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TRANSCRIPT
しのびよる地球温暖化の影響
国立環境研究所
社会環境システム研究領域
原沢英夫
地球温暖化とは?人間が石油や石炭を燃して、二酸化炭素を大気中に出し続けてきたために、地球がだんだん暖かくなっている。
地球がだんだん暖かくなると動植物や人間活動に大きな被害をもたらす。
今日の話
1. 温暖化のルーツは?
2.温暖化はなぜおきる?
3.温暖化するとどうなる?
4.温暖化を防止するには?
1.温暖化のルーツは?
1898
アレニウスが温暖化を予測
1958
キーリングがマウナロアでCO2測定開始
1988 1992 1997 20052008-12
京都議定書が発効。
COP3で京都議定書が締結された
気候変動枠組み条約が締結
気候変動に関する政府間パネルが活動開始
先進国は5%の削減を達成??
1974
国立公害研究所が発足
スエーデンの科学者アレニウスは、大気中の二酸化炭素が2倍になったときに、5~6℃気温が上昇すると予測した。アレニウスは工業化した国が、石炭などの化石燃料を燃すことによって、大気中の二酸化炭素を増やし、温暖化を進め、気候を不安定にすることを知っていた。
アレニウスは100年以上まえに、二酸化炭素による温暖化を予測していた
二酸化炭素(当時300ppm)が2倍時に5~6℃上昇を予測
過去42万年間で現在のCO2濃度を超えたことはなく、過去2000万年で超えなかった可能性が高い。
キーリング博士がマウナロアで大気中の二酸化炭素(CO2)の観測開始
280
290
300
310
320
330
340
350
360
370
380
1960 1965 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000
産業革命前(1750年頃)280ppm
2003年は375ppm
1958年は315ppm
30年まえの研究所(当時は国立公害研究所)
二酸化炭素濃度 330ppm
8
ワトソン博士 ボーリン博士
パチャウリ
新IPCC議長 IPCC, タータ研究所提供
ワトソン博士(前IPCC議長)とボリン博士(前々議長)第13回IPCC全体会合にて(‘97.9.22,25-28)
世界の科学者が温暖化の解決に立ち上がった
2005年2月16日京都議定書が発効
京都議定書発効記念行事
「フォーラム気候の危機」が発足
二酸化炭素濃度 380ppmぐらい
2.温暖化はなぜおきる?
温暖化ガス(二酸化炭素など)が存在するため、地球の平均気温が15℃に保たれている。ないと-18℃の極寒の世界
温暖化ガス(二酸化炭素、メタン、フロン、水蒸気、エアロゾルなど)
太陽からの放射エネルギーで地球が暖まり、赤外線を放出する
人間活動から排出 79億トン石油・石炭燃焼 63億トン森林伐採等 16億トン
大気へ蓄積32億トン(41%)
植物が吸収30億トン(38%)
海洋が吸収17億トン(21%)
1990年代の地球規模の炭素収支(単位:炭素換算トン/年)
地球の炭素の流れ(循環)がわかってきた
IPCC第三次報告
英国:ハドレイセンター英国:ハドレイセンター
年平均気温(℃、1961-1990年からの差)
地球表面の年平均気温の変化(1860年以降)
・20世紀の100年間で0.6℃気温上昇
・日本は1℃、東京は3℃
・1998年は観測史上最高値を記録
温暖化は確実に進んでいる
国立環境研・東大気候システ
A2シナリオ
気温の将来予測
温暖化が進むと2100年には1.4~5.8℃気温が上昇する。海面は9~88cm上昇する。
循環型社会2℃
石油依存社会5.8℃
IPCC第三次報告
3.温暖化するとどうなる?
1
温暖化の影響が現れている生態系や氷河等
水文氷河
海氷 動物 植物 広域研究
リモセン研究
IPCC第三次報告
1
2
4
5
6
3
現れてきた温暖化の影響の例現れてきた温暖化の影響の例
––氷河の縮小氷河の縮小
––永久凍土の融解永久凍土の融解
––河川、湖沼の氷結期間の短縮河川、湖沼の氷結期間の短縮
––中・高緯度地域の生長期間の延長中・高緯度地域の生長期間の延長
––植物、動物生存域の極方向、高地への移動植物、動物生存域の極方向、高地への移動植物、動物種の生育数の減少植物、動物種の生育数の減少
––開花時期、昆虫の出現、鳥の卵生の早期化開花時期、昆虫の出現、鳥の卵生の早期化
・地球の年平均気温は過去100年に0.6℃上昇
・アラスカ、カナダ西部過去50年で3-4℃上昇-氷河や海氷の融解-積雪期間が短縮-永久凍土の融解
出典:NASA
北極の氷の変化→(9月)
北極の氷が急激に減少している
1978年
1998年
ヒマラヤの氷河がとけつづけている
山岳の氷河は20世紀後半、大幅に後退した
南極の海に浮いている氷(棚氷)が壊れて、氷山になっている
南極棚氷の崩壊
1995
2000.3
ヨーロッパでは2003年6月から高温が続き、8月に入って異常高温となり、フランスでは1万5000人が亡くなった。
欧州の2003年8月1~12日の平均気温
ハリケーンも巨大化(ハリケーンミッチ、1998年)
ハリケーンフランシス(2004)
2004年、日本でも異常気象が起きた。熱波、大雨、10ヶの台風上陸
・真夏日(日最高気温が30℃以上)東京(霞ヶ関)で70日、つくばで60日を記録
・時間50mmを越える大雨の回数が増加
・台風が10個上陸(平均3個以下、最大でも6個)
高山生態系への影響
ヒダカソウ(アポイ岳)タカネトンボ
ハクサンイチゲ(白山)
ウルップソヴ(八ヶ岳)
タカネマンテマ゙(南アルプス)
フジマメザクラ(富士山)
ミヤマキンバイ(全国)
キタダケソウ(北岳)
生物季節(全国)
高山生態系:希少種、地域希少種に着目高山生態系への影響温暖化の影響が生態系に現れてきた
1
23
4
アポイ岳のヒダカソウが消滅する?アポイ岳のヒダカソウが消滅する?
国立環境研・静岡大学
ハイマツが上昇している
ハイマツが上昇(0.4~2m/年)、高山草原から稜線まで30~60mなので、早ければ30年後にヒダカソウが消滅。
クマゼミも北上している
兵庫県立人と自然の博物館
サクラの開花も全国的に早くなってきた
3月の平均気温
京都の3月の平均気温とサクラの開花日
サクラの開花日
ナガサキアゲハも北上中
温暖化が進むと、深刻な影響が現れる
・生態系への影響植生が変化するサンゴ礁が白化
・お米がとれなくなる
・海面上昇の影響砂浜がなくなる東京が浸水する
・健康への影響熱中症、感染症が増える
・異常気象が増える強い台風が増える熱波が増える大雨が増える
・海洋の大循環が止まる?映画「デイ・アフター・トモロウ」のように氷河期がくる?
日本の植生分布の変化(現状(左)と2050年(右))
植生分類
高山植生
針広混交林
落葉広葉樹林
常緑広葉樹林
亜熱帯林
国立環境研・東京大学
1℃気温が上昇すると100km北上
現在から2060年代への変化
-200 -150 -100 -50 0 +50 +100 +150 +200
潜在的収量の変化(kg/10a)
米は北でとれるようになり、南でとれなくなる
(林ほか、2001)
Branching coral Brain coral温暖化すると水温も上昇して、サンゴ礁が死滅する(白化現象)
モルジブ
首都マーレ
小さな島国は、温暖化による海面上昇の影響をまっさきに受ける
1m海面上昇すると砂浜の90%がなくなる
茨城県
0m地帯が拡大し、台風など高潮が重なると大きな被害
マラリアの危険性が増大
現在
温暖化時
マラリアの潜在的繁殖地域が南北に拡大
0
20
40
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1900 1920 1940 1960 1980 2000 2020 2040 2060 2080 2100
日本の真夏日日数の変化(1900~2100年)日本列島を覆う格子(100km×100km程度)のうち一つでも最高気温が30℃を超えれば、真夏日1日と数えた(都市化は考慮されていない)
0
2
4
6
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10
12
1900 1920 1940 1960 1980 2000 2020 2040 2060 2080 2100
日本の夏季(6・7・8月)の大雨日数の変化(1990~2100年)日降水量が100mmを超えれば、豪雨1日と数えた。
出典:国立環境研/東大気候システムセンター/海洋研究開発機構
温暖化すると真夏日や大雨が増える
温暖化が早いと、海の大循環が止まるかもしれない
海の大循環が止まったら、地球は寒くなる?(30年後の年平均気温の変化)
(M.Vellinga, Hadley Centre, 2000)
4.温暖化は止められるか?
0
10
20
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1750 1800 1850 1900 1950 2000
世界合計
西欧州
アメリカ
日本
旧ソ連邦+東欧州
中国
億トン(炭素)
始めての温暖化世界会議 (1985)
第一次オイルショック(1973)
第二次オイルショック (1979)
国際連合(1945)
豊田式織機(1897)
ワット蒸気機関(1765)
産業の発達とともにCO2の発生量は増えてきた
二酸化炭素の排出が急激に増加二酸化炭素の排出が急激に増加
日本は世界第4位の二酸化炭素排出国
国別排出量(2000年)
米国24.4%
その他22.4%
ロシア6.2%
インド4.7%
日本5.2%EUその他
4.0%
ドイツ3.4%
英国2.5%
カナダ1.9%
イタリア1.9%
韓国1.9%
メキシコ1.8%
サウジアラビア1.6%
フランス1.6%
オーストラリア1.5%
ウクライナ1.5%
南アフリカ1.4%
中国12.1%
全世界のCO2排出量
229億トン
一人あたりの排出量(2000年)では、日本は7位
温暖化を防ぐために世界が協力することが大切
・京都議定書の約束(先進国が90年に比べて5%削減)を守ることが先進国の責任。・日本は6%削減を約束
環境白書(平成15年度版)
一人一人の努力で2.8%は削減できる。
家庭で、一人ひとりが努力すれば2.8%削減出来る
家庭での温暖化防止対策
○夏は28℃、冬は20℃が目安
○冷房の温度を1℃高く、暖房の温度を1℃低く設定するときの効果:
→ 1世帯あたり、1年あたり、約31kgのCO2削減効果約2000円の節約
・カーテンで太陽光を調節する・着るものを工夫する、など
900
950
1000
1050
1100
1150
1200
1250
2000 2002 2004 2006 2008 2010 2012
年
エネルギー起源二酸化炭素排出量
[MtC
O2]
1. 技術一定の場合
2.市場選択の場合
3.炭素1トンあたり3000円の税金
4.炭素1トンあたり30000円の税金
3400円の税金+補助金
-2.4%
+13.7%
+7.6%
+5.7%+0.2%
1990年レベルから2%減
国立環境研・京都大学
環境税は、国民のライフスタイルを変える後押しをする
まとめ
①温暖化は人間の出した二酸化炭素など温暖化ガスが主な原因。②影響が世界中であらわれてきた。③2100年に気温が最大5.8℃上昇し、影響も深刻化。④温暖化を防止することは、まだできる。⑤私たちひとりひとりの活動が大切。