情報経済システム論 : 第2回

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情報経済システム論 : 第2回. 担当教員 黒田敏史. 講義概要. 初日:導入・マクロ的影響・ミクロ経済理論 イントロ 情報通信技術と経済成長 市場メカニズム 寡占市場の理論 ネットワーク効果の理論 二日目:続・ミクロ経済理論・情報通信政策・政策分析 三日目:構造推定アプローチによる戦略・政策シミュレーション. 情報通信と経済成長. 経済成長とは 一国の経済の規模は、市場で取引された財に与えられた付加価値の合計( GDP )で測られる 各財の付加価値 付加価値=生産財価値-中間投入財価値 一国全体の合計 国内総生産=総生産財価値-総投入物価値 - PowerPoint PPT Presentation

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23/04/21 情報経済システム論

情報経済システム論:第2回

担当教員 黒田敏史

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23/04/21 情報経済システム論

講義概要• 初日:導入・マクロ的影響・ミクロ経済理論–イントロ– 情報通信技術と経済成長– 市場メカニズム– 寡占市場の理論–ネットワーク効果の理論

• 二日目:続・ミクロ経済理論・情報通信政策・政策分析

• 三日目:構造推定アプローチによる戦略・政策シミュレーション

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情報通信と経済成長• 経済成長とは

– 一国の経済の規模は、市場で取引された財に与えられた付加価値の合計( GDP)で測られる

– 各財の付加価値• 付加価値=生産財価値-中間投入財価値

– 一国全体の合計• 国内総生産=総生産財価値-総投入物価値

– 三面等価の法則• 国内総生産=国内総支出=国内総所得• 国内総所得=労働所得+資本所得

– 市場規模=財単価*財数量(=生産財価値)とは異なる概念である

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情報通信と経済成長• GDPの意義と限界

– GDPを測ることで、我々が生み出した価値額を量ることができる

– 生み出された価値は、生産要素である労働と資本への対価として支払われ、所得となる

– 与件を一定にすれば、より多くの所得を得ることにより、より多くの選択肢の中から行動を選択する事ができるようになる

– GDPの成長とは、「我々が、昨日できなかったことが、今日は可能になる」事を意味する

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情報通信と経済成長• GDPの意義と限界

– GDPは市場で取引されない価値を含まない• 市場で取引されない価値:余暇・家事労働・贈与・交換など

– 金額と主観的価値は一致しない• 支出額の大小と、人間の満足・幸福・充足とは必ずしも一致しない

– 付加価値が一体何に用いられたのかを反映しない

• GDPは消費・投資・純輸出・政府支出の合計であり、人々の今日の生活水準は消費と一部の政府支出に依存する

• GDPは誰の所得か(分配)に留意しない

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情報通信と経済成長• 経済成長の源泉

– Acemoglu (2009)は経済成長率の差の決定根源的要因を以下の4つに分類

– 1・運• 与件が一定であっても、小さな不確実性や偶然によって実現する状態が変化する事による差

– 2・地理• 人々が生きる物理的、地理的、自然環境による制約

– 3・文化• 個々人の行動の源泉になる信念、価値観、選好

– 4・制度• 経済的インセンティブや技術・物的資本、人的資本への投資インセンティブに影響を与える規制・法律・政治

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情報通信と経済成長• 成長会計

– 経済成長を要因に分解する事を成長会計と呼ぶ• 労働投入量・資本ストック・生産性

– 生産量と投入量の比を生産性と呼ぶ• 生産性=生産量/投入量 → 生産量=投入量x生産性

– 変化率に置き換える• 生産の伸び率(GDP成長率)=投入量の伸び率+生産性成長率

– 投入量を労働と資本に分解する• GDP成長率=労働成長率+資本成長率+生産性成長率• 成長を労働・資本などの複数の生産物に分解した後に残った生産性の伸びを、全要素生産性( TFP: Total Factor Productivity)と呼ぶ

– 労働生産性• 労働生産性=生産量/労働投入量• 捕捉が容易なのでこちらが用いられる場合もある• 労働生産性が高くなれば雇用者の賃金は高くなるが、雇用を減らして外注するようにすれば会計上の労働生産性が増加するため、あまり意味のある指標では無い

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情報通信と経済成長

8出典:経済産業研究所  JIPデータベース 2011

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情報通信と経済成長• 生産性パラドックス

– 1980年代以降、先進諸国で「膨大な IT投資が行われたにもかかわらず、生産性の上昇が統計的に確認できない」ことが「ソロー・パラドクス(生産性パラドックス)」と呼ばれ、その原因が議論されてきた

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情報通信と経済成長• 情報通信ストックと経済成長

– Roller and Waverman (2000)• OECD21ヶ国の 20年間のデータを、 GDP・電話普及率・通信インフラ投資・通信インフラストックの遷移の4変数の同時方程式モデルを推定

• 情報通信インフラへの投資は成長率に正の有意な影響を与えており、固定電話普及率 1%の上昇は、 0.034%の経済成長をもたらしている事を発見

• 電話普及率にはクリティカル・マスがあり、普及率が40%を越えると、成長率への貢献は 0.07%と高くなる事を発見

– Czernich, Falck, Kretschmer and Woessmann (2011)• 1996年から 2007年の 25ヶ国 OECDデータを用いて分析を行ったところ、 10%のブロードバンド普及率上昇は、経済成長率を 0.9-1.5%増加させることを発見

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情報通信と経済成長• TFPの変化要因の分解

– 内部効果:各企業内で達成された企業の TFP上昇による産業全体の TFPが上昇する効果

– シェア効果:基準時点において TFPが高い企業がその後市場シェアを拡大させることによる TFP上昇の効果

– 共分散効果: TFPを伸ばした企業の市場シェアがより拡大することによる効果

• シェア効果と共分散効果の和を存続企業間の資源再配分効果と呼ぶ

– 参入効果と退出効果:基準時点の産業平均生産性より生産性の高い企業が参入したり、相対的に低い企業が退出したりすることによる産業全体の TFP上昇効果を表す

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情報通信と経済成長

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宮川・深尾 (2003)「労働全体の寄与が低下しているだけでなく、労働力の再配分効果がマイナスに働いて、 IT資本の蓄積効果や TFP上昇の寄与を相殺している。建設業など生産性の低い業種で就業者シェアが増加。財政拡張の負の効果。」

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情報通信と経済成長

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出典: Fukao, Miyagawa, Mukai and Shinoda (2009)

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情報通信と経済成長

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出典: Fukao, Miyagawa, Mukai and Shinoda (2009)

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情報通信と経済成長• クラウドと経済成長

– Etro (2009)• クラウドコンピューティングによりインフラへの固定投資をサービスの従量利用に置き換える事で、企業の新規参入が促進され、競争が促進される事により経済成長率が高まる、という DSGEモデル(動学的確率一般均衡モデル)を構築

• EUの国々のデータによる分析結果、 GDPに与える影響は短期的( 1年)には 0.05%、中期的( 5年)には 0.3%である事が明らかになった

• クラウドによる新規参入が促進される結果、卸売り・小売り部門、次いで不動産部門での中小企業数が増加する事が明らかになった。(イタリアで 8万 1千、スペインで 5万 5千、フランス 4万 8千、ドイツ 3万 9千、イギリス 3万 5千、ポーランド 3万 2千)

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情報通信と経済成長• 参考文献

– Acemoglu, D. (2009). Introduction to Modern Economic Growth. Princeton and New York:.

– Czernich, N., Falck, O., Kretschmer, T., & Woessmann, L. (2011). Broadband Infrastructure and Economic Growth. Economic Journal, 121(552), 505-532.

– Etro, F. (2009). The Economic Impact of Cloud Computing on Business Creation, Employment and Output in Europe: An Application of the Endogenous Market Structures Approach to a GPT Innovation. Review Of Business And Economics, 54(2), 179-208.

– Fukao, K., Miyagawa, T., Mukai, K., Shinoda, Y., & Tonogi, K. (2009). Intangible Investment in Japan: Measurement and Contribution to Economic Growth. Review Of Income And Wealth, 55(3), 717-736.

– Roller, L., & Waverman, L. (2001). Telecommunications Infrastructure and Economic Development: A Simultaneous Approach. American Economic Review, 91(4), 909-923.

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