「あかり」全天サーベイデータ...darts 上に構築されたデータ...

1
赤外線天文衛星「あかり」は、中間赤外線(9 & 18 μm)および遠赤外線(65, 90, 140, & 160 μm) で全天サーベイ観測を行った。この観測結果か ら、 2種類のデータセットを作成している。 1つは、赤外線天体カタログである。この解析・作成作業は日本・韓国・ヨーロッパの共同チームで行われ、20103月に、130万天体を含む初 版が世界中に公開された。カタログは、プロジェクトのホームページからのデータファイルのダウンロードの他、DARTS上に構築されたデータ アーカイブサービス AKARI-CAS (山内他、P7-086)から利用出来る。また、アメリカ、フランス、スペインなどにもデータアーカイブサービスが 設置されている。 「あかり」天体カタログは、CASのアクセスだけでも、既に10万を超えており、既に天文学研究のための基礎資料の一つとして、 世界的に広く利用され始めている。 もう1つは、イメージマップである。今までの全天サーベイデータよりも高い空間分解能を有していることが大きな特徴である。20108月から、 遠赤外線4バンドのチーム内公開を始めた。将来的には一般にも公開される予定である。 中川貴雄、山村一誠、池田紀夫、片ざ宏一、加藤大輔、川田光伸、北村良実、瀧田怜、巻内慎一郎、山内千里(ISAS/JAXA)、 土井靖生(東大総文)、石原大助、大薮進喜、金田英宏、松岡良樹(名大理)、小麥真也、藤原英明(国立天文台)、田中昌 宏(筑波大)、大坪貴文、服部誠(東北大)、芝井広(大阪大)、A. Salama, A. Cassatella, N. Cox. C. Alfageme (ESAC/ESA)G. J. White, S. SerjeantEtxaluze Azkonaga (Open Univ.), W.-S. Jeong (KASI)、他「あかり」チーム 1:「あかり」赤外線天体カタログに含まれる天体の分布: = 9 μm, = 18 μm, = 90 μm. 中央部の明るい横に拡がった構造は天の川。 「あかり」天体カタログの主要諸元 2: 「あかり」赤外線天体カタログ9, 18, 90 μm ンドの log N – log Sプロット(明るさに対する個数 分布)。IRAS 12, 25, 100 μm のデータを比較のため に記した。「あかり」は IRAS よりも、より暗い天 体まで検出し、検出天体数を大きく増加させた。 The AKARI Project is carried out with the participation of mainly the following institutes; Nagoya University, The University of Tokyo, National Astronomical Observatory Japan, European Space Agency (ESA), Imperial College London, University of Sussex, The Open University (UK), University of Groningen / SRON (The Netherlands), Seoul National University (Korea). The far-infrared detectors were developed under collaboration with The NICT. 「あかり」全天サーベイデータ P1-010 MIR FIR Wavelength (μm) 9, 18 65, 90, 140, 160 Number of sources 870,973 427,071 Detection limit 50 & 130 mJy 3.2, 0.55, 3.8, 7.5 Jy Flux uncertainty 5–20 % 20 ~ 30 % Spatial resolution ~7 arcsec ~1 arcmin Position uncertainty 1–3 arcsec ~6 arcsec 3: DARTS 上に構築されたカタログアーカ イブシステム(AKARI-CAS; 山内他 P7- 086)を通じて「あかり」データと他の天文 データと有機的にリンクされたアクセスが可 能である。左: 位置検索ツール, : CAS Explore. (http://133.74.198.4/ir/akari/cas.html) 今後の予定 より情報の精度を高めた点源カタログ第 二版、および観測数の多い天域で検出限 界を改良した備考天体カタログの作成の ための開発、試験を進めている。これら のカタログは2011年度中の公開を目標に している。 1. 赤外線天体カタログ . イメージマップ DARTS 「あかり」カタログ・サイト: http://133.74.198.4/astro/akari/ 4: 「あかり」イメージマップ緒元。塵の熱放射の ピークを連続的にカバーしていることが大きな特徴。 5: 「あかり」の4バンド構成により、塵の熱放射 の分布をとらえ、温度を精度よく決定できる。 6: 「あかり」銀河面イメージの一部(銀経 265-305度付近)90μm/140μm2色合成図。 現状及び今後の予定 20108月から、遠赤外線4バ ンドイメージの特定領域のチー ム内の試用公開を開始。将来の 一般公開にむけて、全天のデー タの統一的解析を実施予定。

Upload: others

Post on 28-Jun-2020

0 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

Page 1: 「あかり」全天サーベイデータ...DARTS 上に構築されたデータ アーカイブサービス AKARI-CAS (山内他、 P7-086) から利用出来る。また、アメリカ、フランス、スペインなどにもデータアーカイブサービスが

赤外線天文衛星「あかり」は、中間赤外線(9 & 18 µm)および遠赤外線(65, 90, 140, & 160 µm) で全天サーベイ観測を行った。この観測結果から、 2種類のデータセットを作成している。1つは、赤外線天体カタログである。この解析・作成作業は日本・韓国・ヨーロッパの共同チームで行われ、2010年3月に、130万天体を含む初

版が世界中に公開された。カタログは、プロジェクトのホームページからのデータファイルのダウンロードの他、DARTS上に構築されたデータアーカイブサービスAKARI-CAS (山内他、P7-086)から利用出来る。また、アメリカ、フランス、スペインなどにもデータアーカイブサービスが設置されている。「あかり」天体カタログは、CASのアクセスだけでも、既に10万を超えており、既に天文学研究のための基礎資料の一つとして、世界的に広く利用され始めている。もう1つは、イメージマップである。今までの全天サーベイデータよりも高い空間分解能を有していることが大きな特徴である。2010年8月から、

遠赤外線4バンドのチーム内公開を始めた。将来的には一般にも公開される予定である。

中川貴雄、山村一誠、池田紀夫、片ざ宏一、加藤大輔、川田光伸、北村良実、瀧田怜、巻内慎一郎、山内千里(ISAS/JAXA)、土井靖生(東大総文)、石原大助、大薮進喜、金田英宏、松岡良樹(名大理)、小麥真也、藤原英明(国立天文台)、田中昌宏(筑波大)、大坪貴文、服部誠(東北大)、芝井広(大阪大)、A. Salama, A. Cassatella, N. Cox. C. Alfageme (ESAC/ESA)、G. J. White, S. Serjeant、Etxaluze Azkonaga (Open Univ.), W.-S. Jeong (KASI)、他「あかり」チーム

図1:「あかり」赤外線天体カタログに含まれる天体の分布: 青 = 9 µm, 緑 = 18 µm, 赤 = 90 µm. 中央部の明るい横に拡がった構造は天の川。

「あかり」天体カタログの主要諸元

図2: 「あかり」赤外線天体カタログ9, 18, 90 µm バンドの log N – log Sプロット(明るさに対する個数分布)。IRAS 12, 25, 100 µm のデータを比較のために記した。「あかり」は IRAS よりも、より暗い天体まで検出し、検出天体数を大きく増加させた。

The AKARI Project is carried out with the participation of mainly the following institutes; Nagoya University, The University of Tokyo, National Astronomical Observatory Japan, European Space Agency (ESA), Imperial College London, University of Sussex, The Open University (UK), University of Groningen / SRON (The Netherlands), Seoul National University (Korea). The far-infrared detectors were developed under collaboration with The NICT.

「あかり」全天サーベイデータ P1-010

MIR FIRWavelength (µm) 9, 18 65, 90, 140, 160Number of sources 870,973 427,071Detection limit 50 & 130 mJy 3.2, 0.55, 3.8, 7.5 JyFlux uncertainty 5–20 % 20 ~ 30 %Spatial resolution ~7 arcsec ~1 arcminPosition uncertainty 1–3 arcsec ~6 arcsec

図3: DARTS 上に構築されたカタログアーカイブシステム(AKARI-CAS; 山内他 P7-086)を通じて「あかり」データと他の天文データと有機的にリンクされたアクセスが可能である。左: 位置検索ツール, 右: CAS Explore. (http://133.74.198.4/ir/akari/cas.html)

今後の予定より情報の精度を高めた点源カタログ第二版、および観測数の多い天域で検出限界を改良した備考天体カタログの作成のための開発、試験を進めている。これらのカタログは2011年度中の公開を目標にしている。

1. 赤外線天体カタログ

2. イメージマップ

DARTS 「あかり」カタログ・サイト: http://133.74.198.4/astro/akari/

図4: 「あかり」イメージマップ緒元。塵の熱放射のピークを連続的にカバーしていることが大きな特徴。

図5: 「あかり」の4バンド構成により、塵の熱放射の分布をとらえ、温度を精度よく決定できる。

図6: 「あかり」銀河面イメージの一部(銀経 265度-305度付近)。90μm/140μmの2色合成図。

現状及び今後の予定2010年8月から、遠赤外線4バンドイメージの特定領域のチーム内の試用公開を開始。将来の一般公開にむけて、全天のデータの統一的解析を実施予定。