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Page 1: Windows 分散ファイルシステム で複雑なインフラストラクチャをシンプルにする

Windows 分散ファイルシステム で複雑なインフラストラクチャをシンプルにする

マイクロソフト株式会社発行日 : 2003 年 3 月

概要

Microsoft® 分散ファイル システム (DFS) は、企業にとって柔軟な管理とストレージ所有コストの長期にわたる削減に役立つ戦略的なストレージ管理アーキテクチャです。DFS は、ディスクのセクタの集合へ均一にアクセスできるだけでなく、サーバー、共有、およびファイルへも簡素化された均一なアクセスを提供します。このドキュメントでは、DFS について概説し、IT プロフェッショナル、企業の意思決定者、ファイル サーバーと共有の効率的な管理方法を知りたいユーザーに、その利点を説明します。

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この文書は暫定版であり、ここに記載されたソフトウェアは最終商用リリース前に大きく変更される可能性があります。この文書に記載されている情報はこの文書の発行時点における Microsoft Corporation の見解を述べたものです。市場ニーズの変化に対応する必要があるため、この文書は記載された内容の実現に関する Microsoft の確約とはみなされません。また発行日以降については、この文書に記載された情報の正確さは保証しません。この文書は情報の提供のみを目的としており、明示または黙示に関わらず、この文書について Microsoft はいかなる保証をするものでもありません。該当する著作権法に従うことは使用者の責任です。著作権上何ら権利の制限なく、この文書の一部または全部を、電子的、機械的、複写、録音、その他いかなる手段およびいかなる形式によっても、またいかなる目的のためにも、Microsoft Corporation の書面による許可なく複製、転送、または検索システム等へ格納や導入をすることは禁じられています。Microsoft はこの文書に記載されている内容に対して、特許、特許申請、商標、著作権、またはその他の知的所有権を有する場合があります。本書は Microsoft の書面による明示的な使用許諾がある場合を除き、これらの特許、商標、著作権またはその他の知的所有権に関する権利をお客様に許諾するものではありません。© 2003 Microsoft Corporation. All rights reserved.

Microsoft、Active Directory、MSN、Win32、Win64、Windows、Windows ロゴ、および Windows NTは、米国 Microsoft Corporation の米国およびその他の国における登録商標または商標です。記載されている会社名、製品名には、各社の商標のものもあります。

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Microsoft® Windows® Server 2003 ホワイト ペーパー

目次はじめに......................................................................................................................................... 1

Windows Server 2003 の DFS 新機能.........................................................................................2

このドキュメントについて........................................................................................................2

リソースを最大限に活用するネットワーク ストレージ................................................................3

時間と生産性の損失.................................................................................................................... 3

未使用のストレージ領域............................................................................................................3

余分なコスト.............................................................................................................................. 3

DFS による複雑さの解消とネットワーク ストレージの合理化....................................................4

DFS のしくみ............................................................................................................................. 4

信頼性のあるアーキテクチャ.....................................................................................................6

データの高可用性と簡単なメンテナンス...............................................................................6

ワイド エリア ネットワーク (WAN) の使用帯域幅の最適化..................................................6

セキュリティで保護されたアーキテクチャ...............................................................................7

DFS のセットアップ.................................................................................................................. 8

企業内への DFS の展開方法...........................................................................................................9

まとめ........................................................................................................................................... 10

DFS 用語集................................................................................................................................... 11

関連リンク.................................................................................................................................... 12

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はじめに

ほとんどの企業ネットワークは、複数のファイル サーバーと共有で構成されており、それぞれにファイルが分散しています。これらを閲覧、利用、および管理する簡単な方法があれば、利用してみたいと思いませんか。それこそが、分散ファイル システム (DFS) と呼ばれる、Microsoft® Windows®

環境における、効率的で費用効果の高いストレージ アーキテクチャです。おそらく既に利用されている方もいらっしゃるでしょう。DFS は共有とサーバー間のファイル管理に役立つだけではありません。耐障害性のあるアクセスを提供し、ユーザーや管理者のみならず、費用を節約したい企業にメリットをもたらします。

DFS が IT 部門にもたらす画期的なファイル管理を正当に評価するために、DFS によって解決される問題を紹介します。大半の IT グループは、ファイルとサーバー リソースをユーザーへ安全確実に提供しつつ、それらを効率的に管理することを目標としています。リモートまたはサイトに配置された複数の物理デバイスやユーザー数の増加によってネットワークが拡大するにつれ、ユーザーの必要とするファイルへ接続しにくくなる問題が発生しています。一方では、ネットワークを通じてリソースを配布することで、より多くのユーザーがファイルを利用できるようになり、企業間の作業も促進されています。これは、すべてのユーザーが必要な情報にアクセスできることを意味します。またその一方、現在のワイド エリア ネットワーク (WAN) の場合、ファイルの作成と複製は簡単ですが、ファイル サーバーに突然障害が発生すると、情報の場所がユーザーにわかりにくくなります。IT グループでサポートできない手段をとると、膨大な量のネットワーク ストレージ領域と帯域幅が即座に消費されてしまいます。必要なリンクとファイル パスが更新されたことを企業全体のユーザーに通知する必要がある場合、単に古いサーバーを入れ替えるだけでも伝達する手間が余分にかかります。

このような観点から見ると、分散パラダイムの成功には、分散リソースの管理に苦労するという不利益を企業にもたらしました。しかし DFS はそのすべてを改善します。DFS は戦略的なストレージ管理ソリューションであり、分散リソースを集中管理する柔軟な方法を管理者に提供します。DFS を使用すると、ネットワーク内におけるファイルの物理的な場所に関係なく、フォルダとファイルの簡易ビュー、すなわち名前空間と呼ばれる仮想組織を作成できます。名前空間は、ユーザーに透過的なファイル パスを作成します。たとえば、ファイル サーバー名を変更しても、ユーザーの直観的な仮想 DFS パスが壊れません。DFS は、従来のデータ管理アプローチとは大幅に異なり、パス名を単独の名前空間として論理的に格納します。

DFS 名前空間はグローバルに利用できるので、企業間アクセスにおけるファイル サーバーの可用性が高まります。どのような規模の企業でも、次のような拡張された DFS の利点によってメリットを得ることができます。

ファイルとフォルダへのアクセスの簡素化。DFS は、企業全体の複数のファイル サーバーにアクセスするための直感的な方法をユーザーに提供します。ファイルとフォルダのレプリカも複数のサイトで利用できるため、各サイト内のユーザーが安価な方法でアクセスできます。

容易なメンテナンス。DFS はコンピュータ名に依存せず、また統一した仮想フォルダ領域をエンド ユーザーに提供します。そのため、ユーザーやアプリケーションがデータの場所を検索する方法に影響を与えずに、サーバー統合やデータ移行などのメンテナンス作業を実行できます。また、共有が仮想化され、より柔軟に共有を移動できます。サーバーは共有名と直接結び付けられていません。その結果、共有名や可用性に影響を与えずに、サーバーの入れ替え、変更、または移動が可能です。

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コスト節約幅の向上。Gartner Group の調査によると、分散環境のストレージ管理には、企業 IT 予算の 75 % 程度が費やされています。DFS は、既存リソースの管理を効率化することで、この費用を削減します。

耐障害性のあるファイル アクセス。DFS は、障害時に他の利用可能なサーバーへクライアントをルーティングするため、ユーザーは一切問題を意識することなく、常に共有へアクセスできます。

高可用性とパフォーマンス。DFS の提供する負荷分散によって、データの可用性が高まります。複数のサーバーが数千のユーザーを所有している環境で、ファイル サーバーの応答を向上させます。

ファイル パス パフォーマンスの向上。DFS には、頻繁に使用される共有フォルダへユーザーがアクセスした場合に生じる遅れを減らすメリットもあります。

リソースへのスマートなアクセス。DFS によって、クライアントは最も近いリソースとファイル サーバーへアクセスできるので、ネットワーク帯域幅を節約できます。

Windows Server 2003 の DFS 新機能Windows Server 2003 には、以下のような多数の DFS 拡張機能が備わっています。

DFS サーバーごとの複数の名前空間。1 つの Windows Server 2003 DFS サーバーで数百の DFS 名前空間をホスとできます (Windows Server 2003 Enterprise と Datacenter のエディションでのみサポート)。これにより、サーバーを追加することなく、名前空間の柔軟性を高めることができます。

拡張された複数の DFS ルート。16 以上のルート ターゲットが可能になり、DFS ターゲットの数を地理的に広く分散した場所に拡張できます。ルート ターゲットの数は、ルート ターゲットの DFS 名前空間のメタデータ サイズなど、複数の要素に応じて異なり、時に数百に及ぶこともあります。

Microsoft Active Directory® リンク コストの統合。企業の既存の Active Directory サービスと組み合わせて DFS を実装すると、Active Directory に定義されたサイト リンク コストに応じて、利用可能なすべてのクライアント-サーバー接続が順序付けされます。したがって、ユーザーは最も近くの利用可能なレプリカのデータへ透過的にアクセスできます。

動的なサイト選択。DFS ルート サーバーまたはリンク ターゲットのサイトが変更されると、Windows Server 2003 DFS ルート サーバーが動的に検出します。これにより、サーバーの場所をネットワークの別の部分へ簡単に変更できるので、予測可能で効率的なサイト選択を確実に維持できます。

拡張されたスクリプト ベースの管理。Microsoft Windows Server 2003 では、DFS 名前空間の作成、更新、および削除を記述するコマンド ライン ツールが大幅に拡張されています。スクリプトを使用すると、管理が容易になるだけでなく、DFS の監視とバックアップも可能になります。

レプリケーション管理の向上。Windows Server 2003 の DFS スナップインはリング、フルメッシュ、ハブ アンド スポーク、およびカスタムなど、構成可能なレプリケーション トポロジをサポートします。また、Windows Server 2003 には、ファイル レプリケーションを監視する幅広い新ツールが含まれています。

このドキュメントについて既にファイル サーバーで Microsoft Windows NT® 4 または Windows 2000 を実行しているが、まだDFS を実装していない企業の場合、この技術情報を参考にして、DFS を採用する利点を把握することができます。このドキュメントは、Windows Server 2003, Standard Edition、Windows Server

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2003, Enterprise Edition、および Windows Server 2003, Datacenter Edition オペレーティング システム (この文書では Windows Server 2003 と総称) の DFS に関する多数の改良点も紹介します。

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リソースを最大限に活用するネットワーク ストレージ

ここではネットワークの拡大について考察します。企業 WAN は、企業内の組織が固有のファイルサーバーを取得したり、ユーザーとアプリケーションが新しいリソースを急速に消費したりして、計画当初から無計画に拡大する場合が多くなります。多くの企業は、企業全体で数百のファイル サーバーを所有しています。共有フォルダは多くの場合、WAN をまたぐこれら多数のファイル サーバーに分散しています。このようなファイル システムの管理に頭を悩ますことは、IT 部門では日常的なことです。しかし、主要な企業リソースが領域、費用、および時間を無駄にすることが明らかになり、ユーザーや意思決定者にもその影響が及び始めています。DFS によって、より効率的で簡単にファイルを管理できるようになったことは極めて朗報です。

時間と生産性の損失非効率なストレージ アーキテクチャは、ユーザーと管理者の時間を浪費します。WAN 全体にファイルが分散していると、ネットワーク管理者のサポートが困難になるだけでなく、ユーザーが必要なファイルを探す時間にも無駄が生じます。ソリューションの 1 つとして、必要なファイル共有を含む物理的なサーバーへのショートカットを作成することです。たとえば、サーバーと共有にドライブ文字を割り当てる方法があります。完全な汎用名前付け規則 (UNC) パス名は、\\Server\Share\Path\

Filename のようになりますが、ユーザーはドライブ x に \\Server\Share を割り当てることができます。このように、長くて意味のない名前を覚えなくても、必要な情報をすばやく参照できます。共有上で特定のファイルの場所を探すには、通常、追加のナビゲーションが必要です。

小規模なユーザー グループの場合、このソリューションで十分ですが、ネットワークの規模が大きくなり、既存の内部および外部ストレージをイントラネットなどの目的に使用し始めると、ドライブ文字を個々の共有に割り当てる方法では不十分になります。ユーザーが快適に直接 UNC パスを使用している場合でも、ファイルを保存できる場所の数に困惑するでしょう。ネットワーク管理者がファイル サーバーの移動、名前の変更、または更新を行うたびに、このソリューションがいかに非効率であるかがすぐにわかります。また同時に、ユーザー コミュニティ全体で、生産性の低下が実感されるようになります。

未使用のストレージ領域分散ネットワークのパワーは、別々の場所にいる複数のユーザーとデバイスを接続できることです。マイナス面は、意図しないうちにデータが急増することです。ネットワーク ストレージが必要とされ続ける一方で、Gartner Group によると、メインフレーム環境では、ストレージの使用率が 80% であるのに比べ、分散環境では 30 ~ 40% しか使用されていません。これは、多数の無駄な領域が生じ、事実上、統合や管理が不可能であることを意味します。

余分なコストストレージが非効率だと無駄な費用が生じます。ネットワーク ストレージ容量が不足すると、多くの企業は、大規模なハードウェアをより多く購入します。特にここ数年、ハードウェアの価格が低下していることを考えると、これは妥当な対応に思えます。しかし、Gartner Group の調査では、ストレージ ハードウェアに 1 ドル費やすたびに、3.50 ドルの管理費用が別途必要になることが明らかになっています。ほとんどの企業にとって、余分な支出は許されません。ディスク領域のほかに、ネットワーク帯域幅も無駄にされています。ピークの使用時間帯に共有へアクセスする場合、負荷を分散する機能や、別のファイル サーバーへクライアントを振り分ける機能がないと、クライアントが応答時間の遅れを実感することになります。

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DFS による複雑さの解消とネットワーク ストレージの合理化

逆説的に思えるかもしれませんが、このソリューションは分散方式を集中管理します。DFS は先のような難題に対処するストレージ管理プラットフォームを提供します。簡単に言うと、DFS は分散ファイル管理のプラットフォームです。DFS は、ファイル システムがハード ディスクに対して行うことをサーバーや共有に対して行います。ファイル システムがディスクのセクタの集合に一定の名前でアクセスするのと同様、DFS は一定の名前付け規則を使用して、サーバー、共有、およびファイルの集合にマッピングします。

DFS は、管理者がネットワーク上の共有フォルダに対する、一定で意味のある名前を作成させることで機能します。名前は、基盤となる物理サーバーの記述に依存しないので、データの物理的な場所をアプリケーションとユーザーが意識せずに済みます。アクセスに必要となるサーバーごとに、割り当てられた物理名を知っておく必要はありません。

DFS のしくみDFS サービスは、クライアント コンポーネントとサーバー コンポーネントで構成されています。クライアント コンポーネントは、すべての Windows クライアントに含まれ、クライアントが DFS

サーバーへの要求を行えるようにします。サーバー コンポーネントは Windows NT、Windows

2000、および Windows Server 製品に組み込まれています。DFS サーバー コンポーネントはクライアント要求を受信し、物理的なターゲットに要求をリダイレクトまたは参照します。これは、ブラウザが DNS 要求に応答し、クライアントが Web サイトを参照する方法と類似しています。

さまざまなサーバーの共有フォルダ表示は、DFS 名前空間と呼ばれます。DFS 名前空間は、さまざまなサーバー上にある共有フォルダの直感的なビューであるとも考えられます。また仮想 UNC パスとも考えられます。下図 1 に示したように、名前空間の使用がとても簡単になります。たとえば、\\

myCompany.com\corpdata\Sales と呼ばれるよくアクセスされる企業ドキュメントに対して、単独の名前空間を作成し、さまざまな場所に配置された複数のサーバー上にある物理リソースへマッピングできます。

図 1. DFS は頻繁に利用される共有ファイルへのアクセスを、統合した名前空間を使用して簡素化する

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DFS を使用しない場合、ユーザーは場所やユーザー負荷に関係なくファイル サーバーを選択できます。これは下図 2 に示したように、はるかに非論理的な名前空間です。

図 2. DFS 名前空間の実装前

しかし DFS の実装後は、図 3 に示したように、最も近いサーバーへ自動的にユーザーがルーティングされます。さらに、サーバーが利用できなくなった場合、DFS は、サイト コストを使用して、次に近いサーバーへユーザーを確実にルーティングします。この機能は、スタンドアロンまたはドメイン ベースの DFS 構成のいずれかに Windows Server 2003 を使用している場合に利用できます。また Windows Server 2003 は、Active Directory のサイト コスト情報を使用して、サイトを安価な高速リンクまたは高価な WAN リンクのどちらで接続するか決定します。

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図 3. DFS によって、ユーザーは最も近いサーバーへ自動的にルーティングされる

信頼性のあるアーキテクチャ現在のビジネス環境では、サーバー、ディスク ドライブ、またはファイルに障害が発生したり、あるいはその他の理由で使用できなくなったりした場合でも、常にデータを利用できるようにしておく必要があります。DFS は複数の利点をもたらし、データの信頼性とユーザーの生産性を高めます。

データの高可用性と簡単なメンテナンス

単一のファイル サーバーまたはディスク ボリューム上の 1 つのファイル共有に重要なデータが置かれている場合、そのデータをインフォメーション ワーカーが突然使用できなくなると、生産性が大幅に損なわれることになります。DFS は、相互に代替可能な複数のボリュームを指定することで、データの可用性を高めるように設計されています。この方法では、重要なデータが保存されているボリュームが使用できなくなった場合、DFS がそのデータの要求を代わりのボリュームへ転送します。

DFS では、共有の複数の読み取り専用コピーを同じ論理 DFS 名で実装し、データを利用できる代わりの場所を用意します。このようにデータの可用性が拡張されたことは、インフォメーション ワーカーにとって有益であるだけでなく、IT 管理者にもメリットをもたらします。その理由は、ボリュームの名前空間の残りの部分に影響を与えずに、DFS に関連する個々の共有をオフラインにできるためです。したがって、下図 4 に示したような、データ可用性の向上と柔軟なボリューム管理モデルを達成できます。

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図 4. DFS はユーザーに影響を与えずに、サーバーのメンテナンスを簡素化する

ワイド エリア ネットワーク (WAN) の使用帯域幅の最適化

大規模なサーバーとテラバイトのデータを有することが、必ずしも重要なデータへのパフォーマンスの高いアクセスを確保できるわけではありません。ネットワーク帯域幅とスループットは、ファイル システムがインフォメーション ワーカーに最大限のパフォーマンスを提供する上で、重要な役割を果たします。

DFS は、複数の代替ネットワーク共有に及ぶ DFS ボリュームへクライアント アクセスを均一に分散できるので、負荷分散のパフォーマンスが向上します。共有の複数の読み取り専用コピーを同じ論理

DFS 名で実装できるので、ドライブまたはサーバー間で制限された負荷分散が可能になります。ユーザーが DFS ボリュームからファイルを要求すると、DFS ボリュームに含まれたネットワーク共有のいずれかが透過的に参照されます。たとえば、300 人のユーザーが 1 つのボリュームに対してアクセスを要求した場合、負荷を分散するため、2 台以上のサーバーのコピーにユーザーを振り分けることができます。

セキュリティで保護されたアーキテクチャDFS にはセキュリティが組み込まれており、セキュリティ機能を実装する余分な費用がかかりません。名前をリダイレクトするだけなので、その点でも安全です。また、DFS 名前空間へ接続するユーザーは、適切なアクセス許可を持ったファイルまたはフォルダに対してのみアクセスが許可されます。

技術的に DFS はマルチ プロトコル アーキテクチャです。図 5 に示したように、DFS クライアントと DFS サーバー間の通信には、既定の組み込み認証プロトコルであるサーバー メッセージ ブロック (SMB) と LAN マネージャ (LM) を使用します。図 5 の Step 1 は、クライアントによる DFS 名前空間の要求を示しています。Step 2 で、DFS はこのデータへの適切なパス (AD を使用するときには AD

サイト コスト情報も含む) を返し、Step 3 で、クライアントがサーバーおよび共有へ接続します。

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DFS 名前空間は、ネットワーク ファイル システム (NFS) サーバー、Services for Macintosh™ サーバー、および Netware™ Core Protocol (NCP) によって作成された共有を含む、多種の共有を統合できます。Windows クライアント コンピュータにその他のプロトコルをサポートする適切なクライアント リダイレクタ ドライバがインストールされている限り、DFS ではこの種の共有の仮想名前空間を提供することができます。

.

図 5. DFS は DFS クライアントと DFS サーバー間の通信に SMB/LM プロトコルを使用するが、リモート共有への接続には既存ファイル システムのプロトコルを使用する

DFS のセットアップ図 6 は、DFS 名前空間の起点を示しています。名前空間はルートから始まり、1 つ以上のルート

ターゲットへマップされます。ルートは多くの場合、名前空間全体の参照に使用されます。ルート以下は、固有のターゲットにマップされたリンクで、それぞれが独立したサーバー上の共有フォルダに対応します。DFS ルートは NTFS ボリューム上に配置しなければなりません。DFS ルートは \\

servername\rootname または \\domainname\rootname のいずれかの形式になります。

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図 6. 管理者にとって DFS 名前空間のセットアップを容易にする、使いやすいツール

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企業内への DFS の展開方法

DFS は、企業が必要とする管理者のアクセス範囲、名前空間の規模、および耐障害性に合わせて、柔軟に展開することができます。また、企業の既存の Active Directory サービスと共に実装することも可能です。DFS の展開については、以下の要因を検討してください。

Active Directory 環境では、ドメイン ベースの展開を使用する。Active Directory に DFS 名前空間の構成情報を格納し、ドメイン ベース DFS の展開を作成します。この種の DFS 名前空間には約 5,000 のリンクを含めることができます (ただし、実際のリンク数はルート/リンク記述の文字数に応じて異なります。名前が短いと、より多くのリンクを生成できます)。複数の DFS ターゲットを同じドメインに作成すると、可用性を確保することができます。スクリプト、ファイル複製サービス (FRS)、またはサードパーティのレプリケーション ツールを使用して、複数のターゲットにわたりファイルをレプリケートできます。

5,000 以上のリンクを持つ単独の名前空間では、スタンドアロンの展開を使用する。スタンドアロンの DFS ルートとなるホスト サーバーに DFS をローカルにセットアップすることで、5,000 以上のリンクを持つ単独の名前空間を作成することができます。DFS 構成情報は、Active Directory ではなく、ローカル レジストリを使用して格納します。ローカル サーバー上の Administrators グループのメンバは、スタンドアロン DFS のセットアップを実装できるので、ドメイン ベース DFS よりも広範な管理が可能です。Domain Administrators グループのメンバである必要はありません。単独のスタンドアロン DFS の名前空間は 50,000 に及ぶリンクをサポートできます。

スケーラビリティを最大化するには、カスケードされた展開を使用する。構成をカスケードし、スタンドアロン DFS とドメイン ベース DFS を混在させることで、より高いレベルのスケーラビリティが得られます。Windows NT、Windows 2000、または Windows XP クライアントで使用される場合、最大 8 階層のカスケードが可能であるため、DFS は事実上、無制限の数のリンクをサポートします。

スタンドアロン DFS に耐障害性を付加するには、クラスタを使用する。スタンドアロンの展開で DFS 名前空間の可用性を確保するために、クラスタ化されたファイル サーバー上にスタンドアロン DFS ルートを作成できます。Active Directory を使用して、高可用性を実現するドメイン ベース DFS の構成は必要ありません。

さまざまな種類のクライアントとサーバーが DFS との互換性を備えていることから、展開はより簡単になっています。たとえば、Windows Server 2003 ファミリ、Windows 2000、Service Pack 6a を適用した Windows NT 4.0のいずれのサーバーでも、ターゲットのホスティングの際に快適に動作します。また、Windows Server 2003 ファミリ、Windows XP Professional、Windows 2000

(Professional および Server バージョン)、Service Pack 6a を適用した Windows NT 4、および DFS

クライアントをインストールした Windows 98/95 のいずれのクライアントでも、DFS 名前空間のターゲットにアクセスできます。

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まとめ

DFS を展開することで、企業はファイル ストレージ管理の向上、ファイル ストレージの可用性向上、およびストレージ コストの低減を図ることができます。DFS は、基盤となる物理サーバー記述に依存しない、一定で直感的な名前空間を作成するため、ユーザーと管理者が共にメリットを得られます。ネットワーク間に物理的に分散したファイルのアクセスと管理を容易にするだけでなく、ネットワーク システムをより効率的に管理することもできます。従来は、ファイル サーバーの移動、名前の変更、または更新が必要になると、ユーザー コミュニティ全体の生産が失われていました。現在、DFS

の複数のターゲットを指定する機能により、耐障害性のあるアクセスとある程度の負荷共有を提供し、新たなレベルのネットワークの柔軟性が得られます。

DFS はすべての Windows クライアントと、Windows NT 4 以降のすべての Windows サーバー製品に含まれています。Windows Server 2003 ファミリは、企業にとっての戦略的財産となる DFS の機能を通じて、ストレージ関連の機能向上、コスト削減、ならびに IT 部門とエンド ユーザー双方にとって簡単で広範なストレージ管理を実現します。

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DFS 用語集

アクティブ ターゲット : 現在、クライアントがルートまたはリンクへのアクセスに使用しているリンクまたはルート ターゲット。

DFS クライアント : DFS システム ソフトウェアのクライアント部分がインストールされ、有効になっている Windows ベースのコンピュータ システム。

DFS メタデータ : DFS 名前空間の構成を記述するメタデータ。

DFS 名前空間 : DFS ルートと多数のリンクおよびターゲットで構成される階層形式の名前空間。名前空間は DFS ルートで始まり、1 つ以上のルート ターゲットへマップされます。ルート以下は固有のターゲットにマップされたリンクです。

DFS パス : DFS ルートで始まる UNC パス。

DFS ルート : DFS 名前空間の起点 (DFS ルートは DFS 名前空間の一部)。DFS ルートは 1 つ以上のルート ターゲットにマップされます。

DFS サーバー : DFS システム ソフトウェアのサーバー部分がインストールされ、有効になっている

Windows ベースのコンピュータ システム。DFS ルートをホストします。

ドメイン ベース DFS: Active Directory ドメインによってホストされる DFS 名前空間。

リンク : DFS ルート以下に配置され、1 つ以上のリンク ターゲットへマップされる DFS 名前空間の要素。それぞれが UNC 名に対応します。

リンク ターゲット : UNC パスで表現された DFS リンクのマッピング先。

メンバ サーバー : Active Directory ドメインに属するサーバー。

混在モードのドメイン DFS : Windows 2000 サーバー上でホストされる少なくとも 1 つのルート

ターゲットと、Windows Server 2003 でホストされるルート ターゲットを持つドメイン ベースの

DFS 名前空間。

親ディレクトリ : DFS パスの親ディレクトリは、DFS クライアントによる最終的な DFS パスの解決先となる、共有フォルダ上にあるエンティティの親ディレクトリです。これは、1 つのリンクに対して複数のリンクが関与する DFS パスの場合、複数の親ディレクトリ候補があり、各 DFS クライアントは、任意の時点で指定された DFS パスに対して、固有の親ディレクトリを決定することを意味します。

ルート ターゲット : UNC パスとして表現された DFS ルートのマップ先。

サイト : Active Directory の概念。サイトは Active Directory 構成コンテナ内に作成されるオブジェクトです。概念的な面から、ある場所にマップする必要があります。IP サブネットも構成コンテナ内のオブジェクトです。IP サブネットを使用して IP アドレスの範囲を定義します。1 つの IP サブネットを厳密に 1 つのサイトへ割り当てることや、複数の IP サブネットを同じサイトに割り当てることができます。

スタンドアロン DFS : 単一のコンピュータでホストされる DFS 名前空間。これにはクラスタ

(MSCS) も含まれる場合があります。

ターゲット : UNC パスとして表現された DFS ルートまたはリンクのマップ先。

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UNC パス : 汎用名前付け規則 (UNC) に従ったパス名。\\servername\path のように構成されます。サーバー名は、ネットワーク上で有効に構成されたエンティティ名でなければなりません。パスは「\」記号で要素が区切られた、有効な win32 パス名です。

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関連リンク

詳細情報については、以下のリソースを参照してください。

DFS に関する詳細な技術情報とトラブルシューティング情報については、Windows Server 2003 Resource Kitを参照してください。

http://www.microsoft.com/japan/windowsserver2003/techinfo/reskit/resourcekit.mspx

Windows Server 2003 ファミリにおけるファイルと印刷の利点の一覧については、「ファイル サービスと印刷サービスに関する新機能」(http://www.microsoft.com/japan/windowsserver2003/evaluation/overview/technologies/fileandprint.mspx) を参照してください。

Windows Server 2003 ファミリの機能情報については、「Windows Server 2003 ファミリの紹介」(http://www.microsoft.com/japan/windowsserver2003/evaluation/overview/default.mspx) を参照してください。

Windows Server の提供する新たなストレージ管理についての情報は、「ストレージの管理に関する新機能」(http://www.microsoft.com/japan/windowsserver2003/evaluation/overview/technologies/storage.mspx) を参照してください。

Windows 2000 の情報ストレージ技術についての詳細は、「ファイル サービスと印刷サービス」(http://www.microsoft.com/japan/windows2000/technologies/fileandprint/default.asp) を参照してください。

Windows Server 2003 の最新情報については、Windows Server 2003 Web サイト

(http://www.microsoft.com/japan/windowsserver2003) をご覧ください。

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