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1 p-median問題における 最近隣施設選択仮定の緩和 鈴木 勉 (筑波大学) M. J. Hodgson University of Alberta大山 崇 (筑波大学) 日本OR学会春季研究発表会 2002327-28

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1

p-median問題における近隣施設選択仮定の緩和

鈴木勉 (筑波大学)

M. J. Hodgson (University of Alberta)大山崇 (筑波大学)

日本OR学会春季研究発表会

2002年3月27-28日

2

施設配置モデル

目的関数大距離 小化:center問題

平均距離 小化:median問題

一定距離以内人口 大化:max covering問題

利用者の施設への配分(allocation)も近い施設に帰属させる「 近隣施設選択」

を仮定することが多かった.

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配分

近隣施設選択が成立しないケース

施設の魅力度に差違がある場合

(例)多少遠くても価格の安い店舗で購入

開設時間等のサービス内容に差違がある場合(例) 寄りの施設が休館日 他の開館中の施設

複数の施設を周遊して訪問する場合

(例)病院と調剤薬局,購買行動

多目的トリップ:全トリップの3~5割という報告例

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研究の目的

近隣施設選択仮定を緩和した施設配置問題の定式化と求解

利用者が 近隣施設と第2近隣施設を利用する場合

周遊距離が 小となる2施設を同時に利用する場合

近隣施設のみ利用する利用者と混合している場合

仮定緩和が 適解に与える影響既存研究:1次元空間上での小売施設等の競争立地や均衡立地(Eaton and Lipsey, 1979, 1982; McLaffertyand Ghosh, 1986; Mulligan, 1987; 孫ほか,1996)今回は総(平均)移動費用 小化

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施設選択の類型

6

(P1) p-medianモデル

,min ∑∑=i j

ijijiXXdwZ

ij

∑ ∀=j

ij iX ,,1

,,, jiXX jjij ∀≤

pXj

jj =∑s.t.

:ノードiにおける需要の候補地jへの配分: ノードiにおける需要: ノードiからjまでの距離: 施設数

}1,0{∈ijXiwijd

p)0,0( =≥= iijiij ddd

7

(P2) 2次p-medianモデル

,min ∑∑=i j

ijijiXXdwZ

ij

,,, jiXX jjij ∀≤

pXj

jj =∑s.t.

:ノードiにおける需要の候補地jへの配分: ノードiにおける需要: ノードiからjまでの距離: 施設数

}1,0{∈ijXiwijd

p)0,0( =≥= iijiij ddd

iXj

ij ∀=∑ ,2

8

(P3) 周遊2次p-medianモデル

,,, jiXX jjij ∀≤

pXj

jj =∑s.t.

iXj

ij ∀=∑ ,2

∑∑∑∑∑ +=i j l

ilijjlii j

ijijiXXXdwXdwZ

ij 21min

∑=l

iljlijij XdXU

9

(P3) 周遊2次p-medianモデル

,,, jiXX jjij ∀≤

pXj

jj =∑s.t.

iXj

ij ∀=∑ ,2∑=

liljlijij XdXU

∑∑∑∑ +=i j

ijii j

ijijiUXUwXdwZ

ijij 21min

,

,,,0 jiXdU ijl

jlij ∀⋅≤≤ ∑jiXdUXd ij

ljlij

liljl ,),1(0 ∀−⋅≤−≤ ∑∑

線形混合0-1計画問題

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対象ネットワークと需要分布

千代田区神田公園・万世橋地域の町丁目代表点24点を抽出

Delaunay網を構成

各町丁目の1995年夜間人口を需要として与える.

距離はネットワーク上の 短経路で計算

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(P2)(P3)の 適配置の計算例

ダミーノードを付加:各ノード2施設立地可

(P2)の解pが偶数のとき,施設ペアを形成.その配置は施設数p/2個の(P1)の配置

pが奇数のとき,施設数 個の(P1)の解と個の(P1)の解の重ね合わせ( はxを超えない 大の整数)

(P3)の解pの偶数・奇数を問わず施設は全てペアを形成.個の(P1)の解と同じ配置

周遊が施設間距離をより短くする方向に作用

2/p 12/ +p x

2/p

12

13

線分上での(P2)の読み替え

14

線分上での(P2)の読み替え

15

線分上での(P2)の 適解(p=5)

16

(P4) 2次混合モデル

近隣施設のみの利用者と 近隣施設と第2近隣施設両方の利用者が の比で混在

,,, jiXX jjij ∀≤

pXj

jj =∑s.t.

: 2次の重み

,)1(min, ∑∑∑∑ +−=

i jijiji

i jijijiYX

YdwXdwZijij

αα

∑ ∀=j

ij iX ,,1 ,,2 iYj

ij ∀=∑,,, jiYY jjij ∀≤

jYX jjjj ∀= ,

α

αα :1− )10( ≤≤ α

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(P5) 周遊2次混合モデル

近隣施設のみの利用者と2施設を周遊する利用者とが の比で混在

,,, jiXX jjij ∀≤

pXj

jj =∑s.t.

: 2次の重み

∑ ∀=j

ij iX ,,1 ,,2 iYj

ij ∀=∑,,, jiYY jjij ∀≤

jYX jjjj ∀= ,

α

αα :1− )10( ≤≤ α

),21()1(min

, ∑∑∑∑∑∑∑ ++−=i j l

ilijjlii j

ijijii j

ijijiYXYYdwYdwXdwZ

ijij

αα

18

(P4)(P5)の 適配置の計算例

2次の重み を0.1刻みで変化

p=62次の重みとクラスター形成

が大きくなるに連れ,(P1)の解を基点に2施設同士が近接し始め, 終的には(P2)(P3)の解と一致

が一般の値の場合は,必ずしもペアを形成しないが2施設ずつが近接した中間的配置

ペアが形成される重みは(P4)では0.8~0.9である一方,(P5)では0.3程度

α

α

α

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20

連続平面上における単独配置とペア配置

21

遷移点の理論値

近隣距離,第2近隣距離の平均

aarE 351.036

3log3334][ 1 ≈+=

arEsEsE 496.0][2][][ 121 ≈==

2次混合の場合の遷移点)]()1[()]()1[( 211211 sssErrrE ++−=++− αααα

)](2)1[()](2)1[( 211211 sssErrarE ++−=+++− αααα周遊2次混合の場合の遷移点

800.0≈α

219.0≈α

aarE 678.018

3log33)32log(333418][ 2 ≈−++−=

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結論

第2近隣施設の利用や2施設を周遊する等の 近隣施設選択仮定の緩和が施設クラスターの形成をもたらす.

近隣施設のみの利用者と第2近隣施設の利用者または2施設の周遊利用者が混合している場合でも,後者の割合が一定値以上になると施設同士が近接立地し,クラスターを形成する.

周遊利用者の存在は集中の力がより強く働き,2割程度でも立地に大きく影響を与える.

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含意

凝集パターン

複合施設化の利点供給側:固定費用の削減

需要側:移動距離の短縮