openstack 最新動向 2016/11
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OpenStack 最新動向2016/11
日本OpenStackユーザ会吉山あきら
本資料はSlideShareにて公開しています。http://www.slideshare.net/yosshy/
目次
● OpenStack って何?
● OpenStack って何が良いの?
● OpenStack って何が良くないの?
● OpenStack って誰が作ってるの?
● OpenStack って誰が使っているの?
● バルセロナサミット情報
OpenStack って何?
OpenStackとは
クラウド基盤ソフトウェアを開発するプロジェクトです。– 似ているシステム
● Amazon Web Services (AWS)● Google Compute Engine● Microsoft Azure
– 似ていない点● 上記は「クラウドサービス」● OpenStack は「クラウドサービス基盤ソフトウェア」の
開発プロジェクト
クラウドサービス
そもそもクラウドって何?ざっくり言うと
● ネットワーク経由で遠隔の計算機リソースを
● ユーザーが自分自身で確保・管理する
コンピュータの利用形態です。
更に、一般的なIaaS、PaaS等は
● 外部システムが操作しやすいAPIを持つ
のが特長です。
バッチ等のソフトウェアでシステムの構築や破棄が可能、即ち
「Software-Defined」
なシステムに最適です。
クラウド
ユーザー
Web
API外部システム
旧来のホスティングサービス
VPSユーザー
Web
OpenStackの位置づけ
【OS】
Linuxカーネル
デバイスドライバ
デバイスドライバ
デバイスドライバ
ABI
USBメモリ
SATAディスク
RAIDアレイ
同一のディスクI/Oシステムコール
【クラウドOS】
OpenStack (Nova)
ドライバプラグイン
ドライバプラグイン
ドライバプラグイン
RESTAPI
KVM
同一のVM管理REST APIコール
VMware HyperV
OpenStack って何が良いの?
プロジェクトがオープンです。
● 多数のIT企業やユーザ組織、個人が開発に参加しています。– 1つの主要開発元企業が開発を主導するプロジェクトでは
ありません。
– 各種プロジェクトリーダーはOpenStackで開発実績のある人なら誰でも立候補でき、現役の開発者全員による選挙で選ばれます。
– 各種資産管理は非営利団体(OpenStack Foundation)がやっています。
プロジェクトがパワフルです。● 開発コミュニティが巨大です。
– 最新安定版(Newton)の開発コミュニティ:開発者数:2,581人、企業・団体数:309
● 開発プロジェクトが多数あります。
– サービス基盤:31、ライブラリ:多数
– インストーラ:7、OSパッケージ化:2
– Big Tent(後述)入りしていないプロジェクトも多数あります。
● 半年に一度、新バージョンをリリースしています。
– 最新の安定版は Newton リリースです。
– 現在の開発版は Ocata リリースです。2017/2 頃正式リリース予定です。
OpenStack Foundation 参画組織● プラチナ8社、ゴールド22社、企業スポンサ130社
– 総合ITベンダー● IBM, HP Enterprise, DELL, Ericsson, 富士通, 日立, Huawei, NEC, Oracle,
Lenovo,
– 特化型ITベンダー● Intel, Nokia● EMC, NetApp, Nexenta, SolidFire, SanDisk, WD, 他● Cisco, Juniper, Arista, Brocade, A10, F5, PLUMGrid, Midokura, 他● Canonical(Ubuntu), Red Hat, SUSE, Wind River, 他● Aptira, InwinSTACK, Mirantis, EasyStack, CloudBase, SwiftStack, 他● Symantec, Virtuozzo, VMware, 他
– ネット企業● Rackspace, DreamHost, Yahoo!, NTTコミュニケーションズ, PayPal, GoDaddy,
Google Cloud Platform, 他
– 学術組織● CERN, 他
http://www.openstack.org/foundation/companies/
ソフトウェアがオープンです。
● プロジェクトの成果物は100% OSSです。– Apache ライセンスで企業も使いやすいです。
● GNU GPLのような制約がありません。● 自社製品に組み込みやすいです。
– サービス基盤はもちろん、運用系などの周辺機能も全てOSSです。
● 中心機能だけOSS、他は商用というオープンコア戦略ではありません。
– Python というスクリプト言語で開発されています。● クローズソース化に向いていません。
ソフトウェアがスケーラブルです。
● 小規模〜大規模システムまで対応します。– サービス単位で分割されたコンポーネントの集合体で
構成されています。● コンポーネント間は REST API による粗結合です。● 遠隔サイト間でのコンポーネント連携も可能です。
– 各コンポーネントもスケーラブルな分散システムになっています。
● サーバ台数を増やす事で容量や性能を向上しやすいです。(スケールアウト)
➔「スモールスタート」に適しています。
日付はNewtonリリースの例 https://releases.openstack.org/newton/schedule.html
OpenStack リリースサイクル(6ヶ月)
OpenStackデザインサミット2016/4/25〜29
開発マイルストーン#1
2016/6/2
開発マイルストーン#2
2016/7/14
開発マイルストーン#3
2016/9/1
リリース候補#1〜#3
2016/9/12〜
安定版リリース2016/10/7
5週間
7週間
5週間
2〜4週間
1週間
3週間
Project Teams Gathering (PTG)
https://releases.openstack.org/ocata/schedule.htmlhttp://www.openstack.org/blog/2016/05/faq-evolving-the-openstack-design-summit/
● 新バージョンリリース…4月上旬頃、10月上旬頃
【従来】● OpenStack Summit (一般セッション、展示ブース)● OpenStack Design Summit (開発者会議)の同時開催…4月末頃、10月末頃
【今後】● 新バージョンリリース● Project Teams Gathering (開発者会議)…2月末頃、8月末頃
【今後】● OpenStack Summit (一般セッション、展示ブース)…5月中旬頃、11月中旬頃
Newton Ocata
Ocata開発期間だけ短い 6ヶ月毎6ヶ月毎
OpenStack コンポーネント群(Newton)
ユーザー
IaaS系
ネットワーク
IaaS
物理マシン
コンテナ
新規コンポーネント
ストレージ系
オブジェクト
VMテンプレ
ボリューム
ファイルシステム
バックアップ
PaaS系
ビッグデータ
DBaaS
DNSaaS
メッセージキュー
メッセージキュー2
ジョブワークフロー
基盤運用系
正常性テスト
フロントエンド系
Web
自動構築
監視
Appカタログ
オートスケーラー
課金
サービス統制管理 認証
計測リソース検索 鍵管理
VM負荷分散
障害原因分析
バックアップ2
Big Tent って何?● いわゆる「公式プロジェクト」的な意味合い
● Big Tent の条件
– OpenStackのミッションに合っている事
– 他のプロジェクトとの相互運用性がある事
– プロジェクト参加者が継続的かつ複数の組織からである事
– 4つのOpen(Open Source、Open Community、Open Design、Open Development)がある事
● 各コンポーネントの完成度は個別に調査が必要
– 新しい「プロジェクト ナビゲーター」が参考になります。
OpenStack って何が良くないの?
インストールが難しいです。
● OpenStackは多数のコンポーネントで構成されており、設定もコンポーネント分必要です。
● OpenStackは長い間良い自動構築ツール(インストーラ)がありませんでした。
➔ ここしばらくで改善されてきました。– RDO の packstack は使いやすいです(冗長構成は無理)。
– OpenStack 環境構築用の Puppet Manifest, Chef Recipe、 Ansible Playbook、Juju Charmがあります。
– OpenStack 環境をDockerで作る Kolla プロジェクトがあります。
– Mirantis社製のインストーラ「Fuel」があります。
– 商用OpenStackディストリビューターはそれぞれインストーラーを持っています。
新バージョンの目玉機能がない事があります。
● 半年毎に新バージョンをリリースしている=新機能毎に新バージョンをリリースしているのではないので、特に目玉機能が無いリリースが存在します。
● 半年間の開発期間のだいたい1回めの開発マイルストーンに仕様策定が間に合わなかった新機能は先延ばしになります。
● 半年間の開発期間の3回めの開発マイルストーンに実装が間に合わなかった新機能は先延ばしになります。
– 例外が認められる事もあります(FFE)。
● 複数のコンポーネントが関係する新機能の投入タイミングがずれる事が多々あり、新機能が整うまでに1年以上かかる事もあります。
● 開発者がオープンな議論の上で今後の開発の方向性を決めるので、単一企業の開発に比べて開発方針決定が遅いです。
コンポーネントによっては開発速度が遅いです。
● オープンな議論で今後の開発の方向性を決めるので、単一企業の開発に比べて開発方針決定が遅いです。
● クラウド基本機能から周辺機能に開発を広げてきたため、PaaS、監視サービス系、運用系等は現状未熟です。
● 各社は自社に関連するコンポーネントを開発するので、関連企業が少ないコンポーネントの開発者が少ない事があります。
– 開発が滞ったプロジェクトはBigTentから外れます。
● 各プロジェクトの完成度を確認する「プロジェクトナビゲーター※」があります(次頁)
※http://www.openstack.org/software/project-navigator
プロジェクトナビゲーター①コアコンポーネントの状況
採用率 完成度 開発年数
プロジェクトナビゲーター②オプションコンポーネントの状況
採用率完成度 開発年数
機能が一部イマイチな所があります。● 機能構成がスッキリしていない所があります。
– 増築を続けた旅館のように機能拡張を続けた結果、設計や仕様に一貫性のない箇所が一部あります。
● イマイチな機能を作り直す事が結構あります。
– IaaS基盤など、古くからあるコンポーネントほど作り直された箇所は多いです。
– 機能を作り直した結果、古い機能が段階的に廃止される事も結構あります。
– REST API を作り直したけどコミュニティに受け入れられず、廃止した事もあります。
OpenStack って誰が作ってるの?
Newton での開発貢献度(コミット数)
http://stackalytics.com/?release=newton&metric=commits&project_type=openstack
Newton での開発貢献度(レビュー数)
http://stackalytics.com/?release=newton&metric=marks&project_type=openstack
OpenStack って誰が使ってるの?
主要海外事例● 金融
– Bloomsburg, VISA, FICO, 中国郵政儲蓄銀行, TD Bank, BBVA, Banco Santander
● 工業
– BMW, フォルクスワーゲン, インテル
● 学術
– CERN, 天河二号● ネットビジネス
– CIsco(WebEx), eBay, エスクペディア, PayPal,ウォルマート, Yahoo!
● 放送
– コムキャスト, タイムワーナー・ケーブル, Sky UK
● テレコム
– AT&T, SKテレコム, KT, ドイツテレコム, チャイナテレコム, China Mobile,ベライゾン
主要海外パブリッククラウド※● Auro
● Citynetowrk
● Cloud&Heat
● CLOUDSUITE
● Cloudwatt
● DataCenterd
● DreamHost
● Dualtec
● ELASTX
● INTERNAP
● KIO
● NUMERGY
● Deutsche Telekom
● OVH
● Rackspace
● TeutoStack
● Ukcloud
● ULTINUM
● UnitedStack
● VEXXHOST
※http://www.openstack.org/marketplace/public-clouds/
主要国内事例 ※順不同
● 富士通
● GMOインターネット
● NEC● NTTコミュニケーションズ
● NTTドコモ
● NTTリゾナント(Goo)
● 沖縄オープンラボ● サイバーエージェント● 楽天
● Yahoo! Japan
● グリー● キリン● トヨタ自動車● 日産自動車● 凸版印刷● アイシン軽金属● フリービット
● NHNテコラス
● 他多数
バルセロナサミット情報
サミットの概要
● 2016年10月24日〜28日
● スペイン バルセロナ
● 参加者 5000+● 参加費 1,000USD/person
ロゴリニューアル
世界のOpenStack採用状況● 先行する北米ではOpenStackの導入がすでに一巡し、
OpenStackは枯れてきた、という認識になりつつある。
● 導入企業の調査でも非IT業が8割を締め、従業員数1000〜1万人のミッドクラスエンタープライズが導入のボリュームゾーンとなっている。
世界のOpenStack採用の今後● 北米ではレイトマジョリティへの浸透が中心となり、
OpenStackの利用率の上昇は従来に比べて鈍化する見込み(それでも2020年までの年成長率30%)
● 今後は北米を追いかけるアジア圏での成長が著しいと予想されている(2020年までの年平均成長60%)
まとめ
OpenStack とは
● オープンでパワフルなクラウド基盤開発プロジェクトです。
● オープンでスケーラブルなクラウド基盤ソフトウェア群です。
● 国内外の事例が多数あります。– 金融、ネットビジネス、ホスティング、放送、テレコム、工業…
● 課題もあります。
➔開発者募集中!特にコードレビューする人募集中!
参考● OpenStack
– http://www.openstack.org
● Newton リリーススケジュール
– https://releases.openstack.org/newton/schedule.html
● Stackalytics– http://www.stackalytics.com/
● ロードマップ
– http://www.openstack.org/software/roadmap/● プロジェクト一覧
– http://git.openstack.org/cgit/openstack/governance/tree/reference/projects.yaml
● プロジェクトチーム
– https://wiki.openstack.org/wiki/Project_Teams
参考(続き)● The OpenStack Blog: OpenStack Technical Committee Update
– http://www.openstack.org/blog/category/technical-committee-updates/
● OpenStack Summit Tokyo 2015
– https://www.openstack.org/summit/tokyo-2015/
● OpenStack Days Tokyo 2015
– http://openstackdays.com/
● OpenStack Newton Release
– http://www.openstack.org/software/newton/