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 第 23回

 (一社)日本口腔感染症学会総会・学術大会

  プログラム・抄録集

期間:平成 26年 10月 25日(土)、26日(日)

会場:いたみホール

〒664-0895 兵庫県伊丹市宮ノ前 1-1-3 

Tel 072-778-8788  

会長 薬師寺 登

公立学校共済組合 近畿中央病院 口腔外科

学会のホームページ http://www.eonet.ne.jp/~oral/

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会長挨拶第 23 回日本口腔感染症学会総会・学術集会の主催にあたって

(一社)日本口腔感染症学会理事 薬師寺 登

 平成 26 年 10 月 25,26 日の両日に兵庫県伊丹市にて、第 23 回日本口腔感染症学会を主催することになりました。日本口腔感染症学会は、「口腔感染の予防」と「院内感染予防」について、第一線の歯科開業医、病院歯科、臨床と基礎を含めた大学病院の勤務者が一堂に会して議論できる場を作ることを目指して設立されたと聞いています。そこで、今回は原点に戻り、「歯科診療室における水平感染」を再考したく思います。

歯科では外科処置が多く、歯科医療従事者はタービンによる切削や超音波スケーラーの使用などによって患者の血液や血液・膿が混入した唾液などの感染性物質に接触したり、飛沫を浴びる危険性が常にあります。さらに、治療に使用する多くの医療器具は患者の口腔内の感染性物質に触れるため、医療従事者・患者ともに感染のリスクは高いと考えられます。また、歯科治療では外来患者の感染症検査を実施することは稀であり、自覚症状のない B 型肝炎、C型肝炎などの感染患者を見極めることはできません。歯科医院では一般の診療所以上に感染対策が要求されています。

特別講演には、健康保険組合連合会 大阪中央病院 副院長 林 英二朗先生に、「肝炎についてー知っておきたい最近の話題ー」にて最新の情報を提供いただく予定になっています。教育講演には公立学校共済組合 近畿中央病院 呼吸器内科 山根宏之先生に呼吸器感染症(高齢者肺炎)について講演いただきます。ランチョンセミナーは、鹿児島大学歯学部 上川 善昭先生に講師をお願いし、鶴見大学歯学部 中川 洋一先生に座長をお願いして口腔カンジダに関するセミナーを予定しています。懇親会は、10 月 25 日土曜日の学会終了後に、会場からすぐ近くの伊丹ホテ

ルで予定しております。伊丹は日本酒発祥の町。銘酒の町としても知られており、お楽しみいただければ幸いです。

伊丹市は兵庫県南東部にあり大阪府に接しています。また、伊丹市は大阪国際空港(伊丹空港)がある街としても知られています。直行便の市バス(駅から空港までの所要時間 20分)も運行しており、空にも近い街です。さらに、JR 新大阪駅からは、普通電車で乗り換えなしで 20分の距離です。皆様のおいでをお待ちしています。 

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学会参加者へのご案内

1、 参加受付受付時間:平成 26 年 10 月 25 日(土) 14:30~

平成 26 年 10 月 26 日(日) 9:20~

2、 学会参加費 一般:8,000円 コメディカル:3,000円 研修医・学生:無料

3、 懇親会10 月 25 日(土)18:30 より伊丹シティホテルにて開催します。学会会場より徒歩約8分程度です。皆様お誘い合わせの上、ご参加いただきますようお待ちしております。※学術大会会場で受付を行います。 会費:4,000円 会場:伊丹シティホテル 11F ミナレット 会場 HP:http://www.itamicity-h.com/

     

4、 ICD 講習会受付時間:15:15~ いたみホール 6 F 中ホール前10 月 26 日 15:30~17:30  いたみホール 6 F 中ホール

5、 クロークは会場の都合上、ございませんのでご了承ください。

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演者・座長の先生方へご案内

発表者へのお願い

発表形式:すべて PC を用いた口頭発表です。 一般演題 発表時間:7分 質疑応答:3分 発表データは USBメモリに保存してご持参ください。 データは最新のウィルス駆除ソフトにてチェックをお済ませの上ご持参ください。

Mac PC は使用できません。Windows PC で問題なくスライドショーが再生されるか確認してからご持参頂くことをお薦めします。

データファイル名には「氏名」を含めてください。 発表予定 30分前までに受付にデータの提出をお願いします。

※受付後のデータ修正はできかねます。 動画や音声ファイルのご使用はご遠慮ください。 当日会場に設置される PC の OS は Windows7 または 8.1 です。アプリ

ケーション:Windows PowerPoint です。PowerPoint2003 は使用できません。 2007-2013 で原稿をお作りください。

開始 15分前まで会場内「次演者席」にご移動ください。

座長の先生方へのお願い

開始 15分前までに会場内「次座長席」にご移動ください。 質疑応答の方法は、座長の先生にお任せいたします。時間を厳守し、円滑な学会進行にご配慮をお願いいたします。

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プログラム

第1日目 平成 26 年 10 月 25 日(土)

10:00~11:30 認定委員会   いたみホール 3F 大会議室

11:30~12:30 常務理事会   いたみホール 3F 大会議室

12:30~14:10 理事・評議員会 いたみホール 3F 大会議室

15:00~15:45 総会      いたみホール 6F 中ホール

開会挨拶   第 23 回日本口腔感染症学会総会・学術大会長  薬師寺 登

「一般演題」

15:50~16:30 一般演題1  座長:関西労災病院歯科口腔外科 北村龍二

1.切開排膿及び入院加療を要した成人歯性感染症患者の細菌学的・臨床的検討

奈良県立医科大学感染症センター1)

奈良県立医科大学口腔外科学講座2)

○小松 祐子 1),2) 笠原 敬 1) 今井 裕一郎 2) 福辻 智 2) 柳生 貴裕 2) 上田

順宏 2) 桐田 忠昭 2) 

2.入院加療を要した口腔頸部の重症感染症例の検討

神戸中央病院 歯科口腔外科 1)

神戸大学大学院医学研究科外科系講座口腔外科学分野 2)

○藤林淳子 1、2)、古土井春吾 2)、畑みどり 2)、楠元順哉 2)、後藤育子 2)、明石昌也2)、古森孝英 2)

3.当科における入院加療を要した口腔感染症の臨床統計

近畿大学医学部附属病院 歯科口腔外科

○芦田綾那 榎本明史 三木仁美 鳥畑さやか 安本実央 濱田傑 

4.当院における心臓血管外科患者に対する周術期口腔機能管理

神戸大学院医学研究科外科系講座口腔外科学分野

○藤 大補、明石昌也、古土井春吾、西井美佳、後藤育子、古森孝英

16:30~17:00   一般演題 2  座長:宝塚市立病院歯科口腔外科 柳澤高道

5. 薬物性肝障害を伴い重症薬疹を疑ったカポジ水痘様発疹症の 1例

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1,医療法人社団 関田会 ときわ病院 歯科口腔外科

2,神戸常盤大学短期大学部 口腔保健学科 

○芝辻 豪士、内橋 康行、中村 純也、足立 了平

6. 重度慢性歯周炎から発症した膿胸の1例

宝塚市立病院 歯科口腔外科

○橋谷 進、村井一見、春日佳織、柳澤高道

7. 三叉神経第Ⅱ枝領域の帯状疱疹により歯槽骨壊死をきたした血液透析患者の 1例医療法人田北会田北病院歯科口腔外科 1)、奈良県立医科大学口腔外科学講座 2)

○福辻 智 1)2)、山本一彦 1)2)、前田雅彦 1)2)、堀田 聡 1)2)、小松祐子 2)、小向井英記 2)、

今井裕一郎 2)、桐田忠昭 2)

17:00~18:00   特別講演        司会 浦出 雅裕(兵庫医科大学)

         『ウィルス肝炎の診断と治療』~なぜ今肝炎なのか?~         健康法保険組合連合会 大阪中央病院 副院長

                    林 英二朗 先生

18:30~20:30 懇親会  伊丹シティホテル 11F ミナレット

第2日目 平成 26 年 10 月 26 日(日)

9:40~10:00 一般演題 3  座長:兵庫医科大学歯科口腔外科 野口一馬

8.当院における院内感染予防対策

POIC 研究会

○小西康三

9.歯科診療台のトラブル 一番多いのは水まわり

 公立学校共済組合近畿中央病院 口腔外科

 ○陽川 信子  薬師寺 登

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10:00~10:40 一般演題 4  座長:明和病院歯科口腔外科 末松基生

10.難治性骨髄炎(BRONJ)に対してテリパラチドを使用した 1例加古川東市民病院歯科口腔外科

*神戸大学大学院医学研究科外科系講座口腔外科学分野

○松尾健司,李 進彰,柚鳥宏和,松本耕祐,石田 優,古森孝英*

11.抗 RANKLモノクローナル抗体(デノスマブ)投与患者に発症した顎骨壊死の 1例

神戸大学大学院医学研究科外科系口座口腔外科学分野

○岩田英治,明石昌也,長谷川巧実,古土井春吾,古森孝英

12.BRONJ の新しい治療戦略:早期の手術療法の有効性と術式について

長崎大学医歯薬学総合研究科口腔腫瘍治療学分野

○林田 咲,坂本由紀,高橋英哲,船原まどか,山田慎一,柳本惣市,梅田正博

13. 兵庫県病院歯科を受診した薬剤誘発性顎骨壊死患者の臨床統計

兵庫県病院歯科医会 BRONJ調査委員会1 兵庫医科大学 歯科口腔外科学講座・2神戸市立医療センター中央市民病院 歯

科口腔外科・3 県立淡路医療センター 歯科口腔外科・4 新須磨病院 歯科口腔外

科・5姫路赤十字病院 歯科口腔外科・6加古川東市民病院 歯科口腔外科・7 公立豊岡

病院 歯科口腔外科・8明和病院 歯科口腔外科・9関西労災病院 歯科口腔外科10神戸市立医療センター西市民病院 歯科口腔外科・11西宮市立病院 歯科口腔

外科・12 近畿中央病院 歯科口腔外科・13 兵庫県立がんセンター 歯科口腔外

科・14宝塚市立病院 歯科口腔外科・15西脇市立西脇病院 歯科口腔外科・16神戸大学

医学部附属病院 歯科口腔外科・17ときわ病院 歯科口腔外科

○首藤 敦史 1・岸本 裕充 1・野口 一馬 1・大西 正信 2・石田 佳毅 3・小林 正樹 4・

藤原 成祥 5・李 進彰 6・安田 真也 7・末松 基生 8・北村 龍二 9・河合 峰雄 10・網野

かよ子 11・薬師寺 登 12・赤澤 登 13・柳澤 高道 14・谷垣 信吾 15・古土井 春吾 16・

古森 孝英 16・足立 了平 17

10:40~11:20  教育講演   司会 大西 正信(神戸市立医療センター中央市民病

院)

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        公立学校共済組合近畿中央病院 呼吸器内科 医長

                    山根 宏之 先生

休憩

11:30~12:30     ランチョンセミナー 

      座長 中川 洋一 (鶴見大学歯学部付属病院 口腔機能診療科)

鹿児島大学医学部・歯学部付属病院 口腔顔面センター口腔外科

上川 善昭 

休憩

12:40~13:10  一般演題 5  座長:神戸医療センター西市民病院歯科口腔外科

河合 峰雄 

14.口腔癌術後挿管患者に対する SSI 予防のための口腔管理方法の検討:口腔咽頭貯

留液中の細菌数の推移および抗菌薬局所投与の有効性について

長崎大学大学院医歯薬学総合研究科口腔腫瘍治療学分野

○船原まどか、林田 咲、坂本由紀、高橋英哲、山田慎一、柳本惣市、梅田正博

15. 口腔癌術後感染症に関する臨床的検討 ~術後感染の予測因子と対策について~

長崎大学医歯薬学総合研究科口腔腫瘍治療学分野

○高橋英哲,船原まどか,林田 咲,坂本由紀,松下祐樹 ,山田慎一,柳本惣市,

梅田正博

16.HLA半合致移植患者に対するオーラルマネジメントによる口腔粘膜障害の予防

  兵庫医科大学病院 歯科口腔外科

○河田 尚子, 蔵下 舞,川邊 睦記, 首藤 敦史,藤原 正識, 森寺 邦康, 野口 一馬,岸

本 裕充

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13:10~15:05      シンポジウム

       オーラルマネジメント (それぞれの立場からの発言)

             司会 岸本 裕充(兵庫医科大学歯科口腔外科学講座)

                永長周一郎(東京都リハビリテーション病院歯

科)

1.病院歯科から  病院歯科の立場から「看護師に期待される役割から連携を考え

る」     永長周一郎(東京都リハビリテーション病

院歯科)

2.医科から      辻江 正樹(市立堺病院 外科)

3.大学病院から  神戸大学病院における口腔機能管理の試み    

古土井春吾(神戸大学歯科口腔外科)

4.開業医から   オーラルマネジメント 開業医の立場から

小屋経寛(伊丹市歯科医師会 小屋歯科医院)

5.歯科衛生士から  電子カルテにおける情報共有とチーム医療

川口明子(公立学校共済組合近畿中央病院口腔外科)

閉会挨拶    準備委員長 石井 庄一郎

15:30~17:30  ICD 講習会 「口腔感染対策」

             司会 金子 明寛(東海大学医学部外科系口腔外科)

1、歯科感染対策 CDCガイドライン 2003 を再考する

             谷垣 信吾(西脇市立西脇病院 歯科口腔外科)

2.オーラルマネジメントによる誤嚥性肺炎から BRONJ の予防まで

             岸本 裕充(兵庫医科大学歯科口腔外科学講座)

  

17:45~18:15  伊丹市公開市民講座

             薬師寺 登(公立学校共済組合近畿中央病院口腔外科)

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特別講演

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『ウィルス肝炎の診断と治療』~なぜ今肝炎なのか?~

健康保険組合連合会 大阪中央病院 副院長                       林 英二朗 先生

口腔は消化管の入口で思ったよりも常在菌が多いところであり術前の口腔ケアーが注目されています。最近はエボラ出血熱やデング熱などのウィルス感染症が話題になっていますが、歯科口腔外科の領域では歯科処置に関しての血液を介したウィルス感染が話題になっていました。ウィルス感染に対応するためにはまず敵を知ることが大切で、今回は私の専門にしています肝炎ウィルスについての最近の話題を紹介させていただきます。

肝炎を起こすウィルスは数多く発見され、発見された順に Aから名前が付けられていますが、肝炎から肝硬変、肝細胞癌と慢性の経過をたどるのは B型肝炎と C 型肝炎のふたつです。今回はこの肝炎ウィルスについての最近の話題をお話しさせていただきます。治療の発達によって発癌を抑制できるようになった今がお話しする良い機会と考えています。

B 型肝炎ウィルス感染者は世界に 4億人いると考えられていますが、日本ではウィルス保菌率は約 1.0%ですが、既感染者は人口の 20-30%との報告もあります。ウィルスに対する抗体ができて感染が落ち着いていても肝細胞内にCCC―DNA として残っており免疫が低下すると再活性化することがあり、既感染者も経過観察が必要です。しかし、現に肝炎の存在する患者さんはペグインターフェロンや核酸アナログなどの治療薬やワクチンを使って肝炎ウィルスをコントロールすることが大切です。

C 型肝炎については世界に 1億 7000万人、日本には 200万人の患者がいますが、肝細胞癌の原因の約 80%を占めると考えられています。最近 20 年間でインターフェロンや抗ウィルス剤併用による治療法が進歩して最新の治療法では 90%以上のウィルルス排除率が得られています。また、経口剤のみでの治療も始まろうとしています。

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[略歴]健康保険組合連合会大阪中央病院 副院長 大阪大学医学博士

昭和 53 年 3 月 大阪大学医学部卒

昭和 53 年 7 月 大阪大学医学部付属病院 第3内科研修医

昭和 54 年 6 月 大阪第2警察病院 内科医員

昭和 57 年 1 月 大阪大学医学部付属病院 第 3 内科医員

昭和 61 年 8 月 大阪大学医学部付属病院 第 3 内科助手

平成 4 年 12 月 大阪府立羽曳野病院 第 1 内科医長

平成 6 年 4 月 大阪府立羽曳野病院 第 4 内科部長

平成 13 年 11 月 公立学校共済組合近畿中央病院 消化器内科部長

平成 15 年 6 月 公立学校共済組合近畿中央病院 医務局長兼任

平成 17 年 11 月 公立学校共済組合近畿中央病院 内視鏡センター長兼任

平成 23 年 4 月 公立学校共済組合近畿中央病院 副院長

平成 26 年 4 月 健康保険組合連合会大阪中央病院 副院長

平成 12 年 4 月  大阪大学医学部第3内科 非常勤講師

平成 20 年 4 月  大阪府立看護大学 非常勤講師

平成 22 年 4 月  兵庫医科大学 臨床教育教授 兵庫医療大学 薬学部非常勤講師

[所属学会・認定医]日本内科学会

日本消化器病学会

日本消化器内視鏡学会

日本肝臓学会

日本肝癌研究会

日本内科学会認定医

日本消化器病学会認定医指導医

日本消化器内視鏡学会認定医指導医

日本肝臓学会認定医

日本医師会認定産業医

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教育講演

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呼吸器感染症高齢者肺炎について

公立学校共済組合 近畿中央病院 呼吸器内科   山根宏之 先生

肺に炎症が起きる病気のことをまとめて肺炎という。肺炎には、感染源を吸い込んで発病する細菌性肺炎、ウイルス性肺炎、真菌性肺炎などの感染性の肺炎と、薬剤性肺炎、アレルギー性肺炎などの非感染性の肺炎がある。社会の高齢化に伴い、感染性の肺炎を代表とした呼吸器感染症の患者の数が増加している。85 歳以上の高齢者の肺炎による死亡率は性別にかかわらず,若年成人の 1000 倍以上であり,90 歳以上の男性に限れば,死因の第 1 位となっている。特に近年では、高齢者の患者の中には、病院と市中の中間的存在である老人ホームなどの介護施設などの医療関連施設に入所しているケースも多数みられるようになった。このことから、罹患場所による肺炎の分類として、従来よりいわれていた市中肺炎(community-acquired pneumonia; CAP)、院内肺炎(hospital-acquired pneumonia; HAP)とは別に、医療・介護関連肺炎(nursing and healthcare-associated pneumonia;NHCAP)という概念が必要となった。そこで日本呼吸器学会では市中肺炎(CAP)のガイドライン(2007 年作成)、院内肺炎(HAP)のガイドライン(2008 年作成)に加え、2011 年に医療・介護関連肺炎(nursing and healthcare-associated pneumonia;NHCAP)のガイドラインを作成した。今回、このセッションでは、主に呼吸器感染症の代表的疾患として、医療・介護関連肺炎(nursing and healthcare-associated pneumonia; NHCAP)を挙げ、その考え方、発生機序、原因菌、入院の必要性の有無の判断、治療区分にそった抗生剤の選択の仕方、口腔ケアやワクチン接種といった予防の仕方等につき、日本呼吸器学会作成のガイドラインに基づき説明する。

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[略歴]1995年3月 金沢大学医学部卒業 2001年 4月 大阪大学大学院医学系研究科分子病態医学専攻入学 2005年 3月 大阪大学大学院医学系研究科分子病態医学専攻単位取得退学 2005年 4月 大阪大学大学院医学系研究科呼吸器・免疫アレルギー感染内科研究

生【職歴】

 1995年 6月 大阪大学附属病院 内科 研修医 1996年 6月 西宮市立中央病院 内科 1998年 6月 国立療養所刀根山病院 呼吸器内科 1999年 6月 東大阪市立総合病院 呼吸器内科 2005年 6月 独立行政法人国立病院機構大阪南医療センター呼吸器科

 2010年 4月 公立学校共済組合近畿中央病院呼吸器内科【学位・資格・免許】

 1995年 5月 医師免許証(第 374397号)

 2001年 1月 日本医師会認定産業医(第 0004638号) 2002年 9月 日本内科学会認定医(第 21501号) 2005年 5月 大阪大学医学博士号(第 19714号) 2006年12月 日本呼吸器学会専門医(第 000207号) 2009年 1月 日本呼吸器内視鏡学会専門医(第 208466号) 2011年12月 日本呼吸器学会指導医(第 000519号)【がん領域における主な活動】

2008年 4月 大阪南医療センターにて緩和ケアチームとして活動に参加

2010年 4月 公立学校共済組合近畿中央病院にて緩和ケアチームとして活動に参加

2011年 7月 日本緩和医療学会主催平成 23 年度指導者研修会修了

【所属学会】

日本内科学会  日本緩和医療学会

日本呼吸器学会

日本肺癌学会

日本呼吸器内視鏡学会

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ランチョンセミナー

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周術期口腔機能管理の要点 口腔カンジダ症と口腔ヘルペス

鹿児島大学医学部・歯学部付属病院講師口腔顎顔面センター・口腔外科

上川善昭 先生

口腔ケアは、う蝕、歯周病の予防だけでなく、周術期やがん治療に伴う口腔合併症、敗血症、誤嚥性肺炎などの全身感染症の予防の観点からも、注目されるようになってきました。そのなかでも、口腔カンジダ症の診断と薬物療法を中心に講演する予定です。リスクファクターである義歯の対処法とカンジダ症の予防法についても概説する予定です。

紅いカンジダ症には要注意がん治療では副腎皮質ホルモンが使用されることが多く、易感染性患者が多い。紅斑性カンジダ症は口腔粘膜炎との見分けが困難で見過ごされやすい。

口腔ヘルペスの鑑別診断が重要がん治療では口腔粘膜炎が生じることが多い。粘膜障壁が破壊されると口腔カンジダが仮性菌糸を出して粘膜下に侵入し口腔カンジダ症を発症するが、口腔粘膜炎との鑑別が困難で見過ごされやすい。易感染性患者ではヘルペスが併発することが多く見過ごすと重篤となりやすい。ヘルペスの鑑別診断は重要である。

栄養状態の改善と口腔清掃が必須Sonis の粘膜炎の 5相で示されているように微生物が多ければ口腔粘膜炎は増悪し治癒が遷延する。また、口腔粘膜炎の増悪による摂食障害は低栄養状態をもたらし悪循環の始まりとなる。

カンジダ症の予防法ナノ銀を応用したカンジダの予防法、カンジダ卵黄抗体を応用したカンジダ予防法についても概説する。

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[略歴]1985 年 4 月 10 日鹿児島大学歯学部歯学科入学

1991 年 3 月 25 日鹿児島大学歯学部歯学科卒業

1995 年 3 月 25 日鹿児島大学大学院歯学研究科単位取得後退学

同年 4 月 01 日鹿児島大学歯学部附属病院医員(第一口腔外科)

1996 年 4 月 01 日健康保険人吉総合病院歯科医長

1998 年 5 月 29 日博士(歯学)鹿児島大学歯研 79号1999 年 4 月 01 日健康保険人吉総合病院歯科口腔外科部長

1999 年 10 月 01 日フンボルト大学シャリテ病院(ベルリン)留学

2000 年 10 月 01 日年鹿児島大学歯学部付属病院第一口腔外科助手

2004 年 4 月 01 日名称変更により

鹿児島大学医学部・歯学部附属病院口腔顎顔面センター・口腔外科助手

2009 年 6 月 01 日 鹿児島大学病院診療講師・口腔外科

2014 年 4 月 01 日 鹿児島大学病院専任講師、 以後現在に至る。

【所属学会】

日本口腔外科学会(評議員)、日本口腔内科学会(評議員)、日本歯科薬物療法学会(教育担当

理事、評議員)、日本化学療法学会、日本エイズ学会、日本医真菌学会、日本唾液腺学会、

European Association of Oral Medicine (EAOM)、International Association for Oral and Maxillofacial Surgeons (IAOMFS)、【賞罰】

全国社会保険基金連合選抜留学生(199-2000 年)Medaltis Awards 受賞(2007 年日本口腔外科学会総会)

優秀ポスター賞(2011 年日本口腔腫瘍学会総会)優秀発表賞、最優秀ポスター賞(2012 年日本有病者歯科医療学会)【資格等】

(公)日本有病者歯科医療学会認定医、指導医、

(公)日本口腔外科学会専門医 (1400 号)、歯科薬物療法学会治験担当者 、 Infection Control Doctor (ICD制度協議会、OP61号) 、日本化学療法学会抗菌化学療法認定歯科医師、歯科薬物療法学会認定歯科医、がん治療認

定医(歯科口腔外科)

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一般演題抄録

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1.切開排膿及び入院加療を要した成人歯性感染症患者の細菌学的・臨床的検討奈良県立医科大学感染症センター1)

奈良県立医科大学口腔外科学講座2)

○小松 祐子 1),2) 笠原 敬 1) 今井 裕一郎 2) 福辻 智 2) 柳生 貴裕 2)

上田順宏 2) 桐田 忠昭 2) 

【目的】歯性感染症は縦隔炎など他臓器の合併症をきたし重症化することがある。今回我々は切開排膿及び入院加療を要した成人歯性感染症患者の検討を行ったので報告する。【方法】対象は 2008 年 1 月から 2013 年 12 月までに奈良県立医科大学口腔外科で切開排膿及び入院加療を要した成人歯性感染症患者 39名で、臨床的検討として患者背景を、細菌学的検討として排膿時の細菌の分離頻度と薬剤感受性を検討した。【結果】男性 21名女性 18名で,平均年齢は 61歳であった。基礎疾患を有する患者は 82%にみられた。83.3%が開口障害、66.6%に嚥下痛を伴い、CT 検査では 82%に咽頭や深頸部への炎症の波及を認めた。56.4%が何らかの内服薬を服用し、22.2%がベンゾジアゼピン系薬 を服用 し て い た 。 合併症 は縦隔炎 が 5.1% 、 感 染 性心内膜炎 が2.5%、MRSA による TSS が 2.5%にみられた。気管切開、人工呼吸管理が必要であった患者は 10.2%であった。複数菌検出患者は 84.6%(同時検出細菌種は平均 2.6菌種)で、81.9%の患者で嫌気性菌が分離された。半数以上の患者から分離された細菌は Streptococcus 属(71.8%)及び Prevotella 属(56.4%)であった。69.2%の患者に抗菌薬の前投与が行われていたが、使用歴の有無と検出された菌種や数に関連はなかった。β-ラクタマーゼ産生菌は38.4%の患者で分離された。Streptococcus属に対する ABPC の感受性率は75%で FMOX は 42.9%、Prevotella属に対する CVA/AMPC の感受性率は100%で FMOX は 92.3%であり、いずれの菌種に対してもペニシリン系薬の方が FMOX よりも高い感受性率を示した。【考察】重症化する患者背景、細菌の分離頻度および感受性の把握は、治療抗菌薬選択においても重要であると考える。

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2.入院加療を要した口腔頸部の重症感染症例の検討神戸中央病院 歯科口腔外科 1)

神戸大学大学院医学研究科外科系講座口腔外科学分野 2)

○藤林淳子 1、2)、古土井春吾 2)、畑みどり 2)、楠元順哉 2)、後藤育子 2)、明石昌也 2)、古森孝英 2)

【緒言】口腔頸部の感染症は日常の臨床でよく遭遇する疾患であり、抗菌薬が発達した今日においても、時に重症化することがある。今回、われわれは、重症感染症により入院加療を要した症例について臨床的検討を行ったのでその概要を報告する。【方法】対象は 2009 年 1 月から 2013 年 12 月までの 5 年間に神戸大学病院口腔外科を受診し、重症感染症にて入院加療を行ったのべ 40人を対象とした。性別、年齢、発症から受診までの期間、基礎疾患の有無、体温、血液検査所見、原因疾患、使用抗菌薬、抗菌薬の投与期間、起炎菌等について検討を行った。【結果】性別は男性 14例、女性 26例、年齢は 7歳から 90歳までで、平均年齢は 61.1歳であった。臨床診断名は顎骨周囲蜂窩織炎 27例と最も多く、ついで顎骨周囲膿瘍 6例、下顎骨骨髄炎 5例、顎下腺炎、壊死性筋膜炎1例であった。基礎疾患を有する症例は 24例であった。原因歯は下顎第二大臼歯が7例と最も多く、ついで下顎智歯が 6例、下顎第一大臼歯が 5例であり、原因疾患は根尖性歯周炎が 23例と最も多かった。抗菌薬の平均点滴投与日数は 7日であった。消炎手術を行った症例は 12例あり、内 3例が全身麻酔下での手術 で あ っ た 。 細 菌 検 査 は 13 例 に 行 わ れ て お り 、Streptococcus、Peptostreptococcus、Prevotella が最も多く検出された。【まとめ】患者は 60、70代に集中しており、年齢が高い程、また初診時のCRP の値が高い程、抗菌薬の点滴投与日数が長くなる傾向にあった。また、点滴日数が 7 日以上の症例では基礎疾患を有する症例が多かった。

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3.当科における入院加療を要した口腔感染症の臨床統計近畿大学医学部附属病院 歯科口腔外科○芦田綾那 榎本明史 三木仁美 鳥畑さやか 安本実央 濱田傑 

【緒言】口腔感染症は日常の歯科診療の中で極めて大きな比重を占める疾患である。

これらの症例は外来での消炎処置により対処できる場合がほとんどであるが、重症ではしばしば入院加療が必要となる場合も認められる。今回われわれは、当院歯科口腔外科にて入院加療を要した口腔感染症についての検討を行った。【対象および方法】

2005 年 1 月から 2014 年 8 月までの 9 年 7か月の間に、当科にて入院加療をおこなった口腔感染症 88 症例を対象とした。これらの症例に対して、性別、年齢、入院日数、感染原因、血液検査所見、基礎疾患、予後についての検討を行った。また、2009 年 12 月までの前半 5 年間と 2010 年 1 月以降の後半 5年間においての変遷についても検討した。【結果】

対象患者は 3歳から 85歳までの 82名(複数回入院患者は 6名)。男性 39名、女性 43名。平均年齢 54.1歳。前半 5 年間の入院症例は 24 症例で、後半5 年間は 64 症例であった。平均入院日数は 8.7 日(前半 5 年間は 10.0 日、後半 5 年間は 8.3 日)。感染原因は歯性感染 53 症例、抜歯後感染 11 症例、BMA関連顎骨壊死 11 症例、腫瘍の感染 4 症例、その他 9 症例であった。平均血液検査所見は CRP は 14.3 mg/dl であった。既往歴として高血圧症、糖尿病、骨粗鬆症が多く基礎疾患を認めた症例は 65 症例であった。予後は、軽快退院が 78 症例、転科・転院が 2 症例、死亡が 2 症例であった。【考察】

患者数は後半 5 年間に大幅に増加しており、地域医療連携による紹介患者の増加に起因すると考えられた。また、BMA関連顎骨壊死の症例数が前半から後半にかけて増加しており、根治できず感染を繰り返す経緯をたどることから今後も症例数は増加していくことが考えられる。

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4.当院における心臓血管外科患者に対する周術期口腔機能管理神戸大学院医学研究科外科系講座口腔外科学分野○藤 大補、明石昌也、古土井春吾、西井美佳、後藤育子、古森孝英

【諸言】心臓血管外科手術において、術後感染の発症は患者の予後を左右するため、身体の中に感染病巣がないことが望ましい。特に感染性心内膜炎の原因菌として口腔内細菌の占める割合が高いことが知られており、術前の口腔管理が重要となる。当科における心臓血管外科患者に対する周術期口腔機能管理の内容について報告する。【対象】2013 年 8 月から 2013 年 11 月までの 4ヶ月間に、当院循環器内科及び心臓血管外科より口腔管理の依頼があった 123 症例を対象とし、心疾患の内訳、抗血栓療法が施行されている患者の割合、当科での治療内容などについて検討した。【結果】心疾患の内訳は、弁膜疾患 59 症例、動脈瘤 35 症例、動脈解離 15 症例、冠動脈疾患 20 症例(重複含む)などであった。原則として、歯科衛生士が介入して口腔衛生管理を行い、感染源となりうる歯は抜歯などの治療を行ったが、当科への紹介が手術直前のために抜歯ができなかった症例や手術後に当科へ紹介された症例もみられた。【まとめ】心臓血管外科手術前の歯科介入は合併症を予防するために重要であり、今後は入院センターと本年 5 月に開設した口腔機能管理センターが連携による、手術前に円滑に歯科介入ができるようなシステムづくりが必要。また、退院後の歯科観血的処置の際に注意が必要な人工弁置換術や抗血栓療法が施行されている症例が多く、地域の歯科診療所との連携が重要と考えられた。

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5.薬物性肝障害を伴い重症薬疹を疑ったカポジ水痘様発疹症の 1例○芝辻 豪士、内橋 康行、中村 純也、足立 了平1,医療法人社団 関田会 ときわ病院 歯科口腔外科2,神戸常盤大学短期大学部 口腔保健学科 

Stevens-Johnson 症候群(SJS)、中毒性表皮壊死症(TEN)、薬剤性過敏症症候群(DIHS)等は生命に関わる重篤な薬疹であり、肝障害等の臓器障害を伴うことも多いことが知られている。また、カポジ水痘様発疹症はアトピー性皮膚炎等の皮膚疾患を基礎疾患とし、経皮的に主に HSV-1等のウイルスが感染することによって発症する。今回われわれは、薬物性肝障害を伴い重症薬疹を疑うカポジ水痘様発疹症の症例を経験したので報告する。患者は 77歳男性。下腹部痛を主訴に当院外科受診、急性虫垂炎の診断のもと入院下にセフトリアキソンナトリウム点滴開始となったが、翌日高度の肝機能異常認めたため中止。その翌日ごろから口唇周囲の皮疹出現、増悪傾向認めたため 3 日後に当科紹介初診。当科初診時、口唇を中心とし顔面と口蓋粘膜に出血を伴う水泡・びらんを認めた。高度の肝機能異常を伴うため重症薬疹を疑い某病院皮膚科へ対診したところカポジ水痘様発疹症の診断を得た。アシクロビル 7 日間の点滴行い 3週間後には皮疹ほぼ消失、肝機能も正常化し再発なく経過良好である。

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6.重度慢性歯周炎から発症した膿胸の1例宝塚市立病院 歯科口腔外科○橋谷 進、村井一見、春日佳織、柳澤高道

 膿胸は敗血症や外傷などが原因で、胸腔内に膿性慘出液が貯留する疾患である。今回重度歯周炎が原因と考えられた膿胸患者に対して、口腔内の治療も行うことで良好な治療経過が得られた症例を経験したため、その概要を報告する。 患者は65歳男性。初診:1ヶ月前から湿性咳嗽、喀痰や食欲不振、発熱が出現。徐々に症状の増悪と呼吸不全が認められるようになり2012年10月末、当院の救急外来を受診。胸部レントゲンで下肺野が圧排性無気肺膿胸状態であることから入院下即日胸腔ドレナージ施行。胸水培養で S. anginosus group が検出されたため、口腔内精査目的で、入院10日目に当科対診となった。既往歴:45年間1日30〜40本の喫煙歴以外特記事項はなく、歯科治療歴は最近 5 年間なかった。初診時、下顎は無歯顎であったが、クラスプ付きの局部床義歯を不適合ながら使用していた。さらに同義歯は内面も含め多量の歯石が付着していた。上顎は全ての歯肉に腫脹、発赤が認められ、易出血性であった。残存歯牙にはプラークや歯石が多量に付着しており、右上側切歯と両側中切歯は動揺度Ⅲであった。また、パノラマレントゲン写真でも水平的骨吸収が認められた。広汎型重度慢性歯周炎の診断の下、保存不可の右上側切歯と両側中切歯を即日抜歯し、以後は呼吸器内科での胸腔洗浄と抗菌剤の投与に並行して、歯周治療を含めた徹底した口腔管理を施行した。その結果膿胸の状態も徐々に改善し、本人のセルフケアの向上もあり口腔内状態も著しく改善した。その後、上下顎義歯を作成し咬合回復を図り、入院約1ヶ月後に経過良好で退院となった。現在口腔管理はかかりつけ歯科で継続されている。本症例は既往歴に特記事項がないにも関わらず、重度慢性歯周炎による膿胸を呈したまれな症例であるが、かかりつけ歯科医院を持ち、口腔衛生管理を受けていれば予防できた可能性があると思われた。

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7.三叉神経第Ⅱ枝領域の帯状疱疹により歯槽骨壊死をきたした血液透析患者の 1例医療法人田北会田北病院歯科口腔外科 1)、奈良県立医科大学口腔外科学講座 2)

○福辻 智 1)2)、山本一彦 1)2)、前田雅彦 1)2)、堀田 聡 1)2)、小松祐子 2)、小向井英記 2)、今井裕一郎 2)、桐田忠昭 2)

帯状疱疹は、水痘・帯状疱疹ウイルス(varicella-zoster virus; VZV)の回帰感染により水疱疹を発現する疾患で、合併症として帯状疱疹後神経痛が知られている。今回われわれは、三叉神経第Ⅱ枝領域に発症した帯状疱疹により歯槽骨壊死と歯の自然脱落をきたした血液透析患者の 1例を経験したので報告する。患者:76歳、男性。主訴:左側上唇腫脹および左側上顎歯牙の動揺。既往歴:慢性腎不全にて 3 回/週の血液透析を受けている。現病歴:2014 年 7 月上旬に左側上唇にアフタ状病変が発現し、近歯科医院にて口内炎と診断されレーザー焼灼を受けた。その後、左側上唇から中顔面にかけて水庖形成を認めたため、当院透析時に担当医の診察をうけ、左側三叉神経第Ⅱ枝領域の帯状疱疹と診断された。当院内科に入院の上、パラシクロビル塩酸塩 500㎎/日およびプレドニゾロン 30㎎/日を投与された。血液検査では VZV抗体価(補体結合反応:64倍)、VZV 特異抗体 IgG(蛍光抗体法:128倍)の上昇を認めた。7月中旬、左側上唇の腫脹および左側上顎歯牙の動揺を認めたため当科を紹介受診となった。現症:左側上唇の腫脹および口蓋側粘膜に巨大なびらんの形成を認め、左側上顎側切歯から第一大臼歯まで動揺度3の歯牙動揺を認めた。パノラマX 線写真では左側上顎に骨硬化像を認めた。初診時臨床診断:左側三叉神経第Ⅱ枝領域の帯状疱疹による歯槽骨壊死。処置および経過:二次感染予防を目的に局所洗浄を行い、クラリスロマイシン 400㎎/日を投与した。帯状疱疹による水泡とびらんは 7 月末には改善したが、左側上顎側切歯から第一大臼歯までがすべて自然脱落し、歯槽骨が口腔内に露出した。腐骨除去を予定したが、帯状疱疹後神経痛によりペインクリニックに紹介となったため、当科外来にて局所洗浄を継続している。

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8.当院における院内感染予防対策POIC 研究会小西康三【はじめに】水道水は、通常の蛇口から採取した場合、細菌はほとんど存在しない。しかし、この水道水を利用しているはずの歯科治療用ユニットの末端(治療器から出る水・うがい用の水・シリンジ・タービン・超音波スケーラー等)から採取した水を調査すると、70%以上の割合で、安全な水道水の基準である「100cfu/ml 以下」を超える多量の細菌が存在するとの報告がある。残留塩素濃度は、給水栓から 0.1ppm 以上を維持するように水道法により規制されているが、休診日や夜間などの止水により、歯科ユニットの給水チューブ内の残留塩素が減少してしまうため、水道水が本来有している殺菌能力がなくなり、細菌が急激に増殖し、さらにユニットチューブ内にバイオフィルムが形成すると考えられている。【対策】当院では院内全ての配管に連続的に殺菌水を流すエピオス社製エコシステムを採用している。様々な装置により水質改善した水をさらに電気分解し、電解中性殺菌水(ph6.5~7.0)を生成するシステムで、20ppm の電解次亜塩素酸水を流している。最大の特徴は既存の配管やチューブを全て取り替えバイオフィルムを除去することである。【考察】ユニット内のウォーターラインに有効な残留塩素を流すのに不適切な材質のチューブが用いられるケースもあり、残留塩素が消失しているだけでなく、多くの場合、チューブ内にバイオフィルムが形成されていて細菌汚染を招いていると言われている。施設責任者は治療水の細菌数を0にするべく、耐薬品性に優れた材質を使用したウォーターラインに改良し、末端での有効残留塩素濃度を確保しなければならない。更にこの末端での残留塩素濃度を補正し 10~20ppm にする事により、院内感染の原発である患者の口腔内からの飛沫感染をも予防できることとなり、水質汚染の改善のみならず抜本的な院内感染対策をとることができる。

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9.歯科診療台のトラブル 一番多いのは水まわり公立学校共済組合近畿中央病院 口腔外科○陽川 信子  薬師寺 登

                  

<はじめに>手指消毒の基本はアルコール擦式消毒であるが、歯科診療後の手洗いは流水

と石鹸によることが一般的である。平成 15 年度厚生労働省科学研究費補助金事業「医療施設における院内感染(病院感染)の防止について」では、『手洗いは管理された水道水で十分であり、あえて滅菌水を使用する必要はない』と明文化された。しかしながら、管理された水道水が汚染もしくは錆などの不純物が混入しているとしたらどうであろう。演者は、診療室内の水道の蛇口から、明らかに錆が混入している黄褐色の水がエアーとともに噴出した事例を経験したので報告する。<事例>この事例は平日の 10時ごろに起こった。演者が診療後手洗いのため水道蛇

口を開栓したところ、水道管内から水とともに空気が間欠的に噴出した。その水道水の色は断水後に経験するような黄褐色を呈しており、瞬く間にシンク上に錆様の不純物が堆積してきた。保全係に連絡し対応を求めるもしばらく放水して経過をみる様に指示されたが 1時間経過しても変化はなかった。数時間後、診察室前にあるトイレの水洗からも同様の黄褐色の水が確認されたと報告があった。当院では歯科用ユニットの給水は、滅菌蒸留水を給水源としているため、診療には影響を受けなかったが、17 年前に購入した診察用ユニットの3WAYシリンジだけは給水系に水道水を使用しているので直ちに使用を停止した。翌日、保全係によると夜間は水道水からの異常はなかったと報告があった。診療時間中はコンプレッサーが作動しており、何らかの原因で圧搾空気が水道管内に混入したものと推測された。そこで業者に診療ユニットの点検を依頼したところ、このユニットの水マスターバルブ内のダイヤフラム(ゴム製)が破損していたことにより、水道管(銅管)の錆が圧搾空気の圧力ではがれ蛇口から噴出したことが判明した。<まとめ>原因の診療ユニットは、耐用年数をはるかに経過しており今回の結果を招いた。耐用年数での交換を考慮すべきであった。滅菌蒸留水を給水源としていたことで診療ユニット内に錆が混入することが

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なく診療に支障を来すことがなかった。10.難治性骨髄炎(BRONJ)に対してテリパラチドを使用した 1例加古川東市民病院歯科口腔外科

*神戸大学大学院医学研究科外科系講座口腔外科学分野

○松尾健司,李 進彰,柚鳥宏和,松本耕祐,石田 優,古森孝英*

ビスフォスフォネート(BP)製剤は,骨粗鬆症患者の QOL の維持・改善には不可欠

な薬剤である.しかし発生頻度は低いが顎骨壊死の報告もあり,一旦発症すると治療

に難渋する.

今回われわれは,骨粗鬆症のためアレドロン酸 Na を内服している患者で,抜歯後に

顎骨壊死を認め,口腔内消炎手術を行うも改善なく進行を認め,テリパラチド皮下注

と再度の消炎手術を行い治癒に至った症例を経験したので,臨床経過の概要を報告す

る.

症例は 72歳,女性.┌7 の抜歯後に抜歯窩治癒不全を認めるため紹介初診.

口腔外は左側下顎部に疼痛および腫脹を認め,左側オトガイ神経知覚鈍麻を認めた.

口腔内は┌7部に炎症性の肉芽組織の増生を認めた.

パノラマ X 線所見では,左側大臼歯部の骨は硬化性の変化を認め,内部に腐骨の形

成・分離を認めた.76┐歯根周囲には腐骨が癒着した状態で分離を認めた.

CT において,両側下顎大臼歯部は,歯槽部にび漫性に骨吸収を認め,腐骨の分離を

認めた.骨髄は硬化性の変化が骨髄内全体におよび,下顎管を含んでいた.

骨シンチ所見:左側下顎部に高度集積を認め,右側にも淡い集積を認めた.

臨床経過: BP製剤の休薬およびロキシスロマイシン 300㎎の経口投与を開始し,口

腔内消炎手術・腐骨除去術を施行.右側は良好な治癒経過をたどったが,左側は炎症

の再燃を認め,顎骨はび漫性吸収の進行と膨隆を認め,顎下部に外歯瘻を形成した.

初回手術 4か月後よりテリパラチド 20μg/日皮下注を開始.開始後 2か月頃に再度口

腔内消炎手術を施行した.その後炎症の再燃は認めず,良好な経過をたどり,画像検

査においても良好な骨の形成を認め,外歯瘻の消失,口腔内粘膜の上皮化を認めた.

現在良好に経過している.

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11.抗 RANKLモノクローナル抗体(デノスマブ)投与患者に発症した顎骨壊死の1例神戸大学大学院医学研究科外科系講座口腔外科学分野○岩田英治,明石昌也,長谷川巧実,古土井春吾,古森孝英

【緒言】デノスマブは,ヒト recepter activator of nuclear factor kappa-B ligand(RANKL)に特異的かつ高い親和性で結合するヒト型抗RANKLモノクローナル抗体であり,2012 年 1 月より本邦でも固形癌骨転移による骨病変などの適応で承認された.ビスフォスフォネート製剤(BP製剤)からデノスマブに変更後に顎骨壊死を発症した報告はみられるが,BP製剤投与歴のないデノスマブ投与患者に発症した顎骨壊死については,治験あるいは海外文献での報告があるのみで,本邦における臨床報告はみられない.今回,肺癌骨転移に対し BP製剤投与歴のないデノスマブ投与患者に発症した下顎骨壊死を経験したので,その概要を報告する.【患者】68歳,男性.【既往歴】大動脈弁狭窄症,肺腺癌(脳転移,肝転移,両側鎖骨上窩ほかリンパ節転移,副腎転移,骨盤転移)【現病歴】2013 年 10 月より食事時の口腔内の接触痛を主訴に近医歯科を受診し,両側下顎臼歯部舌側の骨露出を指摘されたが,特に処置は受けずに経過観察されていた.同年 11 月当院呼吸器内科より口腔内骨露出の精査加療目的に当科紹介初診となった.【現症】両側下顎大臼歯部舌側に 10mm 大の骨露出,周囲歯肉の発赤と軽度腫脹および接触痛を認めた.また顔面CT にて右側下顎大臼歯部から下顎枝にかけて透過像と不透過像の混在を認めた.【処置および経過】顎骨壊死の診断の下,口腔衛生管理,局所洗浄および急性症状出現時の抗菌薬投与にて保存的治療を行った.その後,体調不良により通院困難となり 2014 年 6 月に多臓器不全のため死亡した.【考察】今後,デノスマブ投与患者が増えるにつれて顎骨壊死の発症も増加する可能性があり,BP製剤と同様に処方医師と歯科医師間で綿密な連携をとる必要があると思われる.

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12.BRONJ の新しい治療戦略:早期の手術療法の有効性と術式について長崎大学大学院医歯薬学総合研究科口腔腫瘍治療学分野○林田 咲,坂本由紀,高橋英哲,船原まどか,山田慎一,柳本惣市,梅田正博

【諸言】BP製剤関連顎骨壊死(BRONJ)の治療について,ポジションペーパーではステージ 2 までは保存療法が,ステージ 3 では新たに正常骨を露出させない最小限の壊死骨掻把が推奨されている。しかし保存療法主体の治療を行っても症状が増することを経験したため,当科ではステージ 2 の BRONJ では外科療法を原則とし,術式については壊死骨の周囲まで含めて削除するようにしてきた。今回当科の BRONJ の治療法と経過について後ろ向きに検討した。【材料と方法】2008 年 4 月から 2013 年 12 月までに経験した BRONJ55例の治療法と経過について調べた。経口薬:28例,注射薬:27例,ステージ1:9例,ステージ 2:37例,ステージ 3:9例,手術:44例,保存療法 11例であった。骨切除後の創は閉鎖創 35例,開放創 9例であった。保存療法を施行した 11例はいずれも手術拒否または全身状態のため手術を回避した症例である。露骨も含めすべての症状が消失したものを「治癒」,ステージが改善したものを「改善」,変化がないものを「不変」,増悪したものを「悪化」とした。経過観察期間は平均 9.8か月であった。【結果】1)手術例 44例の術式は,壊死骨除去 4例,壊死骨除去+周囲骨削除37例,区域切除 3例であった。2)経口薬による BRONJ の予後は,手術例25例では全例が治癒であったのに対し,保存療法施行例 3例では治癒はなく,改善 1例,不変 2例であった。3)注射薬による BRONJ の予後は,手術例 19例では治癒が 11例,改善が 7例,不変が 1例であったのに対し,保存療法施行例では治癒はなく,改善が 1例,不変が 5例,悪化が 2例であった。【結語】ステージ 2 の BRONJ の治療法としては,経口薬,注射薬とも手術のほうが優れており,今後ステージ 2から積極的に手術を施行することを提言したい。発表では具体的な骨切除範囲についても呈示する予定である。

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14.口腔癌術後挿管患者に対する SSI 予防のための口腔管理方法の検討:口腔咽頭貯留液中の細菌数の推移および抗菌薬局所投与の有効性について長崎大学大学院医歯薬学総合研究科口腔腫瘍治療学分野○船原まどか、林田 咲、坂本由紀、高橋英哲、山田慎一、柳本惣市、梅田正

13.兵庫県病院歯科を受診した薬剤誘発性顎骨壊死患者の臨床統計兵庫県病院歯科医会 BRONJ調査委員会1兵庫医科大学 歯科口腔外科学講座・2神戸市立医療センター中央市民病院 歯科口腔外科・3県立淡路医療センター 歯科口腔外科・4新須磨病院 歯科口腔外科・5姫路赤十字病院 歯科口腔外科・6加古川東市民病院 歯科口腔外科・7公立豊岡病院 歯科口腔外科・8明和病院 歯科口腔外科・9関西労災病院 歯科口腔外科 10神戸市立医療センター西市民病院 歯科口腔外科・11西宮市立病院 歯科口腔外科・12 近畿中央病院 歯科口腔外科・13兵庫県立がんセンター 歯科口腔外科・14宝塚市立病院 歯科口腔外科・15西脇市立西脇病院 歯科口腔外科・16神戸大学医学部附属病院 歯科口腔外科・17 ときわ病院 歯科口腔外科○首藤 敦史 1・岸本 裕充 1・野口 一馬 1・大西 正信 2・石田 佳毅 3・小林 正樹 4・藤原 成祥 5・李 進彰 6・安田 真也 7・末松 基生 8・北村 龍二 9・河合 峰雄 10・網野 かよ子 11・薬師寺 登

12・赤澤 登 13・柳澤 高道 14・谷垣 信吾 15・古土井 春吾 16・古森 孝英 16・足立 了平 17

【緒言】本邦におけるビスフォスフォネート系薬剤(以下,BPs)に関連した顎骨壊死(以下,BRONJ)についての調査研究としては,2011 年に日本口腔外科学会から「Nationwide survey」が発表されているが,それ以降,新たな BPs や抗RANKL抗体(デノスマブ)による顎骨壊死も報告されるようになってきている.今回われわれは,BRONJ発症の現況把握を目的として,兵庫県病院歯科医会に登録されている 57 施設を対象に BRONJ に関するアンケート調査を実施したので,その概要を報告する.【方法】兵庫医科大学歯科口腔外科学講座で作成したアンケートを郵送し,2011 年 1 月から

2013 年 12 月までの 3 年間で BRONJ と診断された症例,またはその期間内に外科処置を施行した症例を集積した.【結果】全 57 施設から回答が得た(回答率は 100%であった).BPs 薬剤名不明などの症例

を除外し,有効症例数は 28 施設からの 280例(男 68,女 212),平均年齢は 73.8歳であった.デノスマブを投与されていた症例は 29例で,そのうちBPs を併用しない単独投与は 9例であった.BPs などの投与の原疾患は,骨粗鬆症 146例,悪性腫瘍 134例であった.それぞれの初診時ステージ区分としては,骨粗鬆症/悪性腫瘍の順に,0 が 11例/13例,1 が 27例/27例,2 が 91例/79例,3 が 17例/15例であった.発症部位は下顎 202例,上顎 66例,上下顎 12例であった. 【考察】兵庫県内のみの調査で 280 症例が集められたことから BRONJ 患者が増加している

ことは明らかである.その背景として,BRONJ が広く認知され診断されるようになったことだけでなく,長期投与による BPs の蓄積が関与していると考えられる.また,BRONJ の原疾患として骨粗鬆症の占める割合が高く,これまで報告されていた発症率の推測値を見直す必要性があると思われる.原因薬剤としてパミドロネートに関連した症例が減少した一方,デノスマブなどの新しい薬に関連して発症したと思われる症例も散見されており,これら病態を再検討する必要性が示唆された.

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【緒言】口腔癌手術では術後創部感染(SSI)の発症頻度が高いことが知られているが、その原因の一つは口腔咽頭貯留液中の病原性微生物である。周術期口腔管理では術前のプラーク除去を中心とした口腔管理が広く行われてきたが、術中術後の口腔管理、特に口腔咽頭貯留液に着目した報告はみられない。今回われわれは、口腔癌手術患者において口腔内細菌数の推移を調べるとともに、抗菌薬局所投与の細菌増殖抑制効果について検討したので報告する。【材料および方法】頸部郭清を伴う口腔癌手術患者を対象とし、①術中の舌背、頬粘膜、口蓋、口腔咽頭貯留液中の細菌数推移、②イソジンゲルまたはアクロマイシン軟膏舌背塗布の効果、③術後、再建・気切患者を対象にアクロマイシン軟膏塗布の効果について検討した。また、④アクロマイシン軟膏塗布後経時的に口腔咽頭貯留液中のテトラサイクリン濃度を測定した。【結果】①術中では頬粘膜、口蓋では細菌数の変化はみられなかったが、舌背、口腔咽頭貯留液中では著明な増加を認めた。②術中イソジンゲル塗布群では口腔咽頭貯留液中の細菌数増加は抑制されなかったが、アクロマイシン軟膏塗布群では細菌数の抑制効果は著明であった。③術後アクロマイシン軟膏塗布により、口腔咽頭貯留液中の細菌数は減少し、その効果は数時間持続した。④アクロマイシン軟膏塗布による口腔咽頭貯留液中のテトラサイクリン濃度は 2時間後で 183.4μg/mL、5時間後で 89.3μg/mL と、長時間にわたり著しい高濃度を示していた。【結語】挿管患者では口腔咽頭貯留液中の細菌数は著しく多く、口腔ケアを行っても効果は短時間しか持続しなかった。しかし舌背にアクロマイシン軟膏を塗布することにより口腔ケアの効果を長時間持続させうることが示唆された。本法は口腔癌手術において術後感染予防法として検討すべき方法であると考えられ、今後多施設共同前向き研究を予定している。MI 平均値は 20.4 でSSI発症例で 25 を超えていたのは 3例(25%)であった。【結論】口腔癌の術後感染は、頸部郭清や再建手術、気管切開などを伴う大手術に多く、その他のリスク因子としては術前の栄養不良などが考えられた。術後感染の予防には術前の栄養管理や周術期の口腔管理が重要であると思われ、今後具体的な予防対策方法について検討したい。15.口腔癌術後感染症に関する臨床的検討 ~術後感染の予測因子と対策について~長崎大学医歯薬学総合研究科口腔腫瘍治療学分野高橋英哲,船原まどか,林田 咲,坂本由紀,松下祐樹,山田慎一,柳本惣市,

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梅田正博

【緒言】外科手術時の術後感染は最も頻度の高い合併症の一つであり、手術部位感染(SSI)と遠隔部位感染(RI)の両者に大別される。術後感染は手術成績、入院期間、QOL、医療費等を左右する重要な因子とされ、その発生予防に積極的に取り組む必要がある。今回当科で手術を施行した口腔癌患者の術後感染の発症頻度や、発症のリスク因子について検討を行ったので報告する。【症例】対象は 2013 年~2014 年に当科で手術を行った口腔癌患者 46例である。性別は男性 25例、女性 21例、平均年齢は 69.4歳であった。TNM分類、術式(原発のみ、頸部郭清同時施行、再建手術併用、気管切開有無)、手術時間、出血量、BMI、臨床検査データ、ASA スコア、入院期間などの因子と、SSI や RI の発症頻度について検討を行った。【結果】術式は原発巣切除のみが 27例、頸部郭清が 19例。再建手術が 12例、気管切開が 14例に施行されていた。SSI は浅部 SSI が 5例、深部 SSI が 7例の計 12例に認められた。RI は、誤嚥性肺炎を 2例(4.3%)認めた。SSI の発症は原発巣切除のみが 27例中 1例(3.7%)であったのに対して、頸部郭清同時施行は 19例中 11例(57.9%)と有意に多かった。また、SSI発症例では再建手術が 6例(50.0%)、気管切開が 8例(66.7%)といずれも高頻度にみられた。臨床検査データでは貧血は 8例(66.7%)、低アルブミン血症は 5例(41.7%)に認めた。BMI 平均値は 20.4 で SSI発症例で 25 を超えていたのは 3例(25%)であった。【結論】口腔癌の術後感染は、頸部郭清や再建手術、気管切開などを伴う大手術に多く、その他のリスク因子としては術前の栄養不良などが考えられた。術後感染の予防には術前の栄養管理や周術期の口腔管理が重要であると思われ、今後具体的な予防対策方法について検討したい。

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16.HLA半合致移植患者に対するオーラルマネジメントによる口腔粘膜障害の予防兵庫医科大学病院 歯科口腔外科○河田 尚子, 蔵下 舞,川邊 睦記, 首藤 敦史,藤原 正識, 森寺 邦康, 野口 一馬,岸本 裕充

兵庫医科大学病院血液内科における造血幹細胞移植(移植)の 80%程度がHLA半合致移植(ハプロ移植)である.ハプロ移植は GVL効果が強いものの,急性 GVHD,感染症などの合併症も多く,厚生労働省の研究班においてプロトコルを策定し,当院が中心となって臨床試験を行っている.当院では他施設での治療無効例に対して骨髄非破壊的前処置によるハプロミニ移植を行う場合が多い.基本的な前処置のレジメンは,FLU/AraC/L-PAM (または BUS)/ATG 2.5mg/kg ± TBI(全身放射線照射) 3Gy で,GVHD 予防に mPSL/TAC を併用する.今回,われわれはハプロミニ移植患者における口腔粘膜障害について報告する.

【対象および方法】2013 年 4 月から 2014 年 3 月までハプロミニ移植を受け,当科で術前からオーラルマネジメント(OM)を行った 32名,35件を対象とし,前処置開始から生着期における口腔粘膜炎の発症頻度を中心に調べた.

【結果】35件中口腔粘膜炎は 1件のみで,他に歯性感染症の急性化,カンジダ性口内炎などの感染性合併症はなかった.唯一口腔粘膜炎を生じた患者は,TBI を受けていなかったが,グレード 3 まで達し,経口摂取が不能となった.この患者は食道や肛門からの出血もあり,低栄養で口腔粘膜炎が遷延した.

【考察】今回の調査では,口腔粘膜炎はわずか 3%と,ミニ移植であることを考慮してもきわめて低かった.口腔清掃を徹底しても,口腔粘膜炎の発症自体を抑えることは困難であるが,当院でのハプロミニ移植での口腔粘膜炎の発症が少ない要因として,当院独自の前処置段階からのm PSL の積極的な使用が考えられる.m PSL の使用で,歯性感染症の急性化やカンジダ性口内炎などの感染性合併症を誘発するリスクは高まるが,これらを適切な OM による口腔の清浄化によって予防できているのではないかと思われた.

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シンポジウム

オーラルマネージメント(それぞれの立場からの発

言)

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1.病院歯科の立場から「看護師に期待される役割から連携を考える」

永長周一郎1),品川 隆2)

1)東京都リハビリテーション病院診療部歯科

2)平成横浜病院歯科口腔外科

病院歯科医師が、口腔感染症の視点からオーラルマネジメント(以下OM)を実践

することは論を待たないところである。一方、OM が病棟で確実に実施される、つま

りシステムとして実装されるためには看護師の役割が欠かせない。また、急性期、回

復期、維持期を問わず、広義の摂食嚥下障害看護の一環として OM が実践されること

が理想である。

そこで筆者らは看護師に期待される摂食嚥下障害看護に関する職務項目を、コンセ

ンサスメソッドのデルファイ法により探索し、職務 77項目を策定した。次に摂食嚥

下障害看護・認定看護師 1 期生 31名を対象に、職務項目ごとに職務重要度ならびに

職務遂行度のアンケート調査を行い、「職務重要度が高く」かつ「職務遂行度が高

い」35項目を重要業績評価指標(Key Performance Indicator : KPI)として選定

(リスク管理 10項目、口腔ケア 6項目、食事介助 6項目、アセスメント 5項目、直

接訓練 4項目、間接訓練 1項目、患者・家族への指導 1項目、食形態の対応 1項目、

環境整備 1項目)。さらに摂食嚥下障害看護の KPI のうち、口腔機能管理に関連する

職務となる「口腔ケア」「アセスメント」「間接訓練」の 12項目を OM の KPI とし

て選定。KPI はクリニカルラダーとしての利用など看護教育に有用である。

今回某病院急性期病棟の常勤看護師 14名を対象に、この OM の KPI の各項目につ

いて職務重要度ならびに職務遂行度のアンケート調査をリッカートスケール(7点

法)で行い、OM の実装に関して興味深い知見を得たので報告する。職務重要度が高

いものの職務遂行度が低い職務は「口腔ケアの必要性を患者・家族に理解させる」

「臨床症状と血液検査データなどから炎症、低栄養、脱水などをアセスメントし、必

要な計画を立案できる」であり、ここに看護師と、歯科衛生士ならびに歯科医師との

連携の鍵が認められた。

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2.周術期歯科口腔ケアへのアプローチ(医科より)

市立堺病院 外科 辻江正樹

外科系診療における DPC の導入の影響で、手術入院患者の入院パスを見直し、術前

検査・術前ケアをできるだけ外来に移行し、従来入院後に行っていた術前リスク管理

も外来に移行する必要が出てきた。この流れの中で、標準化した術前検査・説明を行

い、外来業務内容の適正化・一元管理を図りつつ、患者・家族への安定した質の高い

医療を提供するために、手術前業務を一括管理運用するシステムのニーズが高まって

きた。

この状況に対応するために、周術期の術前管理業務を集約的に管理し、手術に関わる

業務が円滑に行えるようコントロールする部署として、周術期センターが必要となっ

てきている。

術前(周術期)センターでは、担当医による、手術日程、入院日程の決定の後、術前

検査オーダー、内服薬チェック、合併症の有無のチェック~専門外来への紹介等を行

うとともに、周術期口腔ケアに必要な業務の依頼を行う。

周術期歯科口腔ケアは、全身麻酔への安全な導入を行うとともに、予防的口腔ケアを

行い口腔環境を整備することで逆流・誤嚥による術後肺炎の発生を減らし、合併症の

少ない安定した周術期全身状態コントロールが可能になると考えられる。

また、入院前の口腔内スクリーニング治療を行うことで、麻酔時の動揺歯によるリス

クを低減するだけではなく、外科系術後の安定した食事摂取に寄与し、がん患者術後

の抗がん剤治療のスムーズな導入にも繋がる。

平成 24 年度の歯科診療報酬改定においてがん患者等の周術期における包括的な口腔

機能管理が、算定できるようになり、院内歯科のある病院においても、ない病院にお

いても、術前患者に対する周術期歯科口腔ケアが行える環境を整えることが、今後も

求められると考えられる。

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3.「神戸大学病院における口腔機能管理に対する取り組み」

神戸大学大学院医学研究科外科系講座口腔外科学分野

古土井春吾

平成 26 年 4 月の診療報酬改定において、周術期口腔機能管理に関する保険点数の

一部が増点され、医科医療機関にも加算が新設されるなど、これまで以上にチーム医

療や医科歯科連携を推進する動きとなっている。しかしながら、実際に質の高い口腔

機能管理を行っていくためには、医科と歯科のスタッフの口腔機能管理への相互理解

と信頼関係の構築が重要であり、まだ解決すべき問題点や課題が残されているのが現

状と考えられる。

大学病院の歯科口腔外科においては、(1)対象患者が多くすべてに対応するのは

困難である、(2)入院前や退院後の対象患者を円滑に地域の歯科診療所へ導くのが

難しいなどの問題点がある。神戸大学医学部附属病院では、平成 24 年 4 月から平成

25 年 12 月の期間に周術期口腔機能管理の対象となる手術件数は 2717件あったが、

実際に周術期口腔機能管理料(Ⅱ)を算定できた症例は 604例(25.1%)であった。

また、退院後に地域の歯科診療所に紹介した患者が、治療困難との理由でまた当科へ

戻ってくる事例も少なくない。これらの問題点の解決を目的に、神戸大学病院では平

成 26 年 5 月より口腔機能管理センターを設立した。また、大学病院の役割として、

口腔機能管理が合併症予防や患者の QOL向上に有効であるというエビデンスを構築

することが課題と考えている。

本シンポジウムでは、これらの口腔機能管理に対する神戸大学病院の取り組みにつ

いて発表させていただく。

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4.オーラルマネジメント 開業医の立場から

伊丹市歯科医師会会員 

小屋歯科医院 小屋 経寛

超高齢社会を迎え、歯科医療も診療室で完結する医療にとどまらず、暮らしの中で、

食生活を維持し、生きがいを支える医療へと変換が求められている。

高齢者の高次脳機能障害や口腔の運動機能低下による摂食・嚥下機能障害の増加に、

従来の齲蝕・歯周病治療、補綴治療を中心とした器質的咀嚼障害の診療だけでは対応

できない。高齢者の主たる死因である肺炎を直接引き起こす摂食・嚥下障害は、低栄

養・脱水・窒息などにも繋がる大きな問題であり、これからは機能的咀嚼障害への対

応が必要となってくる。

これまで齲蝕、歯周病の予防を主な目的としてきた口腔ケアは、口腔の様々な機能

維持を目的とした、肺炎予防にも繋がる“食べる”を支えるケアへと拡大発展し、実施

されている。口腔衛生、口腔機能、口腔環境を評価し口腔ケアプランを立案して多職

種連携で行う口腔ケアは、患者・家族・介護者(看護士)への動機づけや指導と共に

これからの訪問歯科診療の要であると考える。

今回、病院からの依頼を受けて、中心静脈栄養から経口摂取に至った症例を通じて、

口腔ケア、オーラルマネジメントについて皆様と考えてみたいと思います。

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5.電子カルテにおける情報共有とチーム医療

公立学校共済組合 近畿中央病院 口腔外科

川口明子 陽川信子 薬師寺登

              

 「摂食嚥下障害支援チーム」は院内で初めての医療チームとして平成15年に発足

した。メンバーは耳鼻咽喉科医師、歯科医師、看護師、言語聴覚士、管理栄養士、歯

科衛生士である。

 発足当初の摂食嚥下機能評価のシステムは、耳鼻咽喉科医が摂食嚥下機能評価の中

心的な役割であり、紹介患者のすべてに対し内視鏡下の評価を実施していた。全紹介

患者に内視鏡下の機能評価を行うことに加え評価日の設定が週に1度ということが機

能低下が重症化した状態での依頼に繋がっているのではないかと考えた。そこで私た

ちは早期に介入できる依頼方法やすみやかに機能低下患者に対応できる体制の改良を

行う必要性を感じ依頼方法,体制の問題を改良するために平成 22 年に新システムを

導入した。この新システムの改良点は大きく3つある。

1. 機能評価依頼を主治医のみならず看護師からも行えるように入力作業を簡便にし

たテンプレートを作成し電子カルテ上に構築した。

2. 摂食嚥下チームが中心的な役割を担い、機能評価依頼確認後直ちに言語聴覚士、

NST専従の管理栄養士、歯科衛生士による複数の専門職がスクリーニングを行

う回診体制にした。

3. スクリーニングだけでは判断がつきにくく精査が必要と判断した症例に関して

機能評価を嚥下内視鏡検査や嚥下造影検査を行う体制にした。

新システム導入前後で検証を行った結果在院日数、介入時期、経口摂取開始時期に

有意な差を認める事ができた。転帰には大きな変化を認めなかった。このことにより

チームがスクリーニングを行う新システムは早期介入が可能となり、機能低下が重症

化していない状態での機能低下患者の拾い上げに繋がった。チームによるスクリーニ

ングを行ったことで、医師の業務の軽減に繋がり適切な時期で内視鏡下の検査を行え

ていると考える。

 歯科衛生士がチームの一員としてどのように関わっているかその現状について紹介

したいと思う。

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第 192 回 ICD 講習会

口腔の感染対策司会のことば

東海大学医学部外科学系口腔外科 金子 明寛

オーラルマネジメントは嚥下性肺炎予防に口腔ケアが有効であったとする1999 年にランセットに発表された Yoneyama らの報告に端を発し、術後肺炎が口腔機能管理(オーラルマネジメント)を行うことで減少したとする報告などがみられ、平成 24 年より歯科診療報酬に周術期口腔機能管理が導入されました。周術期口腔機能管理は歯石除去、歯面清掃などだけでは不十分で、歯科医師による要抜去歯の抜歯、暫間固定、保存補綴処置などの歯科治療を積極的に行ない、そのうえ患者のセルフケアを指導することが必要です。人工呼吸器関連肺炎(VAP)は、口腔細菌が気管チューブを伝わって気管へ垂れ込むことで発症します。術前の患者は手術前に口腔機能管理を行うことができますが、様々な疾患で、救急搬送され気管挿管を受けている患者は口腔環境も様々で、人工呼吸器管理を受けている状態です。人工呼吸器関連肺炎管理における口腔ケアの最も重要な点は歯面清掃のプラークを咽頭部へ落とさないことです。口腔、咽頭吸引を確実に行うことが重要で、口の中が溺れるような大量の水を使用することは口腔清掃に伴う誤嚥で、綺麗にしているつもりが患者の感染リスクを増加していることとなります。ビスホスホネート由来顎骨壊死は抜歯のみでなく、口腔感染が誘引となり発症することから、予防には口腔管理が必要です。最新のオーラルマネジメントについて兵庫医科大学の岸本裕充先生にお願いいたしました。近年、歯科診療所における適切な感染対策について論議されています。歯科領域では抜歯をはじめ縁下歯石除去など観血処置が多いことから、血液媒介感染を引き起こすB型、C型肝炎、HIV に対する適切な感染対策を行い、水平感染を防ぐとともに、医療従事者の職業感染を防ぐことが必要です。歯科医療現場で問題となる医療関連感染予防対策について、西脇市立西脇病院の谷垣信吾先生にお願いしました。本講習会が学会員のみならず、講習に参加いただいた先生方に感染対策に有益な知見になると思っております。

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「『歯科感染対策CDCガイドライン 2003』を再考する」西脇市立西脇病院 歯科口腔外科

谷垣信吾

アメリカ合衆国の疾病管理予防センター( CDC;Centers for Disease Control and Prevention)は、アメリカ合衆国の医療に関する多くのガイドラインを公表し、中でも感染管理は中心的な機関である。CDCガイドラインは科学的な根拠に基づいた政策を明確にして、医療機関に勧められている。これらの勧告は、CDC およびその他公的機関の感染管理当局、学会、ならびに民間の専門家組織と協力して検討して策定された。『歯 科 医 療 に お け る 感 染制御の た め の CDC ガイドライン 2003

Guidelines for Infection Control in Dental Health‐Care Settings-2003』は 2003 年に CDCから発表され、2003 年 12 月 19 日に米国公衆衛生週報(MMWR)に公表された。約 10 年を経過しているが、日本の歯科医療感染対策に多くの項目が参考にされている。しかし、本ガイドラインは米国の歯科医療環境に則して策定されたもので、基準や法律がわが国に適応できない項目がみられる。標準的な日本の感染対策と本ガイドラインの勧告について比較検討を行った。

今後、病院歯科の院内感染予防対策が ICD の指導や協力体制により、充実した感染管理体制につながることが望まれる。

『歯科医療における感染制御のための CDCガイドライン 2003』の主な項目1)歯科医療従事者の教育および防護2)血液媒介病原体の伝播予防3)手指衛生4)個人防護用具、5)接触性皮膚炎およびラテックス過敏症6)患者治療用具の滅菌および消毒7)環境感染制御8)歯科ユニットの給水回路のバイオフィルムおよび水質9)特別考慮事項(ハンドピースおよびその他の歯科治療器具類、X 線撮影、注射薬、口腔外科処置、歯科技工所など)に関する勧告

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オーラルマネジメントによる誤嚥性肺炎から BRONJ の予防まで 

                 兵庫医科大学 歯科口腔外科学講座                             岸本 裕充

  「誤嚥性肺炎や BRONJ(ビスホスホネート関連顎骨壊死)の予防に口腔ケアが有用とされているが,口腔ケア(≒口腔清掃)のみでは不充分な場合もある.演者は,口腔清掃(Cleaning)に加えて,咀嚼や嚥下のリハビリ(Rehabilitation),患者や医療従事者への教育(Education),的確な口腔の評価(Assessment),さらに抜歯や義歯の調整などの歯科治療(Treatment),以上の5つの要素が揃うことが重要であり,これら5つの要素を適切に達成できれば,おいしく食べる(Eat),もしくは,楽しむ(Enjoy)ことが可能となる,というオーラルマネジメント(OM)による取り組みを提唱している.Cleaning,Rehabilitationから Eat までの頭文字6つを順に並べると CREATE で,「食べられる口を CREATE(つくる)」がOM の目標である. 誤嚥性肺炎を予防するには,口腔清掃だけでなく,嚥下能力の評価やリハビリも不可欠であるが,誤嚥を恐れるあまり,安易に絶食している事例を見聞する.不顕性誤嚥のリスクという点で,絶食はむしろ危険ですらあることを理解しておく必要がある.また,口腔清掃によって最終的に「誤嚥時のリスクを下げる」という目標を達成するためには,単に歯みがきをするだけでは不充分な場合もある.洗口が困難な患者では,歯みがきで口腔に飛散した歯垢中の菌を,いかにして回収するかが重要である.また,口腔清掃後の保湿も忘れてはならない. BRONJ を予防するために,口腔ケアとともに,できる限り抜歯を避けることが推奨されてきた.これは,BRONJ の発症に抜歯などの侵襲的歯科処置が関連すると考えられているためであるが,自験例や疫学調査の結果から,むしろ抜歯の原因にもなる「慢性歯周炎の存在」の方が,発症に強く関わる印象がある.BRONJ の発症率は高くないが,発症すると食べる(E)という最も重要な機能が障害される可能性があるため,的確な評価(A)に基づいて歯科治療(T)をし,口腔清掃(C)を患者に教育(E)する,というような OM を理解した対応が望まれる.

Page 47: oral/23abstract.docx · Web viewそこで日本呼吸器学会では市中肺炎(CAP)のガイドライン(2007年作成)、院内肺炎(HAP)のガイドライン(2008年作成)に加え、2011年に医療・介護関連肺炎(nursing

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