日本を破壊するリニア新幹線

＜国家１００年の愚策＞2017年10月15日・奈良本英佑

プラント技術者の会例会＠皆川ビル

リニア新幹線計画の問題点

∗ 国土の破壊∗ 断層帯貫通

∗ 地下水脈

∗ 発生土問題

∗ 地震

∗ 景観

∗ 生物多様性

∗ ウランなどによる汚染

∗ 工事による生活環境破壊∗ 騒音、交通問題

∗ 経済性

∗ 運行すれば∗ 過大な電力消費

∗ 安全性

∗ 電磁波

∗ 事故と避難

∗ 国、ＪＲ東海の説明責任∗ ズサンな審査

∗ ズサンな国会審議

∗ ズサンな説明会

∗ 事業者：ＪＲ東海

∗ 路線：東京都－大阪市間 ４３８km （うち山梨実験線４２．８km）∗ 東京～名古屋間 ２８６ｋｍ（うち、トンネルが８６％）

＋名古屋～大阪

∗ 走行方式：超電導磁気浮上方式

∗ 最高設計速度：５０５km/時∗ 総事業費：９兆３００億円

∗ 計画予定∗ ２０１４年：工事計画認可・着工

∗ ２０２７年：東京－名古屋間 開業

∗ ２０４５年：大阪まで全線開業

I. リニア中央新幹線計画とは

２．リニア新幹線の計画ルート

品川～名古屋 ⇒

工事概要

立坑

地下駅 地上駅

山岳トンネル シールドトンネル

∗ 1972年 磁気浮上走行に成功

∗ 1977年 宮崎浮上鉄道実験センター開設

∗ 1990年 山梨リニア実験線着手

∗ 1996年 宮崎実験線の走行試験終了

∗ 山梨実験センター発足

∗ 1997年 運輸省・超電導磁気浮上式鉄道実用技術評価委員会設置

∗ 2005年 実用技術評価委員会「実用化の技術基準が確立した」と評価

II. 認可までの経過

２００８年 山梨実験線の延伸工事に着手２００９年 実用技術評価委員会「営業線に必要な技術が網羅的、体系的

に整備された」と評価２０１０年 国土交通相から交通政策審議会へ諮問（2月）２０１１年 交通政策審議会の答申（5月）２０１３年 JR 東海、リニア新幹線の駅の位置や詳細なルートの最終案を発

表（9月18日）２０１４年 国土交通相東京―名古屋間の工事実施計画を認可（10月17

日）２０１６年 鉄道建設・運輸施設整備支援機構法改正案可決、施行＊（11

月）２０１７年 実用技術評価委員会「営業線に必要な技術開発は完了」と評

価（2月）

＊同法によりＪＲ東海に融資 3兆円、30年据置後、返済10年－年利0.6~0.8%

続・経過

ＩＩＩ． リニア新幹線プロジェクトを診断する

∗ インフラ・プロジェクトのチェックポイント∗ 経済性は確保されるか

∗ 技術的信頼性はあるか

∗ 環境は保全されるか

∗ リニア新幹線のチェックポイント∗ 鉄道ネットで有用な役割は果たせるか

∗ 多くの国民に喜んで利用されるか

∗ 投資の回収は可能か

〈橋山禮次郎「リニア新幹線」（集英社新書）から〉

JR東海の輸送実績と予測 （単位：億人Km）

実績（2011年度） ２０２７年 ２０４５年

東海道新幹線 ４４３ ４０１ ２０３

東海道新幹線からの移転 １２２ ２００

航空機からの移転 ５ ２４

自動車・バス等からの移転 １５ ２４

リニア開通の誘発需要 ２５ ７８

リニア合計 １６７ ３２６

東京～大阪間の需要総計 ４４３ ５６８ ５２９

IV. 経済性

橋山禮次郎「リニア新幹線」（集英社新書）p95から

しかし

人口・生産年齢人口は明らかに減少

わが国の将来人口推計（中位推計）

総人口（万人） 生産年齢人口（万人）

２０１１年 12,870（100％） ８,１３０ （１００％）

２０３０年 １１,６６２ (９１．３％) ６,７７３ （８３．３％）

２０５０年 9,708（76.0%） ５,００１ (６１．５％)

橋山禮次郎、同 p102 から

・ 高い料金でリニア新幹線を利用するか？＋ ￥７００（東京～名古屋）想定額？＋￥１０００（東京～大阪）？

・ 景色見られないなど「旅」の楽しみゼロ・ その他のデメリット（強磁力線、事故時のリスク、など）

⇒ これで、既往債務＊が返済可能？

Cf. 山田佳臣社長「（リニア新幹線は）絶対にペイしない。東海道

新幹線の収入でリニア建設費を賄って、なんとかやっていける」（２０１３年９月１８日、記者会見）

以前は、「リニアは十分採算が取れ、その利益で既往債務＊の返済が容易になる」。

（＊２０１５年度末 約２兆２千億円）

１）営業運転前～∗ 国土の破壊

∗ 断層帯横断

∗ ● リニア新幹線が横断・糸魚川静岡構造線――フォッサマグナの西縁

∗ 北部断層帯（小谷村～安曇野市明科）50㎞ M7.7∗ 中北部断層帯（安曇野市明科～諏訪湖）45㎞ M7.6∗ 中南部断層帯（諏訪湖～富士見町下蔦木）33㎞M7.4

∗ 南部断層帯（北斗市～早川町）48㎞ M7.6∗・中央構造線

∗ 伊那谷断層帯（伊那市付近～飯田市付近）60㎞∗ 主部 M8.0程度

∗ 南東部 M7.3程度

V. 環境は保全されるか

● リニア新幹線が南側をかすめる∗ 木曽山脈西縁断層帯（長野県中西部～岐阜県東部）

∗ 阿寺断層帯（岐阜県）

Cf. 東海道本線丹奈トンネル掘削中に来た伊豆地震（1930年11月26日）丹奈断層で地塊が約2.5mズレ ⇒ 修復工事

Cf. 上越新幹線脱線事故： 2004年10月23日17時56分頃、時速200㎞で走行中「とき325号」の8両が脱線、排雪溝を滑走 怪我人なしだが・・・この地震で魚沼トンネル内は、レールの土台が25㎝も飛び上がり、１㎡以上のコンクリートが壁から崩落、トンネルの各所が崩壊。「とき325号」は3分前に魚沼トンネルを通過――幸運。

＜出典： 島村英紀「警戒せよ！生死をわける地震の基礎知識＞http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20140425/dms1404250830002-n1.htm

続・断層帯横断

日本列島の断層帯

中部・近畿地方は断層帯の巣（出典：地震調査研究推進本部）

２つの構造線（糸魚川静岡／中央）を横断

南アルプストンネル（仮称）断面図

∗ 富士川／大井川／天竜川／Etc.∗ 並行して、（無数の）支流 地下水脈

● 実験線関連∗ 大月市朝日小沢地区の簡易水道水源（1999年水枯れ）

∗ 笛吹市美坂町水源（天川）（2009年水枯れ）

∗ 上野原市秋山無生野地区（2010年7月水枯れ）

∗ その他

∗ しかし、山梨県での調査対象－－１市２町、12か所の湧き水と井戸のみ

樫田秀樹「増補“悪夢の超特急”リニア中央新幹線」（旬報社、2016年） pp115~121 から

水脈（地下水・表流水）横断

● 本線

∗ 大井川水量減（ＪＲ東海の予測） ２ｔ/秒――大井川広域水道事業団＊の水利権と同量

ＪＲ東海「一部は、導水路トンネルで本流に戻す」だが、枯れる支流は放置

＊7市（牧之原、藤枝、焼津、島田、懸川、菊川、御前崎）計63万人

＜注＞水枯れの一方では、別の場所で異常出水

続・水脈横断

中部地方の河川

残土

∗ 発生量（JR東海の試算）

∗ 東京 ７５１万㎥

∗ 神奈川 １３６５万㎥

∗ 山梨 ７１８万㎥

∗ 静岡 ３８２万㎥

∗ 長野 １０５４万㎥

∗ 岐阜 ＊ １３１７万㎥

∗ 愛知 ７７２万㎥

◎計 ６３５９万㎥

＊ウラン残土、ラドンガスなど放射性物質含むリスク

静岡県の路線（すべてトンネル＝10.7km）――残土見積り３７０万t∗ ＪＲ東海の予定 燕沢周辺に高

さ65m×長さ数百ｍ、など8か所だが、燕沢周辺は地滑り地帯で危険（2017/9/8 意見陳述）

（残土処理に伴い、工事道路拡幅、交通渋滞、騒音、排気ガスなどの副産物）

∗ 長野県大鹿村９か所の残土置き場候補地、すべて河川敷付近

（等々）

http://blogimg.goo.ne.jp/user_image/46/fb/cde93b35446f17ac50d6db77f2bd98f1.jpg から

南アルプス――UNESCO指定のエコパーク－－多種多様な希少生物

「このような素晴らしい清流も、ひとたび破壊されてしまえば、元には戻りません。自然は人間のためだけにあるものではなく、人間の都合で自然を破壊することは、決して許されるものではありません」（2017/9/8 意見陳述）

∗ 工事による生活環境破壊

∗ 騒音

∗ 工事交通問題Ex. 長野県大鹿村 細い道路に１７００台/日のダンプカー

景観・生物多様性など

∗ 過大な電力消費

・ 在来新幹線の３～４０倍（人×Km当り）

浜岡原発と柏崎刈羽原発の電力を利用（２０１１・３・１１以前の予定）

・ エネルギー効率回転式モーター＞リニアモーター

空気抵抗

∗ 安全性∗ 通常運転時

∗ 電磁波

∗ 騒音（沿線の一部）

２）営業運転後～

∗ 事故と避難

∗ 地震、地殻変動など

∗ 車両火災、破壊工作（テロ）など

∗ 数百～千人の乗客（乳幼児、老人、病人、身障者など含む）

∗ ２～３人の乗組員（誘導要員）

∗ 長く・深いトンネルに非常脱出立坑（1か所／５～１０㎞）

∗ 路線勾配 Ｍａｘ４％

続・安全性

∗ 事件名： 工事実施計画認可取り消し請求事件

∗ 根拠法令：

行政不服審査法

全国新幹線鉄道整備法（１－３）違反中央新幹線（リニア）事業－適用外

－－新幹線網との接続不可能

鉄道法（５－１－１、など）違反輸送需要等予測が不合理、安定的経営不可能

環境影響評価法（３３条）違反不備な評価書に基づく認可は違法

ＶＩ． ストップリニア訴訟

∗ ２００７年 JR東海、自社資金によるリニア新幹線建設計画を発表∗ ２０１４年 １０月１７日 国土交通大臣、リニア新幹線工事計画認可∗ ２０１６年 ５月２０日 認可取り消し求め、東京地裁に提訴∗ ６月２１日 JR東海、国宛にリニア財投に抗 議文送る∗ ９月２３日 東京地裁で第１回口頭弁論∗ １２月９日 第２回口頭弁論∗ ２０１７年 ３月２日 第3回∗ ４月２８日 第4回∗ ６月２３日 第5回∗ ９月８日 第6回

１１月２４日 第７回★２０１８年 １月１９日 第８回

「ストップ・リニア！訴訟原告団＆リニア新幹線沿線住民ネットワーク」http://linearstop.wixsite.com/mysite などから

ストップリニア訴訟の経過

ご清聴ありがとうございました