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世界経済論 (2018年度後期) 京都大学公共政策大学院 京都大学大学院経済学研究科 岩本 武和 ・テキスト:岩本武和『国際経済学 国際金融編』ミネルヴァ書房,2012・講義資料:http://www.econ.kyoto-u.ac.jp/~iwamoto/ 1

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Page 1: PowerPoint プレゼンテーションiwamoto/cgi-bin/wp/wp-content/...prudential policies 等となる。 • プッシュ要因が引き金であれば、FRBの政策金利の引き上げ

世界経済論(2018年度後期)

京都大学公共政策大学院京都大学大学院経済学研究科

岩本 武和

・テキスト:岩本武和『国際経済学 国際金融編』ミネルヴァ書房,2012年

・講義資料:http://www.econ.kyoto-u.ac.jp/~iwamoto/

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Page 2: PowerPoint プレゼンテーションiwamoto/cgi-bin/wp/wp-content/...prudential policies 等となる。 • プッシュ要因が引き金であれば、FRBの政策金利の引き上げ

1 10月4日イントロダクション:「リーマンショック10年後のグローバル・マネー(1)」

2 10月11日国際資本移動(資本フロー)の見方:グロスとネット

3 10月18日国際投資ポジション(一国の対外バランスシート)の見方:グロスとネット

4 10月25日「リーマンショック」(2008)とは何だったのか?5 11月1日このビデオについてのディスカッション

6 11月8日為替レートの決まり方(変動相場制)のケースと「トリレンマ」「資本の自由化」(は漸進的に)

7 11月15日為替レートの決まり方(固定相場制)のケースと外貨準備「為替の自由化」(は行うべき)

8 11月22日「アジア通貨危機」(1997)とは何だったのか9 11月29日このビデオについてのディスカッション

10 12月5日国際通貨システム

11 12月12日ブレトンウッズ体制

12 12月19日ドル本位制

13 12月26日経済統合とEU

14 1月10日ユーロと「欧州債務危機」15 1月17日まとめ:「リーマンショック10年後のグローバル・マネー(2)」

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「国際金融論」と「世界経済論」の位置づけ• 「国際金融論」:「国際マクロ経済学」の理論

・Krugman,P., M.Obstfeld and M.Melitz, International Economics(11th Edition), Pearson,2017(第10版の翻訳あり、丸善出版)

・Part3:Exchange Rates and Open-Economy Macroeconomics・岩本武和『国際経済学 国際金融編』ミネルヴァ書房,2012年, 第2部+第3部

• 「世界経済論」:歴史・制度・現状、金本位制からブレトンウッズ• Krugman,P., M.Obstfeld and M.Melitz, International Economics (11th

Edition), Pearson,2017(第10版の翻訳あり、丸善出版)• Part4:International Macroeconomic Policy• 岩本武和『国際経済学 国際金融編』ミネルヴァ書房,2012年, 第1部+第4部

Page 4: PowerPoint プレゼンテーションiwamoto/cgi-bin/wp/wp-content/...prudential policies 等となる。 • プッシュ要因が引き金であれば、FRBの政策金利の引き上げ

リーマンショック10年後のグローバルマネー(1):金融の出口政策と新興国、とくに中国の対応

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イントロダクション

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Ⅰ.はじめに:新興国からの資本流出• 主要30の新興国への資本流入は、2015年に前年から50%減少、ネットで

5400億ドルの流出。• 国別では、中国が過去最大で4350億ドルの流出であり、長年ネットで資

本の流入国であったのが、2014年後半以降、ネットで流出国となった。韓国:740億ドル、マレーシア:330億ドル、タイ:220億ドル。

• 新興国からの、流出超は1988年以来27年ぶりのこと、一見すると、アジア通貨危機直前の様相を呈しているが、新興国の外貨準備高は過去15年で11倍に増えた。企業の借り入れも期間の長い融資比率が増え安定性が増しており、1997年のような通貨危機には至らないと見られている。

• ただし、IMFは、FRBによる利上げといった対外的な要因で発生しうる通貨危機を未然に防止し、国内の構造改革を条件としない資金供給を行う新しい通貨協定を導入する見込み。

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図1 新興市場への資本フロー

資料: IIF, Capital Flows to Emerging Markets, June 5, 2017

資金流入

資金流出

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IIF, April 7, 2016

図2 中国への資本フロー資金流入

資金流出

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米国のFF金利

◀リーマンショック

18年6月1.75%-2.00%

図3 FRB出口戦略(政策金利の引き上げ)

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「対外的なプル要因」(external [global] ‘pull’ factors)vs「国内的なプル要因」(domestic ‘push’ factors)

• 国際的な資本フローを引き起こす要因(drivers of capital flows)または決定要因(determinants)には、

①流出国(host countries)サイドの「押し出し要因」(push factors)=「プッシュ要因」は、対外要因ないしグローバル要因

②流入国(recipient countries)サイドの「引き付け要因」(pull factors)=「プル要因」は、国内要因

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プル要因とプッシュ要因:要因分解• 世界金融危機後の2010年以降2017年9月までに流入した証券

投資3100億ドルのうち、• 国内の「プル要因」はわずか500億ドルに過ぎず、• FRBによる非伝統的金融政策という「プッシュ要因」による

ものが2,600 億ドル、このうち、1,700 億ドルが量的緩和策によるものであり、残りの 900 億ドルは政策金利に対する市場の予測よる影響と試算。

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プッシュ要因とプル要因:policy responseの違い• テーパー・トランタム(*)の時期に問題視された「フラ

ジャイル・ファイブ」、また2018年8月に通貨下落が著しく政策金利の大幅利上げを迫られたト「ルコ・アルゼンチン・インドネシア」という3国について、

• それが当該国の内生的なプル要因(例えば、高インフレ率、経常収支赤字、対外債務に頼る脆弱なマクロ経済構造)が引き金(driver)となっていれば、その政策的対応(policy response)は、新興国のimproving institutions, deepening financial markets, and enhancing macroeconomic and prudential policies等となる。

• プッシュ要因が引き金であれば、FRBの政策金利の引き上げやバランスシートの縮小などの「正常化」の規模やスピード感などが問題となる。

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(*)テーパー・トランタム• 米国では、7年間のゼロ金利政策(2008年12月~2015年12月、政策金利を0-

0.25%に据え置くというZero interest-rate policy (ZIRP))に追加して、– QE1(2008年11月~2010年6月、1兆7250億ドル)、– QE2(2010年11月~2011年6月、6000億ドル)– QE3(2012年9月~2014年10月、月額400億ドル)

• といった量的緩和政策(quantitative easing)という非伝統的金融政策(UMP:unconventional monetary policy)を行ってきた。

• その最中の2013 年5 月の議会証言で、FRB のバーナンキ議長(当時)はQE3 の規模を縮小する可能性があると発言し、さらに、6 月の連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見で、QE3 を「いつ、どのように終らせるか」という出口戦略に言及した。

• バーナンキ議長の発言は、世界の金融市場に大きな衝撃を与え、株価暴落などを引き起こしたことから、緩和縮小(tapering)の示唆による市場の癇癪(tantrum)という意味で「テーパー・タントラム」(taper tantrum)と呼ばれるようになった。

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順調に見える中国の対外的な経済進出?• これまで中国は、経常収支黒字と外貨準の増加を背景に、中国投資有限

責任公司(CIC)など政府系投資ファンド(SWF)を設立、政府主導の対外投資を進めてきた。

• また、2009年からは「人民元の国際化」を進め、2016年には、IMFの特別引き出し権(SDR)の5番目の構成通貨となり、構成比率だけから見ると、人民元は、英ポンドと日本円を抜いて、米ドルとユーロに次ぐ世界第3位の通貨となった。

• さらに、2013年には、陸と海のシルクロードという2つの地域で、インフラストラクチャー整備し貿易と投資を促進する「一帯一路」構想を提唱し、2016年にはアジアインフラ投資銀行(AIIB)を開業させ、一帯一路構想に必要なインフラ資金を供給する体制を整えた。しかし…3つの過剰問題「過剰設備」=「過剰在庫」・「過剰労働力」・「過剰債務」=「政府」と「企業」=

国有企業と国有銀行)14

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Ⅱ. 中国の国際収支構造の変化:消滅した「双子の黒字」1. 2007年まで:経常収支黒字+資本の純流入という「双順差」(双子の黒字)

変動相場制ならば外貨(ドル)が外為市場で売られてドル安・元高となるはず。しかし、ドルペッグ制が採用されていたので、外貨(ドル)は市場ではなく通貨当局に売られ(いわゆるドル買い・元売りの市場介入)、膨大な外貨準備が蓄積。

2. 2008年~2013年:経常収支黒字の激減を補うネットでの民間の資金流入→外貨準備増加幅の減少。2008年のリーマン・ショックは、中国にも例外なく冷水を浴びせ、外需に依拠してきた中国経済が減速し(China’s Economic Slowdown)、それに長らく悩まされることになった。この時期の経常収支黒字の縮小を補ったのが、民間資金のネットでの流入増加であった。同じ「双順差」と言っても、「経常収支黒字の激減+資本流入の激増」という構造に変化。

3. 2014年~2016年:経常収支黒字はやや増加に転じたものの、資本流入は激減し、2015年にはついにネットで資本流出。「双順差」から「一順一逆」への大きな変化。それは、中国に投資してきた非居住者が投資を引き揚げたことが大きな要因その結果、それまで増加を続けてきた外貨準備も減少しはじめた。

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図4 中国の国際収支の推移

経常収支 金融収支(外貨準備増減除く) 外貨準備増減 誤差脱漏

資金流出(外貨準備増加)

2.資本流入の増加→外貨準備の増加

1.経常収支の黒字→外貨準備の激増

3.資本流出の激増→外貨準備の激減

4.常態への復帰?

資金流入(外貨準備減少)

一順一逆

国家外貨管理局(SAFE)より作成

億ドル

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Ⅲ. 人民元レートの推移と中国からの資本流出1. 2005年7月に通貨バスケットを参考に調整する管理変動相場

制に移行するまで、人民元は1ドル=8.28元で事実上固定。2. 管理変動相場制に移行してから、リーマン・ショック前まで

には、1ドル=6.83元まで切り上がり、リーマン・ショックを契機に2010年5月まで、この水準で事実上再固定されていが、その後はさらに1ドル=6.23元まで切り上がった。

3. 2015年8月11日に、「中国経済の減速」を「輸出の振興」によって補うべく、人民元の対米ドルでの基準値を対前日比1.8%の切り下げを実施(8.11 匯改)。

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2018

Q1

図5 人民元レート(対ドル相場)の推移

International Monetary Fund, International Financial Statistics

RMB per USD

$1=8.28RMB

$1=6.83RMB

$1=6.23RMB

切り上げ

切り上げ

切り下げ

リーマンショック期

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Ⅲ.中国の資本フロー• リーマン・ショック時を除いて、中国の居住者は対外資産の購入を増加、こ

れは中国の対外投資の増加として、グロスの資本流出は増加傾向。しかし、中国のような新興諸国は、外国からの借り入れが大きく、中国の場合も、リーマン・ショック時を除いて、外国人による中国資産の購入が増加。グロスの資本流入の方が大きい。(ネットで資本流入)

• ただし、近年では、2012年と2014年は、グロスの資本流入が対前年に比べて大きく減少し、逆にグロスの資本流出が対前年に比べて大きく増加したことから、ネットで資本流出となった。

• しかも、2015年には、グロスの資本流入さえマイナスとなり、ネットでの資本流出が大きく増加した。グロスの資本流入がマイナスとなるのは、外国人による中国資産の購入より、その売却の方が大きいことを意味している。

• 2016年も、やや減ったとは言え、金融収支は4170億ドルの純流出(2015年は4360億ドルの純流出)が続いており、外貨準備も4440億ドルと大幅な減少(2015年は3230億ドルの減少)が続いている 。

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グロスの資本フローGross Capital Inflows

=net purchase of domestic assets by non-residents= purchases by non-residents of domestic assets

less their sales of such assets

Gross Capital Outflows=net purchase of foreign assets by residents=purchases by residents of foreign assets

less their sales of such assets

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億ドル 中国の国際資本フロー

居住者によるグロスの資本流出 非居住者によるグロスの資本流入ネットの民間金融収支 外貨準備増減

外貨準備の減少

資本の純流出

国家外貨管理局(SAFE)より作成 21

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中国の金融収支の内訳

直接投資 証券投資 その他投資 外貨準備増減

億米ドル

その他投資(流出)

外貨準備減少

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「その他投資」(現・預金)のネットでの流出• ネットの資本フローを項目別で見ると、最も流出額が大きいのは、

「その他投資」(現・預金)である。「その他投資」の純流出額は、2014年で2788億ドル、2015年は4340億ドル、2016年では3035億ドルとなっている。

• グロスの資本フローを項目別で見ると、グロスの「その他投資」は、2013年には2142億ドルの流入だったのが、2014年には502億ドルの流入に激減し、2015年には3515億ドルのマイナスの流入(非居住者による現・預金の売却)、2016年にはプラスに回復したものの301億ドルの流入にとどまっている。

• これが具体的に意味するのは、「人民元の国際化」の推進役であったはずの「オフショア人民元(CNH)」預金の非居住者による取り崩しと、オフショア銀行による「オンショア人民元(CNY)」預金の引き出しであった。

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Ⅳ. 人民元の国際化(Internationalization of RMB)背景

1. 2008年9月のリーマン・ショック以降のグローバルな金融危機を受けて、中国からの輸出は減速し、輸出企業の直面する人民元レートの為替リスクを回避するために、人民元建て貿易決済の導入が目指された⇒決済通貨としてのRMB:RMBのクロスボーダー決済+オフショア人民元の創設

2. ドルの国際通貨としての信認が問われるようになり、中国が外貨準備として蓄積したドル資産は大きなリスクにさらされることになった。これをきっかけに、中国政府は、人民元の国際化を積極的に進めるようになった⇒資産通貨+準備通貨としてのRMB:RMBのSDRへの組み込み

そのためにまず、貿易決済通貨として人民元が使われるような改革が行われた。

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人民元の国際化(SDRへの組み込み)• 2009 年3月23日に、周小川・中国人民銀行(PBOC)行長「国際金融システ

ム改革に関する思考」(Reforming the International Monetary System)」と題する論文の中で、国際金融システムの安定の観点から、人民元のSDR 構成通貨入りの意向を表明した(Zhou, 2009)。

• 2016年10月1日:人民元はIMFの特別引き出し権(SDR)の5番目の構成通貨• SDRバスケットの比率は、

• 米ドル(41.9%→41.73%)• ユーロ(37.4%→30.93%)• 英ポンド(11.3%→8.09%)• 日本円(9.4%→8.33%)• 中国元(0%→10.92%)

• 構成比率だけから見ると、英ポンドと日本円を抜いて、米ドルとユーロに次ぐ世界第3位の通貨となった 25

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Ⅴ. クロスボーダー人民元建て決済とオフショア人民元(CNH)市場

• 2009年7月1日から、上海と広東省の4都市(広州、深圳、珠海、東莞)で、クロスボーダー人民元建て貿易決済(cross border RMB settlement)が開始された。

• 2010年7月19日、中国人民銀行(PBOC)と香港金融管理局(HKMA)の間で、人民元業務に関する協力の覚書を締結し、香港の銀行に人民元建てサービスを認めたことから、本格的にオフショア人民元(CNH)市場が立ち上がった。

• 最大のCNH市場である香港をはじめ、マカオ・台湾に続き、2017年6月現在ではシンガポール、ロンドン、フランクフルト、ソウル、パリ、ルクセンブルクなど23の国・地域において、中国系銀行一行が現地の人民元取引決済銀行に指定されている。

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Billion yuan Trade in services and othersTrade in goods

クロスボーダー人民元建て貿易決済(cross border RMB settlement)

PBoC, China Monetary Policy Report Q2, 2017 (August 11, 2017)27

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何のためのオフショア人民元(CNH)?• 例えば、日本のA銀行の香港支店が香港でオフショア人民元(CNH)預金業

務を認可され、日本のX企業がA銀行香港支店にCNH預金口座を開設したとしよう。こうして、X企業の中国企業との取引によって生じた受取りと支払いは、A銀行香港支店内のX企業のCNH預金口座で、全て人民元建て(RMB)建てで行われることになる。

• もし、日本の銀行が中国本土でオンショア人民元(CNY)預金業務を行い、日本の企業がそこに預金口座を開設し、中国の企業とのRMB建て取引がこの中国本土のCNY口座で行われた場合、

① 日本の銀行が創造した預金は、中国のマネーサプライの一部となって、中国人金銀行(PBC)の金融政策に大きな影響を及ぼし、

② 日本をはじめ、外国の銀行が中国本土で預金業務を行うことで、中国の商業銀行は淘汰されるなど甚大な影響を及ぼしかねない。

• したがって、中国本土(オンショア)とは明確に分離された中国国外(オフショア)で、人民元(RMB)建ての取引が盛んになり、CNH預金が急拡大したのである。

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オフショア人民元(CNH)預金• 人民元の国際化が本格化する2009年Q1には、わずか531億元。

• ピークの2014年Q4には、1兆36億元、5年間で20倍近く激増。

• 2017年Q1には、5072億ドルへと半減。

• オフショア人民元預金の激減は、CNHのHIBOR(Hong Kong Interbank Offered Rate;香港銀行間貸出金利)にも反映され、10% を超える事態にまで急騰。

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図5 オフショア人民元預金の推移

Hong Kong Monetary Authority (HKMA,香港金融管理局)

10億人民元

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1,200

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3/20

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/12/

2016

中国向けクロスボーダー非居住者債権

Pound Sterling Swiss Franc Euro Japanese Yen US Dollar Unallocated currencies All currencies

10億ドル

Bank for International Settlements (BIS), Locational banking statistics 31

Page 32: PowerPoint プレゼンテーションiwamoto/cgi-bin/wp/wp-content/...prudential policies 等となる。 • プッシュ要因が引き金であれば、FRBの政策金利の引き上げ

中国向けクロスボーダー債権(非居住者による中国への資本流入)

• リーマン・ショック直後には2009年Q1にはわずか1405億ドル。

• 2014年Q3には1兆1071億ドルへと、わずか5年間で7.6倍も激増。

• 逆に2016年Q1には、6982億ドルへとわずか2年足らずで37%も激減。

• 通貨構成別:最も多いのはドル建て取引。• 2014年までは「分類不能」通貨での取引(緑線)が急上昇、その後急落。

この「分類不能」通貨での債権(中国側から見ると負債)=中国本土における非居住者による「オンショア人民元(CNY)」預金。

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オンショア人民元預金(オフショア人民元預金の連動)• オンショア人民元(CNY)[とオフショア人民元(CNH)の連動]

⇒BISによる図の緑線で確認。

• 人民元の国際化が本格化する2009年Q1には、わずか310億ドル(2117億元)。

• ピークの2014年Q3には、3624億ドル(2兆4172億元)へと、わずか5年間で12倍近く激増。

• 2016年Q4には1056億ドル(7339億元)へと1/3に減少。

• つまり、香港での非居住者CNH預金の取り崩しに直面したオフショア銀行が、中国本土からCNY預金を引き出したのである。これが、国際収支表にも反映される中国からの資本の純流出の実態であった。

33

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オンショア人民元(CNY)とオフショア人民元(CNH)」• 人民元の国際化は「オンショア」(中国本土)ではなく、「オフショ

ア」市場での人民元の使用拡大を目指した。しかし、香港のオフショア銀行は、受け入れた非居住者による「オフショア人民元(CNH)」預金の深刻な運用に直面した。これが「人民元の国際化」が時期尚早であったと言われる所以の一つである。この隘路を打開したのが、非居住者による「オンショア人民元(CNY)」預金であった。低金利のCNHで借り、高金利のCNYで貸すという資金運用は魅力的であったのである。

(青木浩治(2017)「大規模国際資本フローの変動に揺れるポスト・リーマン ショック期の中国」『アジアの成長に資する開発金融研究報告書』アジア太平洋研究所、8頁-25頁. )。

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香港

上海

オフショア人民元(CNH)預金

オフショア銀行(MIZHFO) LAオンショア人民元(CNY)預金

オンショア人民元(CNY)預金

LA 中国本土の銀行

中国企業への貸出

Page 36: PowerPoint プレゼンテーションiwamoto/cgi-bin/wp/wp-content/...prudential policies 等となる。 • プッシュ要因が引き金であれば、FRBの政策金利の引き上げ

貿易黒字↗ ↗

資本流入

貿易黒字↘

資本流出

人民元高

外貨準備増

A I I B一帯一路

人民元安

外貨準備減

A I I B ?一帯一路?

人民元の国際化

人民元の国際化?

双子の黒字(双順差)

一順一逆

想定内 想定外

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37

5.0

5.2

5.4

5.6

5.8

6.0

6.2

6.4

6.6

6.8

7.0

7.2

0

2

4

6

8

10

12

14RMB/USD% オンショア人民元(CNY)とオンフョア人民元(CHN)の対ドルレートと金利(SHIBORとHIBOR)

CNH HIBOR 3-month CNY SHIBOR 3-monthCNH/USD CNY/USD

LHS

RHS

人民元の減価

人民元の増価

資料:Thomson Reuters, Datastream

オフショア人民元

オンショア人民元

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「上海銀行間取引金利」(Shanghai Interbank Offered Rate; SHIOR)と「香港オフショア人民元銀行間取引金利」(Hong Kong inter-bank RMB offer rate; CNH HIBOR)

• CNH HIBORは、2013年6月より香港金融管理局(HKMA)が公表している香港におけるオフショア人民元の銀行間金利。

1.CNH HIBORが設定された当初、2015年SIHIBORはCNH HIBORに対して、大凡1.5パーセント・ポイントのプラスのスプレッド(プレミアム)をつけており、2014年に入ってからはこのプレミアムは、2パーセント・ポイント以上にまで拡大した。つまり香港のオフショア銀行は、低金利のオフショア人民元(CNH)で預金を集め、それを高金利のオンショア人民元(CNY)預金で運用するという資金フロー(中国本土からみれば「その他投資=現預金」の流入)が続いたのである。

2.ところが2015年に入ると、このスプレッドは急速に縮小し、SIHIBORはCNH HIBORに対してマイナスのスプレッド(ディスカウント)をつける場合さえあった。CNH HIBORがSIHIBORを大きく上回る逆転現象がおおよそ2回観察される。

①第一は、2015年7月以降であり、特に2016年1月には、CNH HIBORが、10パーセントを超える事態に至っている。同年の春には、この異常事態はいったん収束に向かうかに見えたが、

②第二の山が、2016年10月以降にやってきて、2017年1月には、再びCNH HIBORが、10パーセントを超える事態に至っている。

• CNH HIBORがSIHIBORを大きく上回る2回の逆転現象(CNH HIBORの急騰)では、巨額のオフショア人民元(CNH)預金が取り崩され、CNHにとっては一種の金融危機に陥ったといって過言ではなかろう。このCNH HIBORがSIHIBORの分析からも、香港での非居住者CNH預金の取り崩しに直面したオフショア銀行が、中国本土からCNY預金を引き出し、それは図8と図9の時期ともぴったりと一致する。やはりこれこそが、国際収支表にも反映される中国からの資本の純流出の実態であったのである。

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Ⅵ. 資本規制(Capital Control)の強化• 中国の資本規制は、2016年初から年央にかけては、企業の外貨建て債務の繰

り上げ返済を原則禁止することや、顧客企業の外貨両替計画を事前に提出するといった内容が中心であった。しかし、16年末から2017年にかけて「一線を越えた」。

• 外資系企業は、中国に自由に投資できる(外貨を売って元を買い、中国国内に投資をする)が、他方で、稼いだ利益を送金したり、投資を回収する目的で売却代金を送金したりすること(元を売って外貨を買い、国外へ送金する)には制約がかかるようになった。PBOCは国内商業銀行に通達した非公式のガイダンスで、海外送金で承認が必要な水準を、これまでの5000万ドル以上相当から500万ドルに引き下げた。つまり企業は、これまで5000万ドルまでは自由に国外送金できたのが、今後は500万ドルを超える海外送金には当局の事前審査が必要となった。

• 2017年に入り、資本規制は、企業だけでなく個人にまで拡大している。個人は、年間で5万ドルまでの両替しか認められなくなった。外貨購入を希望する個人に対し、銀行の窓口で申請書を提出するよう義務づけた。申請書には「海外で不動産や証券、保険を購入してはならない」と明記されている

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資本規制 vs. 脱法行為• 例えば、鉄道で移動できる深圳から香港へは、途中に手荷物検査

はあるが、リュック程度なら荷物の中身を調べられるリスクはほとんどないので、リュックを背負って深圳から香港へ資金を移動させる「水貨客」と呼ばれる運び屋が横行しているという。

• また、年間5万ドルまでしか人民元を外貨に替えることができないという規制は、カードで保険を「買う」場合には、限度額に左右されない。深圳で募った見込み客を、香港のブローカーに紹介し、高額の外貨建て保険をカードで買い、ほどなく解約すれば、手数料はかかるが安全に資産を移転できるという。

• さらに、上海には、中国語で「黄牛」と呼ばれる闇両替商が繁華街に多くたむろし、上限5万ドルを超えた両替や、2%の手数料で海外送金も可能だという。

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ベンジャミン・コーヘン(カリフォルニア大学サンタバーバラ校)の怒り!• 「中国は、IMFが人民元をSDRに組み入れ(…資本規制を徐々

に自由化するという…)18ヶ月前の約束を事実上反故にした」• 「中国政府の最近の動きは、ルールにしたがって行動する意思

がないことを示している。…中国政府が人民元をSDRに組み入れることを主張したのは、時期尚早であった」

(Cohen, B., Should China Be Ejected from the SDR?, Project Syndicate, May 30 2017,『日本経済新聞』「グローバル・オピニオン」, 2017年6月7日)。

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参考文献• 青木浩治(2017)「大規模国際資本フローの変動に揺れるポスト・リーマン

ショック期の中国」『アジアの成長に資する開発金融研究報告書』APIR,2017年3月.

• 猪又祐輔・大谷聡・杵渕輝・松永美幸(2016)「人民元国際化について―これまでの取り組みと評価を中心に―」BOJ Reports & Research Papers.

•岩本武和(2018)「アジア新興市場の資本フロー:FRBの出口戦略と人民元の国際化の視点から」『アジアにおける開発金融と金融協力研究報告書』APIR, 2018年3月.•岩本武和(2017)「中国からの資本流出と人民元の国際化」、『問題と研究』台湾国立政治大学、第46巻第4号、2017年12月.• 関志雄(2017)「資本規制下の人民元の国際化の限界― 内外市場間の裁定取引に

よって歪められた資金の流れ」RIETI,中国経済新論:世界の中の中国, 8月8日.• Joseph P. Byrne, Norbert Fiess (2016), “International capital flows to emerging markets:

National and global determinants,” Journal of International Money and Finance, 61, 82–100.

• Yin-Wong Cheung, Sven Steinkamp, FrankWestermann (2016), “China’s capital flight: Pre- and post-crisis experiences”, Journal of International Money and Finance, 61, 82–100.

• Zhang, M and Xiaofen Tan (2015), “Vanishing of China’s Twin Surplusesand Its Policy Implications”, China & World Economy, Vol. 23, No. 1, 101–120 42