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東日本大震災時の実道路網トポロジの推定と道路網復旧最適化問題
関西学院大学 大学院
理工学研究科 情報科学専攻
2012年 12月 14日
辻 広志
巳波弘佳東日本大震災時の実道路網トポロジの推定と道路網復旧最適化問題
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目次
• 災害時の配送計画問題
• 道路復旧問題
• 研究の背景
2012年 12月 14日
• 関連研究
• 被災道路情報・避難所情報の収集方法
• 性能評価
東日本大震災時の実道路網トポロジの推定と 道路網復旧最適化問題
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研究の背景
• 災害時に避難所に物資を供給することは重要
• 災害時の物資配送に関する研究は必要不可欠
2012年 12月 14日
東日本大震災時の実道路網トポロジの推定と 道路網復旧最適化問題
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研究の概要
• 災害時の配送計画問題(VRP)
• 復旧を優先する道路を決定する道路復旧問題VRPの効率化の観点より道路復旧の優先度を決定
• 被災道路情報収集方法を検討カーナビの情報を用い,道路ネットワーク(NW)の時間変化を推定する方法を実装した
今回考える問題を定式化し,ヒューリスティックアルゴリズムを実装した
2012年 12月 14日
東日本大震災時の実道路網トポロジの推定と 道路網復旧最適化問題
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関連研究:配送計画問題
• デポと呼ばれる輸送基地
• デポを拠点に運搬車を用いて配送先を回り再びデポに戻る運搬路を求める
• この時,運搬車の台数, 移動時間など,目的関数を最小化するような運搬路を求める
• Vehicle Routing Problem(VRP)
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関連研究:配送計画問題
• NP困難な問題として知られている
• 効率的に解くアルゴリズムがないと考えられる
• ヒューリスティクスな手法で近似解を求める
2012年 12月 14日
• ロジスティックスの分野などで研究されている
• 実用化された商用パッケージなども存在する
東日本大震災時の実道路網トポロジの推定と 道路網復旧最適化問題
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関連研究:災害時VRP等の研究
• 道路復旧方法について
• 災害時の配送計画について
東日本大震災での実際の道路の復旧方法の公開
国土交通省東北地方整備局「くしの歯」作戦
しかしながら,最適化の観点からの提案ではない
2012年 12月 14日
一部災害時のVRPについて研究が行われている
しかし事例に基づく問題点や論点の整理がほとんど
東日本大震災時の実道路網トポロジの推定と 道路網復旧最適化問題
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• 第3ステップ:国道45号の確保
くしの歯作戦• 国土交通省東北地方整備局が計画
• 第1ステップ:東北道,国道4号の縦軸ラインを確保
• 第2ステップ:三陸地区へのアクセスは東北道, 国道4号からの横軸ラインを確保
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東日本大震災時の実道路網トポロジの推定と 道路網復旧最適化問題
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• 避難所に関する情報収集
復旧されるため道路NWは時間的に変化する
Googleの被災者向けサービスを活用
• 被災道路ネットワークの時間変化と情報収集災害時には道路は寸断される
道路・避難所情報の収集
カーナビの位置情報を用いた情報収集方法を検討
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道路情報データの問題点
• KMLデータに起因する問題点がある
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座標と線分の表示だけで,隣接関係がない
線分の端点が同じ点にない場合がある
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道路情報データの補完とネットワーク化
• 隣接リスト化と点間マージ
イメージ
一点ずつ走査し,同一点で隣接リスト化
閾値以下の点を同じ点として位置を補完
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災害時の配送計画
• 今回考える災害発生時の配送計画問題の定式化
出力は必要なトラック台数とその巡回経路
平均移動速度
この問題に対して局所探索法を用いる
ヒューリスティックアルゴリズムを設計した
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避難所集合
最大トラック台数輸送基地
道路NW
荷卸時間
最大稼働時間
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配送計画:アルゴリズム
• アルゴリズムの流れ1.輸送基地が担当する避難所を割り当てる
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2.輸送基地ごとに配送経路を決定する
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配送計画:アルゴリズム
• 輸送基地の担当避難所の割り当て
道路NW上で避難所に最も近い輸送基地が担当
ダイクストラ法で最短経路を求める
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配送計画:アルゴリズム
• 配送経路の決定担当避難所の数と荷卸時間から最低限必要なトラック台数kを求める
K=N=3のとき
避難所集合より凸包を求める
凸包の頂点で構成され,総辺長(NW上の距離)が最大となるようなN多角形を求める
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配送計画:アルゴリズム
• 配送経路の決定
N多角形の頂点をk個の配送経路の初期解とする
他の避難所は全体の経路長の増加が少なくなるようなトラックの配送経路に追加する
K=N=3のとき
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配送経路長の計算に2-optを使う
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道路復旧問題• 道路復旧問題
道路復旧の優先順位は自明でない
この問題を定式化した
出力はn日目までのある1日の復旧順序のリスト
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復旧完了後NW(平時)
復旧対象NW
避難所集合 復旧日数
ある1日に復旧可能な距離
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道路復旧問題:アルゴリズム
2.孤立したNWを連結する
• アルゴリズムの概要説明
3.最短経路が縮小する道路区間を優先
1.災害で道路NWが損傷する
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道路復旧問題:アルゴリズム
復旧完了後NWと
• アルゴリズムの詳細復旧対象NWを用意する
Zれら2つのNWから差分NWを生成する
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道路復旧問題:アルゴリズム
差分NWを生成した後,最短経路を計算する
• アルゴリズムの詳細
復旧順序リストを用意する
NULL復旧順序リスト
→最短経路の計算にはNWを単純化する
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実線部:差分ネットワーク
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道路復旧問題:アルゴリズム• アルゴリズムの詳細
実線:復旧対象NW
破線:差分NW○が交差点及びNWの接続点
☆が避難所点
ABC
D連結成分内の 避難所の数を数える
NULL復旧順序リスト
連結成分数4
連結成分 避難所数
A 3
B 4
C 1
D 1
選択
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NULL
道路復旧問題:アルゴリズム• アルゴリズムの詳細
ABC
D避難所数により
連結成分を結ぶ
ABC
D接続する辺を短いものから2つ経路を選択
復旧順序リスト
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東日本大震災時の実道路網トポロジの推定と 道路網復旧最適化問題
○が交差点及びNWの接続点
☆が避難所点
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ABC
D
道路復旧問題:アルゴリズム• アルゴリズムの詳細 復旧順序リスト
AB C
連結成分数3
連結成分 避難所数
A 7
B 1
C 1
選択
辺を結び・・・ 連結成分内の 避難所の数を数える
すべての連結成分が結ばれるまで この操作を繰り返す
2012年 12月 14日
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道路復旧問題:アルゴリズム• アルゴリズムの詳細全ての連結成分を結び終えたら,残りの辺を選んでいく
復旧対象NWと差分NWの端点間で最短経路長の縮小幅が最も大きい物を選択する1
2
1 5
この例では1/5のこの端点間が選択され,復旧リストに追加される
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○が交差点及びNWの接続点
☆が避難所点
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道路復旧問題:アルゴリズム• アルゴリズムの詳細
このようにして全ての辺を選び終えたら・・
・・・・復旧順序リスト
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性能評価
• 道路情報の収集方法で推定される実道路NW
• この二つのNWに対して・・
• 先のアルゴリズムで生成される提案道路NW
1.変化について
2.配送計画について評価
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性能評価:道路NW変化
• 利用できるデータは3月16日から4月7日
• 被害の大きかった宮城,岩手に適用(9万点)
• 復旧完了後NWに4月7日,対象NWに3月16日
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性能評価:道路NW変化
• 道路復旧アルゴリズムの一日あたりの復旧距離
実NW変化における一日の増加距離から仮定
1日目
1
1.5
2
1
1
1日目から2日目の増加量は6.5
2日目 これをアルゴリズムでの一日の復旧距離とする
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性能評価:道路NW変化• 推定された実道路NWの変化3/21
• 生成された提案道路NWの変化3/21
• 実道路NWは「くしの歯作戦」に従っている• 提案道路NWは「くしの歯作戦」と同じような傾向• より閉路が生成されやすい
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性能評価:配送計画での評価
• 実道路NWと提案道路NWそれぞれのNW上で・・
• 到達可能な避難所の割合(到達率),使用トラック台数の観点より評価した
配送計画を動かすことで評価
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縦軸:
到達率
到達率
横軸:日付
実道路NW
提案方式生成NW
性能評価:配送計画での評価
• 到達率が早期に100%に
6日
20日
100%到達日 100%到達日
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縦軸:
台数
使用トラック台数
横軸:日付
実道路NW
提案方式生成NW
性能評価:配送計画での評価
• 一方必要になるトラック台数が増加51台
31台
100%到達日 100%到達日
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実道路NWが低いが,そもそも 全避難所に早期に到達できないため
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性能評価:配送計画での評価• 到達率(宮城)
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性能評価:配送計画での評価• トラック台数(宮城)
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まとめ
• 実道路NW変化の収集方法を検討し実装した
• 配送計画とそれを考慮した道路復旧問題を扱いアルゴリズムを設計し,実装した
• 実道路NW変化と提案道路NW変化を比較し,本アルゴリズムの性能評価を行った.
• その結果到達率の大幅な向上が見られた
2012年 12月 14日
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