長崎宮崎

鹿児島熊本

・・・・・・・・

佐賀・・・

大分・・・・・

福岡・・・・・・・・・・・・・・

大阪埼玉千葉愛知栃木

神奈川東京

(千円)

全国平均203千円

男女差

<全国>:5.9千円

<熊本>:12.5千円

45

<九州各県の賃金(月額)> <熊本と東京、福岡の差>

人材繋留策(2):所得の引き上げ

(注1) 左図プロットは、左から順に、2001、2006、2011、2016年を表す。( )内は、2011~2016年の伸び率。(注2)一般労働者、全企業規模計。(出所)厚生労働省

0

30

60

90

120

150

2001 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16

(千円)

(年)

東京との差

福岡との差

220

240

260

280

300

320

340

360

380

400

420

東京

(+0.1)福岡

(+3.4)佐賀

(+4.2)長崎

(+7.4)熊本

(+1.5)大分

(+4.1)宮崎

(+0.8)鹿児島

(+3.3)沖縄

(+6.8)

(千円)

(注) 調査時期:2016年11月下旬~12月上旬。有効回答数:331社(有効回答率59.6%)。

(出所)地方総合研究所

人材繋留策(3):ベアの実施

46

<県内の賃上げ状況> <2017年の賃上げ予定(熊本)>

(出所)熊本県

人材繋留策(4):最低賃金の引き上げ

<都道府県別最低賃金> <熊本県の最低賃金(時系列)>

(注1)2016年度の改定状況。(注2)( )内は全都道府県における順位。(出所)厚生労働省 47

(注)全国は加重平均値。(出所)厚生労働省

737749

764780

798

823

695 701712

727743

765

647 653664

677694

715

600

650

700

750

800

850

2011 2012 2013 2014 2015 2016(年度)

(円)

全国

福岡

熊本

932 930

883

845 845

765

715 715 715 715 715 714 714

600

650

700

750

800

850

900

950

東 京

(1)神奈川

(2)大 阪

(3)埼 玉

(4)愛 知

(4)福 岡

(19)佐 賀

(39)長 崎

(39)熊 本

(39)大 分

(39)鹿児島

(39)宮 崎

(46)沖 縄

(46)

(円)

UIJターンの促進(1):早期離職者の増加

<新規学卒者の離職率(全国)>

(出所)厚生労働省 48

UIJターンの促進(2) :希望者の増加

49

2,475 3,823

6,021 7,062 6,445

9,653

12,430

21,584

26,426

0

5,000

10,000

15,000

20,000

25,000

30,000

2008 09 10 11 12 13 14 15 16

(件)

(年)

0

5

10

15

20

25

30

35

40

45

2008 09 10 11 12 13 14 15 16

(%)

(年)

~29歳30~39歳40~49歳50~59歳60歳~

<UIJターンセンター(東京)の問い合わせ件数> <相談者の構成比>

(出所)ふるさと回帰支援センター「移住希望地ランキング」

(年)

順位 2012 2013 2014 2015 20161 長野県 長野県 山梨県 長野県 山梨県

2 岡山県 山梨県 長野県 山梨県 長野県

3 福島県 岡山県 岡山県 島根県 静岡県

4 香川県 福島県 福島県 静岡県 広島県

5 千葉県 熊本県 新潟県 岡山県 福岡県6 島根県 高知県 熊本県 岡山県7 大分県 静岡県 大分県

8 鳥取県 新潟県

9 宮崎県 大分県 長崎県10 鹿児島県 宮崎県 宮崎県11 富山県

12 鹿児島県 長崎県

13 鹿児島県1415 大分県16 長崎県 福島県17 愛媛県 熊本県 群馬県

18 熊本県 岐阜県 熊本県

19 栃木県、山口県 鹿児島県 福島県20 ― 和歌山県、三重県 秋田県

・・・

・・・・

・・・

・・

・・・

・・・・・・

・・・

・・・

・・・

・・

・・・

(注) サンプル数は、2012年から順に、N=1,017、1,642、2,885、4,325、6,777。(出所)ふるさと回帰支援センター「移住希望地ランキング」

UIJターンの促進(3) :近年やや低下、挽回に向けPRが必要

50

<UIJターンセンター(東京)移住希望地ランキング>

熊本県の取り組み:多様な施策の実施

51

<熊本県の人材確保に向けた取り組み>

熊本地震への対策

雇用維持(グループ補助金、雇用調整助成金の活用) 地域雇用開発奨励金(国負担) 雇用維持のためのアドバイザー派遣 被災従業員に対する移籍・出向の支援 被災労働者等の雇用対策事業

若者等の就職支援

熊本県ブライト推進事業 就活スタートアップ促進事業 工業高校へのコーディネーター配置 九州の企業と外国人留学生をつなぐマッチングサイトの公開 戦略産業雇用創造プロジェクト事業

県内への移住・定住支援

熊本県UIJターン就職支援センターの開所 熊本コネクションプロジェクト 県内高卒への県内就職情報等の提供

人材育成の取組み 「はたらきモンプロジェクト」(くまもと地域創生人材育成プロジェクト) 職業訓練 女性、高齢者の活躍推進

(出所)熊本県の資料を基に筆者作成

71.5

71.1

73.4

76.2

77.7

76.7

70.3

53.6

0 20,000 40,000 60,000 80,000

020,00040,00060,00080,000

0~

5~

10~

15~

20~

25~

30~

35~

40~

45~

50~

55~

60~

65~

70~

75~

80~

85~

90~

95~

100~

(人)

(人)就業者(男性) 就業者(女性) 未就業者

人口ピラミッド(熊本県):担い手確保の厳しい現実

52

<熊本県の人口ピラミッド(2015年)>

(注1) 0~14歳は、人口等基本集計、15歳以上は、就業状態等基本集計ベース。(注2)□内の数字は、総人口に占める就業者(女性)の割合。(出所)総務省「国勢調査」

(年齢)

高齢者の増加

県外への流出で、労働力人口は更に不足

女性の就業率は高め

0.0

0.2

0.4

0.6

0.8

1.0

1.2

1.4

1.6

1.8

▲ 7,000

▲ 6,000

▲ 5,000

▲ 4,000

▲ 3,000

▲ 2,000

▲ 1,000

0

1,000

2,000

1996 97 98 99 2000 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16

社会増減

有効求人倍率(右目盛)

(人) (倍)

0.0

0.2

0.4

0.6

0.8

1.0

1.2

1.4

1.6

1.8

▲ 40,000

▲ 20,000

0

20,000

40,000

60,000

80,000

100,000

120,000

140,000

1996 97 98 99 2000 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16

社会増減

有効求人倍率(右目盛)

(人) (倍)

社会増減の背景:景気動向と人口流出の関係<人口移動と有効求人倍率(熊本)>

(出所)総務省「人口推計」、厚生労働省「一般職業紹介状況」(注)有効求人倍率は全国の値。 53

<同(東京)>

求人倍率上昇=景気回復

人口流出

求人倍率上昇=景気回復

人口流入

23 22 20 18 17 16

10396

91 87 83 77

5155

5555

5453

174171 167

163

159

0

20

40

60

80

100

120

140

160

180

200

2015 2020 2025 2030 2035 2040

(万人)

(年)

65歳以上

15~64歳0~14歳県のビジョン

熊本県の成長戦略:生産性引き上げなくして成長なし

54

<熊本県の一人当たり実質GDP> <人口予測(社人研)>

(出所)熊本県、内閣府、国立社会保障・人口問題研究所

150

200

250

300

350

400

170

174

178

182

186

190

1980 82 84 86 88 90 92 94 96 98 00 02 04 06 08 10 12 14

(万円)(万人)

(年度)

人口

一人当たり実質GDP(右目盛)