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Yahoo! JAPAN、仮想化基盤をOpenStackへ移行開始 サポートを手がけるのは、顧客満足度100%の技術者集団 OSSサポートに必要な高度な技術力は、どのように培われるのか? Yahoo! JAPANでは、2009年頃からVMの利用を開始、当初は開発 環境で数百のVMが稼働するレベルだったが、2010~2011年には利用 頻度が大幅に上がり、その数は数千にまで達するようになった。 「VMの利用頻度が上がってきて、ハイパーバイザーまわりにいろいろな 処理が走るようになると、要求に応えられない状況も出てきました。構築当 初は自前でシステムをつくるしかなかったのですが、この頃(2011 年)にな るとOSSもいくつかリリースされており、代替案の選択肢は増えていまし た。その中で私たちが特に注目したのがOpenStackでした」 世界中に「有識者」を持つOSS「OpenStack」その発展性と恒久性 Horizon Web UI Keystone 認証・ ユーザ管理 Neutron ネットワーク 管理 Cinder Nova Glance Swift ブロック ストレージ VM管理 VMイメージ オブジェクト ストレージ Ceilometer 使用状況の計測 Heat VMやアプリの 管理・運用 自動化 OpenStack Components 国内屈指のポータルサイトにして、多彩なサービス、コンテンツを提供し続けているYahoo! JAPAN。その社内では現在、IaaS基盤に OpenStackを導入するプロジェクトが進行している。OpenStackはクラウド基盤構築のための OSS。2010年の初版リリース時には Nova(コン ピュート)とSwift (オブジェクトストレージ)だけだったコンポーネントも、2013 年10 月にリリースされた Havana版では Ceilometer (テレメトリ)や Heat (オーケストレーション)の新機能を合わせて 9つのコンポーネントとなり、次期リリース Icehouse版でもさらに新機能が加わる見通しだ。急 速な進化を遂げつづけているOpenStackだが、これまで自社内でクラウドオーケストレーションシステムを手がけてきた Yahoo! JAPANがなぜ 今、OpenStackを選んだのか。そして導入のメリットとは? ヤフー株式会社 システム統括本部 基盤システム開発本部 TD 松谷憲文氏 ヤフー株式会社 システム統括本部 基盤システム開発本部 インフラ技術開発部 開発リーダー  伊藤拓矢氏 【会社概要】 会社名 ヤフー株式会社 主な事業内容 インターネット上の広告事業、イーコマース事業 会員サービス事業、その他事業 システム統括本部 基盤システム開発本部 TDをつとめる松谷憲文氏は、 その理由についてこう続けた。 「OSSの中からどれを採用するかを決める際には、各ソフトウェアを取り巻 くコミュニティの運営状況を重視しました。バグが明確になっても、なかなか コミュニティで解決されない、というのではオープンソースの意味合いが薄 れます。その点 OpenStackはコミュニティが活発だし、OpenStackサミット のようなイベントも開催されている。それがひとつの判断基準となりました」 すでに多くの「有識者」が存在して、スピーディにバグフィックスや改良が 進められていることで、開発の負担は軽減する。そ の一例を、同部門のインフラ技術開発部 開発リー ダーの伊藤拓矢氏に挙げてもらった。 「独自のIaaS基盤にOSSを導入するには、まず APIからつくらなければならないのですが、 OpenStackの場合、もうすでに多くの APIが備えら れているので、その部分に注力する必要がありませ ん。その分の時間や人員を、検証など別の作業に振 り分けることもできるようになりました」 数年前はOSSに対する不安も耳にすることがあっ たが、現在はそのメリットに重きを置く考え方が本 流となっている。特にOpenStackのように注目度 が高く、多くの人の手を介することで “こなれてき た”ソフトウェアなら、なおさらだ。 「オープンかつ可視化された開発環境なので、ベ ンダーロックインの不安もありません」 (松谷氏)

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Page 1: Yahoo! JAPAN、仮想化基盤をOpenStackへ移行開始 サポー …50,000VMを稼働、将来的には仮想化基盤のすべてをOpenStackに切 り替える予定だという。

Yahoo! JAPAN、仮想化基盤をOpenStackへ移行開始サポートを手がけるのは、顧客満足度100%の技術者集団OSSサポートに必要な高度な技術力は、どのように培われるのか?

 Yahoo! JAPANでは、2009年頃からVMの利用を開始、当初は開発環境で数百の VMが稼働するレベルだったが、2010~2011年には利用頻度が大幅に上がり、その数は数千にまで達するようになった。 「VMの利用頻度が上がってきて、ハイパーバイザーまわりにいろいろな処理が走るようになると、要求に応えられない状況も出てきました。構築当初は自前でシステムをつくるしかなかったのですが、この頃(2011年)になるとOSSもいくつかリリースされており、代替案の選択肢は増えていました。その中で私たちが特に注目したのがOpenStackでした」

世界中に「有識者」を持つOSS「OpenStack」その発展性と恒久性

Horizon

Web UI

Keystone

認証・ユーザ管理

Neutron

ネットワーク管理

Cinder Nova Glance Swift

ブロックストレージ

VM管理 VMイメージ オブジェクトストレージ

Ceilometer 使用状況の計測

Heat VMやアプリの 管理・運用 自動化

OpenStack Components

国内屈指のポータルサイトにして、多彩なサービス、コンテンツを提供し続けているYahoo! JAPAN。その社内では現在、IaaS基盤にOpenStackを導入するプロジェクトが進行している。OpenStackはクラウド基盤構築のためのOSS。2010年の初版リリース時にはNova(コンピュート)とSwift(オブジェクトストレージ)だけだったコンポーネントも、2013年10月にリリースされたHavana版ではCeilometer(テレメトリ)やHeat(オーケストレーション)の新機能を合わせて9つのコンポーネントとなり、次期リリースIcehouse版でもさらに新機能が加わる見通しだ。急速な進化を遂げつづけているOpenStackだが、これまで自社内でクラウドオーケストレーションシステムを手がけてきたYahoo! JAPANがなぜ今、OpenStackを選んだのか。そして導入のメリットとは?

ヤフー株式会社システム統括本部 基盤システム開発本部TD 松谷憲文氏

ヤフー株式会社 システム統括本部基盤システム開発本部 インフラ技術開発部

開発リーダー  伊藤拓矢氏

【会社概要】会社名 ヤフー株式会社主な事業内容 インターネット上の広告事業、イーコマース事業 会員サービス事業、その他事業

 システム統括本部 基盤システム開発本部 TDをつとめる松谷憲文氏は、その理由についてこう続けた。 「OSSの中からどれを採用するかを決める際には、各ソフトウェアを取り巻くコミュニティの運営状況を重視しました。バグが明確になっても、なかなかコミュニティで解決されない、というのではオープンソースの意味合いが薄れます。その点OpenStackはコミュニティが活発だし、OpenStackサミットのようなイベントも開催されている。それがひとつの判断基準となりました」 すでに多くの「有識者」が存在して、スピーディにバグフィックスや改良が

進められていることで、開発の負担は軽減する。その一例を、同部門のインフラ技術開発部 開発リーダーの伊藤拓矢氏に挙げてもらった。 「独自の IaaS基盤に OSSを導入するには、まずA P I から つくら な け れ ば なら な い の で す が 、OpenStackの場合、もうすでに多くのAPIが備えられているので、その部分に注力する必要がありません。その分の時間や人員を、検証など別の作業に振り分けることもできるようになりました」 数年前はOSSに対する不安も耳にすることがあったが、現在はそのメリットに重きを置く考え方が本流となっている。特にOpenStackのように注目度が高く、多くの人の手を介することで “こなれてきた”ソフトウェアなら、なおさらだ。 「オープンかつ可視化された開発環境なので、ベンダーロックインの不安もありません」(松谷氏)

Page 2: Yahoo! JAPAN、仮想化基盤をOpenStackへ移行開始 サポー …50,000VMを稼働、将来的には仮想化基盤のすべてをOpenStackに切 り替える予定だという。

ナックス・システムズ・ジャパン株式会社(以下VA Linux)だ。 「LinuxにもOpenStackにも精通している企業、ということを考えて依頼しました 。既 存 システム( L i n u x ベ ー ス )の 背 景 を 踏 まえ つ つ 、OpenStackをどう活かせばいいのかを、スピーディに回答してもらえています」(松谷氏) 「こちらが実現したいことを伝えると、いくつかの方法を提案してくれるので、その中からベストなものを選ぶことができます」(伊藤氏)そこまで OpenStackに精通し、適切なコンサルティングを行えるというVA Linuxとは、どんな企業なのだろうか。

 ハードウェアメーカー各社もOpenStack関連製品やプラグインを続々と投入してきており、発展性、将来性だけでなく、メーカーやベンダーの都合に巻き込まれず、ずっと使い続けられる恒久性を考えても、利用する企業にとって安心感は大きい。 Yahoo! JAPANではこうした追い風を利用し、2014 年度中には50,000VMを稼働、将来的には仮想化基盤のすべてをOpenStackに切り替える予定だという。 この移行のほぼすべてを自社内のスタッフで進めている Yahoo ! JAPANだが、既存システムを動かしながらの作業では、困難にぶつかることもある。その際のコンサルティングを担当しているのが、ヴィーエー・リ

Yahoo! JAPAN、仮想化基盤をOpenStackへ移行開始サポートを手がけるのは、顧客満足度100%の技術者集団

【お問い合わせ先】

ヴィーエー・リナックス・システムズ・ジャパン株式会社〒135-0061 東京都江東区豊洲三丁目2番20号豊洲フロント9FTEL:03-5859-4600(代表) FAX:03-5859-3044 ※受付時間:9:00~18:00(土、日、祝日、弊社指定の休日を除く)Mail:[email protected] URL:http://www.valinux.co.jp/

 基盤系 OSSの開発・サポート・コンサルを手がけるVA Linuxは、2000年の設立以来、Linuxを主軸としたサービスを展開、常にOSSを扱う最前線にあって、早い時期からクラウド技術、そしてOpenStackに着目してきた。コミュニティにも積極的に参加し、OpenStackの仮想ネットワーク管理機能であるNeutronや、APIの開発にも大きく貢献している。 「OSSは、コードをいじることで『やりたいこと』を実現できるのがメリットですが、そのためには、相応の技術力が必要となります。ソフトを入れれば誰でも使える、というものではありません。そこで私たちの技術力を、OSSを利用したいというお客様にご提供させていただいている、というわけです」(代表取締役社長 下平慶龍氏) 刻々と進化を遂げてゆくOSSに追随し、顧客が求める技術をスピーディに提供し続けるために、同社ではひとつの指針を掲げている。 「自社の業務に直接関係するかしないかに関わらず、その従業員が社外のオープンソース・プロジェクトに参加あるいはプロジェクトを立ち上げることを認めます」(同社『オープソース・ソフトウェアに関しての約束』より) 特定の業務だけに縛るよりも、スタッフ個人の関心や得意分野に通じる活動を許容することが、ひいては OSSへの知見を深め、クライアントからの要望に対しても柔軟な発想で、適切なサポートができるようになる――

それを見越して掲げられたのがこの指針だ。 「OSSは勉強して技術を磨こうと思っても、参考にするものがないケースも多く、常にコミュニティに参加して、情報やノウハウを身につけていくのがベストな方法なんです」(技術本部 本部長 高橋浩和氏) こうした開放的でクリエイティブな環境づくりは、顧客企業の 100%が VA Linuxのサービスに「満足」「やや満足」と答えていることからも、有効に機能していることが分かる。 「初期投資がかからず、ベンダーに依存しないので自由度も高いというメリットを背景に、OSSの利用はますます進んでゆくと予想されます。我が社としては、将来的にも皆様に頼っていただける存在になれるよう、これからも常に最新の技術を模索しつづけていきます。そのためにも、今、若い人材を募集しています。OSSや基盤に興味のある方は、ぜひ当社の門を叩いてみていただきたいですね」(下平氏)

OSS導入を支援する「VA Linux」高い技術力と顧客満足度100%の理由

技術力が、高い顧客満足度を得る根拠に

CS調査では、VA Linuxが提供するサービス(コンサルティング、受託開発、障害解析・サポート)について、全社が肯定的な回答をしている。

VA Linux「2013年度 お客様満足度調査」より

9%

91%

やや満足

満足■ 満足■ やや満足■ どちらでもない■ やや不満■ 不満

ヴィーエー・リナックス・システムズ・ジャパン株式会社代表取締役社長下平慶龍氏

ヴィーエー・リナックス・システムズ・ジャパン株式会社技術本部本部長

高橋浩和氏

【会社概要】会社名 ヴィーエー・リナックス・システムズ・ジャパン株式会社主な事業内容 Linuxを主軸とした基盤系オープンソース・ソフトウェアの障害解

析・サポート(VA Quest)、受託開発、コンサルティングサービスの提供、VA Storage®(ストレージ仮想化ソフトウェア)の販売

所在地 〒135-0061 東京都江東区豊洲三丁目2番20号豊洲フロント9F