p18〜26 特集2 iata* · 2009-06-30 · iata公認貨物代理店 特集2...

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1948 年にIATA 代理店第 1 号 日本における国際定期便の幕開けは 61 年前の 1947 年だった。米パンアメリカン航空 (PAA、現在のユナイテッド航空へつながる) およびノースウエスト航空(NWA)が東京乗 り入れを開始した。翌 48 年、京阪神急行電 鉄および西日本鉄道がPAAの貨物代理店 に、阪神電気鉄道、近畿日本鉄道および日 本通運が NWA の貨物代理店となり、日本 における貨物代理店の歴史もほぼ同時に始 まった。初期の航空代理店が鉄道会社を軸 にスタートすることになったのは、戦後の混乱 の時期にしっかりとした経営基盤を持つ運 輸企業が鉄道会社だったためだ。また、戦 前からの歴史を持つ日本通運も最初のグル ープで航空貨物代理店業を開始した。 鉄道会社にとって航空代理店業は、社業 を拡大する上で 1 つの大きな意味があった。 航空代理店業は、鉄道のレールに関係なく 新規フィールドを開拓できるツールだったの だ。このため、関西地域や九州地域の鉄道 会社が先を争うように航空代理店業に取り 組む形になったわけだ。 IATA 貨物代理店として最初に認可され たのは、京阪神急行電鉄、西日本鉄道、近 畿日本鉄道の 3 社。48 年のことで、日本に おけるIATA 貨物代理店の 60 年にわたる 歴史もそのときにスタートした。ちなみに、国 策航空会社として日本航空が設立されたの はサンフランシスコ講和条約調印後の 53 年 10月。民間航空分野で邦人企業が具体的 な活動を始めたのは、航空会社よりも代理 店の方が早かったのである。 ただ、こうした鉄道会社は航空代理店と して旅客と貨物の両方を始めたが、どちら かというと航空旅客事業、旅行事業に力点 を置いていた。このため、航空貨物は付 帯的な事業という意味合いが強かった。会 社によって差異はあるが、航空貨物事業が 赤字の代理店も多かったという。 急行電車で東京へ 初期の航空貨物代理店はどんな仕事ぶ りだったのだろうか。現在のフォワーダーが荷 主に提供する輸送区間はドア・ツー・ドア、つ まり発送荷主から航空輸送区間を経て受け 取り荷主までを対象としている。これに対し、 スタートしてから数年間の貨物代理店業務 は、国際線航空機が出発する羽田空港の 航空会社カウンターに貨物を届けるところま でで終了していた。荷主のところへ貨物を取 りに行き、航空運送状(AWB)を発行し、航 空機に貨物を載せるまでで仕事はおしまいと いう、まさに文字どおりの代理店業務だった。 例えば、京阪神地域の荷主が米国に貨 物を送りたいので航空貨物代理店に取り扱 いを頼んだとしよう。すると、航空貨物代理 店は荷主から貨物を受け取り、当時大阪か ら東京へ走っていた夜行の急行明星に貨物 を持ち込み、東京駅から羽田空港に持って 行くという形で貨物を横持ちした。 また、航空貨物としての品目も、現在のよ うは電気機器・部材、生鮮貨物などバラエ ティに富んだものではなく、おもちゃなどの雑 貨やサンプルなどに限定されていた。このた め、当時の首都圏で一番貨物が出たのは 浅草近辺だった。 しかし、日本の経済復興などと相まって、 貨物の種類がガラッと変わってくる。カメラや 電気機器・部材が少しずつ出始めた。カメ ラ関係はまとまった量が継続的に出たわけ ではないが、日本企業が世界に飛躍して いくのに合わせて電気機器の部分品など が大量に出るようになり、航空貨物業界が 一挙に成長するようになる。 フォワーダーの誕生 こうした航空貨物の品目的な変化に並行 する形で、航空代理店業界に大きな転換期 をもたらしたのが、58 年 2 月に東京~ニュー ヨーク線を皮切りに始まった混載貨物輸送 だった。航空貨物運賃の重量逓減制度を 利用すれば、貨物が重くなればなるほど運 賃単価が低くなる。こうした混載差益を得 る仕組みが動き出し、航空代理店各社の集 荷意欲をそそられることになった。 CARGO APRIL 2008 19 IATA 公認貨物代理店 特集 2 日本における国際航空運送協会(IATA)公認貨物代理店の第 1 号は、ちょうど 60 年前の 1948 年 6 月 20 日に認可された京阪神急行電鉄(阪急電鉄の前身)だった。近 畿日本鉄道、西日本鉄道も同年中に認可され、08年は日本のIATA公認貨物代理店 60 周年という節目の年でもある。これを契機に、航空貨物代理店業界が形成されて いった。現在の IATA 公認貨物代理店数は 121 社。60 年間だから、1 年平均 2 社とい う単純計算になるが、この数年は 1 年 10 社前後のペースで増加しており、IATA 貨物 代理店はまさに“増産時代”となっている。IATA 貨物代理店の顔ぶれも航空会社系 やアジア系フォワーダーが目立つなど多彩になってきた。今号では、この 1 年間に 資格を取得した IATA 貨物代理店へのインタビューなどを織り交ぜながら、歴史や周 辺事情をリポートする。 (井上昭憲、岩橋眞通、山本佳典) 60 周年迎え増産時代に突入 総数121社、顔ぶれも多彩に IATA 公認貨物代理店 特集 2 CARGO APRIL 2008 18

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Page 1: P18〜26 特集2 IATA* · 2009-06-30 · iata公認貨物代理店 特集2 日本における国際航空運送協会(iata)公認貨物代理店の第1号は、ちょうど60

1948年にIATA代理店第1号

日本における国際定期便の幕開けは61

年前の1947年だった。米パンアメリカン航空

(PAA、現在のユナイテッド航空へつながる)

およびノースウエスト航空(NWA)が東京乗

り入れを開始した。翌48年、京阪神急行電

鉄および西日本鉄道がPAAの貨物代理店

に、阪神電気鉄道、近畿日本鉄道および日

本通運がNWAの貨物代理店となり、日本

における貨物代理店の歴史もほぼ同時に始

まった。初期の航空代理店が鉄道会社を軸

にスタートすることになったのは、戦後の混乱

の時期にしっかりとした経営基盤を持つ運

輸企業が鉄道会社だったためだ。また、戦

前からの歴史を持つ日本通運も最初のグル

ープで航空貨物代理店業を開始した。

鉄道会社にとって航空代理店業は、社業

を拡大する上で1つの大きな意味があった。

航空代理店業は、鉄道のレールに関係なく

新規フィールドを開拓できるツールだったの

だ。このため、関西地域や九州地域の鉄道

会社が先を争うように航空代理店業に取り

組む形になったわけだ。

IATA貨物代理店として最初に認可され

たのは、京阪神急行電鉄、西日本鉄道、近

畿日本鉄道の3社。48年のことで、日本に

おけるIATA貨物代理店の60年にわたる

歴史もそのときにスタートした。ちなみに、国

策航空会社として日本航空が設立されたの

はサンフランシスコ講和条約調印後の53年

10月。民間航空分野で邦人企業が具体的

な活動を始めたのは、航空会社よりも代理

店の方が早かったのである。

ただ、こうした鉄道会社は航空代理店と

して旅客と貨物の両方を始めたが、どちら

かというと航空旅客事業、旅行事業に力点

を置いていた。このため、航空貨物は付

帯的な事業という意味合いが強かった。会

社によって差異はあるが、航空貨物事業が

赤字の代理店も多かったという。

急行電車で東京へ

初期の航空貨物代理店はどんな仕事ぶ

りだったのだろうか。現在のフォワーダーが荷

主に提供する輸送区間はドア・ツー・ドア、つ

まり発送荷主から航空輸送区間を経て受け

取り荷主までを対象としている。これに対し、

スタートしてから数年間の貨物代理店業務

は、国際線航空機が出発する羽田空港の

航空会社カウンターに貨物を届けるところま

でで終了していた。荷主のところへ貨物を取

りに行き、航空運送状(AWB)を発行し、航

空機に貨物を載せるまでで仕事はおしまいと

いう、まさに文字どおりの代理店業務だった。

例えば、京阪神地域の荷主が米国に貨

物を送りたいので航空貨物代理店に取り扱

いを頼んだとしよう。すると、航空貨物代理

店は荷主から貨物を受け取り、当時大阪か

ら東京へ走っていた夜行の急行明星に貨物

を持ち込み、東京駅から羽田空港に持って

行くという形で貨物を横持ちした。

また、航空貨物としての品目も、現在のよ

うは電気機器・部材、生鮮貨物などバラエ

ティに富んだものではなく、おもちゃなどの雑

貨やサンプルなどに限定されていた。このた

め、当時の首都圏で一番貨物が出たのは

浅草近辺だった。

しかし、日本の経済復興などと相まって、

貨物の種類がガラッと変わってくる。カメラや

電気機器・部材が少しずつ出始めた。カメ

ラ関係はまとまった量が継続的に出たわけ

ではないが、日本企業が世界に飛躍して

いくのに合わせて電気機器の部分品など

が大量に出るようになり、航空貨物業界が

一挙に成長するようになる。

フォワーダーの誕生

こうした航空貨物の品目的な変化に並行

する形で、航空代理店業界に大きな転換期

をもたらしたのが、58年2月に東京~ニュー

ヨーク線を皮切りに始まった混載貨物輸送

だった。航空貨物運賃の重量逓減制度を

利用すれば、貨物が重くなればなるほど運

賃単価が低くなる。こうした混載差益を得

る仕組みが動き出し、航空代理店各社の集

荷意欲をそそられることになった。

CARGO APRIL 2008 19

IATA公認貨物代理店 特集 2

日本における国際航空運送協会(IATA)公認貨物代理店の第1号は、ちょうど60

年前の1948年6月20日に認可された京阪神急行電鉄(阪急電鉄の前身)だった。近

畿日本鉄道、西日本鉄道も同年中に認可され、08年は日本のIATA公認貨物代理店

60周年という節目の年でもある。これを契機に、航空貨物代理店業界が形成されて

いった。現在のIATA公認貨物代理店数は121社。60年間だから、1年平均2社とい

う単純計算になるが、この数年は1年10社前後のペースで増加しており、IATA貨物

代理店はまさに“増産時代”となっている。IATA貨物代理店の顔ぶれも航空会社系

やアジア系フォワーダーが目立つなど多彩になってきた。今号では、この1年間に

資格を取得したIATA貨物代理店へのインタビューなどを織り交ぜながら、歴史や周

辺事情をリポートする。 (井上昭憲、岩橋眞通、山本佳典)

60周年迎え増産時代に突入総数121社、顔ぶれも多彩に

IATA公認貨物代理店

特集 2

CARGO APRIL 200818

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ブネット、ジュピター・ジャパン、大韓通運ジャ

パン、コナポンコーポレーション、マースク、ス

コアジャパン、トナミ運輸、ユーシーアイエアフ

レイトジャパン、ボルテックスセイグン、ANAロ

ジスティックサービス(ALS)と多種多様だ。

このうち、ジュピター・ジャパンは香港に本

拠を置く日本航空系のオンボードクーリエ

(OBC)/フォワーダー会社、ジュピターグロ

ーバルの日本現地法人。初めはOBC会社

として設立されたが、価格低迷で採算がと

れなくなったので昨年OBC業務をやめ、収

益性の高いハンドキャリーとフォワーディング

業務に絞り込んだ。フォワーダーとして積極

的に取り組んでいく体制整備の一環として

昨年、IATA公認貨物代理店資格を取り、

国土交通省の国際航空第2種貨物利用運

送(単独混載)事業許可も受けた。

ALSは全日本空輸系の空港貨物ハンド

リング・上屋業務会社だ。全日空が日本貨

物航空(NCA)プロジェクトから撤退したた

めに、大口顧客だったNCAのグランドハン

リングも06年いっぱいで終了。全日空から

受託するグランドハンドリング業務だけに頼ら

ない経営基盤強化の一環として、国内フォワ

ーディング業務、国際フォワーディング業務へ

の進出を計画した。このうち、国際フォワー

ディング業務を行うためにはIATA公認貨物

代理店資格が必要であることから昨年申請

し、同暮れに認可された。IATA代理店業

務の本格的なスタートは、社内体制整備を

行った上で08年度上期を予定している。単

独混載許可も近く取得する方針だ。ALSは

地上集配会社のエーエヌエーデリバリーを

吸収合併しているため、貨物の地上集配業

務に強いところがユニークな面だ。

この2社はエアライン系企業のIATA代

理店化であり、この1年間に表面化した新た

な動きである。エアライン系企業の国際フォ

CARGO APRIL 2008 21

IATA公認貨物代理店 特集 2

航空貨物代理店の業務は基本的に、羽

田空港で貨物を国際線航空機に乗せたら

おしまいだから、海外の着地空港で誰が貨

物を取りに来るかどうかは関知しない。し

かし、混載貨物の場合は着地空港で自ら

手配したブレークバルク・エージェントに貨物

を受け取らせ、混載貨物を個々の受け取り

人に配達する義務がある。駐在員を海外に

派遣して、到着貨物の取り扱いや配達業務

を監督する必要も出てきた。つまり、ドア・ツ

ー・ドアで貨物を取り扱うフォワーダーの誕生

となったわけだ。

混載業者といっても、最初は各社の取扱

量が少なかった。だから、大きな混載差益

を得るために、フォワーダーがグループ化す

ることによって貨物をまとめる、グループ混載

という形式が当時の運輸省に認められた。

各航空貨物代理店が数社ずつ集まって混

載グループを形成した。最初の混載グルー

プが設立されたのが57年で、西鉄、阪神、

近鉄が組織したグループ混載会社がジャパ

ン・エアカーゴ・コンソリデーターズ(JAC)、阪

急と南海が結成した混載会社がヂャパン・

フレイト・コンソリデーターズ(JFC)だった。こ

の2グループのほかに単独混載会社の日

通、61年設立のグループ混載会社、東京エ

アカーゴ・コンソリデーターズ(TAC)があっ

た。こうした経過は60年間の歴史の中でも

初期後半の部類に入るが、その後航空代

理店業は混載業務のスタートによってフォワ

ーダー業に変化し、大きく隆盛していくことに

なった。

航空会社系が資格取得

3月現在のIATA公認貨物代理店数は

121社に上り、この1年間でも十数社増え

た。その顔ぶれは、AIF、エーアイティー、ハ

CARGO APRIL 200820

大 韓 通 運 ジ ャ パ ン

大韓通運の日本現地法人、大韓通運ジャパン

(本社東京、許 社長、資本金9000万円)は

2006年7月に設立された。昨年7月、IATA公認

貨物代理店資格を取得、さらに同9月には国際

航空貨物利用運送(一般混載)の許可事業者と

なった。そして今年4月、自社開発の日韓間国際

宅配便サービス「大韓通運国際宅配」をスタート

した。国際宅配便サービスは大韓通運全体とし

て取り組んでいるが、日本発を開始する前提条

件としてIATA貨物代理店資格および一般混載

事業許可を取得する必要があった。

許社長は「年内にも取り扱い対象を中国行き、

米国行きなどにも拡大し、取り扱い目標を年間3

万件に設定した」と語る。集荷ターゲットはインタ

ーネットショッピングモール利用者や韓国系企業

などだ。当面は自社車両で集荷した貨物をトラッ

ク定期便で都内から成田空港へ転送する形で始

めるが、将来的には郵政事業会社など他の宅配

便会社との提携して、国内集配ネットワークの拡

大・強化を図る。

また、大韓通運が4月に錦湖アシアナグルー

プ入りしたことから、アシアナ航空の羽田~金浦

線を国際宅配便輸送で活用するなどのシナジー

を検討していく。将来的

な取扱件数の増加を想

定して、都心部に自社物

流センターを整備する方

向で検討していく。ただ

し、現在の羽田空港では

貨物を通関できないた

め、当面は仁川行きの航

空便に貨物を搭載する。

仁川到着後、大韓通運の

ネットワークに乗せて韓国全土へ配達している。

国際宅配便として取り扱う貨物の品目は書類、

サンプル、インターネットショッピングモールで購

入するような衣類やアクセサリー、本などだ。取

り扱い重量の上限は30㎏。集めた国際宅配便

を大韓通運ジャパンの混載貨物として仕立てる。

国際宅配便の料金は通関料などをパッケージに

したもので、大手の国際宅配便事業者に対抗す

るために価格設定を抑える方針だ。

許社長は「今年は日本発韓国行き、韓国発日

本行きの取り扱いを安定化させる。これが安定化

できれば、地域拡大を本格化させる。スタッフの

育成を進めていきたい」と語る。

日韓国際宅配便のためにIATA取得年間目標3万件、中国・米国へも拡大

Focus2

Focus2

許社長

A N A ロ ジ ス テ ィ ク サ ー ビ ス

全日本空輸グループの貨物ドキュメンテーショ

ン業務、上屋運営、空港間輸送業務会社、ANA

ロジスティクサービス(ALS)は昨年12月、IATA公

認貨物代理店資格を取得した。現在、国土交通省

に対する国際航空第2種利用運送事業(一般混

載事業)許可に向けた申請準備をしている。同社

は2008年度上期にも国際フォワーディング事業

スタートを目指している。

航空会社グループの同社がフォワーディング事

業進出を目指す背景の1つは、全日空が日本貨

物航空(NCA)運営プロジェクトから撤退したため、

成田空港や関西空港で請け負っていたNCA関連

業務が06年いっぱいで終了したことだ。このため、

ALSとしても全日空からの業務だけに頼らない運

営基盤づくりが必要になり、フォワーディング事業

への進出を計画したのだ。

平賀清一社長は「フォワーディング業務は全日空

グループ内からの仕事だけに頼らない自主事業とし

て始めたものだ。通関士も中途採用により増員し、08

年度の早期に社内組織を整備して国内・国際フォワ

ーディング事業を強化したい」と意気込みを語った。

まず、同社は07年度、国内フォワーディング事

業への取り組みを本格化した。具体的には全日空

便が就航する国内30空港で、空港カウンターに持

ち込まれる貨物に対する航空運送状(AWB)発券

業務を全日空の貨物代理店として取り扱うことが

できる体制を構築した。実際には各空港での発券

業務は委託しているが、発券業務の受託と関連し

て、到着空港からの配送

業務を受注するようになっ

た。もともとALSは運送会

社のエーエヌエーデリバリ

ーを吸収合併したため、貨

物の配達業務が行える。

羽田空港にある羽田物流

支店内には昨秋、コールセ

ンターを設置し、全国で輸

送される国内貨物の配送対応を一手に処理する

体制を確立した。

こうした国内フォワーディング事業の展開と並行

して、国際フォワーディング業務への進出を実現す

るために、IATA貨物代理店資格取得へと動いた。

今後、一般混載事業許可の取得やセールス要員

の中途採用も視野に入れ、早期の国際フォワーデ

ィング事業参入を目指す。

上期にも国際フォワーディング進出自主事業として強化、国内でも手応え

Focus1

Focus1

平賀社長

Page 3: P18〜26 特集2 IATA* · 2009-06-30 · iata公認貨物代理店 特集2 日本における国際航空運送協会(iata)公認貨物代理店の第1号は、ちょうど60

ワーディング業務進出となれば、本来ならば

フォワーダー業界からの反発も予想されると

ころだが、インテグレーター台頭などでエア

ラインとフォワーダーの業際が次第に崩れつ

つある。また、フォワーダー側も、従来は認め

られていなかった貨物チャーター便における

フォワーダー・チャーターが可能となっている。

それ以上に、大手フォワーダーと航空会社貨

物事業との収益力の差はいかんともしがた

いほど開いている。既存代理店・フォワーダ

ー業界から、エアライン関連のIATA貨物

代理店の誕生に対して、ほとんど反論もない

というのが現状である。

アジア系会社が進出

韓国企業の日本進出も目立つ。パントス

ロジスティクスの日本現法、パントスジャパン

が4年前の04年3月にIATA公認貨物代

理店となって活動しているが、韓国系企業

の第2弾として、06年7月に発足した大韓

通運の日本現法、大韓通運ジャパンが昨年

7月、IATA代理店資格を取得した。そも

そも大韓通運ジャパンには日韓間で自社ブ

ランドの国際宅配便をスタートさせる構想が

あったため、単独混載許可が必要だった。

単独混載許可申請の前提条件として、

IATA公認貨物代理店資格を取得した。

また、韓国マーケットにも強い米国系フォ

ワーダー、エイチアンドフレンズGTLジャパン

は05年にIATA公認貨物代理店となり、06

年6月に単独混載許可を取得した。さらに

CARGO APRIL 2008 23

IATA公認貨物代理店 特集 2

CARGO APRIL 200822

ス コ ア ・ ジ ャ パ ン

スコア・ジャパン(本社=東京・中央)は1998年

7月の設立。拠点数は9カ所。国内支社は大阪、渋

谷および昨年10月に開設した成田(千葉県山武

郡、福山通運・成田流通センター内)にある。また、

海外では香港、台湾、上海、広州に拠点がある。

同社は創業以来、国際宅配便事業を展開して

きた。「中国の運送に取り組む中で航空貨物市場

は非常に面白いと考えた。会社設立から3~4年

後に免許を申請し、利用運送業としてビジネスを

行おうと決断した」(大沢理代表取締役社長)と

語る。同社は昨年7月にはIATAの日本地区貨

物代理店資格を取得、同8月に一般混載事業許

可(単独混載)、同10月には成田支社が通関業

許可をそれぞれ取得した。今年2月25日から

CASS精算を開始、同4月からは一般貨物の取

り扱いを開始した。

今後、特化していく事業として①クーリエ②一

般貨物③中国内の宅配・運送―を掲げる。

中国内の宅配・運送事業については、すでに

大手メーカーのカタログ

を宅配便で配送している。

冊数は1カ月に数千部と

いう。「確かに日本市場で

は大手会社が強いが、中

国の宅配便市場はこれか

らだ。勝負はまだついて

いない」と述べ、さらに「中

国内の運送サービスで日

系企業ナンバーワンを目指している」と力強い。

中国では今年上期には大連、成都に拠点を構

える計画。また、6月には通関業許可取得も予定

されている。

一方、上海・虹橋空港での通関業許可を受け

ており今後、虹橋には事務所を構える予定だ。羽

田~虹橋間の旅客チャーター便を利用した貨物

同送の場合、現地到着後にフォワーダー各社は

浦東空港で通関しているが、同社は年内にも虹

橋通関で羽田発サービスを提供していく計画だ。

中国内宅配・運送を事業の柱に大連、成都に拠点、虹橋活用も

Focus3

Focus3

大沢社長

62 マースク MKK 1631395 ○63 三菱倉庫 MLC 1631086 ○64 商船三井ロジスティクス MLG 1630502 ○65 マースクロジスティクスジャパン MLJ 1631138 ○66 松下ロジスティクス MLS 1630069 ○67 三井倉庫 MSC 1633365 ○68 名鉄観光サービス MWT 1630497 ○69 日本通運 NEC 1631081 ○ ○70 ネットインターナショナル NEX 1630678 ○71 日本梱包運輸倉庫 NKU 1630132 ○72 西日本鉄道 NNR 1630516 ○ ○73 内外日東 NNT 1633004 ○74 濃飛倉庫運輸 NOH 1630850 ○75 南海エクスプレス NTI 1631289 ○76 NECロジスティクス NTR 1630081 ○77 日鐵運輸 NUC 1630941 ○78 日新 NUS 1631162 ○ ○79 ナカムラエアーエクスプレス NXX 1631140 ○80 沖縄日通エアカーゴサービス OAS 1631529 ○81 海外新聞普及 OCS 1630651 ○ ○82 沖ロジスティクス OLC 1630173 ○83 パントスジャパン PLI 1631087 ○84 ソニーサプライチェーンソリューション SAC 1630487 ○85 西武運輸 SAF 1630525 ○86 西濃シェンカー SCH 1630013 ○ ○87 スコアジャパン SCJ 1631378 ○ ○88 エスディーヴィージャパン SDV 1630829 ○89 センコー SEN 1630757 ○90 住商グローバル・ロジスティクス SGL 1630760 ○ ○91 相模運輸倉庫 SGM 1630736 ○92 佐川グローバルロジスティクス SGX 1630520 ○ ○93 双日ロジスティクス SLC 1630123 ○94 エスネットフレイトジャパン SNJ 1631096 ○95 住友倉庫 SSA 1630030 ○96 山九 STE 1631453 ○97 西濃運輸 SUK 1631322 ○98 澁澤倉庫 SWC 1631734 ○99 泰運商会 TAF 1631497 ○100 東京航空貨物 TAK 1630015 ○ ○101 TASエクスプレス TAS 1631498 ○102 バンテックワールドトランスポート TCC 1630535 ○103 辰巳商會 TCS 1630045 ○104 東洋トランス TFT 1633444 ○105 ティエヌティエクスプレス TNT 1630572 ○ ○106 トナミ運輸 TNM 1631392 ○107 東和航空輸送 TOW 1630771 ○108 東芝物流 TSB 1631145 ○109 東陽倉庫 TWH 1630707 ○110 ユナイテッド航空貨物 UAC 1631352 ○111 ユーシーアイエアフレイトジャパン UCI 1631375 ○112 ユーフレイトジャパン UFJ 1630174 ○113 ユニトランス UNI 1631712 ○114 ユーピーエスサプライチェーンソリューションジャパン UPC 1632575 ○115 ユーピーエス・ジャパン UPS 1630858 ○ ○116 ユー・ティー・アイ UTI 1631056 ○117 ボルテックスセイグン VTX 1631365 ○118 郵船航空サービス YAS 1630540 ○ ○119 ヤマトロジスティクス YLC 1630148 ○ ○120 ヤマタネ YSA 1630327 ○121 ヤマト運輸 YTC 1630537 ○

貨物代理店 英3文字略号 数字略号 一般混載

国際航空貨物利用運送宅配便

表1 日本地区IATA公認貨物代理店(輸出)と国際航空第2種貨物利用運送事業許可取得状況

1 エービーエックスジャパン ABX 1630825 ○2 タカセ ADD 1630932 ○3 エアロ航空 AER 1632011 ○4 アジリティ AGI 1630297 ○5 A.I.F. AIF 1631379 ○6 エーアイティー AIT 1631389 ○7 アルファ・カミノロジスティクス AKL 1631339 ○8 ANAロジスティクサービス ALO 1631390 ○9 アリスペッドジャパン ALS 1631335 ○10 エアモーダルサービス ASI 1630326 ○11 アルプス物流 ATA 1630962 ○12 ブリンクスジャパン BJL 1631283 ○13 セントラルエクスプレス CEL 1630051 ○14 シーバロジスティクスジャパン CEV 1631500 ○15 ディー・エイチ・エル・ジャパン DHL 1633503 ○ ○16 JTC DIA 1630946 ○17 上組航空サービス DOD 1631527 ○18 DHLグローバルフォワーディングジャパン DZK 1630105 ○19 エクスペダイターズ・ジャパン EIK 1630589 ○20 芙蓉エアカーゴ FAC 1631264 ○21 福山通運 FKT 1630759 ○ ○22 フジトランスコーポレーション FTA 1630797 ○23 富士物流 FTR 1631347 ○24 富士フイルムロジスティックス FXD 1630138 ○25 フェデラルエクスプレスジャパン FXJ 1630800 ○ ○26 名鉄ゴールデン航空 GLD 1630147 ○27 ホンダロジスティクス HEA 1630052 ○28 阪急エクスプレス HEI 1630426 ○ ○29 阪神エアカーゴ HER 1630483 ○30 エイチアンドフレンズGTLジャパン HFI 1631282 ○31 日立物流 HTS 1630031 ○32 ハブネット HUB 1631368 ○33 インターナショナルエクスプレス IEC 1630991 ○34 伊勢湾海運 IKA 1630046 ○35 アイ・ロジスティクス JAS 1630469 ○36 日本ビジネスロジスティクス JBL 1630557 ○37 ジャスフォワ-ディングジャパン JIF 1630082 ○38 日本紙運輸倉庫 JPL 1630920 ○39 ジュピター・ジャパン JPT 1631370 ○ ○40 ジェイティービーカーゴ JTB 1631528 ○41 日本トランスシティ JTC 1630019 ○42 ジャパンバンラインズ JVL 1630070 ○43 鴻池運輸 KAC 1630044 ○44 ケイヒン航空 KAF 1630546 ○ ○45 コクサイエアロマリン KAM 1630057 ○46 ベストシッピング KBS 1631286 ○47 大韓通運ジャパン KEJ 1631381 ○ ○48 ケイライン ロジスティックス KKS 1631703 ○ ○49 キューネ・アンド・ナーゲル KNJ 1630047 ○50 コナポン コーポレーション KNP 1631356 ○51 ケーエスエーインターナショナル KSA 1630746 ○52 近鉄エクスプレス KWE 1630494 ○ ○53 エヌ・ティ・ティ・ロジスコ LOG 1630828 ○54 マツダエース MAC 1630124 ○55 丸紅物流 MAI 1630068 ○56 名港海運 MAX 1633271 ○57 三菱商事ロジスティクス MCA 1630919 ○58 DHLサプライチェーン MCG 1631595 ○59 三菱電機ロジスティクス MDL 1630849 ○60 明正 MGL 1631298 ○61 丸運国際フレート MIF 1630473 ○

貨物代理店 英3文字略号 数字略号 一般混載

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