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Yoshimitsu Soga, et al., Comparison of Clinical Outcome After Bypass Surgery vs. Endovascular Therapy for Infrainguinal Artery Disease in Patients With Critical Limb Ischemia. Circulation Journal. 2013; 77(8) : 2102-9. 重症虚血肢患者の鼠径下動脈病変に対する バイパス手術後と血管内治療後の 臨床転帰の比較 ReCANALISE- CLI 曽我 芳光 先生 財団法人 平成紫川会 小倉記念病院 循環器内科 副部長 [ 文 献 紹 介 ]

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Yoshimitsu Soga, et al., Comparison of Clinical Outcome After Bypass Surgery vs. Endovascular Therapy for Infrainguinal Artery Disease in Patients With Critical Limb Ischemia.Circulation Journal. 2013; 77(8): 2102-9.

重症虚血肢患者の鼠径下動脈病変に対するバイパス手術後と血管内治療後の臨床転帰の比較

ReCANALISE-CLI

曽我 芳光 先生財団法人 平成紫川会 小倉記念病院循環器内科 副部長

[ 文 献 紹 介 ]

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 重症虚血肢(CLI)患者は疼痛を軽減し虚血を改善するために治療を受けており、外科的血行再建術は依然としてCLIに対するゴールドスタンダードとされている1,2。しかし、最近の報告ではCLIに対する血管内治療(EVT)の有効性が指摘され、この治療の長期的転帰は手術と同等であると指摘されている3-6。ランドマークとなるBypass vs. Angioplasty in Severe Ischaemia of the Leg(BASIL)試験の結果により、バイパス手術やEVTの対象となるCLI患者では、生命予後と静脈の耐久性(durability)を考慮して治療方法を選択するべきであることが示された5,7,8。しかし、全身麻酔下での外科的血行再建術は年齢、併存症、および全身状態の点から容易でない患者がおり、実地臨床診療における治療選択肢はいまだ不明である。 BASIL試験では、標的病変の70%は大腿膝窩動脈病変で、EVT手技の約20%が失敗に終わり、すべての手技がバルーン血管形成術のみで行われた5,9。これらのデータはこの試験では臨床診療で治療を受けるCLI患者が実際より過少に見

積もられたことを示唆している。また、大腿膝窩動脈病変に対する自己拡張型ナイチノール製ステントの有効性10,13は、背景因子を考慮しながら治療選択肢の検討を進める必要があることを示唆している。本稿では鼠径下de novo病変に対してバイパス手術またはステント補助下EVTを受けた患者の転帰を報告する。

被 験 者

 本試験は日本における多施設共同後向き研究として実施した。2004年1月から2009年12月にかけてバイパス手術またはEVTの初回手術を受けた患者を順に組み入れた。このレジストリに組み入れられた1,508例のうち、ReCANALISEレジストリの、事前に規定されたサブ解析の対象集団は、試験への参

重症虚血肢患者の鼠径下動脈病変に対するバイパス手術後と血管内治療後の臨床転帰の比較

バイパス手術、重症虚血肢、血管内治療キーワード

[ 背 景 ]

重症虚血肢(CLI)患者におけるステント補助下の血管内治療(EVT)のバイパス手術と比較した有効性は依然として不明である。

[ 方 法と結 果 ]

多施設共同後向き研究として実施した。2004年1月から2009年12月にかけて、鼠径下de novo病変に対してバイパス手術(237例)またはEVT(223例)を受けたCLI患者460例(460初回治療肢)を後向きに同定し、解析した。主要エンドポイントは非切断生存率(AFS)、全生存率、救肢率および主要有害下肢イベント(MALE ; 再血行再建術と大切断を含める)の回避とした。3年AFS、救肢率および全生存率はバイパス手術群とEVT群間で差はなかったが(それぞれ60.3%対58.0%、P=0.43 ; 85.1%対84.2%、P=0.91 ; 67.2%対69.8%、P=0.96)、MALEの回避は追跡中、EVT群の方が有意に低かった(69.1%対51.1%、P=0.002)。エンドポイントを共変量で調整した後もAFS、救肢率、および全生存率にEVTとバイパス手術間で有意差はなかった。しかし、MALEの回避は依然としてEVT群の方が有意に低かった(ハザード比0.66 ; 95%信頼区間0.47~0.92、調整後P=0.01)。

[ 結 論 ]

鼠径下動脈病変によるCLI患者において、EVT後の重篤有害事象はMALEを除き、バイパス手術後に比べて容認できるように思われる。(Circ J 2013; 77: 2102-2109)

方 法

財団法人 平成紫川会 小倉記念病院循環器内科 部長  曽我 芳光 先生

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加を拒否した患者と急性発症の虚血肢の患者を除き、CLI患者460例で構成されている(237例がバイパス手術、223例がEVT)(図1)。 独立した調査員が事前に規定された定義に従い、各病院のデータベースからベースラインでの人口統計、血管造影、手技のデータを収集した。追跡データの収集は入院患者と外来患者のカルテを精査し、患者、親族、紹介医師に連絡を取って行った。死亡と大切断の判定は臨床事象委員会が行った。生存例300例の平均追跡期間は1,058日(四分位範囲717日~1,415日)であった。患者の94.1%で1年の完全な追跡情報を得られた(バイパス手術群95.8%、EVT群92.4% ; P=0.12)。 手 技

 EVTは大腿膝窩病変に対する暫定的ステント(provisional stent strategy)として施行された。バルーン血管形成術は最適なサイズで施行され、成績が良好ではない場合にはステントが植え込まれた。ステントは2種類のナイチノール製ステント、Luminexx(Bard[米ニュージャージー州マレーヒル])とS.M.A.R.T.(Cordis J&J[米フロリダ州マイアミ])から術者が決定した。膝窩下動脈病変にはバルーンのサイズが最適化され、バルーン血管形成術が再度施行された。術後には患者全員にlifelong投与としてアスピリンが処方された。また、術者の判断でチエノピリジンおよび/またはシロスタゾールが追加された。 外科的血行再建術は標準的なバイパス手術が施行され、可能な限り静脈バイパスグラフトが使用された。手技後の薬剤は現地の臨床診療に従って選択された。 転 帰 指 標

 主要転帰指標は非切断生存率(AFS)で、副次的転帰指標は全生存率、救肢率、主要有害下肢イベント(MALE ; すべての再血行再建術[何らかの血管内手技、再手術および血栓摘出や血栓溶解の使用]と大切断を含める)、主要有害心血管イベント(MACE ; 総死亡、非致死的心筋梗塞[MI]および脳卒中を含める)および主要有害心血管および下肢イベント

(MACLE ; MACE+MALE)の回避とした。 定 義

 救肢率は非大切断率と定義し、大切断は足関節より上での切断とした。組織欠損を伴った患者では、創傷治癒は患肢において創傷すべての完全な上皮形成が得られた場合とした。初回血行再建術から完全な上皮形成までの時間を治癒時間とした。創傷治癒の診断は追跡来院時に行った。冠動脈疾患(CAD)は安定狭心症、経皮的冠動脈インターベンションまたは冠動脈バイパス移植術の既往、または心筋梗塞の既往とした。脳血管疾患は病院または神経科医が一過性虚血発作または虚血性脳卒中と診断した場合とした。心不全は過去

の心不全の診断歴、心不全の入院歴、または現在心不全の治療を受けている場合とした。左室機能不全は左室駆出分画の40%未満とした。糖尿病はHbA1c6.5%超、随時血糖値200mg/dL超、または経口血糖降下薬やインスリン注射による治療とした。高血圧は収縮期血圧140mmHg以上および/または拡張期血圧90mmHg以上または高血圧療法を継続中の場合とした。脂質異常症は総コレステロール220mg/dL超または中性脂肪150mg/dL超または脂質降下薬による治療とした。歩行不能の状態は車椅子を使用または寝たきりと見なした。羸痩(るいそう)はBMI18未満とした。高齢者は75歳を超えている場合とした。 統 計 解 析

 データは平均値±標準偏差(SD)として報告した。連続変数を対なしt検定またはMann-WhitneyU検定を用いて検討した。カテゴリー変数をカイ2乗またはFisherの直接確率検定により比較した。生存率または無再発生存率の曲線をKaplan-Meier法で推定し、Log-rank検定で比較した。各転帰の予測因子を明らかにするため、臨床的に候補となる変数である、高齢(75歳超)、性別、羸痩(BMI18未満)、過体重(BMI25超)、

バイパス手術、重症虚血肢、血管内治療

図1 �本試験のフローチャート

試験への参加拒否14例

急性発症虚血肢10例

跛行575例(693肢)

試験への参加拒否8例

急性発症虚血肢35例

EVT併用85例

跛行121例(154肢)

対象集団重症虚血肢460例

Re:�CANALISE-CLI

EVT群798例

ReCANALISEレジストリ鼠径下血管形成術施行1308例

バイパス手術群358例

バイパス手術群237例

EVT群223例

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重症虚血肢患者の鼠径下動脈病変に対するバイパス手術後と血管内治療後の臨床転帰の比較

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高血圧、高脂血症、糖尿病、歩行不能、血液透析、現在または過去の喫煙、心血管疾患、脳血管疾患、慢性閉塞性肺疾患、心不全、左室機能不全、貧血(ヘモグロビン11g/dL未満)、アルブミン3.0g/dL未満、C反応性タンパク質3.0mg/dL超、手技前と手技後の足関節上腕血圧比(ABI)、組織欠損、両側性CLI、石灰化病変、孤立性膝窩下病変およびスタチン、アスピリン、チエノピリジン、シロスタゾール、ワーファリン、アンジオテン

シン変換酵素阻害薬(ACEI)/アンジオテンシン受容体遮断薬(ARB)、カルシウム拮抗薬、β遮断、H2遮断薬およびプロトンポンプ阻害薬等の薬剤の使用についてLog-rank検定を行った。比例ハザードの仮説をログ(マイナスログ)曲線を視覚的に推定して検証した。単変量解析でP<0.05の変数と比例の仮説が概ね適正である変数を多変量解析に含めた。得られた予測因子を各転帰における調整に際して共変量として用い、Pが0.05未満であれば統計学的に有意と見なした。

ベースラインでの 背 景

 ベースラインにおける患者背景を表1に記載した。透析、心血管疾患、心不全および左室機能不全の有病率はEVT群の方が高かったが、バイパス手術群の方が歩行可能な患者が多く含まれていた。入院期間と手技時間はバイパス手術群の方が長かった。EVT群の方に高齢患者や歩行不能な患者、透析、糖尿病、心血管疾患および心不全などの高リスク患者が多く含まれた。 病変と手技の背景を表2に示した。大腿膝窩動脈病変

表1 患者背景 症例数(%)または平均値±SD

バイパス手術群(n=237)

EVT群(n=223) P値

治療病変大腿膝窩動脈膝窩動脈下両方

107(45)54(23)76(32)

94(42)51(23)78(35)

0.77

大腿膝窩動脈治療病変数TASCII2分類 A/B/C/D病変の長さ(mm)対照血管直径 (mm)拡張前狭窄度(%)拡張後狭窄度(%)石灰化病変§

慢性完全閉塞病変

18314/35/17/117

169±785.5±1.097±8

–56(31)141(77)

17228/58/47/39

114±795.1±1.192±10–17±18129(75)111(66)

<0.0001<0.00010.003

<0.0001

<0.00010.009

膝窩動脈下治療病変数TASCII2分類 A/B/C/D病変の長さ(mm)対照血管直径(mm) 拡張前狭窄度(%)拡張後狭窄度(%)石灰化病変§

慢性完全閉塞病変run-offの不良

1301/1/2/126187±482.5±0.498±11

–82(63)125(96)220(93)

1295/15/17/92

153±762.3±0.698±6

–28±12206(82)86(67)215(96)

<0.0001<0.00010.00090.49

0.0004<0.0001

0.09

手技バイパス手術ATK/BTK遠位バイパス手術自己血管ステント留置SMART/Luminexxステントフラクチャ造影剤(mL)手術時間(分)

100(42)80/20

137(58)166(70)

––––

289±114

––––

101/172(60)84/178(4)

131±7278±33 <0.0001

§ 血管造影により心血管壁に確認できるもの。

表2 病変および手技のうちわけ 症例数(%)または平均値±SD

バイパス手術群(n=237)

EVT群(n=223) P値

年齢 72±9 71±11 0.53

>75歳 101(43) 84(38) 0.28

女性 70(30) 85(38) 0.05

BMI(kg/m2) 21±3 21±3 0.40

<18 37(16) 38(17) 0.68

>25 23(10) 18(8) 0.54

歩行可能 154(65) 119(53) 0.01

高血圧 186(78) 167(75) 0.36

脂質異常症 55(23) 65(29) 0.15

糖尿病 147(62) 144(65) 0.57

血液透析 85(36) 124(56) <0.0001

現在喫煙者 60(25) 43(19) 0.12

過去喫煙者 99(43) 334(41) 0.50

脳血管疾患 88(38) 166(32) 0.09

心血管疾患 106(45) 143(64) <0.0001

COPD 23(10) 57(7) 0.12

心房細動 31(13) 34(15) 0.5

心不全 38(16) 79(35) <0.0001

LV不全† 18(8) 32(14) 0.02

Rutherford分類 IV/V/VI 52/145/40 70/120/33 0.07

組織損失 179(78) 154(69) 0.03

両下肢とも重症虚血肢 37(16) 44(20) 0.25

HbA1c 6.6±1.8 6.4±1.5 0.34

血清アルブミン(g/dL) 3.6±0.5 3.3±0.5 <0.0001

アルブミン < 3.0g/dL 28(12) 53(24) 0.0008

ヘモグロビン(g/dL) 11±2 11±2 0.47

貧血‡ 109(46) 98(44) 0.66

CRP(mg/dL) 2.3±3.4 1.7±2.6 0.03

CRP > 3mg/dL 60(25) 36(16) 0.02

治療前ABI 0.39±0.32 0.49±0.32 0.002

治療後ABI 0.89±0.27 0.80±0.26 0.001

入院期間(日)   57±52 16±25 <0.0001

現在受けている治療アスピリンチエノピリジンシロスタゾールサルポグレラートベラプロストスタチンエイコサペンタエン酸ワルファリン ACEI/ARBカルシウム拮抗薬β遮断薬H2遮断薬プロトンポンプ阻害薬

136(57)43(18)69(29)36(15)46(19)53(22)54(23)58(24)107(45)137(58)43(18)45(19)72(30)

187(84)110(49)92(41)23(10)38(17)110(49)13(6)14(6)

125(56)173(78)44(20)32(14)74(33)

<0.001<0.00010.0060.120.51

<0.0001<0.0001<0.0001

0.02<0.0001

0.660.180.52

†: LV駆出率>40%、‡: ヘモグロビン値11g/dL

結 果

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重症虚血肢患者の鼠径下動脈病変に対するバイパス手術後と血管内治療後の臨床転帰の比較

4

のみの治療は201例(43.7%)、孤立性膝窩下病変は105例(22.8%)、および両方の病変を治療されたのは154例(33.5%)であった。両側CLIが81例(17.6%)で認められた。治療された大腿膝窩および膝窩下の動脈病変はバイパス手術群の方がEVT群よりも長く、また血管径も大きかった。バイパス手術を受けた患者は完全閉塞を有している可能性が高く、石灰化病変を有している可能性が低かった。 バイパス手術群では自家静脈グラフトが患者の70%

(166/237)で使用され、遠位バイパス手術はすべて自家静脈グラフトで施行された。EVT群では、大腿膝窩動脈病変に対してEVTを受けた患者の60%(101/172)に自己拡張型ナイチノール製ステントが使用された。バルーン血管形成術は膝窩下動脈病変に対するすべての手技で使用されたが、例外として1例はベイルアウトとして冠動脈ベアメタルステントが留置された。薬剤に関しては、スタチン、アスピリン、チエノピリジン、シロスタゾール、スタチン、ACEI/ARBおよびカルシウム拮抗薬の使用頻度はEVT群の方がバイパス手術群より高く、ワーファリンとエイコサペンタエン酸の使用頻度は低かった。 主 要および 副 次 的 転 帰 指 標

 患者群全体では、AFS転帰はバイパス手術群とEVT群間で差はなかった(3年で60.3%対58.0%、Log-rankP=0.43 ; 図2A)。救肢率と全生存率も同等程度であった(それぞれ3年で85.1%対84.2%、Log-rankP=0.91 ; 図2Bおよび3年で67.2%対69.8%、Log-rankP=0.96 ; 図2C)。30日死亡率に有意な群間差はなかった(3.8%対4.5%、P=0.71)。MALEの回避はEVT群の方が有意に低かった(3年で69.1%対51.1%、Log-rankP=0.002 ; 図2D)。MACEの回避はバイパス手術群とEVT群間で有意差はなかった(3年で61.8%対62.7%、Log-rankP=0.84 ; 図2E)。MACLE(MACE+MALE)の回避はバイパス手術群の方が有意に高かった(3年で46.9%対30.1%、Log-rankP=0.003 ; 図2F)。 すべてのエンドポイントを共変量で補正したところ(表3)、AFSに有意差はなかった(調整後ハザード比[HR]1.01 ; 95%信頼区間[CI]0.75-1.36、P=0.94)。また、救肢率(調整後HR1.19 ; 95%CI0.71-2.00、P=0.51)と全生存率(調整後HR1.28 ; 95%CI0.91-1.78、P=0.16)にEVTとバイパス手術間で有意差は見つからなかった。追跡中に死亡した患者160例のうち、死因は77例(48%)が心臓死、16例(10%)が心臓以外の血管死、および67例(42%)は心血管以外であった。心臓死と心血管死についてバイパス手術とEVT間で有意差はなかった(それぞれ50%対46%、P=0.60および60%対56%、P=0.55)。しかし、非MALEはEVT群の方が有意に低かった(調整後HR0.66 ; 95%CI0.47-0.92、P=0.01)。MACEの回避は両群で類似していたが(調整後HR1.19 ; 95%CI0.87-1.62、P=0.28)、MACLE(MACE+MALE)の回避はEVT群の方が有意に

低かった(調整後HR0.75 ; 95%CI0.58-0.97、P=0.02)。EVTはMALEの発現率と有意に関係していた。

 本試験では臨床診療におけるバイパス手術とEVTの有効性を検討した。静脈バイパスグラフトがほとんどのバイパス手術手技に使用されたが、provisional stentingはEVTにおいて大腿膝窩動脈病変に使用された。EVT群には血液透析を受け歩行不能な患者、または心血管疾患、心不全、左室機能不全がある多くの患者が含まれており、EVTは全身状態不良のため、また全身麻酔のリスクが高いために選択されている。その一方で、バイパス手術は全身状態が比較的良好で、閉塞を含めて下肢全体にびまん性病変を有する患者において、組織欠損に対して使用されている。本試験の患者はBASIL試験と比較して背景が複雑であった。その理由は、これらの患者の多くは高齢で糖尿病を有していたり、血液透析を受けている、または孤立性膝窩下動脈病変を有していたためである。 BASIL試験の結果を踏まえて作成されたガイドラインでは、余命2年以上で静脈に耐久性がある患者にはバイパス手術を選択するべきとされている7,8,15。今回の試験では、高齢(HR1.72 ; 95%CI1.23-2.41、P=0.002)、アルブミン3.0g/dL未満(HR1.70 ; 95%CI1.13-2.57、P=0.01)、血液透析(HR1.47 ; 95%CI1.05-2.05、P<0.0001)、心房細動(HR1.70 ; 95%CI1.14-2.54、P=0.009)、左室機能不全

(HR2.25 ; 95%CI1.44-3.51、P=0.0004),およびACEI/ARB(HR0.62 ; 95%CI0.45-0.86、P=0.004)が総死亡の独立した予測因子として特定された。EVTを第一選択とする戦略は、総死亡率に関連するいくつかの危険因子をもつ患者に対して、予後の視点から考慮するべきである。さらに、東らは人工透析、糖尿病、低アルブミン血症(血清アルブミン3.0g/dL未満として定義)、踵の潰瘍/壊疽、および踵を除くR6(Rutherford category 6)は、バイパス手術を受けたCLI患者における創傷治癒前の大切断や死亡の独立した予測因子であることを発見した16。バイパス手術の2年後に測定されたAFSは低アルブミン血症を有する透析患者で特に低く(約30%)、生存予後が不良な患者や創傷の改善が見込めない患者への第一選択治療として、EVTや一次切断術を考慮するべきである。 今回の試験における外科的または血管内血行再建術後の創傷管理に関して、手術が施行された施設の術者が引き続きバイパス手術で治療された患者の創傷管理に携わった点(血行再建術から創傷治療までの総合的管理)に注目すべきである。その一方で、ほとんどのEVTの症例では、血行再建術が施行された施設の形成外科医もしくは血管外科医が近医と協力して創傷管理にかかわった(血行再建術と創傷治療の分離

考 察

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重症虚血肢患者の鼠径下動脈病変に対するバイパス手術後と血管内治療後の臨床転帰の比較

5

バイパス手術群n=237(%)

EVT群n=223(%)

未調整ハザード比(95%CI) P値 調整ハザード比

(95%CI) P値

主要エンドポイントAFS 106(45) 96(43) 0.89(0.68–1.18) 0.85 1.01*(0.75–1.36) 0.94

2次エンドポイント救肢全生存MALE MACEMACLE

33(14)88(37)71(30)102(43)141(59)

28(13)72(32)94(42)87(39)154(69)

1.28(0.85–1.92)0.90(0.70–1.15)0.73(0.56–0.95)0.97(0.73–1.30)0.71(0.56–0.89)

0.240.40.020.840.003

 1.19†(0.71–2.00)1.28‡(0.91–1.78)0.66**(0.47–0.92)1.19***(0.87–1.62)0.75****(0.58–0.97)

0.510.160.010.280.02

表3 主要エンドポイントと副次エンドポイントの結果�

図2� 主要エンドポイントと副次エンドポイント

0日 30日 1年 2年 3年バイパス

手術No. at risk 237 225 180 135 91

% 100 94.9 79.1 67.1 60.3血管内治療

No. at risk 223 209 154 113 62% 100 93.7 76.0 65.7 58.0

0日 30日 1年 2年 3年バイパス

手術No. at risk 237 229 196 144 100

% 100 96.6 86.7 73.0 67.2血管内治療

No. at risk 223 213 173 132 80% 100 95.5 86.1 76.9 69.8

0日 30日 1年 2年 3年バイパス

手術No. at risk 237 224 189 137 95

% 100 94.5 83.7 69.1 61.8血管内治療

No. at risk 223 208 166 124 75% 100 93.3 82.5 71.7 62.7

0日 30日 1年 2年 3年バイパス

手術No. at risk 237 225 180 135 91

% 100 97.9 89.9 86.6 85.1血管内治療

No. at risk 223 209 154 113 62% 100 98.1 88.4 85.9 84.2

0日 30日 1年 2年 3年バイパス

手術No. at risk 237 205 150 110 77

% 100 89.4 74.5 69.1 69.1血管内治療

No. at risk 223 198 113 74 39% 100 93.2 62.9 55.3 51.1

0日 30日 1年 2年 3年バイパス

手術No. at risk 237 200 145 106 74

% 100 84.4 63.9 52.3 46.9血管内治療

No. at risk 223 193 109 70 36% 100 86.5 53.0 39.2 30.1

100

80

60

40

20

0

非切断生存(AFS)(%)

0 1 2 3血管形成術後の経過期間(年)

非切断生存(AFS)A

Log-rank p=0.43

バイパス手術群(n=237)

EVT群(n=223)

100

80

60

40

20

0

全生存(%)

0 1 2 3血管形成術後の経過期間(年)

全生存C

Log-rank p=0.96

バイパス手術群(n=237)

EVT群(n=223)

100

80

60

40

20

0

MACEの回避(%)

0 1 2 3血管形成術後の経過期間(年)

MACEの回避E

Log-rank p=0.84

バイパス手術群(n=237)

EVT群(n=223)

100

80

60

40

20

0

救肢率(%)

0 1 2 3血管形成術後の経過期間(年)

救肢率B

Log-rank p=0.91

バイパス手術群(n=237)

EVT群(n=223)

100

80

60

40

20

0

MALEの回避(%)

0 1 2 3血管形成術後の経過期間(年)

MALEの回避D

Log-rank p=0.002

バイパス手術群(n=237)

EVT群(n=223)

100

80

60

40

20

0

MACLEの回避(%)

0 1 2 3血管形成術後の経過期間(年)

MACLEの回避F

Log-rank p=0.003

バイパス手術群(n=237)

EVT群(n=223)

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重症虚血肢患者の鼠径下動脈病変に対するバイパス手術後と血管内治療後の臨床転帰の比較

6

管理)。これは、インターベンション専門施設で治療されたCLI患者(特に組織欠損がある患者)で、EVTの目標が根治的治癒であるケースで、血行再建術が成功した後に創傷治療とリハビリの専門医を含めた分野横断的チームを結成することで、バイパス手術と同等の効果が得られる可能性があることを示唆している。 初回EVT群における再血行再建術の発生率は初回バイパス手術群よりも有意に高かったが、観察期間中の初回EVT群のバイパス手術への移行(コンバージョン手術)は13.9%

(31/223)で、これは初回バイパス手術群のコンバージョン手術(12.7%)と類似していた(P=0.69)。BASIL試験では、血管形成術群のコンバージョン手術は22%で、今回の試験より高かった。今回の試験でコンバージョン手術の発生率が低かったのは、ステントがベイルアウトに使用され、EVTが再血行再建術に選択されたためであった。さらに、BASIL試験では、EVTが失敗した後のバイパス手術におけるAFSの転帰は初回バイパス手術のものより不良であった9。今回の試験では、EVTが失敗した後にバイパス手術を受けた被験者23例におけるAFSは、1年後が69.6%、3年後が56.5%で、初回バイパス手術群の被験者237例(P=0.69、Log-rank検定)およびEVT成功群の被験者200例(P=0.91、Log-rank検定)と有意差を示していない。また、EVT失敗はAFSの有害な予後因子ではなかった(HR1.10 ; 95%CI0.56-2.15、P=0.78)。EVTが失敗または不適切であった後のバイパス手術群の救肢率は、1年後が90.2%、3年後が90.2%で、初回バイパス手術群(P=0.67、Log-rank検定)およびEVT成功群(P=0.53、Log-rank検定)と有意差を示していない。また、EVT失敗は救肢率の予測因子ではなかった(HR0.69 ; 95%CI0.17-2.80、P=0.60)。これはバイパス移行までの期間(中央値42日 ; 四分位範囲3-123日)が短かったためと考えられる。患者の半数で、EVT失敗から3週間以内にバイパス手術が施行された。迅速な判断は容認できる転帰に寄与する可能性がある。 初回EVT群の初回手技時間は初回バイパス手術群よりも短く(78分±33分対289分±114分、P<0.0001 ; 表2)、初回入院期間も有意に短かった(16日±25日対57日±52日、P<0.0001 ; 表1)。医療費は今回の試験では検討されなかった。 BASIL試験では、バイパス手術群の初回費用は高かったが、EVT群の費用は観察期間が延長された時に増加した17。EVT群の多くの患者は再血行再建術を受けるため再入院

し、これが後期における費用が増大した理由の一つと考えられる。近年、鼠径下病変に対する薬剤溶出ステントと薬剤コーティングバルーンが再狭窄予防効果を有することが示されている18-22。このような新しいデバイスの開発は、再入院と再血行再建術の費用の減少に寄与する可能性がある。したがって、観察期間全体の治療成績と医療費の評価には、今後、従来の療法や新しいデバイスを用いたEVTなどの戦略を比較する必要がある。 試 験 の 限 界

 今回の試験にはいくつか限界があった。一つ目は、これが多施設共同試験であるにもかかわらず後向き解析を用いた点である。二つ目は、調整後因子が事前に規定され、臨床的に妥当と思われたが、これらの変数は根拠がない。三つ目は、試験は日本人患者で実施され、筋肉の量や体格が異なるほかの人種でも類似した結果が得られるかどうかは不明である。さらに、文化的、社会的または経済的な因子が重要かもしれない。最後に、今回の結論はびまん性病変や血管のrun-offのような解剖学的構造が複雑な患者には適用できない可能性があり、これらは本試験で評価されなかった。しかし、石灰化病変や完全閉塞の存在等の解剖学的因子の頻度のばらつきは、比較解析において調整された。さらに、心血管イベントを予防するためのスタチンや抗血小板薬のような重要な薬剤は、一見したところ十分に活用されなかった。これらの治療法がより多く活用されていたらバイパス手術とEVTのどちらも長期的転帰に影響を及ぼした可能性がある。

 鼠径下動脈疾患を有するCLI患者への実地診療における初回血行再建術としてのEVTまたはバイパス手術について、AFS、救肢率および全生存率等の臨床転帰は類似していた。しかし、MALEの頻度は、特に再血行再建術はEVT群の方がバイパス手術群に比べて有意に高かった。これらから、EVTを受けたCLI患者でのMALEの高い発生率については今後の検討事項であるが、鼠径下疾患によるCLI患者においては、EVT-firstの血行再建術後の重篤有害事象はバイパス手術後に比べて容認できるように思われたことを示唆している。

結 論

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製品のご使用にあたっては、添付文書をご確認ください。本稿は、原報の全訳です。

■ 販売名 : SMARTステント  ■ 承認番号 : 22500BZX00195000

S.M.A.R.T.® Long 浅大腿動脈用スマートステント

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