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第1章 ダイカスト産業の現状 1.はじめに ダイカストは、精密な金型に溶融金属を圧入し、高精度で鋳肌の優れた鋳物をハイサイ クルで大量に生産する鋳造方式である。その特徴としては、①生産性が高い、②寸法精度 が良い、③後加工が少なくてすむ、④鋳肌がきれい、⑤機械的性質が良い、⑥薄肉製品に 適しているなどが挙げられる。 高品質を維持しつつ量産できるダイカストは、自動車、二輪自動車、一般機械、電気・ 電子機器、通信機器、精密機械、建築金物、日用品といった多種多様の工業製品や装飾品に 用いられ、あらゆる産業の発展に欠かすことのできない技術として貢献している。また、 環境保護への意識が高まる中、ダイカストは、リサイクル性に優れているだけでなく、薄 肉軽量化によって省エネルギーにも貢献している。 省力化、自動化への改善努力がなされ、資源の消費や環境への負荷をできるだけ抑制す るという「循環型社会」の確立に応えるダイカストは、人と社会にやさしい技術として大 いに注目されている。 2.ダイカストの歴史 紀元前から伝わる砂型鋳造法に比べて、ダイカストの歴史は一世紀を超えたにすぎない 。 その起源は、1838 年米国のブルースによって発明されたといわれ、目的とするところは 活字を迅速に、しかも大量に鋳造することにあった。この原理を応用したプランジャー機 がドーラーによって 1905 年に完成し、このダイカストマシンによって製造されたダイカ ストが商業化の最初だといわれている。 わが国におけるダイカストの研究は文献によれば、 1910 ( 明治 40 )頃から行われ、 1917 (大正 6 )には、民間会社で手動式の機械でダイカスト鋳造がなされたと伝えられ ている。昭和初期からダイカストの工業化が始まり、その時代時代の花形商品の素形材と して活用され、1940 年代は軍需部品の生産に重点が置かれていた。第二次世界大戦中は、 軍需の利用範囲が拡大し需要量も激した。 戦後は、和産業に一し、家庭金物、日用品雑貨、通信機の部品(足踏みミシン、自 車の発電ランプ、カボデイ、ミニカーなどの生産のため各地小規模なダイカス ト工続々業した。1950 (昭和 25 )代に入って朝鮮の特需によりダイカス トの生産量も加した。さらに、1955 (昭和 30 )頃から始まった高度経済により 電、カラ、建築金物の部品等(テレビ部品、冷蔵庫部品、ートイ部品、事務用品 などの需要が加し、1959 (昭和 34 )頃から自動車産業の量産制が整備されるの い、生産量は激に大した。 それ以降は、ダイカストマシン、金型、鋳造業などにおいて技術的改善が行われ、用に拡大し、わが国の高度成、特に自動車産業の発展とともにダイカストの生産は飛躍的に 大し、2007 (19 )には1158千トンの生産量となった。しかしながら、2008 秋以降の米国発の経済危機は世界不況をもたら激な産を2009 年のわが国の 1 青書き部分:追補版成にし、正・加したもの

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第1章 ダイカスト産業の現状

1.はじめに

   ダイカストは、精密な金型に溶融金属を圧入し、高精度で鋳肌の優れた鋳物をハイサイ

クルで大量に生産する鋳造方式である。その特徴としては、①生産性が高い、②寸法精度

が良い、③後加工が少なくてすむ、④鋳肌がきれい、⑤機械的性質が良い、⑥薄肉製品に

適しているなどが挙げられる。

高品質を維持しつつ量産できるダイカストは、自動車、二輪自動車、一般機械、電気・

電子機器、通信機器、精密機械、建築金物、日用品といった多種多様の工業製品や装飾品に

用いられ、あらゆる産業の発展に欠かすことのできない技術として貢献している。また、

環境保護への意識が高まる中、ダイカストは、リサイクル性に優れているだけでなく、薄

肉軽量化によって省エネルギーにも貢献している。

省力化、自動化への改善努力がなされ、資源の消費や環境への負荷をできるだけ抑制す

るという「循環型社会」の確立に応えるダイカストは、人と社会にやさしい技術として大

いに注目されている。

2.ダイカストの歴史

  紀元前から伝わる砂型鋳造法に比べて、ダイカストの歴史は一世紀を超えたにすぎない。

その起源は、1838年米国のブルースによって発明されたといわれ、目的とするところは活字を迅速に、しかも大量に鋳造することにあった。この原理を応用したプランジャー機

がドーラーによって 1905年に完成し、このダイカストマシンによって製造されたダイカストが商業化の最初だといわれている。

   わが国におけるダイカストの研究は文献によれば、1910年(明治 40年)頃から行われ、1917年(大正 6年)には、民間会社で手動式の機械でダイカスト鋳造がなされたと伝えられている。昭和初期からダイカストの工業化が始まり、その時代時代の花形商品の素形材と

して活用され、1940年代は軍需部品の生産に重点が置かれていた。第二次世界大戦中は、軍需の利用範囲が拡大し需要量も激増した。

戦後は、平和産業に一変し、家庭金物、日用品雑貨、通信機の部品等(足踏みミシン、自

転車の発電ランプ、カメラボデイ、ミニカーなど)の生産のため各地で小規模なダイカス

ト工場が続々と開業した。1950年(昭和 25年)代に入って朝鮮戦争の特需によりダイカス

トの生産量も増加した。さらに、1955年(昭和 30年)頃から始まった高度経済成長により

家電、カメラ、建築金物の部品等(テレビ部品、冷蔵庫部品、オートバイ部品、事務用品

など)の需要が増加し、1959年(昭和 34年)頃から自動車産業の量産体制が整備されるの

に伴い、生産量は急激に増大した。

それ以降は、ダイカストマシン、金型、鋳造作業などにおいて技術的改善が行われ、用途は広

汎に拡大し、わが国の高度成長、特に自動車産業の発展とともにダイカストの生産は飛躍的に

増大し、2007年(平成 19年)には1158千トンの生産量となった。しかしながら、2008年秋以降の米国発の経済危機は世界同時不況をもたらせ、急激な減産を招き 2009年のわが国の

1

青書き部分:追補版の作成に際し、修正・追加したもの

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ダイカスト生産量は756千トンと大幅に落ち込んだ。2010年(平成 22年)は、983千ト

ン(10 月統計から推定、H23.2.15~20 経産省統計公表後、値を記入)に回復に転じたが、過去最多の

2007年比 84.9%(10 月統計から推定、H23.2.15~20 経産省統計公表後、計算値を記入)で、円高の影

響は輸出産業への影響が厳しく暫くの間は低迷が続くと思われる。

3. ダイカストを取り巻く環境変化

3.1 国内市場の成熟

    ダイカストは、他の素形材産業と同様 1990年までは市場が拡大し続けてきた。しか

し、バブル崩壊後はダイカストを取り巻く環境が次のように変化している。

(1)国内経済の低迷と、主に家電などのユーザー産業の海外移転などによって国内市場が

縮小。

(2)国内市場は低付加価値品において、韓国、東南アジア、中国などの海外企業との競合

が発生。

(3)これまでの需給バランスが崩れ、取引先からのプライスダウン圧力の強化。

(4)騒音、振動などについての環境規制の強化により、環境コストも増加。

(5)若年者の製造業離れ、基盤技術についての大学教育の後退などによる人材育成問題も

顕在化。

過去数年の景気回復によってダイカストメーカーも忙しくなってきたが、需要の 80%を超え

る自動車も海外生産が急拡大している中で、国内生産は過去 10年間 1,000 万台で推移してき

たが、2008年のリーマンショックの影響を受けて 2009年は 690 万台にまで落ち込み、2010年は 840 万台(自工会 11 月統計から推定、12 月分公表後、修正)まで回復したものの内需の減少、円高傾

向の継続等の不安定要因から大きな期待はできない。

3.2 グローバル化の進展とアジア諸国の追い上げ

    1990年代に入り、経済・産業のグローバル化が急速に進展した結果、中国をはじめと

するアジア諸国は素形材や部品を生産する拠点として、また、市場として成長してきた。

(1)海外の素形材メーカーの技術レベルの向上が加速し、日本が輸出していた製品は現地

生産に代替され、さらに、アジア諸国から輸入された製品が国内の製品と競合する

ケースも出てきた。そのため、国内で材料を調達し、国内で製造・販売しているダ

イカストメーカーであっても間接的に国際競争にさらされるようになった。

(2)その結果、国内市場においてシェアが低下するだけでなく、ダイカストの価格低下

を招き、ダイカスト産業の収益低下要因になっている。

3.3生産技術・ITの革新

過去十数年のコンピュータの普及など IT技術革新は、ダイカストマシンの自動化、

CAD/CAM/CAEなどのソフトウェアの発達をもたらし、熟練技術でやっていた工程を

未熟練者や無人でできるようになった。

このことは、ダイカストメーカーが競争力を維持するために設備投資額を増加させ、

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適正企業規模をも変化させた。さらに、生産技術の革新・IT化は製品の開発期間を大幅

に短縮させており、ダイカストメーカーも、開発・生産システムを変化させつつ対応し

ていく必要が出ている。

一方、生産技術の革新・IT化によっても対応できない技能の領域は存在しており、こ

の部分を担う中小企業においては、自社にとっての重要な技能を見極め、それによって差

別化を生み出していくことができる市場を狙って、技能を高度化していくことが求めら

れている。

3.4 経営手法の多様化

   日本経済の構造改革が進展した結果、資本市場や企業組織に大きな変化が起こっている。

従来のように「ユーザー企業の求めるダイカストを早く、安く、精緻に、大量に作る」

ということでは不十分となり、「自社の強みを明確化して製品領域を決定し、そのため

の最適な企業規模・経営形態を選択していかなければならない」という意味において、

経営者の能力が厳しく問われる時代になっている。

4.ダイカストの優位性

 4.1 ダイカストのメリット

    ダイカストの製造工程はほぼ自動化されており、熱間工具鋼などで作られた金型は数万

ショットを鋳造することが可能で大量生産に適している。高い生産性に加えて、優れた

寸法精度、美麗で滑らかな鋳肌、機械加工の削減、高強度などの特徴を持つためダイカ

ストの用途は広がっている。

    最近では、車両の軽量化による燃費の向上に対するニーズが高まり、鋳鉄製のシリン

ダーブロックや変速・駆動系部品がアルミニウム合金ダイカストへと置き換えられ、さ

らに軽量なマグネシウム合金ダイカストの適用も検討されている。また、真空ダイカス

ト法やスクイズダイカスト法などの特殊ダイカスト法の定着により、ダイカストでは困

難とされてきた強度部品や車体系材料がアルミニウム合金ダイカストに代替されつつあ

る。

要求がますます増大する軽量化と複雑形状品の一体化・大型化のニーズに応えて、ダ

イカストが新しい産業分野の需要を開拓することが期待される。一方では、最近の電気

自動車の実用化により、自動車産業の大幅な構造変化が想定され前途は予断を許さない。

 4.2 他の製造方法に対する優位性

    ダイカストは、経済的にも機能的にも、砂型鋳物、鍛造、プレス、機械加工など他の

製造方法に比較して優れている点が多い。他の製造方法もそれぞれ固有の長所を持って

いるので一概にはいえないが、鋳造速度、省人化などの生産性、製品の薄肉化、寸法精

度、鋳肌の滑らかさなどの品質において金型鋳物や砂型鋳物に勝っている。また、複雑

形状、後加工の省略などにおいて鍛造やプレス、機械加工に勝っている。

プラスチック成型品と比較すると、①材料のリサイクルが容易である、②機械的性質

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に優れ、薄肉にできる、③高級感、質感がある、④電磁波を遮断できる、⑤熱伝導率が

大きく、放熱性が良いなどの利点を有している。そのため、モバイルやIT、デジタル

化を代表する製品において、ダイカストの採用率が拡大している。

5. ダイカスト産業における問題

 5.1 低収益性

    ダイカスト産業は、かつては景気が良かった時代があったものの、1990年代以降は、

経営環境の変化の中で、自動車、一般機械などのユーザー産業に比べて明らかに儲かり

にくい産業になっている。

失われた 10年を経て 2004年以降、中国経済の急成長や自動車産業などの製造業の好

調に引っ張られるように日本の景気が回復した。しかし、原材料の高騰の影響が大きく、

ダイカスト産業は一部を除き利益なき繁忙が続き、収益を十分確保していない。

5.2 企業間格差

    ダイカスト産業は、収益率が低いといっても、優れた技術や経営手法により他社と差

別化できている企業はこの好景気の波に乗り、大きな利益を出していることも事実で、

国内市場が成熟した今日、企業間での格差が生じているのが特徴的である。

収益率が低いと「収益を確保し、それを人材、設備、技術開発に再投資し競争力を維

持・強化する」というサイクルが維持できなくなって競争力が弱まり、格差が拡大する

ことが懸念される。

5.3人材確保・育成

環境が変化するなかで、他社と差別化できる製品を提供できる競争力がないと企業の

存続は難しくなっている。競争力の源泉は人材であり、その確保及び能力の育成は喫緊

の課題である。また、2008年(平成 20年)後半から百年に1度という急激な経済変化

は世界同時不況をもたらせ、加えて超円高が続き、ダイカストの大手ユーザー業界は一

斉に海外現地生産に拍車を駆け、国内生産は大きく減少した。このため、ダイカスト産

業にもこれらに対応するための大きな転機が訪れており、人材確保・育成に対する問題

点として以下のものがあげられる。

  (1)業界の知名度が低い

      ダイカスト産業は、世界に通じる高い技術力を持っていても、受注下請産業のた

め一般的にはあまり知られていない。

  (2)就労条件に対するイメージが悪い

      ダイカストの労働環境は、かなり改善されたが、未だ3K(汚い、きつい、危

険)のイメージが残っている。

  (3)人材育成のための時間や資金がない

     多くのダイカストメーカーは、教育にかけるエネルギー、時間、資金が不足して

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いる。

そのために、「採用が困難、人材育成ができない、人材力が高まらず競争力を高

められない、企業活動が活性化しない、採用が困難」といった悪循環から抜け出せ

ない。

  (4)グローバル化への対応力が小さい

      中小ダイカスト専業メーカーは、収益力が低く、また、国際化への情報や分析力

に劣り、独自での海外進出に大きな壁がある。これらの障害を乗り越えるための人

材育成が大切である。

5.4自動車産業への依存

現在のダイカスト産業の好調は自動車産業に負うところが大きい。特に、軽量化の流

れに乗り 2002年以降は、自動車産業向けの製品が 80%を超えるようになった。その結

果、ダイカストの景況は自動車産業の立地に応じて地域差が生じている。

しかし、電気自動車の開発が進み普及することになると、ダイカストの需要が減少す

ることが予測される。また、過度に自動車産業への依存が高まると、仮に日本の自動車

産業が不調に陥った場合、壊滅的なダメージを受けることが懸念される。

5.5金型取引慣行

金型に関する取引においては、代金の請求と受領、金型の寿命、金型の所有権、金型

の保管期間などについて従来から曖昧なところが多く 日本ダイカスト協会もダイカスト、の標準シリーズで「金型取引編」(DCS D)を規定し取引の標準化を図っている。しかし

ながら、実際の取引ではユーザーとの力関係があって標準どおりにはなっていない。

特に、金型の保管については、保管場所、保管管理の面でダイカストメーカーの悩み

の種になっている。金型は、高額のためユーザー企業から廃却が認められにくく、保管

期間も長期にわたるため保管費用、メンテナンス費用など大きな負担になっている。ま

た、金型代金の回収にかなりの期間を要するため、ダイカストメーカーにとっては継続

的な資金負担が経営を圧迫している。ただし、最近は 24 回払い(2年)から、12 回払

い(1年)に改善されたケースも見られるようになった。

5.6高品質化と過剰品質

製造技術の著しい発展と定着によって製品の高品質化が進んでいる。しかし、溶融金

属を金型の中に高圧を加えて圧入し 複雑形状の製品を一体で成形するという製法の特性、から、現在でも、巣、ガス欠陥、湯じわ、焼付きなど各種の欠陥がつきものであり、こ

れらをいかに改善するかが課題である。

    一方、完成品が世界各国へ流通するため、ユーザー企業はクレームを恐れて外観部品の

みならず機能部品に至るまで、過度の品質要求が当然視されている傾向がある。

6.地球環境問題

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環境・安全委員会検討中( H23.2.16最終)

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ダイカスト産業を取巻く地球環境問題は、地球温暖化対策、廃棄物対策、製品含有有害物

質のリスク削減、大気汚染・水質汚濁・土壌汚染問題等多岐にわたっている。

特に地球温暖化ついては現在大きな問題となっており、過去 20年程の間に科学的な研究

が進んだ結果、地球温暖化の要因が人間の経済・産業活動により排出される温室効果ガス

による影響であると結論付けられた。温室効果ガスには、CO2、メタン、一酸化二窒素、

代替フロン等3ガス(HFC,PFC,SF6)があるが、温暖化の主たる要因は石炭、石油、天然

ガス等のエネルギー源を燃焼させて発生する CO2であり、この CO2は大気中寿命が長く、

10~1000年間の長期間にわたり地球に悪影響を与え続けると予測されている。

ダイカストは金属を溶解して金型に圧入するその製造工程の中で熱エネルギーを大量に

消費するため、製造業の他の業種と比較しても、地球温暖化対策による負担が加わった場

合の影響が大きい。ダイカスト業者には中小企業が多く、資金や技術等環境対策に割く余

裕がなかったことから、自動車産業や電気・電子産業に比べて、取組みも遅れている。背

景としては、①中小企業の工場において工場全体の電気、ガス等エネルギー使用量を把握

している企業は多いものの、生産設備ごとにエネルギー使用量を把握している企業は少な

い、②省エネ設備等の導入による具体的効果等の省エネノウハウが蓄積されていない、③

人材の不足する中小企業においては、設備のメンテナンス等を調整するエンジニアが少な

く、生産設備が最適なコンディションで運転されていないことが多い、④資金面の問題で、

設備更新等を通じた省エネ設備の導入が遅れていること等が上げられる。また、2008年(平成 20年)までの好況により生産能力の増強に投資の重点が置かれていたことも取り組

が遅れている原因とされている。

現在主たる CO2の発生源となっているのは、溶解炉・保持炉であり、続いてダイカスト

マシンの油圧駆動用、コンプレッサー駆動用電力消費等が考えられる。その他代替フロン

も不燃性ガスとして一部で使用されている。

このような状況の中、エネルギー消費量を減らし温室効果ガスの低減を推進するための

京都議定書に呼応して「ダイカスト工業の環境自主行動計画」を策定し、業界全体で環境

負荷削減に自主的、積極的に取り組んでいる。

「ダイカスト工業の環境自主行動計画」

(1) 地球温暖化対策

目標:二酸化炭素排出原単位(対生産量)を、1990年度を基準として 2008年度から 2012年までに、毎年 1%ずつ低減するよう努力する。

(2) 循環型社会の構築

目標:廃棄物の排出原単位(対生産量)を、2008年度を基準として 2012年度までに、毎年 3%ずつ低減するよう努力する。

(3) 環境システムの構築

目標:会員企業の組織的環境対応体制を整備し、環境マネジメントシステム

ISO14001 及びエコアクション 21の認証取得を積極的に進める。

(4) 海外事業活動における環境保全対策

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目標:経団連の地球環境憲章を援用し、これを遵守して、海外事業を継続しあるいは

新たに実施する。

しかしながら、未だ地球温暖化が進展することによる環境破壊の深刻さと、省エネルギー=

温室効果ガスの低減という考えが十分に理解されているとはいい難い。

また、1992年地球サミット以降、化学物質リスク低減の流れが加速しており、ヨーロッパ

ではREACH 規制・RoHS/ELV指令等、アメリカでは有害物質規制法、中国も新化学物質環境管

理規則(中国版 RoHS)、そして日本では化学物質審査規制法・資源有効利用促進法等製品含有

有害物質規制及び環境法規制が進んでいる。

これら諸問題に対し、「環境保全セミナー」を継続的に開催し会員企業への情報提供、啓蒙

活動を実施している。

京都議定書の要点

○先進国の温室効果ガス排出量について、法的拘束力のある数値約束を各国ごとに設定

対象ガス 二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素、代替フロン等3ガス

(HFC、PFC、SF6)の合計6種類

吸収源 森林等の吸収源による二酸化炭素吸収量を算入

基準年 1990年(HFC、PFC、SF6は1995年としてもよい)目標期間 2008年~2012年の5年間

数値目標 各国の目標 → 日本△6 % 米国△、 7 %、EU△8 %等

先進国全体で少なくとも5%削減を目指す

○国際的に協調して約束を達成するための仕組み(京都メカニズム)を導入

・排出量取引:先進国間での排出枠( 割当排出量) をやり取り

・共同実施 :先進国間の共同プロジェクトで生じた削減量を 当事国間でやり取り

例)日本 ロシアが協力してロシア国内の古い石炭火力発電所を最新の・天然ガス火力発電所に建て替える事業

・クリーン開発メカニズム:先進国と途上国の間の共同プロジェクトで生じた削減量

当該先進国が獲得

例)日本 中国が協力して中国内の荒廃地に植林を行う事業・

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第2章 ダイカスト産業が目指すべき方向性

1.技術・技能を活かした攻めの経営

1-1自社の技術・技能の棚卸しと活用

企業規模、資金力で限界のある中小企業の多いダイカスト産業界においては、自社の

技術・技能を適正に評価し、自社の強みを顧客にアピールすることで需要拡大に繋げ、

また、技術・技能の棚卸しにより、経営を強化し収益性を上げることが重要である。

(1)技術評価基準の策定

変化する環境の中で、自社にとって必要な技術・技能を適正に評価するための

「技術・技能のモノサシ」を作り、従業員の持つ技術・技能を評価する。

(2)自社技術・技能の把握

現状の自社技術・技能を把握し、グローバルな視点で業界内での自社の位置を明確

にして、得意とする技術・技能を構築する。

(3)自社技術・技能の解析

自社の技術・技能のうち、それが機械化・IT化によって誰でもできるものか、熟練作

業者でなければできないものかを見極め、「育てる技術・技能」と収益につながらな

い「過剰な技術・技能」(単なるコスト要因)とに区分する。

(4)自社の得意技術・技能を活用する仕組み作り

自社の得意とする技術・技能、固有技術の強みをアピールし、受注を得る仕組みを

構築する。

例 (1)自社の技術・技能が提供する価値を解り易く示す。

     自社の強み、顧客の難題解決事例、ものづくりへの考え方、具体的な精度

の実績事例などを示す。

(2)パンフレット、ホームページ、展示会(自社プライベート展示会・業界団体主

催の展示会)などによる積極的な PRを行う。(3)自社ブランドを確立する。

1-2ダイカスト基盤技術の研究開発とその実用化

(ダイカスト不良撲滅のための研究開発)鋳造方案・鋳造歩留りの向上、流動解析、金型寿命(型割れ、ヒートチェック)の研究などのダイカストの基盤技術を高め、活用することで、高品位化を図るとともに、不良

低減、高歩留り、無修正化を実現し、コストダウンに繋げる。また、製品設計時点での

顧客への的確なアドバイスを行うことにより、初期不良を抑え、納期短縮を可能とし、

技術的信頼関係を築くことができる。

(1)研究すべきダイカスト基盤技術を明確化

例 1.鋳造条件の適正化研究開発

・鋳造機の精密制御技術

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・金型温度の制御管理

・自動測定装置

2.鋳造歩留りの向上に関する研究開発

3.CAEシステムの研究開発

4.簡易金型の実用化開発

  (2)ダイカスト基盤技術の研究開発の推進

  (3)ダイカスト基盤技術の実用化

  (4)基礎技術の研究成果の普及

      例1.アドバイザー、技術派遣員の活用

1-3ダイカスト新技術開発によるニーズへの対応

(最先端技術の開発、企業又は産学官での取組み)    将来の市場ニーズ、顧客ニーズ、未来技術を正確に把握し、必要となる新材料、新技術

開発、効率的投資を行うことにより需要拡大に繋げ、日本のダイカスト産業界を世界にア

ピールする。また、材料、技術の多様化により新しい市場を開拓し、企業の棲み分けと高

付加価値化による収益性の改善を図る。

(1)新材料・新技術開発のための基礎データ収集

ニーズの把握、新材料開発、新製造技術開発、設備開発などを行うための基礎デー

タを収集する。

(2)新材料・新技術による新市場開拓

   自動車業界のみならず、宇宙開発、航空機、ロボット、家電、 IT、医療、環境機器などが必要とする高強度、高靭性、超軽量化、薄肉化、複雑形状、低共振性、低環境

負荷などの特性を持つ材料・技術開発を行う。

(3)補助金制度、税制活用システムの確立

研究開発費、特定設備購入資金の負担を削減するための制度を活用するシステム

を確立する。

2.健全な取引慣行で共存共栄

ダイカスト産業は、中小企業の占める割合が高く、他方でユーザー産業は自動車産業を

はじめ加工、組立型の大企業がその主要部分を占めている。そのためダイカストメーカー

はどうしても力関係で弱い立場に置かれやすい。対等なパートナーとはなりにくく、下請

け性の強い取引慣行が一般的になっている。

2-1関係法令を遵守した取引の推進(独占禁止法、下請代金支払遅延防止法、不正競争防止法

などの関係法令の遵守)

(ユーザー企業とダイカストメーカーが対等なパートナーとして、取引ができるように

するために)

(1)法令解説ガイドブックの作成とユーザー業界への啓発

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法令をわかりやすく解説したガイドブックを作成し、ユーザー産業への啓発を図

る。

(2)関係法令の周知と運用強化

    関係法令をユーザー産業へ周知させるとともに、下請代金支払遅延防止法の強化と、

違反行為への厳正な対処が望まれる。

2-2 モラルある取引が行える仕組み作りとその実施

(1)要求事項と適正価格のガイドラインの作成とユーザー業界への啓発

(仕様及び品質の)要求事項と適正価格とのガイドラインを作成し、健全な取引慣

行を定着させるためにユーザー産業へ働きかける。

(2)定期的プライスダウン要求の抑制

定期的なプライスダウン要求を抑制できるようその不合理性をアピールし、理由

のない値引には応じない意識の定着を図る。

(3)適正品質基準の明確化

見積段階で適正品質基準を明確化するとともに金型の老朽化に伴って発生する追加

の仕上げコストなどについても予め取決めができるようにする。 また、特に過剰

品質になりやすい外観品質についてのガイドラインを作成する。さらに、見積契約

時点と比較して実際の生産数量が大幅に下回った場合の補償についても予め取決め

できるようにする。

(4)量産終了後の金型保管・廃棄基準の明確化

量産終了後の金型保管・廃棄基準を明確にする。ダイカスト産業とユーザー産業、

それに経済産業省が一体となってガイドラインを作成し、金型の保管・廃棄ルール

を決める。保管する場合は、その期間と経費を取り決める。廃棄を確実にするため

には、金型仕様書などの整備、標準化を進める。

(5)金型代金の支払い条件の明確化

金型及び付帯する治工具や機械加工の専用設備などの代金の支払条件を明確にする

ことが重要である。特に、金型は、金型完成直後に一括して代金が支払われること

がなく、量産が始まるまで数か月経ってから支払いが始まる。金型費の減価償却の

扱いとも関連する問題なので、経済産業省に対しては金型費が一括で支払われるよ

う必要な措置を講じることを要請する。また、金型は、現在 1年償却の資産計上とな

っているが、財務省と折衝して資産計上の必要がないよう併せて要請する。そうす

ればユーザー企業も一括払いしやすくなる。

      最終的には、社団法人日本ダイカスト協会のダイカストの標準 DSC D(取引

編)に規定されているように「60日以内の現金払い」になるように働きかける。

(6)知的財産及びノウハウの取扱い

知的財産の保護については「金型図面流出防止指針」の徹底を図るとともに、ノ

ウハウの評価については「ノウハウ(例えば、金型設計、鋳造方案など)の評価基

準」を作成する。

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(7)支払い条件のルールの確立

支払い条件についてのルールを明確にする。現在は、一部の企業を除き手形によ

る支払いが主流を占めている。最近は手形に替わり、ファクタリングによる支払い

も増えてきたが、これも手形払いの変形に過ぎない。現金支払いに対するインセン

ティブを考え、現金での支払いが当たり前という、取引慣行を目指す。

3.経済活動のグローバル化への対応

ダイカスト産業の主要ユーザーである自動車産業は、1990年代後半からの構造転換の中

で海外への生産シフトが進んだ。さらに、2008年のリーマンショック以降の対応として、

国内市場の縮小と急速な円高要因の影響を受け、海外への進出が急拡大している。また、

中国を中心として開発途上国の技術の向上が進み、品質面でも一部の高機能部品を除き品

質向上がめざましい。一方、労務費の高騰により、従来の安い労務費での生産から大市場

での生産へと、海外進出の目的が変化している。このような環境下においてダイカストメ

ーカーも日本を軸として、特に、アジアを中心とした海外展開を進め、自動車メーカーの

多国籍生産体制に対応した開発・生産・供給の体制を確立しなければならない。そのため

には単に「海外に進出する」ではなく、「海外で儲ける仕組み」について真剣に、かつ、

中長期的な策を講じなければならない状況にある。

 3-1 市場の開拓と海外ダイカスト産業の把握

 海外で工場を立ち上げるに当たり、5年先、10年先を見据えた市場調査と現地ローカル

メーカー・競合他社の競争力把握、海外進出するための判断材料となる現地での法規制・

労働慣行などの情報入手が重要となる。ダイカストメーカーは、概して中小企業が多いた

め、こうした情報を自力で収集できない場合が多く、政府や業界団体を通じて、海外展開

を判断する際に必要となる情報の入手が課題となる。

(1)市場動向調査

中長期を見据えた、国別・地域別の市場動向、ユーザー企業のグローバル展開計画

とその関連情報の整備は、業界団体を中心に短期的に対応を進める必要がある。

(2)現地ローカルメーカーの競争力把握

最終的には高品質を維持しながら、現地ローカルメーカーにコストで勝たなければ

ならない。そのためには進出以前に、現地ローカルメーカーや既に進出している競

合メーカーの生産能力と競争力の把握が必要であり、業界団体による中期的な対応を

進める必要がある。

(3)進出国での法規制・労働慣行などの把握

工場建設候補地・労働力・賃金・物価・優遇税制・法規制等は「儲かる海外工場の

実現」に大きな影響があるため、官公庁と業界団体による情報の一元化と窓口の設置

が重要となる。

   これらに対処するためには、すでに海外へ進出している企業による進出先地域別情報交

換、

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  新興国等への情報収集調査団の派遣、海外の関係団体と2国間/多国間の情報交換等を積極

的に実施する必要がある。

3-2 海外展開で事業の拡大

     現地ローカルメーカーに勝つための差別化された技術を明確にし、自社だけでは難しい

海外展開を容易にするため、ダイカストに関連する異業種との連携も進め、多国籍間の分

業体制の仕組みをつくり、海外収益比率を拡大していく必要がある。

(1)資金面での支援

初期投資が大きいため、短期的な回収が難しい海外事業では、中小企業にとって資

金面で国の支援策強化は重要な課題となる。

(2)進出国での優遇税制の整備要請

進出国での優遇税制、設備の輸入関税などのインセンティブは、事業が軌道に乗

るまでの収益面に影響が大きく、また、国によって条件が大きく違うため、相手国

との交渉が必要となる。政府の力で良い条件を引き出すことが重要になる。

 (3)信頼性の高いフィージビリティスタディの実施

海外での工場設立には、当然のことながら国内取引にはないリスクが伴う。

したがって、リスク対応を織り込んだ信頼性の高いフィージビリティスタディの

実施は、企業にとって重要なポイントとなる。

  (4)開発・生産・供給体制の確立

自社だけでは難しいユーザー企業の多国籍生産体制への対応は、川上から川下まで

の異業種を含めた連携により、開発・生産・供給体制の確立を中期的に行うべきであ

る。

  (5)国際分業生産体制の配慮

差別化された技術で競争力のあるダイカスト製品は、日本で生産して技術の流出を

防止し、価格競争力のないダイカスト製品は、途上国の低賃金を利用した生産で国際

分業体制を検討すべきである。

 3-3 高品質の維持と市場価格への対応

     アジアで見ると、現地ローカルメーカーは生産能力を急拡大させながら、技術的な実力

を付けそれが生産現場で活かされている。日本企業は高い技術力と管理能力で総合的には

まだ優位に立ってはいるが、品質面においてその差はなくなりつつある。

したがって、日本企業の持つ優れた面を海外でも発揮するためには、海外で通用する人

材の確保と現地雇用者の技術・技能教育を進める仕組みを作り、日本国内で作り上げた最

適生産システムと技術・技能で高品質を維持し、グローバルベンチマーク価格に勝てる原

価の実現が最も重要なこととなる。

(1)市場価格とユーザー目標価格の違いの認識

アジアでは、ユーザー企業の目標価格水準は日本価格の70%程度といわれている

が、同時に日本と同水準の品質要求がある。目標価格水準の実現のためには、日本の

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設備と原材料を使用せざるを得ないため、その実現性は非常に困難な場合が多く、下

手をすると日本並みになっている企業が多い。

したがって、この市場価格の実態とユーザー目標価格の違いを認識した対応が企業

として必要となる。

 (2)日本のマザー機能の向上

日本で成熟した生産ラインを移転し、品質を確保することは不可避であるが、か

といって、全面自動化された一貫ラインではメンテナンスや管理で高度な技術が要求

される。可能な範囲を手作業とした低賃金労働力の利用と作業者教育ができ、技術・

設備・品質マネジメントシステムの移転が容易にできる日本のマザー機能の向上が企

業に求められる。

(3)技術・開発支援システムの構築

海外に対し支援できる技術・開発の人員不足は既に深刻であり、また、同時に、海

外における優秀な人材の確保もますます困難になり、そのうえ高い賃金が要求される。

そのため、過去のトラブル情報を分析し、これらの対応を折り込んだ技術・開発支援

システムの構築が重要となる。

 (4)海外で通用する人材の教育システムの構築

決定的に不足しているのは、エンジニアや熟練作業者である。同時に、中小企業に

おいては、現地工場の経営を任せられるマネジメント能力を持った人材の確保も容易

ではない。政府・業界レベルでの長期的な教育システムの構築と支援が重要である。

3-4 低価格海外製品への対応

    グローバル化の中で、実は、軸となる日本国内の競争力の維持向上は最も重要な課題

といえる。自動車産業で見ると、国内販売の減少、円高による国内生産の競争力低下が

著しく、国内一本足打法では企業の存続が危ぶまれる。

    豊富な労働力と低賃金で生産された、低価格の海外製品に対抗するには、差別化され

た技術や高度化された生産技術に裏打ちされた、高い労働生産性の実現が必要となる。

要するに、低価格製品に勝てる原価を可能にする、生産の仕組みを開発し、一人当たり

の付加価値高を増加させなければならない。

   この実現のためには、設備投資を抑制しながらも高度な自動化、無人化を追及し、国

内の高賃金の問題を回避するか、働く人たちの知恵や工夫を徹底的に引き出し、入口か

ら出口までの全工程で、ムダ ロスのないフレキシブルなものづくりを目指すかであるが・おそらく、その両方が必要であり、そのためには、優秀な人材の確保と、改善し続ける

現場力がポイントとなる。

(1)素材・加工一貫生産の実現

      従来は、素材のみの供給が多いが、ユーザー価格への対応と、現地ローカルメー

カ  ーに勝つて受注を得るには、素材・加工の一貫生産で開発・品質・価格で優位

に立つ必要がある。

(2)生産管理システムの構築

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ややもすると、ダイカストの生産は最適条件を設定し、一度に大量の生産をする

ことが効率を最大化すると考えられているが、今後は、各工程の手番短縮を図り、

仕掛品・完成在庫を最小にし、かつ、フレキシブルな対応ができる生産管理システ

ムが必要となる。

(3)品質保証レベルの向上

 体系的に整備された品質マニアル・作業標準に従った仕事の進め方は当然であるが、

目の粗い現在の品質保証を、「次工程に悪いものは1個も流さない」という QCの原則を実現しなければならない。そのためには、製造工程監視システム、又は設備監

視システムを構築し、生産ラインでの工程保証度を高め、全数保証ができるレベル

をつくり上げなければならない。

(4)生産技術の革新

途上国の追従を許さない生産技術の高度化による圧倒的な低原価の実現が必要で

ある。例えば、バラツキのある品質の改善、金型の長寿命化、生産能力を大幅に向

上させる超ハイサイクル化、2ランク小さいマシンでの生産、バリ取りが不要にな

るバリレス化など、過去からの課題の解決が急務である。また、同時に、過度な投

資を避けながら、信頼度の高い自動化・無人化を追及する中で、生産ラインのシン

プル・スリム化と金型・治具も含めた使用原材料の削減を行う必要がある。

(5)差別化された技術・工法への取り組み

途上国ではできない、差別化された技術・工法による高付加価値製品の取り組み

が必要であり、例えば、自動車の軽量化ニーズに応えるための研究開発に資源を重

点的に配分すべきである。

(6)海外からの製品購入

低コスト生産を目的に進出した、海外自工場から日本に輸入し、販売できる製品

を見出すことは有効な手段となる。ただし、100%海外工場に依存するのではな

く、日本国内でいつでも生産が可能なバックアップ体制がリスク対応として必要と

なる。

4.同業/異業種との積極的な連携

4-1 経営基盤高度化システムの構築

多くのダイカストメーカーは中小企業であり、一般的には経営資源が十分でない状況に

ある。特に、人材は十分に確保されているとはいえない。これは、従業員の高齢化や、若

年者のものづくり離れ、3K(汚い、きつい、危険)のイメージなどから就職希望者が少な

く、したがって技術・技能の伝承が円滑に進まない。

ダイカストメーカーの多くは、ユーザー企業から顧客満足と信頼を得られるようにする

ために、生産技術、生産管理・品質管理の改善を進め、これを次世代へ伝承するようなシ

ステム構築が必要となっている。また、ダイカストは受注生産であり、多種多様な長期金

型保管の問題があり、管理上経済的に大変な負担になっている。

これらは、平成 18年 8 月に日本ダイカスト協会が実施したアンケート調査結果に顕著に

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現れている。

これらについて、ダイカストメーカー1企業で実施できれば問題はないが、実施が困難

な場合には関心がある同業者/異業者(場合によっては一定地域の同業者/異業者)が話し合

って、合意できれば経営基盤高度化のためのシステムを構築する。さらに分業化・専業化

などや業務提携も検討し、ダイカストメーカーの将来発展を模索することが必要である。

(1)生産技術の標準化

ダイカストは、非鉄金属材料をダイカストマシン及び金型を用いて鋳造するが、そ

の外観や内部欠陥から鋳造歩留まりの改善が思うように進まない。これを改善するた

めには、確立された鋳造技術、金型の製作技術・管理技術、ダイカストマシン・周辺

装置などの標準化を図り、効率化を図る必要がある。標準化することによって生産技

術を一定水準に保つことが可能となり、その後の水準向上の基礎として活用する。

(2)生産管理方式の構築

ダイカストは、先に述べたように受注生産であり、計画生産のように合理的生産が

困難である。受注量及び納期に対応した生産計画を、既に受注しているものとの調整

や、資材の調達、ダイカストの出荷などの生産管理方式を構築する。

(3)品質管理レベルの向上

ダイカストの品質向上は、ダイカストメーカーにとってもっとも重要なことである。

品質が良ければ生産の無駄がなくコスト低減が可能となり、ユーザー企業に対しては

十分な品質保証が可能となる。そのためには“事実に基づく工程管理”という品質管理の

基本を忠実に実行し、工程改善・品質改善の管理のサイクル( P:計画、D:実行、

C:評価、A:改善、P:改善計画・・・)を確実に回すようにする。

従業員に対しては、品質管理の重要性を改めて教 育するとともに、 ISO(JIS Q)9000(品質マネジメントシステム-基本及び用語)、 ISO(JIS Q)9004(組織の持

続的成功のための運営管理-品質マネージメントアプローチ)による社内品質管理を

チェックし、必要があれば ISO(JIS Q)9001(品質マネジメントシステム-要求事項)

による取得を行い、品質管理レベルをアピールする。

組織の持続的成功を達成するためには、組織を取り巻く環境の変化を認識し、組織

の全体的なパフォーマンスを継続的に改善し、顧客及びその他の利害関係者のニー

ズ・期待を長きにわたるバランスの取れた方法によって満たす組織の能力が必要不可

欠である。

(4)経理処理の合理化

ダイカストの直接部門である生産管理が十分であっても間接部門である経理処理や

財務管理が正確に迅速に行わなければ、経営全体として不十分である。経営高度化の

ためには、直接部門と間接部門の両輪が融合して高度化する必要がある。

経理処理を合理化するためには、現在の収支項目の過不足の見直しとその処理方式

を再構築し、さらにコンピュータ処理システムを活用する。

(5)金型保管倉庫の共有化

金型保管の問題は、ユーザー企業との取引慣行の最大の問題の一つである。この問

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題は、ユーザー企業によって多種多様であるが、共通していることはダイカストメー

カーが長期間保管を強いられていることである。金型は、その品質確保と保管場所を

確保しなければならないが、保管場所の確保は1企業単独では経済的負担が大きく経

営を圧迫している。この問題は、一朝一夕に解消することが困難なため、当面は関心

があるダイカストメーカーが関係ある地域ごとに協力して倉庫の共有化を図るように

することも課題である。

4-2 分析・解析システムの拡充・標準化

中小企業では必要性を痛感していても、設備投資等に費用がかかる割に使用頻度が低

く、投資効率を考慮すると、導入に躊躇する分析器や測定器がある。さらに人材の確

保・ノウハウの蓄積などの問題があり、単独では実現が難しい分野もある。

そのためには、日本ダイカスト協会分析試験室の拡充強化することにより各企業の負

担は減少し、投資効率を向上させる。同時に分析技術者の育成や分析技術の蓄積が可能

になり、レベルアップが実現する。

高度の技能が必要な測定器の操作や、解析システムの運用については、異業種(測定

器メーカー、解析システムの開発・販売企業など)との連携や、大学・研究機関などの

指導と公的資金の活用が重要になる。

(1)日本ダイカスト協会分析試験室の拡充

各企業が直面している問題を解決するために、クレーム品などの分析から着手

し、ノウハウを蓄積しながら実現を進める。

さらに、材料分析装置・各種測定装置などを共有化するとともに、機械的性質試

験装置の導入を図ることとする。

5.これからの成長産業への供給

  ダイカスト産業は、ユーザー産業への部品・素材(以下、「ダイカスト」という。)を供

給することが大半であり、特に、自動車産業への供給が多く、アルミニウム合金ダイカス

ト・亜鉛合金ダイカストとも80%を超える高い比率となっており、自動車産業への依存

度は高く、したがって、自動車産業の景況の影響を受けやすい。

  また、技術面においても自動車産業各社とともに新鋳造技術・新加工技術を構築し、各社

の生産技術の基盤となっており、この面においても、自動車産業各社の影響を受けてきた。

5-1 非自動車分野への展開

ダイカスト産業は、生産・技術とも自動車産業への依存度が高く、「自動車産業依存

からの脱却」というのが可能なのだろうか。平成 18年 8 月、日本ダイカスト協会がダ

イカスト産業各社に実施したアンケートの「これからの成長産業への供給」の結果では、

今後ともダイカスト各社の自動車産業への期待は大きいのが現状である。

しかし、自動車産業は、海外へ工場を設置・生産し、ダイカストを現地ダイカストメ

ーカーから調達し国内需要が減少する一方、今後の自動車エンジンは電気自動車などへ

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シフトし、ダイカスト製品が減少する方向性が予測されるなど、ダイカスト産業を取り

巻く環境は、厳しい状況が見込まれる。

このような中で、ダイカスト産業が取り組まなければならないことは、以下のとおり

である。

(1)自動車産業以外の用途拡大調査とアピール

自動車産業以外の新分野を調査開拓し、自動車産業の景況や革新動向に左右されな

い産業とすることである。

(2)ダイカスト機能の新市場製品への適用

自動車産業はもとより他の産業への用途開拓に当たっては、ダイカストの機能

(高強度・耐久性・超軽量化・薄肉化・複雑形状など)を新市場製品へ適用できるよ

うにする必要がある。

(3)新材料、新技術によるダイカスト機能の拡大

新材料・新技術によるダイカスト機能の拡大を図ることが必要である。

5-2 異工法との競争・競合・共存

(1)異工法とダイカスト法の差別化及びダイカスト技術の PR同一部品を成型するに当たっては、異工法とダイカスト工法との間では品質・コ

スト・納期の競争が発生する。この場合には、異工法との比較においてダイカスト

工法の長所・短所を熟知し、ユーザー企業への PRが必要である。

(2)異工法とのQCD比較及び優位性の把握と劣位性のカバー

異工法による品質・コスト・納期について把握が可能であろうか。そこで、異工

法産業との交流・情報交換を積極的に行う必要がある。

異工法産業との交流・情報交換の場は、情報把握だけでなく、異工法とダイカス

ト工法との複雑加工による新機能の開発の場とすることが、ダイカストの新市場開

拓・新規分野参入へとつながることとなる。

5-3 「新経済成長戦略」における新産業への参入

「新経済成長戦略」(平成 22年 6 月 内閣府)、「産業構造ビジョン 2010」平成 22年 6 月 経済産業省産業構造審議会)、「素形材産業ビジョン(追補版)」)平成 22年6 月 経済産業省製造産業局素形材産業室)では、太陽光発電や燃料電池、LEDなどの

環境・エネルギー分野や、新世代自動車向け電池、次世代知能ロボットや、先進医療機

器などの医療・福祉分野を提唱している。

ダイカスト産業としても上記の新産業分野に供給できる品質・コスト・納期の能力を

確立し、高めていく必要がある。

新産業各社との関係は、ダイカスト産業各社が受け身で対応するのではなく、各社が

自動車産業各社と実施している「開発段階からの参加」を行い、ユーザーニーズを実現

するとともに自社の生産性の向上の実現することが必要である。

また、新産業分野への参入に際しては、各社単独では難しく、新技術を含め産業間の

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連携を深めていくことが必要である。

6.人材の確保と育成

昨今のわが国を取り巻く環境は、経済及び社会面において大きな変化点に直面している。

経済面においては、国内市場の縮小、グローバル化の進展によるアジア諸国の追い上げの

動向、ITの急速な普及などがあり、社会面においては、少子高齢化時代の到来と労働力

を派遣社員に求める動きがある。これは ものづくり で成長してきたわが国にとっては、「 」新たに参入する労働者の就労意識に変化が起きても不思議でないことを意味している。こ

のような状況にあってダイカスト産業は、素形材の中核的産業であり、ユーザー産業にと

っては 良きパートナー として大きく期待されている。「 」ダイカスト産業の生産高は、軽量化に適する素形材として自動車産業の需要に応え、ま

た、3R(Reduce 廃棄物の抑制、Reuse再使用、Recycle再利用)に適する素形材とし

て大きな伸びを示してきた。しかし、多くのダイカストメーカーは下請企業のため自己資

本比率は低く、新たな設備投資に遅れを見せ、また、労働力と技術力の不足を補うことに

大きな課題を抱えている。人材の確保と育成は、不足する労働力の確保と人の質(人財)

の両面について進めることが重要である。

加えて、ユーザー産業の海外現地生産化は、2008年後半以降の急激な円高で加速し、ダ

イカスト産業も大きな減産の影響を受け、経営を左右する事態が到来した。そのため、海

外へ生産シフトを進め、顧客先の要求する価格に対応できる体制をとるための人材の確保

が課題となっている。

今後の労働力不足は、「働く職場環境の整備と魅力あるダイカスト産業の PR」によって雇用を改善して充足する必要がある。また、新技術開発が可能な人材の育成によって、ユ

ーザー企業が要請する高付加価値製品を開発・生産し、ひいては企業の自己資本比率を向

上させて明るい展望のあるダイカスト産業とする必要がある。

6-1 職場環境の整備及び安全職場の確立

ダイカスト産業の発展は、企業内の人材を新たな技術や新製品開発の要員として育成

するか、積極的な雇用により優秀な人材を採用するなどが必要であり、そのためには、

若い人々が希望ややりがいを持てる産業として評価を高めることである。

新技術や新商品開発が可能な人材が集まる環境を整備することが必要である。かつて

の3K(汚い、きつい、危険)と評価された職場は急速に改善し、粉塵、ミスト、騒音など

一部に改良の余地を残しているが、業界内の企業には作業環境の改善や、エコアクショ

ン21、ISO(JIS Q)14004(環境マネジメントシステム-原則、システム及び支援技法

の一般指針)によって研究し、ISO(JIS Q)14001(環境マネジメントシステム-要求事

項及び利用の手引)の取得が進み、3Kからの脱却が始まっている。しかしながら、そ

れらはダイカストメーカーの一部であり、今後はダイカスト産業を結集して、5S(整理・整頓 清潔 清掃 躾・ ・ ・ )の行き届いたクリーンな職場環境整備をダイカスト産業全体で行う

ことが大切である。そのことが、多くの人材を集めるための原点といえる。

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(1)快適安全職場の整備

3K職場からは脱皮し始めたといっても、まだダイカスト産業全体では労働災

害が全くなくなったわけではない。IT化の推進や、合理化を進める中に 安全「 」を組み込んだ効率化を一層推進することが重要である。加えて、近来の大幅な原

油高は、エネルギー多消費産業であることを自覚し、さらに省エネルギー化を目

指した取組みが必要である。工場内では「白い作業着」が通常作業では全く汚れ

ず、工場内の空気は清浄化され、健康快適職場はエネルギー消費がきめ細かく管

理され、省エネルギー化が進み熱効率が効果的に工場全体に行き渡り明るい環境

が整った職場ができている。そのような快適安全職場の整備を推進する。

6-2 人材が集まる魅力ある産業造り 若年労働者、高齢者、男女多様な人材がダイカスト産業に魅力を感じて雇用が進むと、不

足する労働力は解消し、良い人材が育ち新技術が誕生する素地ができる。技術開発によ

って高付加価値製品を手がけることにより、企業に利益をもたらせ新たな展望が開かれ

る。

   ものづくりの中に、創造性と効率や感性が織り込まれたダイカストの良さを、多くの

人々に知ってもらうことから始めることが大切である。老若男女の能力のある労働力が、

自らの知識能力を発揮でき、技術開発が活性化し、新製品を生み出すことができる職場

が生まれ、「やりがい、魅力あるダイカスト産業」が構築される。これらに惹かれて、

若者達が各企業に雇用され、技術を習得し技能を発揮し、新製品の開発を進めることに

より、魅力あるダイカスト産業が造り出せる。そのためには ダイカスト産業を関係各界、に周知し ダイカスト産業に多くの人材が集まり、「ダイカストを研究し、技能を伝承す、る」と同時に、新技術を習得できることを目指す必要性がある。ダイカストメーカー各

社は、学校から常時新卒の若者を受け入れ、業界内で技術の習得を進め、人材が定着す

る施策を進める。また、多様化している雇用制度を活用し、雇用と人材教育を進めるこ

とにより魅力あるダイカスト産業とする必要がある。

6-3 人材教育の推進

2008年以降、経済変化と少子高齢化時代が到来し、技術や技能の伝承が徐々に進み、

(社)日本ダイカスト協会が中心となった技術・技能研修会も各地で開催され、成果を

上げてきた。この技術・技能研修会は、ダイカスト産業の技術・技能の底上げとして今

後も推進するとともに、更に、スキルアップを図る研修を推進する必要がある。

(1)熟練技能者の固有技術のデータベース化と若年技能者への教育・訓練、伝承

政府は、65歳までの雇用の延長を決め、企業は雇用延長や再雇用を進めている。

若年労働者と高齢労働者との融合は、変化する技術、技能や IT化されている機械の操作にある。高齢労働者を良き人材として活用するためには、高齢者本人の自覚を求

められるが、企業は 人材教育 の幅を広げて、パソコンや「 」 ITが組み込まれた機械の

教育を反復的に行うことにより雇用延長や再雇用の実が上がる。それが技能・技術の

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伝承を 人材教育の推進 で補うなどがスムースに進められて行くことにつながる。「 」その中で、高齢者を 先生 と位置づけしたり、エルダー社員として働く時間を短縮し「 」たり柔軟な姿勢で臨む企業が生まれている。また、熟練技能者の固有の技術を伝承す

るために、データベース化し、若年技術者の養成に注力が必要で、この面の人材教育

も重要となる。

(2)経営後継者人材育成教育の推進

     働けば報いられる事業体を創出することが、経営の後継者造りの最大のポイントで

ある。

     ダイカストメーカーの後継者が希望を持って事業承継するためには、承継の際に事

業体を脆弱にしない法整備が求められる。また、ダイカスト産業は、サポーティン

グインダストリーであり、研究開発型の産業である面を持つことにより、高付加価

値製品を生産し企業に夢を持てる産業を創出することが、経営後継者を生む素地を

作り出す。そのうえで、企業価値を高めダイカスト産業を発展させる人材を育成す

る中長期的な展開が求められる。

(3)管理監督者の養成

    日本経済の行き詰まりが 産業構造ビジョン「 2010 で指摘され、もの作りでわが国」を再興することを提言しているが、そのためには、質の高い人材の育成が大切であ

り、①提案型のビジネスの構築。②生産性の向上に向けた事業体制の構築。③もの

作り人材の確保・育成が重要で、それらを整えて国内で高技術、高付加価値生産を

進め、熟成されたものを海外で量産する体制を構築し、その体制を支える管理監督

者の育成が求められる。

(4)初級・中級・上級事務社員の養成

    ダイカストメーカーの事務社員としての基礎的基本的能力は、一般的には備わっ

ている。しかしながら、数少ない社員で取引先への書類対応や官公庁への申請・報告

事務等多種多様な職務の力量は未だ不十分なところがあり、このような職務を確実に

遂行できる基礎的知識と実務の修得・向上の社員の育成が必要である。

(5)技術者の育成

     多くのダイカストメーカーは、技術力の不足を訴え、鋳造技術者、設計技術者、金

型技術者、加工技能者の養成を自社のみではなく、公的な機関を設けるなど人事教

育を望んでいる。ダイカストに関する技術・技能研修、スキルアップ研修、現場で

の技術アドバイザー制度の充実を図るとともに、ダイカスト技能検定制度を充実さ

せ、受験の促進と併せて技能学校や技術講座を、年度を通じて定期的に設けるなど

人材教育を充実させることが重要である。また、ダイカスト産業は、未開発な部分

があるが、工業系高等学校や各大学の工学部にダイカスト技術を研究する講座や研

究室が少なく、この面を国や地方公共団体の支援を受け充実させることが重要であ

り、産業界の教育の場とともに今後期待を寄せる部分といえる。日本ダイカスト協

会には、年度ごとに優秀な技術・技能に与えられる、菅野賞・浦上賞・小野田賞と

いう歴史のある表彰制度があるが、これらの先人の残した制度は、ダイカスト産業

20

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に働く多くの方々の応募することが技術レベルの向上や新技術開発の進歩を促すこ

とになる。さらに、現場改善事例の表彰制度を拡充し、これらによって技術者の育

成を強化する。

6-4 多様な人材の活用   ここ数年、国が進めてきた雇用政策はそれなりの成果が生まれたが、経済構造の変化は

依然として雇用関係に改善は見られない。ダイカスト産業も従業員の高齢化や非正規社

員の比率が高まり、今後に課題を残している。その中で、

(1)定年を迎える高齢労働者、派遣社員、海外研修生などの教育の推進

作業環境を整え、高齢者も女性も若者も、海外からの働き手も、時代に即して自

在に能力を発揮できる職場を作ることが大切で、少子高齢化時代の中で、定年を迎

える高齢者の雇用延長、再雇用や、派遣社員、海外研修生などの教育訓練の場を設

け、積極的に活用できる訓練場をつくる。高齢労働者の教育は前述したが、派遣社

員の教育はダイカストメーカーにとって製品を作り出す工程の各分野を担当するた

めに、企業の 質 の面を損なうことなく教育を進めることで充実させる必要がある「 」 。

派遣社員には、日本人派遣社員と外国人派遣社員とがあるが、前者は経理などの専

門分野と設計、技術分野の不足を補う部門が多く、後者は労働力全体を補うととも

に複雑化している労働の対価を、簡素化するために雇用を外国人労働者の派遣会社

に依頼するケースが目立つが、いずれも各社の労働の質を高めるために教育は欠か

せない問題である。さらに、世界各地に進出したダイカストメーカー生産拠点は、

その労働力の質を高めるために進出先での教育とともに、日本に研修生を送り出し、

教育の推進を行っている。また、ダイカストメーカーは、各国から研修生を受け入

れ、将来の核になる技術労働者の研修も海外研修生として受け入れている。これら

の教育研修も大切なことである。

  (2)高齢者雇用の推進

     60歳定年制は、厚生年金定額部分の支給年齢の段階的な引き上げで、65歳までの雇用延長と再雇用制度で徐々に変化を見せている。国は高齢者雇用安定法の改定を

行い、企業は平成 18年4月から 65歳までの定年の引き上げや継続雇用の導入の措

置を講じた。

    高齢者雇用では、60歳を過ぎてからの雇用問題があるが、個々の契約による勤務形

態、賃金、待遇が多く見られるが、各県の高齢者雇用開発協会で高齢者雇用助成金

の制度と組み合わせて、賃金が、企業側にも働く高齢者側にも不利にならないよう

に工夫した制度の活用が大切である。

  (3)高校・専門学校・大学新卒者の積極採用

企業の雇用環境は、少子高齢化時代を迎えて多様化しているが、一般的には高校、

専門学校、短大、大学の新卒者採用が行われている。しかしながら、ダイカストメ

ーカーが労働力不足や人材不足を訴えていながら、採用のための活動を十分にして

いない傾向がある。学校訪問をしても採用に至らないケースが多く新卒を直接求め

21

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られない。ダイカスト産業を魅力ある産業にすることが大切だが、企業が将来を見

据えた長期展望での雇用活動が重要である。

  (4)OB社員の活用

      技術や技能など固有の技術を持つOB社員による 現場人材の育成 や「地域もの「 」作

り育成塾」など各種のカリキュラムを「産業構造ビジョン 2010」が提言を行っている

が、ダイカスト業界では国内の高技術化や高付加価値化の推進のために、退職され

いるOB社員の力量に応じて支援を進める制度などを検討する。

7.ダイカストの積極的な広報活動

  「ダイカストって何ですか」、「どのようにして造るのですか」、「どんなところに使

われていますか」、よく聞かれる質問であるし、私たちが説明するときも、まず、このこ

とから始める。このようにダイカストの知名度は低いし、ましてや身の回りにある工業製

品の重要な機能部品、構成部品として広く活用されていることなどは、ほとんど知られて

いない。

   しかし、ダイカスト産業が将来にわたって成長し、発展していくためには、ダイカスト

産業の存在意義、あるべき姿などを正しく理解してもらう必要があるし、そのための情報

提供や、知名度向上、イメージアップの取り組みが重要である。特に、ユーザー産業をは

じめとする産業界や、次代を担う人材(学生)を供給する学校に対する広報活動は、積極

的に行わなくてはならない。また、社会的な認知度を高め、より良いイメージを形成する

ためにも、広く一般社会に対して広報活動を行うことが欠かせない。

 

7-1 広報活動の狙い

ダイカスト産業のどのような点が理解され、どのようなイメージを形成すべきか、産

業界、学校 学生、一般社会への広報活動の狙いをまとめると次のようになる。・  7-1-1産業界への広報活動

      精巧な技術など、ダイカストが持つ特性についての理解をが一層深め、自動車産

業はもとより、他の産業からの新しい仕事を増加させることができる。特に、アル

ミニウム合金ダイカストは、軽量で、リサイクル性に優れ、省エネルギー、省資源

など環境保全に有効な技術として注目され、用途を拡大させることができる。

      また、こうしたことを通じて、ユーザー企業からビジネスパートナーとしての評

価を高めることが期待できる。

7-1-2 学校・学生への広報活動

      3K(きつい、汚い、危険)といったネガティブなイメージが払拭され、人や環

境に優しい産業としてのイメージを拡大させることができる。

また、前述のとおり、産業界におけるダイカストの役割や重要性、将来性などが

22

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理解され、就職希望者を増加させることができる。

7-1-3一般社会への広報活動

      自動車、家電、OA機器、産業機械、住宅機器など身の回りにある様々な工業製品

にダイカスト製品が使用され役立っていることを周知させることができる。

      また、人や環境に優しい産業としてのイメージを拡大させることができる。

 7-2 理解度向上、イメージアップのための施策

 産業界、学校・学生、一般社会の理解が深まり、イメージアップを図るための施策を

検討したところ、産業界に対する施策は、学校・学生に対する施策及び一般社会に対す

る施策としても有効であるなど、各施策はいずれにも効果がある。

(1)日本ダイカスト会議・展示会の充実

      2年に1度、日本ダイカスト協会主催で開催されている「日本ダイカスト会議・

展示会」は、年々、充実されているが、次の面からPRをさらに強化するとともに、

ダイカスト産業以外の産業界や学校などの参加を促進する。

 (a)ダイカスト産業のビジョン、あるべき姿と、取り組みの経過・結果

(b)精巧な技術などダイカストの特性(c)ダイカストの歴史、産業との関わり、国民生活とのかかわり(d)人や環境に優しいダイカスト

(2)国や各種団体主催の賞の取得や展示会参加

      「ものづくり日本大賞(経済産業省ほか)」、「ものづくり部品大賞(日刊工業

新聞社)」など、国や各種団体が主催する賞の取得や、イベント、展示会に出展す

るなどして、ダイカストの強みをアピールするとともに知名度やイメージを高める。

  (3)工場見学会の充実

      産業界や学生などの工場見学を促進するために、ダイカストから完成品までの流

れがわかる見学会(全国主要地区で「ものづくり見学ツアー」:費用援助)を開催

する。

また、ダイカスト各社の工場周辺の地域住民や小・中学校、高校などに対して工

場見学の機会(無料見学会)を設け、各社の取組み事例を紹介して理解を広める。

(4)PRツールの充実

      ダイカストについて紹介したパンフレット、映像、HPなどを見直し、充実する。

前述(1)の(a)~(d)のPRとも関連する。(5)メディアを通じてのPR

      前述の(1)~(4)を題材にして、マスメディアへニュースリリースの発信や

広告の掲載などを行う。

8.地球環境問題への対応

   地球環境問題の中心的課題は、気候変動、自然と生物多様性、環境と健康、天然資源の持

続可能な利用と廃棄物の管理とされている。

23

環境・安全委員会検討中( H23.2.16 最終)

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   気候変動に関しては、温室効果ガスの削減を目標とする京都議定書の目標期間が 2012年までとなっており、2013年以降に関して 2010年末現在では未だ国際的な最終合意がな

されていないが、日本国政府は、1990年比で、2020年までに 25%の温室効果ガス排出

削減を目指すとの中期目標を、すべての主要国による公平かつ実効性のある国際的枠組み

の構築と意欲的な目標の合意を前提として掲げ、COP15 コペンハーゲン合意に賛同する意

思及び排出目標を書面によって国連気候変動枠組条約(UNFCCC)事務局に通報した。ま

た、気候変動交渉に関する日米共同メッセージとして、2050年までに自らの温室効果ガ

ス排出量を 80%削減することを目指すとともに、同年までに世界全体の排出量を半減する

との目標を支持することを明らかにしている。現在日本国政府の地球温暖化対策には、国

内クレジット制度(国内排出削減量認証制度)や太陽光発電の余剰電力買取制度、また、

再生可能エネルギーの全量買取制度や地球温暖化対策税等の導入が検討されているが、再

生可能エネルギーの全量買取制度や地球温暖化対策税(環境税)が現在の案(2010年 6 月

時点)で導入された場合、1社当たりの負担は 650 万円から 9,500 万円になることが想定

されており、対策は緊急の課題である。

環境と健康に関しては、世界的流れとしてヨーロッパの RECH 規制・RoHS/ELV指令等

のような製品含有有害物質規制・環境法規制が進み、適正に対応した製品の提供が重要と

なる。また、土壌汚染・大気汚染・水質汚濁等による人間の健康と環境を脅かす課題に対

し、持続可能な社会の構築を目指す必要がある。

8-1 「環境自主行動計画」の推進 (CO2排出量の削減、廃棄物の削減)

    現行の「ダイカスト工業の環境自主行動計画」を同目標期間まで継続実施する。「ダ

イカスト工業の環境自主行動計画」の CO2削減結果は、CO2排出量換算で 1990年の実績調査の排出量 1,249.1kg CO2/t を基に 2008 年 1,115.7kg CO2/t(1990 年比-10.6%)、2009年 1,167.3kg CO2/t(1990年比-6.5%、2008年比+4.6%)となっ

ている。

2013年以降に関しては、今後国際的な合意がなされ、日本国政府の新たな温室効果ガ

ス削減目標 25%(総量)が実施されるとされた時点で、自主行動計画を改定目標達成計

画として策定し推進する。

(1)CO2削減、省エネルギーの推進

2013年以降の目標達成には、従来からの延長での省エネ活動では困難である。溶

解炉・保持炉に関しては、工業炉業界ビジョン(平成 22年 11 月版 社団法人日本工

業炉協会)によると、「特にアルミニウム溶解炉は挿入材料や操業方法の多様性から

工業炉の中でも熱処理設備に比べ自動化、省エネ化等が遅れがちであった。しかしそ

の分改善すべき案件が多く残されており、その結果、生産性の向上、品質改善、コス

ト低減のターゲットとして注目され近年めざましい改善効果がみられる反面、課題も

ある。」と記されている。電気等を熱源とした燃焼排ガスの少ない高効率加熱・保温

システムの開発が重要であり、工業炉メーカーに要請して行く必要がある。また、太

陽光・太陽熱・地熱発電等の再生可能エネルギー導入を促進し、利用することも必要

24

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となる。

(2)省エネルギー生産設備情報の収集と提供

工業炉メーカー、ダイカストマシンメーカー、その他関連設備機器メーカーとの意

見交換の場を作り、省エネ生産設備情報の収集を行う。設備情報は「環境保全セミナ

ー」、「ダイカスト会議」、文書による配布、ホームページ間のリンク等を通して提

供を行う。

(3)省エネルギー生産設備への補助金制度・税制活用システムの確立(特定設備への減税

等)

中小企業の低炭素化が進まない最大の理由に費用負担の大きさがあげられており、

低炭素化設備投資を促進する必要がある。投資インセンティブを高めるため、省エネ生

産設備購入資金の負担を削減するための制度を活用するシステムを確立する必要がある。

(4)廃棄物の削減

2013年以降の環境自主行動計画を策定し、廃棄物の削減・管理を行い、環境負荷を

低減し、資源利用の持続可能な循環型システムの構築を行う。

8-2 ダイカスト製品関連の規制物質への対応

    ヨーロッパ発の製品含有有害物質規制・環境法規制が世界各国に拡大し、また、規制

内容の見直しも度々行われているので、材料等のサプライチェーンの中で製品に含有さ

れる化学物質情報を伝達するシステムの構築が必要である。

・情報収集・提供

ヨーロッパでは REACH 規制・RoHS/ELV指令等、アメリカでは有害物質規制法、中

国も新化学物質環境管理規則・(中国版 RoHS)、そして日本では化学物質審査規制法・

資源有効利用促進法等製品含有有害物質規制及び環境法規制、その他新たな規制・規則

等に関する各国の情報を収集し提供して行く。

8-3土壌汚染・大気汚染・水質汚濁等への対応

日本国政府及び地方自治体による環境関連法・規制等を遵守し、持続可能な社会の構築

を目指す。

・ISO14001又はエコアクション 21の推奨

ダイカスト製造を営む者は、システマティックに地球環境問題に対応し持続可能な

社会構築に寄与するために、自主的な ISO14001又はエコアクション 21の認証取得

を推奨する。

8-4 地球環境問題対応の啓発

地球環境問題への対応は多岐にわたり、また、目標とする数値や規制等が見直しによ

り改正されたりする状況において、環境問題関連情報の伝達は重要な課題である。

・環境保全セミナーの開催

必要情報の提供手段として環境保全セミナーを継続的に開催し、地球環境問題への意識

25

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を高め、解決への参考手段等を提供する。

第3章 まとめ

今回の「ダイカスト産業ビジョン」の見直しは、平成20年の世界的経済変動に端を発した

経済環境の悪化を契機に我が国のダイカスト産業の今後のあり方・方向性を示唆したものであ

る。

基本的には、平成18年11月に策定した課題7項目に大きな変更はないが、このうち、更

に、強化推進すべき4項目(1.技術・技能を活かした攻めの経営、2.健全な取引慣行で共

存共栄、3.経済活動のグローバル化への対応、6.人材の確保・育成)と、新たな課題(8.

地球環境問題への対応)を掲げて「追補版」としてまとめ、平成23年度~平成28年度の6

年間の具体的「協会事業」とその担当委員会・部会をアクションプログラムとして明記した。

これらの課題の確実な推進は、「協会事業」を担当する委員会・部会の自主管理と、「ダイ

カスト産業推進部会」の定期的フォローアップの実行が肝要である。

なお、「協会事業」以外の各施策(テーマ)は、会員企業への指標とするもので、これらは

会員企業各位の“企業戦略”において取捨選択して実行されることを期待するものである。

26

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ダイカスト産業ビジョン(追補版) アクションプログラム(平成23年度~平成28年度)A:平成23年度~25年度実施

B:平成26年度~28年度実施

無印:企業自身が実施する。

ダイカスト産業の課題 6年後のあるべき姿(目標) 施     策(社)日本ダイカスト協会事業

A B 担当委員会・部会

1.技術・技能を活かした攻めの経営

1-1自社の技術・技能の棚卸しと活用 自社の技術・技能を適正に評価

し、自社の強みを顧客にアピー

ルすることで需要拡大に繋げて

いる。また、技術・技能の棚卸

しにより経営の強化ができてい

る。

(1)技術評価基準の策定

(変化環境の中で、自社にとって必要な

技術・技能を適正に評価するための

「技術・技能のモノサシ」を作り、従

業員の持つ技術・技能を評価する。)

(2)自社技術・技能の把握

(現状の自社技術・技能を把握し、グロー

バルな視点で業界内での位置を明確に

して、得意とする技術・技能を構築す

る。)

(3)自社技術・技能の解析

(技術・技能のうち、それが機械・ITによって誰でもできるものか、熟練工で

なければできないものかを見極め、育

てる技術・技能とコスト要因とに分け

る。)

27

資料38

H23.1.12H23.1.12

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(4)自社得意技術・技能を活用する仕組み作

(自社の得意とする技術・技能、固有技術

の強みをアピールし、受注を得る標準的

な仕組みを作る。)

ダイカスト産業の課題 6年後のあるべき姿(目標) 施     策(社)日本ダイカスト協会事業

A B 担当委員会・部会

1-2ダイカスト基盤技術の研究開発とそ

の実用化

(ダイカスト不良撲滅のための研

究開発)

鋳造方案、鋳造歩留りの向上、

流動解析、金型寿命(型割れ、ヒートチェック)の研究などのダイカストの基盤技術を高め、活

用することで、高品位化を図る

とともに、不良低減、高歩留、

無修正化を実現し、コストダウ

ンに繋げている。また、製品設

計時点での顧客への的確なアド

バイスを行うことにより、初期

不良、納期短縮を可能とし、技

術的信頼関係を築いている。

(1)研究すべきダイカスト基盤技術の明確化

(2)ダイカスト基盤技術の研究開発の推進

(3)ダイカスト基盤技術の実用化

(a)簡易金型を使用したダイカスト製品の開発

(b)環境対応型亜鉛合金ダイカスト製品の

開発

(a)研究開発委員会

 (平成 22年度~)

(b)ダイカスト用亜鉛合金委員会

(平成 21年度~)

(4)基礎技術の研究成果の普及

1-3ダイカスト新技術開発によるニーズ

への対応

(最先端の開発、企業又は産学官で

の取組み)

将来の市場ニーズ、顧客ニー

ズ、未来技術を正確に把握し、

必要となる新材料・新技術開

発、効率的投資を行い需要拡大

(1)新材料・新技術開発ための基礎データ収

集(ニーズの把握、新材料開発、新製造技

術開発、設備開発など)

○ ○ ・研究開発委員会

・ダイカスト用アルミニウム

合金委員会

・マグネシウム合金委員会

28

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に繋げ、日本のダイカスト業界

を世界にアピールする。また、

材料、技術の多様化により、新

しい市場が開拓され、企業の棲

み分けと高付加価値化による収

益性の改善がなされている。

(2)新材料・新技術による新市場開拓

(自動車業界のみならず、宇宙開発、航空

機、ロボット、家電、IT、医療、環境機器などが必要とする高強度・耐力、超

軽量化、薄肉化、複雑形状、低共振性、

低環境負荷等の特性を持つ材料・技術開

発)

ダイカスト産業の課題 6年後のあるべき姿(目標) 施     策(社)日本ダイカスト協会事業

A B 担当委員会・部会

(3)補助金制度、税制活用システムの確立

(研究開発費、特定設備への減税など)

2.健全な取引慣行で共存共栄

2-1関係法令を遵守した取引の推進

(独占禁止法、下請代金支払遅延防

止法、不正競争防止法)

発注先とダイカスト業者が対等

なパートナーとして取引ができ

るようになっている。

(1)法令解説ガイドブックの作成とユーザー

への啓発

(法令をわかりやすく解説したガイドブ

ックの作成とユーザー業界への啓

発。)

○ ・中小企業委員会

(2)関係法令の周知と運用強化

(下請代金支払遅延防止法の強化と違反行

為への厳格な対処。)

○ ・中小企業委員会

29

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2-2 モラルある取引が行える仕組み作

りとその実施

下請取引ではなくイコールパー

トナーとしての関係が当たり前

になっている。

(1)要求事項と適正価格のガイドラインの作

成とユーザー業界への啓発

(健全な取引慣行を定着させるためのガ

イドラインの作成とユーザー業界への

働きかけ。)

○ ・取引編部会

(2)原材料価格のスライド制の導入

(一部の業界では、まだスライドが採用さ

れず固定価格のままのところがある。原

材料価格スライド制についてすべてのユ

ーザー業界に働きかける。)

(3)定期的プライスダウン要求の抑制

(ダイカスト業界とユーザー業界とが定期

的に懇談し意識を定着させる。)

○ ○ ・取引編部会

ダイカスト産業の課題 6年後のあるべき姿(目標) 施     策(社)日本ダイカスト協会事業

A B 担当委員会・部会

2-2 モラルある取引が行える仕組み作

りとその実施(つづき)

下請取引ではなくイコールパー

トナーとしての関係が当たり前

になっている。(つづき)

(4)適正品質基準の明確化

(外観品質要求に対するガイドラインを作

成する。)

○ ・取引編部会

30

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(5)量産終了後の金型保管・廃棄基準の明確

化(ダイカスト業界とユーザー業界、そ

れと経済産業省が一体となってガイドラ

インを作成し、金型の保管・廃却ルール

を決める。保管する場合は、その期間と

経費を決める。廃棄・保管を確実にする

ためには、金型仕様書などの標準化が必

要。)

○ ○ ・取引編部会

(6)金型代金の支払い条件の明確化(現在は 12か月分割払いに改善されたケー

スも見られるようになった。金型費の減価

償却の扱いとも関連するので経産省とし

て、金型費を一括支払いができるように決

める(財務省がなかなか了解しないと思う

が、金型費の資産計上が不要なら客先も一

括払いしやすくなる。)。)最終的には、

社団法人日本ダイカスト協会のダイカスト

の標準 DSC D(取引編)に規定され

ているように「60日以内の現金払い」に

なるように働きかける。

○ ○ ・取引編部会

ダイカスト産業の課題 6年後のあるべき姿(目標) 施     策(社)日本ダイカスト協会事業

A B 担当委員会・部会

31

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2-2 モラルある取引が行える仕組み作

りとその実施(つづき)

下請取引ではなくイコールパー

トナーとしての関係が当たり前

になっている。(つづき)

(7)支払い条件の明確化(手形による支払いが主流を占めている。

最近は手形に替わり、ファクタリングによ

る支払いも増えてきたが、これも手形払い

の変形に過ぎない。現金支払いに対するイ

ンセンティブを考える。)

○ ・取引編部会

3.経済活動のグローバル化への対応 ・経営委員会が核となって検討

3-1 市場の開拓と海外ダイカスト産業の

把握

5年先、10年先を見据えた市場

調査と競合他社、現地ローカル

メーカーの競争力把握を行い、

海外進出するための各種基礎情

報の一元化ができている。

(1)市場動向調査

 (a)進出先地域別情報交換

 (b)情報収集調査団の派遣

○ ○ ・国際委員会

(2)現地ローカルメーカーの競争力の把握

 (a)進出先地域別情報交換

 (b)情報収集調査団の派遣

○ ○ ・国際委員会

(3)進出国での法規制・労働慣行などの把握

 (a)進出先地域別情報交換

 (b)情報収集調査団の派遣

 (c )関係団体2国間/多国間情報交換

○ ○ ・国際委員会

3-2 海外展開で事業の拡大 差別化された技術や川上から川

下までの異業種も含めた連携

で、多国籍間の分業体制の仕組

みなどの下に、事業を展開し、

海外収益比率を拡大している。

(1)資金面で国の支援策強化 ○ ・経営委員会+中小企業委員会

(2)進出国での優遇税制の整備要請 ○ ・経営委員会+中小企業委員会

(3)信頼性の高いフィジビリティスタディの

実施

○ ・経営委員会+中小企業委員会

(4)開発・生産・供給体制の確立 ○ ・経営委員会+中小企業委員会

(5)国際分業体制の構築 ○ ・経営委員会+中小企業委員会

ダイカスト産業の課題 6年後のあるべき姿(目標) 施     策 (社)日本ダイカスト協会事業

32

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A B 担当委員会・部会

3-3高品質の維持と市場価格への対応 海外で通用する人材の確保と現

地雇用者の技術・技能教育を進

める仕組みを作り、日本国内で

作り上げた最適生産システムと

技術・技能で高品質を維持し、

グローバルベンチマーク価格に

勝てる原価を実現している。

(1)市場価格とユーザー要求価格の違いの認

(2)低コストの実現

(3)日本のマザー機能の向上

(4)技術・開発支援システムの構築

(5)海外で通用する人材教育システムの構築

3-4 低価格海外製品への対応 高度化された生産技術で高い労

働生産性と、低価格海外製品に

勝てる原価低減を実現してい

る。その一方で、差別化された

技術・工法による高付加価値製

品の取り込みを図っている。

(1)生産管理システムの構築

(2)品質保証レベルの向上

(3)生産技術の革新

(4)差別化された技術・工法への取組み

(5)海外からの製品購入

4.同業/異業種との積極的な連携

4-1 経営基盤高度化システムの構築 ダイカストメーカーの経営基盤

が確実なものとなっており、ユ

ーザーから信頼を得て社会貢献

している。

(1)生産技術の標準化(2)生産管理方式の構築

(3)品質管理レベルの向上

(4)経理処理の合理化

(5)金型保管倉庫の共有化

4-2 分析・解析システムの拡充・標準

(使用頻度が低く、投資効率が悪いた

め、導入できない分析器・測定器が

ある。)

測定・分析センターが設置され活用されている。(拡充、共有することで投資効

果を上げている。)

(1)日本ダイカスト協会の分析試験室の拡充 ○ ○ ・亜鉛合金ダイカスト品質証明制

度運営委員会

・技術研修部会

33

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ダイカスト産業の課題 6年後のあるべき姿(目標) 施     策(社)日本ダイカスト協会事業

A B 担当委員会・部会

4-2 分析・解析システムの拡充・標準

(使用頻度が低く、投資効率が悪いた

め、導入できない分析器・測定器が

ある。)(つづき)

測定・分析センターが設置され活用されている。(拡充、共有することで投資効

果を上げている。)(つづ

き)

(2) 材料分析装置・各種測定装置などを共有

化するとともに、機械的性質試験装置の導

入を図ることとする。

5.これからの成長産業への供給

5-1非自動車分野への展開 ・自動車産業の景気に左右され

ない、安定産業となってい

る。

・自動車産業以外の用途拡大調査とアピール

(同業/異業種との情報交換、パンフレッ

ト・展示会などの充実(各企業・協会)、自動車産業以外の展示会などへの積極的参加

など)

・目に触れ、手に触れられ、日

常生活に密着した製品の提供

をしている。

(1)ダイカスト機能(高強度、耐久性、超軽

量化、薄肉化、複雑形状など)の新市場製

品への適用

(2)新材料、新技術によるダイカスト機能の

拡大

5-2異工法との競争・競合・共存 ・ダイカストの精巧な技術の理

解度が浸透されている。

(1)異工法とダイカスト法の差別化及びダイ

カスト技術の PR(2)異工法との複合加工による新機能の拡大

・QCDを含め、異工法に対し

ダイカストの優位性がユーザ

ーに理解されている。

(1)異工法との製品コスト比較調査

34

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ダイカスト産業の課題 6年後のあるべき姿(目標) 施     策(社)日本ダイカスト協会事業

A B 担当委員会・部会

5-3「新経済成長戦略」における新産業

への参入

・開発段階からの参入による、

共同開発が実施されている。

・産学との連携による新産業(太陽光発電や

燃料電池、LEDなどの環境・エネルギー

分野や、新世代自動車向け電池、次世代知

能ロボットや、先進医療機器などの医

療・福祉分野など)への参入

6.人材の確保・育成

6-1職場環境の整備及び安全職場の確立 5S(整理 整頓 清潔 清掃・・ ・ ・躾)の行き届いたクリーンな職

場ができて、若者も女性も高齢

者も働き易い作業環境が整って

いて、作業着の汚れない職場に

なっている。

(1)快適安全職場の整備

(a)粉塵 ミスト 騒 音・高温等に対応・ ・し、ISO14001を取得と 3Kからの脱却。

(b)5Sの行き届いたクリーンな職場環境

(c)安全・環境・省エネを配慮した工場づ

くり。

6-2人材が集まる魅力ある産業造り ものつくりの中に、創造性と

効率や感性が織り込まれたダイ

(1) やりがい、魅力あるダイカストの PR(2)ダイカストの技能伝承のシステム作り ○ ・技術研修部会

35

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カストの良さに惹かれて、若者

達が技術と技能を発揮し製品開

発で技量を発揮できている職場

になっている。

企業が学校から常時新卒の若

者達を受け入れ、業界内で技術

の習得を進め、人材が定着し、

定年を迎えても登録制で産 ・学・官で技術者を必要な企業に

派遣する制度が確立している。

(3)ダイカスト講座の開講と業界外への開放 ○ ○ ・技術研修部会

ダイカスト産業の課題 6年後のあるべき姿(目標) 施     策(社)日本ダイカスト協会事業

A B 担当委員会・部会

6-3人材教育の推進 ダイカスト企業の後継者が、

希望を膨らませてやりがいのあ

る産業になっている。そのため

に良い人材が育成され、新たな

技術が生まれ、創造性豊かな職

場環境が整備され マイスター、制度のような価値の高い技術者

の称号が定着し、技術の研究が

業界で当たり前の問題で進んで

いる。

(1)熟練技能者の固有技術のデータベース化

と若年技能者への教育・訓練、伝承

(2)経営後継者人材育成教育の推進

(3)管理監督者の養成

(4)初級・中級・上級事務社員の育成 ○ ○ ・中小企業委員会(新部会)

(5)技術者の育成

 (a)技術・技能研修制度の運営

 (b)スキルアップ研修制度の運営

 (c )技術アドバイザー制度の運営

○ ○ ・技術研修部会

6-4多様な人材の活用 作業環境を整え、高齢者も女性

も若者も、海外からの働き手

(1)定年を迎える高齢労働者、派遣社員、海

外研修生(外国人 海外派遣)などの社員・

36

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も、時代に即した自在に働ける

職場が生まれ、軽作業から技能

を用いる仕事が柔軟に取り入れ

られる働く職場があり、教育環

境が整い、生産の多様化に合わ

せて雇用の開かれた場所があ

る。

教育の推進

(2)高齢者雇用の推進。

(3)高校・専門学校・大学新卒者の積極採用

(4)OB社員の活用(5)グローバル化への人材育成 ○ ・経営委員会(新部会)

ダイカスト産業の課題 6年後のあるべき姿(目標) 施     策(社)日本ダイカスト協会事業

A B 担当委員会・部会

7.ダイカストの積極的広報活動

7-1産業界への広報活動 ・精巧な技術などダイカストの

特性が一層理解され、新しい

業界からも引き合いや仕事が

増えている。

・特に、アルミニウム合金ダイ

カストは、軽量でリサイクル

性に優れ、省エネルギー、省

資源など環境保全に有効な技

【7-1~7-3 共通】(1)日本ダイカスト会議・展示会の充実 ○ ○ ・日本ダイカスト会議・展示会運

営委員会

・展示部会

(2)国・各種関係団体主催の賞の取得及び展

示会参加

37

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術として注目され、用途が拡

大している。

・取引先からパートナーとして

の評価が高まっている。

7-2 学校・学生への広報活動 ・産業界におけるダイカストの

役割やその重要性、将来性な

どについて理解され、就職希

望者が増えている。

・3Kなどネガティブなイメー

ジが払拭され、人や環境に優

しい産業としてのイメージが

広がっている。

(3)工場見学会の充実 ○ ○ ・広報委員会(毎年 11 月実施)

(4)PRツールの充実 ○ ・広報委員会

ダイカスト産業の課題 6年後のあるべき姿(目標) 施     策(社)日本ダイカスト協会事業

A B 担当委員会・部会

7-3 一般社会への広報活動 ・身の回りのいろいろな工業製

品にダイカストが多数使用さ

れていることが知られてい

る。

・人や環境に優しい産業として

のイメージが広がっている。

(5)メディアを通じたPR ○ ○ ・展示部会

・広報委員会

8.地球環境問題への対応

 8-1 「環境自主行動計画」の推進 ・政府の中長期目標に沿った目 (1)CO2の削減と省エネルギーの推進 ○ ○ ・環境・安全委員会

38

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(C02排出量の削減、廃棄物の削減) 標を達成している。 (2)省エネ生産設備情報の収集と提供

(3)省エネ生産設備への補助金制度、税制活

用システムの確立(特定設備への減税

等)

・廃棄物削減自主行動計画目標

を達成している。

(4)廃棄物の削減 ○ ○

8-2 ダイカスト製品関連の規制物質へ

の対応

・世界の製品含有化学物質法規

制及び環境法規制に適合して

いる。

・情報収集・提供 ○ ○

8-3 土壌汚染・大気汚染・水質汚濁への対応

・政府・地方自治体の規制等を

遵守している。

・ISO 14001又はエコアクション 21の認証取得の推奨

○ ○

8-4 地球環境問題対応の啓発 ・ダイカスト業界全体が地球環

境問題を良く理解している。

・環境保全セミナーの開催 ○ ○

39

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参考資料1 「ダイカスト産業ビジョン」(H18.11 策定)見直しアンケート調査結果

ダイカスト産業ビジョン推進部会

・発送数  :178社

・回答数  : 23社

・回答率  :  12.9%

・回答期限 :平成22年8月31日

問1 貴社の現状について伺います。

(1)主要納入先業種

回答社

番 号

主要納入業種回答数(複数回答 可)合計

自動車 二輪自動車 電気機器 産業機械 その他

A 1 1 2 B 1 1 2C 1 1D 1 1 2 E 1 1 1 1 4F 1 1 G 1 1 2H 1 1 1 1 4 I 1 1 2 J 1 1 1 1 4 K 1 1 1 3L 1 1 2 M 1 1 1 1 1 5 N 1 1 2O 1 1 1 3 P 1 1 2 Q 1 1 2 R 1 1 1 1 1 5S 1 1 1 3 T 1 1 U 1 1 1 3 V 1 1 1 3 W 1 1 2

合計 19 8 10 13 10 60 構成比 % 31.7 13.3 16.7 21.7 16.7 100

(2)総売上額・営業損益の状況(平成 20年度 → 平成 21年度)

40

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総売上額 営業損益

内容 回答社数 内容 回答社数

①減 収 18社 ①赤字→赤字  2社

②増 収 4社 ②黒字→赤字 7社

③無回答 1社 ③赤字→黒字 3社

合計 23社 ④黒字横ばい 1社

⑤減益 3社

⑥増益  4社

⑦無回答  3社

合計 23社

問2.平成22年度(通期)の売上金額・営業損益の見通しについて伺います。

(1)売上金額の見通し

回答社数主要納入業種(複数回答 可)

合計構成比

(%)自動車 二輪自動車 電気機器 産業機械 その他

1.大幅増収 6 5 0 1 1 0 7 12.7 2.微増 10 10 2 6 8 6 32 58.23.横ばい 5 2 2 2 3 3 12 21.8 4.微減 1 1 0 0 0 1 2 3.65. 大幅 減

1 0 0 1 1 0 2 3.6

合計 23 18 4 10 13 10 55 100.0

(2)営業利益の見通し

回答社数 主要納入業種(複数回答 可)合計

構成比

(%)自動車 二輪自動車 電気機器 産業機械 その他

1.大幅増益 7 4 0 2 1 1 8 16.32.微増 8 8 1 2 4 1 16 32.73.横ばい 8 4 3 3 4 5 19 38.8 4.微減 2 1 0 1 1 1 4 8.2 5.大幅減益 1 0 0 1 1 0 2 4.1

合計 26 17 4 9 11 8 49 100.0

問3.今後の経営改善の方策について伺います(複数回答 可)。

   注:回答社数と具体的方策の件数が異なるのは、1社複数回答、具体的方策の回答がない会社があるため。

(1)技術・技能を活かした攻めの経営

  

1. 自社の強みの検証・評価(人材、技術力、設備等)(11社)

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【人事育成】

①人材教育(2件)

②若手設計者の育成と補強。

③時間はかかるが、人材の育成に力を入れたい。

④1人100歩よりも100人が1歩づつ向上・前進を。

⑤人事・教育制度の再設計。

【研究開発基盤】

①研究すべき基盤技術の明確化。

②新材料・新技術開発の仕組み作り。

③開発部門の強化。

    【開発設計・生産技術】

①技術開発力。

②設計・金型から対応できる一貫生産能力。

③金型設計、鋳造、加工、塗装の一環生産。

④高精度鋳造と塗装、高精度加工と加工レス化。

⑤金型から完成品まで競争力を活かした経営。

⑥真空鋳造(2件)

    【設備管理】

①メンテナンスの充実(2件)

②古い設備を新鋭機に更新、積極的に実施。

③最新の機械の更新化を毎年継続。

    【将来計画】

①経営戦略ツール(BSC ほか)を用いて中期計画時検証。

②新市場の開発

2. 技術力の強化(19社)    【職能教育と資格取得計画】

①各種技能検定、国家資格の取得等。

②ダイカスト技能検定(製造関係者の 100%取得)。

③ダイカスト技能士の養成と技術のマニュアル化。

④教育訓練。

⑤人材教育。

⑥社内外研修。

⑦専門分野の技術修得(研修会等参加)。

⑧生産技術部門の人材育成と補強。

⑨蓄積されたノウハウに、斬新なアイディアを加味し、OJT、各種講習会に参加し、

固有技術の研鑽を積むこと。

    【生産工程の技術】

①各種技能検定、国家資格の取得等。

②鋳造方法の検討。

③自社独自の鋳造方法の開発。

42

Page 43: €¦ · Web view(1)要求事項と適正価格のガイドラインの作成とユーザー業界への啓発 (健全な取引慣行を定着させるためのガイドラインの作成とユーザー業界への働きかけ。)

④数個取りの品質安定化。

⑤加工レスの拡大。

⑥不良、生産性、品質、災害について、目標対実績値の毎月照合と改善対策実施。

⑦分析・解析技術の構築。

    【新製品開発技術】

・軽量化推進のための新規部品開発。

    【新技術開発】

①学・研究機関との連携。

②関連メーカーとの技術交流の実施。

③サポイン制度*を利用しダイカスト技術の向上を図る。

 ④H21年度 戦略的基盤技術高度化支援事業*「環境・コスト低減に対応した光輝性

アルミニウム合金鋳物製造技術の開発」の推進と、この事業化につき「新連携事

業」

への採択の準備。

注*「サポイン制度」「戦略的基盤技術高度化支援事業」

  「中小企業ものづくり基盤技術の高度化に関する法律」に基づく基盤技術高度化支援事業の

    戦略的基盤技術高度化支援事業

【技術開発組織】

①新しい人材や金型メーカー、弊社設計等、総合的な技術力強化に取り組んでいる。

②技術開発組織の再編。

  3. 営業力/技術営業力の強化(18社)    【教育・人事】

①人材教育。

②外部講習会。

③研修会等に参加(プレゼン方法の研修等)。

④営業マンの人材育成と補強(製造部門から営業へ移動等)。

⑤人事補強及び人員の育成。

⑥設計技術者を営業部へ配転し、営業力強化を図る。

⑦技術コンサルタントの活用。

⑧現場とのコミュニケーション。

⑨海外グループ会社と連携した営業展開。

    【顧客への提案型営業】

①提案型営業。

②提案と見積もり。

③客先への提言を積極的に行う。

④開発力の強化で提案型技術営業の推進。

⑤具体的提案。

⑥顧客の要望に正確に応えることは当然だが、相手の為になる提案型ビジネスに積

極  的に取り組むことが急務。

43

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⑦顧客の SE活動へ参画。⑧顧客の要求と一致し、コンカレントエンジニアリングに参加し、構想段階から参

入 する。

⑩弊社は、商社に依存する部分が大きいので、商社に対し勉強会を催しそれなりの

 成果を上げている。

    【情報収集】

・海外ダイカスト産業の技術力の把握。

  4. 低価格原材料・副資材の購入、省資源生産方式の導入(11社)    【原材料の購入】

①必要なものしか購入しない。

②購入材(ADC12)の試験導入。

③海外原材料の購入。

④海外からのアルミ材購入を検討。

⑤輸入材の購入拡大。

⑥海外安価品の調達。

    【副資材購入】

・LPガス→電気。    【低価格購入】

①すべて相見積もり(目標管理)。

②原材料、部品費、外注費、付加価値(目標管理)

③電力、燃料、運賃、修繕費、消耗品費(目標管理)。

④期末に、実績に応じて成果配分(第3賞与実施)。

    【情報収集】

①客先、同業他社、協力会社との情報交換。

②各種展示会、工場見学会等での情報収集。

③複数社からの情報と見積を参考にして購入。

    【省資源生産】

①機械加工の際に発生するダライ粉について、従来は社外で再生していたが、輸送

コ  スト等を考慮して社内で再生することに変更した。

②新しい鋳造機は、スプル、ランナーを山形にできるので、再生費の低減に役立っ

て  いる。

  5. 新材料・生産技術の採用(12社)    【新材料・材料変更】

①新材料の提案。

②新材料(セラミックスとの複合材)の更なる推進。

③DMS-5材を使用した製品の受注生産。

④新材料は難しい。他業種にある技術を大いに採用して行きたい。

44

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⑤アルミダイカストの受注の強化。

⑥熱伝導の良い合金(例:DMS1)

⑦亜鉛合金でメッシュメタル入りの新材料を採用した。

⑧高延性材料の採用。

⑨高熱伝導材料の採用。

    【生産技術】

①真空法案の採用拡大。

②ナノキャスト。

③低コスト熱処理の採用。

④生産技術・製造技術の標準化と活用方法の見直し。

    【新材料・生産技術の開発体制】

①客先との協同研究。

②業者との相談・打合せ。

③材料の開発(アルミ材)大学との連携。

④産学官の勉強会出席及び技術交流。

⑤見学。

⑥トライ。

  

6. 生産効率の向上(17社)    【製造工程の改善】

①段替時間の短縮。

②ハイサイクル化。

③サイクル短縮等。

④稼働率のUPと多台持ち作業(一部自動化に改善)。

⑤仕上げレス化。

⑥工程改善の実施。

⑦工程管理ソフト。

    【設備の改善】

①新開発の機械を活用し、30~50%の向上を目指す。

②省力化装置の多様化。

③自動化への取組み。

④生産設備の集約。

⑤TPMの手法で設備の自主保全。

    【システムの改善】

①金型、鋳造技術の改善改良で生産効率の向上。

②現場力と物流距離の短縮

③社内生産革新会議(社長直轄)。

④TDSを全社的に展開し、管理強化を図る。

⑤すべて目標値をキープすべく各部門で行動。

⑥各期首に、課長以上で、月ごと・各項目設定。

⑦期首に、方針・目標発表会を実施、徹底を図る。

45

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⑧全部署工数管理の実施。年目標・日々管理。

⑨材料投入から製品完成の効率化。

⑩TPM活動の推進。

  7. 不良(不適合)率の低減(17社)    【製造工程の改善】

①チョコ停ゼロによる捨打ち不良低減。

②金型温度制御管理。

③金型の冷却方式を再検討し、サーモグラフィを活用して不良率の低減を進める。

④金型、鋳造方法の見直しによる低減。

⑤金型の保全(専門担当者を当てる)。

⑥体裁部品、特にバフ+メッキ部品の不良率は高いが、できるだけ加工が進んでい

な  い段階で検品し、実害を少なくしている。

⑦不具合内容技術の導入。

⑧定時及び(中間(工程内)検査の実施。

⑨不良分析。

⑩専任者による不良対策を行う。

⑪工程間の品質保証の確立。

    【システムの改善】

①社内改善会議。

②目標管理を徹底することで、歩留まりの更なる向上を目指す。

③打合せ時の品質の造り込みと、設計からVE提案での展開,。④不良対策専任部署の設置。

⑤品質改善プロジェクトの実施。

⑥技術検討会。

⑦条件見直し等。

⑧CAE 強化。

⑨上記 1.(自社の強みの検証・評価(人材、技術力、設備等)~6.(生産効率の向

上)   を通じて実施。

⑩ISO9001の継続審査実施中。

⑪TPM活動の推進。

【教育】

①品質教育。

②品質月間の設定。

  8. 製造設備の改善、製造・試験計測設備の更新、製造・試験計測設備の新規投資(12社)    【製造設備】

①アルミ溶解炉の制作(ホーメル炉)自社製。

②老朽ダイカストマシンの入れ替え。

③計画:ダイカストマシン(250~350トン)1台増設予定。

    【試験計測設備】

46

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①試験計測設備年次点検を行う。量において増設。

②X線CTシステムの導入。

    【設備管理】

・定期チェック実施時期に精査。

    【設備更新・設備投資】

①時期を見て更新。

②各々規格を外れたものの更新を実施中。

③不良低減と生産性重視で更新。

④定期的設備の更新。

⑤品質見極めのための設備投資と最新の生産設備。

⑥毎期、設備の見直しを行い、更新・増設の判断。

⑦設備内製化の強化。

⑧近年投資を行ったが十分利用できていないので、更に新規投資は現段階では行わ

 ない。

  9. その他(2社)      【管理者による活動計画の実施

・管理者全員が目標管理を実施している。

      【トヨタ方式を習って】

①ムダ取りに全員が努力中。

②5万円社外に出る金を節約すれば、売上げが100万円下がっても利益は同じ。

10. 技術・技能を活かした攻めの経営に関する問題点・課題(10社)    【技術開発】

①製品開発を専任業務として行うことのできる環境・組織。

②開発段階から協同開発ができる環境仕組みがない。

③戦略的基盤技術高度化支援事業*「アルミ材の鋳造-鍛造の一貫製造システムの

 開発」を川下企業への展開と実用化及び量産体制の確立を早期に行う。

注* 戦略的基盤技術高度化支援事業

   「中小企業ものづくり基盤技術の高度化に関する法律」に基づく基盤技術高度化支援事業の

    戦略的基盤技術高度化支援事業

    【経営環境】

①全体的に仕事量が少なく売上げも減少しているため、設備等更新するための余裕

がない。今後数年先を見据えたとき、かなり不安。

②Q、Dに対する顧客の評価がももう一つである。

従来、弊社は極めて精密な小物部品に特化して経営を行い、その向先は弱電業

界であったが、ビデオカメラやデッキから磁気テープがなくなりメモリー ICが主流になり、弊社が納品していた膨大な数量の精密部品が不要になった。

③一番問題視されるのは、従来当社でなければできなかった物が、海外へ移って行

く。

47

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国内に残って生き残る決意が少なからず脅かされる。特に、最近の円高などのこ

ともあり、国の基を担ってきた中小企業は、国内で生き残ることができるのか?

④量産品や単純製品は、海外アジア圏へ生産拠点が移り、困難製品や非量産品が国

内  生産の柱となることから、非量産設備と生産方式の確立が大切。そのための投資

が  経営の負担とならぬようにすることが課題。

【海外問題】

①海外展開で技術者とともに技術が流出するが、これの保全と生産された製品の海

外  販売ルートの確立が課題。

②為替の変化が極めて重要で為替リスクの起こらぬ又は影響を最小限にする方策。

    【人材の確保・育成】

①技術的スキルを持った中間管理職の不足。バブル崩壊時の人員採用の抑制や離職

の  増加が原因で手薄となった年代層ができてしまい、その補いに苦労している。

②後継者とそのスタッフの教育。

③展開をスピードアップさせるための人材育成。

(2)健全な取引慣行で共存共栄

  

1. 取引慣行の改善(9社)    【製品取引】

①発注をその都度行うのではなく、例えば、3か月前に発注書を発行し、その注文

に  は責任を持って引き取る要に改善して欲しい。

②不具合品などの補償の押し付けなど、力関係問題。

    【製品価格・値引・代金支払い】

①VE,VAの名を借りた定期的な売値値引きの問題への対応。

②原材料価格変動に伴う交渉。

③キャッシュフローの改善(支払期日の短縮化のお願い)。

    【金型代金:金型保管・金型返却】

①型取り扱い一括支払い。

②死蔵金型の返却交渉。

③当社で問題なのは、製品の注文がない金型の保管。先方の固定資産なので引き取

っ  て欲しい。勝手に処分もできない。型数が多くて苦渋。

④生産中止後一定期間経過した金型について、主力取引先が数回にわたり約1年間

 かけて現物と台帳の確認を行った。その結果、何点かの金型の処分 OKがでた。    【取引のモラル・法・ガイドライン】

①下請法対象の企業への発注を抑える発注側企業のモラルの問題。

②下請法、取引適正ガイドラインの導入。

③協会策定の取引ガイドラインの遵守。

  2. その他(2社)    【上記 10.(技術・技能を活かした攻めの経営に関する問題点・課題)に対して】

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・経産省の「素形材産業ビジョン」(追補版)3(.新興国市場の立ち上がりとメー

 の調達行動の変化)にある、”低価格を追求し品質を犠牲にすれば”は理解できる

が、  日本の企業が海外で生産するものは品質も良い。

    【生産中止のできるだけ早い情報の提供】

・ある日突然生産中止になることがあり、これは非常に困るので、やむ得ない場合

は  補償金を支払う必要がある。

  3. 健全な取引慣行で共存共栄に関する問題点・課題(7社)    【見積価格】

①見積もり時の生産数と現実的に違っても安い方の価格で決定されることが多い。

 海外での生産価格を引き合いに出される。

②定期的コストダウンの要求。

    【金型保管スペース】

・金型保管場所の狭量。

    【その他】

①ここ1~2年は、新型の着工が極めて少ないため、取引慣行に関する問題点は顕

在  化していない。

②健全な取引慣行は守られているが、海外調達になって行く物に如何に対応する

か?  ユーザーにしてもやむを得ない事情がある。加工レスや高度な加工や塗装等を含

め  て、海外以上のメリットを提供することが当座の方策で、尚更に安定した高品質

低  コストの路は無限にあるので、鋭意努力を重ねて行きたい。

③下請法等により零細企業は保護されているように見えるが、現実には恐くて権

利の行使はできない。

④当社は、下請法の適用を受けない規模のため、取引条件上、不利な点も吸収しな

が  ら企業活動をしなければならない。

(3)経済活動のグローバル化への対応

  

1. 海外へ進出していない(11社)    【回答があった主な理由】

①基礎体力不足。

②人材と資金力の不足。

③我が社では、人材、資金面を考慮し、今はその時期とは考えない。

④当社の生産にはいくつかの部門があるが、その一つ一つは規模が小さく海外進出

に  なじみにくい。

⑤人材、管理層、財務力、会社の力の分散、国内で生きる方針。

⑥国内にあって生き残る。

  2. 海外進出済み(国名と進出動機)(12社)(1社で複数国進出あり)

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・アメリカ 市場の大きさ。

・アメリカ 拡販及び得意先への納入対応。

・イギリス 拡販及び得意先への納入対応。

・台湾 親会社(取引先)の進出に伴い。

・中国 客先の進出による。

・中国 得意先(現地需要)が多い(客先からの要望)。

・中国 将来的なアジア地区の経済成長を見込み。

・中国(上海) 事務所のみ(情報と今後の展開)

・フィリピン 得意先との関係。

・フィリピン 客先からのアプローチ。

・ベトナム 価格問題と顧客先の要請。

・ベトナム 自社の海外工場進出の足がかり。

・ベトナム ①価格競争力の向上。②顧客(日本企業)の LCC化対応。

・マレーシア 得意先(現地需要)が多い。

・マレーシア 得意先の要望。

・タイ 得意先(現地需要)が多い。

・タイ 将来的なアジア地区の経済成長を見込み。

・タイ ①ビジネスチャンスがあると判断した。

②反日感情がなく友好的。

③商社が協力してくれた。

・シンガポール 得意先(現地需要)が多い。

3. 海外進出検討中(国名と進出動機)(5社)(1社で複数国進出あり)

・メキシコ 北米ビジネスの開拓。

・中国 得意先からの検討要請。

・中国 将来の販売先として。

・タイ 得意先からの要望。

・タイ タイ進出先よりの要望と、引き合い増加。

・タイ 現地供給対応。

  

4. 取引先からの海外進出要請の有無(12社)①なし 11社

②あり  2社 進出時期:2012年 進出先国名:タイ

進出時期:2012年春頃 進出先国名:タイ

②の売上金額比率:約 10%

  5. 海外生産拠点と国内生産拠点との役割分担(8社)A社

 ・海外生産  (1)現地生産対応。

(2)量産もの。(3)精度(品質)は、それほどうるさくなく、低価格製品対応。

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 ・国内生産  ・ 精度が高く、付加価値があり、海外との価格競争優位にある製

品。

B社

 ・海外 大量生産が容易に行える。

 ・国内 マザー工場としての役割と、少量生産及び精度の高い製品継技開発。

C社

 ・別決算としているため国内へのメリットは少ない。海外から日本へ持ってきて

  いるものはない。

  海外生産分は、生産国内で消費。

D社

 ・国内は、技術及び管理技術を蓄積し、マザー工場とする。海外拠点は、国別・

  地域別区分を設け、輸出を行い、グローバル展開を目指す。

E社

 ・国内・海外とも当社の一つの工場という位置づけ。

F社

 ・現地送り品の現地生産化の検討。

 ・中小企業は、体力的に複数の拠点を持ちにくく、ある国から別の国へ展開が図

り   にくい。

 ・現地調達への対応。

 ・得意先の所在する地域で生産対応。

G社

 ・海外 量産品で単純製品を中心に海外。

 ・国内 困難製品で国内販売主体のものは、国内で分担する。

H社

 ・日本をマザー工場として海外へ展開。

6. 今後とも海外進出しない(5社)    【回答があった主な理由】

①固有技術に向かい、現場力をつけ競していく。

②多種少量。高品質、低コストで努力。

③できるだけ日本人の雇用を守りたい。

  7. 海外から撤退する(0社)

  8. その他(2社)①他社で敬遠されたモノでもやる。

②合わせる工夫。努力が身のためになる。特に、品質、コストを含めて。月次決算。

 目標対実績を社内に掲示・公表。毎月及び累計。

③-1 ヒト:現地語。普通国際語が話せ、技術に精通している者が限られているた

     め、育成などが課題。

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③-2 モノ:モノの出し入れが国によって問題になる。国の法律を熟知しないと、

      いものになる。

③-3 カネ:現地の、賃金の5~10年先の情報など。

  9. 海外進出に関する問題点・課題(11社)    【進出先の言語、国民性、文化、食事、法律、宗教、労働慣行】

①言葉・食事。

②国民性、法律、為替、宗教、労働慣行。

③文化の違い。

④(a)賃金の上昇が激しい。(b)ワーカーの離職率が高い。(c)技術者・技能者・管理

 が育ちにくい。(d)インフラ整備不足。

    【会社の事情】

①語学力。

②本社の人材の厚み。

③人材の確保。

④経営を任せられる人材の確保。

⑤海外支援のできる技術・生産管理・品質保証などの人材不足。

⑥設備・金型のメンテナンス、維持管理の人材不足。

⑦海外営業力の強化。

⑧資本と人材に大きな制約がある。

⑨金も力も人材もない。国は、日本からモノ作りを追い出している。本社までも海

外  へ行く。雇用の海外流出につながり、地方経済が低迷になる。危機的な状況を加

速  し、円高も有為に活かされない。

⑩急速な展開が必要となるため、投資金額が増大すること。

⑪投資の回収遅れによる資金繰りへの影響。

    【その他】

①国内の空洞化。

②地球規模で考えたとき、生産地点は問題でなく、技術があれば克服できると確信

し  ている。また必要な時期、海外の信頼できる提携先の協力を仰ぐことで解決でき

る。 ③海外進出の課題ではないが、国内の公共事業で使用される品物(例えば、歩行者

用  信号灯器)を価格だけのことでなぜ海外で作らなければならないのか、公共事業

 (税金)で使用するものは国内調達すべきと思うが・・・。

(4)同業/異業種との積極的な連携

  

1. ダイカスト企業との連携(分業化・専業化、業務提携、技術提携、その他)(8社)    【分業化・専業化】

・大物アルミ合金専門ダイカスト業者から精密亜鉛合金部品を受注している。

これは、双方にとって利益がある。

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    【業務提携】

①ダイカスト金型の供給。

②受注量の負荷により下請け企業にお願いする。

③同業者との業務提携など、時間をかけて検討。

④地域ごとにグループ化。

⑤小規模企業はグループ化して行かないと残れない、情報の開示を進めて行きたい。

⑥同床異夢の感で各社の思惑があり、目標設定難題。

    【その他】

①関東:地区部会を活用し、情報の収集。

②ダイカスト研究部会への参画。

③考究中。愛知県と名古屋商工会議所のモノ作りブランド企業指定などでも PR。

  2. ダイカスト関連業種企業との連携(業務提携、技術提携、その他)(9社)    【業務提携】

①表面処理業種との連携。機械加工等の業種との連携。

②金型・加工関係の工場の経営統合の促進。

    【技術提携】

①県内 T社へのダイカスト技術支援。②カーメーカとの技術交流

    【その他】

①従来より技術、資金面で連携を強化し、協力関係を構築する必要性は感じている。

 今後、関連企業間の定期的な会合、研修会等も必要。

②希望する企業があれば大いに進めたい。

③考究中。

  3. 異業種企業との連携(分業化、技術提携、技術提携、その他)(5社)    【技術提携】

①熱処理メーカーとの技術交流。

②樹脂材料メーカーとの技術交流。

③技術提携等により、新技術の開発をする。

④異業種企業との開発交流(地域イノベーション、サポートインダストリー*)。

⑤取引関係(ともに親企業)。

注* サポートインダストリー

  「中小企業ものづくり基盤技術の高度化に関する法律」に基づく基盤技術高度化支援事業の

   戦略的基盤技術高度化支援事業

  4. その他(1社)①自動車部品メーカーとの連携。

②自動車部品メーカーと連携し、新部品を開発する。

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  5. 同業/異業種との積極的な連携に関する問題点・課題(4社)①仕事量が減ってくるとC/Dしても仕事を受注したいのはどの企業でも同じだが、

 このような繰り返しでは業界の向上は望めない。節度ある受注競争を求めるのは

 無理か。

②ダイカスト単体での完成商品は、いろいろ工夫してきたが難しい。発注企業が海

外  に行ったり、海外から安くて良いモノを調達したりで、国内ダイカストは刻々と

 疲弊していく。世界的な不況に金融緩和くらいでは後手である。改善不能。他国

で  は、国家元首まで窮状打破に活躍しているというのに、党利党略や保身のことよ

り  国のために献身されることを切望する。力一杯、納税しているのに!! 言論だ

け  でなく行動されよ。

③難しい問題が多いと思うが、企業文化や感覚が合い、双方の利益になれば行うべ

き  だと思う。

④狭い業界なので、差別化ができなくなってしまうため積極的な連携は難しい。

⑤ダイカストの良さを広くアピールして欲しい。

(5)これからの成長産業への供給

  1. 新市場分野の調査研究(14社)    【自動車産業】

①自動車産業への受注拡大営業を行う(提案型営業VA 等)。

②HEV車,EV車対応。

③EV 開発ベンチャー等への訪問。

④EV 市場の調査。

    【ダイカスト用合金の変更】

・アルミ市場→マグネ市場への切り換え。

    

【自動車以外】

①従来にない材料の開発と鋳造法で、エレクトロニクス分野へのプレゼンを行う。

②カメラ、プロジェクタ等の光学精密部品。

③ロボット。

④燃料電池市場の調査。

⑤福祉機器の調査。

⑥環境に関する分野。

⑦自動車分野以外の需要発掘。

⑧「素形材産業ビジョン」(追補版)(H22.6)の5大成長分野への対応研究。

    【新分野模索】

①県のブランド企業、商工会議所のモノ作りブランド企業などを PR。②顧客と協同。

③成長分野を正しく分析・検討のうえ、用途開発をし、情報を連携企業内に開示し、

 供給方法を模索する。

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Page 55: €¦ · Web view(1)要求事項と適正価格のガイドラインの作成とユーザー業界への啓発 (健全な取引慣行を定着させるためのガイドラインの作成とユーザー業界への働きかけ。)

④企業訪問・提案。

⑤新市場を調査中。

⑥各種展示会見学、参加出品。

  2. その他(1社)    【トータルで、他社・海外で勝ちたい】

①ムダ排除、コスト低減。

②品質で競う。

③トヨタ生産方式を一層追求。

  3. これからの成長産業への供給に関する問題点・課題(8社)①価格面で利益確保が難しくなってきているため、VA,VE 等で改善を実施してい

 が、C/Dに追いつかない。

②高精度機械加工技術。

③生産管理技術。

④各社集中によるQ・C・Dの競争。

⑤新技術の品質保証にかかる労力と経費。

⑥成長産業と目されている医療、介護分野、ロボット関連も大きな市場とはなりに

く  い。当社でも従来よりその極一部を手がけているが、ダイカストのロットに達し

て  いないもの(砂型、金型鋳造)のものもある。蓄電池、太陽光発電の分野でアル

ミ  ダイカストとの接点がないか模索している。

⑦例えば、電気自動車等の大きなマーケットができると思うが、私共は極小な物に

 特化しているので出番はないと思う。

⑧現状は客先からの要望するモノを供給してきたが、ダイカスト品が広く使用さ

れる  ことを期待はするが、一企業の努力だけでは適うはずもなし、業界全体で PRする  ことも必要な時期ではないか。

⑨自動車以外の成長産業の情報不足。

⑩未熟さ全般。

(6)人材の確保と育成

  1. 人材の育成(17社)    【社内・社外教育の拡充】

①定期的教育の実施。

②社内教育の拡大・充実。

③階層別・職能別教育の充実。

④階層別教育プログラムの作成と実施(外部講習)。

⑤OJT 等社内実地研修。その際、すばらしい技術・技能を持つOBの人達の経験を

 活かすことも必要な時期と考える。

⑥若手技術者の確保と技術力(定期的1回/月勉強会の実施)。

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⑦ダイカスト技能検定の受験。

⑧技術評価キャリアパス・報酬・教育を総合的に考えた。

⑨方針・目標に挑戦と、成果配分。

⑩定期的な成績評価とアドバイス。

⑪技術の伝承。

⑫社内外研修と付加価値経営。

⑬外部講習等の積極的参加とOJT。⑭内・外部の勉強会への参加。

⑮県の機関。

⑯グローバル化の対応で、語学や渉外力の育成。

⑰海外派遣要員の育成と確保。

    【総合的体系的教育精度の再構築】

①社内教育体系図による計画的な教育。

②社内教育制度の再構築。

③人材教育制度の見直し。

④人事制度の設計・導入。

  

2. 人材の新規確保(職場環境の改善を含む)(11社)    【工場内の整備】

①工場内の整備。

②自動化の取り組み。

③3K排除。

④夏場の暑さ対策(スポットクーラーの導入)。

⑤安全教育、冷暖房、全自動機(加工も)。

    【新社員の採用】

①定期的採用活動。

②定期的(毎年)新卒者の採用。

③新卒・中途採用の継続。

④学卒定期採用。

⑤就職ナビ、人材チャレンジ、ワーカーサポートセンターの活用。

    【人材活用】

・連携企業間での人材活用(横の繋がり、OBの活用)。

  3. その他(1社)・カイゼンの指導コンサルタント。

  4. 人材の確保と育成に関する問題点・課題(7社)①ダイカスト製造業の知名度が高くない。

②就労条件等に対するイメージが良くない。

③賃金が低い。

④労働環境が悪い。

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⑤3Kを代表する産業のため、職場環境の改善。

⑥希望するような人材の確保が難しい(地域性による)。

⑦若手作業者(技術者)の定着率UP。 ⑧当社は、毎年大卒・高卒とも定期採用している。H21年は、リーマンショック直

後であったが、採用はその前に決めていたため、大卒6名、高卒6名を採用し、

H22年は大卒2名、高卒3名を採用したが、H23年は採用ゼロの予定。この1年

半は、「中小企業緊急雇用安定助成金」を受けて毎月1~2日研修を実施し、社

外研修も例年よりも多く参加させた。

⑨海外への展開スピードに人材の育成が追いつかない。

(7)地球温暖化問題への対応

  1. 省エネルギー化(CO2排出の削減、コストダウン)(22社)    【生産性向上】

①不良の削減。

②鋳造不良の改善。

③生産性向上。

④製品重量低減による軽量化の取組み。

⑤製品、製造エネルギーの削減の取組み。

    【設備改善】

①エア漏れの改善。

②エア圧の低減。

③インバータへの入れ替え。

④歩留まりの向上、新開発マシンによる生産。

⑤溶解バーナー出力適正燃料の実施。エネルギー使用量の見える化。

⑥CO2排出削減(燃料費削減)。

⑦集中溶解、手元電気炉化。

⑧LPガス炉→電気炉への変換。

⑨電気炉の採用で熱効率を上げ、省エネ化を図っている。

⑩溶解炉の改善を図りたいが余裕がない。

⑪省エネ対応の溶解炉への変更(炉の更新より)。

⑫新規設備は省エネタイプに変更。

⑬省エネルギー型の設備の導入。

⑭新規投資等の検討。

⑮各種設備の見直し。

⑯社用車のハイブリット化。

    【省エネルギー化システムの構築・運用】

①当社は、第1種エネルギー管理工場に指定されており、CO2は年間1%ずつ削減

す  る目標を立てている。

②部門活動計画書(年間)反映し、実施している。

③環境委員会の省エネ管理チームで活動。

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④社内省エネ委員会設置。ISO活動で意識の浸透。⑤省エネ推進の企業競争でコンパの推進。

⑥エコ21の継続推進(2社)

⑦EA21への取組み強化。

⑧ISO14001による改善活動で展開。

⑨ISO14001の継続審査実施中。

⑩ISO14001 取得予定。

  2. エネルギー転換(7社)①A重油、LPGを用途別使用。

②重油から天然ガスへの転換(2009年済み。

③重油→電気又はブタンガス→都市ガス等の検討。

④できるだけガス(プロパン+ブタン)から電気炉に変更している。

⑤溶解炉(灯油→都市ガス)。

⑥輸送機器(ガソリン車→ハイブリット車・ディーゼル車)。

⑦部門活動計画書(年間)反映し、実施している。

  3. 廃棄物削減の促進(12社)    【工程改善】

①バリレス化、加工レス化の推進。

②スクラップの社内再生。

③切削油の削減。

④離型剤少量塗布による廃液処理量の低減。

⑤工場廃水の低減、洗浄液交換タクトの見直し。

    【有価物化】

①ゴミの分別による産廃から有価へ。

②廃棄物→有価物化。

    

【廃棄物削減システムの構築・運用】

①目標管理。

②部門活動計画書(年間)反映し、実施している。

③3R(リデュース、リユース、リサイクル)の強化。

④エコ21の継続推進。

⑤ISO14001の活動の中で行って行く。 ⑥2007年 6 月 ISO14001 取得以来、毎月「環境委員会」を開催し、廃棄物の分別

と削減に努めその効果も相当程度上がっている。ちなみに、事業系廃棄物につい

ては、2007年 11.8t、2009年 8.4tに減少した。

  4. その他(2社)①汚水処理装置、大気汚染処理装置を設置して毎日処理中。

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②現在「環境委員会」では、「緊急事態」に対する対処と、「化学物質管理」が議

論  の中心となっている。

    5. 地球温暖化問題への対応に関する問題点・課題(5社)①CO2の削減には大いに関心を持っているがこの経済状況の中では何の改善も進め

て行けない。

②いかにして溶解炉の排熱が利用できるか(コスト、技術)。

③SF6の使用を削減しMGシールド+CO2の採用で SF6 問題はかなり改善できた

が、バックアップ用に SF6と装置は残している。④省エネ法、改正温対法の対応(人員、予算)

⑤省エネ化への転換で、導入コスト(設備投資)がかかってしまう。

(8)今後の経営改善に関する自由意見 (4 社 ) ①聖域なきコスト削減の要求

②仕事量の減少には大いに困っている。当社だけなのか同業者も同じなのか解って

い  ないが、突き詰めるところ、日本経済が回復しないことには解決しないと思うが、

 先々明るい話題は本当に少ない。

③EHD、EDの普及による仕事量の減少。

④公共事業、電機、ガスをはじめ、国全体のことを考えよ。自社利益重視は大衆苛

めだ。国の施策を期待。世界中の製造業を引き付ける行動を望む。円高対策。自

社株の評価方法の改善を望む。中小企業の相続関係。どこまでもコスト低減と品

質で 仕事量と適正利潤を確保する。

⑤顧客の海外シフトによる受注減(特に中国)に対する対応。

⑥海外、特にアジアを中心とした製造業のめざましい発展を見ると、この日本で製

造  業が生き残れるのか否か不安になる。しかし、価値のある物を造るのが日本人の

特  性であると確信しているので、おそらく苦しみの連続だろうが頑張っていくつも

り である。

4.経営環境の変化に対応して、協会に期待する事業活動はどのようなものですか。

  1. 期待する事業はない(2社)

  2. 継続・強化してほしい事業(13社)    【取引改善】

①量産終了金型の保管費用の回収を各メーカーへ働きかけて欲しい。

②(a)金型取引の改善。(b)一層の具体的技術の構築とアドバイス。(c)日本のダイカ

ストの PR・仕事量の確保。

    【技術開発・向上】

①技術系委員会の継続。

②日本ダイカスト会議の継続。

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③YDECの継続(当社は、今まで出席しておりませんが)。

④例えば、”超薄肉亜鉛ダイカストの調査研究”は、非常に参考になった。亜鉛合金

の  クリープ特性向上に関する研究は、私共に必要なことである。ZA 合金、

ACuZinc、  IRZRO16には欠点があるので、何とか良い合金が開発できないか?

⑤ダイカスト技術の向上に関する事業。

    【講習会・セミナー等】

①技術講習会、セミナー等の継続強化。

②25%CO2 削減の手法研究セミナーの開催。

    【情報収集・提供・外部発信】

①複合化やハイブリッドダイカストに関する事業情報の提供。

②国の、産業に対する各支援等の紹介とサポート。

③業界の PR活動(TV、ラジオ CM 等)

    【海外情報収集・提供】

①海外ダイカストメーカーの動向や情報収集。

②海外進出企業の問題点をアンケート収集。

③海外市場(情報提供)と、日本国内で生き残るためのマーケッティングの情報提

供 等を希望。④中小企業が国際競争に対応できるようになるための支援があれば・・・。

【その他】

・国内生産が増加するためには何か?→海外への技術流出をくい止める。

  3. 是正してほしい事業(2社)    【調査事業】

①労災報告(毎月→3か月ごと)。

②経産省を含めたアンケート調査等。

③地方自治体、官公庁などからの調査依頼、横展開して重複を避けてほしい。1年

以  上後にフィードバックされても?

  4. 新規事業(1社)①国内ダイカストの利点・優位性の立証とPR。国のためになっている大切な基幹

 産業であることの一層の周知徹底。

②国の内外に仕事量の確保。

問5.その他(「ダイカスト産業ビジョン」の見直しに関する自由意見) (11社)    【アンケート調査】

①アンケート内容に対して期限が短いと思います。

②アンケートの回答方法をメール(例えば、メールアドレスを協会に登録してお

 く)で行いたい(費用、工数)。次回から検討してください。

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③協会からのアンケートは、大体応えているつもりですが、アンケートの集計を

戴い  ても余り参考とすべきことが少ない。業界全体の向上のため、協会の方々には更

に  頑張って欲しいと思います。我々会員も協力は惜しみません。

    【亜鉛合金の開発】

・ダイカスト用亜鉛合金は、鋳造性、メッキ性に優れ極めて良い合金で、特にホッ

ト  チャンバーで鋳造できる合金は生産性も良く使い勝手の良いものである。

  ただ、大きな欠点は、重さとクリープ特性の悪さであるが、協会は重さの欠点

を  克服する研究を行っておられ、私共も参考にさせていただいている。クリープ特

性  については、ねじ止めができない、カシメの信頼性がない、圧入ができない等多

く  の問題があり、多くの商品化チャンスを逃がしている。

過去、私共は、ZA 合金、ACuZinc、IRZRO16 等を使用したが、IRZRO16 以外

はクリープ特性では不満足であった。IRZRO16の耐クリープ変形は極めて優れ

ているが、ホットで鋳造できないのと金型に対する溶損が大きく実用性に問題が

ある。  ホットチャンバーで鋳造ができるクリープ特性が ADC12に近い亜鉛合金の開発が

 できればありがたい。

    【経営環境変化への対応】

①ダイカスト製品の自動車産業への依存率を少しでも低減するため、自動車産業以

外  のダイカスト製品の事例を情報収集したいと考えている。

②平成 18年発信の「ダイカスト産業ビジョン」は10年先を見据えたものである

が、100年に1度の大きな経営変化が起き、グローバル化が駆け足でやって来

た昨今、見直しを進め若干の修正が必要と思われる。特に、主力の自動車の変化

は、ダイカスト生産量の大きな変化を及ぼす。この対応が必要。

③世界中の製造業を引き付けていけるようなものでありたい。苦境のダイカスト

協会  会員の士気を鼓舞するようなものでありたい。国内のダイカスト金型屋が優れた

設  備と技術で、中国で金型を造る。国内のダイカスト業者が国内産の設備と技術で、

 優れた製品を安く供給するようになってきた。どう対抗していくのか?我々まで

 中国に進出するか?示唆になるようなものでありたい。あくまで国内で生き残る

志 向に対するアドバイスが欲しい。

④平成18年の「素形材産業ビジョン」作成時から約3年9か月が経過した。この

間に、リーマンショック・世界的金融危機、BIG3 問題、日米の政権交代、 円高

(ユーロ安・ドル安)等々、わがイカスト業界も直接・間接的に影響を受ける 

事柄が沢山あった。わが協会は、大企業から中小・零細企業までが混在しており、

その受け方はまちまちで、問題の対処・解決方法も当然違ってくる。特に、M&Aに関して、他業種では大手企業間での合併等により解決を図る動きも見られるが、

わが協会内の中小零細企業に、この方策は困難というより不可能だと考える。ま

た、最近の急激な円高によって空洞化が懸念されているが、資金力・技術力があ

る企業ならば、FTAを活かせる地域等への進出の検討もやむを得ないのかとも考

える。

61

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中小・零細企業も、様々な難題から逃げるのではなく、企業間の連携・情報交

換等を通じて、将来性のある企業・産業のニーズを読み、先取りし提案できるよ

うな体制体質造りが大切な時期であり課題だと思う。

我々は、様々な問題に一喜一憂せず、当初作成した目標達成に向け、地に足の

着いた対応をすべき時だと考える。目標を現実のものとすることで、我が業界な

らびに日本経済再生の一助になるよう邁進したい。

  【その他】

①長期的視点からみてこのような活動は重要です。

②正直申し上げましてどの質問も非常に答え方が難しかったです。あまりお役に立

つ  回答になぅていなくて申し訳ありません。

①これだけの項目・量の回答を書くのもくたびれました。

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参考資料2 「中小企業関係の協会事業」に関するアンケート調査結果

中小企業委員会

○調査時点;平成22年11月1日

○調査対象:168社

○回答数 : 77社

○回答率 :45.8%

問1 貴社が属している支部について、伺います。

支 部 名 回答数 会員数 回答率 (%)関東支部   41  112 36.6中部支部 13 24 54.1関西支部 23 32 71.9 

問2 貴社の主要納入業種について伺います。(複数回答 可)

項  目 関東支部 中部支部 関西支部 合 計 構成比(%)(1)自動車   26 10 16 52 33.3(2)二輪自動車    6    2    3 11 7.1(3)電気機器   19    3 14 36 23.1(4)産業機械    20    3 17 40 25.6(5)その他    8    4 5 17 10.9

合  計 79 22 55 156 100  その他の内容;建築用金物 7、ガス・石油関連 4、光学機器 2、厨房機器 1、

家庭用雑貨 1、医療機器 1、自転車部品 1、船外機 1、農機具 1

問3 当協会では、委員会・部会*を設けて各種事業を実施しています。

これらを知っていますか、役員・社員が参加したこと、報告書等を読んだことがありますか。

1.経営講演会

設   問 関東支部 中部支部 関西支部 合 計 構成比(%)(1)参加したことがある 26   7   12 45 58.4 10

0①毎回参加している 5 1 1 7 - 15.9②都合がつく限り参加してい

る 13 3 7 23 - 52.3

③関心のある内容のときに参

加している7 3 4 14 - 31.8

(2)参加したことがない  15 6 11 32 41.6 100①知らなかった 1 0 0 1 - 3.3

(a)参加を検討する 1 0 0 1 - -

63

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②人的(時間的)余裕がない 14 4 8 26 - 86.7(a)余裕ができたら参加する 9 4 6 19 - -(b)今後も参加は無理 3 0 1 4 - -

③関心がない 0 1 2 3 - 10.02.環境保全セミナー

設   問 関東支部 中部支部 関西支部 合 計 構成比(%)(1)参加したことがある 21   7   7 35 45.5 100

①毎回参加している 2 1 0 3 - 8.8②都合がつく限り参加してい

る 9 2 3 14 - 41.2

③関心のある内容のときに参

加している10 3 4 17 - 50.0

(2)参加したことがない  20 6 16 42 54.5 100①知らなかった 2 1 2 5 - 12.5

(a)参加を検討する 2 1 1 4 - -(b)人的(時間的)余裕がな

い0 0 1 1 - -

②人的(時間的)余裕がない 18 5 11 34 - 85.0(a)余裕ができたら参加する 15 4 9 28 - -(b)今後も参加は無理 2 1 1 4 - -

③関心がない 0 0 1 1 - 2.5 3.日本ダイカスト展示会(入場無料)

設   問 関東支部 中部支部 関西支部 合 計 構成比(%)(1)見学したことがある 41 13 22 76 98.7 100

①毎回見学している 26 8 13 47 - 61.8②都合がつく限り見学してい

る15 5 8 28 - 36.8

③関心のある内容のときに見

学している0 0 1 1 - 1.4

(2)見学したことがない  0 0 1 1 1.3 100①知らなかった 0 0 0 0 - 0②人的(時間的)余裕がない 0 0 1 1 - 100

(a)余裕ができたら見学する 0 0 1 1 - -(b)今後も参加は無理 0 0 0 0 - -

③関心がない 0 0 0 0 - 0

4.日本ダイカスト会議-1(「論文発表」を聴講有料)

設   問 関東支部 中部支部 関西支部 合 計 構成比(%)64

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(1)聴講したことがある 25 12 13 50 64.9 100①毎回聴講している 5 4 6 15 30.0②都合がつく限り聴講してい

る9 4 2 15 30.0

③関心のある内容のときに聴

講している11 4 5 20 40.0

設   問 関東支部 中部支部 関西支部 合 計 構成比(%)(2)聴講したことがない 16 1 10 27 35.1 100

①知らなかった 0 0 0 0 0②人的(時間的)余裕がない 16 1 9 26 96.3

(a)余裕ができたら聴講する

15 0 9 24 -

(b)今後も聴講は無理 0 0 0 0 -③関心がない 0 0 1 1 3.7

5.日本ダイカスト会議-2(「現場改善事例発表」を聴講無料。)

設   問 関東支部 中部支部 関西支部 合 計 構成比(%)(1)聴講したことがある 26 10 11 47 61.0 100

①毎回聴講している 2 2 1 5 - 10.6②都合がつく限り聴講してい

る14 6 2 22 - 46.8

③関心のある内容のときに聴

講している10 2 8 20 - 42.6

(2)聴講したことがない  15 3 12 30 39.0 100①知らなかった 1 0 0 1 - 3.3

(a)聴講を検討する 1 0 0 1 - -②人的(時間的)余裕がない 14 2 11 27 - 90.0

(a)余裕ができたら聴講する 12 1 9 22 - -(b)今後も聴講は無理 1 0 0 1 - -

③関心がない 0 1 1 2 - 6.7

6.海外交流 [ 海外視察(アメリカ、中国、ドイツなど)] 設   問 関東支部 中部支部 関西支部 合 計 構成比(%)

(1)参加したことがある 11   4   2 17 22.1 100①毎回参加している 2 0 0 2 - 11.8②都合がつく限り参加してい

る 3 3 0 6 - 35.3

③関心のある内容のときに参 6 1 2 9 52.9

65

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加している

(2)参加したことがない  30 9 21 60 77.9 100①知らなかった 4 0 0 4 - 6.8

(a)参加を検討する 0 0 0 0 - -(b)人的(時間的)余裕がな

い2 0 0 2 - -

(c)関心がない 1 0 0 1 - -②人的(時間的)余裕がない 23 7 15 45 - 76.3

(a)余裕ができたら参加する 19 5 9 33 - -(b)今後も参加は無理 4 1 4 9 - -

③関心がない 3 1 6 10 - 16.9

7.協会ホームページによる情報提供

設   問 関東支部 中部支部 関西支部 合 計 構成比(%)(1)FAX通知の都度検索している

4 1 1 6 7.9

(2)FAX通知の内容により検

索している27 7 20 54 71.1

(3)FAX通知にかかわらず定

期的に検索している 6 1 0 7 9.2

(4)FAX通知をもらっても検索したことがない

3 4 2 9 11.8

① 他のルートで情報が入っ

て来る1 1 0 2 -

②検索方法がわからない 0 0 0 0 -③関心がない 2 1 1 4 -

(5)FAX通知を見たことがな

い 0 0 0 0 0

8.ダイカストの技術に関する調査研究・開発報告書

設   問 関東支部 中部支部 関西支部 合 計 構成比(%)(1)毎回読んでいる 19 9 9 37 48.1 100

①自分だけ読んでいる 2 1 0 3 - 8.1②社内に回覧している 17 8 9 34 - 91.9

(2) 内容により読んでいる 22 4 11 37 48.1 100①自分だけ読んでいる 3 1 4 8 - 23.5②社内に回覧している 16 3 7 26 - 76.5

(3) 読んだことがない 0 0 3 3 3.8 100①時間的に余裕がない 0 0 2 2 - 66.7

66

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(a)余裕ができたら読む 0 0 2 2 - -(b)読むのは無理 0 0 0 0 - -

②関心がない 0 0 1 1 - 33.3

9.ダイカスト技術交流会

設   問 関東支部 中部支部 関西支部 合 計 構成比(%)(1)参加したことがある 30   9   14 53 68.8 100

①毎回参加している 2 1 1 4 - 7.5②都合がつく限り参加して

いる 15 4 7 26 - 49.1

③関心のある内容のときに

参加している13 4 6 23 - 43.4

設   問 関東支部 中部支部 関西支部 合 計 構成比(%)(2)参加したことがない  11 4 9 24 31.2 100

①知らなかった 0 0 0 0 - 0②人的(時間的)余裕がな

い11 4 9 24 - 100

(a)余裕ができたら参加する

9 3 8 20 - -

(b)今後も参加は無理 1 0 0 1 - -③関心がない 0 0 0 0 - 0

10.ヤング ダイカスト エンジニア コミュニティ

設   問 関東支部 中部支部 関西支部 合 計 構成比(%)(1)社員が会員登録している 20 6 8 34 44.7 100

①常に参加している 5 2 0 7 - 20.6② 内容により参加している 10 4 4 18 - 52.9

③人的(時間的)余裕があれば参加している

5 0 4 9 - 26.4

(2)社員は登録していない 18 6 11 35 46.1 100①人的(時間的)余裕がな

い16 4 9 29 - 87.9

(a)余裕ができたら登録する

13 3 7 23 - -

(b)今後も無理 2 1 2 5 - -②関心がない 2 1 1 4 - 12.1

(3) YDECを知らなかった 3 1 3 7 9.2 10067

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①社員を会員登録させて参加

させる0 0 2 2 - 50

②関心がない 1 0 1 2 - 50

11.刊行物「ダイカストの標準」シリーズ(8冊)

設   問 関東支部 中部支部 関西支部 合 計 構成比(%)(1)読んだことがある 39 12 19 70 92.1 100

①すべてを読んでいる 13 4 7 24 - 34.3②関心のある内容のみを読

んでいる26 8 12 46 - 65.7

(2)読んだことがない 2 1 3 6 7.9 100①人的(時間的)に余裕がない 0 0 1 1 - 12.5

(a)社内に回覧している 0 0 0 0 - -(b)保管のみ  0 0 1 1 - -

②関心がない 0 0 2 2 - 25.0

設   問 関東支部 中部支部 関西支部 合 計 構成比(%)③知らなかった 2 1 2 5 - 62.5

(a)今後社内を探して読んで

みる0 1 2 3 - -

(b)協会から購入して読んで

みる0 0 0 0 - -

12.技術・技能研修制度

①研修を「受益者負担」で利用

設   問 関東支部 中部支部 関西支部 合 計 構成比(%)(1)利用したことがある 0   0 0 0 - 0

①今後も社員教育に利用する 0 0 0 0 - 0② 内容により参加する 0 0 0 0 - 0③ メリットを感じなかったの

で今後は利用しない0 0 0 0 - 0

(2)利用したことがない 21 7 15 43 - 100①費用負担が困難 2 2 2 6 - 14.3

(a)余裕ができたら利用する 1 2 1 4 - -(b)今後も無理 0 0 0 0 - -

②人的(時間的)に余裕がない 13 4 9 26 - 61.9(a)余裕ができたら利用する 11 4 8 23 - -(b)今後も無理  1 0 0 1 - -

③関心がない 2 1 2 5 - 11.968

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④知らなかった 3 0 2 5 - 11.9(a)社員教育利用を検討する 1 0 2 3 - -(b)人的(時間的)に余裕ない 2 0 0 2 - -(c)関心がない  0 0 0 0 - -

② 平成 21年度・22年度「技術・技能研修会」[協会事業(無料)]を受講

設   問 関東支部 中部支部 関西支部 合 計 構成比(%)(1)利用したことがある 24   9 9 42 56.0 100

①今後も社員教育に利用する 10 3 4 17 - 40.5② 内容により参加する 14 6 5 25 - 59.5③ メリットを感じなかったの

で今後は利用しない0 0 0 0 - 0

(2)利用しなかった 16 4 13 33 44.0 100①人的(時間的)に余裕がない 12 3 8 23 - 74.2

(a)余裕ができたら利用する 11 2 7 20 - -(b)今後も無理 1 0 0 1 - -②関心がない 0 1 2 3 - 9.7③知らなかった 2 0 3 5 - 16.1

13.技術アドバイザー制度

設   問 関東支部 中部支部 関西支部 合 計 構成比(%)(1)利用したことがある 1   0 1 2 2.7 100

①今後も社員教育に利用する 0 0 1 1 - 50② メリットを感じなかったの

で今後は利用しない1 0 0 1 - 50

(2)利用したことがない 37 12 22 71 97.3 100①費用負担が困難 1 2 1 5 - 7.2

(a)余裕ができたら利用する 1 2 1 4 - -(b)今後も無理 0 1 0 1 - -

②人的(時間的)に余裕がない 20 3 11 34 - 49.3(a)余裕ができたら利用する 19 3 9 31 - -(b)今後も無理  0 0 1 1 - -

③関心がない 7 3 6 16 - 23.2④知らなかった 8 2 4 14 - 20.3

(a)社員教育利用を検討する 5 1 3 9 - -(b)人的(時間的)に余裕ない 2 1 1 4 - -(c)関心がない  1 0 0 1 - -

14.亜鉛合金ダイカスト品質証明制度 

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設   問 関東支部 中部支部 関西支部 合 計 構成比(%)(1)利用している 19   8 12 39 53.4 100

①今後も利用する 16 8 11 35 - 94.6②あまり必要としないので利

用しない1 0 1 2 - 5.4

(2)利用していない 22 3 9 34 46.6 100① 必要性がない 17 1 7 25 - 80.6②知らなかった 1 1 1 3 - 9.7

(a)今後利用する 1 0 1 2 - -(b)必要性がない  0 0 0 0 - -(c)関心がない  0 0 0 0 - -

③関心がない  1 1 1 3 - 9.7

15.小野田賞、浦上賞、菅野賞

設   問 関東支部 中部支部 関西支部 合 計 構成比(%)(1)知っている 39 12 20 71 92.2 100

①応募したことがある 3 2 0 5 - 7.0  (a)小野田賞 0 2 0 2 - -  (b)浦上賞 1 1 0 2 - -  (c)菅野賞 2 1 0 3 - -

②応募したことがない 36 10 20 66 - 93.0(a)論文の提出が困難  16 3 11 30 - -(b)論文の書式や内容で提

出が困難9 4 4 17 - -

(c)関心がない 9 2 4 15 - -(2)知らなかった 2 1 3 6 7.8 100

①応募を検討する 0 0 0 0 - 0②論文の提出が困難 1 1 2 4 - 66.7③関心がない 1 0 1 2 - 33.3

16.上記1.~15.までの事業について、ご意見・ご要望があればご記入ください。

  ①ユーザー業界がグローバル化しているが、ダイカスト業界で国際化への対応が遅れている。

70

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    情報(世界の経済・労働比較など)を集めて会員への周知を行うべきと思う。(関東)

   ②町工場的な企業が、参加しても良いのかどうか良くわからない。(関東)

   ③YDECやその他セミナーについては、今後も機会をみて参加する予定。技術動向等の把握

に役立っています。(中部)

   ④アンケート依頼が多く、本当に役だっているか理解しづらい面あり。何かと形式張って会

合等に参加しづらいところあり。若手経営者または次期経営者が語り合う場も設けてほし

いと感じました。(中部)

問4「貴社にとって有意義な協会事業」とは何か? について伺います。

協会事業に、どのような情報収集・講習会・調査研究・研修を要望しますか。(複数回答

可)

項     目 関東支部 中部支部 関西支部 合 計 順位

①国の中小企業政策の情報収集

(法令、金融、税制、補助金等)30 7 10 47 2

②官公庁・関連団体の各種説明会の情報

収集18 2 4 24 6

③中小企業部会(4部会)の意見・要望の

検討12 6 5 23 7

④ 経営に有益な講習会の開催 24 4 8 36 3⑤ 経営に有益な金融制度の調査研究 8 4 5 17 10

項     目 関東支部 中部支部 関西支部 合 計 順位

⑥ 経営に有益な税制の調査研究 11 3 7 21 8⑦ 経営に有益な補助金制度の調査研究 16 6 8 30 5⑧技術者に有益な講習会の開催 32 9 15 56 1⑨ダイカスト技能士資格取得講習会の開催 18 5 13 36 3⑩ 新入社員研修の開催 6 6 3 15 11⑪中堅社員研修の開催 6 5 3 14 12⑫中堅リーダー社員研修の開催 9 5 5 19 9⑬管理職研修の開催 3 1 3 7 13

問5 支部*、支部中小企業部会** 主催の懇談会、講演会、工場見学会、懇親会等について

伺います。

1.懇談会・懇親会

設   問 関東支部 中部支部 関西支部 合 計 構成比(%)(1)参加したことがある 30 13 19 62 80.5 100

①毎回参加している 4 4 5 13 - 15.9

71

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②都合がつく限り参加してい

る 23 5 10 38 - 52.3

③関心のある内容のときに参

加している3 4 4 11 - 31.8

(2)参加したことがない  11 0 4 15 19.4 100①参加する人的(時間的)余裕がない

8 0 3 11 - 78.6

(a)余裕ができたら参加する 2 0 2 4 - -(b)近距離開催なら参加する 1 0 0 1 - -(c)近距離開催で都合がつけ

ば参加する2 0 1 3 - -

(d)近距離開催で内容により

参加する5 0 0 5 - -

②知らなかった 0 0 0 0 - 0③関心がない 2 0 1 3 - 21.4

2.講演会設   問 関東支部 中部支部 関西支部 合 計 構成比(%)

(1)参加したことがある 30   13 18 61 79.2 100①毎回参加している 1 4 3 8 - 15.9②都合がつく限り参加してい

る 15 5 10 30 - 52.3

③関心のある内容のときに参

加している13 4 5 22 - 31.8

(2)参加したことがない  11 0 5 16 20.8 100①参加する人的(時間的)余裕がない

11 0 4 15 - 100

(a)余裕ができたら参加する 3 0 3 6 - -(b)近距離開催なら参加する 1 0 0 1 - -(c)近距離開催で都合がつけ

ば参加する1 0 1 2 - -

(d)近距離開催で内容により

参加する6 0 0 6 - -

72

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②知らなかった 0 0 0 0 - 0③関心がない 0 0 0 0 - 0

3.工場見学会

設   問 関東支部 中部支部 関西支部 合 計 構成比(%)(1)参加したことがある 32 12 17 61 79.2 100

①毎回参加している 3 4 5 12 - 15.9②都合がつく限り参加してい

る 17 5 7 29 - 52.3

③関心のある内容のときに参

加している12 4 5 21 - 31.8

(2)参加したことがない  9 1 6 16 20.8 100①参加する人的(時間的)余裕がない

9 1 6 16 - 100

(a)余裕ができたら参加する 4 0 3 7 - -(b)近距離開催なら参加する 0 0 0 0 - -(c)近距離開催で都合がつけ

ば参加する1 1 2 4 - -

(d)近距離開催で内容により

参加する4 0 0 4 - -

②知らなかった 0 0 0 0 - 0③関心がない 0 0 0 0 - 0

4.支部・支部中小企業部会から発信して欲しい情報や行事がありましたら書いてください。

 ①多くの企業に参画してもらいたい、限定企業のみ参画傾向にある。(関東)

 ②ダイカスト産業ビジョンや経産省の素形材むけ情報の末端までの周知(地区部会などを通じ

ての活性化)。(関東)

 ③来年も、講演会を楽しみにしています。やはり政治の話がおもしろい。工場見学も楽しみに

しています。やはり泊まりが一番です。(関東)

④支部の状況に応じた官公庁からの政策情報(法令、税制、景気判断等) (中部)

⑤これからの国内、海外におけるダイカスト製造品の推移。10年後、30年後のダイカスト

業界(国内)の動向と予測。(関西)

問6 経済活動のグローバル化への対応について伺います。

1.貴社の2~3年後の国内売上げ予想は?

設   問 関東支部 中部支部 関西支部 合 計 順 位

(1)増加する 1 0 2 3 5

73

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(2)微増 6 3 3 12 3(3)横ばい 18 4 9 31 1(4)微減 7 2 3 12 3(5)減少する 9 4 5 18 2 

  2.貴社の海外進出は?

設   問 関東支部 中部支部 関西支部 合 計 構成比(%)(1)進出済み 11 3 8 22 28.2(2)進出検討中 3 1 3 7 9.0(3)進出しない 27 9 13 49 62.8

合  計 41 13 24 78 100 注:進出済み、進出検討中の複数回答有り

   (1)進出済みと回答した、22社の進出国名

中国7、タイ5、マレーシア3、ベトナム2、フィリピン2、インドネシア2、

シンガポール1、アメリカ2、メキシコ1、

(2)進出検討中と回答した、7社の国名

中国2、タイ3、ベトナム2、国未定1

(3)進出しない49社の理由(複数回答)

設   問 関東支部 中部支部 関西支部 合 計 順位

① 海外情報不足 12 0 3 15 4②資金不足 16 2 4 22 3③人材不足 17 3 6 26 2④国内で事業継続できる 12 8 8 28 1⑤廃業する 0 0 0 0⑥国内で転業する  2 0 0 2 5⑦国内で合併する 0 0 0 0

3.必要な海外情報は?(複数回答)

設   問 関東支部 中部支部 関西支部 合 計 順位

(1)海外ダイカストメーカーの

動向18 4 10 32 4

(2) 海外進出済み企業での問題

点の実態24 7 16 47 2

(3) 海外市場(情報提供)と、

日本国内で生き残るため

のマーケッティングの情

28 10 13 51 1

(4) 中小企業が国際競争に対応

できるようになるための

支援

19 7 8 34 3

74

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(5)その他 0 0 0 0 問7 「中小企業関係の協会事業」に関する自由意見

  ①非常に頑張っていると思います。然し、時代の変化が速いので変化点をより速く対応するた

めに、事務局・企画運営委を中心にプロジェクトチームを設け、問題点の早期処理、各委員

会への割り振りなどを進める組織などがあった方が変化への対応ができるのではないでしょ

うか。例えば、「経済構造ビジョン追補版」や「韓国ダイカスト協組問題」などへの対応を

仕切るチームがあれば迅速な対応につながると思うが・・・・(関東)

②いつも大変お世話になっております。今年も残りわずかとなりました。お疲れ様でした。来

年も宜しくお願い致します。(関東)

③預かり金型(10年以上でない製品)の処置を法制出来ないか。(関東)

④ 先行きの生産見通しが出ない。発注先へ協会から改善の要望書が出せないか。(関東)

⑤ 下請事業法が無視(品質、納期、コスト)されている。(関東)

問8 協会に対する自由意見

   ①事務局はじめ執行部の努力に感謝しています。特に、情報の伝達は十年前に比べて非常に

多角化、親切な流れで助かっています。あとは、各委員会の職務と役割に期待するところ

です。(関東)

   ②今年はダイカスト展示会の年でしたので大変だったと存じます。APECの影響で例年の日

程よりずらされてしまいましたし。来年も宜しくお願い致します。(関東)

   ③海外に仕事を求めてユーザーの海外進出が多い中、同じように海外進出を奨励するのはい

かがなものか?このうえ、空洞化が進めば日本の産業は、そして中小企業はつぶれて景気

の回復は無いでしょう。国内産業を発展させるような政策を考えてほしい。

    (中部)

   ④個別の問題では、いろいろとお世話になっており、ご対応には満足しています。(関西)

75

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ダイカスト産業ビジョン(追補版) 解説

1.「ダイカスト産業ビジョン(追補版)」策定の背景

「ダイカスト産業ビジョン(追補版)」の策定は、次のような背景から平成18年に策

定した「ダイカスト産業ビジョン」を見直しすることが必要となった(解説図1 参

照)。

1.1 世界的規模での経済環境の変化

平成18年11月策定された「ダイカスト産業ビジョン」は、「素形材産業ビジ

ョン」(平成18年5月 経済産業省製造産業局素形材産業室 策定)にならって平

成18年6月(社)日本ダイカスト協会にダイカスト産業ビジョン検討委員会(委員

長 甲斐 宏㈱エーケーダイカスト工業所代表取締役)を設置し、同年10月まで4

回の審議を重ねてまとめたものである。

平成20年秋には、アメリカの金融危機を契機に世界的規模での経済環境の変化が

生じて、我が国の経済活動はダイカスト産業の依存度が高い自動車をはじめ、電気機

械、情報通信機器、一般機械、精密機器、建材・住宅設備等の各産業に大きな影響を

受けて、これらに密接に関連するダイカスト産業の経営環境も急激に悪化した。

        (1)「ダイカスト産業ビジョン」の見直しの必要性

                  このような経営環境の変化から、平成18年11月に策定した「ダイカスト産業

ビジョン」の抜本的見直しが必要となった。このため、平成22年8月ダイカス

ト産業ビジョン推進部会(部会長 甲斐 宏㈱エーケーダイカスト工業所代表取

締役)を再開するとともに、協会正会員の意向を把握するため平成22年8月ア

ンケート調査(巻末 参考資料1 参照)を行った。

(2)「素形材産業ビジョン(追補版)」の策定・公表

      平成21年9月に発足した民主党政府は、平成21年12月「新成長戦略(基

本方針)」、平成22年6月には「新成長戦略(強い経済、強い財政、強い社会

保障)」を策定・公表した。また、経済産業省産業構造審議会は「産業構造ビジ

ョン2010」を、経済産業省製造産業局素形材産業室は「素形材産業ビジョン

(追補版)」をそれぞれ策定・公表した。

当協会としては、政府が策定・公表したものを「ダイカスト産業ビジョン」を

見直しするうえで重要文書として位置づけてこれを参照した。

1.2 (社)日本ダイカスト協会と4ダイカスト工業協同組合の「事業統合」

一方、我が国ダイカスト産業においては、(社)日本ダイカスト協会と4ダイカス

ト工業協同組合(日本、中部、関西、兵庫県)の5事業者団体が存在しているが、団

体設立の根拠法及び目的・事業活動は異なることはあるものの、共通的事業は一元的

に推進する目的で平成15年7月から(社)日本ダイカスト協会に協会会員・組合委

員で構成する特別委員会を設置し検討を重ねて、平成20年4月から「事業統合」が

スタートした。

76

未定稿H23.1.14(本体部分完結後整理)

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 この「事業統合」に伴う協会事業活動を更に具体的に推進する観点からの検討が必要

となっており、中小企業委員会(委員長 桑名 紀文 株式会社双立 取締役会長)

は、中小企業会員の意向を今後の協会事業活動に反映させるため、詳細なアンケート

調査(巻末 参考資料2 参照)を行った。

1.3 「一般社団法人」への移行に伴う「公益目的支出計画」継続事業

また、公益法人制度改革のための3新法が平成20年12月1日施行され、現行公

益法人(社団法人)は自動的に「特例民法法人」となり、平成25年11月30日ま

でに「公益社団法人」又は「一般社団法人」への変更申請を行うことが決められてい

る。当協会は、理事会の承認を得て「公益法人制度改革検討委員会」を設置し、平成

21年10月27日第1回公益法人制度改革検討委員会を開催し、新法人移行基本方

針を決定するとともに検討委員会の下部組織として「調査研究作業部会」を設置して

具体的調査研究作業を進めることとした。この中で新法人「一般社団法人」は、従来

事業のうち公益事業を「公益目的支出計画」に「継続事業」として特掲し進める必要

がある。

2.「ダイカスト産業ビジョン」(H18.11策定)の平成19年度~平成22年度実施状況

検証・評価

ダイカスト産業ビジョン推進部会は、「ダイカスト産業ビジョン」見直しを行う前に、

平成18年11月に策定した同ビジョンの「平成19年度~22年度における実施状

況」の検証・評価を行った。

同ビジョンは、ダイカスト産業の「10年後のあるべき姿」(ユーザーにとってかけ

がえのない「ビジネスパートナー」になっている)を描き、そのために七つの課題を掲

げ、これをアクションプログラムとして「短期計画(平成19年度~20年度)、「中

期計画(平成21年度~23年度)」、「長期計画(平成24年度~)」に3区分し、

かつ、実施機関として「企業」、「団体」、「産学官」、「官公庁」に4区分した。

今回、1.に述べたような背景から計画半ばにして同ビジョンの見直しを行うことと

なったので、平成19年度~22年度の4年間について協会事業とその他について、検

証・評価(計画達成・継続・打ち切り)を実施した。その要点は、2.1~2.2のとおりである。

○詳細は、当協会発行の次の「会報ダイカスト」を参照。

・第 129号( H21.1.13発行)

    平成21年度は、「ダイカスト産業ビジョン」中期計画の開始年度

― 「短期計画」(平成 19年度~20年度)の計画・実績の報告 ―

     ・第 130号( H21.8.14発行)

「ダイカスト産業ビジョン」の「短期計画」に沿った「実績」及び「中期計

画」に沿った「計画」について

77

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78

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解説図1 「ダイカスト産業ビジョン」の見直しの模式図

79

世界的規模での経済環境の変化

新成長戦略(強い経済、強い財政、強い社会保障)( H22.6.18 閣議決定)

新成長戦略(基本方針)( H21.12.30 閣議決

定)

産業構造ビジョン 2010( H22.6.3 経済産業省 産業構造審議会)

素形材産業ビジョン(追補版)( H22.6 経済産業省 製造産業局 素形材産業

室)

「協会事業」の推進計画

・協会の「一般社団法人」への移行(「継続事業」:「公益目的支出計画」)

・協会と4組合の「事業統合」

ダイカスト産業ビジョンの見直し

「企業事業」の推進計画

・正会員アンケート結果(回答期限:H22.8.31 )

・部会委員の意見

(中小企業委員会+関係委員会・部会)公益法人制度改革検討委員会・調査研究作業部会+関係委員会・部会

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2.1 「協会事業」の検証・評価(計画達成・継続・打切り)

平成19年2月開催の企画運営委員会において、16テーマの検討を7委員会に

委託し、その結果は解説表1のとおりであった。

解説表1 「協会事業」の検証・評価

(○×:達成・打切り、達成・継続:○△、△:継続、×:打切り)

No

ビジョンの番号 施策(テーマ) 実績

1 課 題 1 . 1-2(1)(d)

簡易金型の実用化開発 ○×

2 課題1.1-3(2) 超薄肉亜鉛合金ダイカストの開発 ○×3 課題2.2-2(1) 取引基本契約書(モデル)の作成 ○×4 課題2.2-2 (3) 原材料価格スライド制の導入 ○×5 課題2.2-2 (4) 定期的プライスダウン要求の抑制 △6 課題2.2-2 (6) 量産終了後の金型保管・廃棄基準の明確化 ○△7 課題2.2-2 (7) 金型代金支払い条件の明確化 ○△8 課題3.3-1(1) 市場動向調査 △9 課題4.4-3 産学官の共同研究によるモデル工場システムの構築 ×

10 課題4.4-2(1) 日本ダイカスト協会の分析試験室の拡充 ○△11 課題5.5-1 自動車産業以外の用途拡大調査とアピール △12 課題6.6-3(3) 技術者の育成 ○△13 課題6.6-3(4) YDECの強力推進 ○×14 課題 7. 7-1 ~ 7-

3(1)日本ダイカスト会議・展示会の充実 ○

15 課題 7. 7-1 ~ 7-3(2)

国・各種関係団体主催の賞の取得及び展示会参加 ○△

16 課題 7. 7-1 ~ 7-3(3)

常設展示場(ショールーム)の開設 ×

17 課題 7. 7-1 ~ 7-3(4)

工場見学会の充実 ○△

18 課題 7. 7-1 ~ 7-3(5)

PRツールの充実 ○△

19 課題 7. 7-1 ~ 7-3(6)

ダイカストの日の制定 ×

20 課題 7. 7-1 ~ 7-3(7)

メディアを通じた PR ○△

80

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・課題1.技術・技能を活かした攻めの経営

1-2ダイカスト基盤技術の研究開発とその実用化

(1)研究すべきダイカスト基盤技術の明確化

(d)簡易金型の実用化開発(テーマ)

研究開発委員会 簡易金型部会において、ダイカストの試作用・少量生産

用の簡易金型について開発を実施し、平成20年度中に完了して、成果は報

告書を作成し、会員へ配付した。

1-3ダイカスト新技術開発によるニーズへの対応

(2)新材料・新技術による新市場開拓(超薄肉亜鉛合金ダイカストの開発)

平成12年度から亜鉛合金ダイカストの用途開発のため、ダイカスト用亜鉛合

金委員会(日本鉱業協会鉛亜鉛需要開発センターと共同)で「薄肉化」の研究開

発を実施し、0.2mm厚の鋳造に成功した。また、実用化試作品として 0.25mm厚の「名刺入れ」は、平成20年11月

パシフィコ横浜で開催の「2008日本ダイカスト会議・展示会」の展示会入場者

(展示会に関するアンケート回答者)に、また、「亜鉛合金年間大会」(平成 20年 11 月開催)聴講者に配布した。

・課題2.健全な取引慣行で共存共栄

2-2モラルある取引が行える仕組み作りとその実施

経営委員会に「取引編部会」を新設し取引に関する4テーマを計画したが、こ

のうち、次のテーマについて検討した。

(1)取引基本契約書(モデル)の作成(テーマ)

取引に関する基本的課題として、平成20年度に「取引基本契約書(モデ

ル)」を取り上げ検討した。結果は、平成21年3月 ダイカストの標準シリ

ーズの「取引編」として制定し、会員への説明会を開催するとともに会員へ配

付した。会員各位の利用が期待される。

(3)原材料価格スライド制の導入(テーマ)

①平成18年12月亜鉛地金高騰に伴う顧客への会長名文書を発出した。

②平成20年6月には、原油・鋼材高騰に伴うアンケート調査を行い、ダイカ

スト製造の副資材及び物流関係費用について、顧客への会長名文書を発出し

た。

③②のアンケート調査実施の際、価格スライド制の実施状況を調査した。その

結果は、「3か月サイクル」が多いことがわかった。

(4)定期的プライスダウン要求の抑制(テーマ)毎年4月素形材9団体と(社)日本自動車工業会調達委員会、(社)日本自

動車部品工業会総務委員会は懇談会を開催しており、当協会からは会長又は副

会長が出席し、取引上の諸問題について要望している。

(6)量産終了後の金型保管・廃棄基準の明確化(テーマ)

81

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平成19年度のテーマとして金型保管関係を優先的に取り上げ、「金型預か

り証(モデル)」及び「金型に関する覚書(モデル)」の2件をまとめ、平成

20年3月、協会のダイカストの標準「金型取引編」に追加改正し、会員への

説明会を開催するとともに会員へ配付した。会員各位の利用が期待される。

(7) 金型代金支払い条件の明確化平成21年4月、素形材9団体と(社)日本自動車工業会調達委員会、

(社)日本自動車部品工業会総務委員会は懇談会において、当協会からは会長

が出席し、金型代金の支払い問題について要望した。これについては、具体的

要望を提出することとなり、平成21年5月会員企業にアンケート調査を行い、

その結果を平成22年1月「金型代金支払いに関する要望書」としてまとめ、

両団体委員長あてに提出するとともに、会員へ配付した。会員各位の利用が期

待される。

・課題3.経済活動のグローバル化への対応

3-1 市場の開拓と海外ダイカスト産業の把握

(1)市場動向調査(テーマ)

国 際 委 員 会 に お い て は 、 経 済 産 業 省 主 催 の ミ ッ シ ョ ン 派 遣

(H19.3、H19.11、H21.11 タイ、H20.2マレーシア、H20.10インドネシア、

H21.3、H21.10、H22.11 ベトナム)、協会主催展示会等視察団 [ H19.6 GIFA(ドイツ)、H20.6中国(上海]を実施した。また、インド鋳造協会幹部と協会幹部[ H19.6 GIFA(ドイツ)]、タイ鋳物協

会視察団と協会幹部会(H20.11パシフィコ横浜)及び韓国ダイカスト工業協同

組合視察団と協会幹部会(H22.11パシフィコ横浜)並びに香港鋳造協会と協会

事務局(H20.11協会事務局)、中国鋳造協会と協会事務局(H20.11、H22.11パシフィコ横浜)と情報交換を行った。

しかしながら、これらで得られた情報は市場動向調査としては希薄である。5 年先・10 年先を見据えた国別・地域別の市場調査、ユーザー企業のグローバル

展開計画、現地ローカルメーカーの競争力や、海外進出するための判断材料とな

る現地での法規制・労働慣行などの情報収集としては消極的であり、真の情報入

手のためには積極的活動が重要である。

ダイカストメーカーは、概して中小企業が多いため、こうした情報を自力で収

集できない場合が多く、協会各委員会を中心に政府・政府系海外機関や関係業界

団体を通じ、海外展開や国内企業活動を判断する際に必要となる情報の入手・分

析活動を行うことが課題となっている。

・課題4.同業/異業種との積極的な連携

4-2 分析・解析システムの拡充・標準化

(1)日本ダイカスト協会の分析試験室の拡充(テーマ)

82

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協会では、従来から「亜鉛合金ダイカスト品質証明制度」を実施してきた。

昨今、各企業が直面しているクレーム品その他ダイカストの分析などの問題を解

決するため、「ダイカスト産業ビジョン」は、分析試験室の拡充を図ることにつ

いて取り上げたので、この課題について研究開発委員会で検討した。

その結果、①拡充は、人的資金的観点から当面不可能である、②代替措置とし

て公設(都府県市立、独立行政法人)試験研究機関を調査し、公設試験研究機関

のリストを協会のホームページに掲載し、会員各位の依頼試験利用の便に供する

こととした。

一方、平成22年2月、「亜鉛合金ダイカスト品質証明制度」で使用している

「発光分光分析装置」の老朽化に伴い設備更新を行うとともに、「分析試験室」

を東京都北区から台東区東上野に移転すると同時に正会員から中古の「走査型電

子顕微鏡」の譲渡、これに伴う「デジタル画像撮影装置」を新規購入して試験計

測設備を充実させてきた。

4-3産学官の共同研究によるモデル工場システムの構築

このテーマは、中期計画(平成21年度~23年度)の“公的資金を活用し、異

業種・大学・研究機関などと連携をとってモデル工場システムを構築し、将来、

その成果を各企業が導入する”ものであるが、研究開発委員会(H20.4.18 開催)

で検討した結果、土地の購入又は賃貸、製造設備・分析・試験・検査設備の購入、

原材料・副資材の購入、工場エネルギーの購入、各種情報処理・管理システムの

開発、あらゆる職種の人の配備、製造されたダイカスト製品の処分、モデル工場

システムの検証、資産の処分など、金・物・人が量・質とも大変膨大なものにな

ると予想されるので、委員会としては実現不可能との結論に達しので打ち切った。

・課題5.これからの成長産業への供給

5-1自動車依存からの脱却

・自動車産業以外の用途拡大調査とアピール(テーマ)

研究開発委員会(H20.4.18 開催)で検討したが、以前から実施している「1-2(d)簡易金型の実用化開発」に傾注した。この成果は、平成21年度から「セ

ミソリッドダイカスト技術による多品種少量生産市場の開拓に関する調査・研

究」に供して検討をしている。

・課題6.人材の確保・育成

6-3人材教育の推進

(3)技術者の育成(テーマ)

技術委員会に「技術・技能研修部会」を新設し、次の仕組みを検討し完了した。

①技術技能アドバイザー制度(現場アドバイス)

平成19年4月 技術技能アドバイザー制度を発足(受益者負担)させ平

成20年度から現在までに3社が活用している。

83

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②技術技能研修制度(会員企業/支部集団研修)

平成20年9月 カリキュラム(「ダイカストの標準」を基礎として9項

目の技術技能)を完成、 制度を発足(受益者負担)させた。

平成20年秋の世界的金融危機による経営環境悪化のため、平成21年度

は「雇用調整助成金制度」の「休業手当」に上乗せされた「教育訓練手当」

支給の対象として「無償」で会員各位の参加を呼びかけ、平成22年度も継

続して実施している。

(4)YDECの強力推進(テーマ)

研究開発委員会では、ダイカストに携わる若手技術者のスキルアップを目的と

した交流の場として YDEC(Yong Die casting Engineer Community:ヤング

ダイカスト エンジニア コミュニティ)を平成18年4月キックオフし(個人登

録会員 約40社60事業所160名で発足)、平成19年度には円滑な運営を

図るため「YDEC運営部会」を新設し、平成22年4月1日現在、個人登録会員

は約90社97事業所581名へと成長し、基礎講座(基礎的要素技術)・拡張

基礎講座(要素技術の応用展開、歴史、外国状況等)、ケーススタディ、工場見

学など、活発に活動を行ってきている。

なお、分類上は、「人材育成」よりも「個人登録会員」の相互研鑽が特徴なの

で、今回の見直しにおいて「課題 6-3 人材育成」から除外した。

・課題7.ダイカストの積極的広報活動

7-1産業界、7-2 学校・学生、7-3一般社会への広報活動

(1)日本ダイカスト会議・展示会の充実(テーマ)

①ダイカスト会議日本ダイカスト会議・展示会運営委員会は、従来から設置されていた「展示

部会」に加えて平成19年度に「ダイカスト会議部会」を新設し、平成20年

11月開催の「2008日本ダイカスト会議」に「現場改善事例発表」を新設し

た。

また、より多くの会員が参加できるように、会議場の収容人員を300名か

ら600名に倍増し、併せて参加費を低廉化した。その結果、前回の460名

から約550名の多くの参加者を得た。

さらに、「2008日本ダイカスト会議」のパンフレットに英語を、「2010日本ダイカスト会議」のパンフレットには中国語を併記した。

②展示会(a)展示部会は、外国人の来場が増加することを想定して誘導看板に英語を併

記した。

(b)「2008ダイカスト展示会」には、協会と4ダイカスト工業協同組合の

「事業統合」の結果、平成20年度に活動を開始した「支部中小企業部会」

の次の「紹介パネル」5枚を協会ブースに展示した。

84

Page 85: €¦ · Web view(1)要求事項と適正価格のガイドラインの作成とユーザー業界への啓発 (健全な取引慣行を定着させるためのガイドラインの作成とユーザー業界への働きかけ。)

  ・“(社)日本ダイカスト協会 正会員の従業員規模別社数と規模別構成比”

・“(社)日本ダイカスト協会 支部中小企業部会 組織図”

  関東中小企業部会130社

中部中小企業部会 29社

  関西中小企業部会 29社

兵庫県中小企業部会 5社

・“中小企業部会のメンバーは、ユーザーにとってかけがえのない「ビジネ

スパートナー」を目指します。そのために次の課題達成のために日々努

力しています。”

・開発提案力の強化

・技術開発力の向上

・地球環境保全への取組

・適正な収益の確保

・次代を担う人材の育成

・“中小企業部会は、次の様々な活動を通して会員の健全な企業存続に貢献し

ていきます。”

・下請取引の適正化推進

・人材の確保・育成

・職場環境の改善

・若手経営者、後継者育成のための活動

・原材料の受給・価格動向の情報交換

・正会員、賛助会員相互の交流

・“中小企業部会のメンバーは、「ダイカスト工業の環境自主行動計画」に基

づき、環境負荷削減に自主的、積極的に取り組んでいます。”

(1)地球温暖化対策 (目標、目標達成方策)

(2)循環型社会の構築(目標、目標達成方策)

(12ページの【参考】2.(1)「ダイカスト工業の環境自主行動計画」の策定 参

照)

(c)「2010日本ダイカスト展示会」には、「中小企業コーナー」として同様

の展示を行うとともに、25社のダイカスト製品52点を陳列した。

(2)国・各種関係団体主催の賞の取得及び展示会参加(テーマ)

広報委員会は、積極的に参加する方針を決定し、①ものづくり300社(経済

産業省中小企業庁:平成19年度 4社受賞)、②MONODZUKURI展(経済産業

省主催:H19.1 東京 上野 3社出展)、③モノ作り中小企業全国フォーラム展示

会(中小企業基盤機構主催:H19.6 東京 有楽町 出展)、④2007年春期大会

((社)日本鋳造工学会主催:H19.5 千葉工業大学 (社)日本ダイカスト協会

ブースを出展)に参加した。

(3)常設展示場(ショールーム)

85

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   広報委員会において検討してきたが、今回の「ダイカスト産業ビジョン」の

見直しにおいて「ダイカスト産業ビジョン推進部会」が中止することを決定した。

(4)工場見学会の充実(テーマ)

①広報見学会(大学・高専、研究機関対象)

従前から毎年11月(平成22年度:第25回)に実施し、多数の参加を

得ている。見学の受入れ協力をいただいた会員企業に対して感謝する次第であ

る。

②工場見学会(6コース)(会員・会員外を対象)実施

「日本ダイカスト会議・展示会」開催時に6コースの工場見学会を実施し、

会員以外の一般の参加にもかかわらず、見学の受入れ協力をいただいた会員

企業に対して感謝する次第である。

これら工場見学については、継続して実施する。

(5)PRツールの充実(テーマ)

①「ダイカストって何?」DVDの作成・配付

「ダイカストって何?」(H15.8初版)の動画によるダイカストへの理解を

促進するため、平成19年9月 DVD版を作成し、大学・高等専門学校等80

校に贈呈した。

また、平成20年11月「2008日本ダイカスト会議・展示会」、「2010日本ダイカスト会議・展示会」開催時に協会ブースで上映した。

②協会ホームページの拡充

会員への情報提供、一般向けへのダイカストに関する情報提供を拡充するた

め、平成20年1月から協会ホームページを改善してきたが、平成20年10

月会員各位への利用状況、意見・要望のアンケート調査を行った。その結果を

踏まえて改善し、更に見易さ等を継続改善中である。

(6)ダイカストの日の制定(テーマ)

広報委員会において検討してきたが、今回の「ダイカスト産業ビジョン」の

見直しにおいて「ダイカスト産業ビジョン推進部会」が打ち切ることを決定し

た。

(7)メディアを通じた PR(テーマ)

「日本ダイカスト会議・展示会」の開催について広告・記事を業界紙に掲載し

た。

これらについては、継続して実施する。

86

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【参考】 「ダイカスト産業ビジョン」の課題以外テーマの取組み(協会事業)

1.「事業統合」関係

1.2(社)日本ダイカスト協会と4ダイカスト工業協同組合の「事業統合」に述べた

ように、(社)日本ダイカスト協会と4ダイカスト工業協同組合(日本、中部、関西、

兵庫県)の5事業者団体の共通的事業は一元的に推進する目的で、平成20年4月から

「事業統合」がスタートした。

これに伴って、課題7.(ダイカストの積極的広報活動)の「7-1産業界、7-2 学校・

学生、7-3一般社会への広報活動」の「(1)日本ダイカスト会議・展示会の充実)」の

「②展示会」の (b)「2008ダイカスト展示会」にあるように、平成20年度に活動を

開始した「支部中小企業部会」の「紹介パネル」5枚を協会ブースに展示した。

  この間、(社)日本ダイカスト協会は、次のような事業を展開した。

(1) 正会員募集キャンペーンの実施  (社)日本ダイカスト協会に正会員未加入の「組合員企業」及び「ダイカスト製

品の製造事業を営む法人及び個人」の入会キャンペーンを平成20年2月から6月

まで実施し、「単独組合員企業」56社、「ダイカスト製品の製造事業を営む法人

及び個人」26社の入会を得て、112社から194社に増加した。

(2) 正会員会費及び支部費(支部中小企業部会費を含む)の検討

①企画運営委員会協会規程改正部会は、平成18年7月から平成19年12月まで

6回の審議を重ねて「正会員会費」の低額会費部分3区分を新設して13ラン

クに改定し平成20年度~21年度に施行した。

②これを引き継いだ企画運営委員会会費改正・支部費検討部会は、「正会員会

費」の融合を図るため平成20年9月から平成21年1月まで3回の検討を重

ねた結果、13ランクあった会費規程を20ランクに改定し、平成22年度か

ら施行した。

③さらに、同部会は、引き続き平成22年7月まで「支部費(支部中小企業部会

費を含む)」の配分について3回の検討を継続した結果、「事業費単価」を決

定して平成23年度から施行することとした。

(3) (社)日本ダイカスト協会会員章の制作

  広報委員会は、正会員募集キャンペーンの実施により増加した正会員の要望も

あった協会「会員章」を制作して、正会員及び賛助会員に無償配付した。

制作に当たっては、相当以前の「黄銅板プレス製壁掛型会員章」をモデルに検

討した結果、「亜鉛合金ダイカスト製会員章」で、①室内壁掛型、②室内卓上置型、

③室外門柱等固定型の3種類とした。

87

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2.環境関係

環境・安全委員会は、「ダイカスト産業ビジョン」の課題以外の次のテーマを実施

した。

(1)「ダイカスト工業の環境自主行動計画」の策定

環境問題は、地球温暖化対策をはじめ、多くの問題が改めて顕在化してきている。

環境・安全委員会は、環境問題について鋭意検討を進め、平成20年7月幹部会の

承認を得て「ダイカスト工業の環境自主行動計画」を制定した。

その内容は、「基本方針」として(1)地球温暖化の抑制、(2)循環型経済社会の構

築、(3)環境管理システムの構築、(4)海外事業展開にあたっての環境配慮の4項目

を定め、前2項目を「行動計画」、後2項目を「支援活動」とした。

ダイカスト工業の環境自主行動計画(「行動計画」のみ抜粋)

平成20年7月 9日 制定

平成21年9月18日 改正

(1) 地球温暖化の抑制【目標】

二酸化炭素排出原単位(対生産高)を、1990年度を基準として2008

年度から2012年度までに、毎年1%ずつ低減するよう努力する。

【目標達成方策】

       省エネルギー型生産システムの開発、省エネルギー型設備の導入、設備の運

転管理、歩留まりの向上等により、目標達成に努める。

(2) 循環型社会の構築(廃棄物対策)

【目標】

廃棄物の排出原単位(対生産高)を、2008年度を基準として2012年

度までに、毎年3%ずつ低減するよう努力する。

【目標達成方策】

廃棄物発生の少ない生産設備機械及び工法の導入、分別の徹底、鉱滓・汚

泥・廃油、がれき等の再利用等を行い、目標達成に努める。

(2)「環境保全セミナー」の開催

環境・安全委員会は、環境問題についての啓発を図るため、「環境保全セミナ

ー」を開催することとした。

第1回「環境保全セミナー」(平成20年9月 東京・大阪)は、第1部:環

境問題一般、第2部:ダイカスト業界における環境保全活動の取組みについて実

施した。初めての試みであったので、参加者に対して意見・要望を募り、この意

見・要望を踏まえて今後のセミナーのあり方を検討した。

第2回(平成21年9月 東京・名古屋・大阪)は、会員企業における省エネ

ルギー事例関係について実施した。

第3回(平成22年11月 パシフィコ横浜)は、地球温暖化対策に係る中長

88

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期ロードマップ、国内排出削減量認証制度(国内クレジット制度)、製品含有有

害物質規制・環境法規制の動向・対策について実施した。

89

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2.2「企業事業」の検証・評価

(計画・実績の数が多かった、計画・実績の数が少なかった、計画の数が少なかった)

 協会は、「ダイカスト産業ビジョン」を策定し、会員・組合員への説明会の開催と

配付(平成18年11月)した後、アンケート調査を2回実施し進捗状況を把握した。

(1)第1回(平成19年11月)(発送先238社、回答数36社、回答率

15.1%)

約1年経過した平成19年11月、主として“企業が実施すべきテーマ”を

識別した全テーマについて、会員及び組合員各社における「平成19年度計

画立案・実績状況」についてアンケート調査を行った。

(2)第2回(平成21年6月)(発送先182社、回答数13社、回答率 7.1%)

「中期計画」(平成21年度~23年度)の初年度に当たる平成21年6

月、会員各社における「短期計画」の実績及び「中期計画」に沿った「計

画」についてアンケート調査を行った。

回答率が低いので一概に検証・評価はできないが、その範囲での傾向は、解説表2の

ようであった。すなわち、

①「ダイカスト産業ビジョン」が「短期計画」・「中期計画」テーマとして取り上

げたものについて、「計画」に(1)着手する、(2)着手するかどうか検討する、「実績」に(1)着手した、(2)着手するかどうか検討したがある一方、「計画」に

(3)着手しないもあった。②「短期計画」・「中期計画」に関わらず、これを指標に“企業戦略”として重要

度・優先度を検討し実施する傾向が伺えた。今後も継続されることが期待され

る。

③計画・実施の数が多かったもの

・課題1.技術・技能を活かした攻めの経営

1-1自社の技術・技能の棚卸しと活用

1-2ダイカスト基盤技術の研究開発とその実用)

(1)研究すべきダイカスト基盤技術の明確化の各施策(テーマ)

・課題2.健全な取引慣行で共存共栄

2-2モラルある取引が行える仕組み作りとその実施

(3)原材料価格のスライド制の導入

(5)適正品質基準の明確化

(6)量産終了後の金型保管・廃棄基準の明確化

(7)金型代金の支払い条件の明確化(9)支払い条件の明確

・課題6.人材の確保・育成

6-1職場環境の整備及び安全職場の確立

6-3人材教育の推進

6-4多様な人材の活用

90

Page 91: €¦ · Web view(1)要求事項と適正価格のガイドラインの作成とユーザー業界への啓発 (健全な取引慣行を定着させるためのガイドラインの作成とユーザー業界への働きかけ。)

④計画の数が少なかったもの

・課題3.経済活動のグローバル化への対応の各施策(テーマ)

・課題5.これからの成長産業への供給)の各施策(テーマ)

・課題6.人材の確保・育成

6-2人材が集まる魅力ある産業造り

91

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解説表2 「企業事業」の検証・評価(傾向要約)

課題 施策(テーマ)

計画・実績

の数が多か

った施策

(テーマ)

計画・実施中

の数が少なか

った施策

(テーマ)

計画の数が

少なかった

(テーマ)

1.技術・技能を活かした攻めの経営

1-1 自社の技術・技能の棚卸しと活

(1)技術評価基準の策定

(2)自社技術・技能の把握

(3)自社技術・技能の解析

(4)自社得意技術・技能

を活用する仕組み作

○○○○

1-2ダイカスト基盤

技術の研究開発

とその実用化

(1)研究すべきダイカスト基盤技術の明確化

(a)鋳造条件の適正化研究開発

(b)鋳造歩留まりの向上

に関する研究開発

(c)CAEシステムの研

究開発

(2)ダイカスト基盤技術

の研究開発の推進

(3)ダイカスト基盤技術

の実用化

(4)基盤技術の研究成果を

普及させる仕組作り

1-3ダイカスト新技

術開発によるニ

ーズへの対応

(1)新材料・新技術開発の

仕組み作り

(2)材料・新技術による新

市場開拓

(3)補助金制度、税制活用システムの確立

○○

2.健全な取引慣行で共存共栄

2-1 関係法令を遵守した取引の推進

(1)法令解説ガイドブッ

クの作成とユーザー

への啓発

(2)関係法令の周知と運用

92

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強化

2-2モラルある取引

が行える仕組み

作りとその実施

(1)取引基本契約書モデル

の作成

(2)要求事項と適正価格の

ガイドラインの作成と

ユーザー業界への啓発

○○

課題 施策(テーマ)

計画・実績

の数が多か

った施策

(テーマ)

計画・実施中

の数が少なか

った施策

(テーマ)

計画の数が

少なかった

(テーマ)

(3)原材料価格のスライド

制の導入

(4)定期的プライスダウン

要求の抑制

(5)適正品質基準の明確化

(6)量産終了後の金型保管・廃棄基準の明確化

(7)金型代金の支払い条件の明確化

(8)知的財産の保護及びノ

ウハウの評価

(9)支払い条件の明確化

○○○

3.経済活動のグローバル化への対応

3-1 市場の開拓と海

外ダイカスト産

業の把握

(1)市場動向調査

(2)現地ローカルメーカー

の競争力の把握

(3)進出国での法規制・労

働慣行などの把握

○○

3-2 海外展開で事業

の拡大

(1)資金面で国の支援策強

(2)進出国での優遇税制の

整備要請

(3)信頼性の高いフィジビ

リティスタディの実施

(4)開発・生産・供給体制

93

Page 94: €¦ · Web view(1)要求事項と適正価格のガイドラインの作成とユーザー業界への啓発 (健全な取引慣行を定着させるためのガイドラインの作成とユーザー業界への働きかけ。)

の確立

(5)国際分業体制の構築

3-3高品質の維持と市場価格への対

(1)市場価格とユーザー要

求価格の違いの認識

(2)低コストの実現

(3)日本のマザー機能の向

(4)技術・開発支援システ

ムの構築

(5)海外で通用する人材教

育システムの構築

○○

課題 施策(テーマ)

計画・実績

の数が多か

った施策

(テーマ)

計画・実施中

の数が少なか

った施策

(テーマ)

計画の数が

少なかった

(テーマ)

3-4 低価格海外製品

への対応

(1)生産管理システムの

構築

(2)品質保証レベルの向上

(3)生産技術の革新

(4)差別化された技術・工

法への取組み

(5)海外からの製品購入

4.同業/異業種との積極的な連携

4-1 経営基盤高度化

システムの構築

(1)生産技術の標準化(2)生産管理方式の構築

(3)品質管理レベルの向上

(4)経理処理の合理化

(5)金型保管倉庫の共有化

○○

○○

4-3 産学官の共同研

究によるモデル

工場システムの

構築

(1)知能を持つロボット

の実用化

(2)生産監視システムの

開発

(3)設備故障自動修復シス

テムの開発

(4)金型自動交換システム

の開発

94

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(5)品質自動判定システム

の開発

(6)バリ取り作業及び機械

加工の自動化

課題 施策(テーマ)

計画・実績

の数が多か

った施策

(テーマ)

計画・実施中

の数が少なか

った施策

(テーマ)

計画の数が

少なかった

(テーマ)

5.これからの成長産業への供給

5-1 自動車依存から

の脱却

・自動車産業以外の用途

拡大調査とアピール

(1)ダイカスト機能(高

強度、耐久性、超軽量

化、薄肉化、複雑形状

など)の新市場製品

への適用

(2)新材料、新技術による

ダイカスト機能の拡

5-2 異工法との競

争・競合・共存

(ダイカストの精巧な技術の理解)

(1)異工法とダイカスト法の差別化及びダイカ

スト技術のPR

(2)異工法との複合加工に

よる新機能の拡大

(QCDを含め、異工法に

95

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対しダイカストの優位性

がユーザーに理解)(1)異工法との製品コス

ト比較調査

(2)異工法との QCD比較及び優位性の把握と劣

位性のカバー

5-3「新経済成長戦

略」における新

産業への参入

・産学との連携による新

産業(ロボット、航空機

など)への参入

課題 施策(テーマ)

計画・実績

の数が多か

った施策

(テーマ)

計画・実施中

の数が少なか

った施策

(テーマ)

計画の数が

少なかった

(テーマ)

6.人材の確保・育成

6-1 職場環境の整備

及び安全職場の

確立

(1)快適安全職場の整備

(a)粉塵・ミスト・騒

音・高温等に対応

し、ISO14001 の取

得と3Kからの脱却

(b)5Sの行き届いたクリーンな職場環境

(c)安全・環境・省エネ

を配慮した工場づく

(2)環境モデル工場制度の

確立

6-2 人材が集まる魅力ある産業造り

(1)やりがい、魅力あるダイカストのPR

(2)ダイカストの技能伝

96

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承のシステム作り

(3)ダイカスト講座の開

講と業界外への開放

6-3人材教育の推進 (1)熟練技能者の固有技術

のデータベース化と若

年技能者への教育・訓

練、伝承

(2)経営後継者人材育成教

育の推進

(3)技術者の育成

○6-4 多様な人材の活用

(1)定年を迎える高齢労働者、派遣社員、海外研

修生(外国人・海外派

遣)などの社員教育の

推進

(2)高齢者雇用の推進

(3)高校・専門学校・大学

新卒者の積極採用

○○

課題 施策(テーマ)

計画・実績

の数が多か

った施策

(テーマ)

計画・実施中

の数が少なか

った施策

(テーマ)

計画の数が

少なかった

(テーマ)

7.ダイカストの積極的広報活動

7-1 産業界への広報

活動

7-2 学校・学生への

広報活動

7-3 一般社会への広

報活動

【7-1~7-3 共通】(2)国・各種関係団体主催

の賞の取得及び展示会

参加

(3)常設展示場(ショール

ーム)の開設

(4)工場見学会の充実

(5)PRツールの充実

3.「ダイカスト産業ビジョン(追補版)」の策定の方針

今回の見直しは、解説図 「ダイカスト産業ビジョン」の見直しの模式図にあるよう

97

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に、(1)世界的規模での経済環境の変化への対応(①ダイカスト産業の経営環境の変化、

②政府の新政策・経済産業省の新施策)並びに(2)(社)日本ダイカスト協会と4ダイカ

スト工業協同組合の「事業統合」の推進及び(3)「一般社団法人」への移行に伴う「公益

目的支出計画」継続事業抽出の必要性に起因している。

このため、「ダイカスト産業ビジョン推進部会」は、「ダイカスト産業ビジョン」

(H19.11 策定)に対して、平成20年度~22年度の過去4年間の「協会事業」及び

「企業事業」の計画・実績を検証・評価するとともに、正会員へのアンケート調査(回

答期限:H22.8.31、発想数:178社、回答数:23社、回答率:12.9%)を行い、こ

れらを含めてビジョン全体を総合的に現状と将来にわたって見直して、今後6年間のビ

ジョン(追補版)を策定することとした。

3.1「ダイカスト産業ビジョン」(H18.11策定)検証・評価の結果

(1)「協会事業」について

「協会事業」は、解説表1のとおり多くの施策(テーマ)は平成19年度~22

年度の4年間で計画を達成したが、一部中止、達成したもののなお継続してフォロ

ーアップすることや事業活動を継続することが必要なテーマがある。また、事業活

動が不十分な施策(テーマ)については、不要なものは削除し、必要なものは「強

化」することとし推進状況をフォローアップすることとした。

(2)「企業事業」について

「企業事業」は、解説表2のとおり「計画・実績の数が多かった施策(テーマ)」、

計画・実施中の数が少なかった施策(テーマ)」、「計画の数が少なかった(テー

マ)」にほぼ等分布している。これは、第1回(平成19年11月)(発送先:協

会会員+単独組合員238社、回答数36社、回答率 15.1%)、及び第2回(平成

21年6月)(発送先:協会会員182社、回答数13社、回答率 7.1%)のアン

ケート調査の結果である。

「ダイカスト産業ビジョン」(H18.11策定)のアクションプログラムは、「短

期計画」(平成19年度~20年度)、「中期計画」(平成21年度~23年度)、

「長期計画」(平成24年度~)に区分して「企業」、「団体(協会)」、「産官

学」、「官公庁」が実施することを提示したが、アンケート調査結果の特徴は、解

説表2のような傾向にあった。すなわち、アンケートに回答した範囲の企業では、

独自の考え方・企業戦略で施策(テーマ)を選定し自発的に実行計画立案実施して

いる。

自社の将来を展望している企業は、「ダイカスト産業ビジョン」を一つの指標と

して活用し、その発展・成長を目指していることが想定される。

  

以上のようなことから、「ダイカスト産業ビジョン」(追補版)のアクションプロ

グラムは、「協会事業」については今後6年間を2区分し(A:平成23年度~25年

度、B:平成26年度~28年度)、かつ、担当委員会・部会を明記した「アクション

98

Page 99: €¦ · Web view(1)要求事項と適正価格のガイドラインの作成とユーザー業界への啓発 (健全な取引慣行を定着させるためのガイドラインの作成とユーザー業界への働きかけ。)

プログラム」を策定した。「ダイカスト産業ビジョン推進部会」は、これらの事業活動

推進状況をフォローアップしていくこととしている。

なお、「企業事業」(産官学を含む)は、企業の自主性に委ねることを明記し、ま

た、過去4年間に「官公庁」への要請・要望もなかったのでこれを削除した。

3.2「ダイカスト産業ビジョン」(H18.11 策定)の総合的見直し

   第1章(ダイカスト産業の現状)の各項目・内容をはじめ、第2章(ダイカスト産

業が目指すべき方向性)の各項目・内容について、詳細にわたって見直しを行い、修

正・削除・追加を行った。その結果、「協会事業」については、次のとおりとした。

【強化項目】

   ・課題1.技術・技能を活かした攻めの経営

・課題2.健全な取引慣行で共存共栄

・課題3.経済活動のグローバル化への対応

・課題6.人材の確保・育成

備考 上記課題は、(社)日本ダイカスト協会と4ダイカスト工業協同組合の「事業統

合」及び「一般社団法人」への移行に伴う「公益目的支出計画」継続事業の観点か

らの事業が含まれる。

【新規追加項目】

   ・課題8.地球環境問題への対応

  

(1)課題1.技術・技能を活かした攻めの経営

製造企業活動の基礎の1要素は、技術・技能でありその基本は、企業にあるが、

ダイカスト産業界共通の協会事業として推進した方がよいもの(新材料・新技術

開発のための基礎データ収集など)は、技術系各委員会が担当して推進する必要

がある。

これらは、「一般社団法人」への移行に伴う「公益目的支出計画」継続事業の

観点からの事業が含まれる。

(2)課題2.健全な取引慣行で共存共栄

      この課題については、経営委員会取引編部会が基本取引契約書(モデル)や

金型代金支払い問題、金型保管・返却・廃棄等関係をまとめてユーザー業界・

企業にアピールしてきたが、これらの履行状況についてフォローアップを継続

するとともに、取引関係諸課題について独占禁止法、下請代金支払遅延等防止

法は基より法規制以前のモラルを含めて継続的改善運動を促進する必要がある。

(3)課題3.経済活動のグローバル化への対応

      経済活動のグローバル化とともにユーザー企業の海外進出の進展に伴う国内

生産の減少、ハイブリット自動車・電気自動車の台頭・進展、国内需要業種の

探索、海外ダイカスト産業の成長等から、中小零細ダイカスト企業の今後の内

外企業活動のあり方を継続して検討していく必要がある。

99

Page 100: €¦ · Web view(1)要求事項と適正価格のガイドラインの作成とユーザー業界への啓発 (健全な取引慣行を定着させるためのガイドラインの作成とユーザー業界への働きかけ。)

      そのためには、経営委員会が中核となり、中小企業委員会、国際委員会や技

術系各委員会が連携して課題を克服していくことが肝要である。

この事業は、(社)日本ダイカスト協会と4ダイカスト工業協同組合の「事

業統合」及び「一般社団法人」への移行に伴う「公益目的支出計画」継続事業

の観点からの事業が含まれる。

なお、この事業に関して「中小企業委員会」は、H23.1.17に検討予定。

また、同様に「公益法人制度改革委員会 調査研究作業部会」は、H23.2.23検討予定。

(4)課題6.人材の確保・育成

      企業活動の基礎の1要素は、人材であり人材育成は永久の課題である。その

基本は、企業にあるが、ダイカスト産業界共通の人材育成は、協会事業として

推進する必要がある。人材の育成は、階層別・職種別に体系的に構築し継続的

に繰り返して実施していく必要がある。

この事業は、(社)日本ダイカスト協会と4ダイカスト工業協同組合の「事

業統合」及び「一般社団法人」への移行に伴う「公益目的支出計画」継続事業

の観点からの事業が含まれる。

なお、この事業に関して「中小企業委員会」は、H23.1.17に検討予定。

また、同様に「公益法人制度改革委員会 調査研究作業部会」は、H23.2.23検討予定。

(5)課題8.地球環境問題への対応

    今回新たに追加した「地球環境問題への対応」は、①「環境自主行動計画」の

推進(CO2排出量の削減、廃棄物の削減)、②ダイカスト製品関連の規制物質

への対応、③土壌汚染・大気汚染・水質汚濁等への対応、④地球環境問題対応

の啓発の4項目を掲げアクションプログラム」にその具体的施策(テーマ)を

明記した。

これら各課題の確実な推進は、協会事業を担当する「委員会・部会」の自主管理と、

「ダイカスト産業推進部会」の定期的フォローアップの実行が肝要である。

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