opentypeカラーフォントと関連技術の動向
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インデックスフォント研究会定例会セミナー(2014年7月30日)TRANSCRIPT
カラーフォントの関連技術
Webフォント SVGグラフィック
絵文字フォント OpenType
カラーフォント
W3C CSS Fonts Level 3
W3C WOFF 2.0
Unicode 7.0
W3C SVG 2.0
W3C Web Animation 1.0
MPEG OFF 3rd Edition
❶ ❷
❸ ❹
❶Webフォントの概要
p Webフォントとは n CSSフォント機構(@font-face)によりWeb
ブラウザからダウンロード表示可能なフォント n 対応フォントフォーマットはOpenType、SVG
フォント、WOFFフォントなど
p Webフォントサービス n Adobeが買収した代表的なWeb
フォントサービスのTypeKit typekit.com/
n フォントワークス、イワタ、モトヤがソフトバンクと提携したFONTPLUS webfont.fontplus.jp/
Webフォント時代の新書体 p AdobeとGoogleがSource Han Sansを公開(7月16日)
n Adobe-Japan1-6の全グリフとAdobe-Japan1 IVSesのIVS対応の異体字を含む50万グリフを7つのウエイトで提供
Webフォントの最新仕様 p WebフォントのW3C標準仕様
n CSS Level 2において1998年に導入 www.w3.org/TR/CSS2/
n CSS Fonts Level 3が策定中(勧告候補) www.w3.org/TR/css3-fonts/
p おもな機能 n ダウンロードフォント、ローカルフォント、システムフォントに対応 n ファミリ(font-family)、ウェイト(font-weight)、字幅(font-
stretch)、スタイル(font-style)、サイズ(font-size)を定義 n フォント選択のためのマッチングのアルゴリズムを規定
CSS Fonts Level 3の新機能 p 対応フォーマットを整理
n WOFFフォント(.woff)、TrueTypeフォント(.ttf)、OpenTypeフォント(.ttf/.otf)、Embedded OpenType フォント(.eot)、SVGフォント(.svg)の5種類
p OpenType機能のサポート n カーニング(font-kerning)、上付き・下付き(font-variant-
position)、リガチャ(font-variant-ligatures)、キャピタライズ(font-variant-caps)、数字(font-variant-numeric)、スワッシュ(font-variant-alternates)などに対応
p 同一オリジン制限の導入 n 原則はWebフォントと同一サイトのWebページのみ利用許可 n クロスオリジンリソース共有(CORS)による制限緩和も可能
異体字のサポート p 東アジア言語対応
n font-variant-east-asianプロパティーを導入 n OpenType機能タグのjis78、jis83、jis90、jis04、smpl、
trad、fwid、 pwidを指定可能
p 異体字の使用例 n JIS78字形(jis78) ■ 旧字体(trad) n プロポーショナル字形(pwid)
WOFFフォントの最新仕様 p WOFFフォントのW3C標準仕様
n Web Open Font Formatの略称 n Microsoft、Mozilla、Operaの提案を
ベースにWOFF 1.0が完成(2012年12月) n WOFF File Format 2.0が策定中
www.w3.org/TR/WOFF2F/
p おもな機能 n Google提案のBrotli圧縮に対応したTrueType/OpenTyp
eフォントのWebフォント専用のパッケージング形式 n ライセンス情報などを記述するXML拡張メタデータブロックと
任意のデータを格納可能なプライベートデータブロックを定義 n DRM著作権管理機能は提供しない(WOFFフォントをOSの
システムフォントとして再利用することは困難)
❷SVGグラフィックの概要
p SVGグラフィックとは n PDF相当の描画機能とFlash相当のアニメー
ション機能を備えたベクトルグラフィック形式 www.w3.org/TR/SVG/
n 広義のHTML5の一部でありすべての主要 Webブラウザで表示が可能
p SVGフォント機能 n ベジェ曲線で定義されたグリフにTrueTypeフォント相当の
メタデータを加えたSVGベースのフォントフォーマット n カラー、グラデーション、アニメーションなど任意のSVG描画
機能を利用したスケーラブルなフォント定義が可能
n 複雑系言語のレイアウト機能とヒンティング機能には未対応
SVG標準化の歴史
p SVG 1.0の誕生から12年が経過
SVG 1.0
SVG Tiny 1.2
SVG 1.1 2nd Edition
1998 2000 2002 2004 2006 2008 2010 2012
SVG 1.1
SVG 2.0
キヤノンが SVG WGに参加
HTML5/CSS3との整合性を向上させた策定中の最
新仕様
HTML5対応の最新Webブラウザで広く実装済、現時点で最も推奨される
仕様
モバイル向けサブセット仕様、携帯機器のフルブラウザ搭載によりニーズ
低下
2001年9月にSVG 1.0がW3C勧告
SVG 2.0標準化のロードマップ
p 2014年8月勧告を目標に策定中(遅延の見込み)
SVG WGがW3C勧告仕様化をコミットする
SVGコア仕様
CSS WGとのジョイント活動(FX TF)で策定するSVG/CSS共
通仕様
上記以外のSVG拡張モジュール仕様
①
②
③
SVGスムーズグラデーション機能 p ベジェ曲線を用いて記述する高度なグラデーション機能
フォトリアルなイラスト表現を可能にする機能
Illustratorのグラディエントメッシュ機能と
同様の技術、Inkscapeでの実装が進行中
SVGフィルター効果機能 p 従来のSVGフィルター効果の表現力を大幅に向上
OpenGLのプログラマブルシェーダー機能を活用してリアルで高度なビジュアル
効果の高速描画を実現
Adobe提案のCSS Shader仕様をSVGにも適用できるよう拡張、Filter Effects仕様としてSVG/CSS共通仕様化
Webアニメーション機能 p 従来のSVGアニメーション機能に代わる新仕様
SMILベースのSVG Animation仕様とCSS Animation仕様のアニ メーションモデルと機
能セットを統合化
Web Animation仕様の最初のドラフト仕様が公開(2014年6月)、FirefoxおよびWebKitでの実装が進行中
❸絵文字フォントの概要 p 絵文字フォントとは
n 携帯電話やスマートフォンで利用 されるカラー絵文字を文字セットと するアイコン文字フォント
n iOS 5ではApple Color Emoji フォント、Windows 8.1では Segoe UI Emojiフォントが導入
p 絵文字コミュニケーション n 欧米のSNSやメッセージングにおい
てこの1~2年で絵文字が広く普及 n デコメールやLINEスタンプではアニ
メーション対応や表現力向上へ
絵文字フォントの互換性 p モバイル環境の絵文字
n これまではキャリヤごとに異なる 絵文字セットが使用されてきた
n 通信キャリア6社の絵文字が 2014年5月以降に統一の動き
p PC・Web環境の絵文字 n OS X Lion、Windows 8.1
以降がカラー絵文字に対応 n Google日本語入力も絵文字に
対応してChromeブラウザや Android機器でも利用可能に
Unicode仕様と絵文字 p 絵文字は国際標準
n 通信キャリア3社の絵文字統合仕様を GoogleとAppleが提案(2008年11月)
n Unicode 6.0に約1,000個の絵文字 が正式に収録(2010年10月)
n ただし例示字形はカラーに未対応
p Unicodeの最新仕様 n Unicode仕様の4年振りの改定となる
Unicode 7.0が発表(2014年6月) n 気象関係やハンドサインなど約250個
の新しい絵文字が追加
絵文字フォントのフォーマット p iOSの絵文字フォント
n PNG画像を"sbix"テーブルに格納した独自のフォント仕様 n グリフデータはビットマップなので拡大縮小や印刷には不向き
p スケーラブルなSVGフォント n ベジェ曲線でグリフを記述するスケーラブル
なフォントフォーマット(SVG仕様の一部) n カラー、グラデーション、アニメーションなど
SVGの豊富な描画機能を利用可能
n 複雑系言語レイアウトへの対応が不十分 n Microsoft IEとFirefoxが未対応(SVG 2.0
ではSVGフォントからWOFFフォントへ移行)
❹OpenTypeカラーフォントの概要
p OpenTypeカラーフォントとは n カラー絵文字フォントを表現可能
なOpenTypeフォントの拡張仕様 n 高品位印刷や電子書籍での利用
を想定したスケーラブルフォント n アニメーション表現や多色表現(グラデーション)をサポート
p OpenType仕様の拡張 n 従来のOpenTypeフォント仕様にカラーフォント
機能をサポートするための新しいテーブルを追加 n カラーフォント機能に未対応の実装ではモノクロ
描画へのフォールバックが可能 n SVGを利用するSVG in OpenType仕様として検討開始
SVG in OpenTypeの標準化 p W3Cコミュニティグループ発足(2011年10月)
n SVG WGミーティングでAdobeのSairus Patelが提案
n W3CとOpenType関係者をつなぐコミュニティグループを結成 www.w3.org/community/svgopentype/
p コミュニティグループ仕様公開(2013年10月) n Adobeが最初の仕様案を作成 n Mozillaが改良案を提案すると
共にFirefox 26で実装を提供 n SVG Glyphs in OpenType
仕様を最終レポートとして公開 www.w3.org/2013/10/ SVG_in_OpenType/
MPEG OFFカラーフォントの標準化 p カラーフォント技術の提案募集
n OpenTypeの国際標準であるMPEG Open Font Format 3rd Edition向け にカラーフォントと数式レイアウト技術を募集(2013年11月)
n W3C、Google、Microsoftがそれぞれの仕様案を提案
p 標準化のスケジュール n MPEG 108会合で3つの提案すべて
を融合する形で採用決定して委員会 ドラフトが公開(2014年4月)
n 次回MPEG 109会合前にISO投票 が完了する予定(2014年7月)
SVG in OpenTypeフォント仕様 p グリフ定義はSVG
n "SVG "テーブルにグリフIDとSVGグリフデータを記述 n カラーパレット("CPAL"テーブル)のカラー定義を参照可能 n SVGアニメーション(SVG 2.0ではWebアニメーション仕様を
採用予定)を利用可能、スクリプト、外部参照、リンクは不可
p グリフ定義以外はOpenType n エンコーディング、レイアウト、
複雑テキスト、異体字などグリフ 定義以外は通常のOpenType
n SVGグリフに未対応の実装は CFF/TTグリフへのフォール バックが可能
Google PNGカラーフォント仕様 p グリフ定義はPNG画像
n PNG画像はsRGB 32ビットのBGRAフォーマット n "CBDT"テーブルにPNG形式のビットマップデータを格納 n "CBLC"テーブルにビットマップデータの位置情報を記述
p シンプルで実装が容易 n OpenTypeエンジンFreeType 2.5
の実装をGoogleが提供(2013年6月) n Android 4.4で導入されたカラー
絵文字機能で採用(2013年10月) n Firefox for Androidにおいても
サポートされる予定(ベータ版公開中)
Microsoftカラーフォント仕様 p グリフ定義はアウトライン
n 個々にカラーを設定した複数の アウトラインデータを重ねて描画 するマルチレイヤー方式
n カラー設定をカラーパレット ("CPAL"テーブル)で定義
p Microsoftが推進 n Windows 8.1で導入されたカラー
絵文字機能で採用(2013年10月) n Segoe UI Emojiフォントを提供 n FontCreater 7.5など代表的な
フォント編集ツールも対応開始
アニメーションフォントの可能性 p カラーアニメーション絵文字
n グラデーションなど高度な描画機能を活用 した付加価値の高いアニメーション絵文字
n パレットでカラースキームを変更できる絵文字 p 手書き文字フォント
n 書き順をアニメーション表示するフォント n 手書きストロークから手書き文字フォント生成
p テキスト表示効果 n 飾り文字やマウス操作やタッチ操作に反応
して色や形が変化するテキスト表示効果 n テキスト編集時に文字が震える表示効果など