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Title 広告のことばにおける比喩的表現 : タイ語と日本語の考 Author(s) Jantra, Jantima Citation Dynamis : ことばと文化 (1998), 2: 134-152 Issue Date 1998-03-10 URL http://hdl.handle.net/2433/87635 Right Type Departmental Bulletin Paper Textversion publisher Kyoto University

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  • Title 広告のことばにおける比喩的表現 : タイ語と日本語の考察

    Author(s) Jantra, Jantima

    Citation Dynamis : ことばと文化 (1998), 2: 134-152

    Issue Date 1998-03-10

    URL http://hdl.handle.net/2433/87635

    Right

    Type Departmental Bulletin Paper

    Textversion publisher

    Kyoto University

  • DYNAMIS, 2 (1998), 134-152

    広告のことばにおける比喩的表現―タイ語 と 日本語 の考 察―

    Jantima Jantra

    はじめに

    "ゴディバを贈 りませんか。 ゴデ ィバで伝えませんか" この広告 のメ ッセージが

    目に入った時に、誰かにこの商品を買ってあげたい とい う気持ちになった人が少 な

    くないであろう。広告が我々の消費者 の購買行動 にかな り影響を与 えるとい うこと

    は、誰でも知 ってい ると思われる。そこで、広告の道具 として使われている"広 告

    のことば"は 大き く役割 を果たす と考えられ る。広告を作 る人は、人 目につ くこ と

    ば、あるいは人がびっ くりし、また、興奮す るよ うなことばを選択 し、広告作品を

    作成 した。それは、商品やサー ビスの売上 とい うマーケテ ィングの 目標を達成す る

    ためであろ う。 しか し、消費者 の私たちにとつては、そのおかげで新 しく創造 され

    たことばの面白さや美 しさを味わ うことができる。その上に、社会の価値観や文化

    も見られ るのではないかと思われ る。本稿では広告を通 じて、 日本語 とタイ語の広

    告のことばを見ていき、それを通 して各々の社会が持っている価値観 や文化 を考奈

    していきたい。

    広告のことばの分類

    まず、広告の ことばには どんなものがあるか見てみ よう。

    『日本語百科大事典』によれば、広告のことばは二つの種類に分け られるとい う。

    つ ま り、CMと コ ピー で あ る。

    ●CM(Commercial message)は ラ ジ オ や テ レ ビの 電 波 媒 体 の 「商 業 文 」 の

    こ と を い う。

    ● コピーは 一般には、新聞、雑誌等印刷媒体で用い られる 「広告文」(古 く

    は 「広告文案」 といった)を 指す。

    両者 の根本的な違いは、コ ピーが目で 「視 るコ トバ」であるとすれば、CM

    は耳で 「聴 くコ トバ」だとい う点にある。主 として、紙の上 に文字 として定義

    134

  • 広告のことばにおける比喩的表現 135

    させ、視覚に訴えるのがコピーであるのに対 して、CMで はことばをいったん

    音声にのせ、視覚を通 じて、広告のメッセー ジを行 う。

    以上のように、CMと コピーは媒体によつて違 う性質をもっている。本稿ではコ

    ピーのみ考奈する。

    Tanaka,(1994)に よ る と、 広 告 の 道 具 と して 用 い られ る と考 え られ る の は 、 文 字 の

    大 き さ 、 レイ ア ウ ト、 音 楽 、 色 彩 な ど の 非 言 語 的 な も の(Non-linguistic devices)と

    言 語 的 な もの(Linguistic devices)の 二 つ で あ る。

    こ こで は 、 言 語 的 な も の を 考 察 し、 論 じて い き た い 。

    Chuunrat(1991)で は 、広 告 の こ とば に は 、人 を説 得 す る力 を も って い る 「レ トリ ッ

    ク」 とい う表現す る技術が使われ ると言われてい る。つま り、広告のこ とば とい う

    ものは、単 に面白い表現を用いて人間の関心を引 くためだけではな く、消費者 に商

    品やサー ビスを購入 して もら うように、説得 しなければな らないのである。 それで

    は、「レ トリック」とい うものは、どんな ものであるか、どのように広告の ことばに

    働 いているのか、そ して、 日本 とタイの広告の ことばにおけるレ トリックを考奈 し

    てみたい。

    レ トリック:広 告の ことばに役割を果たす技術

    『現代言語学辞典』においては、 レ トリックを次のように定義 している。

    Rhetoric:読 者 または聞き手 を説得す るなどの 目的のために、表現に工夫をこら

    す技法、またはそれを研究する学問。

    定義か らわかるように、 レ トリックは人を説得す る力をもっているため、広告の

    ことばに必要 となる。 また、古代の レ トリックの役割を見れば、広告のことばにお

    けるレ トリックの機能が より明 らかになるだろ う。

    佐藤(1992)は 、古代 のレ トリックの二重の役割 をあげている。次の通 りである。

    1)説 得する表現の技術

    2)芸 術的(あ るいは文学的)表 現の技術

    さらに、同書によれ ば、 レ トリックには

    1)説 得力のあることばつかい

  • 136 Jantima Jantra

    2)魅 力的なことばつかい

    とい う二つの方向があるとい う。

    以上、 レ トリックの定義 と役割を見てきた。広告 もこの観点か ら見 ることができ

    ると思われ る。

    『日本語百科大事典』においては、 ことばの レトリックが二つの種類 を持 ってい

    るとい う。つ ま り、一種は、 ことばを四方八方か らレンガのよ うに積 み重ね、堅固

    な ことばの城 を構築す ることによって人を説得する技法 とい うような ものであ り、

    もう一種 は、ポンと投げ出 した ことばの連鎖反応が、ことばの遊 びの世界をつ くり

    だ し、感覚を通 じるようなものである。前者 は西洋流の 「説得 としての レ トリック」

    と呼ばれ、後者は 「柔 らかい レトリック」 と呼ばれる。(p.579)

    次に、まず、 「柔 らかい レトリック」り具体例を見て、広告のことばの面 白さ、美

    しさを考奈 してみよ う。このタイプの レトリックは、例 えば語 呂合わせや音遊びな

    ど音韻的特殊性、また、リズム感 ・口調による特殊性 といつたことば遊びの形 を持 っ

    ている。

    日本の広告 ことばの場合

    例:1)そ ろそろ、お となの、藍(ブ ルー)か な (Brappers Jeans)

    →音遊び/文 字遊び

    2)春 はあけぼの。 クルマは弖ル コ (Daihatsu)

    →音遊び

    この広告は、単に音遊びの方法を使 うだけではない。 日本人がよく知 つている清

    少納言の 「枕 草子」 の有名な文を使 つて、広告 を面 白くする。

    3) .之茎 ッチ じゃないよ、筮 ッチだよ。

    →音遊び/文 字遊び

    4)選 茶、鑑 茶、墓 茶

    →語 呂合わせ

    5)な ん である アイデアル

    →語 呂合わせ

    (KOOKA�atch, Fishシ リー ズ)

    (井 ヶ田製茶)

    (折 りたたみ傘)

    この広告から、新 しいアイディアか ら、お りたたみ傘が誕生 した とい うメッセー

    ジが伝わつた。

  • 広告のことばにおける比喩的表現 ヱ37

    なお、 「音遊び」と 「語 呂合わせ」をはっきり区別するために、次の定義を提示 し

    てお きたい。

    語 呂合わせ:地 口(1)に 同 じ。

    地 口(1) :俚 諺 ・俗語などに同音 または声音の似通った別の語をあてて、ち

    がった意味を表す洒落。

    『広辞苑』

    つま り、語 呂合わせの場合は、音だけではな く、語の意味も含み、語全体か ら考

    える。それに対 して、音遊びの場合は、音だけとつて、意味を考えない。 また、 リ

    ズム感 を使 つているのもある。 日本語の リズム感 といえば、それ を支えてい るのは、

    七五調である。

    例:ス カ ッとさわやか コカ コーラ 7―5

    『日本語百科大事典』よ り

    タイの広告 ことばの場合

    タイの広告こ とばの中にもことば遊びが多 くある。 タイ語が孤立語なので、韻を

    合わせて表現することが多い。 タイ人は詩人(的 民族)と 言われてお り、何を しゃ

    べつて もとか く語呂を合 わせ(韻 を含み)が ちである。

    そ れ で は 、 次 の タ イ 語 の 例 を 考 察 して み よ う。

    タ イ 語 の 韻 律 的 な 音 韻 特 殊 性 は 、 さ ら に 、 同 子 音(consonance)と 同 母 音(asso―

    nance)に 分 け る こ とが で き る。

    例:1)s�m PhEen sヒSn phl∂∂n (PanShoes)

    履 く Pan とて も 楽 しい

    (訳:"パ ン"を 履 い て 、 とて も 楽 しい)

    →Phε εnとsヒEnは 、"εε"の 同 母 音 で あ り、 phε εnとphlaanは"ph"の 同

    子 音 で あ る。

    2)khwaam-s� n鵙p-k畭i l瀾 s瀉畭i th伀 kh穃-khuun (Dunlopillo)

    幸 せ 寄 り添 う 寝 る 楽 に 毎 夜 間

    (訳:幸 せ が 近 く寄 り添 つ て き て 、 毎 晩 ぐ つ す り眠 れ る)

    →kaaiとbaaiは 、"aai"の 同 母 音 で あ る 。

  • ヱ38 Jantima Jantra

    3) P駱s靖 Dii th靖s�

    ペ プ シ(イ)よ い 一 番

    (訳:ペ プ シ が 一 番)

    →S11とdiiとth靖は"ii"の 同母 音 で あ る。

    語 呂合 わ せ も タ イ の 広 告 に使 わ れ る 。

    例:1)th秣 kh咜 c�kh僘w, kh僘wKh咜-Kh咜

    もし 思 う(未 来)噛 む 噛む 1(id-Kid

    (訳=噛 む と思つた とき、Kid-Kidを 噛 もう)

    (Pepsi)

    (Kid Kid gum)

    →kh咜と い う単語は、タイ語 で 「思 う」 とい う意味がある。 同音語である商

    品の名前 と対応 して語呂合わせの方法を使っている。

    2)ph秣- n璟 aarom- n璟 n疥yaa pr瀾 ph秣- n璟

    絹 柔 らか い 気 持 ち 柔 ら か い 洗 剤 調 整 絹 柔 らか い

    Fineline (Fineline柔 軟 洗 剤)

    フ ァ イ ラ イ ン 注:n疥yaa-pr瀾-ph秣-n璟=柔 軟 洗 剤

    (訳:フ ァイラインで絹 も気持ち も柔 らか くなれ る)

    以上、見てきたのは 「柔 らかい説得」 とい うような レ トリックである。次は、広

    告のことばにおける伝統的な西洋流 の 「説得 としての レ トリック」を見ていきたい。

    まず、どんな分類のがあるのか見てみよう。

    伝統的なレ トリック;そ の分類

    レトリックは様々な種類があ り、 したがって、学者 によって分類の しかたが異なつ

    てい る。本稿 は、佐藤(1992)に よるレ トリック(こ とばのあや)の 分類を取 りあ

    げたい。佐藤は下記のよ うにレ トリックを分類 した。

    1.直 喩

    あ や の うち で 、 も っ と も基 本 に な る 型 で あ る 。 ヨー ロ ッパ の レ ト リ ッ ク 用 語

    で は 、 シ ミ リチ ュー ド(simile,シ ミ リ)と 呼 ば れ て い る。"直 喩"は 、 も の ご と

    の 様 子 を 表 現 す る た め に 、 「XはYの よ うだ 」 「Yそ っ く りのX」 とい う具 合 に

    た と え る 形 式 を も っ て い る。"明 喩"と も い う。

  • 広告のことばにおける比喩的表現 139

    例:ジ ャックはろばのよ うに愚かだ。

    2.隠 喩

    あるものの名称を、それ と似ている別のものごとをあ らわすために流用する

    表現法が"隠 喩"(metaphor,メ タファー)で ある。"暗 喩"と もい う。

    直喩が 「yのよ うなX」 とか 「Xはyに 似 ている」 とい うのに対 して、普通隠

    喩はだた 「Y」とか 「Yだ」 と言い切つて しま う。

    例:ジ ャッ ク は ろ ば だ 。

    3.換 喩

    単純化 してい うなら、隠喩が類似性に基づ く比喩であったのに対 して、「換喩」

    (metonymy,メ トニ ミー)と は、二つのものごとの隣接性に基づ く比喩 である。

    例:道 は凍つてゐた。村 は寒気の底へ寝静まつてゐた。→ 「村」=「 その村

    の家々とそ こに住む人 々」

    4.提 喩

    提喩の定義 は、なかなか微妙な問題 を含 んでいるといわれてい る。佐藤によ

    ると、提喩 とは、常識的に適 当と期待 され ているよりも大 きな(必 要以上に一

    般的な)意 味をもつ ことばをもちい、あるいは逆 に、期待 よ りも小 さな(必 要

    上に特殊な)意 味をもつ ことばをもちいる表現である。 言い換 えれば、外

    延的に全体を表す類概念をもって種 を表現 し、あるいは、外延的に部分をあ ら

    わす種概 念によって類全体を表現することばのあやである とま とめて定義

    され る。

    (なお、提喩 と換喩の定義については、まだ確立 されていないため、本稿では

    まとめて同 じ隣接性 に基づ くもの と見なす。)

    佐藤は、1~4を 比喩の下位分類 と見な している。以下のことばのあやを比

    喩以外のもの と見な してい る。

    5.誇 張 法

    も の ご とを 実 際 以 上 に お お げ さ に 言 い 表 す 表 現 を 、 古 典 レ トリ ッ ク で は 、"誇

    張 法"あ る い は"イ ペ ル ボ ー ル"(hyperbole,ハ イ パ ー ボ リ)と 名 付 け 、 こ とば の

  • 140 Jantima Jantra

    あや の一種 として数えていた。

    例:一 日千秋(待 っていた)

    6.列 叙 法(accumulation)

    もの ごとを念入 りに表現す るために同格の様々な ことばを次々 とつみ あげて

    い く表現法である。

    例:あ ん ま りや さ し くす る て え と、 当 人 が 図 に の ぼ せ ち ゃ う。 と い つ て 、 小

    言 を い や あ 、 ふ くれ ち ゃ う し、 な ぐ りゃ 泣 く し、 殺 し ゃ化 け て 出 る。 と う も困

    るそ うで す な あ 、 女 と い う もの は..,。

    7.緩 叙 法(li七 〇tes)

    緩叙法は、あることがらを積極的に肯定す るかわ りに、それ とは反対のこと

    がらをはっき りと否定する。あるいはそのことが らを、程度の差はあるに して

    も、弱めて表現す る。その意図は、まさに、緩叙法表現が覆い隠 している積極

    的な肯定にいっそ うの力 と重みを与えることにある。

    例;嬉 しい=平 常表現

    悲 しくない=普 通の緩叙法

    嬉 しくないわけではない=二 重否定の緩叙法

    以上、佐藤 による レ トリックの分類を提示 したo但 し、本論は佐藤 の分類 にした

    がつて、日常言語に多 く使われていると言われ る"比 喩表現"即 ち、直喩、隠喩、メ

    トニミー(っ ま り、換喩 と提喩のこと)を 中心 し、日本 とタイの広告のことばを考察

    して行きたい。

    広告のことばにおける比喩表現

    比喩は、直接的な表現 ではな く、あるものをも う一つの ものにた とえる問接的な

    表現である。文学に限 らず、私たちの 日常言語 に頻繁に現れる。広告の ことばにも

    多 く見られ るのである。次の二つのメ ッセージを比べてみ よう。

    A)夢 は異国に舞い降 りた。(な んばCITY NANKAI)

    B)外 国への賞が抽選で当た ります。

  • 広告のことばにおける比喩的表現 ヱ41

    比べ てみる と、確 かにBの メッセージが直接 に伝 達 し、分か りやすい。 しか し、

    比喩表現を使って間接的な表現であるAは 、よ り面 白く、美 しく、読者 の関心 をひ

    きだ出せるとい うことが分か るだろう。Aの ほうが読者(消 費者)の イメージを浮

    かばせ ると思われる。

    つ ま り、比喩表現は単にメッセージを伝 えるだけではな く、表現を面 白くした り、

    美 しくした り、また想像力に訴えるような ものに した りして使われ るものである。

    伊藤(1986)は この特性 を"比 喩の遊戯性"と 呼んでいる。(p.348)

    広告の ことばにおいては、比喩を使つて表現す るものがほ とん どだ と思われ る。

    各種の比喩表現の広告の例を見てみよう。

    直 喩(simile)

    ★ は じめ て 空 気 に 触 れ た 、 蝶 の 羽 の よ う に (ノ1馮ance paris,ア イ シ ャ ド ウ)

    さなぎか ら抜け出たばか りの蝶 と比べ、商品の特徴のイメージを作 る。消費者の

    イメージを喚起 させるために、直喩を用いている。

    他 の例 も見 られ る。

    ★ウインクみたいにシャッターを押す。 (Pentax)

    ★空気 のような軽~いエアーズコロン。 (マンダム,Gatsby)

    以上、 「のようだ」 「みたいだ」のように、ことばの内に比喩であることが明示 さ

    れている表現形式 をもっている直喩の広告の ことばの例である。それに対 し、比喩

    を明示することばがないCC隠喩"の 例を次に見てみたい。

    隠喩(metaphor)

    ★ 「幸せの白」、は じめます (サンスターAPホ ワイ ト、歯磨き)

    → この広告は 白い結婚衣装を着ている花嫁の写真 を使つている。「白」はf新 婦」に

    喩えられてい る。商品の特徴を強調するために、「新婦」のイメージを利用 し、「白」

    をメタファー として用いると思われ る。

    ★ もっと、シル クな髪 になる。2つ の方法 (Lux superich,ヘ ア トリー トメ

    ン ト)

    →髪はシルクに喩 えて表現 されている。シルクのように髪 がきれいになる とい う

    イメージを浮かばせ るようにと考えられ る。そのよ うなイメー ジを持っている読者

  • 142 Jantima Jantra

    には、この広告の効果 がよく果たす と思われ る。 しか し、そ うでない場合、例えば

    広告 に載つているモデルの人 と違つて、髪の毛も短 く、茶髪のような人であれば、髪

    の毛のイメー ジはまた違 うかもしれない。 この揚合は、上の メッセー ジは効果的で

    はなくなる と考 えられ るのではなかろ うか。また、隠喩の一種 として見なされてい

    る 「擬人化」 も広告にも多 く見 られる。 どんなものであるか見てみよ う。

    山梨(1992)に よると、この種の表現は、 日常言語 の伝達の重要な手段の一つに

    なってお り、話 し言葉、書 き言葉を とわず 日常言語のなかに 自然なかたちでいきわ

    たっている とい う。 さらに、安田(1997)は 広告における 「擬人化」にっいて、次

    の ように述べた。

    物事 を く人〉 にた とえて考えてみると、軽い話や、難 しい話にも親近感が出

    て、話を聞いてみ ようという気持ちになる。広告読者の関心 をひき、心 を開く

    ために この擬人化はよく使われ る手法。

    それでは、広告のことばに使われている 「擬人化」の例 を見てみ よう。

    ★テレビはチャンネルか ら歳 をとります。 (三菱電気)

    安 田はこの広告の ノウハ ウについて次のよ うに説明 した。

    現在 のテ レビのチ ャンネルは、電子 タッチ方式なのでなかなか摩耗 しません

    が、この当時は機械式で、チャンネルを回すたびにガチャンガチャンと鳴 り、テ

    レビ部品の中でも一番消耗が激 しい部分で した。そんな状況を 「歳 をとる」 と

    擬人化。親方式 「さわるチャンネル」による新製品のメ リッ トを効果的にアピー

    ル しています。

    (ibid.p.260)

    他の 「擬人化」の例 も見てみ よう。

    ★ 「うまい」が生きてる。一番搾 り1 (キ リンビール)

    ★ガンコなくせ毛を素直に。 (Utena,ヘ ア トリー トメン ト)

    3つ のメッセージは、人間以外のものを使つて、人間のようにある行動 をす る 「擬

    人化」表現法 を用い る。

    メ トニ ミー(metonymy)

  • 広告のことばにおける比喩的表現 143

    比喩表現 に属 してい る"メ トニミー"の 例も見てみよ う。

    ★肌 が喜ぶ、気持ちのいいスキンケアです。 (CLINIQUE,3―STEP SKIN CARE)

    →人間 と肌が隣接性があるとい う点で、この例には、メ トニ ミ―を使 っていると

    考え られる。商品の使 ったあとの効果を述べている。

    ★ くちびるは、ずっ と、 うるおいを待 っていま した。 (MAX FACTOR,口 紅)

    →人間とくちび るの隣接性 とい う点か ら考え、メ トニ ミー と見なすことができる。

    ★ ヨックモ ックで見つけた、2月14日 (Yoku Moku chocolate)

    →商品を目立たせ るために、単に商品名を使い、バ レンタインデーに贈 られ る一

    般 のチ ョコレー トのことを意味すると考 えられる。

    以上、 日本語の例を見て きたが、次はタイの広告のことばの例 を見ていきたい。

    タイ語の場合

    タイ語にも色 々な種の レ トリックが現れ ている。その中に、比喩表現は特に多 く

    あるものであると指摘 された。(Duangmon,1984)

    タイ語の比喩表現は、古代か ら現代 までにわたって文学や詩な どの作品に多く使

    われ ているだけではな く、今 日の日常言語のなかにもタイ人が頻繁 に口に している

    ものである。無論、タイの広告 のことばにおいて も、比喩表現を使 って作 られ るも

    のが少な くない。 どんな ものがあるのか、タイの広告の例文から見てみよ う。

    直 喩

    ★s緡ph炙?� d� ?�?ai-n畭m (Lux superrich,ヘ ア トリー トメ ン ト)

    感 覚 温 か い の よ う 蒸 す ス チ ー ム

    (訳:ス チー ムされたよ うな温かい感覚)

    タ イ語 で は 、"d�"と い う単 語 が 直 喩 の マ ー カ ー で あ る。 こ の例 か ら言 う と、 商 品

    の 特 徴(self―warming treatment)を 強 調 す る た め に 、 直 喩 の 表 現 法 を使 っ て い る。

    *L厓s炙� m瀛 c濛k Chanel. d� kammaj�kh麥 khl瀾 nian

    口紅 新 か ら シ ャネ ル の よ う ビ ロ ― ド 濃 い て か て か な め らか

    naan

    長 い

    (Chanel,口 紅)

  • 144 Jantima Jantra

    (訳:シ ャネルの新登場の 口紅、ビロー ドのよ うに 〈柔 らか く〉、濃い 〈色〉、な

    めらかで、てかてか して、落ちにくい)

    上例は、直喩を用いて、商品の特徴 を強調する二つの例である。

    メタファーの場合 はどのように使われているのだろう。例 を見てみよ う。

    ★mii khrai-baang―kon kl濛w-w秣"ph益ying mii aaw偀 y� s6ng―yaaO

    い る 誰 か い う と 女 性 あ る 武 器 あ る 二 つ

    kh冊 khraa弓 ―sam-aa勾1�n疥taa"tネe khwaamc均raw r倢 w秣

    で あ る 化 粧 品 と 涙 で も 実 際 私 達 知 る と(い う)

    khun ch疂 withii n劦 y濛ng―diaw kδo phoり (Modernform)

    あ な た 使 用 方 法 こ の 一 つ そ れ で 十 分

    (訳:"女 性 の武器は化粧品 と涙の二つだ"と 誰かが言つていた。でも、本 当はあな

    たがこの方法を使 うだけで、 もう十分だ と私達は知って いる)

    この広告 は、キ ッチンの製造会社の作品である。 きれいなキ ッチンの写真を使 つ

    て、 自分 のサー ビスを提供する。 ここでは、メタファー とメ トニ ミーを両方使 つて

    広告 を作 ると見 られ る。つま り、"化 粧品と涙 とキ ッチンは女性 の武器である"と い

    う部分はメタファーである。それか ら、"キ ッチン"は"料 理"の ことを意味 し、隣

    接 関係 があるため、メ トニ ミー と見なす ことができると思われ る。

    化粧品、涙 と料理 は女性の武器 だ。=メ タファー

    ↓←キッチ ン

    つま り、化粧品や涙な どよりも、手作 りの料理の方が女の魅力になるとい う概念

    をもつて来て、 自分 のサー ビス(キ ッチン製造)の 重要さを強調するために、メタ

    ファー もメ トニ ミー も両方の表現法 を使 つて消費者の注目を引くと考え られる。

  • 広告のことばにおける比喩的表現 ヱ45

    ★khon l� m疂 khon l� mHH (味の素)

    人 それぞれ 棒 人 それぞれ 手

    (訳:人 それぞれは手を持 ち、棒を持つ。=皆 のカを合わせ 、皆で手伝 い合 う)

    この広告のメ ッセー ジは、メタファー として見なされた慣用化 された表現を使 っ

    ている。

    "Khon l�m疂 khon l�mHH"は 「手伝い合 う、協力す る」 とい う意味である。

    この例の場合、直接に商品の特徴をいわずに、 しか し、消費者 と親 しんでいる とい

    う感 じを与える。つま り、商品は他の調味料 とカを合わせて美味 しい料理を作 り、消

    費者の活動の成功の一部であるとい うよ うなメッセージを送 りたがっているだろ う。

    そ こで、タイの慣用句を使つて、間接的にメ ッセー ジを伝 えた と思われ る。

    また、 日本語 のようにタイ語の広告 にも 「擬人化」が見 られる。

    擬人化

    ★rgD勾ph曲n th靖 s瀛―cai phiw (Clinique)

    フ ァ ン デ ー シ ョンrel.pron.気 づ か う 肌

    (訳:肌 に 気 づ か っ て い る フ ァ ン デ ー シ ョ ン)

    普 通 、 タ イ 語 で"s瀛-cai"と 言 う動 詞 は 、 人 は他 人 の こ とや 物 事 に 気 を つ か う場 合

    に 使 わ れ る。 そ れ 故 に 、 上 の 例 の よ うに 、 フ ァ ンデ ー シ ョン は肌 に 気 を 遣 っ て い る

    と い う文 は 「擬 人 化 」 だ と 考 え られ る 。

    ★Cherilon kh益 kh綢 th靖 r倢 cai (Cheriion stocking)

    チ ェ リ ロ ン ペ ア 足 rei.pron― 分 か る 心 (r倢―cai=気 心 が 分 か る)

    *kh益は、 類 別 詞 で あ り、 い つ も 二 つ あ る"ペ ア"と い う意 味 が あ る 。

    kh綢は 、名 詞 で あ り、"足"と い う意 味 で あ る 。

    しか し、kh益―kh綢に な る と、 意 味 が 拡 張 され"友 達"の 意 味 に な る 。

    (訳:あ な た の 気 心 が よ く分 か る 〈足 の 〉 友 達 で あ る チ ェ リ ロ ン)

    "r倢-cai"は 、気 心 が よ く分 か る とい う意 味 で あ り、 普 段 人 間 に 対 して 使 う動 詞 で

    あ る 。 しか し、 こ の 例 で は ス トッキ ン グ が"r倢―cai"と い う動 詞 の 行 為 者 に な っ て い

    る の で 、 「擬 人 化 」 の 方 法 だ と考 え られ る。

    以上のように、広告の ことばにおける日本語 とタイ語の比喩表現の例 を見てきた。

    両方の言語において、読者、つ まり消費者の関心を引 こうとす ると同時に消費者を

    説得するため、比喩の表現技法が用い られる。 しか し、効果 を果たすために、面 白

  • 146 Jantima Jantra

    く、美 しいことばを用い るだけでは十分ではない。各社会、文化をあわせて考 えな

    ければならない と思われ る。以下のタイ語の例 を見てみ よ う。

    広 告 の こ と ば か ら見 られ た 異 文 化 と 社 会 現 象 や 価 値 観

    ★JAL bっorikaan khunn瘉麪h秣p th秣m―klam sii-s縅 hきε瑠r唾duu-kaa皿(JAL)

    JALサ ー ビス ー流 囲まれ る 色彩 の 季節

    (訳:JALは 季節 の色彩 に囲まれ なが ら、一流のサー ビスを提供す る)

    このメ ッセージは、タイの雑誌 にのっている 日本航空会社の広告である。 目本人

    は、この広告を見て不思議だ と思わないだろ うが、 タイ人に とっては分か らない部

    分がある。つま り、"季 節の色彩に囲まれる"の ところである。なぜか と言 えば、日

    本人 と違つて、タイ人には"季 節 の感覚"が あまりないのである。

    日本は四季の国であり、日本人は季節 の移 り変わ りに深 く感 じると言われている。

    言わば、季節 の感覚 を強 くもっている。特に、一年 中暑 く、季節が あま り変わ らな

    いタイ と比べれば、この点についてはより明 らかになるだろう。 目本会社がタイ人

    向けに"季 節"や"四 季"の 概念を使って広告のことばを考 えるのは、説得力を落 と

    して しまい効果的ではなくなるかも しれない。無論、それを知 るために検討が必要

    になってくる と思 われるが、本稿では筆者の観奈結果 として読んでいただければ と

    思 う。 この 日本人の季節の感覚については、 また他の 日本の広告の ことばの例にも

    見 られる。 次の例 を見てみよ う。

    ★ 春がは じまります。 (京阪電鉄)

    京阪電車 のビラのコピーである。写真 には梅の花が載 つている。"春 先にな り、梅

    が咲き始める。京阪に乗 って、美 しい梅 を見 に行 きま しょう"と い うメッセージを

    乗客者 に送 りたがっているだろう。

    ★ さくらが咲 く。春のお便 り。 (郵政省 、 さくらメール)

    郵便局の ビラのメ ッセージである。郵政省が春 と合わせて桜の花模様のハガキを

    作 つた。売上を増やすために、郵政省 は春のシンボルである桜を用い、消費者 の 日

    本人の心を捕 らえた と言 ってもよかろ うか。

    ★夏のダメー ジか ら、すばや く救出。 (Chanel,ス キンケア)

    夏から秋 に変わ る頃に出た広告の コピーである。肌の ざらつきやゴワゴワ感 など

    夏の影響 を受 けた肌の調子 を整えるよう、以上のようなメッセージが作 られて、消

  • 広告のことばにおける比喩的表現 147

    費者 の関心を引 くと考えられ る。

    ★ プ リズム ・マジ ック。 この秋、プ リズムで理想 の肌 を手に入れ る。 (Givenchy)

    これは、ジバ ンシイの1996-97年 の秋のコレクシ ョンの広告である。商品(パ ウ

    ダー等)が プ リズムの形を しているので、この特徴 を使って、広告のコピー を作成

    した と思われ る。

    ★ 秋 に冴えるあなたの服があります。 (MYCAL SATY/MYCAL VIVRE)

    これは、シ ョッピングセ ンターの広告のコピーである。季節によって服な どファッ

    シ ョンが変わる とい うポイン トが持ち出された。 自分の店 にも季節 に合っている商

    品があ り、読者に買い物 に来てもらうよ うに上のコピーを作 ったのだろ う。

    ★ 冬の紫外線は奥 まで とどく。だか ら、冬用フェイ スプロテクター。

    (Kanebo, winter face protector)

    この広告は、冬に肌に起 こるダメー ジについて述べ、消費者に商品を提供す ると

    い うよ うな方法 を用い る広告である。

    以上の例か らみると、季節 を表す表現が明らかに使 われ ている とい うことが分か

    るだろ う。その上、"さ くら"な どは季節のシンボル として広告に用い られることに

    よつて、 日本人の 自然や季節 に対 しての感 覚をよ り強 く明確 させ るとい うこ とも分

    かる。

    Brian Morean&Lise Skov(1997)は メディアの中に、そ してメデ ィアに よつて

    日本の伝統的な文化が どの ように生み出され、作 り直 され 、また再考案 されたのか

    を考奈す るために、 日本の広告において 自然のイメー ジが作 り出された方法 と消費

    された方法を調べた。そ して、彼 らは広告 に使われ るさくらについては以下のよ う

    に述べた。

    さくらは、い くつかの重要な社会変化が起こる一年の特定の時期 を印付 ける

    ものだ と見なされている。4月 は 日本の新学期の始ま りを示 し、そして、様々な

    マーケティングの 目標のため、このイベン トを用いる広告 も少 なくない。(p.196

    原文英語、訳は著者)

    以上のように日本の広告においては、CC季節感覚"が 持ち出 され、季節のシンボル

    であるものを用い、広告 のことばを作 って読者の心を引きつ ける方法が見 られ る。

  • ヱ48 Jantima Jantra

    それに対 して、タイの広告 にはこのよ うな現象が現れない。

    また、広告のメ ッセージからその時 の社会の現象や価値観を見 ることができると

    思われ る。植条(1993)は 、この ことについて次のように指摘 した。

    さまざまな芸術や風俗がそ うであるよ うに、広告も時代 を映す鏡である。時

    代によつて人人の価値観や ライフスタイルも異な るが、時の移 り変わ りととも

    に訴求ポイン トや広告表現 も変化をみせてい る。つま り、時代 が広告をつ くり、

    広告 がそこに生活する人人 に新 しい生 き方や暮 らし方を示唆 してい くと言 える

    だろ う。(p.262)

    それでは、広告のメッセージは、社会現象または価値観 を我々にどのよ うに見せ

    て くれるのだろ うか。以下の例を考 えてみ よう。

    ★ ちい さい顔、キマル。 (Kanebo,ジ ェル ファンデーシ ョン)

    ★ 「顔が小 さくなつたね」 (Kose,ル シェリー)

    この二つの例は、植条の説明をよ り明らかにする例 ではないか と思 われる。す な

    わち、上の広告メッセージは"小 さい顔がいい"、"あ こがれの顔"と い う今 日の日本

    人の女性 の価値観 を見せて くれる と言って もよかろ う。広告の 目標 を達成す るため

    に、広告の業者は社会の流行現象 を持 ち出し、商品の特徴 を主張 して広告のメッセー

    ジを作 ると考え られる。

    タイの場合は どうであろ う。広告 を通 して、今のタイの社会現象 はどのよ うに見

    られるのか。次のメ ッセージを見てみたい。

    ★mm h翫 d稱―kamrai m馥 yaam s鐺t-th潴it sankhbDn (DuIopillo)

    寝る できるように 儲かる ~て も 時 経済 揺れ る

    (訳:不 景気の時期で も、儲 かるよ うに寝 よう)

    この広告は、お客 さんに割引とプ レミアムを提供す るキャンペーン中の布団の広

    告である。お客さんが商品を買つた ら、値下げしてもらつた上、商品以外にプレミア

    ムの色々なものももらうため、不景気 の状況のなかで絶対 にお得 とい うよ うなメッ

    セージを伝えたがっていると考 えられ る。

    現在タイは経済問題があるため、広告業者 はこの点を考え、以上の ような広告表

    現 を使 ったのではないかと考 えられ る。同 じことが次の例 か らも見 られ る。

  • 広告のことばにおける比喩的表現 149

    ★th畭 s益 kra-S£ £s鐺t-th潴it l曲k Motorol�00 r曲 Cll―es―em

    挑む 戦 う 流れ 経済 選ぶ モ トロラ または GSM

    (訳:経 済の流れに挑む。モ トロラかGSMを 選ぼ う)

    これは、携帯電話 の値下げのキャンペーン中の広告である。上の例 と同 じように、

    広告業者は、タイの今の不景気の現象を広告に乗せて、消費者の心を動かそ うとし

    ている と言 える。

    以上のよ うに、広告のことばが鏡 として働き、人の価値観や杜会の現象を映す と

    い うことは間違いない と思 われ る。

    最後に

    本稿で述べてきたよ うに、広告の作品に役割 を果た しているのは ことばで ある。

    日本語においても、タイ語 においても、広告の ことばには言語のカが最 も明確に現

    れた例が見 られ る。広告のことばは一っの道具 として広告 の効果 をもたらす と言つ

    て も問違いないであろ う。 しか し、最 も効果的な広告 を作るために、消費者 の文化

    や社会背景を考 えなければな らない と思われ る。

    広告のことばを通 し、広告メッセージそのものの面白さ、美 しさを味わえるだけ

    ではな く、各々の社会の価値観やイメージも見られるのではないか と思われ る。 し

    か し、こ うした点の解明には他の関連分野からの視点や方法論が必要になって くる

    だろ う。 日常生活で触れている 「意味を伝達す る一つの方法」 として広告のことば

    を通 じて、異文化 を研究す ることも有意義である と思われ る。

  • 150 Jantima Jantra

    参考文献

    伊藤克敏 ・牧 内勝 ・本名信行編(1986)『 ことば と人間-新 しい言語学への試み-』

    三省堂

    植 条則夫(1993)『 広告 コピー概論』 宣伝会議

    大塚高信 ・中島文雄監修、荒木一雄他編(1982)『 新英語学辞典』研究社

    金 田一春彦 ・林大 ・柴田武編(1993)『 日本語百科大事典』大修館書店

    佐藤信夫(1992)『 レ トリック感覚』講談社

    新村出編(1955)『 広辞苑』岩波書店

    田中春美編(1987)『 現代言語学辞典』成美堂

    富 田竹二郎編(1987)『 タイ 日辞典』養徳社

    安 田輝男(1997)『 あの広告 はす ごかつた!』 中経出版

    山梨正明(1992)『 推論 と照応』 くろしお出版

    Bradley, M, G. (1944) Thai-English Dictionary. Standford University press.

    Citcamnong, Duangkamon (1984) Sunthariiyaphaap nai Phaasaa Thai. Khletthai

    press.

    Mengtrakul, Chuunrat (1991) "The analysis and interpretation image of women

    in perfume advertisement selected from ELLE magazine (1988-1989)", Journal

    of literature. Vol. 23, No. 2, pp. 40-53.

    Moeran, B. and Skov L. (1997) Mount Fuji and the Cherry Blossoms: A View from

    Afar, in P. J. Skob and A. Kall and (eds.) JAPANESE IMAGES of

    NATURE : Cultural Perspectives. Cruzon Press. pp. 181-205.

    Tanaka, K. (1994) Advertising language — A Pragmatic approach to advertizement

    in Britain and Japan. Routledge.

    Upakitsinlaprasaan, Phrayaa (1968) Lak Phaasaa Thai. Thai Wattanaa Phanit

    press.

  • 広告のことばにおける比喩的表現

    付録

    an・an 第27巻 第34号 1996年9月6日 発 行

    1(ansai Walker 6/1増 刊 号

    1997年12月9日 号

    Khwanruen no.588 issued May 1996

    marie-claire Japon 第17巻 第3号1998年3月1日 発行

    Matichon sudsapdaa vol.17 no.852 issued 17 December 1996

    non-no 第27巻 第18号 平成9年10月5日 発行

    第28巻 第3号 平成10年2月20号 発行

    Phloy kaem phet vol.6 no.142, issued 31 December 1997

    vol.6 no.144, issued 31 January 1998

    Praew vol.19 no.441, issued 10 January 1998

    Ray第11巻 第3号1998年3月1日 発行

    Thai-Rhat Newspaper issued 8 December 1997

    15ヱ

  • 152 Jantima Jantra

    Summary

    Figuration Used in Advertising Language

    — a Comparative Study in the Japanese and Thai Language —

    Jantima JANTRA

    Advertising language plays an important role in the consumer behaviors of

    our daily lives. In several ways, figuration such as simile, metonymy (including

    synecdoche), and metaphor is of special importance in advertising copy. Adver-

    tisers employ such kinds of figurative language not only to create aesthetically

    pleasing phrases but to persuade their audiences. In this way, the language of

    advertising demonstrates the force of language itself.

    In this paper the author explores how such figuration is being used in Japanese

    copy as contrasted with Thai advertising. The paper then addresses the role played

    by social and cultural differences in the advertising language of each country.

    For example, regarding the text presented below, we find that the Japanese

    characterize nature and the four seasons in unique ways.

    Sakura ga saku. Haru no otayori.

    (Cherry blossom blooms. The letter of spring.)

    As for Thailand, various examples reveal the social situation of the present

    day. Thai advertisers take this contemporary condition into account in creating

    copy to win the public's heart.

    This study concludes by pointing to the ways the language of advertising can

    be used to study culture and society.