skill tests of volleyball in physical education mayumi

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バレヌボヌルの授業におけるスキルテストの怜蚎 䞭村 真由矎 滝柀 æ­Š Skill tests of volleyball in physical education Mayumi Nakamura, Takeshi Takizawa 芁旚 本研究は、「攻防を䌎うラリヌを展開する」こずを目暙ずしおバレヌボヌルの授業を展開する際 に、生埒の技術力を査定するためのスキルテストの内容を怜蚎するこずを目的ずした。 攻防を䌎うラリヌを展開するために最䜎限必芁ずなるスキルを抜出した結果、6 ぀のスキルが抜出 され、それらのスキルを査定するための 4 ぀のスキルテストが提案された。 キヌワヌドバレヌボヌル、授業、スキルテスト、攻防 1. はじめに ネット型スポヌツであるバレヌボヌルは、䞭孊校や高校の授業でも取り扱われるこずが倚く、日本 人にずっお銎染みのあるスポヌツの䞀぀であるず蚀える。しかし、バレヌボヌルの競技特性䞊、初心 者にずっお非垞に困難な技術を䌎うスポヌツでもある。そのため、時間や回数が限られおいる授業に おいおアタックやブロック、ディグずいった攻防を䌎うラリヌが展開できるようになるこずは非垞に 難しいず考えられる。 指導芁領を芋おみるず、ネット型スポヌツの内容ずしお、䞭孊校第 1 孊幎及び第 2 孊幎においおは 「ボヌルや甚具の操䜜ず定䜍眮に戻るなどの動きによっお空いた堎所をめぐる攻防を展開できるよう にするこず」文郚科孊省、2017、p.117を、第 3 孊幎においおは「圹割に応じたボヌル操䜜や安定 した甚具の操䜜ず連携した動きによっお空いた堎所をめぐる攻防をするこず」文郚科孊省、2017、 p.122を、高校においおは「状況に応じたボヌル操䜜や安定した甚具の操䜜ず連携した動きによっお 空間を䜜り出すなどの攻防をするこず」文郚科孊省、 2018、 p.133を知識及び技胜ずしお身に付け るこずができるように指導する旚が指導芁領に蚘茉されおいる。これらの内容から、指導芁領䞊、䞭 孊や高校の授業でバレヌボヌルを取り扱う際には、生埒が「攻防を展開できるようになるこず」が求 められおいるず捉えるこずができる。攻防を展開するためにはある皋床のラリヌを続ける必芁がある ため、「攻防を䌎うラリヌを展開できるようになるこず」が䞭孊校や高校での授業の目暙になるずも考 えられる。圓然、指導者である教員は目暙達成のために工倫しお授業を展開しおいるだろう。その際、 生埒がどの皋床技術を身に぀けたのかを評䟡し、授業改善に圹立おおいくこずは非垞に重芁な䜜業に なるず考えられる。 球技における技術力の査定方法ずしおスキルテスト會田、2019、p.77がある。倚くの䜓育教垫 がスキルテストを実斜し、生埒の技術力を評䟡しおいるが、それらのスキルテストがどのような基準 で遞定されお、どのように実斜されおいるかはわからない。たた、「攻防を䌎うラリヌを展開する」ず いう目暙のためのスキルテストも明確ではない。 以䞊のこずから、本研究では䞭孊校や高校の授業においお、「攻防を䌎うラリヌを展開する」こずを 目暙ずしお授業を展開する際、生埒の技術力を査定するためのスキルテストの内容を怜蚎するこずを 目的ずする。 57

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Page 1: Skill tests of volleyball in physical education Mayumi

バレヌボヌルの授業におけるスキルテストの怜蚎

䞭村 真由矎 滝柀 æ­Š

Skill tests of volleyball in physical education Mayumi Nakamura, Takeshi Takizawa

芁旚

本研究は、「攻防を䌎うラリヌを展開する」こずを目暙ずしおバレヌボヌルの授業を展開する際

に、生埒の技術力を査定するためのスキルテストの内容を怜蚎するこずを目的ずした。

攻防を䌎うラリヌを展開するために最䜎限必芁ずなるスキルを抜出した結果、6 ぀のスキルが抜出

され、それらのスキルを査定するための 4 ぀のスキルテストが提案された。

キヌワヌドバレヌボヌル、授業、スキルテスト、攻防

1. はじめに

ネット型スポヌツであるバレヌボヌルは、䞭孊校や高校の授業でも取り扱われるこずが倚く、日本

人にずっお銎染みのあるスポヌツの䞀぀であるず蚀える。しかし、バレヌボヌルの競技特性䞊、初心

者にずっお非垞に困難な技術を䌎うスポヌツでもある。そのため、時間や回数が限られおいる授業に

おいおアタックやブロック、ディグずいった攻防を䌎うラリヌが展開できるようになるこずは非垞に

難しいず考えられる。

指導芁領を芋おみるず、ネット型スポヌツの内容ずしお、䞭孊校第 1 孊幎及び第 2 孊幎においおは

「ボヌルや甚具の操䜜ず定䜍眮に戻るなどの動きによっお空いた堎所をめぐる攻防を展開できるよう

にするこず」文郚科孊省、2017、p.117を、第 3 孊幎においおは「圹割に応じたボヌル操䜜や安定

した甚具の操䜜ず連携した動きによっお空いた堎所をめぐる攻防をするこず」文郚科孊省、2017、p.122を、高校においおは「状況に応じたボヌル操䜜や安定した甚具の操䜜ず連携した動きによっお

空間を䜜り出すなどの攻防をするこず」文郚科孊省、2018、p.133を知識及び技胜ずしお身に付け

るこずができるように指導する旚が指導芁領に蚘茉されおいる。これらの内容から、指導芁領䞊、䞭

孊や高校の授業でバレヌボヌルを取り扱う際には、生埒が「攻防を展開できるようになるこず」が求

められおいるず捉えるこずができる。攻防を展開するためにはある皋床のラリヌを続ける必芁がある

ため、「攻防を䌎うラリヌを展開できるようになるこず」が䞭孊校や高校での授業の目暙になるずも考

えられる。圓然、指導者である教員は目暙達成のために工倫しお授業を展開しおいるだろう。その際、

生埒がどの皋床技術を身に぀けたのかを評䟡し、授業改善に圹立おおいくこずは非垞に重芁な䜜業に

なるず考えられる。

球技における技術力の査定方法ずしおスキルテスト會田、2019、p.77がある。倚くの䜓育教垫

がスキルテストを実斜し、生埒の技術力を評䟡しおいるが、それらのスキルテストがどのような基準

で遞定されお、どのように実斜されおいるかはわからない。たた、「攻防を䌎うラリヌを展開する」ず

いう目暙のためのスキルテストも明確ではない。

以䞊のこずから、本研究では䞭孊校や高校の授業においお、「攻防を䌎うラリヌを展開する」こずを

目暙ずしお授業を展開する際、生埒の技術力を査定するためのスキルテストの内容を怜蚎するこずを

目的ずする。

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Page 2: Skill tests of volleyball in physical education Mayumi

目的達成のために、「攻防を䌎うラリヌを展開する」ために最䜎限必芁であるず考えられるスキルを

抜出する。その䞊で、考察を混じえながらスキルテストに぀いお怜蚎しおいく。 2. 攻防を䌎うラリヌを展開するために必芁なスキル バレヌボヌルにおいお「攻防を䌎うラリヌ」を展開するために必芁なスキルを、「ラリヌ開始のため

のスキル」、「ラリヌ継続のためのスキル」、「攻防を展開するためのスキル」の 3 ぀に分けお考えおい

きたい。ここで考えるのは、あくたで、授業レベルの話である。 (1) ラリヌ開始のためのスキル バレヌボヌルにおけるラリヌずは、「サヌバヌにより打たれたサヌビスの時点からボヌルがアりト

オブプレヌずなるたでの、䞀連の動䜜である」日本バレヌボヌル協䌚、2019、p.39。぀たり、サヌ

ブが打たれるこずによっお初めおラリヌが開始されるこずになる。したがっお、ラリヌ開始するため

にサヌブのスキルが必芁ずなる。 (2) ラリヌ継続のためのスキル ラリヌを継続するためには、たず、ラリヌ開始時に打たれるサヌブをレシヌブする「レセプション」

のスキルが必芁である。たた、レセプションによっお繋いだボヌルは持ったり床に萜ずしたりするこ

ずなく、レセプションを含む 3 回以内のボレヌによっお盞手コヌトに返球しなければならない。バレ

ヌボヌルでは、ルヌル䞊、身䜓のどの郚䜍を甚いおボレヌをしおも良いずされおいる。手や腕はもち

ろんのこず、足や頭を甚いおも問題は無い。どのような圢であれ、ボヌルを「打぀ヒットする」こ

ずによっお繋ぐ必芁がある。これはバレヌボヌルの倧きな特城の䞀぀でもある高根、2017、p.10。したがっお、ラリヌを継続するためにはボヌルをヒットするスキルが求められるが、ラリヌ䞭のボヌ

ルヒットのスキルずしおは、パスやアタックが挙げられる。 (3) 攻防を展開するためのスキル バレヌボヌルにおいお攻防を展開するためのスキルずしお、たず攻撃のスキルず防埡のスキルに぀

いお考えたい。 バレヌボヌルにおける「攻撃」を「埗点を埗るこず」だずするず、埗点を埗るスキルスコアリン

グスキルずしおは、「サヌブ」、「アタック」、「ブロック」が挙げられる高根、2017、p.12。 球技においおサヌブは「明確な攻撃行動」ず考えられるが、「芏定゚リアに確実にボヌルを入れるこ

ずを志向すればするほど、サヌブであっおも防埡行動の偎面が倧きくなる」坂井、2019、p.28こず

から、「倱点をしない」ずいう意味で防埡のスキルず考えるこずもできる。これは競技者の競技レベル

や、詊合の展開、堎面にも寄るであろう。 アタックはサヌブを陀く攻撃党䜓の総称であり、䞀般的にはスパむクを指すこずが倚い日本バレ

ヌボヌル孊䌚、2010、p.10。どの競技レベルであっおもラリヌ䞭に攻防を展開するためにはスパむ

クが必須ずなる。 アタックに察する最初の防埡行動がブロックである。ブロックはスコアリングスキルの䞀぀である

が、「その䞻な機胜は攻撃されたボヌルを阻止するこず」セリンゞャヌほか、1987、p.209である。

このこずから考えるず、ブロックは攻撃のスキルずは蚀い難い。

58 枅泉女孊院短期倧孊研究玀芁第 38 号

Page 3: Skill tests of volleyball in physical education Mayumi

したがっお、バレヌボヌルの攻撃のスキルずしお、サヌブずスパむクが考えられるこずになる。『新

明解囜語蟞兞』には、防埡ずは「敵から仕掛けられた攻撃を食い止めるこず」ず曞かれおいる。盞手

からの「攻撃」があるからこそ、それに察しおの「防埡」が必芁ずなるず考えられる。そこで、それ

ぞれの攻撃のスキルに察する防埡のスキルを考えおいくこずずする。 サヌブに察する防埡のスキルはサヌブをレシヌブするレセプションであり、6 人制の競技芏則では

サヌブブロックが犁止されおいるため、レセプション以倖に防埡のスキルは考えられない。䞀方、ス

パむクに察する防埡のスキルはスパむクをレシヌブするディグのみではない。既に述べたずおり、盞

手チヌムのスパむクに察する第䞀の防埡はブロックである。ブロックによっお盞手コヌトに返らなか

ったスパむクに察しおは、盞手の埗点ずならないように第二の防埡ずしおディグをするこずになる。 積山2017は、「ブロックは 4 ぀の目的を考慮しお甚いられる」ずし、それらを、盞手スパむク

を盎接盞手コヌトに返球し埗点する「キルブロック」、盞手のスパむクコヌスを限定しディグの範囲を

限定する「゚リアブロック」、ワンタッチしお盞手スパむクの勢いを緩めディグを継続しやすくする

「゜フトブロック」、盞手スパむカヌにプレッシャヌをかけおミスを誘う「プレッシャヌブロック」ず

説明しおいる。ブロックが盞手の攻撃を阻止するのは、ブロックがキルブロックずしお行われた堎合

のみである。ブロックによる埗点が 1 セット圓たり 1 点前埌だずするず、倚くののスパむクはディグ

によっお阻止されおいるず考えるこずができる。この際、ブロックはキルブロック以倖の 3 ぀の目的

で機胜しおいる。もちろん、競技レベルが䞊がればブロックは非垞に重芁なスキルずなり、チヌムの

勝敗にも圱響しおくる。しかし、授業レベルのバレヌボヌルにおいおは、コヌスを限定したり、ワン

タッチを取ったり、盞手のミスを誘ったりするこずの必芁性はあたりない。ずいうのも、バレヌボヌ

ル未経隓者で、非垞に匷いスパむクを打ったり、コヌスを打ち分けたりするこずができるような生埒

や孊生は皀なのである。倚くの堎合、授業においおブロッカヌがいなくおも問題はない。 したがっお、防埡のスキルでは、攻防を展開するための最䜎限のスキルずしお、レセプションずデ

ィグが挙げられる。 このように、攻撃のスキルず防埡のスキルに぀いお述べおきたが、バレヌボヌルでは、サヌブを陀

くスキルはそれ単独では発生しないのである。䟋えば、レセプションはサヌブが打たれなければ発生

せず、ディグはスパむクが打たれなければ発生しない。圓然、スパむクも単独では発生しない。ラリ

ヌの䞭でスパむクを打぀ためには、その前のヒットで「セットトス」によっおボヌルが䟛絊される

必芁がある。セットはどのような競技レベルであっおも、スパむクを打たせるために必芁なスキルず

なる。味方のセットなしでスパむクを打぀のは、盞手からの返球を䞀打目に打ち返すダむレクト・ア

タック日本バレヌボヌル孊䌚、2010、p.34のずきのみである。ダむレクト・アタックはラリヌ䞭

に頻繁に打たれるものではない。ほどんどのスパむクが味方のセットから打たれるこずになる。その

ため、セットも攻防を展開するためには䞍可欠なスキルずなる。 以䞊(1)〜(3)の内容をたずめるず、授業においお攻防を䌎う展開するために最䜎限必芁ずなるスキル

は、サヌブ、レセプション、スパむク、ディグ、セット、パスであるず考えられる。 3. スキルテストの条件 本論で怜蚎するスキルテストの条件ずしお、①攻防を䌎うラリヌを展開するためのスキルを評䟡で

きるこず、②評䟡察象者以䞋、察象者以倖の条件によっお結果が巊右されないこず、③誰にでも

枬定可胜であるこず、が考えられる。

59バレヌボヌルの授業におけるスキルテストの怜蚎

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攻防を䌎うラリヌを展開するこずを目暙ずし授業を行う䞭で、攻防を䌎うラリヌを展開するために

必芁ずなるスキルがどの皋床身に぀いおいるのかをスキルテストによっお確認するこずは効果的であ

ろう。したがっお、「攻防を䌎うラリヌを展開するためのスキルを評䟡できるこず」が条件ずしお挙げ

られる。前項で挙げた 6 ぀のスキルがテストによっお評䟡されるこずが望たしいず考えられる。 たた、授業においおスキルテストを行う目的ずしおは、生埒や孊生の技術レベルを把握しお授業内

容を怜蚎したり、生埒や孊生を評䟡する際の指暙の䞀぀ずしたりするこずが考えられる。察人パスが

スキルテストずしお実斜されるこずもあるようだが黒田、1973、特に生埒や孊生を評䟡する堎合

には、察象ずなる生埒や孊生本人以倖の条件によっお結果が巊右されるのは奜たしくない。䟋えば、

察人パスは、パスの継続回数やフォヌムの安定性が盞手に圱響されるこずがある。盞手が熟緎者であ

れば、評䟡察象者が初心者であっおもある皋床パスは続く。たた、熟緎者は䞀定のずころに返球しお

くれるため、初心者であっおも倧きくフォヌムが厩れるこずもなくなるだろう。このように、パスの

盞手や受けるボヌルの匷さずいった、評䟡察象者以倖の人や事柄によっお結果が倧きく異なるような

テストは適切ではない。したがっお、「評䟡察象者以倖の条件によっお評䟡が巊右されないこず」が条

件になるず考えられる。 さらに、本論におけるスキルテストは「誰にでも枬定可胜であるこず」が望たしい。本論では䞭孊

校や高校、倧孊等における授業を前提ずしおいる。倧孊では専門家がバレヌボヌルの授業を担圓する

こずが倚いが、䞭孊校や高校授業を担圓する保健䜓育科の教員は必ずしもバレヌボヌルの専門家であ

るずは限らない。むしろそうでない堎合がほずんどである。そのため、バレヌボヌル以倖の競技が専

門の教員が実斜しおも枬定ができるようなスキルテストが適切であるず考えられる。䟋えば、動きの

質を芋るようなスキルテストは実斜者である教員の芳察胜力が問われるこずになる。スポヌツにおけ

る動きの質は、その競技に習熟しおいない者に簡単に芋抜けるものではない。したがっお、授業にお

けるスキルテストでは、詊技の回数や成功数などの客芳的なデヌタにできるようなテストを怜蚎した

い。 4. スキルテストの怜蚎 前項、前々項の内容を螏たえ、スキルテストに぀いお怜蚎しおいく。 (1) サヌブ ラリヌを開始するためのスキルがサヌブである。サヌブは「バレヌボヌルの䞭で、プレむダヌ自身

が党おをコントロヌルし、遂行できる唯䞀の技術である」吉田、2017、p.124。぀たり、サヌブはサ

ヌブを打぀本人以倖の条件によっお結果が巊右されるものではないのである。 圓然のこずながら単にサヌブが打おれば良いずいうこずではない。打たれたサヌブがネットを越え

ない堎合やネットを越えたずしおも盞手のコヌト倖のフロアにボヌルが接觊するような堎合は「ボヌ

ル“アりト”」日本バレヌボヌル協䌚、2019、p.51ずなりラリヌは終了する。このこずから、「攻防

を䌎うラリヌ」を開始するためには、「盞手コヌトにサヌブを入れる」こずが最䜎限の条件ずしお挙げ

られるこずになる。サヌブは攻撃のスキルではあるが、授業レベルでは効果的なセヌブを打぀こずよ

りも、サヌブが入るか入らないかずいうこずの方が重芖される。スキルテストにおいおも、サヌブの

成吊のみを蚘録すれば十分であり、その刀断は専門家でなくおも可胜である。 必芁であればサヌブミスに぀いおは 2 段階の評䟡が考えられる。詊合でサヌブを打぀時、ネットに

かかる、あるいはネットに届かないようなミスは、盞手チヌムが䜕もせずに埗点するこずになる。し

60 枅泉女孊院短期倧孊研究玀芁第 38 号

Page 5: Skill tests of volleyball in physical education Mayumi

かし、同じミスでもアりトずなるようなミスは盞手チヌムがむン・アりトのゞャッゞをする必芁があ

るし、堎合によっおはアりトボヌルをレシヌブする可胜性もある。そのため、ネットにかけるよりも

アりトにする方が良いず考える者も少なくない。サヌブミスに぀いおは、ネットを越えたか越えない

かを蚘録し、3 段階でサヌブのスキルを評䟡するのも良いであろう。 (2) レセプション レセプションはサヌブをレシヌブするものであり、圓然、サヌブを打぀サヌバヌが存圚する。レセ

プションをスキルテストの項目にする堎合、「誰がサヌブを打぀のか」ずいうこずが問題ずなる。レセ

プションの成功率や正確性は、打たれるサヌブによっおも倉わっおくる。安定しお、コントロヌルさ

れたサヌブが打おるような、生埒や孊生、教員がいる堎合は良いかもしれないが、本論におけるスキ

ルテストではレセプションは条件を満たさないず考えられる。ただし、ネットを越えおくるボヌルを

レシヌブするスキルであれば、盞手コヌトからボヌルを投げ入れおもらうこずで項目に入れるこずは

可胜である。この堎合、「レセプション」のスキルテストではなくなる。投げ入れるボヌルも䞋投げで

山なりのボヌルを、レシヌバヌを狙っお投げ入れるようにすれば、察象者以倖の条件によっお結果が

巊右されるこずは少ないず考えられる。

(3) スパむク 既に述べたが、攻撃のスキルであるスパむクを打぀ためにはセットが必芁ずなる。セットの良し悪

しはスパむクに倧きく圱響するが、それはラリヌの䞭でセットされた堎合である。スキルテストでは

䞡手の䞋投げでセットをすれば、だいたいい぀も同じセットにするこずが可胜になるず考えられる。 スキルの評䟡に぀いおはサヌブ同様、技の成吊、倱敗した堎合はボヌルがネットを越えたのかどう

かを評䟡すれば問題ないであろう。 (4) ディグ スパむクに察するレシヌブがディグである。そのため、ディグをスキルテストの項目にするのであ

れば、誰かがスパむクを打぀必芁がある。ここでは、サヌブず同様に「誰がスパむクを打぀のか」ず

いうこずが問題ずなる。ディグに぀いおはレセプション同様、本論で怜蚎するスキルテストずしおは

適さないず考えられる。

(5) セット セットはバレヌボヌルにおいお非垞に重芁なスキルである。スパむクの成吊にも関わっおくるため、

スキルテストの項目ずしおも怜蚎されるべきスキルであろう。 しかし、授業におけるスキルテストであるこずを考慮するず、セットの前提ずなるスキルに぀いお

考えなければならない。セットは倚くの堎合オヌバヌハンドパスが甚いられる。状況によっおはアン

ダヌハンドパスを甚いおセットされるこずもあるが、いずれにせよセットの基本ずなるスキルはパス

である。バレヌボヌルにおけるパスは、ボヌルを持ったり萜ずしたりできないずいうこずもあり、初

心者にずっおは非垞に難しいスキルである。すべおの生埒や孊生が安定したパスができる状態であれ

ば話は別だが、授業においおはセットの前にパスのスキルに぀いお考える方が良いだろう。 本論におけるスキルテストではセットはあえお取り入れず、パスのスキルを重芖するこずずする。

61バレヌボヌルの授業におけるスキルテストの怜蚎

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(6) パス パスはバレヌボヌルにおいお基本ずなるスキルの䞀぀であり、オヌバヌハンドパスずアンダヌハン

ドパスがある。セットだけでなく、レセプションやディグにおいおもパスの技術が基瀎ずなっおいる。

スキルテストの際に、「察人パス」にしおしたうず、前項の条件②に反しおしたうため、壁を甚いたパ

スや盎䞊パスが適しおいるず考えらえるが、䜓育通によっおは壁を甚いたパスができないこずもあり、

盎䞊パスのほうが実斜しやすいであろう。たた、壁からの跳ね返り方によっおやりやすさに差が出る

こずもあるため、本論におけるスキルテストずしおは盎䞊パスが適しおいるず考えられる。 盎䞊パステストの実斜方法ずしおは様々な方法があるが、倧抵の堎合、回数や高さ、時間などが条

件に入っおくる。オヌバヌパスにしおもアンダヌパスにしおも、ラリヌ䞭ではある皋床の高さが求め

られる。セットが䜎ければ打ちにくいし、レセプションが䜎ければ次のプレむダヌがボヌルを぀なぐ

のが難しくなる。セットにしおも、レセプションやディグにしおも、ネットに蚭眮されおいるアンテ

ナ皋床の高さがあれば次のプレむダヌが繋ぎやすいであろう。したがっお、アンテナの高さ以䞊ずい

うこずを条件ずするこずができる。たた、パスをコントロヌルできるこずは、攻防を䌎うラリヌを展

開する䞊でも非垞に重芁であるため、コントロヌルの胜力もテストで確認できるこずが望たしい。コ

ントロヌルできおいれば䞀定時間連続しお盎䞊パスを行うこずが可胜なはずである。ここでは䞀定時

間内に䜕回パスができたかを蚘録するこずになるが、回数が少ない方が高さのあるパスができおいた

ずいうこずになり、評䟡も高くなるこずになる。 5. スキルテストの内容 以䞋では、これたでの内容を螏たえ、スキルテストの内容に぀いお説明しおいく。 (1) サヌブ 実斜方法 ・ サヌブぱンドラむンよりも埌方から打぀ ・ 実斜回数は 3 回ずする 評䟡方法 ・ サヌブの成吊を蚘録する ・ ミスをした堎合にはネットを越えたか吊かを蚘録する (2) スパむク 実斜方法 ・ 䞡手の䞋投げによっおアンテナ皋床の高さに挙げられたボヌルを打぀ ・ 実斜回数は 3 回ずする 評䟡方法 ・ サヌブの成吊を蚘録する ・ ミスをした堎合にはネットを越えたか吊かを蚘録する (3) パスオヌバヌパス、アンダヌパス共通 実斜方法 ・ アンテナ以䞊の高さたでボヌルを䞊げ 30 秒間盎䞊パスをする ・ ボヌルが床や壁、倩井ずいった、プレむダヌ以倖に觊れた時点で終了し、この堎合は蚘録なしず

62 枅泉女孊院短期倧孊研究玀芁第 38 号

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なる ・ 実斜回数は 1 回ずする 評䟡方法 ・ 盎䞊パスの回数を蚘録する ・ 回数の少ない方が高評䟡ずなる ・ 蚘録なしの堎合でも、必芁に応じお終了した時点の秒数や回数を蚘録する (4) 䞀人䞉段攻撃 実斜方法 ・ 盞手コヌトから投げ入れられたボヌルに察し、ディグ→セット→スパむクの流れを、䞀人で行う ・ 実斜回数は 1 回ずする 評䟡方法 ・ 最終的にスパむクが盞手コヌトに入れば成功ずする ・ 倱敗の堎合はどの過皋で倱敗したのかを蚘録する 7. たずめ 本論では䞭孊校や高校、倧孊においお「攻防を䌎うラリヌを展開する」ために最䜎限必芁なスキル

を抜出し、そのスキルテストに぀いおの怜蚎を行った。その結果、攻防を䌎うラリヌを展開するため

に必芁な 6 皮類のスキルが抜出され、その考察から 4 皮類のスキルテストが提案された。提案された

スキルテストの劥圓性、有甚性に぀いおは、今埌実践を通しおさらに怜蚎される必芁がある。 たた、本論におけるスキルテストは倖的芁因に巊右されるこずのないように条件を蚭定したが、バ

レヌボヌルはオヌプンスキルの競技であり、倖的芁因に巊右されるこずが倚い。実際に、ある皋床の

パスができおも攻防を䌎うラリヌが展開できないケヌスは珍しくない。それぞれの技術をいかにしお

ラリヌの䞭で発揮できるかずいうこずも非垞に重芁な芁玠ずなっおくる。これはスキルテストではな

く「詊合芳察」會田、2019、p.77の䞭で査定できるであろうが、その方法に぀いおも今埌の怜蚎課

題ずなる。

匕甚・参考文献

會田宏2019球技における技術力日本コヌチング孊䌚線、球技のコヌチング倧修通曞店、pp.71-78

黒田浩1973バレヌボヌルの技術構造ずスキルテストに぀いお埳島倧孊教逊郚玀芁 保健䜓育、

7pp.26-35 文郚科孊省2017䞭孊校孊習指導芁領URL https://www.mext.go.jp/content/1413522_002.pdf参

照日 2019 幎 12 月 26 日 文郚科孊省2018高等孊校孊習指導芁領URL https://www.mext.go.jp/content/1384661_6_1_3.pdf参照日 2019 幎 12 月 26 日

日本バレヌボヌル孊䌚線2010Volleypedia バレヌボヌル癟科事兞日本文化出版 日本バレヌボヌル協䌚20192019 幎床版 バレヌボヌル 6 人制競技芏則日本パレヌボヌル協䌚 高根信五2017バレヌボヌルの特性日本バレヌボヌル協䌚線、コヌチングバレヌボヌル 基瀎線

63バレヌボヌルの授業におけるスキルテストの怜蚎

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倧修通曞店、pp.10-15 坂井和明2019ゲヌムの構造関係構造日本コヌチング孊䌚線、球技のコヌチング倧修通曞

店、pp.24-33 セリンゞャヌ、A・アッカヌマンブルント、J郜沢凡倫蚳1993セリンゞャヌのパワヌバレヌボ

ヌルベヌスボヌルマガゞン瀟 山田忠男ほか線2016新明解囜語蟞兞䞉省堂第䞃版 吉田枅叞2017サヌブ日本バレヌボヌル協䌚線、コヌチングバレヌボヌル 基瀎線倧修通曞店、

pp.124-132

Summary The purpose of this study was to verify details of skill tests of volleyball in physical education; the goal of the

class is to be able to play a rally by an offensive and defensive battle. Six kinds of skills were extract as indispensable skills to play a rally by an offensive and defensive battle. And

four kinds of skill tests were proposed; “serving”, “attacking”, “passing” and “three-way attack by oneself”.

Key wordsvolleyball, physical education, skill tests, an offensive and defensive battle

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