ビジネスreモデル 1

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そのビジネスモデル ちょっと古くない? 黒谷ひかり

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そのビジネスモデル ちょっと古くない?

黒谷ひかり

Page 2: ビジネスReモデル 1

はじめに

響きのいい言葉、聞こえのいい言葉というのがあって、「ビジ

ネスは何をやるかよりも、誰とやるかが重要だ」なんかは、まさらにそれでしょう。社長や役員ともなれば、ちょっとしたセミナーやインタビューで、かっこいい言葉の一つや二つでも発言したいものです。

ですが、これを使ってサマになるのは、すでに成功を勝ち取り

ちょっとしたカリスマ的な存在である必要があります。そうでない人は、「ビジネスは何をやるかも、誰がやるか、どうやるか、すべて重要だ。」そんな考えを持っていないと、成功はつかめません。特に中小企業の場合は、様々な競争環境の中、いかにうまく舵を取り進んで行くかを考えないと、嵐に飲まれるか遭難するか、そんな航海になってしまいます。

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はじめに

同業種でみると、大企業のほうが利益率の良いビジネスを

行っているのですが、大抵どの業種にも大企業の平均をはるかに上回る利益率を叩きだしている中小企業が存在しています。間違いなく彼らは、うまい商売をしています。

うまい商売とは、もちろん「誰とやるか」ではなく、「何をやるか、誰がやるか、どうやるか」です。本資料では、中小企業を対象に、既存事業のビジネスモデルを変化させる、つまりビジネスReモデルすることで、これまで以上の利益を生み出すことを目指しています。これまで大事に育ててきたビジネスに、ちょっとメスを入れてあげる、そんな感じです。

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はじめに

今の事業には自負がある、思いもある、けれども業績は悪くな

る一方だ、利益率も年々下がっている。そんな中小企業は、是非、今一度自社のビジネスモデルについて考えてみてください。これまでは利益をもたらし、従業員に飯を食わせ、顧客に必要とされてきたビジネスです。何かを変えれば、必ず改善の兆候が見えてきます。

そのためのお手伝いとして、本資料ではビジネスReモデルの

ためのいくつかのプロセスについて、実際の身近なビジネスを多く取り上げて説明しています。自社の場合はどうなのかをイメージしながら確認していただけることでしょう。最終的には自社のビジネスReモデルについて、頭の中がいっぱいな状態になっていれば幸いです。

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目次

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はじめに

1 ビジネスモデル的雑談 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 005

2 生き残るためには変化が必要 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 017

3 なぜビジネスモデルなのか? ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 028

4 どうすればReモデルできるか ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 044

5 ビジネスモデルを見える化する ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 088

6 他にも考える事はある ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 099

7 最後に ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 126

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1 ビジネスモデル的雑談

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はじめに

1 ビジネスモデル的雑談

2 生き残るためには変化が必要

3 なぜビジネスモデルなのか?

4 どうすればReモデルできるか

5 ビジネスモデルを見える化する

6 他にも考える事はある

7 最後に

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1 ビジネスモデル的雑談

なくなってゆくビジネス

• そういえば、17,8年前はポケベルなんてありましたね。

• そのころの携帯は「ただ持ち歩き気出来る電話」で、そりゃお粗末な画面でした。

• データ通信と電話で棲み分けが出来ていたと思っていたのもつかのま、携帯は進化を遂げ、ポケベルは業界ごと無くなってしまいました。

• 今私の目の前に、ノートパソコン、モバイルパソコン、 スマートフォン2台。

• これらが無くなるなんてことは、今のところイメージできませんが・・・

• 時代とともに、無くなるもの。

• 何でしょう?

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1 ビジネスモデル的雑談

なくなってゆくビジネス

• 家の近くのガソリンスタンドが閉鎖しました。

• 立地の問題、サービスの悪さ・・・? それとも原油高騰?

• これから電気自動車の時代がいずれくるでしょう。

• ガソリンスタンドは、充電スタンドに変化するべきでしょうか?

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1 ビジネスモデル的雑談

なくなってゆくビジネス

• 電気自動車の充電時間は、普通充電で数時間、急速充電でも数十分、スタンドでこれだけ足止めされたら使う気になれせん。

• だとしたら、スーパー、パチンコ、ホテルといった駐車場に停めている間に充電できるほうが便利だと思います。

• ということは、これらの業界には、あらたなビジネスに参入するチャンスがあるとみるべきでしょうか?

• それでも誰かが初めに、付帯サービスとして「無料充電」をやり出したら、あっと言う間に価格競争ですね。

• さて、ガソリンスタンド、今後どうなることでしょう・・・

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1 ビジネスモデル的雑談

同業でも他社は他社

• つぎは、「ブックオフ」と「まんだらけ」。

• どちらも中古書籍の販売店です。

• ちょっとこの2社について、ビジネスモデル的な雑談でもしてみましょう。

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1 ビジネスモデル的雑談

同業でも他社は他社

• ブックオフは、大規模資本を武器に全国展開を行い、ビジネスを拡大させています。

• かつての古本屋のイメージを変えたのは間違いなく、ブックオフです。立ち読みOK、広く明るい空間、大量陳列、女性でも入りやすい等など。

• それだけでなく、パートやアルバイトでもできる簡単査定の買い取りオペレーションは有名なところで、更には大規模店舗のスピード出店も注目すべき部分とされています。

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1 ビジネスモデル的雑談

同業でも他社は他社

• これら(だけではありませんが)のノウハウを活かし、ブックオフは2012年時点でも売上を伸ばし続けています。

• しかしながら、売上の増加にもかかわらず、2007年頃から利益が伸びていない事がわかります。

• 何か、環境に変化があったはずです。

• 出版業界の締め付け?

• ん~わかりません。他は・・・

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1 ビジネスモデル的雑談

同業でも他社は他社

• アマゾンの台頭は無視できないでしょう。

• 通常は規模を大きくすれば効率が上がり、売上拡大とともに利益率も上がる、つまり規模の経済が働くはずなのですが・・・

• アマゾンという存在、つまり外的要因の大きな変化が、これまでのビジネスのやり方に影響を与えているということでしょうか・・・

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それによって、利益は伸びていない?

アマゾンの存在が・・・

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1 ビジネスモデル的雑談

同業でも他社は他社

• ブックオフは今でも出店を続けていますが、一般的には競合が存在すれば、店舗当たりの売上金額は減少します。

• 出店に伴う経費は、競合の有無に関わらず変化しませんから、当然利益率は下がります。

• つまり、店舗数拡大による利益拡大のモデルが成立しなくなっているということです。

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1 ビジネスモデル的雑談

同業でも他社は他社

• どうすれば、利益を増やすことができるでしょう?

• 販売数が減少しているということは、おそらくお客様が減っているということでしょう。

• ですから、単価を上げる方法しかありません。(短絡的ですが、ここではそういうことにしてください)

• 買い取り査定方法はともかく、販売価格を見直す方法がありそうですね・・・

• 価値のあるものをより高く売る、当たり前ですがそんなやり方が、ブックオフの利益率改善の方法の一つであることは確かです。 (せどりをするセドラーたちは、ブックオフで仕入れてアマゾンで高く売っている)

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1 ビジネスモデル的雑談

同業でも他社は他社

• 「まんだらけ」は、古書のほか、おもちゃやコスプレ衣装も扱っています。ジャンルはサブカルチャーとマニア向けの商品がメインになっています。

• 商品仕入れである買い取り査定には、その道に深い造詣が必要となり、「ブックオフ」とは一線を画しています。

• マニア物の流通チャネルを創った意義は大きく、ニッチ層の心をうまくとらえ、ビジネスとして確立しました。

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1 ビジネスモデル的雑談

同業でも他社は他社

• まんだらけの取り扱い商品はレアものが多く、確実な量の仕入れが計画的にはいかないこともあるでしょう。

• 当然、需給の調整が難しくなり、運営上の課題となります。

• また、ターゲットである顧客は都会に住むことが多いことなどを考慮すると、ビジネス拡大のために地方にスピード出店、というのは無いでしょうね。

• そもそも、マニアを育てマニアに育てられるのが、まんだらけの従業員です。一朝一夕では、プロ、いやマニアは育ちません。

• 素人ばっかりの店員でも運営が成立するは・・・ブックオフでしたね。

• まんだらけのビジネスは今のところ、堅調に推移しています。

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2 生き残るためには変化が必要

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はじめに

1 ビジネスモデル的雑談

2 生き残るためには変化が必要

3 なぜビジネスモデルなのか?

4 どうすればReモデルできるか

5 ビジネスモデルを見える化する

6 他にも考える事はある

7 最後に

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2 生き残るためには変化が必要

変化しなくても生き残れる!?

• よくビジネス書で書いてありますよね、これ。

• 正しいんです。絶対に正しいんです。

• ですが、本当にそうなんですかね?

• 少しだけ疑念が残ります。

• というのは、世の中に100年以上続いている企業って結構あるんです。

• 老舗って呼ばれるところですよね。

• 老舗=伝統=頑固な職人=変わらないもの

• 「生き残るには変化しない」も、正しいのではないでしょうか?

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2 生き残るためには変化が必要

変化しなくても生き残れる!?

• 羊羹の「虎屋」。

• 1520年代に創業、なんと500年企業です。

• この老舗中の老舗企業が、時代によって羊羹の味を変えているそうです。

• 虎屋の社長いわく、「変えるもの変えないもの」これをはっきりさせるんだそうです。

• そして「味」は変えるもの。

• 変えないのは、「感謝の気持ち」だそうです。

• 誰に?もちろんお客様です。だから、お客様が変われば、お客様の口に合うように、味を変えるんですね。

• 老舗も変わる。どうやら「生き残るには変化しない」は間違いのようです。

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2 生き残るためには変化が必要

変化しなくても生き残れる!?

• そもそも、生き残るとは、事業を継続させるということです。

• それは、顧客への責任であり、社会や取引先に対する責任であり、株主や従業員に対する責任でもあります。

• その責任を果たしたくても果たせない企業は・・・ 3年後には4割

5年後には5割

8年後には6割

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会社(個人事業主は除く)の経過年数別生存率 (経済産業省工業統計表から加工)

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2 生き残るためには変化が必要

会社がつぶれる理由

• なぜ倒産するのでしょう?

• 不況だとか何だとか言ってはいますが、具体的な中小企業の倒産理由を見てみると、

• 販売不振が約75%を占めます。

• つまり「商品が売れない」ということのようです。

21 資 料:東京商工リサーチ(http://www.tsr-net.co.jp/)調べ、から作成

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2 生き残るためには変化が必要

会社がつぶれる理由

• これを、不景気だから=外的要因と言うのは簡単です。

• しかし、商品が売れない理由を紐解いていけば、マーケティングの失敗、商品力の低下、営業力の低下、顧客満足度の低下・・・

• などなど、内的な要因が販売不振の真の原因かもしれないということです。

• 残りの25%のほとんど(放漫経営、既往のしわよせ、信用性低下、設備投資過大)も、内的な要因です。

• これらを発生させなければ、おそらくもっと長く存続していたか、場合によっては倒産にいたることはなかったでしょう。

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2 生き残るためには変化が必要

会社がつぶれる理由

• これらの要因を発生させたのは、一体誰でしょうか?

• 自分の休みの日、何もせずにボーとしていても社会は動いています。

• そうして、社会や環境、顧客の意識や嗜好、顧客そのものが、めまぐるしく変わっています。

• だから自分が何もせずとも、自分と顧客、自分と社会の間には差異(=ずれ)が生じます。

• ずれが生じた男女が長く続かないのと同様、企業も顧客や社会とずれが生じてしまえば、長く続かないものです。

• 何もしないこと、変わらないことは、それ自体が倒産の大きな要因になるのです。

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Page 25: ビジネスReモデル 1

2 生き残るためには変化が必要

何を変えれば生き残れるのか

• では、何を変えればいいでしょう?

• ブックオフがアマゾンの存在を消し去ることはできません。

• 恋愛であれば相手の性格や嫌いな部分を変えてもらうのは容易いことではありません。

• まして、お客様や社会を変える事なんて到底できません。

• だから、内部を変えるんです。

• つまり自分=自社を変えるんです。

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2 生き残るためには変化が必要

何を変えれば生き残れるのか

• 自社の何を変化させればよいでしょうか? 仕入先?

販売チャネル?

商品?

顧客?

業務プロセス?

従業員?(思い切って社長?)

• そうです、正解です。全部正解です。

• 自社の何を変えれば外部とのずれが生じないのか、答えは一つではありません。

• 何を変えるべきなのかは、自社のビジネスの仕組み上のどこかに正解があるはずです。

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Page 27: ビジネスReモデル 1

2 生き残るためには変化が必要

何を変えれば生き残れるのか

• 変えるという事を、拡大解釈しないでください。

• 自社のビジネスそのものを変えてしまえと、新規ビジネス立ち上げ、多角化と、やたらと新たなチャレンジに走る前に、やることは必ずあります。

• そもそも、お客様や社会は、ちょっとづつしか変わりません。

• ある日突然、世の中が180度変わるなんてことは、我々の社会にはそうはありません。

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Page 28: ビジネスReモデル 1

2 生き残るためには変化が必要

何を変えれば生き残れるのか

• ちょっとづつのずれが蓄積して大きくなって、手の施しようが無くなる前に、正しく既存事業を修正してあげましょう。

• 新規ビジネス立ち上げの手間、リスク、コストのほうが、はるかに大きいのは、言うまでもありません。

• これまで得意としてきた既存ビジネスで、変化を起こせないようなら、新規ビジネスなんて到底成功しませんから・・・

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