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TSEP第57回経済政策勉強会
テクノロジーが変える医療
課題図書:「鉄腕アトムのような医師 AIスマホが変える日本の医療」(高尾洋之著)
テーマ選定の理由
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1. 日本経済が抱える重要なテーマ
⚫ 財政的保護の考えから、医療費の膨張を抑制することが求められている
⚫ 過疎地域は医療施設が減少しており、医療・介護が供給されにくい状態にある
2. 自身にとって身近なテーマ
⚫ コンサル会社で医療関係のPJに従事しており、日々学習しているテーマである
⚫ 大学では医療費削減に関する研究をしていた
3. すべての人にとって避けて通れないテーマ
⚫ 診断技術や治療技術の進歩は我々の健康に直結する
⚫ 様々な立場の方との議論を通じて、医療の今後について多くの気づきが得られそう
なぜ「医療」をテーマに取り上げたのか?
第1章:スマホのように広がるICT医療
➢ ICT医療の研究・検証は急速に進んできている
第2章:PHR~個人の健康情報は誰のもの~
➢ PHRが広まれば医療業界に大きな恩恵をもたらすが、実現には個人情報を保護する手法の検討が必要
第3章:遠隔医療~目の前にお医者さんがいなくても~
➢ 遠隔医療によるいつ、どこでも医療を受けられる社会が技術の進歩と法制度改革で実現しようとしている
第4章:スマホで病院が変わる、医師の働き方が変わる
➢ 院内でスマホが医療従事者や患者を補助
第5章:安心して利用できる病院を目指して
➢ デジタルデバイス導入にはセキュリティ対策が必要
第6章:医療機器開発に立ちはだかる壁
➢ 医療機器は①認可を受け②保険収載されてようやく医療現場で広く使われる
第7章:あなたが認知症になる日
➢ 最新技術による認知症診断/ケアの研究が進んでいる
第8章:チームによる地域ケア
➢ 在宅医療を地域ケアが、地域ケアをシステムが補助
第9章:スポーツもICT医療が支える
➢ ICT医療が選手の健康管理を補助
第10章:鉄腕アトムのような医師
➢ AI等の最新技術が医療現場により深く入り込むことが予想される
次スライドより、目次に従い各章のポイントを解説する
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目次
1. 日本の医療制度と課題
2. テクノロジーが変える医療
3. テクノロジー導入における課題
4. 鉄腕アトムのような医師
各章のポイント
高尾洋之氏(著者)
1.日本の医療制度と課題
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⚫ 内閣府は「平成28年度版高齢社会白書」において、総人口の4分の1が65歳以上であると発表(2015年時点)
超高齢化社会の到来
これからの日本に必要な体制
地域包括ケア
地域包括ケア定着のカギ
⚫ 地域で包括的に医療・介護・看護などを行っていく仕組み
⚫ 「在宅医療」が増えても多くの人が適切な医療を受けられるよう、国/自治体が推進している
⚫ 近年、医療費の削減に貢献できるものとして「在宅医療」が注目されている
⚫ しかし、核家族化の進行で高齢者のみ世帯が増加しており、そのままでは在宅治療に切り替えることは難しい
⚫ 単に「地域包括ケアシステム」を構築するのではなく、それを生かす運用支援体制を組むことこそが定着のカギである
⚫ そのためクラウドやアプリなどの最新テクノロジーを活用し、スムーズな運用体制を構築する必要がある
2.テクノロジーが変える医療
ICTとは?
地域包括ケアを支えるICT医療
⚫ 「Information and Communication Technology」の略⚫ 情報処理や通信に関連する技術を指す
今、ICT技術を用いた医療に関する研究・検証が急速に進められている
ICT
院内 在宅医療
✓治療✓医療情報をクラウドに貯める
✓退院後の治療✓経過観察✓日々のケア
退院後も医師/コメディカルがリモートで対応できるため、過疎地域においても適切に医療/介護を供給できる
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Team(クラウドシステム)の事例
2.テクノロジーが変える医療
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PHR〈パーソナルヘルスレコード〉(2章) 遠隔医療(3章)
医療情報をクラウドで一元管理し、個人や各医療機関が活用・共有することを目的とした情報管理ツール
活用例(医療機関)✓ 診断の精度向上✓ 診療データの分析活用例(個人)✓ 持病、副作用情報の蓄積✓ 各種(保険・フィットネス等)サービスでの活用
◼ 慢性期医療の現場において患者と医療従事者を繋ぐクラウドシステム「Team」
◼ 「遠隔画像診断」や「遠隔病理診断」といった、かかりつけ医が専門医に患者情報を送り、リモートで診断するシステム
◼ 医療用スマホアプリ「Join」は、異なる病院間での医療従事者のコミュニケーション促進を図るメッセージアプリ
ICT医療の事例紹介
厚労省「ICTを活用した『次世代型保険医療システム』の構築に向けて」 医療関係者間コミュニケーションアプリ「Join」(アルム社)
2.テクノロジーが変える医療
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スマートフォン(4章) 認知症診断/ケア(7章) スポーツ支援(9章)
◼ ナースコールとスマホをつなぎ、患者サポート強化及び看護師の負担軽減を図るシステム「Vi-nurse」
◼ 外来患者向けの院内呼び出しサービスアプリ
活用例(医療現場)✓ 認知症診断支援システム
「KEIKA-ADAS」による非専門医のサポート
活用例(介護現場)✓ GPS&アラート機能による認
知症患者の迷子の防止✓ コミュニケーションロボットによる
認知症の予防・進行抑制
◼ 監督/コーチが選手の健康状態(脳震盪を起こしていないか等)
を把握するための診断アプリ
ICT医療の事例紹介
ナースコールシステム「Vi-nurse」(アイホン社) 「KEIKA-ADAS」(日本手テクとシステムズ社)
慈恵医大が脳震盪診断のために開発したアプリ(ジェナ社)
3.テクノロジー導入における課題
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個人情報の管理方法の検討
⚫ 厚生省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」により、デジタルデバイスにはセキュリティ対策を施すことが義務づけられている
⚫ デジタルデバイス導入の際は、個人情報の管理方法も併せて検討が必要であり、十分な安全性が確保できない限り、波及させることは難しい
医療機器開発の手順からみる課題
医療機器の認可取得 保険収載される 医療現場に展開
① 医療機器を製造・販売するための認可取得にはエビデンス(使用によって現れる医学的効果・効能)の証明が必要である
② 実際に現場で使用して貰うためには、保険収載により医療機器が診療報酬制度の対象となり、医療機関の購入負担を減らす必要がある*
開発された医療機器が医療現場で広く使用される
* 医療機関は、医療機器を使用した医師は診療報酬を受け、医療行為を受けた患者は医療保険の定める割合に応じて自己負担させる診療報酬制度を利用して購入代金を賄う
4.鉄腕アトムのような医師
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現在の医療
⚫ 時間や場所に縛られず、適切な医療/介護を受けられるようになる
⚫ 患者サポートが充実することで重症化にくくなり、医療費の是正につながる
患者
アドバイスを提示
最適な医師につなぐAI(人工知能)例)チャットサービス
「hitTo」
時間・距離的な制約がある
患者 かかりつけ医
処方
専門医に紹介する
これからの医療いつでもどこでも対応可
鉄腕アトムのような医師
まとめ